図1は、本発明の一形態に係るゲームシステムの要部を示している。ゲームシステム1は、少なくとも一台(図1では一台のみ示す。)のゲーム機2を含んでいる。ゲーム機2は、不特定多数の公衆が出入りするアミューズメント施設等に設置されて業務用途又は商業用途で運営される。この種のゲーム機はアーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機2は、インターネット等のネットワーク3を介して所定のゲームサーバ4と通信可能に接続されてもよい。ゲームサーバ4は少なくとも一台の物理的なサーバ用コンピュータ装置を含む。ゲームサーバ4は、複数台のサーバ用コンピュータ装置を組み合わせたサーバシステムとして構成されてもよいし、クラウドコンピューティングを利用した論理的なサーバシステムとして構成されてもよい。
ゲーム機2は、ゲーム画面を表示する表示装置5と、その表示装置5の外周を取り囲むように配置された複数のステーション6と、ステーション6間で共用されるセンター抽選機構7とを備えている。表示装置5には、一例として、一又は複数のフラットパネルディスプレイ装置が用いられる。表示装置5はその表示面が水平かつ上向きとなるようにしてゲーム機2に設置される。ステーション6は、ゲーム機2の一辺について二つずつ、ゲーム機2の全体では八つ設けられている。各ステーション6には、ゲームに関連したプレイヤの入力操作を受け付ける入力装置8が設けられている。入力装置8は全てのステーション6間で互いに等しい構成である。入力装置8は、プレイヤのゲーム操作を検出する検出部8aを備えている。検出部8aは、一例として、操作レバー9と、小ボタン10と、大ボタン11とを含んでいる。操作レバー9は、プレイヤからみて鉛直上方に直立した中立位置を基準として、前後方向及び左右方向に操作可能であり、かつ操作方向に応じた操作信号を出力する。ただし、操作レバー9は中立位置から360°あらゆる方向に操作可能とされてもよい。小ボタン10及び大ボタン11のそれぞれは、プレイヤの押し込み操作に応じた操作信号を出力する。大ボタン11は小ボタン10よりも大きく、それによりボタン10、11は視覚的に差別化されている。
各ステーション6には、プレイヤが所有するカード、携帯情報端末等の記憶媒体(不図示)から媒体IDを読み取るリーダ12も設けられている。媒体IDは記憶媒体ごとにユニークに設定されている。媒体IDを保持する記憶媒体には、磁気記憶媒体、ICチップその他の各種の不揮発性の記憶媒体が用いられてよい。ゲームシステム1において、媒体IDはプレイヤごとにユニークなプレイヤIDと対応付けられる。プレイヤIDはプレイヤを識別するプレイヤ識別情報の一例である。ゲームシステム1は、リーダ12を介して取得された媒体IDに基づいてプレイヤのプレイヤIDを判別し、それによりプレイヤを識別する機能を備えている。プレイヤIDは、プレイヤの認証、プレイヤに対応付けられたプレイデータの判別等に利用される。プレイデータは、プレイヤのゲームのプレイ内容を記録したデータであって、プレイヤが前回の続きからゲームをプレイする用途等に利用される。プレイヤの識別、及びプレイデータの保存に関する構成は公知のゲームシステムのそれと同様でよい。
センター抽選機構7は、ゲーム機2の一対の柱13及び梁14により、表示装置5の表示面の中央上方に位置するように吊り下げられた状態で支持されている。センター抽選機構7は、例えば、ゲームにて所定の入賞条件が成立した場合に、ボール等の遊技媒体を利用して抽選を実行し、抽選結果に応じた報酬をプレイヤに付与する物理的抽選機構の一例として設けられている。例えば、多量の報酬を獲得可能なジャックポット抽選等が発生した場合にセンター抽選機構7が利用されてよい。
ゲーム機2には、遊技媒体の一例としてのメダルを受け入れるメダル受入装置15、プレイヤに対してメダルを払い出す払出口16、ゲームを演出する音声を出力するスピーカ装置17といった各種の機器類がさらに設けられている。メダルは、遊技価値を象徴する遊技媒体の一例として利用される。例えば、1枚のメダルは遊技価値の一単位に相当する。遊技価値は、プレイヤが所定のゲーム操作を行うための対価として消費される価値の一例である。遊技価値は適宜の用語を用いて定量的に表現することが可能である。プレイヤがゲームにて消費可能な遊技価値を表現する場合、一例として「クレジット」の用語を用いて遊技価値が定量的に表現される。その場合、1クレジットが遊技価値の一単位に相当する。プレイヤが1枚のメダルをゲーム機2に投入すると、そのプレイヤが1クレジットの遊技価値を所有するといったようにメダルの枚数とクレジット数とが対応付けられる。ただし、クレジットは、物理的なメダルの投入によって加算される例に限らない。現金や仮想通貨を用いた決済手段によりプレイヤに遊技価値を予め購入させ、購入した遊技価値の量をプレイデータに保存しておくことにより、プレイデータに保持された遊技価値をプレイヤがゲームにて消費可能なクレジットに置換できるようにしてもよい。メダル受入装置15のメダル投入口15aは、隣り合う二つのステーション6間で共有されるように設けられている。いずれの側のステーション6からメダルが投入されたかを指示するため、メダル受入装置15にはステーション選択スイッチ15bが設けられている。なお、対価としての価値は、クレジットに限らず、ポイントその他の用語にて特定されてもよい。あるいは、ゲームのプレイ時間の経過に伴なって徐々に蓄積する体力、HP(ヒットポイント)、パワーその他のパラメータを対価としての価値に設定し、そのパラメータの値をゲーム操作の対価として消費させてもよい。また、ゲーム操作の対価として消費されるべき価値は、現金、代替通貨、電子通貨、仮想通貨等の金銭的価値であってもよい。以下では、ゲーム操作の対価としての価値をクレジットで表現するものとして説明を続ける。
ゲーム機2にて提供されるゲームは適宜に選択可能であるが、ここでは、プレイヤがゲームにて行うべき操作の少なくとも一部が、所定量の遊技価値の消費と引き換えに受け付けられるゲームがゲーム機2にて実行される。ゲーム機2にて提供されるゲームの一例を図2に基づいて説明する。図2は、表示装置5の表示面上に表示されるゲーム画面の一例を示している。ゲーム画面100は、表示装置5の表示面を図1の境界線BLにて二等分して得られる二つの領域のそれぞれに表示される。つまり、図2のゲーム画面100は、四つのステーション6間で共有されるゲーム画面である。ゲーム画面100には、プレイ領域101と、情報提示領域102とが設けられている。プレイ領域101は、ゲームの進行状況が表示される領域であり、情報提示領域102はゲームの進行に伴なってプレイヤに提示すべき情報が表示される領域である。
プレイ領域101には、格子状に区分された長方形状のゲームフィールド110と、プレイヤキャラクタ111A〜111Dと、ゲームオブジェクトの一例としての複数の敵キャラクタ112とが表示される。プレイヤキャラクタ111A〜111Dは、ゲーム画面100を共有する四つのステーション6のそれぞれと1対1に対応付けられている。プレイヤキャラクタ111A〜111Dは、対応するステーション6の入力装置8に対するプレイヤの操作に応じてゲームフィールド110内を移動する。つまり、プレイヤキャラクタ111A〜111Dは、プレイヤの操作に応じてゲームフィールド110を移動するプレイヤオブジェクトの一例である。プレイヤキャラクタ111A〜111Dは、形状、色、模様その他の視覚的要素を用いて互いに識別可能な状態で表示される。ゲーム画面100には、プレイヤキャラクタ111A〜111Dとステーション6との対応関係を識別するためのインジケータ113が表示される。インジケータ113は、一例としてステーション6の位置とプレイヤキャラクタ111A〜111Dとを結ぶ直線状の画像として表示される。ただし、インジケータ113は直線状に限らず、ステーション6とプレイヤキャラクタ111A〜111Dとの対応関係をプレイヤに識別させることができる限り、適宜の態様で表示されてよい。以下では、プレイヤキャラクタ111A〜111Dを参照符号111にて代表することがある。
プレイヤキャラクタ111は、プレイヤが操作レバー9を操作した方向に従ってゲームフィールド110内を移動する。ただし、ゲームフィールド110には、複数のブロック114、115が配置されている。ブロック114、115が配置された箇所はプレイヤキャラクタ111が移動不可能な位置として設定される。したがって、プレイヤは、ブロック114、115が置かれていない通路に沿ってプレイヤキャラクタ111を移動させつつゲームを進める必要がある。なお、ブロック114は、ゲームフィールド110に固定的に配置され、移動、消滅といった変化が生じない固定ブロックとして設けられている。一方、ブロック115は、プレイヤキャラクタ111が一定の行動を取った場合等、一定の条件に従って消滅といった変化が生じる可変ブロックとして設けられている。
敵キャラクタ112は、ゲーム機2のコンピュータによってその行動が制御される。つまり、敵キャラクタ112は、プレイヤによって操作することができない、いわゆるノンプレイヤキャラクタの一例である。敵キャラクタ112の数、位置、移動方向等はゲーム機2のコンピュータにより適宜に制御される。敵キャラクタ112は、プレイヤキャラクタ111による攻撃の対象として設定されている。例えば、図3Aに示すように、プレイヤキャラクタ111はゲームフィールド110の適宜の位置(ただし、ブロック114、115の位置を除く。)に爆弾等を模した攻撃アイテム116を置くことができる。図3Bに示すように、攻撃アイテム116はその設置後一定時間が経過するといったように所定の効果発生条件が満たされるとその効果を発揮する。攻撃アイテム116の効果は、例えば、攻撃アイテム116の設置箇所を中心として予め定められた範囲に爆風のような影響範囲116aが生じ、その影響範囲116aに存在する敵キャラクタ112、あるいは少なくとも一部が影響範囲116aに含まれている敵キャラクタ112が爆風に触れて倒される、といったゲーム結果が得られるように設定される。攻撃アイテム116の効果の一つとして、可変ブロック115が破壊されるといった効果が設定されてもよい。
攻撃アイテム116は、影響範囲116aの大小に応じて複数種類が用意される。プレイヤは、例えば小ボタン10を操作することにより、影響範囲116aが相対的に小さい攻撃アイテム116を設置することができ、大ボタン11を操作することにより影響範囲116aが相対的に大きい攻撃アイテム116を設置することができる。影響範囲116aの大小は、攻撃アイテム116がゲーム結果に与える影響の大小として捉えることが可能である。言い換えれば、攻撃アイテム116には、ゲームにおける価値(一例として敵キャラクタ112に与える効果又は影響)が差別化された複数種類が用意される。なお、攻撃アイテム116の位置は、例えばプレイヤキャラクタ111の位置に応じて設定されてよい。例えば、プレイヤが操作レバー9を操作してプレイヤキャラクタ111を適宜の位置に移動させ、その位置にてボタン10又は11を操作すると、その時点でのプレイヤキャラクタ111の位置に攻撃アイテム116が設置される。
小ボタン10又は大ボタン11を操作して攻撃アイテム116を設置する操作は、プレイヤによる所定量の遊技価値の消費と引き換えに受け付けられるゲーム操作の一種として設定されている。遊技価値の消費量は、攻撃アイテム116の効果(あるいは価値)が大きいほど消費量が大きくなるように、攻撃アイテム116の効果に応じて差別化される。例えば、小ボタン10を操作して攻撃アイテム116を設置する場合には1クレジットを消費し、大ボタン11を操作して攻撃アイテム116を設置する場合には3クレジットを消費するといったごとくである。プレイヤが攻撃アイテム116の設置に必要な量のクレジットを所有していない場合、ボタン10、11を操作しても攻撃アイテム116は設置されない。
一方、攻撃アイテム116の効果により敵キャラクタ112が倒されるといったように、クレジットの消費と関連付けられているゲーム操作に対して所定のゲーム結果が得られた場合、プレイヤには報酬が付与される。つまり、クレジットを消費して攻撃アイテム116を設置するゲーム操作は、敵キャラクタ112を倒して報酬を得ることを目標の少なくとも一つとして行われる。したがって、敵キャラクタ112を倒すことは、ゲーム操作に対して目標となるべき効果の一例に相当する。
敵キャラクタ112には、プレイヤに付与すべき報酬量が異なる複数種類が存在する。図2の例では、ハッチングにより4種類の敵キャラクタ112を相互に区別して示している。ただし、敵キャラクタ112の種類は適宜でよい。敵キャラクタ112の形状、色、模様その他の視覚的要素を差別化することにより、種類に応じた態様で敵キャラクタ112が表示されてよい。図3Cは、敵キャラクタ112の種類に応じた量の報酬が付与される一例を示す。図3Bにおいて、影響範囲116aに2体の敵キャラクタ112が存在し、一方の敵キャラクタ112を倒した場合には1枚のメダルが、他方の敵キャラクタ112を倒した場合には3枚のメダルが報酬の一例として付与されるように、敵キャラクタ112と報酬量との対応関係が設定されていると仮定する。その場合、図3Cに示したように、影響範囲116aに存在する敵キャラクタ112が消滅し、それと引き換えに1枚及び3枚のメダルがそれぞれ報酬として発生し、合計で4枚のメダルがプレイヤに報酬として付与されることをプレイヤに提示する演出がゲーム画面100に付加される。
以上のように、図2に例示したゲームでは、プレイヤが攻撃アイテム116をどのような場所にどのようなタイミングで設置するかにより、プレイヤが獲得する報酬量が変化する。多数の敵キャラクタ112が集まっている箇所、あるいは報酬量が多い敵キャラクタ112が存在する箇所を狙ってプレイヤキャラクタ111を移動させて攻撃アイテム116を設置すれば、より多くの敵キャラクタ112を倒し、あるいはより価値の高い敵キャラクタ112を倒して多くのメダルをプレイヤが獲得することができる。したがって、図2のゲームは、プレイヤのスキルに応じてゲーム結果が変化し、それに応じて報酬量も変化する、いわゆるスキルゲームの要素を含んでいる。ただし、攻撃アイテム116を設置するゲーム操作に対して得られる効果は、ゲーム機2の内部抽選に応じて変化する。したがって、価値が同一の攻撃アイテム116を使用した場合に常に一定の効果が得られるとは限らない。例えば、攻撃アイテム116の影響範囲116aに存在する敵キャラクタ112が倒されるか否かは内部抽選の結果に応じて変化する。
図2に示したゲーム画面100において、情報提示領域102には、ゲーム画面100を共有する四つのステーション6のそれぞれと1対1に対応付けるようにして区別された四つのセクション102a〜102dが設けられている。セクション102a〜102dのそれぞれにはクレジット表示部103が設けられている。クレジット表示部103には、対応するステーション6のプレイヤがゲームにて消費可能なクレジットの残数が表示される。
図4に例示したように、上記のゲームでは、敵キャラクタ112の一種として、ゲームにて特別の条件が成立した場合に出現する特別キャラクタ112sが用意されている。なお、図4では、敵キャラクタ112の種類を区別するため、特別キャラクタ112s以外の敵キャラクタを参照符号112nで示している。以下の説明において、敵キャラクタ112nと特別キャラクタ112sとを総称するときには敵キャラクタ112と表記する。特別キャラクタ112sは、通常の敵キャラクタ112nと比較して、倒すまでに予想されるクレジットの消費量が多く、かつより多くの報酬を獲得し得る敵キャラクタ112として設定されるものであり、例えばボスキャラクタ等と呼ばれるキャラクタである。例えば、特別キャラクタ112sは、攻撃アイテム116を使用した際に倒すことができる確率が敵キャラクタ112nのそれに比して低く設定され、複数回使用しないと倒すことができず、かつ倒した場合には、通常の敵キャラクタ112nと比較して多量のメダルを獲得できるように設定される。図4の例では、一体の特別キャラクタ112sが出現し、その特別キャラクタ112sを倒した場合に200クレジットが報酬として付与されることが示されている。
特別キャラクタ112sが出現するための条件はゲームの都合に応じて適宜に設定されてよい。例えば、ゲームにて所定のゲーム結果が得られた場合、所定量の遊技価値が消費された場合等、ゲームと関連付けて適宜に条件が設定されてよい。特別キャラクタ112sは敵キャラクタ112nに比して大きく表示される。通常の敵キャラクタ112nは、ゲームフィールド110内をブロック114、115間の通路に沿って移動するようにその行動が制御される。これに対して、特別キャラクタ112sはブロック114、115に邪魔されることなくゲームフィールド110を自由自在に移動できるようにその行動が制御される。ただし、一定の場合には特別キャラクタ112sの行動が制限されてもよい。この点は後述する。
特別キャラクタ112sは、原則として、各ステーション6のプレイヤが攻撃アイテム116を利用して攻撃することが可能な敵キャラクタ112として設定されている。しかしながら、所定の条件(以下、優遇条件と呼ぶことがある。)が満たされた場合には、特別キャラクタ112sに関していずれか一のプレイヤのみに占有権が設定される。占有権が設定された場合、これを有するプレイヤのみが攻撃アイテム116を利用して特別キャラクタ112sを攻撃することが可能とされる。占有権を有しない他のプレイヤによる特別キャラクタ112sの攻撃には所定の制限が課される。例えば、他のプレイヤが設置した攻撃アイテム116の影響範囲116aに特別キャラクタ112sが存在していても、その特別キャラクタ112sには効果が生じず、他のプレイヤが特別キャラクタ112sを倒すことはできない。つまり、占有権が設定されたプレイヤは、他のプレイヤとの比較において、特別キャラクタ112sを倒して報酬を得るという効果を得るために有利な状態に置かれる。換言すれば、占有権が設定されたプレイヤ以外の他のプレイヤは、特別キャラクタ112sに関して、目標となるべき効果を得るために相対的に不利な状態に置かれる。図4では、左下のセクション102bに対応するプレイヤに対して占有権が設定された状態を示している。その場合、特別キャラクタ112s上又はその近傍には、セクション102bに対応するステーション6のプレイヤに占有権が付与されていることを示す占有情報表示部118が表示される。その占有情報表示部118には、一例として「ステーションBのみ攻撃可能!」の文字列と、セクション102bに表示されたプレイヤキャラクタ111Bの画像とが表示されることにより、セクション102bに対応するステーション6のプレイヤに占有権を有していることが示されている。以下、図4の例と同様に、ゲーム機2に設けられた八つのステーション6を英文字A〜Hを添字としてステーションA〜Hと区別して表記し、これらを略してST.A〜ST.Hと区別して表記することがある。
特別キャラクタ112sに関する占有権の設定は、特別キャラクタ112sに対して目標となるべき効果が得られなかったゲーム操作、すなわち特別キャラクタ112sを倒すことができなかったゲーム操作に関する各プレイヤの遊技価値の消費状況に基づいて制御される。例えば、各プレイヤが特別キャラクタ112sを攻撃してもこれを倒すことができなかった場合、そのゲーム操作と引き換えに消費したクレジット数(消費量)がプレイヤごとに記録される。記録された消費量が所定の優遇条件を満たした場合、プレイヤに占有権が設定される。優遇条件は、一例として特別キャラクタ112sを攻撃するゲーム操作と引き換えに消費したクレジット数が所定の基準値を超えた場合に満たされるように設定される。ただし、優遇条件は基準値との大小比較に応じてその成否が変化するように設定される例に限らない。プレイヤ間における消費量の差が所定量を超えて拡大した場合に優遇条件が満たされるといったように、プレイヤ間の消費状況の差と関連付けて優遇条件が設定されてもよい。あるいは、単位時間当たりの消費量が所定の水準を超えた場合に優遇条件が満たされる、といったように、クレジットの消費率、あるいは消費の速度と関連付けて優遇条件が設定されてもよい。その他にも優遇条件は消費状況と関連付けて適宜に設定可能である。
クレジットの消費量に応じて占有権を制御するため、ゲーム機2では特別キャラクタ112sごとに各プレイヤが消費したクレジット数の積算値が消費情報の一例として消費データに記録される。図5は消費データの一例を示している。図5の消費データDcnでは、特別キャラクタ112sとしてキャラクタA、B、C…が存在し、ステーションA〜Hのそれぞれのプレイヤが各特別キャラクタ112sの攻撃に対して消費したクレジット数が記録されている。例えば、ステーションAのプレイヤについては、キャラクタAを攻撃対象とするゲーム操作に40クレジットが、キャラクタBを攻撃対象とするゲーム操作に0クレジットが、キャラクタCを攻撃対象とするゲーム操作に10クレジットがそれぞれ消費されたことが記録されている。なお、消費データDcnに記録されるクレジットの値は、一例として特別キャラクタ112sが出現した後のクレジットの消費量の積算値とすることができる。ただし、特別キャラクタ112sが出現した後の一定期間内に限ったクレジット消費量の積算値が消費データDcnに記録されてもよいし、特別キャラクタ112sが出現した後の所定の時期における一回のゲーム操作に対して消費されたクレジットの値とされてもよい。
消費量と基準値との大小比較に基づいて占有権の付与を制御する場合、その基準値は特別キャラクタ112sを問わず一定であってもよいし、特別キャラクタ112sに応じて変化させてもよい。例えば、特別キャラクタ112sを倒したときに得られる報酬量が大きいほど基準値を大きく設定してもよい。例えば、特別キャラクタ112sを倒したときの報酬量が100クレジットとした場合、その概ね1/3の33クレジットを基準値に設定する、といったように、報酬量に対して一定比率を乗じた値を基準値として設定してもよい。ゲーム機2のペイアウト率が大きいとき、つまりプレイヤが消費したクレジット数の総量に対してプレイヤに付与した報酬量の比率が大きいときには基準値を増加させ、ペイアウト率が低いときには基準値を減少させるといったように、ペイアウト率を適正範囲に制御する観点から基準値が設定されてもよい。
占有権には終了条件が設定される。終了条件が満たされると占有権は解除される。終了条件は適宜に設定することができる。一例として、占有権が付与されている時間と関連付けて終了条件が設定されてよい。例えば、占有権が設定された特別キャラクタ112sに対して、占有権を付与されたプレイヤによる攻撃がない状態(攻撃しても影響範囲116aに特別キャラクタ112sが含まれない場合、攻撃それ自体が行われない場合のいずれも含む。)が所定の有効時間に亘って続いた場合、終了条件が満たされたものとして占有権が解除されるといった設定が可能である。特別キャラクタ112sに対する占有権の状態を管理するため、ゲーム機2では例えば図6に示した占有権管理データDeが生成される。図6の占有権管理データDeでは、特別キャラクタ112sとしてのキャラクタAに関してステーションAのプレイヤに占有権が設定され、キャラクタCに関してステーションBのプレイヤに占有権が設定されていることが記録されている。占有権の終了条件の成否を、上述したように特別キャラクタ112sへの攻撃がない時間と関連付けて判別する場合には、占有権管理データDeに関して攻撃がない状態の経過時間も占有権管理データDeに記録される。図6の例では、キャラクタAに関して15秒間継続して攻撃が行われず、キャラクタCに関して5秒間継続して攻撃が行われていないことが記録されている。なお、占有権の終了条件は、特別キャラクタ112sへの攻撃の有無に関わりなく、占有権の発生後所定の有効時間が経過した場合に満たされるように設定されてもよい。終了条件は、時間に代えて、又は加えて、特別キャラクタ112sに対する攻撃の回数、あるいはその攻撃と引き換えに消費されるクレジット数と関連付けて設定されてもよい。例えば、攻撃回数が所定の上限回数に達すると終了条件が満たされる、あるいは占有権の設定後、特別キャラクタ112sの攻撃のために消費したクレジット数が上限値に達すると終了条件が満たされる、といった設定が可能である。その他にも、終了条件は、占有権が活用されている状況を示す各種のパラメータと関連付けて設定されてよい。
占有権の設定に伴なって、特別キャラクタ112sのゲームフィールド110における行動も占有権の設定されていない状態と比較して差別化されてよい。すなわち、占有権が付与されたプレイヤに対して、特別キャラクタ112sを倒すためにより有利な状態が生じるように特別キャラクタ112sの行動を変化させてもよい。例えば、占有権が設定されていない状態では、特別キャラクタ112sがゲームフィールド110をブロック114、115の有無に関わりなく自由自在に移動し、占有権が発生した場合にはブロック114、115間の通路に沿ってのみ移動するようにその移動の経路が制限されてもよい。占有権の設定の有無に応じて特別キャラクタ112sの移動範囲が差別化されてもよい。例えば、占有権が発生していない状態では特別キャラクタ112sがゲームフィールド110を広範囲(一例として全範囲)に亘って移動し、占有権が発生した場合には、その占有権が付与されたプレイヤのプレイヤキャラクタ111の周囲の比較的狭い範囲に限って特別キャラクタ112sが移動するといったように移動範囲が差別化されてもよい。占有権の設定の有無に応じて特別キャラクタ112sの移動速度が差別化されてもよい。例えば、占有権が発生している場合には、発生していない場合と比較して特別キャラクタ112sが低速で移動するといったように移動速度が差別化されてもよい。移動速度の差別化は、一例として、占有権が設定されていない場合の特別キャラクタ112sの移動速度を通常の敵キャラクタ112nよりも高速に設定し、占有権が設定されている場合の特別キャラクタ112sの移動速度を通常の敵キャラクタ112nと同程度まで低下させるといった態様で実現されてよい。なお、上述した移動経路、移動範囲及び移動速度の差別化は単独で適用されてもよいし、適宜に組み合わせて適用されてもよい。
以上のように、特別キャラクタ112sを対象としたゲーム操作に対応するクレジットの消費状況に基づいてプレイヤへの占有権の付与を制御する場合には、例えばより多くのクレジットを消費したプレイヤに対して目標となるべき効果、すなわち特別キャラクタ112sを倒すという効果を得るために有利な状態を生じさせることができる。そのような状態を生じさせる理由の一つは次の通りである。複数のプレイヤが同一の特別キャラクタ112sを倒すことを競っている場合、ゲーム操作の回数又は頻度にプレイヤ間で差が生じ、それに伴なってプレイヤ間でクレジットの消費量にも差が生じる。あるいは、一回のゲーム操作に対して消費するクレジット数に関してもプレイヤ間で差が生じる。一方、特別キャラクタ112sを倒して報酬を得るという目標を達成できるか否かはゲーム機2の内部抽選を利用した演算の影響を受ける。したがって、仮に占有権を設定しなかったとすれば、最も多くクレジットを消費したプレイヤが必ず目標を達成できるとは限らない。そのため、一のプレイヤが既に相当量のクレジットを消費しているにも拘らず特別キャラクタ112sを倒すことができない状況で、他のプレイヤがより少ない量のクレジットの消費で特別キャラクタ112sを倒すといった結果が生じ得る。その場合、報酬を得られなかったプレイヤには少なからずの損失感が生じ、それがゲームに対するモチベーションを低下させるおそれがある。
これに対して、クレジットが所定の基準値を超えるプレイヤに占有権を付与するといったごとく、クレジットの消費状況に基づいて特別キャラクタ112sを倒すために有利な状態又は不利な状態を生じさせる場合には、特別キャラクタ112sをプレイヤ間で競い合いながら倒すという遊戯性、あるいは娯楽性を適度に担保しつつ、その特別キャラクタ112sを倒すためのゲーム操作に対してクレジットを積極的に消費したプレイヤが目標を達成する可能性を高めることができる。それにより、上述した損失感の発生を解消又は抑制し、プレイヤのモチベーションの維持、向上を図ることができる。さらに、占有権が設定された場合の特別キャラクタ112sの移動経路、移動範囲又は移動速度等を上記の通りに変化させた場合には、攻撃アイテム116の影響範囲116aに対して特別キャラクタ112sの少なくとも一部を含めるようなゲーム操作の難易度が低下する。したがって、プレイヤが特別キャラクタ112sを倒して報酬を得る可能性をより高めることができる。これにより、プレイヤの期待感を高め、クレジットを消費して特別キャラクタ112sを倒すことに対し、より強いモチベーションをプレイヤに付与することができる。
なお、上記の例では、プレイヤに対して占有権を付与することにより、プレイヤ間で特別キャラクタ112sを倒すために有利な状態又は不利な状態が分かれるものとしたが、そのような状態を生じさせる手段は適宜に変更が可能である。例えば、占有権の付与に代えて、優遇条件を満たしたプレイヤが特別キャラクタ112sを攻撃した場合の効果が、他のプレイヤによる同一の特別キャラクタ112sの攻撃に対する効果よりも相対的に大きくなるようにゲーム機2の内部抽選処理を差別化してもよい。あるいは、優遇条件を満たしたプレイヤが発生した場合、優遇条件を満たさない他のプレイヤとの比較において攻撃アイテム116の効果を高めるといった処理も可能である。それらの変形例については後述する。
次に、図7及び図8を参照してゲーム機2の制御系の具体例を説明する。なお、以下では特別キャラクタ112sに関して、プレイヤのクレジットの消費状況に基づいて占有権の付与を制御する場合を例に挙げて説明する。図7は、ゲーム機2の制御系の具体的構成の一例を示している。ゲーム機2には、制御装置20と、記憶装置21とが設けられている。制御装置20は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサの一例としてのマイクロプロセッシングユニット(MPU)と、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。記憶装置21は、制御装置20に対する外部記憶装置であり、磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリその他の記憶保持が可能な不揮発性の記憶媒体を含んだ記憶装置である。
記憶装置21には、上述したゲームをプレイヤに提供するために必要な各種の処理を制御装置20に実行させるコンピュータプログラムの一例としてのゲームプログラムPGと、ゲームデータDGとが記録されている。ゲームデータDGは、ゲームフィールド110を定義するデータ、プレイヤキャラクタ111及び敵キャラクタ112を表現する画像データ、ゲームの演出に用いられるべき画像及び音のデータといった各種のデータを含む。記憶装置21には、プレイデータDPも記録される。プレイデータDPはプレイヤの識別情報であるプレイヤIDと対応付けてゲームサーバ4に保存され、プレイヤがゲーム機2にてゲームをプレイする際にプレイヤの認証を条件としてゲーム機2に提供され、記憶装置21に記録される。記憶装置21に記録されたプレイデータDPは、ゲーム機2におけるゲームの進行に応じて適宜のタイミングで更新され、ゲームが終了する際にはゲーム機2からゲームサーバ4に提供されて保存される。プレイデータDPには、ゲーム機2におけるプレイヤのプレイ内容が適宜に記録されてよい。
制御装置20には、制御装置20のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのゲームプログラムPGとの組み合わせによって実現される論理的装置としてゲーム処理部22が設けられる。ゲーム処理部22は、ゲームプログラムPGに従ってゲーム機2におけるゲームのプレイに必要な各種の処理を実行する。ゲーム処理部22の詳細は後述する。制御装置20には、図1に示した表示装置5、センター抽選機構7、入力装置8、リーダ12、メダル受入装置15及びスピーカ装置17が接続されるとともに、メダル払出装置26及び通信制御装置27が接続される。メダル払出装置26は、払出口16(図1参照)にメダルを払い出すための装置である。通信制御装置27は、制御装置20とゲームサーバ4との間の通信を制御するための装置である。以上の他にも、制御装置20には適宜の入出力装置が接続されてよいが、ここでは説明を省略する。
図8は、ゲーム処理部22の具体的な構成の一例を示している。ゲーム処理部22には、さらなる論理的装置としてゲーム演算部30が設けられる。ゲーム演算部30は、プレイヤのゲーム操作に応じた効果を演算し、敵キャラクタ112が倒された場合には報酬を付与するといった演算処理を実行することにより、上述したゲームを進行させる。ゲーム演算部30には、さらなる論理的装置として、ゲーム操作受付部31及び演算制御部32が設けられる。ゲーム操作受付部31は、入力装置8に対するプレイヤのゲーム操作を、その操作に必要なクレジットの消費と引き換えに受け付ける。すなわち、ゲーム操作受付部31は、入力装置8に対するプレイヤのゲーム操作が検出されると、プレイヤが所有するクレジットの数量を記述したクレジットデータDcrにアクセスし、そのプレイヤが所有するクレジット数から所定量を減算してゲーム操作を受け付ける。ゲーム操作を受け付けると、ゲーム操作受付部31はそのゲーム操作の内容を演算制御部32に通知する。なお、クレジットデータDcrは制御装置20の内部メモリに一時的に生成されるデータである。プレイヤがゲームを終了する際に、クレジットデータDcrに保持されているクレジット数に対応する枚数のメダルがメダル払出装置26からプレイヤに払い出されることにより、未使用のクレジットをメダルとしてプレイヤに払い戻してもよい。ゲームの終了時に、クレジットデータDcrをプレイデータDPの一部として記憶装置21に記録し、これをゲームサーバ4にプレイヤIDと対応付けて保存することにより、次回のゲームで未使用のクレジットを引き継いで利用可能としてもよい。
演算制御部32は、ゲーム操作受付部31が受け付けたゲーム操作に基づいてゲームを進行させるために必要な各種の演算制御を実行する。例えば、演算制御部32は、図2に示したゲームにおいて、敵キャラクタ112(特別キャラクタ112sを含む。)の出現又は消滅を制御し、発生した敵キャラクタ112の位置を繰り返し演算し、あるいは、プレイヤの操作に応じてプレイヤキャラクタ111の位置を演算する。攻撃アイテム116を配置するゲーム操作が行われた場合、演算制御部32はその攻撃アイテム116の位置を演算し、攻撃アイテム116の位置及び種類に応じた効果をゲーム結果として演算する。演算されたゲーム結果が敵キャラクタ112を倒す結果を含んでいる場合、演算制御部32は、その演算結果に対応してプレイヤに付与すべき報酬としてのメダルの枚数を決定し、そのメダル枚数に対応する量のクレジットがクレジットデータDcrに加算されるようにクレジットデータDcrを更新する。さらに、演算制御部32は、自らが演算したゲームの進行状態、例えばゲーム画面100におけるプレイヤキャラクタ111や敵キャラクタ112の位置及び種類等を判別するための情報をステータスデータDsに逐次記録する。なお、ステータスデータDsも制御装置20の内部メモリに一時的に生成されるデータであるが、必要に応じて記憶装置21に適宜に記録されてもよい。
ゲーム処理部22には、さらなる論理的装置として、消費記録部34、占有権制御部35及びゲーム画面生成部36も設けられる。消費記録部34は、特別キャラクタ112sを対象としたゲーム操作に応じて図5に例示した消費データDcnを逐次更新する。例えば、消費記録部34は、特別キャラクタ112sを攻撃対象としたゲーム操作が受け付けられ、かつそのゲーム操作では特別キャラクタ112sを倒すことができなかった場合、そのゲーム操作に対応するクレジットの消費状況を特定する情報、例えば、プレイヤのステーション6、ゲーム操作に対してプレイヤが消費したクレジット数、及び攻撃対象の特別キャラクタ112sを判別する情報を演算制御部32から取得し、得られた情報に従って消費データDcnを更新する。占有権制御部35は、各プレイヤの特別キャラクタ112sを対象としたゲーム操作に対応するクレジットの消費状況を消費データDcnに基づいて判別し、その判別結果に応じて占有権の発生、又は解除を制御する。また、占有権制御部35は、占有権の発生又は解除を演算制御部32に指示し、占有権の有無に応じて演算制御部32によるゲーム結果(攻撃アイテム116が特別キャラクタ112sに与える効果)の演算が変化するように演算制御部32を制御する。占有権の発生又は解除を管理するため、占有権制御部35は演算制御部32の演算結果に応じて図6に例示した占有権管理データDeを随時更新する。なお、消費データDcn及び占有権管理データDeも制御装置20の内部メモリに保持されるが、必要に応じて記憶装置21に適宜に記録されてもよい。ゲーム画面生成部36は、演算制御部32が演算したゲーム結果に応じてゲームが進行するようにゲーム画面100を繰り返し生成する。プレイヤが報酬を獲得した場合等、所定のイベントが発生した場合、ゲーム画面生成部36はそのイベントに対応した演出画像が表示されるようにゲーム画面100を生成する。
次に、図9〜図11を参照してゲーム機2のゲーム処理部22にて実行される各種の処理の一例を説明する。図9は、ゲーム処理部22が所定の周期(一例として表示装置5のフレームレート)で繰り返し実行するゲーム処理の手順の一例を示している。図9の処理はステーション6ごとに、言い換えればプレイヤごとに独立して行われる処理である。以下では、いずれか一のステーション6のプレイヤを対象とした処理として図9の手順を説明する。図9の処理を実行すべき時期が到来すると、まずゲーム操作受付部31は、クレジットの消費対象のゲーム操作が行われたか否かを判別する(ステップS11)。一例として、ボタン10又は11が操作されていれば消費対象のゲーム操作が行われたと判別され、入力装置8が操作されていない、あるいは操作レバー9のみが操作されていれば消費対象の操作は行われていないと判別される。消費対象の操作が行われていないと判断された場合、ステップS12〜ステップS15の処理がスキップされて今回のゲーム処理は終了する。
ステップS11にてクレジットの消費対象のゲーム操作が行われたと判断された場合、ゲーム操作受付部31は、ゲーム操作に対応して消費されるべき量以上のクレジットがクレジットデータDcrに記録されているか否か、つまりプレイヤが所有する遊技価値の量がゲーム操作に対応する消費量以上か否かをクレジットデータDcrに基づいて判別する(ステップS12)。クレジットが足りている場合、ゲーム操作受付部31はプレイヤのゲーム操作を有効なものとして受け付けてそのゲーム操作を演算制御部32に通知するとともに、クレジットデータDcrのクレジット数をゲーム操作に対応した消費量相当だけ減算する(ステップS13)。それにより、プレイヤが所有するクレジット数がボタン10又は11の操作に応じた量だけ消費される。ステップS12にてクレジットが不足すると判断された場合、つまりプレイヤが所有する遊技価値の量がゲーム操作に対応する消費量未満の場合、ゲーム操作受付部31はプレイヤのゲーム操作を無効とする。その場合、ステップS13〜ステップS15の処理がスキップされて今回のゲーム処理は終了する。
ステップS13にて演算制御部32にゲーム操作が通知されると、そのゲーム操作に対応した効果を演算する処理が行われる(ステップS14)。その演算処理は、演算制御部32、消費記録部34及び占有権制御部35が適宜に分担して行われるものであるが、詳細は後述する。ステップS14の処理が終わると、ゲーム処理はステップS15に進められる。ステップS15では、演算されたゲーム結果(敵キャラクタ112に対する効果を含む。)に応じた演出がゲーム画面100に加えられるようにしてゲーム画面生成部36がゲーム画面100を生成する。ステップS15の処理後、図9のゲーム処理が終了する。
図10及び図11は、図9のステップS14のサブルーチン処理として実行される効果演算処理の詳細な手順を示している。図10の処理が開始されると、まず演算制御部32は、図9のステップS11〜S13で受け付けたゲーム操作にて配置された攻撃アイテム116の影響範囲116aに少なくとも一つの敵キャラクタ112が存在するか否かをステータスデータDsに基づいて判別する(ステップS21)。敵キャラクタ112が存在する場合、演算制御部32は一つの敵キャラクタ112を処理対象として選択し(ステップS22)、続いてその処理対象の敵キャラクタ112が、占有権の設定された特別キャラクタ112sに該当するか否かを判別する(ステップS23)。この処理は、一例として以下のようにして実現することができる。まず、演算制御部32は処理対象の敵キャラクタ112が特別キャラクタ112sか否かを判別し、特別キャラクタ112sであった場合には、その特別キャラクタ112sに占有権が設定されているか否かを占有権制御部35に対して問い合わせる。その問い合わせを受けた占有権制御部35は占有権管理データDeを参照して処理対象の特別キャラクタ112sに占有権が設定されているか否かを判別し、その判別結果を演算制御部32に返す。これにより、演算制御部32にて占有権設定の有無を判別することができる。なお、占有権が設定されている場合には、いずれのステーション6のプレイヤに対して占有権が設定されているかを判別するための情報も占有権制御部35から演算制御部32に通知される。
ステップS23にて占有権が設定されていると判断された場合、演算制御部32は、処理対象のステーション6のプレイヤに対して占有権が設定されているか否かを判別する(ステップS24)。プレイヤに対して占有権が設定されている場合、演算制御部32は、処理対象の特別キャラクタ112sに対する効果を演算する(ステップS25)。ゲーム操作に対する効果は、制御装置20を構成するコンピュータが、敵キャラクタ112を倒したか否かを所定の確率に従って抽選する、いわゆる内部抽選処理によって決定される。内部抽選に用いられる確率は、攻撃に用いられた攻撃アイテム116の価値、及び特別キャラクタ112sに対して設定された報酬としてのメダル枚数とに基づいて予め設定されてよく、占有権の有無に関わりなく確率は同一に設定されてよい。
続いて、演算制御部32は、ステップS25における演算結果に従って特別キャラクタ112sが倒されたか否かを判別する(ステップS26)。特別キャラクタ112sが倒されたと判断された場合、演算制御部32はその特別キャラクタ112sに対して報酬として設定されているメダル枚数に相当する量のクレジットが加算されるようにクレジットデータDcrを更新する(ステップS27)。これによりプレイヤに報酬が付与される。その後、演算制御部32は占有権制御部35に対して占有権が設定された特別キャラクタ112sが倒されたことを通知し、これを受けて占有権制御部35は消費データDcnを更新し、かつ占有権が解除されるように占有権管理データDeを更新する(ステップS28)。この場合、消費データDcnに関しては、倒された特別キャラクタ112sに対応付けられているステーションごとの消費量を全て初期値の0にリセットするよう更新すればよい。占有権管理データDeについては、倒された特別キャラクタ112sに関するデータを、占有権が未設定の状態へと更新すればよい。これらの更新は、同一の特別キャラクタ112sが新たに出現した場合、占有権を付与するか否かの制御を初期状態から開始するためである。一方、ステップS26にて特別キャラクタ112sが倒されていないと判断された場合、ステップS27及びS28の処理はスキップされる。
ステップS24にて、処理対象の特別キャラクタ112sに対してプレイヤが占有権を有していないと判断された場合にはステップS25〜S28の処理がいずれもスキップされる。したがって、いずれかのプレイヤに対して占有権が設定されている状態では、その占有権を有していないプレイヤはステップS25にて効果を演算する対象から除外される。この場合、演算制御部32は今回のゲーム操作に対応するクレジットの消費量を消費記録部34に通知し、これを受けて、消費記録部34は、通知された消費量に基づいて消費データDcnを更新する(ステップS29)。例えば、消費データDcnに消費量の積算値を記録する場合には、通知された消費量を処理対象の特別キャラクタ112s及びステーション6に対応付けて保持されている値に加算すればよい。所定期間、あるいは所定回数の範囲内における消費量の積算値を消費データDcnに記録する場合には、最も古く加算された消費量を減算し、通知された消費量を加算すればよい。その他にも、消費データDcnに消費量を記録する条件に応じて消費データDcnが更新されてよい。いずれにしても、ステップS29で消費データDcnが更新されることにより、特別キャラクタ112sに関して目標とすべき効果が得られなかったゲーム操作のためにプレイヤが消費した遊技価値の情報が消費データDcnに記録される。
ステップS24が否定判断された場合にステップS25〜S27の処理がスキップされることにより、占有権を有していないプレイヤは、自己のゲーム操作によって設置した攻撃アイテム116の影響範囲116aに特別キャラクタ112sが存在していても、その効果は演算されず、特別キャラクタ112sを倒すことができない。これにより、占有権を有するプレイヤのみが特別キャラクタ112sを攻撃アイテム116にて攻撃することが可能となり、当該プレイヤが有利な状態に、他のプレイヤが不利な状態に置かれる。なお、図10の例では、ステップS24が否定判断された場合にステップS29へと処理を進めて消費データDcnに記録されたクレジットの消費状況を更新している。したがって、占有権を有していないプレイヤに関しては、ゲーム操作によって設置された攻撃アイテム116の影響範囲116aに特別キャラクタ112sが存在していることを条件として、そのゲーム操作のために消費した遊技価値の情報が消費データDcnに記録される。そのため、占有権が付与されたプレイヤが特別キャラクタ112sを倒すことができないままその占有権が解除された場合には、他のプレイヤに対して新たに占有権が付与される可能性が高まる。ただし、ステップS29は省略されてもよい。その場合、いずれかのプレイヤに対して占有権が設定されている特別キャラクタ112sに関しては、少なくとも占有権が設定されていないプレイヤを対象とした消費データDcnの更新が中断される。
ステップS23にて、処理対象の敵キャラクタ112に占有権が設定されていないと判断された場合、演算制御部32は処理対象の敵キャラクタ112に対する効果を演算する(ステップS30)。この場合、ステップS25における演算と同様に、制御装置20を構成するコンピュータが、敵キャラクタ112を倒したか否かを所定の確率に従って抽選する、いわゆる内部抽選処理によって効果が決定される。内部抽選に用いられる確率は、攻撃に用いられた攻撃アイテム116の価値、及び敵キャラクタ112に対して設定された報酬としてのメダル枚数とに基づいて予め設定されてよい。なお、ステップS30にて効果が演算される対象の敵キャラクタ112は、いずれのプレイヤに対しても占有権が設定されていない状態の特別キャラクタ112sに該当する場合がある。その場合でも、特別キャラクタ112sを倒したか否かは同様に内部抽選処理で決定すればよく、内部抽選に用いる確率はステップS25で用いるそれと同一でよい。
続いて、演算制御部32は、ステップS30における演算結果に従って敵キャラクタ112が倒されたか否かを判別する(ステップS31)。敵キャラクタ112が倒されたと判断された場合、演算制御部32はその敵キャラクタ112を倒したときの報酬として設定されているメダル枚数に相当する量のクレジットが加算されるようにクレジットデータDcrを更新する(ステップS32)。これによりプレイヤに報酬が付与される。一方、ステップS31にて敵キャラクタ112が倒されていないと判断された場合、演算制御部32は今回のゲーム操作に対応するクレジットの消費量を消費記録部34に通知する。これを受けて、消費記録部34は、通知された消費量に基づいて消費データDcnを更新する(ステップS33)。ただし、その更新は処理対象として選択されている敵キャラクタ112が特別キャラクタ112sであった場合にのみ実施される。通常の敵キャラクタ112nが処理対象であった場合には消費データDcnは更新されない。つまり、占有権が設定されていない特別キャラクタ112sをプレイヤが倒すことができなかったゲーム操作のために消費した遊技価値の情報がステップS33で消費データDcnに記録される。この場合も、ステップS29で説明した通りの種々の更新方法が適用可能である。
ステップS28、S29、S32又はS33の処理が完了し、あるいはステップS26で否定判断された場合、ゲーム処理はステップS34へと進められる。ステップS34において、演算制御部32は、今回の処理対象のゲーム操作、すなわち図9のステップS11〜S13にて受け付けられたゲーム操作にて配置された攻撃アイテム116の影響範囲116aに、図10の処理対象として選択されていない未処理の敵キャラクタ112が存在するか否かをステータスデータDsに基づいて判別する(ステップS34)。未処理の敵キャラクタ112が存在する場合、演算制御部32はステップS22の処理に戻る。一方、ステップS34で未処理の敵キャラクタ112が存在しないと判断された場合、効果演算処理は図11のステップS41へと進められる。図11に示すステップS41〜S46は占有権制御部35によって実行される処理である。
ステップS41に処理が進められると、占有権制御部35は消費データDcnを参照して、図10の処理の対象とされているプレイヤの遊技価値の消費状況がいずれかの特別キャラクタ112sに関して優遇条件を満たしているか否かを判別する。ステップS41が肯定判断された場合、すなわち優遇条件が満たされている特別キャラクタ112sが存在する場合、占有権制御部35は優遇条件が満たされている特別キャラクタ112sに対して占有権を設定し、その占有権が設定されたことを示す情報を占有権管理データDeに記録する(ステップS42)。続いて、占有権制御部35は、設定された占有権に関する経過時間の計時を開始する(ステップS43)。すなわち、占有権管理データDeに占有権と対応付けて記録されるべき経過時間の計時を開始する。占有権管理データDeに記録される経過時間は時間の経過に応じて逐次加算される。ステップS43の処理後、占有権制御部35はステップS44へと進む。なお、ステップS41が否定判断された場合、すなわち優遇条件が満たされていないと判断された場合にはステップS42及びステップS43がスキップされてステップS44へと処理が進められる。なお、図10のステップS21が否定判断された場合にもステップS44へと処理が進められる。
ステップS44において、占有権制御部35は、今回の図10の処理において、占有権が設定されている特別キャラクタ112sに対する攻撃があったか否か、つまりプレイヤが自己に占有権が設定されている特別キャラクタ112sの少なくとも一部が攻撃アイテム116の影響範囲116aに含まれるようにゲーム操作を行ったか否かを判別する。この処理は、今回の図10の処理において、ステップS22〜S34の処理が繰り返されている間に、ステップS24からステップS25、S26へと処理が進められた場合があったか否かを判別することにより実現可能である。ステップS21からステップS44へと処理が進められた場合にはステップS44は否定判断される。ステップS44にて攻撃があったと判断された場合、占有権制御部35はその攻撃された特別キャラクタ112sに関して占有権管理データDeに記録されている経過時間を初期値の0にリセットし(ステップS45)、その後にステップS46へと進む。ステップS44にて攻撃がなかったと判断された場合、占有権制御部35はステップS45をスキップしてステップS46へと進む。
ステップS46において、占有権制御部35は、プレイヤに対して設定された占有権に関して所定の有効時間(例えば30秒程度)が経過した占有権が存在するか否かを占有権管理データDeの経過時間の値に基づいて判別する。プレイヤに対して占有権が設定されていない場合、ステップS46は否定判断される。ステップS46にて有効時間が経過した占有権があると判断された場合、占有権制御部35はその占有権が解除されるように、すなわち消滅するように占有権管理データDeを更新する(ステップS47)。したがって、占有権が設定された特別キャラクタ112sの少なくとも一部が攻撃アイテム116の影響範囲116aに含まれるようにプレイヤがゲーム操作を行っていれば有効時間が経過して占有権が解除されないが、そのようなゲーム操作が有効時間に亘って行われない場合にはステップS46が肯定判断されて占有権が解除される。なお、ステップS46が否定判断された場合にはステップS47の処理がスキップされる。以上により、今回の図10及び図11の効果演算処理が終了する。
以上の形態においては、ゲーム演算部30のゲーム操作受付部31が図9のステップS11〜S13の処理を実行してゲーム操作を受け付け、かつ演算制御部32が図10のステップS21〜ステップS27、S30〜S32の処理を実行することにより、占有権の設定状態に応じて手順を変えつつゲーム操作に応じた効果を演算することにより、ゲーム演算部30がゲーム演算手段の一例として機能し、消費記録部34が図10のステップS29、S33を実行してクレジットの消費量等に関する消費情報を消費データDcnに記録することにより消費情報記録手段の一例として機能し、占有権制御部35が図10のステップS28、及び図11のステップS41〜S47の処理を実行して占有権を発生させ、又は占有権を解除することにより状態制御手段の一例として機能する。
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、特定のプレイヤに占有権を付与することにより、その特定のプレイヤのみが特別キャラクタ112sを攻撃可能とし、他のプレイヤに関しては演算制御部32による効果の演算の対象から除外することにより、特定のプレイヤを有利な状態に、他のプレイヤを不利な状態に分けるようにしたが、プレイヤ間で有利又は不利な状態を分けるための手段はそのような例に限らない。例えば、占有権が設定された場合、その占有権を有しないプレイヤに関しては、特別キャラクタ112sを対象としたゲーム操作それ自体が受け付けられないようにゲーム操作受付部31にて占有権の有無に応じた制御を実施してもよい。占有権の付与に代えて、優遇条件を満たしたプレイヤと満たさないプレイヤとの間で特別キャラクタ112sを攻撃対象としたゲーム操作の受け付け、あるいはそのゲーム操作に対応する効果の演算を差別化することにより、有利又は不利な状態を生じさせてもよい。例えば、優遇条件を満たしたプレイヤに関しては特別キャラクタ112sを無制限に攻撃可能とする一方で、優遇条件を満たさないプレイヤに関しては、特別キャラクタ112sを攻撃対象としたゲーム操作の受け付け、あるいはそのゲーム操作に対応する効果の演算を一定の制限範囲内でのみ許容するものとしてもよい。その場合、制限範囲は時間、回数等と関連付けて設定することができる。演算制御部32における内部抽選処理を、優遇条件を満たしたプレイヤと満たさないプレイヤとの間で差別化することにより、有利又は不利な状態を分けるようにしてもよい。例えば、優遇条件が満たされたプレイヤに関しては、特別キャラクタ112sが倒される確率を、満たさないプレイヤのそれに対して上昇させるといった差別化が適用されてもよい。
上記の形態では、優遇条件の成否判別は、特別キャラクタ112sに関して目標とする効果が得られなかった場合における各プレイヤのクレジットの消費状況に基づく限りにおいて、適宜の変更が可能である。例えば、クレジットの消費量に基づいて抽選を実施し、その抽選にて当選した場合に優遇条件が満たされたものと判断して占有権を付与するといった変形が可能である。一例として、クレジットの消費量をMc、特別キャラクタ112sを倒したときの報酬のクレジット数をRc、確率調整のための係数をCとした場合、抽選確率Pe=C×(1/Rc)×Mcに従って抽選を実施し、これに当選した場合に占有権を付与する等してプレイヤを有利な状態に置くようにしてもよい。その他にも、クレジットの消費状況に加えて、他の要件を付加して優遇条件の成否を判別してもよい。他の要件としては、例えばプレイヤのプレイ時間、ゲームのプレイに消費したクレジットの総量、ゲーム機2のペイアウト率等を考慮して優遇条件の成否と判別してもよい。
目標の効果を得るために有利又は不利な状態は、クレジット等の価値の消費状況に基づく優遇条件の成否判別に従って制御される例に限らない。例えば、特別キャラクタ112sを倒せない状態でゲーム操作が繰り返されている間のクレジットの消費量を積算し、その積算値の増加に従って、特別キャラクタ112sを倒す確率が連続的に、又は段階的に上昇する制御を適用することにより、プレイヤ間の消費状況の差に応じて有利、不利を変化させてもよい。上記の形態では、ゲーム操作によって攻撃可能な敵キャラクタ112のうち、一部の特別キャラクタ112sのみを占有権付与の対象として設定しているが、全ての敵キャラクタ112に関して、クレジット等の価値の消費状況に基づき有利な状態又は不利な状態を適宜に生じさせるようにしてもよい。
上記の形態では、ゲーム操作と引き換えに消費された価値の情報をプレイヤごとに記録し、占有権の付与等による有利不利の制御もプレイヤごとに区別して制御したが、複数のプレイヤをグループに区分し、消費情報の記録及び有利不利の制御をグループ単位で実施してもよい。その態様も、グループ内の各プレイヤの消費状況に基づいてグループ内の各プレイヤの有利又は不利が制御されることになる。したがって、占有権の付与等による有利な状態は単一のプレイヤに限らず、複数のプレイヤに対して重複的に生じさせてもよい。
上記の形態では、目標となるべき効果が得られなかった場合のクレジットの消費量の積算値を消費情報の一例として消費データに記録しているが、プレイヤの消費状況は、積算値に限らず適宜の情報に基づいて判断されてよい。例えば、特別キャラクタ112sが出現している間の全部又は一部の期間におけるクレジットの消費量の積算値、単位時間あたりのクレジットの消費量、一回のゲーム操作に対するクレジットの消費量、所定の条件を満たすゲーム操作を対象に限ったクレジットの消費量等を尺度として消費状況が判断されてよい。消費状況は所定の基準(一例として上記の基準値)との比較に基づいて絶対的に判断されてもよいし、プレイヤ間の比較に基づいて相対的に判断されてもよい。
上記の形態では、プレイヤ間において有利な状態又は不利な状態が分かれるものとしたが、プレイヤごとに(あるいは上記のようにグループごとに)に絶対的に有利な状態、又は不利な状態を適宜に生じさせてもよい。例えば、演算制御部32の内部抽選の確率を変動させる場合には、他のプレイヤとの比較において相対的に有利な状態又は不利な状態を分けることを要しない。したがって、単一のプレイヤのみがゲームをプレイしている場合でも、そのゲーム操作に対して目標とする効果が得られなかった場合には、そのゲーム操作のために消費した価値の情報を記録し、その情報に基づいて絶対的な有利、不利を適宜に制御することも可能である。このような場合でも、目標とする効果を得るために消費した価値の少なくとも一部が、その後のゲームのプレイに反映されることにより、プレイヤのモチベーションの維持、向上を図ることができる。
上記の形態では、プレイヤが一回のゲーム操作を行うごとに、その操作に対応する量の価値を消費するものとしたが、ゲーム操作と価値の消費との対応関係は適宜に設定されてよい。例えば、一回の価値の消費により、複数回のゲーム操作が受け付けられるようにしてもよい。一回の価値の消費により、所定時間内に回数を限定せずにゲーム操作が受け付けられるようにしてもよい。上記の形態では、ゲーム操作として、ボタン10又は11を操作して攻撃アイテム116を配置する操作を例に挙げたが、価値の消費と引き換えに受け付けられるゲーム操作は複数種類設定されてもよい。
上記の形態において、ゲームシステム1は、複数人のプレイヤが一台のゲーム機2で同時並行的に同一ゲームをプレイできるように構成されているが、本発明はそのような形態に限定されない。例えば、一台のゲーム機2は少なくとも一つの入力装置8を備えていれば足りる。また、ゲームシステムは、アーケードゲーム機のようにそれ単独で一人又は複数人のプレイヤにゲームを提供するように構成された形態に限られない。例えば、図12に示すように、ユーザが個人的に使用するスマートフォン等のユーザ端末装置2Aとゲームサーバ4とがネットワーク3を介して接続され、ゲームサーバ4の制御下において、ユーザ端末装置2A上で各ユーザにゲームをプレイさせるタイプのゲームシステムにも本発明は適用可能である。なお、ユーザ端末装置2Aとしては、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯型ゲーム機又は据置型のゲーム機(ゲームコンソール)といった各種の端末装置が利用可能である。
上記の形態では、図9及び図10の各処理をゲーム機2のコンピュータである制御装置20が実行するものとしたが、それらの処理の少なくとも一部をゲームサーバ4等の他のコンピュータが実行してもよい。さらに、ネットワーク3を介して接続された少なくとも一台のゲーム機2をゲームサーバ4として機能させ、当該ゲーム機2が他のゲーム機2に関する処理を実行するものとしてもよい。ゲームサーバ4が各種の処理を実行する場合、ゲームサーバ4上にゲームプログラムPGを実行する仮想ゲーム機を構築し、ゲーム機2はその仮想ゲーム機に対する遠隔入出力装置として機能させてもよい。本発明のゲームシステムにて実行されるゲームは、図2に例示したようなゲームに限定されず、ゲームの対価としての価値の消費と引き換えにゲーム操作を受け付け、受け付けられたゲーム操作に応じてゲームオブジェクトに対するゲーム結果を演算する要素を含む限り、射撃ゲーム、格闘ゲーム、捕獲ゲームといった各種のゲームが実行されてよい。例えば、釣りゲームに適用する場合には、プレイヤによる価値の消費と引き換えに仕掛けを投入するゲーム操作を受け付け、そのゲーム操作に対して魚が釣れるという目標の効果が得られなかった場合にはそのゲーム操作のために消費した価値の情報を消費情報として記録し、その後に行われるべきゲーム操作に関してプレイヤが目標とする効果を得るために有利又は不利な状態が生じるように、消費情報に基づきゲーム操作に対する効果、すなわち魚が釣れたか否かの演算を制御するといった変形が可能である。また、ゲームオブジェクトはゲーム画面上を動的に移動するものである必要はなく、ゲーム画面上の所定の領域に非動的に、すなわち定位置にて静止した状態で、又は定位置にてその少なくとも一部が動いているように表示されるものであってもよい。そして、所定の領域に表示されたゲームオブジェクトを選択するゲーム操作を受け付けた場合に、選択されたゲームオブジェクトに対するゲーム結果を演算するようにしてもよい。このような選択操作を、消費情報に基づいて一部のプレイヤにのみ許可するようにしてもよい。また、ゲームオブジェクトに割り当てられる報酬は一定である必要はなく、動的に変化するものであってもよい。例えば、プレイヤが消費した価値の一部が報酬として累積されるようなものであってもよい。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲームシステム(1)は、所定のゲームオブジェクト(一例として特別キャラクタ112s)を対象に含むプレイヤのゲーム操作を、当該プレイヤによるゲームの対価としての価値の消費と引き換えに受け付け、受け付けられたゲーム操作に対応して前記所定のゲームオブジェクトに生じるべき効果を演算し、かつ前記所定のゲームオブジェクトに対して目標となるべき効果(一例として特別キャラクタ112sを倒す効果)を前記プレイヤが得るために有利な状態、及び不利な状態の少なくともいずれか一方の状態を生じさせることが可能なゲーム演算手段(30、S11〜S13、S21〜S27、S30〜S32)と、前記目標となるべき効果が得られなかったゲーム操作に関して、当該ゲーム操作のために前記プレイヤが消費した価値の情報を消費情報として所定の消費データ(Dcn)に記録する消費情報記録手段(34、S29、S33)と、前記有利な状態、及び不利な状態の少なくともいずれか一方の状態が前記価値の消費状況に応じて生じるように、前記消費データに記録された消費情報に基づいて前記ゲーム演算手段を制御する状態制御手段(35、S41〜S47)と、を備えたものである。
本発明の一態様に係るゲームシステム用のコンピュータプログラム(PG)は、ゲームシステム(1)に設けられたコンピュータ(20)を、所定のゲームオブジェクト(一例として特別キャラクタ112s)を対象に含むプレイヤのゲーム操作を、当該プレイヤによるゲームの対価としての価値の消費と引き換えに受け付け、受け付けられたゲーム操作に対応して前記所定のゲームオブジェクトに生じるべき効果を演算し、かつ前記所定のゲームオブジェクトに対して目標となるべき効果(一例として特別キャラクタ112sを倒す効果)を前記プレイヤが得るために有利な状態、及び不利な状態の少なくともいずれか一方の状態を生じさせることが可能なゲーム演算手段(30、S11〜S13、S21〜S27、S30〜S32)、前記目標となるべき効果が得られなかったゲーム操作に関して、当該ゲーム操作のために前記プレイヤが消費した価値の情報を消費情報として所定の消費データ(Dcn)に記録する消費情報記録手段(34、S29、S33)、及び前記有利な状態、及び不利な状態の少なくともいずれか一方の状態が前記価値の消費状況に応じて生じるように、前記消費データに記録された消費情報に基づいて前記ゲーム演算手段を制御する状態制御手段(35、S41〜S47)、として機能させるように構成されたものである。
本発明の他の一態様に係るゲームシステム(1)は、プレイヤの操作を検出する入力装置(8)と、所定のコンピュータプログラム(PG)を記憶する記憶装置(21)と、前記入力装置及び前記記憶装置と接続され、前記記憶装置のコンピュータプログラムに基づいて所定の処理を実行するプロセッサ(20)とを含むゲームシステムであって、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムに基づいて、所定のゲームオブジェクト(一例として特別キャラクタ112s)を対象に含むプレイヤの前記入力装置に対するゲーム操作を、当該プレイヤによるゲームの対価としての価値の消費と引き換えに受け付け(S11〜S13)、かつ受け付けられたゲーム操作に対応して前記所定のゲームオブジェクトに生じるべき効果を演算するとともに(S21〜S27、S30〜S32)、前記所定のゲームオブジェクトに対して目標となるべき効果が得られなかったゲーム操作に関して、当該ゲーム操作のために前記プレイヤが消費した価値の情報を消費情報として所定の消費データ(Dcn)に記録し、前記有利な状態、及び不利な状態の少なくともいずれか一方の状態が前記価値の消費状況に応じて生じるように、前記消費データに記録された消費情報に基づいて前記状態を制御する(S41〜S47)、ものである。
上記態様によれば、目標とする効果が得られなかったゲーム操作のために消費した価値の情報を消費情報として記録することにより、当該消費情報に基づいて、プレイヤが目標とすべき効果が得られなかった場合の価値の消費状況を把握することができる。そして、目標とすべき効果を得るために有利な状態又は不利な状態を消費状況に応じて生じさせることにより、それまでの価値の消費をその後に行われるゲーム操作に対応して演算されるべき効果に反映させることが可能である。したがって、目標となるべき効果が得られなかった場合における損失感の発生を解消又は抑制し、プレイヤのモチベーションの維持、向上を図ることができる。
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のゲームシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
上記態様において、前記状態制御手段は、所定の基準を超えて前記価値が消費されたか否かを前記消費情報に基づいて判別し、前記基準を超える消費があった場合に前記有利な状態が生じるように前記ゲーム演算手段を制御してもよい。これによれば、所定の基準を超えて価値を消費した場合に有利な状態が生じるため、比較的多くの価値を消費しても目標の効果が得られなかった場合の損失感の発生を解消し、又は抑制することができる。
前記ゲーム演算手段は、複数のプレイヤのそれぞれによる前記ゲーム操作を受け付け、受け付けられた各ゲーム操作に対応して前記効果を演算するように設けられ、前記状態制御手段は、前記プレイヤ間で前記有利な状態及び前記不利な状態が分かれるように前記ゲーム演算手段を制御してもよい。これによれば、プレイヤ間で価値の消費状況が異なる場合、その相違を有利な状態又は不利な状態の制御に反映させることができる。例えば、特定のプレイヤがより多くの価値を消費しても目標の効果を得られていない状態で、相対的に少ない量の価値を消費している他のプレイヤが同一のゲームオブエジェクトに対して目標の効果を得る可能性がある場合、特定のプレイヤを有利な状態に、他のプレイヤを不利な状態にそれぞれ設定して、特定のプレイヤが目標の効果を得られる可能性を高め、そのプレイヤの損失感の発生を解消又は抑制し、かつ特定のプレイヤの期待感を高めることができる。
前記状態制御手段は、前記価値をより多く消費したプレイヤが他のプレイヤと比較して前記目標となるべき効果を得るために有利な状態となるように前記ゲーム演算手段を制御してもよい。これによれば、より多くの価値を消費しているプレイヤが目標の効果を得られる可能性を確実に高めることができる。
前記ゲーム演算手段は、前記他のプレイヤに関して前記所定のゲームオブジェクトに生じるべき効果の演算を制限することにより前記有利な状態を生じさせてもよい。これによれば、他のプレイヤに関しては効果の演算が制限されることにより、より多くの価値を消費しているプレイヤが目標の効果を得られる可能性を確実に高めることができる。
前記ゲーム演算手段は、前記他のプレイヤに関して前記所定のゲームオブジェクトに生じるべき効果を前記演算の対象から除外することにより前記演算を制限してもよい。これによれば、他のプレイヤがゲームオブジェクトを対象としてゲーム操作を行っても、そのゲームオブジェクトに関しては効果の演算対象から除外される。したがって、他のプレイヤが目標の効果を得ることが不可能となり、より多くの価値を消費しているプレイヤが目標の効果を得られる可能性をさらに確実に高めることができる。
前記状態制御手段は、前記有利な状態又は前記不利な状態を生じさせた後、所定の終了条件が満たされると当該有利な状態又は前記不利な状態が終了するように前記ゲーム演算手段を制御してもよい。有利又は不利な状態が無制限に継続すればゲームの難易度が過度に低下又は上昇してゲームの興趣が却って損なわれる。これに対して、有利又は不利な状態が一旦生じても、その状態を終了条件の成立に伴なって終了させるものとすれば、ゲームの興趣が損なわれるおそれを排除することが可能である。