JP6562455B2 - 通信装置及びその拡散符号生成方法 - Google Patents
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Description
図13に示すように、背景技術の通信装置は、送信機として、乗算器11、変調回路12、発振器13及び空中線14を備え、受信機として、空中線15、発振器16、復調回路17及び乗算器18を備えた構成である。
乗算器11は、送受信対象であるX個のデータ(入力データ)をそれぞれ異なる拡散符号を用いて符号化することで拡散する。拡散されたX個のデータは不図示の加算器により加算されて多重化される。発振器13は、データの送受信に用いる搬送波(キャリア)の周波数信号を生成する。変調回路12は、発振器13で生成された周波数信号を用いて拡散後のデータを変調する。変調された信号は無線信号として空中線14から送信される。
復調回路17は、空中線15で受信した無線信号を発振器16で生成された周波数信号を用いて復調する。乗算器18は、復調回路17で復調されたデータを送信機と同じ拡散符号を用いて逆拡散することで元のデータを再生する。
1つの拡散符号をビットシフトさせて複数の拡散符号を生成する方法において、チャンネル間の相関干渉を低減するための手法は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、拡散符号にバイアスを印加することでチャンネル間の干渉(相関干渉)が低減できることを示すと共に、拡散符号にバイアスを印加するための具体的な回路例を提案している。
しかしながら、特許文献1に記載された技術でも、相関干渉を無くすためにはチャンネル毎に高速に動作するゲート(スイッチ)や該ゲートを駆動するための回路等を含むある程度規模が大きな回路を備える必要がある。そのため、小型・軽量化が厳しく要求される近年の通信装置では採用できない場合が多い。
同期信号を拡散及び逆拡散するための第1の拡散符号を生成する第1の符号発生回路と、
前記第1の拡散符号とは系列が異なる、送受信対象である複数のデータを拡散及び逆拡散するための第2の拡散符号及び複数の第3の拡散符号をそれぞれ生成する第2の符号発生回路と、
を有し、
前記第2の符号発生回路は、
前記第2の拡散符号を異なるシフト数でそれぞれビットシフトさせることで、前記複数の第3の拡散符号を生成するシフト制御回路を備え、
前記シフト制御回路は、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に、前記自己相関値のピーク値以外の正の最大値が存在し、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に−1以外の負の値が存在しないシフト数で、前記第2の拡散符号をそれぞれビットシフトさせることで複数の前記第3の拡散符号を生成する。
同期信号を拡散及び逆拡散するための第1の拡散符号を生成し、
前記第1の拡散符号とは系列が異なる、送受信対象である複数のデータを拡散及び逆拡散するための第2の拡散符号及び複数の第3の拡散符号をそれぞれ生成し、
前記第2の拡散符号を異なるシフト数でそれぞれビットシフトさせることで、前記複数の第3の拡散符号を生成し、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に、前記自己相関値のピーク値以外の正の最大値が存在し、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に−1以外の負の値が存在しないシフト数で、前記第2の拡散符号をそれぞれビットシフトさせることで複数の前記第3の拡散符号を生成する方法である。
DS/SS通信方式では、拡散符号の自己相関によるピークを検出することで、送信側で用いる拡散符号と受信側で用いる逆拡散用の拡散符号との時間ずれを一致させる同期処理を実施する。上述したように、1つの拡散符号からビットシフトさせて複数の拡散符号を生成する場合、ビットシフトさせた拡散符号を用いる各チャンネルでそれぞれ相関干渉が発生し、多重数が多くなるほど、その影響が大きくなる。この相関干渉によるノイズが大きくなると、同期タイミングとして用いる自己相関によるピークが該ノイズに埋もれてしまうことで同期がとれなくなってしまう。
図1に示すように、本発明の通信装置は、送信機として、乗算器21、変調回路22、発振器23及び空中線24を備え、受信機として、空中線25、発振器26、復調回路27及び乗算器28を備えた構成である。
乗算器21は、同期用の信号である同期信号を同期用のGold符号を用いて符号化することで拡散する。また、乗算器21は、送受信対象であるX個のデータをそれぞれ多重用のGold符号を用いて符号化することで拡散する。拡散された同期信号及びX個のデータは不図示の加算器により加算されて多重化される。発振器23は、同期信号やデータの送受信に用いる搬送波(キャリア)の周波数信号を生成する。変調回路22は、発振器23で生成された周波数信号を用いて拡散後のデータを変調する。変調された信号は無線信号として空中線24から送信される。
復調回路27は、空中線25で受信した無線信号を発振器26で生成された周波数信号を用いて復調する。乗算器28は、復調回路27で復調されたデータを送信機と同じ拡散符号を用いて逆拡散することで元のデータ(同期信号及びX個のデータ)を再生する。
図2に示すように、送信側において、同期信号はGold符号Aを用いて乗算器31Aにより拡散される。データ1はGold符号B1を用いて乗算器31B1により拡散される。データ2は、Gold符号B1をd1ビットシフトさせたGold符号B2を用いて乗算器31B2により拡散される。データ3は、Gold符号B1をd2ビットシフトさせたGold符号B3を用いて乗算器31B3により拡散される。同様に、データ4〜Xは、Gold符号B1をそれぞれ異なるシフト数でビットシフトさせた符号を用いて乗算器31B3〜31BXにより拡散される。拡散後の同期信号及びデータ1〜Xは加算器32にて加算されて多重化される。
受信側において、復調された受信信号は、Gold符号Aを用いて乗算器39Aにより逆拡散されて同期信号が取り出される。同様に、復調された受信信号は、Gold符号B1〜BXを用いて乗算器39B1〜39BXにより逆拡散されてデータ1〜Xが取り出される。Gold符号B1に対するGold符号B2〜BXのシフト数d1〜d(X−1)の決定方法については後述する。
Gold符号は、プリファードペアと呼ばれる相互相関が低い2つのM系列を組み合わせることで生成される。M系列とは、ある段数のシフトレジスタによって生成される符号系列の中で最も周期が長く、符号長が最大となる系列である。M系列を生成するM系列発生回路が備えるシフトレジスタの段数をnとすると、最長の符号長NはN=2n−1となる。
図3に示すように、M系列発生回路401は、n段のシフトレジスタ43と複数の排他的論理和回路(XOR)41とを備える。
シフトレジスタ43の各段(ビット)an−1,an−2,an−3,…,a1,a0には、オール「0」以外の初期値が設定される。an−1,an−2,an−3,…,a1,a0に適切な初期値を設定しないと、M系列発生回路401から出力されるデータ系列がPN系列としての性質を満たさない。図3のh1,h2,h3,…,hn−1で表されるシフトレジスタ43の出力(帰還タップ42)はXOR41を介してシフトレジスタ43の入力へ帰還される。図3に示すM系列発生回路401では、全ての帰還タップ42がシフトレジスタ43の入力に対する帰還経路として用いられるわけでない。M系列の生成に最適な帰還タップ42は周知の「原始多項式」に基づいて決定される。
図4に示すように、Gold符号発生回路501は、2つのM系列発生回路401、発生タイミング制御回路51及び排他的論理和52を備える。M系列発生回路401には、図3に示したM系列発生回路401が用いられる。発生タイミング制御回路51は、2つのM系列発生回路401で生成される周期NのM系列がプリファードペアとなるように、各々のシフトレジスタ43の初期値及び使用する帰還タップ42を設定する。
図4に示す回路において、2つのM系列発生回路401で生成されたM系列をチップ毎に排他的論理和52で合成して得られる周期Nの系列がGold系列と呼ばれる。この系列を拡散符号として使用するため、Gold符号と呼ばれる。本発明では、図4に示したGold符号発生回路501で生成されたGold符号を同期用のGold符号A(第1の拡散符号)として用いる。
図5に示すように、多重用Gold符号発生回路601は、Gold符号発生回路501及びシフト制御回路61を備える。Gold符号発生回路501には、図4に示したGold符号発生回路501が用いられる。
Gold符号発生回路501は、発生タイミング制御回路の制御により、同期用のGold符号Aとは異なる系列のGold符号B1(第2の拡散符号)を生成する。シフト制御回路61は、Gold符号発生回路501で生成されたGold符号B1をビットシフトさせて多重用の複数の拡散符号(第3の拡散符号)を生成する。例えば、多重数がXの場合、シフト制御回路61は、Gold符号発生回路501で生成されたGold符号B1から(X−1)個のGold符号B2〜BXを生成する。
図7は、図5に示したシフト制御回路の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、シフト制御回路61は、まずGold符号発生回路501で生成されたGold符号B1の自己相関値を求める(ステップS51)。
図8に示すように、自己相関値を求めるには、符号長と等しいN個のXOR(排他的論理和)回路81、並びにNビットのレジスタ82及び83を用意し、Nビットのレジスタ82及び83にそれぞれ同じ拡散符号を入力する。そして、N個のXOR回路81によりレジスタ82及び83の同一ビット毎の値の排他的論理和をそれぞれ出力し、XOR回路81の各出力を加算器84で加算する。加算器84は、各XOR回路81の出力「0」を「+1」とし、「1」を「−1」として加算する。
ここで、一方のレジスタ82をシフトレジスタとし、該レジスタ82の各ビット値を1ビットずつシフトさせながら、シフト動作毎に加算器84の出力値をそれぞれ取得する。自己相関値は、レジスタ82のビットシフトをN回(1周期)繰り返して得られる加算器84の出力結果である。
図10は、図9に示したGold符号の自己相関値を示す表である。図10は、図9に示したGold符号B1において、図8に示した回路で得られるGold符号B1の自己相関値の一例を示している。本発明では、この自己相関値に基づいて、チャンネルCH2〜CHXで用いる複数の拡散符号(第3の拡散符号)をそれぞれ生成する。チャンネルCH1で用いる拡散符号は、上述したように図5に示したGold符号発生回路501から出力されるGold系列B1を用いればよい。
なお、本実施形態では、符号長が63のGold符号を例にして説明するが、本発明は符号長が他の値のGold符号にも適用可能である。
すなわち、シフト制御回路61は、既に確定した他の拡散符号の自己相関値に、該自己相関値のピーク値以外で正の最大値が存在し、かつ「−1」以外の負の値が存在しないシフト数を、チャンネルCH2〜CHXで用いる複数の拡散符号(第3の拡散符号)のシフト数として決定する。
拡散符号の自己相関によるピーク位置は該拡散符号の先頭位置と一致するため、シフト位置に他の拡散符号の自己相関値で負の大きな値が存在すると、該ピークが相殺されて判別し難くなる可能性がある。すなわち、他のチャンネルとの相関干渉の影響により自チャンネルの拡散符号の自己相関によるピークが判別し難くなってしまう。そのため、他のチャネルで用いる拡散符号に「−1」以外の負の自己相関値が存在するシフト位置は避けるようにする。
一方、他の拡散符号の自己相関値に、ピーク値以外で正の最大値が存在する場合、自チャンネルの拡散符号の自己相関によるピークに該最大値が加算されることで、該ピークがより判別し易くなる。そのため、他のチャネルで用いる拡散符号にピーク値以外で正の最大値が存在するシフト位置を、ビットシフトさせて生成する拡散符号のシフト位置として採用する。
また、シフト制御回路61は、自己相関値がピーク値(+63)以外の値であり、チャンネルCH1及びCH2の自己相関値の加算値が正の最大相関値(+30)となり、かつシフト数が最小となる符号をチャンネルCH3で用いる拡散符号として決定する。図11に示す例では、チャンネルCH1で用いる拡散符号を8ビットシフトしたものがチャンネルCH3で用いる拡散符号となる。同様の処理により、シフト制御回路61はチャンネルCH4及びCH5で用いる拡散符号をそれぞれ決定する。
上述したように、ビットシフトさせて複数の拡散符号を生成する場合、他のチャンネルで用いる拡散符号に「−1」以外の負の自己相関値が存在するシフト位置は任意のチャンネルで用いる拡散符号のシフト位置として避けるようにする。図11に示す例では、例えばシフト数が20のとき、チャンネルCH1で用いる拡散符号の自己相関値が「−17」であり、「−1」以外の値となる。
図12に示す点線で囲った数値は各チャンネルの自己相関値のピーク値を示し、実線で囲った数値は該ピーク値のシフト位置における他チャンネルの自己相関値も含む合算値を示している。この実線で囲った合算値の絶対値が、他の自己相関値の絶対値に対して十分に大きな差を有していれば、チャンネル毎の自己相関によるピークをそれぞれ検出できる。
また、自己相関のピークが相関干渉の影響により検出し難くならないように拡散符号毎のシフト数(シフト位置)を設定することで、相関干渉の影響を最小限に抑制できる。したがって、相関干渉を低減するための大規模な回路が不要になる。
12、22 変調回路
13、16、23、26 発振器
14、15、24、25 空中線
17、27 復調回路
32、84 加算器
41、52、81 XOR(排他的論理和)
42 帰還タップ
43 シフトレジスタ
51 発生タイミング制御回路
61 シフト制御回路
82、83 レジスタ
401 M系列発生回路
501 Gold符号発生回路
601 多重用Gold符号発生回路
Claims (6)
- スペクトル直接拡散通信方式を用いて通信を行う通信装置であって、
同期信号を拡散及び逆拡散するための第1の拡散符号を生成する第1の符号発生回路と、
前記第1の拡散符号とは系列が異なる、送受信対象である複数のデータを拡散及び逆拡散するための第2の拡散符号及び複数の第3の拡散符号をそれぞれ生成する第2の符号発生回路と、
を有し、
前記第2の符号発生回路は、
前記第2の拡散符号を異なるシフト数でそれぞれビットシフトさせることで、前記複数の第3の拡散符号を生成するシフト制御回路を備え、
前記シフト制御回路は、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に、前記自己相関値のピーク値以外の正の最大値が存在し、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に−1以外の負の値が存在しないシフト数で、前記第2の拡散符号をそれぞれビットシフトさせることで複数の前記第3の拡散符号を生成する通信装置。 - 前記シフト制御回路は、
前記第2の拡散符号及び前記第3の拡散符号の自己相関値を合算し、該合算値に、絶対値において、予め設定されたしきい値よりも大きい負の値が含まれている場合、前記第3の拡散符号のさらなる生成を停止する請求項1に記載の通信装置。 - 前記第1の拡散符号、前記第2の拡散符号及び前記第3の拡散符号は、Gold符号である請求項1または2に記載の通信装置。
- スペクトル直接拡散通信方式を用いて通信を行う通信装置で実行する拡散符号生成方法であって、
同期信号を拡散及び逆拡散するための第1の拡散符号を生成し、
前記第1の拡散符号とは系列が異なる、送受信対象である複数のデータを拡散及び逆拡散するための第2の拡散符号及び複数の第3の拡散符号をそれぞれ生成し、
前記第2の拡散符号を異なるシフト数でそれぞれビットシフトさせることで、前記複数の第3の拡散符号を生成し、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に、前記自己相関値のピーク値以外の正の最大値が存在し、
前記第2の拡散符号または前記第3の拡散符号の自己相関値に−1以外の負の値が存在しないシフト数で、前記第2の拡散符号をそれぞれビットシフトさせることで複数の前記第3の拡散符号を生成する拡散符号生成方法。 - 前記通信装置は、
前記第2の拡散符号及び前記第3の拡散符号の自己相関値を合算し、該合算値に、絶対値において、予め設定されたしきい値よりも大きい負の値が含まれている場合、前記第3の拡散符号のさらなる生成を停止する請求項4に記載の拡散符号生成方法。 - 前記第1の拡散符号、前記第2の拡散符号及び前記第3の拡散符号は、Gold符号である請求項4または5に記載の拡散符号生成方法。
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