JP6559419B2 - 誘電体セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、誘電体セラミックスおよびその製造方法に関する。
現在、ユビキタス化が進む中、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末に使用される電子部品の小型高性能化の要求は、日々高度化している。そして、これに伴い、積層コンデンサとして使用されるMLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor:積層セラミックコンデンサ)も、小型大容量化や信頼性(電気的寿命)の向上が求められている。
例えば、特許文献1では、Ba/Ti比が0.99〜1.01であって結晶系が正方晶である球状チタン酸バリウム粒子粉末の粒子表面にSi、Y、Ndから選ばれる1種または2種以上の元素の酸化物からなる焼結防止剤が前記球状チタン酸バリウム粒子粉末に対して被覆されている誘電体組成物が開示されている。また、特許文献2には、ペロブスカイト構造のc軸/a軸比が1.000以上1.003未満であり、結晶格子中のOH基量が2.0wt%以下であるチタン酸バリウム粉末を焼成して得られる誘電体セラミックスが開示されている。
特開2003−137649号公報 特開平11−273985号公報
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の誘電体セラミックスは、粒子径のバラツキが大きく、これを用いたセラミック電子部品の信頼性(電気的寿命)が不十分であり、さらなる信頼性の向上が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、セラミック電子部品の信頼性を向上させる誘電体セラミックスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを、バリウム/チタン>1(原子比)の混合比で合成させて得られるチタン酸バリウムを用いた誘電体セラミックスが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、チタン酸バリウムを主成分とし、平均結晶粒子径が200nm以下であり、結晶粒子径の変動係数が30%以下であり、かつ比誘電率が1500以上である、誘電体セラミックスである。
また、本発明は、層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを、バリウム/チタン>1(原子比)の混合比で合成させチタン酸バリウムを含む粒子を得る工程と、前記チタン酸バリウムを含む粒子と焼結助剤を含む副成分とを混合した後成形し、成形体を得る工程と、前記成形体を焼成する工程と、を含む、誘電体セラミックスの製造方法である。上記チタン酸バリウムを含む粒子の平均結晶粒子径が5nm以上100nm以下であり得、および/または、上記チタン酸バリウムのペロブスカイト構造のc軸/a軸比が1.004以上であり得る。さらに、本発明は、上記誘電体セラミックスまたは上記製造方法により得られる誘電体セラミックスを含む、セラミック電子部品である。
本発明によれば、セラミック電子部品の信頼性を向上させる誘電体セラミックスおよびその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の第一の形態は、チタン酸バリウムを主成分とし、平均結晶粒子径が200nm以下であり、結晶粒子径の変動係数が30%以下であり、かつ比誘電率が1500以上である、誘電体セラミックスである。
なお、本明細書中、「チタン酸バリウムを主成分とする」とは、当該誘電体セラミックスの全量に対して、チタン酸バリウムを90質量%以上含むことを意味する。なお、誘電体セラミックスがチタン酸バリウムを90質量%以上含むことは、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP)による分析により確認される。
上述の通り、従来、MLCCの小型大容量化の観点から、チタン酸バリウム(BT)を小粒径化する技術が検討されていたが、このようなBTを用いたセラミック電子部品は信頼性(電気的寿命)が低いという問題があった。本発明者らは、セラミック電子部品の信頼性が低いのは、小粒径化したBTの結晶性が低く誘電特性が低下し、またBTを焼成した後に得られる誘電体セラミックスの結晶粒子径が大きく、かつ結晶粒子径の変動係数が大きいためであると推測した。
そこで、本発明者らは、セラミック電子部品の信頼性を向上させるため、鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを、バリウム(Ba)/チタン(Ti)>1(原子比)の混合比で合成させて得られるチタン酸バリウムを用いることにより、平均結晶粒子径が小さく、結晶粒子径のバラツキ(変動係数)が小さく、かつ誘電特性が高い誘電体セラミックスを製造できることを見出した。
なぜ、上記の方法により、平均結晶粒子径が小さく、結晶粒子径のバラツキが小さく、かつ誘電特性が高い誘電体セラミックスが得られるのか、詳細は不明であるが、以下のようなメカニズムによると考えられる。
層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを反応させることにより得られるチタン酸バリウムは、(110)面の配向性が高く、高い結晶性を有することから、粒成長の速度が低下し、平均結晶粒子径を小さくすることができる。そして、このようなチタン酸バリウムを用いて得られる誘電体セラミックスは、焼成後の平均結晶粒子径を小さくすることができ、また結晶粒子径のバラツキ(変動係数)を小さくすることができる。かような誘電体セラミックスを誘電体層として用いたセラミック電子部品は、誘電体層1層当たりの粒界数が増え、信頼性(電気的寿命)がより向上する。なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
以下、本発明の誘電体セラミックスおよびその製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
≪誘電体セラミックス≫
本発明の誘電体セラミックスは、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とするセラミックス(ペロブスカイト型化合物)である。「主成分とする」の用語の定義は上述の通りであって、製造上含まれてしまう不純成分が誘電体セラミックス中に微量含まれていてもよい。不純成分としては、アルミニウム、カルシウム、ニオブ、鉄、鉛などの金属由来成分、ガラス成分および炭化水素系の有機成分などが挙げられる。また、焼結助剤、分散剤、可塑剤、バインダ等の添加剤を含んでいてもよい。
誘電体セラミックスは、誘電体セラミックスの全量に対して、チタン酸バリウムを85質量%以上含んでいると好ましく、88質量%以上含んでいるとより好ましく、90質量%以上含んでいると特に好ましい。一方、その上限値は特に制限されないが、実質的には100質量%である。チタン酸バリウムの含有量が多いほど、比誘電率の向上に寄与するため、好ましい。
本発明の誘電体セラミックスの平均結晶粒子径(grain径)は、200nm以下である。平均結晶粒子径が200nmを超える場合、結晶粒子径のバラツキが大きくなり、セラミック電子部品に用いた場合、誘電体層の粒界数が減少し、信頼性が低下する。一方その下限は、特に制限されないが、5nm以上であることが好ましい。5nm以上である場合、結晶質となり好ましい。該平均結晶粒子径は、より好ましくは50nm以上200nm以下、さらに好ましくは80nm以上200nm以下である。なお、誘電体セラミックスの平均結晶粒子径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の誘電体セラミックスの結晶粒子径の変動係数は、30%以下である。該変動係数が30%を超える場合、セラミック電子部品に用いた場合の信頼性が低下する。該変動係数は、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下である。一方、その下限値は0%である。なお、該変動係数は、実施例に記載の方法により算出することができる。
さらに、本発明の誘電体セラミックスの比誘電率は1500以上であり、好ましくは1700以上、より好ましくは2000以上である。このように、本発明の誘電体セラミックスは、高い比誘電率を有する。なお、比誘電率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
かような特性を有する本発明の誘電体セラミックスは、下記のような製造方法によって得ることができる。以下、誘電体セラミックスの製造方法について説明する。
≪誘電体セラミックスの製造方法≫
本発明は、チタン酸バリウムを主成分とし、平均結晶粒子径が小さく、結晶粒子径の変動係数(バラツキ)が小さく、かつ比誘電率が高い誘電体セラミックスの製造方法もまた提供する。すなわち、本発明の第二の形態は、層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを、バリウム/チタン>1(原子比)の混合比で合成させ、チタン酸バリウムを含む粒子を得る工程と、前記チタン酸バリウムを含む粒子と焼結助剤を含む副成分とを混合した後成形し、成形体を得る工程と、前記成形体を焼成する工程と、を含む、誘電体セラミックスの製造方法。このような製造方法で得られる本発明の誘電体セラミックスは、平均結晶粒子径が小さく、結晶粒子径のバラツキが小さくなり、かつ比誘電率も高いものとなる。したがって、本発明の製造方法により得られる誘電体セラミックスを用いたセラミック電子部品は信頼性に優れる。
以下、各工程について詳細に説明する。
(1)層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを、バリウム(Ba)/チタン(Ti)>1(原子比)の混合比で合成させ、チタン酸バリウムを含む粒子を得る工程
本工程においては、層状チタン酸またはその塩(以下、総称して層状チタン酸化合物とも称する)を用いる。
層状チタン酸化合物は、種々の結晶構造を有するものが確認される。その結晶構造は、結晶学的にA型(アナタース型)やR型(ルチル型)の酸化チタンとは異なるものである。層状チタン酸としては、例えば、TiO八面体が稜共有してa軸およびc軸方向に2次元的に広がったシートを作り、その間にカチオンを含んで積層した構造のレピドクロサイト構造に類似した結晶構造を有する層状チタン酸化合物を用いることができる。さらに上記レピドクロサイト構造に類似した層状チタン酸化合物の具体例を挙げると、例えば、H1.07Ti1.73、K0.8Ti1.73Li0.27、Rb0.75Ti1.75Li0.25、Cs0.7Ti1.77Li0.23、Cs0.7Ti1.825等が挙げられる。これら層状チタン酸化合物は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
層状チタン酸化合物は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。合成する場合は、従来公知の方法により合成することができ、例えば、チタン(Ti)源化合物、カリウム(K)源化合物、およびリチウム(Li)源化合物からチタン酸カリウムリチウム原料混合物を合成し、このチタン酸カリウムリチウム原料混合物を層状チタン酸化合物に転換する。
その後、得られた層状チタン酸化合物とバリウム化合物とを、バリウム/チタン>1(原子比)の混合比で合成させ、チタン酸バリウムを含む粒子を製造する。
また、Ti源化合物およびK源化合物からチタン酸カリウム原料混合物を合成し、このチタン酸カリウム原料混合物を水和物に転換して層状チタン酸水和物を得た後、チタン酸バリウムを製造してもよい。この場合には、チタン酸カリウム原料混合物を水和物に転換する際に、チタン酸カリウム中のKがHで置換される。
以下では、好ましい実施形態である、Ti源化合物、K源化合物、およびLi源化合物からチタン酸カリウムリチウム原料混合物を合成し、このチタン酸カリウムリチウム原料混合物から層状チタン酸粉末を得た後、チタン酸バリウムを含む粒子を合成する方法について説明する。
まず、Ti源化合物、K源化合物、およびLi源化合物を水系媒体に添加し混合して、原料スラリーを調製する。
Ti、K、およびLi源化合物は特に限定されず、例えばTi源としては二酸化チタン、TPA(チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート)等の水溶性チタン錯体、チタンアルコキシド等チタンの酸化物、塩、またはアルコキシド等が、またK源とLi源とに関しては、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、酢酸リチウム等の水酸化物や塩等が挙げられる。Ti源化合物、K源化合物、およびLi源化合物の混合比は、Ti源化合物/K源化合物/Li源化合物=1.73/0.8〜1.8/0.27〜1.27(モル比)であることが好ましい。
水系媒体としては、例えば、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等が挙げられる。また、アルコール類、アンモニア、有機アミン等のアミン類を水と併用してもよい。
調製された原料スラリーまたは反応溶液は、オートクレーブ等の耐圧性の反応容器内にて加熱処理(水熱合成またはソルボサーマル合成)される。この加熱処理により、層状の結晶形状を有するチタン酸カリウムリチウムが形成される。
加熱処理(水熱合成またはソルボサーマル合成)における加熱条件は特に制限されないが、反応温度は200〜280℃が好ましく、反応時間は15〜36時間が好ましい。
合成された層状の結晶形状を有するチタン酸カリウムリチウムは、次いで酸処理されて、層状の結晶形状を有するチタン酸水和物に転換される。酸処理条件は、適宜選択すれば良く、例えば0.1〜1mol/l程度の濃度の塩酸または硝酸等の酸性溶液を使用し、20〜60℃の温度で10〜24時間程度攪拌処理することによって、チタン酸カリウムリチウム中のKとLiとがHで置換され、層状の結晶粒子形状を有するチタン酸水和物に転換される。必要に応じて、上記の酸処理を複数回行ってもよい。
このようにして得られた層状の結晶粒子形状を有するチタン酸水和物を、洗浄、ろ過後、乾燥させることにより、層状チタン酸粉末を得ることができる。この層状チタン酸粉末の組成および構造は、XRDパターン(X線回折)の解析により確認することができる。
次に、層状チタン酸粉末およびバリウム化合物を、バリウム/チタン>1(原子比)の混合比で溶媒に添加・湿式混合し、スラリー状または液状のチタン酸バリウム原料混合物が調製される。調製されたチタン酸バリウム原料混合物は、オートクレーブ等の耐圧性の反応容器内にて加熱処理(水熱合成またはソルボサーマル合成)され、これにより、チタン酸バリウムを含む粒子が合成される。
上記バリウム化合物としては、特に制限されないが、例えば、水酸化バリウムまたはその水和物、塩化バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、酢酸バリウム、乳酸バリウム、ステアリン酸バリウム等の脂肪酸バリウム塩、バリウムアルコキシド等を用いることができる。なお、上記バリウム化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
湿式での加熱処理を行う場合に用いる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水;エタノール、メタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられる。上記溶媒は、単独でもまたは2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。中でも、後に溶媒を除去する際の操作性を考慮すると、上記湿式混合の溶媒としては水とアルコール溶媒との混合溶媒が好ましく、水とメタノールやエタノール等の低沸点溶媒とを併用することがより好ましい。
溶媒の使用量は、固形分(層状チタン酸化合物およびバリウム化合物)の全質量に対して1〜20倍程度であると好ましく、5〜15倍程度であるとより好ましい。上記範囲とすることにより、原料が十分に混合されると共に、後に溶媒を除去する操作を簡便に行うことができる。
層状チタン酸化合物とバリウム化合物との混合比は、バリウム/チタン>1(原子比)である。バリウム/チタン≦1(原子比)の場合、バリウム不足となり、結晶性(正方晶性)が低下する。該混合比は、好ましくは、バリウム/チタン≧1.1(原子比)である。一方、その上限値は特に制限されないが、バリウム/チタン≦8(原子比)であることが、反応完了後に、炭酸バリウム等の副生成物が混在しない純粋なチタン酸バリウムが抽出できるという観点から好ましい。
チタン酸バリウムを含む粒子を得る際の加熱処理(水熱合成またはソルボサーマル合成)における加熱条件は特に制限されないが、反応温度は150〜260℃が好ましく、反応時間は3〜18時間が好ましい。
上記加熱処理を行った後、必要に応じて、水洗、乾燥等の後処理を行うと好ましい。加熱処理後の混合物を水洗することにより、不純物を除去することができ、不純物の少ないチタン酸バリウムを含む粒子を得ることができる。さらに、乾燥することにより、チタン酸バリウム粉末を得ることができる。なお、水洗方法、乾燥方法は特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
このようにして得られるチタン酸バリウムを含む粒子の平均結晶粒子径は、5nm以上100nm以下であることが好ましく、20nm以上80nm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、最終的に得られる誘電体セラミックスの結晶粒子径を小さくすることができ、結晶粒子径のバラツキ(変動係数)を小さくすることができ、これを用いたセラミック電子部品の信頼性を向上させることができる。なお、チタン酸バリウムを含む粒子の平均結晶粒子径は、上記の(1)の工程における加熱処理(水熱合成またはソルボサーマル合成)の加熱温度、加熱時間、溶媒のpHを制御することにより制御することができる。さらに、チタン酸バリウムを含む粒子の平均結晶粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定され、より詳細には、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、該チタン酸バリウムのペロブスカイト構造のc軸/a軸比は、1.004以上であることが好ましく、1.0045以上であることがより好ましい。この範囲であれば、チタン酸バリウムの結晶性(正方晶性)が高まり、最終的に得られる誘電体セラミックスの比誘電率等の誘電特性をより高くすることができる。一方、その上限値は特に制限されないが、1.011以下であると好ましい。なお、チタン酸バリウムのc軸/a軸比は、熱処理時の温度、時間、および溶媒のpHを制御することにより制御することができる。c軸/a軸比は、25℃で測定されたX線回折(XRD)のピーク強度の解析結果を用いて算出される。
(2)前記チタン酸バリウムを含む粒子と焼結助剤を含む副成分とを混合した後成形し、成形体を得る工程
本工程では、好ましくは、(2−1)上記(1)の工程で得られたチタン酸バリウムを含む粒子と焼結助剤とを混合し組成物を調製する工程(組成物調製工程)と、(2−2)得られた組成物を用いて成形して成形体を得る工程(グリーンシート作製工程)と、が行われる。以下、各工程について説明する。
(2−1)組成物調製工程
本工程では、チタン酸バリウムを含む粒子と焼結助剤を含む副成分とを混合し、成形体(グリーンシート)作製用の組成物(スラリー)を調製する。さらに、必要に応じて、分散剤、バインダ、可塑剤等の添加剤を混合する。これらの混合方法、混合順序は特に制限されないが、添加物を均一に分散できるという点で、混合方法は湿式混合が好ましい。
チタン酸バリウムを含む粒子は、上記工程(1)により製造されたものを用いる。
副成分に含まれる焼結助剤としては、例えば、Si、Al、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、およびVからなる群より選択される少なくとも1種の元素の酸化物が挙げられる。
また他の副成分としては、例えば、バリウム化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、希土類元素(Re)の化合物等が挙げられる。ここで希土類元素(Re)としては、ジスプロシウム(Dy)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)、およびサマリウム(Sm)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。具体的な化合物としては、炭酸バリウム(BaCO)、酸化ジスプロシウム(Dy)等の希土類元素(Re)の酸化物、酸化マグネシウム(MgO)、酸化マンガン(MnO、Mn、Mn等)、炭酸カルシウム(CaCO)等が挙げられる。副成分の組成範囲は、主成分のチタン酸バリウムを100モル部とするとき、例えば、バリウム化合物は、Baに換算して、0.1〜1.5モル部、マンガン化合物は、Mnに換算して、0.1〜0.5モル部、マグネシウム化合物は、Mgに換算して、0.1〜1.5モル部、希土類元素(Re)の化合物は、Reに換算して(2種類以上の元素を含む場合はその合計)0.5〜1.0モル部が、それぞれ好ましい。
さらに以下では、成形体(グリーンシート)作製用組成物に含まれうる上記副成分以外の添加剤について説明する。なお、当該組成物に含まれうる添加剤は、以下に挙げるものに限定されず、本発明の効果を損なわない限りにおいて、潤滑剤、帯電防止剤等、他の添加剤を用いてもよい。
組成物に含まれうる分散剤としては、特に制限されないが、例えば、リン酸エステル系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤等が挙げられる。これらの中でも、リン酸エステル系分散剤を用いると好ましい。なお、上記分散剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤の使用量は、特に制限されないが、チタン酸バリウムを含む粒子および副成分の全質量(合計質量)に対して、0.1〜5質量%であると好ましく、0.3〜3質量%であるとより好ましく、0.5〜1.5質量%であるとさらに好ましい。上記範囲とすることにより、分散剤として十分な効果が得られると共に、得られる誘電体セラミックス中に含まれる不純物を少なくすることができる。その結果、結晶粒子径のバラツキが小さく、セラミック電子部品の信頼性を向上させうる誘電体セラミックスを得ることができる。
さらにまた、組成物に含まれうるバインダとしては、特に制限されないが、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)、アクリル系樹脂が挙げられる。なお、上記バインダは、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダの使用量は、特に制限されないが、チタン酸バリウムを含む粒子および副成分の全質量(合計質量)に対して、0.1〜50質量%であると好ましく、3〜30質量%であるとより好ましく、5〜25質量%であるとさらに好ましい。上記範囲とすることにより、バインダとして十分な効果が得られると共に、得られる誘電体セラミックス中に含まれる不純物を少なくすることができる。その結果、セラミック電子部品の信頼性を向上させうる誘電体セラミックスを得ることができる。
さらにまた、組成物に含まれうる可塑剤としては、特に制限されないが、たとえば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DOP)、フタル酸ジ(2−エチルブチル)などのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)(DOA)などのアジピン酸系可塑剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール系可塑剤、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)などのグリコールエステル系可塑剤などが挙げられる。これらの中でも、組成物を用いてグリーンシートとしたときに、シートの柔軟性が良好であることから、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DOP)等のフタル酸系可塑剤を用いると好ましい。なお、上記可塑剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の使用量は、特に限定されないが、チタン酸バリウムを含む粒子および副成分の全質量(合計質量)に対して、0.1〜20質量%であると好ましく、1〜10質量%であるとより好ましく、1.5〜8質量%であると特に好ましい。上記範囲とすることにより、可塑剤として十分な効果が得られると共に、得られる誘電体セラミックス中に含まれる不純物を少なくすることができる。その結果、セラミック電子部品の信頼性を向上させうる誘電体セラミックスを得ることができる。
湿式混合を行う場合に用いる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水;エタノール、メタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられる。後に、組成物に含まれる各種添加剤の溶解性や分散性を考慮すると、上記湿式混合の溶媒としてはアルコール溶媒、芳香族溶媒が好ましい。これらの中でも、アルコール溶媒としては、メタノールやエタノール等、芳香族溶媒としては、トルエン等の低沸点溶媒を用いることが好ましい。なお、上記溶媒は、単独でもまたは2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。2種以上の溶媒を混合するときは、上記アルコール溶媒と芳香族溶媒とを混合すると特に好ましい。
溶媒を用いる場合の使用量は、チタン酸バリウムおよび副成分の全質量(合計質量)の全重量に対して0.5〜10倍程度であると好ましく、1〜5倍程度であるとより好ましい。上記範囲とすることにより、チタン酸バリウム、副成分、添加剤等が十分に混合されると共に、後に溶媒を除去する操作を簡便に行うことができる。
また、湿式混合を行う場合は、湿式ボールミルまたは攪拌ミルにより行われると好ましい。湿式ボールミルにおいてジルコニアボールを用いる場合には、直径0.1〜10mmの多数のジルコニアボールを用いて好ましくは8〜48時間、より好ましくは10〜24時間湿式混合すると好ましい。
(2−2)グリーンシート作製工程
本工程では、チタン酸バリウムを含む粒子と各種添加剤とを混合することによって得られた組成物を、適当な大きさ、形状となるようにシート成形し、成形体(グリーンシート)を作製する。ここで、グリーンシートを作製する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形法等によりシート状に成形し、これを乾燥することによりグリーンシートを得る。
グリーンシートの厚さ(乾燥後の厚さ)は、特に制限されないが、50μm以下であると好ましく、30μm以下であるとより好ましい。一方、その下限は特に限定されないが、実質的には0.1μm以上である。
さらに、得られたグリーンシートを所望の厚さになるまで積層し、その後加熱圧着を行ってもよい。このとき、全体の厚さ(乾燥後の厚さ)が好ましくは0.1〜5mm程度、より好ましくは1〜3mm程度となるまで積層すると好ましい。また、加熱圧着時の条件は特に制限されないが、温度は50〜150℃程度であると好ましく、圧力は10〜200MPa程度であると好ましく、加圧時間は1〜30分程度であると好ましい。加熱圧着の方法としては、温間等方圧加圧法(WIP)等が挙げられる。
その後、グリーンシートを積層したものを裁断して所望のチップ形状とし、グリーンチップを作製してもよい。
さらに、得られたグリーンシート(またはグリーンチップ)中に含まれるバインダ成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理の条件は特に制限されず、使用したバインダの種類にも依存するが、200〜450℃であると好ましく、240〜400℃であるとより好ましい。また、脱脂処理時間としては、特に制限されないが、5時間以上であると好ましく、10時間以上であるとより好ましい。さらに、上記熱処理の雰囲気は、空気中、または窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行うことができるが、操作の簡便さの点から、空気中で行うことが好ましい。
(2−3)焼成工程
本工程では、上記工程(2−2)において得られたグリーンシート(またはグリーンチップ)を、焼成する。焼成方法は、従来公知の方法により行うことができる。
このとき、焼成温度としては、1050℃〜1300℃であると好ましく、1100℃〜1275℃であるとより好ましく、1125℃〜1250℃であるとさらに好ましい。また、熱処理時間としては、特に制限されないが、好ましくは1〜4時間、より好ましくは1.5〜3時間、さらに好ましくは2〜3時間である。焼成の雰囲気は、特に制限されず、空気中、窒素、アルゴン等の不活性ガス中、または窒素やアルゴンに水素、水蒸気等が混合された還元雰囲気中などが挙げられる。
≪セラミック電子部品≫
本発明は、上記誘電体セラミックスまたは上記の製造方法により得られる誘電体セラミックスを含む、セラミック電子部品を提供する。上記誘電体セラミックスは、平均結晶粒子径が小さく、結晶粒子径のバラツキが小さく、高い誘電特性を有する。したがって、本発明の誘電体セラミックスまあは本発明の製造方法により得られる誘電体セラミックスは、種々のセラミック電子部品に好適に用いることができ、該誘電体セラミックスを用いたセラミック電子部品は信頼性が優れたものとなる。以下、セラミック電子部品の一例である、積層セラミックコンデンサについて説明する。
(積層セラミックコンデンサ)
グリーンシート(またはグリーンチップ)を焼成することにより得られる誘電体セラミックスは、薄膜状となっており、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の誘電体層として用いることができる。積層セラミックコンデンサの製造方法としては特に制限されないが、例えば、以下のようにして製造される。
まず、前記グリーンシート上に、各種金属等を含有する内部電極用導電性ペーストを所定形状にスクリーン印刷して、内部電極用導電性ペースト膜を形成する。内部電極の材料としては特に制限されず、例えば、Cu、Ni、W、Mo、Ag等の金属またはこれらの合金等からなるものなどが挙げられる。
外部電極の材料としては特に制限されず、例えば、Cu、Ni、W、Mo、Ag等の金属またはこれらの合金;In−Ga、Ag−10Pd等の合金;カーボン、グラファイト、カーボンとグラファイトとの混合物等からなるものなどが挙げられる。
次いで、内部電極用導電性ペースト膜が形成された複数のグリーンシートを積層するとともに、これらグリーンシートを挟むように、導電性ペースト膜が形成されていないグリーンシートを積層して、圧着した後、必要に応じてカットすることによって、積層体(グリーンチップ)を得る。
そして、得られた積層体(グリーンチップ)に脱バインダ処理を施した後、当該グリーンチップを、不活性ガス雰囲気下において焼成して、コンデンサチップ体を得る。コンデンサチップ体においては、グリーンシートを焼成してなる焼結体からなる誘電体層と内部電極とが交互に積層されている。
なお、得られたコンデンサチップ体には、誘電体層を再酸化するためアニール処理を施すことが好ましい。
次に、コンデンサチップ体の端面から露出した内部電極の各端縁それぞれに外部電極が電気的に接続するように、コンデンサチップ体の端面上に、上記の各種金属等を含有する外部電極用ペーストを塗布することによって外部電極を形成する。そして、必要に応じ、外部電極表面に、めっき等により被覆層を形成する。このようにして、積層セラミックコンデンサを製造することができる。
セラミック電子部品の一例として上記積層セラミックコンデンサを挙げたが、本発明に係るセラミック電子部品は、これに限定されるものではない。例えば、高周波モジュール、サーミスタ用電子部品、またはこれらの複合部品等、種々の他の部品が挙げられる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、チタン酸バリウムを含む粒子の平均結晶粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、倍率30000倍で粒子100個を観察し、結晶粒子径を測長し、その平均値を、チタン酸バリウムを含む粒子の平均結晶粒子径とした。また、c軸/a軸比は、25℃におけるa軸長(a軸方向の格子定数)およびc軸長(c軸方向の格子定数)から算出される値であり、X線回折(XRD)のピーク強度の解析結果を用いて算出されたものである。
≪誘電体セラミックスの製造≫
(実施例1)
・層状チタン酸の製造
まず、誘電体セラミックス作製に必要な層状チタン酸(H1.07Ti1.73)の製造方法を示す。
二酸化チタン(TiO:和光純薬工業株式会社製)6.91g、水酸化カリウム(KOH:和光純薬工業株式会社製)5.05g、水酸化リチウム一水和物(LiOH・(HO):和光純薬工業株式会社製)0.57gをイオン交換水(HO)溶媒に加え、オートクレーブを用い、250℃、24時間で水熱合成を行った。その後、室温(25℃)までオートクレーブを放冷し、合成した試料をイオン交換水で洗浄、吸引濾過した後、乾燥オーブンを用い60℃で12時間乾燥させ、チタン酸リチウムカリウム粉末を得た。
続いて、上記で得られたチタン酸リチウムカリウム粉末を0.5mol/l 硝酸(HNO:和光純薬工業株式会社製)1.0l当たり10gになるように添加し、室温(25℃)で12時間、マグネティックスターラーで攪拌し、KおよびLiとHとのイオン交換を行った。このとき、完全にイオン交換を行うために、上記の酸処理を2度行った。イオン交換した試料を蒸留水で洗浄、吸引濾過した後に乾燥させ、層状チタン酸粉末(組成:H1.07Ti1.73)を得た。なお、層状チタン酸粉末の組成および構造は、XRDパターン(X線回折)の解析により確認した。
・誘電体セラミックス
続いて、誘電体セラミックスの製造方法を示す。
上記で得られた層状チタン酸粉末(H1.07Ti1.73)0.561gと、Ba(OH)・8HO 2.480gとを混合し(Ba/Ti=1.2(原子比))、蒸留水/エタノール混合溶液(4ml/36ml 合計40ml)を溶媒として、オートクレーブ(容積100ml)を用いて、280℃で12時間ソルボサーマル合成を行った。その後、80℃の蒸留水にて洗浄しながら吸引ろ過、乾燥を行い、平均結晶粒子径が90nmであり、c軸/a軸比=1.0064であるチタン酸バリウム粉末を得た。
溶媒としてトルエンおよびエタノールの混合溶媒(1:1質量比)66.5gを用い、上記で得られたチタン酸バリウム粉末 35g、および焼結助剤等の添加物(BaCO 0.335g、SiO 0.113g、MgO 0.076g、Mn 0.017g、Dy 0.224g)を溶媒に添加した。さらに分散剤(DISPERBYK(登録商標)103、ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.895g、バインダ(PVA)5.25g、および可塑剤(DOP)2.14gを溶媒に添加後、25℃で20時間混合し組成物を調製した。得られた組成物を用いて、ドクターブレード法によりシート成形を行った。厚みが1mmになるようにシートを積層し、WIP(温間等方圧加圧法)にて80℃、49MPa、5分の条件で熱圧着を行い、ブロックを作製した。このブロックを10mm四方にカットし、400℃にて24時間、脱脂処理を行い、1190℃で2時間、還元雰囲気中で焼成を行い、誘電体セラミックスを得た。
(実施例2)
上記実施例1のチタン酸バリウム粉末の製造方法において、ソルボサーマル合成の温度を230℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粉末を得た。この後、さらに実施例1と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
(実施例3)
上記実施例1のチタン酸バリウムの製造方法において、Ba/Ti=1.1(原子比))となるように層状チタン酸およびBa(OH)・8HOの使用量を変更したこと以外は、実施例2と同様にしてチタン酸バリウム粉末を得た。また、この後、焼成温度を1160℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
(実施例4)
焼成温度を1190℃に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
(実施例5)
焼成温度を1215℃に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
(比較例1)
Ba/Ti=0.9(原子比)となるように、層状チタン酸およびBa(OH)・8HOの使用量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
(比較例2)
層状チタン酸の代わりに、TiO(チタニア、昭和電工株式会社製、商品名:スーパータイタニア(登録商標)F−6)を0.52g用いたこと以外は、実施例2と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
(比較例3)
層状チタン酸の代わりに、TiO(チタニア、昭和電工株式会社製、商品名:スーパータイタニア(登録商標)F−6)を0.52g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、誘電体セラミックスを得た。
≪評価≫
上記実施例および比較例で得られた誘電体セラミックスについて、以下の通り、評価した。
<相対密度>
アルキメデス法により、各誘電体セラミックスをn=3にて密度を測定した。理論密度を6.02g/cmとし、実測密度を理論密度で除して相対密度を算出した。
<平均結晶粒子径(grain径)>
誘電体セラミックスをSEMにて倍率30000倍で粒子100個を観察し、結晶粒子径を測長し、その平均値を平均結晶粒子径(grain径)とした。SEM写真からの結晶粒子径の測長は、画像解析により円相当径を算出することにより求めた。
<変動係数>
結晶粒子径の変動係数は、誘電体セラミックスの結晶粒子径の標準偏差を上記平均結晶粒子径(grain径)で除して算出した。
<比誘電率>
電極としてインジウム−ガリウム(In−Ga)合金を各誘電体セラミックスの上下面に塗布し、LCRメーター(Agilent社製 4284A 測定条件:AC印加電圧1.0V/mm、周波数1kHz)を用いて比誘電率の測定を行った。
<絶縁抵抗(IR)>
アジレント・テクノロジー株式会社製、ハイレジスタンスメータ4339Bを使用し、印加電圧DC:250V、印加時間60秒で測定を行った。
実施例および比較例のチタン酸バリウムおよび誘電体セラミックスの特性(評価結果)について、下記表1に示す。
上記表1より、実施例の誘電体セラミックスは比誘電率が高く、平均結晶粒子径が小さく、かつ結晶粒子径の変動係数が小さいことが確認された。この結果から、本発明の誘電体セラミックスを用いた場合、セラミック電子部品の信頼性が向上することが示唆された。一方、比較例の誘電体セラミックスは、結晶粒子径の変動係数が大きく、これを用いるセラミック電子部品の信頼性が低下することが示唆された。

Claims (6)

  1. 原子比として、1<バリウム/チタン≦1.2(ただし、バリウム/チタン≦1.03を除く)の混合比のチタン酸バリウムを主成分とし、平均結晶粒子径が200nm以下であり、結晶粒子径の変動係数が30%以下であり、かつ比誘電率が1500以上である、誘電体セラミックス。
  2. 層状チタン酸またはその塩とバリウム化合物とを、バリウム/チタン>1(原子比)の混合比で合成させ、チタン酸バリウムを含む粒子を得る工程と、
    前記チタン酸バリウムを含む粒子と焼結助剤を含む副成分とを混合した後成形し、成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、
    を含む、請求項1記載の誘電体セラミックスの製造方法。
  3. 前記チタン酸バリウムのペロブスカイト構造のc軸/a軸比が1.004以上である、請求項に記載の誘電体セラミックスの製造方法。
  4. 前記チタン酸バリウムを含む粒子を得る工程は、前記層状チタン酸またはその塩と前記バリウム化合物とを、18時間以下の時間で、かつ150℃以上280℃以下の温度で加熱する工程を含む、請求項2または3に記載の誘電体セラミックスの製造方法。
  5. 水熱合成またはソルボサーマル合成によって前記層状チタン酸またはその塩を得る工程をさらに含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の誘電体セラミックスの製造方法。
  6. 請求項1記載の誘電体セラミックスを含む、セラミック電子部品。
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