JP6560274B2 - 点検装置及び点検方法 - Google Patents
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しかしながらこのような点検作業をクレーン等に乗った作業員が近接目視にて行う場合、高所での作業となるため危険が伴なう他、その作業に要する時間や点検コストが問題となる。また30mを超えるような高所にあるケーブルの点検については、そもそも作業員による近接目視自体が困難となってしまう。
例えば、請求項7に記載の点検方法のように、点検装置を一旦ケーブルの上部まで上昇させた後に、下降させる過程でケーブルの外表面の点検を行う場合、点検に伴なう速度規制がない上昇時に、点検装置を速やかにケーブルの上部まで移動させて、点検作業に要する時間の短縮化を図ることができる。
本発明の点検装置は、横風等の外乱要因に応じて回転翼の推力を調整してその昇降時の移動速度が制御される。このような場合、回転翼の推力に対する移動速度の感度が高いと、推力の変動に対する点検装置の移動速度のばらつきが大きくなって、撮像時に安定した点検画像を取得することが難しい場合がある。これに対し、ガイドローラの回転に対し制動力を作用させ移動時の点検装置に抵抗を与えることで、回転翼の推力に対する移動速度の感度を低下させることができる。即ち、撮像が行なわれる際のガイドローラの回転に対し制動力を作用させることで点検装置の移動速度のばらつきを抑えて、安定した点検画像を取得することができる。尚、制動力が作用するのは一方向のみであるため、制動力が作用しない方向については、点検装置を速やかに移動させることができる。
また、点検装置が横風を受けた場合でも、かかる複数の位置決め手段とケーブルとの当接作用により、ケーブルの軸線方向に対し装置全体が大きく傾いてしまうのを抑制することができ、撮像手段とケーブル外表面との距離を略一定に保持し得て、点検画像のブレを抑制することができる。
図1及び図2において、10は点検装置で、12は内部にケーブル14(図2)を挿通させこのケーブル14を囲繞するフレーム、18はフレーム12に取り付けられた回転翼、19a,19bは点検装置10がケーブル14の軸直角方向に移動するのを規制するガイド部材、20はケーブル外表面の状態を撮像する撮像手段としてのカメラである。
本例の点検装置10は、回転翼18の回転により生じた推力により、内部を挿通させたケーブル14に沿ってフレーム12が回転翼18と一体に移動し、フレーム12に取り付けられたカメラ20によりケーブル14の外表面の状態を撮像することができる。
環状部22は内部にケーブル14を挿通させる挿通空間16を有し、挿通させたケーブル14の周囲を取り囲むように構成されている。
図2で示すように、環状部22は周方向に分割体22aと22bとに2分割可能とされており、それらは一端側同士を連結したヒンジ23周りに開閉可能とされている。
尚、コイルばね36の他端は、第2支持体30に固定された調整ネジ部材44に係止しており、かかる調整ネジ部材44の突出量を調整することでガイドローラ34に作用する内向きの付勢力を調整することができる。
図3で示すように、本例ではケーブル14の挿通方向(図中上下方向)に離間して設けられた上部位置決め手段37aと下部位置決め手段37bとでケーブル14に対する軸直角方向の位置決めが行われており、ケーブル14の軸線方向に対し点検装置10全体が大きく傾いてしまうのを抑制することができる。
制御部40は、図示を省略する別体の操縦装置からの無線信号により指示された目標速度と、点検装置10に取り付けられた速度センサから得られる実際の移動速度との偏差に基づいて、バッテリー42からモータ38に供給する電圧または電流を調整して、点検装置10の実際の移動速度が目標速度となるよう、回転翼18の回転を制御する。
図5(A)は斜張橋の構造を模式的に示した図である。同図で示すように斜張橋50では主塔52から、主桁54を支持する多数のケーブル14が主桁54に対して斜めに張設されている。このような斜張橋50のケーブル14の点検を行なう際、図1において、先ずそれぞれ環状部22を構成する分割体22aに対して分割体22bをヒンジ23周りに回転させて、分割体22aと22bとの間に開部を形成して、開部を通じてフレーム12内部の挿通空間16に点検対象のケーブル14を配設する。その後、分割体22a,22b間の開部を閉じ、点検装置10をケーブル14の外側に嵌め込んだ状態とする。
またフレーム12に取り付けられた回転翼18の回転軸もケーブル14の軸線方向に傾いた状態となり、この状態で回転翼18を回転させ推力を発生させることで、点検装置10をケーブル14に沿って最上部にまで高速で移動させる。
例えば、点検装置10を一旦ケーブル14の最上部まで上昇させた後に、下降させる過程で点検を行う場合、点検に伴なう速度規制がない上昇時に、本実施形態によれば点検装置10を速やかにケーブル14の最上部まで移動させて、点検作業に要する時間の短縮化を図ることができる。
また、点検装置10が横風を受けた場合でも、かかる複数の位置決め手段37a,37bとケーブル14との当接作用により、ケーブル14の軸線方向に対し装置全体が大きく傾いてしまうのを抑制することができ、カメラ20とケーブル14外表面との距離を略一定に保持し得て、撮像画像のブレを抑制することができる。
制動手段90は、ガイドローラ34Bと一体回転する軸体91(図7(B)参照)と、ワンウェイクラッチ93と、ロータリーダンパ95とを備えている。尚、本例ではガイド部材19a,19bのそれぞれのガイドローラ34Bに対して制動手段90が連結されている。また、ガイドローラ34Bは、ケーブル14と当接した際に大きな接触面積が得られるようにスポンジ製とされている。
本例では、軸体91が、点検装置10Bが下降する際の回転方向(図中R1の回転方向)に回転すると、ばね105で付勢されたローラ106が外輪カム面104aと軸体91との間に食い込んで、軸体91と強くかみ合うロック状態になり、軸体91及びワンウェイクラッチ93のハウジング100は一体に回転する。一方、軸体91が、点検装置10Bが上昇する際の回転方向(図中R2の回転方向)に回転すると、ローラ106が外輪カム面104aから離れた非ロック状態になり、軸体91の回転はワンウェイクラッチ93のハウジング100に伝達されなくなる。
ケース本体110a内の収容空間111には、ロータ112とともに粘性流体としてのシリコンオイルが充填されており、ロータ112が回転するとシリコンオイルの粘性抵抗により制動トルク(制動力)が発生する。
ベルト124は、可撓性を有し、所定の長さを有するベルト本体126と、その一端に取り付けられた金具128とを有している。金具128は、ベルト本体126の周長を調整しつつ、ベルト本体126の一端と他端とを連結する。このようなベルト124としては、市販されているタイダウンベルトを用いることができる。
本例の点検装置60では、内部に挿通させたケーブル14(図11)の周囲を取り囲むフレーム62の環状部64が六角形状をなしている。環状部64は、対称形状の分割体64aと64bとに2分割可能とされており、それらは一端側同士を連結したヒンジ66周りに開閉可能とされている。
環状部64を構成する一対の角管部材の外側にはアーム部68が取り付けられている。
本例のアーム部68は先端側が左右方向に分岐しており、その分岐アーム68aのそれぞれの先端に回転翼18が取り付けられている。尚、場合によっては環状部64に対しアーム部68の基端を回転可能に取り付けて、回転翼18の回転面を環状部64に対して傾けておくことも可能である。
本例のガイド部材70a,70bは、環状部64に取り付けられた第1支持体74と、第1支持体74から内側(挿通空間の側)に向かって延びる第2支持体76と、この第2支持体76に連結軸78を介して揺動可能に連結された揺動アーム80とを備えている。
また揺動アーム80の先端側にはガイドローラ82が回転可能に支持されている。
尚、第2支持体76は調整ネジ部材86のねじ送り作用により内向きの突出量を調整可能とされており、フレーム62の内部を挿通させるケーブル14の外径に応じてその突出量を調整することができる。
12,62 フレーム
14 ケーブル
16 挿通空間
18 回転翼
19,19a,19b,70,70a,70b ガイド部材
20 カメラ(撮像手段)
34,34B,82 ガイドローラ
36 コイルばね(付勢手段)
37,72 位置決め手段
37a,72a 上部位置決め手段
37b,72b 下部位置決め手段
84 ねじりコイルばね(付勢手段)
90 制動手段
91 軸体
93 ワンウェイクラッチ
95 ロータリーダンパ
112 ロータ
120 衝突緩衝手段
122 衝撃吸収体
124 ベルト
Claims (7)
- 橋梁のケーブルに沿って移動し、該ケーブルの外観を点検する点検装置であって、
(a)内部に該ケーブルを挿通させる挿通空間を有し、該ケーブルを囲繞するフレームと、(b)該フレームに取り付けられ回転によって推力を発生させる回転翼と、(c)該フレームに取り付けられ内向きに突出させたガイド部材を、周方向の複数箇所に配置した位置決め手段と、(d)該フレームに取り付けられた複数の撮像手段と、を備え、
前記ガイド部材の先端に設けられたガイドローラは、いずれも前記ガイドローラを回転駆動させるモータと接続されたものではなく、前記回転翼の推力に基づく前記フレームの上昇移動にともなって従動回転可能に構成されていることを特徴とする点検装置。 - 請求項1において、前記フレームは、前記ケーブルを囲繞する環状部と、該環状部から外側に向かって放射状に延びる複数のアーム部と、を備え、
前記アーム部の先端に取り付けられる形態で、前記回転翼が周方向に間隔を隔てて複数配置されていることを特徴とする点検装置。 - 請求項1,2の何れかにおいて、前記ガイドローラは前記ケーブルに対する接近離間方向に揺動可能に設けられており、該ガイドローラは付勢部材によって内向きに付勢されていることを特徴とする点検装置。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記位置決め手段として、前記ケーブル挿通方向に離間した上部位置決め手段および下部位置決め手段が設けられ、これら上部位置決め手段および下部位置決め手段は、前記フレームに対し前記ケーブル挿通方向のそれぞれ反対側に突出した状態で配置されていることを特徴とする点検装置。
- 橋梁のケーブルに沿って移動し、該ケーブルの外観を点検する点検装置であって、
(a)内部に該ケーブルを挿通させる挿通空間を有し、該ケーブルを囲繞するフレームと、(b)該フレームに取り付けられ回転によって推力を発生させる回転翼と、(c)該フレームに取り付けられ内向きに突出させたガイド部材を、周方向の複数箇所に配置した位置決め手段と、(d)該フレームに取り付けられた複数の撮像手段と、を備え、
更に、複数のブロック状の衝撃吸収体と、該衝撃吸収体を一連に連結するベルトと、を有し、点検対象の前記ケーブルの外周面に締付固定可能に構成された衝突緩衝手段を備えていることを特徴とする点検装置。 - 請求項1〜4の何れかに記載の点検装置を前記ケーブルに沿って移動させながら、該ケーブルの外表面の状態を撮像し、該ケーブルの外観を点検することを特徴とする点検方法。
- 請求項6において、前記点検装置を前記ケーブルの上部に向けて所定の点検速度よりも高速で位置移動させた後、該ケーブルの下部に向けて該所定の点検速度で下降させながら、該ケーブルの外表面の状態を撮像することを特徴とする点検方法。
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