JP6559088B2 - 通信機および衛星通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、衛星通信システムに関するものである。
特許文献1には、非線形歪み補償の効果を最大限に発揮させるための技術として、歪み補償回路と高出力増幅器との間で発生する周波数特性(線形歪み)を前置補償する技術が開示されている。
特許文献1に開示された技術は、歪み補償回路からの出力信号と高出力増幅器からの出力情報とを元に、周波数特性を補償するためのフィルタ係数を更新するものである。
特許文献1に開示された技術では、送信機の内部にフィードバックループが形成される。そのため、本技術は、送信機の小型化及び低消費電力化という点で、課題を有する。
一方、観測衛星によって取得された観測データが観測衛星から地上局に伝送される衛星通信システムでは、観測衛星に搭載される送信機を小型化及び低消費電力化する必要がある。そのため、フィードバックループが送信機の内部に形成されない方が望ましい。
非特許文献2には、フィードバックループが内部に形成されずに簡易なオープンループ型で構成される送信機が開示されている。
しかし、この送信機では、前置補償用のフィルタ係数をフィードバックループによって更新することができない。そのため、アナログ回路の経年変化等によって前置補償用のフィルタが次第に機能しなくなり、歪み補償回路と高出力増幅器との間で発生する周波数特性(線形歪み)が増加する。その結果、非線形歪み補償の効果が低減してしまう。
特許第5137973号公報
深見、渡邊 他、"超小型衛星「ほどよし4号」用X帯348Mbps通信システムの軌道上実証"、信学技報 SANE2014−132、SAT2014−58、2015年2月
本発明は、衛星局において、送信機の小型化および低消費電力化と、送信機の良好な非線形歪み補償とを両立できるようにすることを目的とする。
本発明の通信機は、アナログ回路と前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとを備える通信相手と通信する通信機である。
前記通信機は、
前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
算出された新たなフィルタ係数を前記通信相手に送信する送信部とを備える。
本発明によれば、衛星局において、送信機の小型化および低消費電力化と、送信機の良好な非線形歪み補償とを両立することができる。
実施の形態1における衛星通信システム100の構成図。 実施の形態1における観測信号送信機220の構成図。 実施の形態1における符号化/変調部230の構成図。 実施の形態1におけるアップコンバータ240の構成図。 実施の形態1における観測信号受信機320および係数制御部390の構成図。 実施の形態1におけるダウンコンバータ330の構成図。 実施の形態1における観測信号送信方法のフローチャート。 実施の形態1における周波数補償回路222の動作を示す図。 実施の形態1における観測信号受信方法のフローチャート。 実施の形態1における補償制御方法のフローチャート。 実施の形態2における観測信号送信機220の構成図。 実施の形態2におけるデジタル変調器239の構成図。 実施の形態2におけるデジタル変調器239の構成図。 実施の形態3における観測信号送信機220の構成図。 実施の形態4における観測信号送信機220の構成図。
実施の形態1.
衛星通信システム100について、図1から図10に基づいて説明する。
***構成の説明***
図1に基づいて、衛星通信システム100の構成を説明する。
衛星通信システム100は、衛星局200と地上局300とを備える。
衛星局200は、地上局300と通信する人工衛星である。具体的には、衛星局200は、地球を周回しながら地球を観測する観測衛星である。
衛星局200は、観測信号送信機220とコマンド受信機211とテレメトリ送信機212とを備える。さらに、衛星局200は、送信アンテナ201と通信アンテナ202とを備える。送信アンテナ201は送信用のアンテナであり、通信アンテナ202は送受信用のアンテナである。
観測信号送信機220は、送信アンテナ201を用いて、地上局300に観測信号112を送信する。観測信号112は、観測データを含んだ信号である。観測データは、地球を観測して得られたデータである。観測信号送信機220は、線形歪みを補償するために用いられるデジタルフィルタを有する。
コマンド受信機211は、通信アンテナ202を用いて、地上局300から送信されるコマンド信号122を受信する。コマンド信号122は、コマンドデータを含んだ信号である。コマンドデータは、衛星局200を制御するためのデータである。
テレメトリ送信機212は、通信アンテナ202を用いて、テレメトリ信号132を地上局300に送信する。テレメトリ信号132は、テレメトリデータを含んだ信号である。テレメトリデータは、衛星局200の状態を示すデータである。
観測信号112は、Ka帯と呼ばれる周波数帯を用いて通信される。
コマンド信号122およびテレメトリ信号132は、コマンド/テレメトリ回線を用いて送信される。コマンド/テレメトリ回線は、コマンド信号122およびテレメトリ信号132を通信するために使用される周波数帯である。コマンド/テレメトリ回線が観測信号112の通信に用いられるKa帯と干渉するのを避けるため、Ka帯とは異なる周波数帯がコマンド/テレメトリ回線として使用される。コマンド信号122の通信に用いられる回線をコマンド回線といい、テレメトリ信号132の通信に用いられる回線をテレメトリ回線という。
地上局300は、衛星局200と通信するシステムである。
地上局300は、観測信号受信機320と係数制御部390とコマンド送信機311とテレメトリ受信機312とを備える。
観測信号受信機320は、受信アンテナ301を用いて、衛星局200から送信される観測信号112を受信する。受信された観測信号112を受信信号という。
コマンド送信機311は、通信アンテナ302を用いて、衛星局200にコマンド信号122を送信する。
テレメトリ受信機312は、通信アンテナ302を用いて、衛星局200から送信されるテレメトリ信号132を受信する。
係数制御部390は、観測信号送信機220の周波数特性を補償および更新するために、フィルタ係数データを制御する。この周波数特性は線形歪みを意味する。フィルタ係数データは、フィルタ係数を示すデータである。フィルタ係数は、線形歪みを補償するために用いられるデジタルフィルタ用の係数である。
フィルタ係数データは、係数制御部390によって算出されて、コマンド信号122によって衛星局200に送信されて、観測信号送信機220に設定される。
観測信号送信機220に設定されたフィルタ係数データは、テレメトリ信号132によって地上局300に送信される。そして、係数制御部390によって算出されたフィルタ係数データが観測信号送信機220に設定されたことを確認するため、衛星局200から地上局300に送信されたフィルタ係数データと係数制御部390によって算出されたフィルタ係数データとの一致が確認される。
従来、衛星局に搭載される送信機の内部でフィードバック制御が行われることによって、送信機の周波数特性が更新される。
しかし、衛星局200と地上局300との組は、システムレベルでのフィードバック制御によって、観測信号送信機220の周波数特性を更新する。これにより、観測信号送信機220における線形歪み補償回路を、オープンループ型で実現することができる。オープンループ型の回路は、フィードバック制御を行わない簡易な回路である。
つまり、衛星通信システム100における観測信号送信機220は、小型化および低消費電力化と、線形歪み補償との両立を実現する効果を奏する。
図2に基づいて、観測信号送信機220の構成を説明する。
観測信号送信機220は、符号化/変調部230と、歪み補償回路221と、周波数補償回路222と、アップコンバータ240と、増幅器223と、バンドパスフィルタ224といった要素を備える。各要素の機能については後述する。
図3に基づいて、符号化/変調部230の構成を説明する。
符号化/変調部230は、符号化器231とデジタル変調器239といった要素を備える。デジタル変調器239は、マッピング部232と波形整形フィルタ233といった要素を備える。各要素の機能については後述する。
図4に基づいて、アップコンバータ240の構成を説明する。
アップコンバータ240は、直交変調部241とDA変換器242と周波数変換部243といった要素を備える。DAはデジタル−アナログの略称である。各要素の機能については後述する。
図5に基づいて、観測信号受信機320および係数制御部390の構成を説明する。
観測信号受信機320は、ダウンコンバータ330と復調器340と復号部350と信号発生器329といった要素を備える。復調器340は、等化器341と検波器342とデマッピング部343といった要素を備える。各要素の機能については後述する。
係数制御部390は、再変調部391と信頼度算出部392と特性推定部393と係数算出部394と係数比較部395といった要素を備える。各要素の機能については後述する。
図6に基づいて、ダウンコンバータ330の構成を説明する。
ダウンコンバータ330は、周波数変換部331とAD変換部332と直交検波部333と受信フィルタ334といった要素を備える。ADはアナログ−デジタルの略称である。各要素の機能については後述する。
***動作の説明***
衛星通信システム100の動作は衛星通信方法に相当する。
衛星通信方法を構成する各方法について以下に説明する。
図7に基づいて、観測信号送信方法を説明する。
観測信号送信方法は、観測信号送信機220が観測信号112を送信する方法である。
ステップS201は符号化処理および変調処理である。
ステップS201において、観測データ111が符号化/変調部230に入力される。
符号化/変調部230は、観測データ111に対して符号化および変調を行う。
具体的には、符号化/変調部230の各要素が、以下のように動作する。
符号化器231は、観測データ111に対して誤り訂正用の符号化を行い、符号化された観測データ111に対して変調指数に対応する直列並列変換を行う。変調指数は、デジタル変調器239における変調方式の指数である。
変調方式が16QAMまたは16APSKである場合、変調指数は4である。変調指数が4である場合、符号化器231は、直列並列変換によって、符号化された観測データ111を4つのデータに変換する。そして、符号化器231は、観測データ111を変換して得られる4つのデータを出力する。
変調方式がQPSKである場合、変調指数は2である。変調指数が2である場合、符号化器231は、直列並列変換によって、符号化された観測データ111を2つのデータに変換する。そして、符号化器231は、観測データ111を変換して得られる2つのデータを出力する。
符号化器231から出力されるデータを符号化データという。
デジタル変調器239は、予め決められた変調方式によって、符号化データを変調する。
具体的には、デジタル変調器239の各要素が、以下のように動作する。
マッピング部232は、符号化データを{I,Q}軸にマッピングする。
波形整形フィルタ233は、マッピングされた符号化データを所定の周波数特性で帯域制限する。所定の周波数特性の一例は、ルートロールオフ特性である。
デジタル変調器239の出力は、IデータおよびQデータである。
Iデータは同相データを意味し、Qデータは直交データを意味する。
IデータおよびQデータのサンプリング速度は、一般的には、シンボルレートの2倍から8倍の範囲内の速度である。しかし、IデータおよびQデータのサンプリング速度は、これに限られるものではない。
ステップS202は歪み補償処理である。
ステップS202において、IデータおよびQデータが歪み補償回路221に入力される。
歪み補償回路221は、IデータおよびQデータに対して、増幅器223の非線形特性に対応する逆非線形処理を行う。
この逆非線形処理は、増幅器223の非線形特性を打ち消すための処理である。非線形特性には、AM−AM特性およびAM−PM特性がある。
歪み補償回路221の出力は、逆非線形処理後のIデータおよびQデータである。逆非線形処理後のIデータを歪み補償Iデータといい、逆非線形処理後のQデータを歪み補償Qデータという。歪み補償Iデータと歪み補償Qデータとを総称して歪み補償データという。
ステップS203は周波数補償処理である。
ステップS203において、歪み補償Iデータおよび歪み補償Qデータが周波数補償回路222に入力される。
周波数補償回路222は、デジタルフィルタで構成される。具体的には、周波数補償回路222は、N段の複素FIRフィルタで構成される。FIRは、Finite Impulse Responseの略称である。
周波数補償回路222は、歪み補償Iデータと歪み補償Qデータとのそれぞれに逆特性X(f)を与える。
逆特性X(f)は、アップコンバータ240と増幅器223とバンドパスフィルタ224といった後段のアナログ回路で発生する周波数特性を打ち消すための周波数特性である。後段のアナログ回路で発生する周波数特性は、後段のアナログ回路で発生する線形歪みを意味する。
この逆特性X(f)は、衛星局200の打ち上げ前に予め求められる。具体的には、衛星局200の打ち上げ前に、後段のアナログ回路で発生する周波数特性を測定して得られた結果を逆算することによって、逆特性X(f)は求められる。
周波数補償回路222の出力は、逆特性X(f)が与えられた歪み補償Iデータおよび歪み補償Qデータである。逆特性X(f)が与えられた歪み補償Iデータを周波数補償Iデータといい、逆特性X(f)が与えられた歪み補償Qデータを周波数補償Qデータという。周波数補償Iデータと周波数補償Qデータとを総称して周波数補償データという。
ステップS204はアップコンバート処理である。
ステップS204において、周波数補償Iデータおよび周波数補償Qデータがアップコンバータ240に入力される。
アップコンバータ240は、周波数補償Iデータおよび周波数補償Qデータに対してアップコンバートを行う。
具体的には、アップコンバータ240の各要素が、以下のように動作する。
直交変調部241は、周波数補償Iデータと周波数補償Qデータとの組に対して直交変調を行う。直交変調により、周波数補償Iデータと周波数補償Qデータとの組がデジタルIF信号に変換される。デジタルIF信号は、中間周波数(IF)のデジタル信号である。
DA変換器242は、デジタルIF信号に対してデジタルアナログ変換を行う。デジタルアナログ変換により、デジタルIF信号がアナログIF信号に変換される。アナログIF信号は、中間周波数のアナログ信号である。
周波数変換部243は、アナログIF信号に対して周波数変換を行う。具体的には、周波数変換部243は、アナログフィルタとミキサとを備える。アナログフィルタの一例は、BPF(バンドパスフィルタ)である。そして、周波数変換部243は、信号抽出処理と乗算処理とを繰り返すことによって、周波数変換を行う。信号抽出処理は、アナログフィルタを用いて、所定の周波数の信号を抽出する処理である。乗算処理は、ミキサを用いてローカル信号を乗算する処理である。周波数変換により、アナログIF信号はアナログ周波数信号に変換される。アナログ周波数信号は、観測信号112に用いられる周波数帯(Ka帯)の周波数のアナログ信号である。
アップコンバータ240の出力はアナログ周波数信号である。
ステップS205は増幅処理である。
ステップS205において、アナログ周波数信号が増幅器223に入力される。
増幅器223は、アナログ周波数信号を増幅する。増幅されたアナログ周波数信号を高出力信号という。増幅器223の出力は高出力信号である。
ステップS206は不要成分除去処理である。
ステップS206において、高出力信号がバンドパスフィルタ224に入力される。
バンドパスフィルタ224は、高出力信号から不要成分を除去する。不要成分は、観測信号112に用いられる周波数帯の範囲外の周波数成分である。
図8に基づいて、周波数補償回路222の機能を説明する。
図8の(A)は、周波数補償回路222の入力スペクトラムを示す。入力スペクトラムは、入力される信号の周波数成分である。周波数補償回路222の入力には、歪み補償信号と第1不要成分とが含まれる。歪み補償信号は、歪み補償回路221から出力される歪み補償データの信号である。
図8の(B)は、周波数補償回路222の出力スペクトラムを示す。出力スペクトラムは、出力される信号の周波数成分である。周波数補償回路222の出力には、周波数補償信号と第1不要成分とが含まれる。周波数補償信号は、周波数補償回路222から出力される周波数補償データの信号である。周波数補償信号および第1不要成分に付された太線は、周波数補償回路222によって与えられる逆特性X(f)を示す。
図8の(C)は、周波数補償回路222の出力スペクトラムと総合特性T(f)とを示している。また、黒塗りの矢印は第2不要成分を示している。総合特性T(f)は、アップコンバータ240と増幅器223とバンドパスフィルタ224とのそれぞれの周波数特性を合成して得られる周波数特性である。図中の総合特性T(f)は、周波数補償信号の中心周波数を基準にして、各周波数特性を合成して得られる周波数特性である。
図8の(D)は、バンドパスフィルタ224の出力スペクトラムを示している。バンドパスフィルタ224の出力には、観測信号が含まれる。逆特性X(f)は、総合特性T(f)によって打ち消されている。第1不要成分および第2不要成分は、バンドパスフィルタ224によって除去されている。
バンドパスフィルタ224によって不要成分の除去と総合特性T(f)の平坦性とを両立することが困難である場合、総合特性T(f)の平坦性が犠牲にされる。しかし、総合特性T(f)の平坦性は、周波数補償回路222によって前置補償される。
不要成分の除去と総合特性T(f)の平坦性との両立は、総合特性T(f)の遷移域を減少させ、周波数特性を急峻にすれば可能である。しかし、急峻な周波数特性を実現する場合、アナログフィルタの次数の大幅な増加につながる。その結果、回路規模、容量および重量が増加するため、実現性が厳しい。
例えば、急峻な周波数特性は、DA変換器242が上限の速度でサンプリングを行っても、オーバーサンプル数が3〜4倍程度と低くなるような広帯域なIF信号が出力される場合に要求される。オーバーサンプル数は、サンプリング速度をシンボルレートで除算して得られる値である。
図8の(C)では、オーバーサンプル数が低くなった結果、送信したい信号成分(周波数補償信号)に対して、イメージ成分(第1不要成分)およびクロックリーク成分(第2不要成分)が周波数軸上で近い位置に発生している。
従来は、総合特性を急峻にすることで、これらの不要成分を除去し、周波数平坦性を保持しながら、観測信号が抽出されていた。しかし、実現性において課題が発生するため、観測信号送信機220では、不要成分の除去を主眼とし、平坦性を犠牲にして総合特性T(f)が設計される。具体的には、観測信号送信機220では、周波数補償信号の両端が傾斜してしまう。このような設計とすることで、アナログフィルタの次数を小さくすることができる。その結果、アナログ回路の小型化および軽量化を実現することができる。
さらに、観測信号送信機220では、総合特性T(f)による非平坦性を補償するために、周波数補償回路222で逆特性X(f)が与えられる。
周波数補償回路222は、図8の(A)(B)に示すように、歪み補償信号に対して、両端の特性を持ち上げるような逆特性X(f)を与える。そして、逆特性X(f)と総合特性T(f)とが互いの非平坦性を打ち消し合い、図8の(D)に示すように、観測信号が平坦化される。さらに、図8の(D)に示すように、総合特性T(f)によって、不要成分が除去される。
このような設計により、観測信号送信機220は、広帯域な信号を送信する場合でも、アナログ回路の小型化および軽量化と、送信信号の高性能化とを両立することができる。送信信号の高性能化は、高い平坦性と不要成分の抑制とを意味する。
なお、総合特性T(f)は、衛星局200が打上げられた後、経年変化および温度変化に応じて変化する可能性がある。総合特性T(f)が変化する場合、総合特性T(f)の変化に応じて逆特性X(f)を更新する必要がある。逆特性X(f)が更新されない場合、運用初期では、観測信号の平坦性が保たれる。その結果、非線形歪み補償の効果も得られる。しかし、運用途中から徐々に平坦性が崩れ、非線形歪み補償の効果が低減する。その結果、送信信号の品質が劣化していくことになる。
一方で、総合特性T(f)の変化を補償する機能を観測信号送信機220に加えることは、衛星局200の回路規模および消費電力の増加につながり、好ましくない。回路規模は、重量および容積を意味する
そこで、地上局300は、衛星局200から受信した受信信号を元に総合特性T(f)の変化の有無を検出する。そして、総合特性T(f)の変化がある場合、地上局300は、周波数補償回路222で用いる逆特性X(f)を更新するための制御を行う。
図9に基づいて、観測信号受信方法を説明する。
観測信号受信方法は、地上局300が受信信号を処理する方法である。受信信号は、受信アンテナ301に到達した信号である。受信信号には観測信号112の成分が含まれる。
ステップS301はダウンコンバート処理である。
ステップS301において、受信信号がダウンコンバータ330に入力される。
ダウンコンバータ330は、受信信号に対してダウンコンバートを行う。
具体的には、ダウンコンバータ330の各要素が、以下のように動作する。
周波数変換部331は、受信信号に対して周波数変換を行う。具体的には、周波数変換部331は、観測信号送信機220の周波数変換部243と同様に、アナログフィルタとミキサとを備える。そして、周波数変換部331は、観測信号送信機220の周波数変換部243と同様に、信号抽出処理と乗算処理とを繰り返すことによって、周波数変換を行う。周波数変換により、受信信号はアナログIF信号に変換される。
AD変換部332は、アナログIF信号に対してアナログデジタル変換を行う。アナログデジタル変換により、アナログIF信号がデジタルIF信号に変換される。
直交検波部333は、デジタルIF信号に対して直交検波を行う。直交検波により、デジタルIF信号からベースバンドI信号とベースバンドQ信号とが得られる。ベースバンドI信号とベースバンドQ信号とを総称してベースバンド信号という。ベースバンド信号は、ベースバンド帯の信号であり、ベースバンドは、基底帯域である。
受信フィルタ334は、ベースバンドI信号とベースバンドQ信号とを通過させ、不要成分を除去する。具体的には、受信フィルタ334は、高周波成分を除去するデジタルフィルタであり、高周波成分を除去してベースバンドI信号とベースバンドQ信号とを通過させる。
ダウンコンバータ330の出力は、ベースバンド信号である。
ステップS302は復調処理である。
ステップS302において、ベースバンド信号が復調器340に入力される。
復調器340は、ベースバンド信号を復調する。
具体的には、復調器340の各要素が、以下のように動作する。
等化器341は、ベースバンド信号の信号スペクトラムRx(f)に対して周波数等化を行う。
信号スペクトラムRx(f)は、線形歪み成分Δ(f)を用いて、以下の式(1)で表すことができる。信号スペクトラムRx(f)には雑音成分が含まれるが、式(1)では雑音成分を省略する。
Rx(f)=Tx(f)*Δ(f) 式(1)
Δ(f)=U(f)*P(f)*D(f)
Tx(f)は、受信信号の理想的な信号スペクトラムである。つまり、Tx(f)は、観測信号112の信号スペクトラムである。具体的には、Tx(f)は、受信信号の信号スペクトラムから衛星通信路とダウンコンバータ330とのそれぞれの周波数特性を除いて得られる信号スペクトラムである。信号スペクトラムは、信号の周波数成分である。
衛星通信路は、衛星通信の伝送路である。衛星通信は、衛星局200と地上局300との間で行われる通信である。
P(f)は、衛星通信路の周波数特性である。
一般的には、衛星通信路は、ガウス雑音伝送路である。ガウス雑音伝送路は、フェージングによる周波数変動が無い伝送路である。
そのため、衛星通信路が、観測信号112に対して周波数特性を与えることはほとんどない。但し、信号の無線周波数が高いほど、信号の減衰量が高くなる。そのため、観測信号112の周波数帯が広帯域である場合、観測信号112の信号スペクトラムに多少の傾斜が生じることになる。この傾斜は、信号スペクトラムの左端(最も低い周波数)から右端(最も高い周波数)にかけて信号スペクトラムが下がる周波数特性である。また、信号の無線周波数が高いほど、降雨による信号の減衰量が高くなる。そのため、降雨の発生によっても、観測信号112の信号スペクトラムに多少の傾斜が生じる。
D(f)は、ダウンコンバータ330の周波数特性である。具体的には、D(f)は、周波数変換部331に備わるアナログフィルタとミキサとのそれぞれの周波数特性を合成して得られる周波数特性である。
ダウンコンバータ330は、周波数特性を有するため、観測信号112の信号スペクトラムの平坦性を崩してしまう。
U(f)は、総合特性T(f)の変化に伴う周波数特性である。
総合特性T(f)が変化した場合、周波数補償回路222による周波数補償が不完全になり、周波数特性が発生する。
周波数等化は、線形歪み成分Δ(f)を信号スペクトラムRx(f)から除去する処理である。線形歪み成分Δ(f)は、CMA(Constant Modulus Algorithm)またはLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いて検出される。
線形歪み成分Δ(f)が除去された後の信号スペクトラムRx’(f)は、以下の式(2)で表される。
Rx’(f)=Rx(f)/Δ(f)=Tx(f) 式(2)
検波器342は、信号スペクトラムRx’(f)に対して同期検波を行う。
この同期検波により、IデータおよびQデータが得られる。
デマッピング部343は、IデータとQデータとに対してデマッピングを行う。
このデマッピングによって得られるデータを復調データという。
復調器340の出力は復調データである。
ステップS303は復号処理である。
ステップS303において、復調データが復号部350に入力される。
復号部350は、復調データに対して復号を行う。具体的には、復号部350は、誤り訂正復号を行う。この復号により、観測データ111が得られる。
復号部350の出力は、観測データ111である。
図10に基づいて、補償制御方法を説明する。
補償制御方法は、周波数特性を補償するためのフィルタ係数を観測信号送信機220に設定する方法である。
ステップS401は特性推定処理である。
ステップS401において、特性推定部393は、周波数特性U(f)の推定値U’(f)を算出する。
具体的には、特性推定部393は、線形歪み成分Δ(f)に対して周波数特性P(f)と周波数特性D(f)とを除算することによって、推定値U’(f)を算出する。
線形歪み成分Δ(f)は、図9のステップS302で等化器341によって算出されて、特性推定部393に入力される。
衛星通信路がガウス雑音伝送路であれば、周波数特性P(f)は信号の減衰量の差異だけによって変化するため、周波数特性P(f)は予め、この減衰特性と観測信号の無線周波数(中心周波数および信号帯域幅)の各情報を用いて、計算で求めることが可能である。
周波数特性D(f)は、観測信号112が受信されない時間帯にキャリブレーション処理を行って検出することが可能である。具体的には、信号発生器329が、キャリブレーション信号を生成する。キャリブレーション信号は、調整用の広帯域変調波であり、ダウンコンバータ330を介して等化器341に入力される。そして、等化器341は、キャリブレーション信号に対して周波数等化を行うことによって、周波数特性D(f)を検出する。周波数特性D(f)は、等化器341から特性推定部393に入力される。
特性推定部393の出力は、推定値U’(f)である。
ステップS402は信頼度算出処理である。
ステップS402において、信頼度算出部392は、推定値U’(f)の信頼度を算出する。
具体的には、信頼度算出部392は、受信信号のS/N比を推定値U’(f)の信頼度として算出する。S/N比は信号雑音比を意味する。具体的には、S/N比は、雑音干渉電力(N+I)に対する信号電力Sの比である。雑音干渉電力(N+I)は、雑音電力Nと干渉電力Iとの合計である。
受信信号のS/N比は以下のように算出される。
再変調部391は、復号部350から出力された観測データ111に対して符号化および変調を行う。符号化および変調の方法は、観測信号送信機220で用いられる方法と同じである。これにより、IデータのレプリカとQデータのレプリカとが得られる。Iデータのレプリカの信号点をIレプリカ信号点Irといい、Qデータのレプリカの信号点をQレプリカ信号点Qrという。また、Iレプリカ信号点IrとQレプリカ信号点Qrとを総称して信号点(Ir,Qr)という。
再変調部391の出力は、信号点(Ir,Qr)である。
信頼度算出部392には、再変調部391から出力される信号点(Ir,Qr)と検波器342から出力される信号点(Id,Qd)とが入力される。信号点(Id,Qd)は、Iデータ信号点とQデータ信号点との総称である。Iデータ信号点およびQデータ信号点は、検波器342によって得られるIデータとQデータとのそれぞれの信号点である。
まず、信頼度算出部392は、信号点(Ir,Qr)と信号点(Id,Qd)との距離の二乗値D^2を算出する。距離の二乗値D^2は、D^2=(Ir−Id)^2+(Qr−Qd)^2で表すことができる。「^2」は二乗を意味する。
次に、信号発生器329は、距離の二乗値D^2の平均を算出することによって、雑音干渉電力を求める。
実際には、信頼度算出部392は、信号点(Id,Qd)をメモリに蓄積し、遅延時間τが経過した後に雑音干渉電力(N+I)を求める。遅延時間τは、デマッピング処理と復号処理と再変調処理とのそれぞれの処理時間の合計である。デマッピング処理はデマッピング部343の処理であり、復号処理は復号部350の処理であり、再変調処理は再変調部391の処理である。
また、信頼度算出部392は、信号点(Ir,Qr)を用いて、信号点(Id,Qd)に対して無変調化処理を行う。無変調化処理は、全ての信号点を同一のベクトル角に揃える処理である。
次に、信頼度算出部392は、無変調化処理後の信号点(Id,Qd)のベクトルを合成し、合成後のベクトルを二乗することによって信号電力Sを求める。
具体的には、信頼度算出部392は、信号点(Id,Qd)に信号点(Ir,Qr)の複素共役を乗算する。次に、信頼度算出部392は、乗算して得られるベクトル信号を信号点(Ir,Qr)のベクトル長で除算することによって、無変調化処理を行う。次に、信頼度算出部392は、無変調化処理後の信号点(Id,Qd)のベクトルを合成し、合成して得られるベクトルに対してベクトル平均化を行う。ベクトル平均化は、合成して得られるベクトルを合成されたベクトルの数で除算する処理である。そして、信頼度算出部392は、ベクトル平均化後のベクトルを二乗して、信号電力Sを求める。
そして、信頼度算出部392は、信号電力Sと雑音干渉電力(N+I)とを用いて、S/N比(=S/(N+I))を求める。
ステップS403は係数算出処理である。
ステップS403において、係数算出部394には、特性推定部393から出力される推定値U’(f)と信頼度算出部392から出力される信頼度とが入力される。
係数算出部394は、推定値U’(f)と信頼度とを用いて、フィルタ係数を算出する。算出されるフィルタ係数は、周波数補償回路222を構成するデジタルフィルタ用の係数である。
具体的には、係数算出部394は、以下のようにフィルタ係数を算出する。
まず、係数算出部394は、信頼度閾値以上の信頼度に対応する推定値U’(f)を選択し、選択された推定値U’(f)の平均を求める。この平均を高精度推定値U’’(f)という。高精度推定値U’’(f)は、誤差が少ない高精度な推定値U’(f)である。
次に、係数算出部394は、高精度推定値U’’(f)の平坦度を検出する。平坦度は、周波数軸におけるフラットネスを意味する。具体的には、係数算出部394は、高精度推定値U’’(f)のリップルの値を平坦度として算出する。
観測信号送信機220の周波数補償回路222が理想的に動作していれば、高精度推定値U’’(f)の平坦度は高い。
一方、アップコンバータ240と増幅器223とバンドパスフィルタ224との総合特性は、衛星局200の打上げ後に経年および温度変動などの影響を受けて徐々に変化する。その結果、周波数補償回路222が正常に動作しなくなると、高精度推定値U’’(f)の平坦度は低下する。前述の通り、周波数補償回路222は、総合特性T(f)を打ち消すために、観測データ111に対して周波数特性X(f)を与えている。しかし、衛星局200の打上げ後に総合特性T(f)が変化してしまうと、周波数特性X(f)を更新しない限り、総合特性T(f)を打ち消すことができない。その結果、観測信号送信機220の周波数特性は、線形歪みが発生する劣化状態となる。
次に、係数算出部394は、高精度推定値U’’(f)の平坦度を平坦度閾値と比較する。平坦度閾値は基準となる平坦度を示す値である。
高精度推定値U’’(f)の平坦度が平坦度閾値より大きい場合(高精度推定値U’’(f)の平坦度が低い場合)、係数算出部394は、高精度推定値U’’(f)を用いて、新たな周波数特性X(f)を算出する。
i番目の周波数特性Xi(f)は、i番目の高精度推定値U’’i(f)を用いて、以下の式(3)で表すことができる。なお、周波数特性の初期値X0(f)は、予めメモリに記憶されている。iは1以上の整数である。
Xi(f)=X(i−1)(f)/U’’i(f) 式(3)
そして、係数算出部394は、周波数特性Xi(f)に対して逆フーリエ変換を行う。逆フーリエ変換は、周波数領域を時間領域に変換する処理である。
この逆フーリエ変換により、フィルタ係数C(i,k)が算出される。kは、1からNまでの整数である。Nは、周波数補償回路222を構成する複素FIRフィルタの段数である。
係数算出部394の出力は、フィルタ係数C(i,k)である。
ステップS404は仮設定処理である。
ステップS404において、フィルタ係数データ121であるフィルタ係数C(i,k)がコマンド送信機311に入力される。
コマンド送信機311は、フィルタ係数データ121を含んだコマンド信号122を生成し、コマンド信号122を衛星局200に送信する。コマンド信号122の通信にはコマンド回線が用いられる。
衛星局200において、コマンド受信機211は、コマンド信号122を受信し、コマンド信号122からフィルタ係数データ121を取得し、フィルタ係数データ121を出力する。出力されたフィルタ係数データ121は、周波数補償回路222に入力される。
周波数補償回路222は、フィルタ係数データ121であるフィルタ係数C(i,k)を仮設定する。具体的には、周波数補償回路222は、フィルタ係数C(i,k)をレジスタに設定するが、フィルタ係数C(i,k)を使用せず、現在のフィルタ係数C(i−1,k)を使用する。
ステップS405は本設定処理である。
ステップS405において、周波数補償回路222は、仮設定されたフィルタ係数C(i,k)を出力する。出力されたフィルタ係数C(i,k)は、リードバックデータ131として、テレメトリ送信機212に入力される。
テレメトリ送信機212は、リードバックデータ131を含んだテレメトリ信号132を生成し、テレメトリ信号132を地上局300に送信する。テレメトリ信号132の通信にはテレメトリ回線が用いられる。
地上局300において、テレメトリ受信機312は、テレメトリ信号132を受信し、テレメトリ信号132からリードバックデータ131を取得し、リードバックデータ131を出力する。出力されたリードバックデータ131は、係数比較部395に入力される。
係数比較部395は、リードバックデータ131であるフィルタ係数C(i,k)をフィルタ係数データ121であるフィルタ係数C(i,k)と比較する。
両方のフィルタ係数C(i,k)が異なる場合、仮設定処理(S404)からやり直しとなる。
両方のフィルタ係数C(i,k)が同じである場合、係数比較部395は、本設定コマンドを出力する。出力された本設定コマンドはコマンド送信機311に入力される。
コマンド送信機311は、本設定コマンドを含んだコマンド信号122を生成し、コマンド信号122を衛星局200に送信する。
衛星局200において、コマンド受信機211は、コマンド信号122を受信し、コマンド信号122から本設定コマンドを取得し、本設定コマンドを出力する。出力された本設定コマンドは、周波数補償回路222に入力される。
周波数補償回路222は、本設定コマンドに従って、フィルタ係数C(i,k)を本設定する。具体的には、周波数補償回路222は、現在のフィルタ係数C(i−1,k)を削除し、フィルタ係数C(i,k)の使用を開始する。
***実施の形態1の効果***
衛星局200と地上局300とが連携した一連の処理により、観測信号送信機220は、図2に示すようなオープンループ型の小型構成であっても、アナログ回路の周波数特性を誤りなく確実に補償し続けることができる。そのため、観測信号送信機220の小型化および低消費電力化と、高い送信性能の維持との両立を実現することができる。詳細には、一連の処理によって、歪み補償回路221と増幅器223との間の周波数特性(線形歪み)が経年とともに劣化することなく、常に小さな値に抑えられる。そのため、非線形歪み補償を高い効果で維持することができる。その結果、観測信号送信機220の良好な送信性能が実現される。
観測信号送信機220では、隣接する不要波を除去することを主眼に、信号通過帯域の平坦性を犠牲にして、アナログ回路の周波数特性が設計される。信号通過帯域の非平坦性は、周波数補償回路222で補償される。そのため、広帯域な信号が送信される場合でも、観測信号送信機220において、アナログ回路の小型化および軽量化と、送信信号の高性能化(高い平坦性、不要成分の抑制)とを両立することができる。
***他の構成***
衛星局200は、中継衛星であってもよい。中継衛星である衛星局200は、周回衛星から観測信号を受信し、観測信号から観測データを復調し、観測データを観測信号に再変調し、観測信号を地上局02に中継する。
高いS/N比が常に維持されるようなシステムでは、誤り訂正が必要とならない。誤り訂正が必要とならない場合、符号化器231は必ずしも必要ではない。但し、直列並列変換は必要である。
帯域外に不要成分が発生することが無いのであれば、バンドパスフィルタ224は必ずしも必要ではない。帯域外に不要成分(スプリアス等)が発生する可能性があることを前提に、観測信号送信機220はバンドパスフィルタ224を備える。
ダウンコンバータ330の周波数特性D(f)は、以下のように検出されてもよい。
信号発生器329は、ネットワークアナライザのように、無変調波CWをダウンコンバータ330に入力する。そして、特性推定部393は、ダウンコンバータ330に入力される無変調波CWと、ダウンコンバータ330を介して出力される無変調波CWとの時間差(位相差)およびレベル差を、入力周波数を変えながら検出する。検出される時間差およびレベル差は、ダウンコンバータ330の周波数特性D(f)に相当する。
受信信号にユニークワード等の既知のパターンを含める場合、信頼度算出部392は、復調および復号して得られたデータから既知のパターンを検出し、既知のパターンを用いてS/N比を推定することも可能である。この場合、既知のパターンの区間だけがS/N比の推定に使える区間となるが、再変調部391が不要となるため、回路規模を低減することができる。
信頼度は、受信信号の受信レベルであってもよい。その場合、係数算出部394は、自動利得制御(AGC)から得られる受信レベルPをしきい値Pthと比較する。受信レベルPがしきい値Pthを下回る場合、係数算出部394は、推定値U’(f)の信頼度が低いと判定する。受信レベルが用いられる場合、干渉電力も受信レベルに含まれてしまうため、S/N比を求めることができない。観測信号受信機320で発生する雑音電力Nが予め測定されるとしても、S/N比から信号品質を求めることになる。よって、受信信号にどの程度の干渉電力Iが含まれているかを評価することはできなくなる。しかし、再変調部391が不要となるため、回路規模を低減する効果が得られる。
係数算出部394は、一部の推定値U’(f)を用いずに高精度推定値U’’(f)を求めてもよい。
具体的には、係数算出部394は、推定値U’(f)と前回の高精度推定値U’’(f)との差分を算出する。差分が差分閾値より大きい場合、係数算出部394は、その推定値U’(f)を用いずに、今回の高精度推定値U’’(f)を求める。
また、前述の係数算出部394は、信頼度閾値以上の信頼度に対応する推定値U’(f)を選択し、選択された推定値U’(f)の平均を求める。しかし、信頼度情報を用いて推定値U’(f)を選択する機能は必須ではなく、伝搬路において常に高いC/N比が保持されるような好条件下では、全ての推定値U’(f)をそのまま平均化して高精度推定値U’’(f)を求めても良い。同様に、好条件下では、上記平均化処理も必須ではない。C/N比は、搬送波対雑音比である。
また、衛星局200が周回するような場合、信頼度情報として、地表に対する衛星局200の仰角を示す情報を用いても良い。一般に仰角が低いほど、衛星局200と地上局300との通信距離が長くなり、受信C/N比および受信レベルが低下する。よって、仰角が低い場合は、無条件に推定値U’(f)を選択せず、仰角が高い場合に得られた推定値U’(f)を用いるようにしても良い。または、仰角を示す情報と、前記S/N比の推定値との両方を用いて、推定値U’(f)の選択の可否を判断しても良い。
更に、推定値U’(f)を選択する又は選択しないの2者択一ではなく、信頼度情報が示す信頼度を0.0〜1.0の範囲で表現し、それをU’(f)に重み付けしても良い。
衛星局200が地上局300に送信するデータは、観測データ以外のデータであってもよい。
衛星局200は、人工衛星ではなく航空機であってもよい。
衛星通信システム100は、航空機と地上局300との間で通信が行われる無線通信システムであってもよい。
無線端末と地上局300との伝送路が、フェージング等による周波数特性の変動がないガウス雑音伝送路であれば、実施の形態を適用することができる。
実施の形態2.
観測信号送信機220が周波数補償回路222を備えない形態について、図11から図13に基づいて説明する。但し、実施の形態1と重複する説明は省略または簡略する。
***構成の説明***
衛星通信システム100の構成は実施の形態1と同じである。
衛星局200の通信機210の構成は実施の形態1と同じである。
但し、観測信号送信機220の構成は実施の形態1と一部異なる。
図11に基づいて、観測信号送信機220の構成を説明する。
観測信号送信機220は、実施の形態1で説明した周波数補償回路222を備えない。
フィルタ係数データ121は、コマンド受信機211から符号化/変調部230のデジタル変調器239に入力される。
リードバックデータ131は、符号化/変調部230のデジタル変調器239からテレメトリ送信機212に入力される。
デジタル変調器239は、周波数補償回路222の代わりに、周波数補償を行う。
観測信号送信機220は周波数補償回路222を備えないため、観測信号送信機220の回路規模が小さくなる。
地上局300の通信機310の構成は実施の形態1と同じである。
但し、地上局300から衛星局200に送信されるフィルタ係数は、波形整形フィルタ233用の係数である。
図12に基づいて、デジタル変調器239の構成を説明する。
デジタル変調器239は、ゼロ補間部234とFIRフィルタ235といった要素を備える。
FIRフィルタ235は、波形整形フィルタ233に相当するデジタルフィルタであり、レジスタ236とマッピング乗算部237との組をN組備える。マッピング乗算部237は、マッピング部2371と複素乗算器2372とを備える。
さらに、FIRフィルタ235は加算器238を備える。
また、FIRフィルタ235はフィルタ係数C(i,k)をk番目のマッピング乗算部237に入力するためのインタフェースを備えるが、そのインタフェースの図示は省略する。
FIRフィルタ235の各要素の動作については後述する。
***動作の説明***
まず、地上局300の係数算出部394による係数算出処理(S403)を説明する。
ステップS403において、係数算出部394は、デジタル変調器239のFIRフィルタ235用のフィルタ係数C(i,k)を算出する。
具体的には、係数算出部394は、フィルタ係数C(i,k)を以下のように算出する。
係数算出部394は、周波数特性Xi(f)に周波数特性Tx(f)を乗算する。周波数特性Xi(f)は、実施の形態1の式(3)で求まる周波数特性である。周波数特性Tx(f)は、波形整形フィルタ233が有する理想的な周波数特性である。理想的な周波数特性の一例は、ルートロールオフフィルタ特性である。乗算により得られる周波数特性を乗算特性という。
係数算出部394は、乗算特性に対して逆フーリエ変換を行う。この逆フーリエ変換により、フィルタ係数C(i,k)が得られる。
フィルタ係数C(i,k)は、衛星局200に送信されて、デジタル変調器239のレジスタ236に設定される。つまり、フィルタ係数C(i,k)は、デジタル変調器239のレジスタ236に仮設定および本設定される。
図12に基づいて、観測信号送信機220の動作を説明する。
ゼロ補間部234には、符号化器231から出力される符号化データが入力される。
変調方式が16QAMまたは16APSKである場合、これらの変調方式では1シンボル当たり4ビットの伝送が行われるため、符号化データのビット数は4ビットである。すなわち、符号化器231では1入力4出力の処理が行われる。
変調方式がQPSKである場合、この変調方式では1シンボル当たり2ビットの伝送が行われるため、符号化データのビット数は2ビットである。
ゼロ補間部234は、符号化データに対してゼロ補間処理を行う。具体的には、ゼロ補間部234は、符号化データ{D1,D2,D3,・・・}のデータ間にゼロを(M−1)個挿入する。Mは、シンボルレートに対するオーバーサンプル数である。オーバーサンプル数が2である場合、ゼロ補間処理後の符号化データは{D1,0,D2,0,D3,0,・・・}となる。
ゼロ補間部234の出力は、ゼロ補間処理後の符号化データである。
N個のレジスタ236は、N段のシフトレジスタを構成し、ゼロ補間部234からFIRフィルタ235に入力される符号化データのデータ系列を、入力速度に従って、1サンプル毎にシフトする。
n番目のマッピング部2371は、n番目のレジスタ236から出力される符号化データに対してマッピング処理を行う。具体的には、マッピング部2371は、符号化データをIデータとQデータとに変換する。
マッピング部2371の出力は、IデータおよびQデータである。
n番目の複素乗算器2372は、n番目のマッピング部2371の出力にフィルタ係数C(i,n)を複素乗算する。
複素乗算器2372の出力は、複素乗算後のIデータおよびQデータである。
加算器238は、N個の複素乗算器2372のそれぞれの出力を加算する。
加算器238の出力は、N個のIデータを加算して得られるIデータと、N個のQデータを加算して得られるQデータとである。
***実施の形態2の効果***
周波数補償回路222が不要であるため、観測信号送信機220の回路規模を小さくすることができる。
***他の構成***
データレートの高速化に伴い、1シンボル当たり2サンプルの動作が、デバイス性能上、厳しくなる場合、図13に示すように、ゼロ補間部234を削除して、加算器を2並列に構成してもよい。
図13において、デジタル変調器239は、FIRフィルタ235を備える。
FIRフィルタ235は、偶数用加算器238Aと奇数用加算器238Bとを備える。
偶数用加算器238Aには偶数番目のマッピング乗算部237が接続され、奇数用加算器238Bには奇数番目のマッピング乗算部237が接続される。
これにより、FIRフィルタ235を1シンボル当たり1サンプルで動作させることができる。この場合、符号化データ{D1,D2,D3,・・・}がそのまま、後段のレジスタ236に入力される。そのため、レジスタ236の入力速度は、1シンボル当たり2サンプルから1シンボル当たり1サンプルに半減する。これに伴い、レジスタ236の個数はN個からN/2個に半減する。そして、N/2個のレジスタ236はN/2段のシフトレジスタを構成する。なお、レジスタ236の出力速度は、1系列(1シンボル当たり2サンプル)から、2系列(1シンボル当たり1サンプル)に増加する。
FIRフィルタ235がゼロ補間部234を備える場合、ゼロ補間処理により、偶数サンプル時刻では、偶数番目のレジスタ出力がゼロとなる。その結果、偶数番目(♯2,♯4,…)の複素乗算器2372の出力もゼロとなる。同様に、奇数サンプル時刻では、奇数番目(♯1,♯3,…)の複素乗算器2372の出力がゼロとなる。
この性質を利用した場合、図13に示すように、p番目のレジスタ出力が、2p番目と(2p−1)番目との2つのマッピング乗算部237に同時に入力される。偶数用加算器238Aは、偶数番目のマッピング乗算部237の出力を全て加算し、その結果を偶数時刻の変調データ(Iデータ、Qデータ)として出力する。奇数用加算器238Bは、奇数番目のマッピング乗算部237の出力を全て加算し、その結果を奇数時刻の変調データとして出力する。
マッピング乗算部237はメモリで構成してもよい。具体的なメモリはRAM(Random Access Memory)である。
マッピング乗算部237に入力される符号化データのビット数が4ビットである場合、4ビットアドレスの規模のメモリでマッピング乗算部237が構成される。
FIRフィルタ235には周波数補償機能が組み込まれるため、マッピング乗算部237での複素乗算処理は、4個の乗算器と、2個の加算器とで構成される。そのため、FIRフィルタ235に周波数補償機能が組み込まれない場合と比較すると、回路規模は大きくなる。
これに対して、マッピング乗算部237がメモリで構成されれば、乗算器および加算器が不要となり、メモリのアドレスも変調指数分の僅かなビット数で済むため、回路規模が大幅に小さくなる。
メモリの内容を生成する方法について示す。はじめに、複素FIRフィルタの係数C(i,k)をソフトウエア上のマッピング乗算部237に予め設定する。その後、入力アドレスに相当する4ビット分の入力データ{0,1,2,…15}を変えながら、それぞれの入力データに対する複素乗算によって得られる結果(I振幅、Q振幅)を、メモリに書き込むデータとする。このようにして、地上局300の係数算出部394は、マッピング乗算部237に対応したメモリに書き込むデータを生成する。生成されたデータは、コマンド回線を用いて衛星局200に送信され、マッピング乗算部237を構成するメモリに書き込まれる。これにより、FIRフィルタ235の係数C(i,k)をマッピング乗算部237に設定する場合と、同様の動作を実現することができる。
このように、マッピング乗算部237をメモリで構成することで、FIRフィルタ235のフィルタ係数C(i,k)を更新する動作を実現しつつ、乗算器および加算器の数を大幅に減らすことができる。そのため、観測信号送信機220の回路規模を更に小さくすることができる。
実施の形態3.
観測信号送信機220が2つの周波数補償回路を備える形態について、図14に基づいて説明する。但し、実施の形態1と重複する説明は省略または簡略する。
***構成の説明***
衛星通信システム100の構成は実施の形態1と同じである。
衛星局200の通信機210の構成は実施の形態1と同じである。
但し、観測信号送信機220の構成は実施の形態1と一部異なる。
図14に基づいて、観測信号送信機220の構成を説明する。
観測信号送信機220は、2つの周波数補償回路(222A,222B)を備える。
周波数補償回路222Aは、符号化/変調部230と歪み補償回路221との間に接続され、バンドパスフィルタ224の周波数特性を補償する。
周波数補償回路222Bは、歪み補償回路221とアップコンバータ240との間に接続され、アップコンバータ240の周波数特性を補償する。
これにより、歪み補償回路221と増幅器223との間で発生するアナログの周波数特性(線形歪み)だけを、正確に補償することが可能となる。その結果、観測信号送信機220は、非線形歪み補償の効果を高め、良好な送信性能を実現することができる。
地上局300の通信機310の構成は実施の形態1と同じである。
但し、係数算出部394の出力は2種類のフィルタ係数であり、係数比較部395の入力は2種類のフィルタ係数である。
2種類のフィルタ係数は、フィルタ係数Ca(i,k)とフィルタ係数Cb(i,q)と記す。フィルタ係数Ca(i,k)は周波数補償回路222Aに与えられるフィルタ係数であり、フィルタ係数Cb(i,q)は周波数補償回路222Bに与えられるフィルタ係数である。
***動作の説明***
図14に基づいて、2つのフィルタ係数(Ca、Cb)の設定を説明する。
地上局300において、係数算出部394はフィルタ係数Ca(i,k)を算出し、フィルタ係数Ca(i,k)をフィルタ係数データとして出力する。
コマンド送信機311は、フィルタ係数データを含んだコマンド信号122を衛星局200に送信する。
衛星局200において、コマンド受信機211はコマンド信号122を受信し、コマンド信号122に含まれるフィルタ係数データであるフィルタ係数Ca(i,k)を出力する。
周波数補償回路222Aは、フィルタ係数Ca(i,k)を仮設定し、仮設定されたフィルタ係数Ca(i,k)を読み出し、読み出したフィルタ係数Ca(i,k)をリードバックデータとして出力する。
テレメトリ送信機212は、リードバックデータを含んだテレメトリ信号132を地上局300に送信する。
地上局300において、テレメトリ受信機312はテレメトリ信号132を受信し、テレメトリ信号132に含まれるリードバックデータであるフィルタ係数Ca(i,k)を出力する。
係数比較部395は、リードバックデータであるフィルタ係数Ca(i,k)をフィルタ係数データであるフィルタ係数Ca(i,k)と比較する。
両方のフィルタ係数Ca(i,k)が同じである場合、コマンド送信機311は、本設定コマンドを含んだコマンド信号122を衛星局200に送信する。
衛星局200において、コマンド受信機211はコマンド信号122を受信し、コマンド信号122に含まれる本設定コマンドを出力する。
周波数補償回路222Aは、本設定コマンドに従って、仮設定したフィルタ係数Ca(i,k)を本設定する。
フィルタ係数Cb(i,q)は、フィルタ係数Ca(i,k)と同様に、周波数補償回路222Bに仮設定および本設定される。
次に、地上局300の係数算出部394の動作について説明する。
係数算出部394は、高精度推定値U’’(f)を算出する。高精度推定値U’’(f)を算出する方法は、実施の形態1と同じである。
そして、係数算出部394は、観測信号送信機220に備わるバンドパスフィルタ224の周波数特性を複数用いて、2種類のフィルタ係数を生成する。
環境温度によってバンドパスフィルタ224の特性が変わる場合、バンドパスフィルタ224の複数の周波数特性Bk(f)は、衛星局200の打ち上げ前に、温度を変えながら測定することによって得られる。kは1以上R以下の整数である。Rはバンドパスフィルタ224の周波数特性の数である。
係数算出部394は、観測信号送信機220の温度に対応する周波数特性Bi(f)を、バンドパスフィルタ224の複数の周波数特性Bk(f)から選択する。観測信号送信機220の温度は、テレメトリ信号132に含まれるデータの1つである。
そして、係数算出部394は、選択された周波数特性Bi(f)で高精度推定値U’’(f)を除算することによって、アップコンバータ240の周波数特性Yi(f)を求める。
経年変化によってバンドパスフィルタ224の特性が変わる場合、経年変化に伴う特性変化を予想することによって、バンドパスフィルタ224の複数の周波数特性Bk(f)が得られる。
次に、係数算出部394は、周波数特性Bi(f)に対する逆フーリエ変換によって、フィルタ係数Ca(i,k)を求める。
また、係数算出部394は、周波数特性Yi(f)に対する逆フーリエ変換によって、フィルタ係数Cb(i,q)を求める。
***実施の形態3の効果***
観測信号送信機220は、2つの周波数補償回路(222A,222B)を備える。1つ目の周波数補償回路222Aは、バンドパスフィルタ224の周波数特性を補償する。2つ目の周波数補償回路222Bは、アップコンバータ240の周波数特性を補償する。補償に用いる各推定値の精度を高める処理が施されているため、歪み補償回路221と増幅器223との間で発生するアナログの周波数特性(線形歪み)を正確に補償することができる。その結果、観測信号送信機220は、非線形歪み補償の高い効果を奏する。また、観測信号送信機220は、オープンループ型の小型な構成でありながら、良好な送信性能を実現する。
***他の構成***
バンドパスフィルタ224の周波数特性Bi(f)を求めるため、事前に、アップコンバータ240の周波数特性Yk(f)を温度を変えながらR’個測定してもよい。その後、温度情報を用いて、R’個の周波数特性Yk(f)から周波数特性Yi(f)が選択される。そして、選択された周波数特性Yi(f)で高精度推定値U’’(f)が除算されることによって、バンドパスフィルタ224の周波数特性Bi(f)が求められる。
推定精度を高めたい場合、衛星局200の打ち上げ前に、バンドパスフィルタ224のR個の温度対周波数特性と、アップコンバータ240のR’個の温度対周波数特性とを測定し、バンドパスフィルタ224の周波数特性Bi(f)とアップコンバータ240の周波数特性Yi(f)とを求めてもよい。
例えば、係数算出部394は、観測信号送信機220の温度情報と、バンドパスフィルタ224の温度毎の周波数特性Bk(f)とをもとに、バンドパスフィルタ224の現在の周波数特性Bi’(f)を選択する。同時に、係数算出部394は、観測信号送信機220の温度情報と、アップコンバータ240の温度毎の周波数特性Yk(f)とをもとに、アップコンバータ240の周波数特性Yi’(f)を選択する。
さらに、係数算出部394は、周波数特性Yi’(f)を周波数特性Bi’(f)と乗算し、乗算結果を高精度推定値U’’i(f)と比較する。測定誤差およびアナログ回路の経年変化がなければ、両者は一致する。一方、測定誤差またはアナログ回路の経年変化があれば、両者は一致しない。
この性質を利用し、係数算出部394は、両者を比較する意味で、乗算結果を高精度推定値U’’i(f)で除算する。除算結果が周波数軸上で一定の値を示す場合、係数算出部394は、周波数特性Yi’(f)と周波数特性Bi’(f)とを採用する。
一方、除算結果が周波数軸上で一定の値を示さない場合、乗算結果と高精度推定値U’’i(f)との少なくともいずれかに誤差が加わっている。そのため、係数算出部394は、周波数特性Yi’(f)と周波数特性Bi’(f)とを採用しない。
このような検証が行われることで、衛星通信システム100は、確からしい周波数特性Yi’(f)と周波数特性Bi’(f)とを用いて周波数補償を実現することができる。そのため、観測信号送信機220の高い性能を安定して得ることができる。
また、平均化処理によって、周波数特性Yi’(f)と周波数特性Bi’(f)との推定精度を高めても良い。
例えば、係数算出部394は、Yi’(f)とU’’i(f)/Bi’(f)とを平均して得られる特性から、フィルタ係数Cb(i,q)を求める。また、係数算出部394は、Bi’(f)とU’’i(f)/Yi’(f)とを平均して得られる特性から、フィルタ係数Ca(i,k)を求める。
推定精度を更に高める場合、係数算出部394は、測定誤差等の要因も考慮して、周波数特性Yi’(f)、Bi’(f)、U’’i(f)毎に複数の候補を求めてもよい。そして、係数算出部394は、最も高い信号品質(S/N比)を実現する特性の組合せを選択する。
例えば、周波数特性Yi’(f)の候補は{Y1,Y2,Y3,Y4}の4つであり、周波数特性Bi’(f)の候補は{B1,B2,B3}の3つである。この場合、特性の組合せの数は12(=3×4)である。
この場合、地上局300は、一旦、試行期間に入り、観測信号送信機220の周波数補償回路222Aと周波数補償回路222Bとに対して、特性の組み合わせを設定する。その際、信頼度算出部392はS/N比を信頼度として記録する。
このような処理が特性の組み合わせ毎に試行される。その後、係数算出部394は、12個のS/N比の中で最も高いS/N比に対応する特性の組み合わせを選択する。そして、係数算出部394は、選択された組み合わせを用いてフィルタ係数Ca(i,k)とフィルタ係数Cb(i,q)とを生成する。そして、フィルタ係数Ca(i,k)は観測信号送信機220の周波数補償回路222Aに設定され、フィルタ係数Cb(i,q)は観測信号送信機220の周波数補償回路222Bに設定される。
高精度推定値U’’i(f)を用いた検証により、試行回数を減らし、設定までの一連の試行時間(=調整時間)を減らしても良い。
例えば、係数算出部394は、特性の組み合わせ毎に乗算処理を行う(Y1*B1,Y1*B2,Y1*B3,Y2*B1,…)。そして、係数算出部394は、乗算結果を高精度推定値U’’i(f)と比較する。乗算結果が高精度推定値U’’i(f)と一致しない場合、係数算出部394は、その組み合わせを試行対象から外す。これにより、試行回数を減らすことができる。
なお、高精度推定値U’’i(f)は1つに限定されるものではない。想定される測定誤差も考慮して高精度推定値U’’i(f)の複数の候補が求められてもよい。それぞれの候補に対して乗算結果が比較されることにより、判定精度が高められる
例えば、3つの候補{U1,U2,U3}のいずれにも乗算結果が一致しない場合に限り、係数算出部394は、当該組み合わせを試対象から外す。
なお、周波数特性Yi’(f)、Bi’(f)、U’’i(f)のそれぞれの候補の数は、2つ以上であれば幾つでも構わない。
周波数補償回路の数は、2つでなくてもよい。
例えば、観測信号送信機220は、周波数補償回路222Aを備えずに、周波数補償回路222Bを備えてもよい。周波数特性Yi’(f)の候補が{Y1,Y2,Y3,Y4}の4つである場合、試行期間において、周波数補償回路222Bに対して、各候補{Y1,Y2,Y3,Y4}に対応するフィルタ係数Cb(i,q)が順次設定される。そして、4回の試行の後、最も高いS/N比に対応するフィルタ係数が正式に採用される。
このように、S/N比をモニタしながら、最も確からしい周波数特性の組み合わせが選択されることで、観測信号送信機220の送信性能を高めることができる。
周波数特性を切り替える試行処理は、出来るだけ同じ伝搬路を用いて、S/N比が高い条件下(例えば、晴天時)で行うことが望ましい。そのため、衛星通信システム100は、S/N比が高い時間帯に、速やかに(数秒程度)で本試行処理を行うように動作する。また、S/N比が高い条件下であれば、実データを伝送する運用中に、このような試行が行われても、周波数特性のずれによる影響でビットエラーが発生することはないため、運用計画に支障を与えることはない。
実施の形態4.
歪み補償回路221が増幅器223の非線形特性と周波数特性とを前置補償する形態について、図15に基づいて説明する。但し、実施の形態1から実施の形態3と重複する説明は省略または簡略する。
***構成の説明***
衛星通信システム100の構成は実施の形態1と同じである。
衛星局200の通信機210の構成は実施の形態1と同じである。
但し、観測信号送信機220の構成は実施の形態1と一部異なる。
図15に基づいて、観測信号送信機220の構成を説明する。
歪み補償回路221は、増幅器223の非線形特性と周波数特性とを前置補償する高度な歪み補償方式を採用する。高度な歪み補償方式の一例はMP方式である。MPは、Memory Polynoialの略称である。
歪み補償回路221に対して、周波数補償回路222Aおよび周波数補償回路222Bと同様に、フィルタ係数Cd(i,w)が入出力される。
フィルタ係数Cd(i,w)は、増幅器223の非線形特性と周波数特性とを補償するデジタルフィルタ用の係数である。
***動作の説明***
周波数補償回路222Aは、バンドパスフィルタ224の周波数特性を前置補償する。
歪み補償回路221は、増幅器223の周波数特性と非線形特性とを前置補償する。
周波数補償回路222Bは、アップコンバータ240の周波数特性を前置補償する。
周波数補償回路222Aと歪み補償回路221と周波数補償回路222Bとのそれぞれで用いられるデジタルフィルタ用のフィルタ係数は、地上局300から送信されて、適宜更新される。
したがって、地上局300の係数算出部394は、周波数補償回路222A用のフィルタ係数Ca(i,k)と、周波数補償回路222B用のフィルタ係数Cb(i,q)と、歪み補償回路221用のフィルタ係数Cd(i,w)とを算出する。
つまり、係数算出部394は3通りのフィルタ係数を算出する。各フィルタ係数を算出するために、実施の形態3で説明した方法を適用することができる。
例えば、温度をパラメータにして、増幅器223の複数の周波数特性が予め測定される。衛星局200の打ち上げ後、係数算出部394は、テレメトリとして得られる観測信号送信機220の温度をもとに、増幅器223の周波数特性を選択する。そして、係数算出部394は、選択された周波数特性を用いてフィルタ係数Cd(i,w)を生成する。
なお、増幅器223の周波数特性は、増幅器223の入力レベルによっても変わる場合がある。そのため、係数算出部394は、増幅器223の入力レベルをテレメトリとして入手し、入手した入力レベルに対応する周波数特性を選択しても良い。
この場合、入力レベルをパラメータにして、増幅器223の複数の周波数特性が予め測定される必要がある。
増幅器223の入力レベルが得られず、観測信号送信機220の送信出力レベルが得られる場合、係数算出部394は、観測信号送信機220の送信出力レベルを用いて、増幅器223の入力レベルを算出してもよい。
係数算出部394は、測定誤差等の要因も考慮に入れて、観測信号送信機220の温度をもとに、増幅器223の周波数特性の候補と他のアナログ回路の周波数特性の候補との組み合わせから、最も高い信号品質(S/N比)に対応する組み合わせを選択してもよい。
増幅器223の周波数特性の候補が{D1,D2,D3,D4,D5}の5つであり、周波数特性Yi’(f)の候補が{Y1,Y2,Y3,Y4}の4つであり、周波数特性Bi’(f)の候補が{B1,B2,B3}の3つである場合、周波数特性の組み合わせの数は60(=5×4×3)である。
衛星通信システム100は、この60通りの組み合わせに対する試行を実施の形態3と同じく実施し、最も高いS/N比に対応する組み合わせを選択する。更に、衛星通信システム100は、選択された組み合わせを用いて、各フィルタ係数Ca(i,k),Cb(i,q),Cd(i,w)を算出する。そして、衛星通信システム100は、観測信号送信機220の周波数補償回路222Aと周波数補償回路222Bと歪み補償回路221とにフィルタ係数を設定する。
高精度推定値U’’i(f)を用いた検証により、試行回数を減らし、設定までの一連の試行時間(=調整時間)を減らしても良い。
また、周波数特性の候補の数は、2以上であれば、幾つでも構わない。
衛星通信システム100は、信号のS/N比をモニタしながら適切なフィルタ係数を求めることで、温度情報だけを用いてフィルタ係数を求める場合よりも、観測信号送信機220の送信性能を上げることができる。
***実施の形態4の効果***
観測信号送信機220は、増幅器223の非線形歪みと周波数特性とを、同時に補償するような高度な歪み補償方式にも対応する。そのため、増幅器223の周波数特性が生じる場合でも、非線形歪み補償の効果を損なうことなく、高性能な送信特性を維持することが可能となる。
実施の形態5.
地上局300の演算処理および回路規模を減らす形態について説明する。但し、実施の形態1から実施の形態4と重複する説明は省略または簡略する。
***構成の説明***
衛星通信システム100の構成は、実施の形態1と同じである。
***動作の説明***
衛星局200の打ち上げ前に、温度をパラメータにして、補償対象となるアナログ回路の単体の周波数特性が複数測定される。具体的なアナログ回路は、バンドパスフィルタ224およびアップコンバータ240である。
衛星局200が打ち上げられた後の運用時において、地上局300の係数算出部394は、テレメトリとして得られる観測信号送信機220の温度情報を元に、観測信号送信機220の温度に対応する周波数特性を選択する。更に、係数算出部394は、選択された周波数特性を用いて、フィルタ係数を算出する。係数比較部395は、算出されたフィルタ係数を、観測信号送信機220に設定されているフィルタ係数と比較する。観測信号送信機220に設定されているフィルタ係数は、係数算出部394によって算出された際にメモリに記憶される。両方のフィルタ係数が異なる場合、観測信号送信機220に設定されているフィルタ係数は、現在の温度に対して適切ではない。そのため、観測信号送信機220に設定されているフィルタ係数が更新されなければ、周波数補償および歪み補償が機能しなくなり、観測信号送信機220の通信性能に悪影響を与える状態になると予測される。
そこで、両方のフィルタ係数が異なる場合、コマンド送信機311は、新たに算出されたフィルタ係数を衛星局200に送信する。そして、観測信号送信機220は、新たに算出されたフィルタ係数を設定する。
この場合、係数算出部394は、温度情報をモニタして、選択動作を行えばよい。そのため、高精度推定値U’’i(f)を導くまでの一連の演算等が不要となる。それに伴い、特性推定部393および信頼度算出部392が不要となる。更に、等化器341の出力が不要になるため、復調器340は、等化器341の機能を省いた簡易な構成で実現することができる。
***実施の形態5の効果***
実施の形態5では、高精度推定値U’’i(f)を用いないため、実施の形態1から実施の形態4と比較すると、周波数補償の性能が劣る。しかし、実施の形態5では、地上局300の回路規模を大幅に減らすことができる。
なお、温度変動が速く、リアルタイムな制御が必要となる場合、テレメトリ回線およびコマンド回線の伝搬遅延の影響を受けて、適切な制御が行われなくなる。この場合、地上局300の係数算出部394は、現時点までに得られた温度の平均的な推移を元に伝搬遅延を見越して未来の温度を予測し、予測した未来の温度を元に周波数特性を選択すればよい。また、温度の平均化処理が行われるため、温度情報に誤差が乗じる場合も、その影響を軽減することができる。そのため、観測信号送信機220の周波数補償の性能が向上する。
このような温度情報の予測処理は、温度情報を用いる他の実施の形態にも適用することができる。そのため、温度変動が速く、リアルタイムな制御が必要となる場合でも、観測信号送信機220の良好な周波数補償を実現することができる。
***実施の形態の特徴***
実施の形態は、以下のような特徴を有する。括弧内には、実施の形態で使用した符号または名称を記す。
通信機(310)は、アナログ回路とアナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとを備える通信相手(210)と通信する。
通信機は、係数制御部(390)と送信部(311)とを備える。
係数制御部は、デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する。
送信部は、算出された新たなフィルタ係数を通信相手に送信する。
通信機は、新たなフィルタ係数が送信された後に通信相手から送信されるフィルタ係数である仮設定のフィルタ係数を受信する受信部(312)を備える。
係数制御部は、受信された仮設定のフィルタ係数を前記新たなフィルタ係数と比較する。
送信部は、仮設定のフィルタ係数が前記新たなフィルタ係数と同じである場合、仮設定のフィルタ係数を本設定させるための本設定コマンドを前記通信相手に送信する。
係数制御部は、アナログ回路の周波数特性の変化に伴う周波数特性の推定値を算出し、算出された推定値を用いて新たなフィルタ係数を算出する。アナログ回路の周波数特性の変化に伴う周波数特性は、変化前の周波数特性と変化後の周波数特性との差分である。
係数制御部は、今回以前に算出された推定値の平坦度を算出し、算出された平坦度を平坦度閾値と比較し、平坦度閾値が示す平坦度よりも算出された平坦度が低い場合に新たなフィルタ係数を算出する。
係数制御部は、前回の新たなフィルタ係数と今回の推定値とを用いて、今回の新たなフィルタ係数を算出する。
係数制御部は、算出された推定値の信頼度を算出し、信頼度閾値が示す信頼度よりも高い信頼度に対応する推定値を今回以前に算出された推定値から選択し、選択された推定値を用いて新たなフィルタ係数を算出する。
係数制御部は、通信相手の温度を示す温度情報を用いて、それぞれに異なる温度に対応付けられた複数の周波数特性から、通信相手の温度に対応する周波数特性を選択し、選択された周波数特性を用いて新たなフィルタ係数を算出する。
係数制御部は、複数の温度情報が示す通信相手の温度の推移から通信相手の温度を予測し、予測された温度に対応する周波数特性を通信相手の温度に対応する周波数特性として選択する。
通信機は、受信機(320)を備える。
係数制御部は、周波数特性毎にフィルタ係数を算出する。
送信部は、周波数特性毎にフィルタ係数を通信相手に送信する。
受信機は、周波数特性毎に周波数特性に対応するフィルタ係数が通信相手に送信された後に通信相手から送信される信号を受信信号として受信する。
係数制御部は、周波数特性毎に周波数特性に対応する受信信号の信号雑音比を信頼度として算出し、周波数特性毎の信頼度に基づいて周波数特性毎のフィルタ係数から新たなフィルタ係数を選択する。
衛星通信システム(100)は、衛星局通信機(210)と地上局通信機(310)とを備える。
衛星局通信機は、アップコンバータ(240)と増幅器(223)とバンドパスフィルタ(224)とをアナログ回路として備える。
衛星局通信機は、デジタルフィルタとして機能する周波数補償回路(222)を備える。
衛星局通信機は、周波数補償回路として、アップコンバータの周波数特性を前置補償する第1の周波数補償回路(222A)と、バンドパスフィルタの周波数特性を前置補償する第2の周波数補償回路(222B)とを備える。
係数制御部は、新たなフィルタ係数として、第1の周波数補償回路用の新たなフィルタ係数と、第2の周波数補償回路用の新たなフィルタ係数とを算出する。
衛星局通信機は、さらに、デジタルフィルタとして機能して増幅器の周波数特性を前置補償する歪み補償回路(221)を備える。
係数制御部は、さらに、新たなフィルタ係数として、歪み補償回路用の新たなフィルタ係数を算出する。
衛星局通信機は、デジタルフィルタとして機能するデジタル変調器(239)を備える。
デジタル変調器は、シフトレジスタを構成する複数のレジスタ(236)と、複数のレジスタに対応する複数の複素乗算器(2372)と、複数の複素乗算器それぞれの出力を加算する加算器(238)とを備える。
係数制御部は、新たなフィルタ係数として、複数の複素乗算器に対応する複数のフィルタ係数を算出する。
***実施の形態の補足***
観測信号送信機220、観測信号受信機320および係数制御部390の要素は、ハードウエア、ソフトウエアまたはハードウエアとソフトウエアとの組み合わせとのいずれで実現されてもよい。具体的なハードウエアは電子回路である。具体的なソフトウエアはプログラムである。プログラムはプロセッサによって実行される。
実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
100 衛星通信システム、111 観測データ、112 観測信号、121 フィルタ係数データ、122 コマンド信号、131 リードバックデータ、132 テレメトリ信号、200 衛星局、201 送信アンテナ、202 通信アンテナ、210 通信機、211 コマンド受信機、212 テレメトリ送信機、220 観測信号送信機、221 歪み補償回路、222 周波数補償回路、223 増幅器、224 バンドパスフィルタ、230 符号化/変調部、231 符号化器、232 マッピング部、233 波形整形フィルタ、234 ゼロ補間部、235 FIRフィルタ、236 レジスタ、237 マッピング乗算部、2371 マッピング部、2372 複素乗算器、238 加算器、238A 偶数用加算器、238B 奇数用加算器、239 デジタル変調器、240 アップコンバータ、241 直交変調部、242 DA変換器、243 周波数変換部、300 地上局、301 受信アンテナ、302 通信アンテナ、310 通信機、311 コマンド送信機、312 テレメトリ受信機、320 観測信号受信機、329 信号発生器、330 ダウンコンバータ、331 周波数変換部、332 AD変換部、333 直交検波部、334 受信フィルタ、340 復調器、341 等化器、342 検波器、343 デマッピング部、350 復号部、390 係数制御部、391 再変調部、392 信頼度算出部、393 特性推定部、394 係数算出部、395 係数比較部。

Claims (10)

  1. アナログ回路と前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとを備える通信相手と通信する通信機であって、
    前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
    算出された新たなフィルタ係数を前記通信相手に送信する送信部とを備え、
    前記通信機は、前記新たなフィルタ係数が送信された後に前記通信相手から送信されるフィルタ係数である仮設定のフィルタ係数を受信する受信部を備え、
    前記係数制御部は、受信された仮設定のフィルタ係数を前記新たなフィルタ係数と比較し、
    前記送信部は、前記仮設定のフィルタ係数が前記新たなフィルタ係数と同じである場合、前記仮設定のフィルタ係数を本設定させるための本設定コマンドを前記通信相手に送信する
    通信機。
  2. 前記係数制御部は、前記通信相手の温度を示す温度情報を用いて、それぞれに異なる温度に対応付けられた複数の周波数特性から、前記通信相手の温度に対応する周波数特性を選択し、選択された周波数特性を用いて前記新たなフィルタ係数を算出する
    請求項1に記載の通信機。
  3. 前記係数制御部は、複数の温度情報が示す前記通信相手の温度の推移から前記通信相手の温度を予測し、予測された温度に対応する周波数特性を前記通信相手の温度に対応する前記周波数特性として選択する
    請求項に記載の通信機。
  4. アナログ回路と前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとを備える通信相手と通信する通信機であって、
    前記アナログ回路の周波数特性の変化に伴う周波数特性の推定値を算出し、算出された推定値を用いて、前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
    算出された新たなフィルタ係数を前記通信相手に送信する送信部とを備え、
    前記係数制御部は、今回以前に算出された推定値の平坦度を算出し、算出された平坦度を平坦度閾値と比較し、前記平坦度閾値が示す平坦度よりも算出された平坦度が低い場合に前記新たなフィルタ係数を算出する
    通信機。
  5. 前記係数制御部は、前回の新たなフィルタ係数と今回の推定値とを用いて、今回の新たなフィルタ係数を算出する
    請求項に記載の通信機。
  6. アナログ回路と前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとを備える通信相手と通信する通信機であって、
    前記アナログ回路の周波数特性の変化に伴う周波数特性の推定値を算出し、算出された推定値を用いて、前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
    算出された新たなフィルタ係数を前記通信相手に送信する送信部とを備え、
    前記係数制御部は、算出された推定値の信頼度を算出し、信頼度閾値が示す信頼度よりも高い信頼度に対応する推定値を今回以前に算出された推定値から選択し、選択された推定値を用いて前記新たなフィルタ係数を算出する
    通信機。
  7. アナログ回路と前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとを備える通信相手と通信する通信機であって、
    前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
    算出された新たなフィルタ係数を前記通信相手に送信する送信部と
    受信機とを備え、
    前記係数制御部は、周波数特性毎にフィルタ係数を算出し、
    前記送信部は、周波数特性毎にフィルタ係数を前記通信相手に送信し、
    前記受信機は、周波数特性毎に周波数特性に対応するフィルタ係数が前記通信相手に送信された後に前記通信相手から送信される信号を受信信号として受信し、
    前記係数制御部は、周波数特性毎に周波数特性に対応する受信信号の信号雑音比を信頼度として算出し、周波数特性毎の信頼度に基づいて周波数特性毎のフィルタ係数から前記新たなフィルタ係数を選択する
    通信機。
  8. 星局通信機と、上局通信機とを備え、
    前記衛星局通信機は、
    アップコンバータと増幅器とバンドパスフィルタとをアナログ回路として備え、さらに、
    前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとして機能する周波数補償回路を備え、
    前記地上局通信機は、
    前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
    算出された新たなフィルタ係数を前記衛星局通信機に送信する送信部とを備え、
    前記衛星局通信機は、前記周波数補償回路として、前記アップコンバータの周波数特性を前置補償する第1の周波数補償回路と、前記バンドパスフィルタの周波数特性を前置補償する第2の周波数補償回路とを備え、
    前記係数制御部は、前記新たなフィルタ係数として、前記第1の周波数補償回路用の新たなフィルタ係数と、前記第2の周波数補償回路用の新たなフィルタ係数とを算出する
    衛星通信システム。
  9. 前記衛星局通信機は、さらに、前記デジタルフィルタとして機能して前記増幅器の周波数特性を前置補償する歪み補償回路を備え、
    前記係数制御部は、さらに、前記新たなフィルタ係数として、前記歪み補償回路用の新たなフィルタ係数を算出する
    請求項に記載の衛星通信システム。
  10. 星局通信機と、上局通信機とを備え、
    前記衛星局通信機は、
    アップコンバータと増幅器とバンドパスフィルタとをアナログ回路として備え、さらに、
    前記アナログ回路の周波数特性をフィルタ係数を用いて前置補償するデジタルフィルタとして機能するデジタル変調器を備え、
    前記地上局通信機は、
    前記デジタルフィルタに使用させる新たなフィルタ係数を算出する係数制御部と、
    算出された新たなフィルタ係数を前記衛星局通信機に送信する送信部とを備え、
    前記デジタル変調器は、
    シフトレジスタを構成する複数のレジスタと、
    前記複数のレジスタに対応する複数の複素乗算器と、
    前記複数の複素乗算器それぞれの出力を加算する加算器とを備え、
    前記係数制御部は、前記新たなフィルタ係数として、前記複数の複素乗算器に対応する複数のフィルタ係数を算出する
    衛星通信システム。
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