JP6563302B2 - アルミニウム材の表面処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自己潤滑性を有するアルミニウムやアルミニウム合金(以下、「アルミニウム材」という。)の表面処理方法に関する。
従来、アルミニウム材は、ポンプやモーター等の摺動部材として自動車等の分野において広く利用されており、アルミニウム材の耐摩耗性の向上や腐食防止を目的として、陽極酸化処理により、アルミニウム材の表面にアルミニウム酸化皮膜(アルマイト皮膜)を形成する方法が知られている。
ここで、上記陽極酸化処理により形成されたアルミニウム酸化皮膜は高硬度であるため、耐摩耗性を有するが、例えば、上述の摺動部材として使用する場合は、潤滑性が必要になるため、アルミニウム酸化皮膜に自己潤滑性を付与する方法が提案されている。
例えば、アルミニウム材に陽極酸化処理を行って陽極酸化皮膜を形成する工程と、アルカリ水溶液中に浸漬してエッチングを行い、陽極酸化皮膜に形成された微細孔(ポア)を拡大する工程と、脂肪酸塩類の水溶液中に浸漬して電解を行い、陽極酸化皮膜の微細孔中に潤滑材である脂肪酸を析出させる工程とを備えるアルミニウム材の陽極酸化皮膜の処理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−143794号公報
しかし、上記特許文献1に記載の処理方法においては、陽極酸化処理を行った後、脂肪酸塩類の水溶液中に浸漬して電解を行い、陽極酸化皮膜の微細孔中に潤滑材(脂肪酸)を析出させる工程(即ち、二次電解工程)が必要になるため、処理方法が複雑になるとともに、コストアップになるという問題があった。
また、上記二次電解工程を行うには、処理条件の選定、並びに設備面の管理に十分注意するが必要があるが、電解条件の過多や電解浴の劣化等の影響により、目的物質の移動よりも水素イオンの移動が優先し、スポーリング状の膨れ剥離などが発生しやすくなり、析出させる物質や、析出状態によっては多孔内に圧縮内部応力を発生するため、耐クラック性の改善も必要となる。また、電解条件(陰極二次電解や交流二次電解)によっては、逆電剥離が発生する場合もある。その結果、アルミニウム酸化皮膜が破損するという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、二次電解工程を行うことなく、安価かつ簡易な方法により、アルミニウム酸化皮膜に自己潤滑性を付与することができるアルミニウム材の表面処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のアルミニウム材の表面処理方法は、アルミニウム材に対して陽極酸化処理を行うことにより、微細孔を有する多孔性のアルミニウム酸化皮膜を形成するアルミニウム酸化皮膜形成工程と、アルミニウム酸化皮膜に形成された微細孔の径を拡大するポアワイドニング工程と、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させることにより、微細孔にパラフィンを充填する浸漬処理工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、アルミニウム酸化皮膜の破損を生じることなく、安価かつ簡易な方法により、アルミニウム酸化皮膜に自己潤滑性を付与することができる
本発明の実施形態に係るアルミニウム酸化皮膜が形成された表面処理アルミニウム材を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るアルミニウム材の表面処理方法を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るアルミニウム酸化皮膜が形成された表面処理アルミニウム材を示す断面図である。
図1に示すように、本発明に係る表面処理アルミニウム材1は、母材となるアルミニウム材2と、アルミニウム材2の一方の表面に形成されたアルミニウム酸化皮膜3とを備えている。
また、アルミニウム酸化皮膜3には、複数の微細孔4が形成されており、この微細孔4には、潤滑剤であるパラフィン5が充填されている。
アルミニウム材2としては、純アルミニウム、またはアルミニウム合金が用いられる。また、使用できるアルミニウム合金としては特に限定はなく、各種合金を使用することができる。
アルミニウム酸化皮膜3は、多数の微細孔4が形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜であり、アルミニウム材2に陽極酸化処理を行うことにより、アルミニウム材2の一方の表面に形成される。
なお、アルミニウム材2の両方の表面に、アルミニウム酸化皮膜3を形成する構成としてもよい。
微細孔4の直径(孔径)は、10nm〜300nmが好ましい。これは、孔径が10nm未満の場合は、パラフィン5の含有量が減り、潤滑性能が向上しないという不都合が生じる場合があるためである。また、孔径が300nmよりも大きい場合は、アルミニウム酸化皮膜3自体が脆くなるという不都合が生じる場合があるためである。即ち、微細孔4の孔径を10nm〜300nmに設定することにより、アルミニウム酸化皮膜3が脆くなるという不都合を生じることなく、潤滑性能を向上させることができる。
また、アルミニウム酸化皮膜3の皮膜硬度をHv150〜450の範囲に設定することにより、耐摩耗性も確保することができる。
また、アルミニウム皮膜3の膜厚は特に限定されず、例えば、数μmから100μm以上に設定してもよい。なお、後述する浸漬処理後に、アルミニウム皮膜3に後加工(研磨加工、バフ研磨加工、機械加工等)を施す場合は、アルミニウム皮膜3が後加工により、削減されて薄くなる場合を想定して、膜厚を設定する必要があるが、このような後加工を行わない場合は、必要以上に膜厚を厚くする必要はなく、例えば、5〜10μmに設定することにより、生産コストを抑制することができる。
本発明に用いられるパラフィン5としては、一般的な、炭素原子数が20以上のアルカン(一般式が、C2n+2の鎖式飽和炭化水素)に限定されず、固形パラフィンであってもよく、流動パラフィンを使用することもできる。より具体的には、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン等の炭素数13〜25のn−パラフィンを使用することができる。なお、これらのn−パラフィンは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、本発明の実施形態に係るアルミニウム材の表面処理方法について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るアルミニウム材の表面処理方法を説明するためのフローチャートである。本実施形態におけるアルミニウム材の表面処理方法は、陽極酸化処理によるアルミニウム酸化皮膜形成工程と、アルミニウム酸化皮膜に形成された微細孔の径を拡大するためのポアワイドニング工程と、微細孔の径を更に拡大するための加熱処理工程と、微細孔に潤滑剤であるパラフィンを形成する浸漬処理工程とを備える。
<アルミニウム酸化皮膜形成工程>
まず、処理対象物であるアルミニウム材2からなる陽極と、例えば、ステンレス、黒鉛、銅、チタン、白金等により形成された陰極とを、所定の電解液に浸漬させ、陽極酸化により、多数の微細孔4が形成された多孔性のアルミニウム酸化皮膜2を形成する(ステップS1)。
ここで、電解液としては、硫酸、クロム酸、リン酸、シュウ酸などの酸性水溶液が使用される。
また、電解液の温度、及び濃度については、特に限定されず、一般的な陽極酸化処理における処理条件が適用できる。例えば、電解液の温度としては、−5〜35℃に設定することができ、電解液の濃度は、1〜35質量%に設定することができる。
また、電解を行う際の電流密度は、0.2〜15A/dmの範囲が好ましい。これは、電流密度が0.2A/dm未満の場合は、酸化皮膜2の生成に長時間を要する場合があるためであり、15A/dmよりも大きい場合は、処理中の製品が溶解するという不都合が生じる場合があるためである。
また、電解を行う際の電流時間は、所望の膜厚に基づいて決定されるが、膜厚が同じ場合、電流密度を低くすると処理時間が長くなり、電流密度を高くすると処理時間は短くなるため、生産効率と製品品質のバランスを考慮して決定すべきである。
<ポアワイドニング工程>
次に、水洗後、アルミニウム酸化皮膜3に形成された微細孔4の径を拡大する。より具体的には、所定温度において、多孔性のアルミニウム酸化皮膜3を、所定濃度を有する硫酸水溶液に一定時間、浸漬させることにより、陽極酸化処理で生成した微細孔4の径を拡大する(ステップS2)。
なお、このポアワイドニング処理においては、硫酸水溶液以外に、リン酸水溶液やシュウ酸水溶液などを使用することができる。
ポアワイドニング工程における処理温度(即ち、使用する溶液の温度)は、5〜50℃の範囲が好ましい。これは、処理温度が5℃未満の場合は、反応に時間がかかるという不都合が生じる場合があるためであり、50℃よりも大きい場合は、反応が急激に進行し、微細孔4の径が不揃いになる、あるいは微細孔4が破壊されるという不都合が生じる場合があるためである。
ポアワイドニング工程における処理時間は、3〜90分の範囲が好ましい。これは、処理時間が3分未満の場合は、ポアワイドニングが進行しないという不都合が生じる場合があるためであり、90分よりも大きい場合は、酸化皮膜2の破壊が進行し、割れや剥離、硬度低下という不都合が生じる場合があるためである。
また、硫酸水溶液を使用する場合は、5〜35質量%の濃度を有するものを使用することが好ましい。これは、濃度が5質量%未満の場合は、反応に時間がかかりすぎるという不都合が生じる場合があるためであり、35質量%よりも大きい場合は、反応が急激に進行し、微細孔4の径が不揃いになる、あるいは微細孔4が破壊されるという不都合が生じる場合があるためである。
本実施形態においては、例えば、25℃の15質量%硫酸水溶液中に10〜60分間、浸漬させることにより、ポアワイドニング処理を行うことができる。
<加熱処理工程>
次に、加熱処理を行うことにより、アルミニウム酸化皮膜3に形成された微細孔4の径を更に拡大する(ステップS3)。より具体的には、所定温度において、多孔性のアルミニウム酸化皮膜3を、加熱装置(例えば、熱風循環式、オイルバス、温水槽、熱風ヒーター等)を使用し加熱することにより、微細孔4の径を更に拡大する。
加熱処理工程における処理温度は、50〜150℃の範囲が好ましい。これは、処理温度が50℃未満の場合は、後述の浸漬処理工程において固形状のパラフィンの場合に、パラフィンが凝固してしまい、浸漬が困難になるという不都合が生じる場合があるためであり、150℃よりも大きい場合は、後述の浸漬処理工程において充填したパラフィンが流出する、加熱処理時間が長時間化し、生産性が低下するという不都合が生じる場合があるためである。
加熱処理工程における処理時間は、1〜60分の範囲が好ましい。これは、処理時間が1分未満の場合は、微細孔4の径が拡大されたアルミニウム酸化皮膜3の温度にバラツキが生じる(即ち、均熱されない)という不都合が生じる場合があるためであり、60分よりも長い場合は、微細孔4の封孔が進むことにより、充填が困難になるという不都合が生じる場合があるためである。
<浸漬処理工程>
次に、微細孔4が拡大されたアルミニウム酸化皮膜3をパラフィン溶液に浸漬させることにより、微細孔4に潤滑剤であるパラフィン5を充填する(ステップS4)。
なお、微細孔4が十分に拡大している間にパラフィン5を充填するとの観点から、上述の加熱処理により加熱されたアルミニウム酸化皮膜の温度が高温(例えば、50℃)を保っている間に、本浸漬処理工程を完了することが好ましい。
パラフィン溶液としては、例えば、市販されている固形パラフィン(キシダ化学(株)製、日本精蝋(株)製、溶融温度:68〜70℃)や流動パラフィン(20℃における密度:0.86〜0.89g/ml)を使用することができる。
また、パラフィン溶液の温度は、使用するパラフィンにより異なるが、パラフィンの引火を防止するとともに、微細孔4内にパラフィン5を効率よく付着させるとの観点から、60〜200℃の範囲が好ましく、65〜120℃の範囲がより好ましい。
また、アルミニウム酸化皮膜3をパラフィン溶液に浸漬させる時間は、2〜30分の範囲が好ましい。これは、処理時間が2分未満の場合は、充填不足という不都合が生じる場合があるためであり、30分よりも長い場合は、生産効率が低下するという不都合が生じる場合があるためである。
また、微細孔4に対するパラフィン5の充填効率を向上させるとの観点から、アルミニウム酸化皮膜3をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理を行うことが好ましい。
この場合、使用する超音波の周波数は、充填効率を向上させるとの観点から、20KHz〜900KHzであることが好ましい。
また、超音波の処理時間は、3〜60分の範囲が好ましい。これは、処理時間が3分未満の場合は、浸漬処理が不十分になるという不都合が生じる場合があるためであり、60分よりも長い場合は、生産効率が低下するという不都合が生じる場合があるためである。
また、パラフィン溶液が、カルボキシ基を有する物質、例えば、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸等の不飽和脂肪酸類か、両端にカルボキシ基を有する直鎖ジカルボン酸類(例えば、セバシン酸やフタル酸)を含有することが好ましい。なお、これらのカルボキシ基を有する物質は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これは、カルボキシ基は高い吸着性能を有するため、末端基のカルボキシ基がアルミ酸化物の表面に吸着し、更に、脂肪酸は疎水基と親水基を有しており、疎水基の部分にパラフィンが付着しやすいため、結果として、微細孔4に充填されたパラフィン5を微細孔4の内部へ定着させて、パラフィン5による潤滑性能を長期間、維持することが可能になるためである。
また、パラフィン溶液全体に対する、カルボキシ基を有する物質の含有量は、0.5〜15質量%であることが好ましい。特に、オレイン酸を使用する場合は、0.5〜10質量%であることが好ましく、セバシン酸を使用する場合は1〜15質量%であることが好ましい。
なお、カルボキシ基を有する物質としては、上述のオレイン酸、リノール酸、セバシン酸、フタル酸等が挙げられる。
以上により、図1に示す表面処理アルミニウム材1が製造される。このように、本実施形態においては、上述の従来技術とは異なり、二次電解工程を行う必要がないため、アルミニウム酸化皮膜3の破損を生じることなく、安価かつ簡易な方法により、アルミニウム酸化皮膜3に自己潤滑性を付与することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(アルミニウム酸化皮膜形成工程)
まず、処理対象物であるアルミニウム材からなる陽極と、黒鉛により形成された陰極とを、硫酸水溶液(濃度:17質量%、温度0℃)に浸漬させ、陽極酸化(電流密度:2.5A/dm、電解時間:50分)により、多数の微細孔が形成された多孔性のアルミニウム酸化皮膜を形成した。
(ポアワイドニング工程)
次に、水洗後、多孔性のアルミニウム酸化皮膜を、硫酸水溶液(濃度:15質量%、温度25℃)に、15分間、浸漬させた状態で攪拌することにより、陽極酸化処理で生成した微細孔の径を拡大した。
(加熱処理工程)
次に、多孔性のアルミニウム酸化皮膜を、加熱装置((株)パーカーコーポレーション製、商品名:PARK−HEAT PHS30N−2)を使用して加熱(温度:80℃、加熱時間:10分)することにより、微細孔の径を更に拡大した。
(浸漬処理工程)
次に、微細孔が拡大されたアルミニウム酸化皮膜の温度を80℃に保った状態で、パラフィン溶液(温度:100℃)に、15分間、浸漬させることにより、微細孔に潤滑剤であるパラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。なお、パラフィン溶液として、キシダ化学(株)製 粒状パラフィン(mp68〜70℃)を使用した。
(自己潤滑性評価) 次に、JIS K7218(摩擦摩耗試験)に準拠して、パラフィンが形成されたアルミニウム材の摩擦係数を測定することにより、アルミニウム酸化皮膜の自己潤滑性を評価した。より具体的には、リング・オン・ディスク方式の摩擦摩耗試験評価装置(オリエンテック(株)製、商品名:EFM−III−1010)を使用して、室温下で、荷重が5kgf、ディスクの回転数が200rpmの条件により、パラフィンが形成されたアルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表1に示す。
また、一般的な陽極酸化処理品(自己潤滑処理無し)の摩擦係数が0.8であるため、摩擦係数が0.7以下の場合を自己潤滑性が優れていると評価した。
(実施例2)
浸漬処理工程におけるパラフィン溶液の温度を120℃に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表1に示す。
(実施例3)
浸漬処理工程におけるパラフィン溶液の温度を80℃に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表1に示す。
(実施例4)
浸漬処理工程におけるパラフィン溶液の温度を65℃に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表1に示す。
Figure 0006563302
表1に示すように、実施例1〜4のいずれにおいても、摩擦係数が0.7以
下となっており、パラフィン溶液の温度が65〜120℃の範囲において、自己潤滑性に優れていることが判る。
(実施例5)
浸漬処理工程におけるパラフィン溶液への浸漬時間を2分に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表2に示す。
(実施例6)
浸漬処理工程におけるパラフィン溶液への浸漬時間を5分に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表2に示す。
(実施例7)
浸漬処理工程におけるパラフィン溶液への浸漬時間を30分に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表2に示す。
Figure 0006563302
表2に示すように、実施例5〜7のいずれにおいても、摩擦係数が0.7以下となっており、パラフィン溶液への浸漬時間が2〜30分の範囲において、自己潤滑性に優れていることが判る。
(実施例8)
浸漬処理工程において、オレイン酸を0.5質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するオレイン酸の含有量が0.5質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表3に示す。
(実施例9)
浸漬処理工程において、オレイン酸を1質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するオレイン酸の含有量が1質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表3に示す。
(実施例10)
浸漬処理工程において、オレイン酸を2質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するオレイン酸の含有量が2質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表3に示す。
(実施例11)
浸漬処理工程において、オレイン酸を5質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するオレイン酸の含有量が5質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表3に示す。
(実施例12)
浸漬処理工程において、オレイン酸を10質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するオレイン酸の含有量が10質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表3に示す。
Figure 0006563302
表3に示すように、実施例8〜12のいずれにおいても、摩擦係数が0.7以下となっており、パラフィン溶液におけるオレイン酸の含有量が0.5〜10質量%の範囲において、自己潤滑性に優れていることが判る。
(実施例13)
浸漬処理工程において、セバシン酸を1質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するセバシン酸の含有量が1質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表4に示す。
(実施例14)
浸漬処理工程において、セバシン酸を5質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するセバシン酸の含有量が5質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表4に示す。
(実施例15)
浸漬処理工程において、セバシン酸を10質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するセバシン酸の含有量が10質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表4に示す。
(実施例16)
浸漬処理工程において、セバシン酸を15質量%含有する(即ち、パラフィン溶液全体に対するセバシン酸の含有量が15質量%である)パラフィン溶液を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表4に示す。
Figure 0006563302
表4に示すように、実施例13〜16のいずれにおいても、摩擦係数が0.7以下となっており、パラフィン溶液におけるセバシン酸の含有量が1〜15質量%の範囲において、自己潤滑性に優れていることが判る。
(実施例17)
浸漬処理工程において、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理(3分間)を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表5に示す。
(実施例18)
浸漬処理工程において、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理(10分間)を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表5に示す。
(実施例19)
浸漬処理工程において、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理(15分間)を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表5に示す。
(実施例20)
浸漬処理工程において、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理(20分間)を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表5に示す。
(実施例21)
浸漬処理工程において、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理(30分間)を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表5に示す。
(実施例22)
浸漬処理工程において、アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させた状態で超音波処理(60分間)を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、パラフィンが充填されたアルミニウム材を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、アルミニウム材の摩擦係数を測定した。以上の結果を表5に示す。
Figure 0006563302
表5に示すように、実施例17〜22のいずれにおいても、摩擦係数が0.7以下となっており、超音波処理の時間が3〜60分の範囲において、自己潤滑性に優れていることが判る。
以上説明したように、本発明は、自己潤滑性を有するアルミニウム材の表面処理方法に適している。
1 表面処理アルミニウム材
2 アルミニウム材
3 アルミニウム酸化皮膜
4 微細孔
5 パラフィン

Claims (6)

  1. アルミニウム材に対して陽極酸化処理を行うことにより、微細孔を有する多孔性のアルミニウム酸化皮膜を形成するアルミニウム酸化皮膜形成工程と、
    前記アルミニウム酸化皮膜に形成された前記微細孔の径を拡大するポアワイドニング工程と、
    前記アルミニウム酸化皮膜をパラフィン溶液に浸漬させることにより、前記微細孔にパラフィンを充填する浸漬処理工程と
    を少なくとも含み、
    前記パラフィン溶液は、カルボキシ基を有する物質を含有することを特徴とするアルミニウム材の表面処理方法。
  2. 前記浸漬処理工程において、前記パラフィン溶液の温度が、60〜200℃であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
  3. 前記浸漬処理工程において、前記パラフィン溶液への浸漬時間が、2〜30分であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
  4. 前記カルボキシ基を有する物質が、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、セバシン酸、及びフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
  5. 前記パラフィン溶液の全体に対する、前記カルボキシ基を有する物質の含有量が、0.5〜15質量%であることを特徴とする請求項または請求項に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
  6. 前記浸漬処理工程において、前記アルミニウム酸化皮膜を前記パラフィン溶液に浸漬させた状態で、超音波処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
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