以下、図面を用いて実施形態について説明する。
図1は、送受信機の一実施形態を示す。
図1に示した送受信機150は、送信部10、レプリカ生成部15、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70、制御部80およびキャンセル部90を有する。
送信部10は、DAC(Digital to Analog Converter)11、ミキサ12およびPA(Power Amplifier)13を有する。また、送信部10は、送信アンテナ20に接続され、送信アンテナ20を介して送信信号を送信する。
DAC11は、送信部10に含まれる変調器によりQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の変調方式で変調されたデータを含むデジタルの送信信号を、クロック発生器60が出力するクロック信号に基づきアナログの送信信号に変換する。
ミキサ12は、データを含むアナログの送信信号(すなわち、ベースバンド信号)を、局部発振器50が出力するLO(Local)信号のRF(Radio Frequency)帯の周波数にアップコンバートする。
PA13は、生成された送信信号の電力を増幅する。そして、送信部10は、送信信号を送信アンテナ20およびレプリカ生成部15にそれぞれ出力する。
レプリカ生成部15は、送信部10から受けた送信信号を用いて送信信号のレプリカであるレプリカ信号を生成する。すなわち、レプリカ生成部15は、送信部10から受けた送信信号を送信信号のレプリカ信号とする。レプリカ生成部15は、送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70に出力する。
受信部40は、受信アンテナ30に接続され、受信アンテナ30を介して他の送受信機から送信された送信信号を受信する。また、送受信機150が同一周波数帯同時送受信を行うため、受信部40は、自装置の送信部10により送信された送信信号を、受信アンテナ30を介して受信する。以下、受信信号のうち、受信アンテナ30に回り込んだ自装置の送信信号は、回り込み自干渉信号とも称される。受信部40は、LNA(Low Noise Amplifier)41、ミキサ42、AGC(Automatic Gain Control)43およびADC(Analog to Digital Converter)44を有する。
LNA41は、低雑音の増幅器であり、受信アンテナ30を介して受信した受信信号を増幅する。
ミキサ42は、局部発振器50が出力するLO信号を用いて、RF帯域の周波数からベースバンド信号の周波数にダウンコンバートする。ミキサ42は、ベースバンドの受信信号をAGC43に出力する。
AGC43は、受信したベースバンドの受信信号の電力が所定の範囲内となるように、受信信号の電力レベルを制御し、制御された受信信号をADC44に出力する。また、AGC43は、受信信号に対して実行した利得制御の内容を示す利得情報を含む信号を、後述するフィードバック部70に含まれるAGC43に出力する。
ADC44は、クロック発生器60が出力するクロック信号に基づきベースバンドの受信信号をデジタル信号に変換する。そして、受信部40は、デジタル信号に変換された受信信号を制御部80およびキャンセル部90にそれぞれ出力する。
なお、上述のベースバンドの各信号は、IF(Intermediate Frequency)帯の信号としてもよい(以降のベースバンドに対しても同様である)。
局部発振器50は、VCO(Voltage-Controlled Oscillator)等の発振器であり、印加される電圧に応じて発振周波数を制御することで、所定の周波数のLO信号を生成する。局部発振器50は、送信部10のミキサ12、受信部40のミキサ42およびフィードバック部70に含まれるミキサ42の各々に生成したLO信号を出力する。
クロック発生器60は、送信部10のDAC11、受信部40のADC44およびフィードバック部70に含まれるADC44を動作させるクロック信号を生成する。そして、クロック発生器60は、送信部10のDAC11、受信部40のADC44およびフィードバック部70のDAC44の各々に生成したクロック信号を出力する。
フィードバック部70は、受信部40と同様に、LNA41、ミキサ42、AGC43およびADC44を有する。すなわち、フィードバック部70は、受信部40が受信する受信信号に対して実行するのと同じ受信処理を、レプリカ生成部15から受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行する。フィードバック部70は、同じ受信処理が実行されたフィードバック信号(すなわち、回り込み自干渉信号のレプリカ信号)を生成する。フィードバック部70は、生成したフィードバック信号を制御部80およびキャンセル部90に出力する。
制御部80は、プロセッサ等であり、送受信機150に含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150の各要素を制御する。
制御部80は、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して自装置の送信信号が回り込んだ回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。例えば、制御部80は、受信部40から受信した受信信号の電力と所定値とを比較し、所定値以上となった時刻を回り込み自干渉信号が到来した時刻として検出する。あるいは、制御部80は、フィードバック部70から受信したフィードバック信号と受信部40から受信した受信信号との相関処理を実行し、相関値がピークを示す時刻を回り込み自干渉信号が到来した時刻として検出してもよい。そして、制御部80は、例えば、送信部10が送信信号を送信してから受信部40が回り込み自干渉信号を受信するまでの送信信号の伝播時間を求める。伝搬時間は、例えば、使用するRFに応じて予め測定した送信部10および受信部40の各入出力間の通過時間の合計を、送信部10への入力時点から受信部40の出力時点の間の時間から差し引いた時間として算出される。
また、制御部80は、検出した時刻のタイミングで、フィードバック部70が生成したフィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較する。制御部80は、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、制御部80は、求めた差分情報と検出した時刻とを用いてレプリカ生成部15を制御する。例えば、制御部80は、伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミングで、レプリカ生成部15に対し、差分情報を用いて振幅および位相を変化させた送信信号のレプリカ信号を生成させ、フィードバック部70に出力させる。これにより、フィードバック部70は、受信部40から出力される受信信号と同じ時変動を示すフィードバック信号を生成できる。
なお、フィードバック部70のLNA41を省略して、LNA41による振幅および位相の変化量をレプリカ生成部15における振幅および位相の変化量に合算してもよい。
また、制御部80は、プログラムを実行することで、判定部81として動作する。判定部81は、キャンセル部90により回り込み自干渉信号が除去された受信信号において、受信信号に残留する回り込み自干渉信号の残量を、受信信号の電力から測定する。例えば、制御部80が回り込み自干渉信号の到来した時刻および差分情報を求めるトレーニング期間では、送受信機150は、所定のデータを含む送信信号(トレーニング信号)を送信する。すなわち、トレーニング期間では、送受信機150は、送信されたトレーニング信号の回り込み自干渉信号以外の信号を受信しない。このため、判定部81は、キャンセル部90から受信した受信信号、すなわち残留する回り込み自干渉信号の電力を残留誤差として測定できる。そして、判定部81は、測定した残留誤差の値がトレーニング期間の閾値以下か否かを判定する。なお、トレーニング期間の閾値は、制御部80がトレーニング期間に判定部81に設定する閾値であり、ノイズレベルと許容される残留する回り込み自干渉信号の電力とに基づいて設定される。
判定部81は、残留誤差の値がトレーニング期間の閾値以下の場合、回り込み自干渉信号がキャンセル部90で除去されたと判定する。この場合、制御部80は、検出された回り込み自干渉信号の到来した時刻、および到来した時刻から求めた伝播時間と差分情報とを、送受信機150の記憶装置に記憶する。一方、判定部81は、残留誤差の値がトレーニング期間の閾値より大きい場合、回り込み自干渉信号が受信信号から十分に除去されていないと判定する。この場合、制御部80は、回り込み自干渉信号が到来する時刻を、残留誤差の値が最小となるようにLMS(Least Mean Squares)アルゴリズム等の最適化アルゴリズムを実行して調整する。そして、制御部80は、残留誤差の値がトレーニング期間の閾値以下となる(すなわち、回り込み自干渉信号がキャンセル部90により除去される)まで繰り返し調整する。
そして、制御部80は、トレーニング期間が終了した後、同時送受信の通常運用に移行する。制御部80は、トレーニング期間で求めた伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミングで、送受信機150の記憶装置に保持した差分情報を用いてレプリカ生成部15の動作を随時制御する。
なお、制御部80は、通常運用の期間でも、判定部81に回り込み自干渉信号の残留誤差を測定させ、測定した残留誤差の値と通常運用の閾値とを比較し、残留誤差の値が通常運用の閾値より大きい場合、再度トレーニング期間に戻ってもよい。なお、通常運用の閾値は、制御部80が通常運用の期間に判定部81に設定する閾値であり、他の送受信機から受信する電力と許容される残留する回り込み自干渉信号の電力とに基づいて設定される。また、制御部80は、判定部81に残留誤差による判定の代わりに、他の送受信機から受信した受信信号のビット誤り率やパケット誤り率等の誤り率を測定させ、測定した誤り率が所定値より劣化した場合、トレーニング期間に戻るようにしてもよい。また、制御部80は、送受信機150が起動される度にトレーニング期間から開始するようにしてもよい。また、所定の周期でトレーニング期間に戻るようにしてもよい。
キャンセル部90は、フィードバック部70により生成されたフィードバック信号を回り込み自干渉信号のレプリカ信号として用いて、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。例えば、キャンセル部90は、回り込み自干渉信号が到来した時刻のタイミングで、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を受信信号に逆位相で合成し、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。キャンセル部90は、回り込み自干渉信号が除去された受信信号を判定部81に出力する。また、送受信機150は、キャンセル部90により回り込み自干渉信号が除去された受信信号に対して復調処理を実行する。
図2は、図1に示した送受信機150における送受信処理の一例を示す。図2に示した処理は、例えば、送受信機150に含まれるプロセッサ等の制御部80が記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。なお、図2に示した処理は、送受信機150に設けられるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図1に示した判定部81は、送受信機150内に配置される回路により実現される。
ステップS100では、送信部10は、トレーニング期間の場合、制御部80からの指示に基づいて、所定のデータを含んだトレーニング信号を、送信アンテナ20を介して送信する。また、送信部10は、トレーニング信号をレプリカ生成部15に出力する。
ステップS110では、レプリカ生成部15は、送信部10から受けた送信信号(トレーニング信号)を用いて送信信号のレプリカ信号を生成する。すなわち、レプリカ生成部15は、送信部10から受けた送信信号を送信信号のレプリカ信号とし、送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70に出力する。
ステップS120では、フィードバック部70は、ステップS110で生成された送信信号のレプリカ信号に対して受信部40と同じ受信処理を実行し、フィードバック信号(すなわち、回り込み自干渉信号のレプリカ信号)を生成する。
ステップS130では、制御部80は、受信部40が受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して送信信号が回り込んだ回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。
ステップS140では、制御部80は、ステップS130で生成されたフィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較し、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、制御部80は、ステップS130で検出した時刻と求めた差分情報とを用いて、レプリカ生成部15を制御する。
ステップS150では、キャンセル部90は、ステップS120で生成されたフィードバック信号を回り込み自干渉信号のレプリカ信号として用いて、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。
ステップS160では、判定部81は、ステップS150で回り込み自干渉信号が除去された受信信号の電力を残留誤差として測定する。
ステップS170では、判定部81は、ステップS160で測定した残留誤差の値がトレーニング期間の閾値以下か否かを判定する。判定部81は、測定した残留誤差の値がトレーニング期間の閾値以下の場合、回り込み自干渉信号が受信信号から除去されたと判定する。そして、制御部80は、回り込み自干渉信号が到来した時刻、および到来した時刻から求めた伝播時間と差分情報とを、送受信機150の記憶装置に記憶する。この場合、送受信機150の処理は、トレーニング期間(すなわち、図2に示した処理)を終了し、通常運用に移る。
一方、判定部81は、残留誤差の値がトレーニング期間の閾値より大きい場合、回り込み自干渉信号が受信信号から十分に除去されていないと判定する。そして、制御部80は、回り込み自干渉信号が到来する時刻を、残留誤差の値が最小となるようにLMSアルゴリズム等の最適化アルゴリズムを実行して調整する。この場合、送受信機150の処理は、ステップS100に移る。
以上、図1および図2に示した実施形態では、フィードバック部70は、受信部40が受信する受信信号に対して実行するのと同じ受信処理をレプリカ生成部15から受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号(すなわち、回り込み自干渉信号のレプリカ信号)を生成する。これにより、送受信機150は、回り込み自干渉信号が送受信機150内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150は、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
図3は、送受信機の別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図3に示した送受信機150Aは、送信部10、レプリカ生成部15a、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70、制御部80aおよびキャンセル部90aを有する。
レプリカ生成部15aは、図1に示したレプリカ生成部15と同様に、送信部10から受けた送信信号を送信信号のレプリカ信号とする。レプリカ生成部15aは、送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70に出力する。また、レプリカ生成部15aは、制御部80aから指示を受けた時刻(すなわち、回り込み自干渉信号が到来する時刻)のタイミングで、送受信機150の記憶装置に保持された差分情報を用いて送信部10から受けた送信信号から回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部15aは、生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90aに出力する。
制御部80aは、プロセッサ等であり、送受信機150Aに含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150Aの各要素を制御する。また、制御部80aは、プログラムを実行することで、判定部81として動作する。
例えば、制御部80aは、図1に示した制御部80と同様に、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。そして、制御部80aは、例えば、送信部10が送信信号を送信してから受信部40が回り込み自干渉信号を受信するまでの送信信号の伝播時間を求める。なお、回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する場合、制御部80aは、キャンセル部90aの動作を一時的に停止させる(すなわち、受信アンテナ30を介して受信した受信信号をそのまま通過させる)のが好ましい。そして、制御部80aは、回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出した後、キャンセル部90aの動作を再開させる。
また、送信アンテナ20と受信アンテナ30との配置に関連して送信アンテナ20と受信アンテナ30との間の距離や周辺環境(周辺の反射物として壁、天井、床、筐体の形状や材質など)のトレーニング開始時点で既知である情報から、回り込み自干渉信号の到来時刻や振幅および位相の変化量を予測し、それらの予測値に基づいて制御部80aがレプリカ生成部15aに指示し、トレーニング開始時点からキャンセル部90aを動作させてもよい。
また、制御部80aは、図1に示した制御部80と同様に、フィードバック部70が生成したフィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較する。制御部80aは、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、制御部80aは、求めた差分情報と検出した時刻とを用いてレプリカ生成部15aを制御する。例えば、制御部80aは、伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミングで、レプリカ生成部15aに対して、差分情報を用いて送信部10から受けた送信信号の振幅および位相を変化させ、送信信号のアナログのレプリカ信号を生成させる。そして、レプリカ生成部15aは、生成した送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70に出力する。これにより、フィードバック部70は、受信部40から出力される受信信号と同じ時変動を示すフィードバック信号を生成できる。
また、制御部80aは、伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミング(すなわち、制御部80aから指示を受けたタイミング)で、レプリカ生成部15aに対し、差分情報を用いて送信部10からの送信信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のアナログのレプリカ信号を生成させる。
キャンセル部90aは、レプリカ生成部15aにより生成された回り込み自干渉信号のレプリカ信号を用いて、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。例えば、キャンセル部90aは、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を、受信アンテナ30を介して受信された受信信号に逆位相で合成し、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。そして、キャンセル部90aは、回り込み自干渉信号が除去された受信信号を、受信部40に出力する。
なお、受信信号が回り込み自干渉信号を含むことで、受信信号の電力が受信部40のLNA41やAGC43等における電力の許容レベルを超える場合がある。そこで、図3に示すように、送受信機150Aでは、キャンセル部90aを受信アンテナ30と受信部40との間に配置する。これにより、キャンセル部90aが、受信部40の前で回り込み自干渉信号を受信信号から除去することで、受信信号の電力を受信部40のLNA41等の許容レベル内に抑えることができる。
また、受信信号の電力が受信部40のLNA41の許容レベル内である場合は、受信部40のLNA41の出力後にキャンセル部90aを設置することも可能である。この場合、フィードバック部70のLNA41を省略し、フィードバック部70のLNA41による振幅および位相の変化量をレプリカ生成部15aにおける振幅および位相の変化量に合算し、受信部40のLNA41の出力後の回り込み自干渉信号のレプリカ信号として生成してもよい。
図4は、図3に示した送受信機150Aにおける送受信処理の一例を示す。図4に示した処理は、例えば、送受信機150Aに含まれるプロセッサ等の制御部80aが記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。なお、図4に示した処理は、送受信機150Aに設けられるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図3に示した判定部81は、送受信機150A内に配置される回路により実現される。
なお、図4に示したステップの動作のうち、図2に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
送受信機150Aは、図4に示したステップS100からステップS140の処理を実行した後、ステップS145の処理を実行する。
ステップS145では、レプリカ生成部15aは、伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミング(すなわち、制御部80aから指示を受けたタイミング)で、差分情報を用いて送信部10からの送信信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部15aは、生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90aに出力する。
ステップS155では、キャンセル部90aは、ステップS145で生成された回り込み自干渉信号のレプリカ信号を用いて、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。
送受信機150Aは、ステップS155の処理を実行した後、ステップS160およびステップS170の処理を実行する。
以上、図3および図4に示した実施形態では、フィードバック部70は、受信部40が受信する受信信号に対して実行するのと同じ受信処理を、レプリカ生成部15aから受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号を生成する。制御部80aは、フィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較し、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の差分情報を求める。そして、レプリカ生成部15aは、制御部80aから受けた差分情報を用いて、送信部10から受けた送信信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。
これにより、送受信機150Aは、回り込み自干渉信号が送受信機150A内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Aは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
また、キャンセル部90aが、受信アンテナ30と受信部40との間に配置され受信部40の前で回り込み自干渉信号を受信信号から除去することで、受信信号の電力を受信部40のLNA41等の電力の許容レベル内に抑えることができる。
図5は、送受信機の別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図5に示した送受信機150Bは、送信部10、レプリカ生成部15、35(1)−35(N)、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70、制御部80b、キャンセル部90bおよび残留成分除去部100を有する(Nは1以上の整数)。
レプリカ生成部35(35(1)−35(N))の各々は、伝播における遅延等により制御部80bが検出した回り込み自干渉信号の互いに異なるN個の到来した時刻の各々のタイミングで、差分情報を用いて送信部10から受けた送信信号から回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。各レプリカ生成部35は、生成した各回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90bにそれぞれ出力する。
制御部80bは、プロセッサ等であり、送受信機150Bに含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150Bの各要素を制御する。また、制御部80bは、プログラムを実行することで、判定部81として動作する。
例えば、制御部80bは、図1に示した制御部80と同様に、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。なお、回り込み自干渉信号は、伝播において遅延等の影響を受けた場合、互いに異なる複数の時刻に受信アンテナ30を介して受信される。この場合、制御部80bは、例えば、N個の到来した時刻を検出する。そして、制御部80bは、送信部10が送信信号を送信してから受信部40が回り込み自干渉信号を受信するまでの伝播時間をそれぞれ求める。
なお、回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する場合、制御部80bは、キャンセル部90bの動作を一時的に停止させる(すなわち、受信アンテナ30を介して受信した受信信号をそのまま通過させる)のが好ましい。そして、制御部80bは、回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出した後、キャンセル部90bの動作を再開させる。
また、送信アンテナ20と受信アンテナ30との配置に関連して送信アンテナ20と受信アンテナ30との間の距離や周辺環境(周辺の反射物として壁、天井、床、筐体の形状や材質など)のトレーニング開始時点で既知である情報から、回り込み自干渉信号の到来時刻や振幅および位相の変化量を予測し、それらの予測値に基づいて制御部80bがレプリカ生成部35(1)−35(N)に指示し、トレーニング開始時点からキャンセル部90bを動作させてもよい。
また、遅延等の影響を受けて到来時刻が複数検出されるとき、検出する到来時刻の数はN個より少なくてもよく、多い場合はN個で打ち切るようにしてもよい。そして、レプリカ生成部35(1)−35(N)もその検出した到来時刻の数に合わせて動作させればよい。さらに、1回目のトレーニングで全N個の回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する必要はなく、複数回のトレーニングやトレーニング後の運用時に更新してもよい。すなわち、一度のトレーニングで検出して生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号を用いてキャンセルした後の受信信号から、さらに検出された回り込み自干渉信号の到来波を追加してレプリカ信号を生成してもよい。
そして、制御部80bは、図1に示した制御部80と同様に、フィードバック部70が生成したフィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較する。なお、フィードバック信号と比較する回り込み自干渉信号は、例えば、到来した時刻が最も早い(すなわち、遅延を受けずに受信された)回り込み自干渉信号とする。制御部80bは、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、制御部80bは、求めた差分情報と検出した時刻とを用いてレプリカ生成部15を制御する。これにより、フィードバック部70は、受信部40から出力される受信信号と同じ時変動を示すフィードバック信号を生成できる。
また、制御部80bは、求めた差分情報と検出したN個の時刻とを用いて各レプリカ生成部35を制御する。例えば、制御部80bは、各伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻の各々のタイミングで、各レプリカ生成部35に対して、差分情報を用いて送信部10からの送信信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のアナログのレプリカ信号を生成させる。
キャンセル部90bは、各レプリカ生成部35により生成された各回り込み自干渉信号のレプリカ信号を用いて、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。例えば、キャンセル部90bは、各レプリカ生成部35からの回り込み自干渉信号のレプリカ信号を、受信アンテナ30を介して受信された受信信号に逆位相で合成し、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。そして、キャンセル部90bは、回り込み自干渉信号が除去された受信信号を、受信部40に出力する。
なお、受信信号が回り込み自干渉信号を含むことで、受信信号の電力が受信部40のLNA41やAGC43等における電力の許容レベルを超える場合がある。そこで、図5に示すように、送受信機150Bでは、キャンセル部90bを受信アンテナ30と受信部40との間に配置する。これにより、キャンセル部90bが、受信部40の前で回り込み自干渉信号を受信信号から除去することで、受信信号の電力を受信部40のLNA41等の許容レベル内に抑えることができる。
残留成分除去部100は、フィードバック部70から受信した回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を用いて、受信部40から受信した受信信号に残留する回り込み自干渉信号の残留成分を除去する。すなわち、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号は、伝播において歪みや遅延等を受けるため、キャンセル部90bにより除去されず残留成分として残る。そこで、制御部80bは、例えば、差分情報における回り込み自干渉信号の到来する時刻、振幅および位相を調整し、レプリカ生成部15に調整した送信信号のレプリカ信号を生成させる。フィードバック部70は、回り込み自干渉信号の残留成分が到来する時刻のタイミングで、レプリカ生成部15により調整された送信信号のレプリカ信号に対して受信処理を実行し、回り込み自干渉信号の残留成分を示すフィードバック信号を生成する。フィードバック部70は、生成したフィードバック信号を回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号として残留成分除去部100に出力する。
残留成分除去部100は、フィードバック部70から受信した回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を用いて、受信部40から受信した受信信号に残留する回り込み自干渉信号の残留成分を除去する。例えば、残留成分除去部100は、回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を、受信部40から受信した受信信号に逆位相で合成し、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号の残留成分を除去する。
図6は、図5に示した送受信機150Bにおける送受信処理の一例を示す。図6に示した処理は、例えば、送受信機150Bに含まれるプロセッサ等の制御部80bが記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。なお、図6に示した処理は、送受信機150Bに設けられるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図5に示した判定部81は、送受信機150B内に配置される回路により実現される。
なお、図6に示したステップの動作のうち、図2に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
送受信機150Bは、図6に示したステップS100からステップS140の処理を実行した後、ステップS145aの処理を実行する。
ステップS145aでは、各レプリカ生成部35は、各伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミング(すなわち、制御部80aから互いに異なる時刻に指示を受けたタイミング)で、差分情報を用いて送信部10からの送信信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。各レプリカ生成部35は、生成した各回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90bにそれぞれ出力する。
ステップS155aでは、キャンセル部90bは、ステップS145aで各レプリカ生成部35により生成された回り込み自干渉信号のレプリカ信号を用いて、受信信号に含まれる回り込み自干渉信号を除去する。
ステップS156では、制御部80bは、差分情報における回り込み自干渉信号の到来する時刻、振幅および位相を調整し、調整した差分情報を用いてレプリカ生成部15およびフィードバック部70に回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を生成させる。すなわち、レプリカ生成部15は、調整された差分情報を用いて振幅および位相を調整した送信信号のレプリカ信号を生成する。フィードバック部70は、回り込み自干渉信号の残留成分が到来する時刻のタイミングで、レプリカ生成部15により調整された送信信号のレプリカ信号に対して受信処理を実行し、回り込み自干渉信号の残留成分を示すフィードバック信号を生成する。そして、フィードバック部70は、生成したフィードバック信号を回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号として残留成分除去部100に出力する。
ステップS157では、残留成分除去部100は、ステップS156で生成された回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を用いて、受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号の残留成分を除去する。
送受信機150Bは、ステップS157の処理を実行した後、ステップS160およびステップS170の処理を実行する。
以上、図5および図6に示した実施形態では、フィードバック部70は、受信部40が受信する受信信号に対して実行するのと同じ受信処理をレプリカ生成部15から受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号を生成する。制御部80bは、フィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号との比較から、遅延等により回り込み自干渉信号の到来した時刻を複数検出するとともに、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の差分情報を求める。そして、制御部80bは、検出した各時刻のタイミングで、レプリカ生成部35のそれぞれに、求めた差分情報を用いて送信部10から受けた送信信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成させる。
これにより、送受信機150Bは、回り込み自干渉信号が送受信機150B内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Bは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
また、制御部80bは、差分情報における回り込み自干渉信号の到来する時刻、振幅および位相を調整し、調整した差分情報を用いてレプリカ生成部15およびフィードバック部70に回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を生成させる。そして、残留成分除去部100は、生成された回り込み自干渉信号の残留成分のレプリカ信号を用いて、受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号の残留成分を除去する。これにより、送受信機150Bは、受信する回り込み自干渉信号を受信信号から高い精度で除去できる。
また、キャンセル部90bが、受信アンテナ30と受信部40との間に配置され、受信部40の前で回り込み自干渉信号を受信信号から除去することで、受信信号の電力を受信部40のLNA41等の電力の許容レベル内に抑えることができる。
図7は、送受信機の別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図7に示した送受信機150Cは、送信部10、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70、制御部80c、キャンセル部90および時変動成分抽出部110を有する。
制御部80cは、プロセッサ等であり、送受信機150Cに含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150Cの各要素を制御する。また、制御部80cは、プログラムを実行することで、判定部81およびレプリカ生成部82として動作する。
レプリカ生成部82は、データを含むデジタルの送信信号を受信する。また、レプリカ生成部82は、後述する時変動成分抽出部110が抽出した送信信号の振幅および位相の時変動成分(すなわち、局部発振器50のLO信号およびクロック発生器60のクロック信号等)を取得する。レプリカ生成部82は、取得した時変動成分を用いて受信したデジタルの送信信号の振幅および位相を変化させて、送信部10のDAC11およびミキサ12の処理を擬似的に受けた送信信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部82は、制御部80cに含まれるDAC等を介して、生成した送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70に出力する。これにより、フィードバック部70は、フィードバック信号を生成できる。
また、制御部80cは、図1に示した制御部80と同様に、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。そして、制御部80cは、例えば、送信部10が送信信号を送信してから受信部40が回り込み自干渉信号を受信するまでの送信信号の伝播時間を求める。
また、制御部80cは、図1に示した制御部80と同様に、フィードバック部70が生成したフィードバック信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較する。制御部80cは、フィードバック信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、制御部80cは、求めた差分情報と検出した時刻とを用いてレプリカ生成部82を制御する。例えば、制御部80aは、伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミングで、レプリカ生成部82に対して、差分情報を用いて送信信号の振幅および位相を変化させ、送信信号のレプリカ信号を生成させる。そして、レプリカ生成部82は、生成した送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70に出力する。これにより、フィードバック部70は、受信部40から出力される受信信号と同じ時変動を示すフィードバック信号を生成できる。
時変動成分抽出部110は、送受信機150Cが送信する送信信号における振幅および位相等の時変動成分を抽出する。例えば、時変動成分抽出部110は、送信信号における振幅および位相等の時変動成分として、局部発振器50のLO信号およびクロック発生器60のクロック信号をそれぞれ受信する。そして、時変動成分抽出部110は、局部発振器50およびクロック発生器60の各々から受信した信号を、時変動成分抽出部110に含まれるADCを用いてサンプリングし、サンプリングした各信号を制御部80cに出力する。なお、時変動成分抽出部110は、局部発振器50のLO信号あるいはLO信号の位相雑音をサンプリングし、送信信号における振幅あるいは位相の時変動成分として抽出する。また、時変動成分抽出部110は、クロック発生器60のクロック信号あるいはクロックジッタをサンプリングし、送信信号における振幅および位相の時変動成分として抽出する。
図8は、図7に示した送受信機150Cにおける送受信処理の一例を示す。図8に示した処理は、例えば、送受信機150Cに含まれるプロセッサ等の制御部80cが記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。なお、図8に示した処理は、送受信機150Cに設けられるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図7に示した判定部81およびレプリカ生成部82は、送受信機150C内に配置される回路により実現される。
なお、図8に示したステップの動作のうち、図2に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
送受信機150Cは、図8に示したステップS100の処理を実行した後、ステップS105の処理を実行する。
ステップS105では、時変動成分抽出部110は、送受信機150Cが送信する送信信号(すなわちトレーニング信号)における振幅および位相等の時変動成分を抽出する。例えば、時変動成分抽出部110は、送信信号における振幅および位相の時変動成分として、局部発振器50のLO信号およびクロック発生器60のクロック信号をそれぞれ受信する。そして、時変動成分抽出部110は、局部発振器50およびクロック発生器60の各々から受信した信号を、時変動成分抽出部110に含まれるADCを用いてサンプリングし制御部80cに出力する。
ステップS115では、レプリカ生成部82は、デジタルの送信信号(トレーニング信号)と、ステップS105で抽出された送信信号の振幅および位相の時変動成分(すなわち、局部発振器50のLO信号およびクロック発生器60のクロックジッタ)とを用いて、送信部10が送信する送信信号のレプリカ信号を生成する。さらに、送信信号がミキサ12あるいはPA13による非線形特性の影響を受ける場合は、デジタル信号処理等により送信信号のレプリカ信号に上記非線形特性を付加してもよい。また、送信部10に入力するトレーニング信号にプリディストーション処理等を施し、非線形特性の影響をキャンセルするようにしてもよい。
送受信機150Cは、ステップS115の処理を実行した後、ステップS120からステップS170の処理を実行する。
以上、図7および図8に示した実施形態では、レプリカ生成部82は、時変動成分抽出部110により抽出された送信信号における振幅および位相の時変動成分を用いて、デジタルの送信信号のレプリカ信号を生成する。フィードバック部70は、受信部40が受信する受信信号に対して実行するのと同じ受信処理を、レプリカ生成部82により生成された送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号(すなわち、回り込み自干渉信号のレプリカ信号)を生成する。これにより、送受信機150Cは、回り込み自干渉信号が送受信機150C内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Cは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
図9は、送受信機の別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図9に示した送受信機150Dは、送信部10、レプリカ生成部15、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70a、制御部80d、キャンセル部90および時変動成分抽出部110aを有する。
フィードバック部70aは、LNA41、AGC43およびADC44を有する。すなわち、フィードバック部70aは、例えば、図1に示したフィードバック部70のミキサ42が省略される。そして、フィードバック部70aは、ミキサ42による処理が除外された受信処理を、レプリカ生成部15から受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号を生成する。フィードバック部70aは、生成したフィードバック信号を制御部80dに出力する。なお、フィードバック部70aは、ミキサ42の代わりに、AGC43やADC44が省略されてもよい。
時変動成分抽出部110aは、送受信機150Dが受信する受信信号の時変動成分のうち、フィードバック部70aで除外されたミキサ42による処理に対応する時変動成分を抽出する。例えば、時変動成分抽出部110aは、ミキサ42による処理に対応する時変動成分として、局部発振器50のLO信号を受信する。すなわち、時変動成分抽出部110aは、局部発振器50から受信したLO信号を、時変動成分抽出部110aに含まれるADCを用いてサンプリングし、サンプリングした信号を制御部80dに出力する。すなわち、時変動成分抽出部110aは、局部発振器50のLO信号あるいはLO信号の位相雑音を、ミキサ42による処理に対応する時変動成分として抽出する。なお、時変動成分抽出部110は、フィードバック部70aにおいてAGC43やADC44が省略される場合、AGC43からの信号あるいはクロック発生器60からの信号を時変動成分として抽出してもよい。
制御部80dは、プロセッサ等であり、送受信機150Dに含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150Dの各要素を制御する。また、制御部80dは、図1に示した制御部80と同様に、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。さらに、制御部80dは、プログラムを実行することで、判定部81およびレプリカ生成部82aとして動作する。
レプリカ生成部82aは、フィードバック部70aにより生成されたフィードバック信号と、時変動成分抽出部110aにより抽出された受信信号の時変動成分(すなわち、局部発振器50のLO信号または位相雑音)と、検出された時刻とを用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。例えば、レプリカ生成部82aは、検出された時刻のタイミングで、抽出された局部発振器50のLO信号の時変動成分を用いて、演算等によりフィードバック部70aから受信したフィードバック信号の振幅および位相を変化させ、参照信号を生成する。すなわち、レプリカ生成部82aは、フィードバック信号に対して、除外されたミキサ42による時変動を擬似的に付加する。
なお、図9に示すように、フィードバック部70aからミキサ42が省略されることから、ADC44に入力される信号の周波数は、RF帯である。そこで、フィードバック部70aのADC44はダウンコンバートされた後の低い周波数の信号を対象としており低いレートでサンプリングを行うため、アンダーサンプリングの効果によりフィードバック信号が低い周波数帯域にダウンコンバートされる。アンダーサンプリングにより元のトレーニング信号とは異なる周波数に変換された場合や信号帯域外に不要波が存在する場合もあるので、レプリカ生成部82aは、ダウンコンバートしたフィードバック信号にバンドパスフィルタの処理を実行し、必要に応じてさらに周波数変換処理を実行することで、回り込み自干渉信号の成分を抽出する。なお、アンダーサンプリング後の信号とトレーニング信号の中心周波数の差は、トレーニング信号の中心周波数とADC44のサンプリングレートの関係によって求まる。
レプリカ生成部82aは、生成した参照信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較し、参照信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、レプリカ生成部82aは、求めた差分情報を用いて参照信号の振幅および位相を変化させて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部82aは、生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90に出力する。
図10は、図9に示した送受信機150Dにおける送受信処理の一例を示す。図10に示した処理は、例えば、送受信機150Dに含まれるプロセッサ等の制御部80dが記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。なお、図10に示した処理は、送受信機150Dに設けられるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図9に示した判定部81およびレプリカ生成部82aは、送受信機150D内に配置される回路により実現される。
なお、図10に示したステップの動作のうち、図8に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
送受信機150Dは、図10に示したステップS100からステップS130の処理を実行した後、ステップS135の処理を実行する。
ステップS135では、レプリカ生成部82aは、ステップS130で検出された時刻のタイミングで、時変動成分抽出部110aが抽出した時変動成分を用いて、フィードバック信号の振幅および位相を変化させ参照信号を生成する。
ステップS140bでは、レプリカ生成部82aは、ステップS135で生成された参照信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較し、参照信号と回り込み自干渉信号との間の差分情報を求める。
ステップS145bでは、レプリカ生成部82aは、伝播時間から求まる回り込み自干渉信号が到来する時刻のタイミングで、差分情報を用いて参照信号の振幅および位相を変化させ、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部82aは、生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90に出力する。
送受信機150Dは、ステップS145bの処理を実行した後、ステップS150からステップS170の処理を実行する。
以上、図9および図10に示した実施形態では、レプリカ生成部82aは、フィードバック部70aにより生成されたフィードバック信号と、時変動成分抽出部110aにより抽出された(すなわち、フィードバック部70aから除外された受信処理を示す)時変動成分とを用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。換言すれば、レプリカ生成部82aは、フィードバック部70aにおいて除外された受信処理について、時変動成分抽出部110aにより抽出された時変動成分を用いてフィードバック信号を補正し、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。これにより、送受信機150Dは、回り込み自干渉信号が送受信機150D内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Dは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
図11は、送受信機の別の実施形態を示す。図10で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図11に示した送受信機150Eは、送信部10、レプリカ生成部15、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70b、制御部80d、キャンセル部90および時変動成分抽出部110bを有する。
フィードバック部70bは、LNA41、ミキサ42およびADC44を有する。すなわち、フィードバック部70bは、例えば、図1に示したフィードバック部70のAGC43が省略される。そして、フィードバック部70bは、AGC43による処理が除外された受信処理を、レプリカ生成部15から受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号を生成する。フィードバック部70bは、生成したフィードバック信号を制御部80dに出力する。
時変動成分抽出部110bは、送受信機150Eが受信する受信信号の時変動成分のうち、フィードバック部70bで除外されたAGC43による処理に対応する時変動成分を抽出する。例えば、時変動成分抽出部110aは、AGC43による処理に対応する時変動成分として、AGC43が受信信号に対して実行した利得制御の内容を示す利得情報を含む信号を受信する。そして、時変動成分抽出部110bは、AGC43から受信した利得情報の信号を、時変動成分抽出部110bに含まれるADCを用いてサンプリングし、サンプリングした利得情報を制御部80dに出力する。すなわち、時変動成分抽出部110bは、AGC43の利得情報を、受信信号における振幅の時変動成分として抽出する。
なお、図11に示した送受信機150Eにおける送受信処理は、図10に示した処理と同一または同様であり、詳細な説明を省略する。
以上、図11に示した実施形態では、レプリカ生成部82aは、フィードバック部70bにより生成されたフィードバック信号と、時変動成分抽出部110bにより抽出された(すなわち、フィードバック部70bで除外された受信処理を示す)時変動成分とを用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。換言すれば、レプリカ生成部82aは、フィードバック部70bにおいて除外された受信処理ついて、時変動成分抽出部110bにより抽出された時変動成分を用いてフィードバック信号を補正し、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。これにより、送受信機150Eは、回り込み自干渉信号が送受信機150E内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Eは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
図12は、送受信機の別の実施形態を示す。図10で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図12に示した送受信機150Fは、送信部10、レプリカ生成部15、受信部40、局部発振器50a、50b、クロック発生器60、フィードバック部70、制御部80e、キャンセル部90および時変動成分抽出部110cを有する。
局部発振器50a、50bは、VCO等の発振器であり、印加される電圧に応じて発振周波数を制御することで、所定の周波数のLO信号を生成する。局部発振器50aは、送信部10のミキサ12、受信部40のミキサ42および時変動成分抽出部110cの各々に生成したLO信号を出力する。局部発振器50bは、フィードバック部70のミキサ42および時変動成分抽出部110cの各々に生成したLO信号を出力する。なお、局部発振器50a、50bのLO信号は、同じ周波数に設定されてもよく、異なる周波数に設定されてもよい。
例えば、局部発振器50a、50bのLO信号の周波数が同じ周波数に設定される場合、受信部40とフィードバック部70とは、同じ受信処理を実行する。しかしながら、局部発振器50a、50b間のLO信号が互いに同期していない場合、受信部40とフィードバック部70とにおいて受信処理の時変動の差が生じる。一方、局部発振器50a、50bのLO信号の周波数が互いに異なる周波数に設定される場合、受信部40とフィードバック部70とは、ミキサ42において異なる処理を実行する。そこで、時変動成分抽出部110cは、局部発振器50a、50bのLO信号あるいは位相雑音を受信することで、受信部40とフィードバック部70とにおける受信処理の差異を、時変動成分として抽出する。なお、局部発振器50a、50bのLO信号の周波数が互いに同じ場合、送受信10のミキサ12または受信部40のミキサ42は、局部発振器50bのLO信号を受信してもよい。
なお、送受信機150Fは、2つの局部発振器50a、50bは設けられたが、2つのクロック発生器60が設けられてもよい。すなわち、一方のクロック発生器60は、送信部10のDAC11および受信部40のADC44にクロック信号を供給する。他方のクロック発生器60は、フィードバック部70のADC44にクロック信号を供給する。この場合、時変動成分抽出部110cは、2つのクロック発生器60のクロック信号あるいはクロックジッタを受信し、2つのクロック発生器60間の時変動の差を、受信部40とフィードバック部70とにおける受信処理の差異(すなわち、時変動成分)として抽出する。なお、2つのクロック発生器60のクロック信号の周波数は、同じでも異なっていてもよい。クロック信号の周波数が異なる場合の一例として、図9に示すようなミキサ42が省略され、RF帯の信号としてADC44により高いレートでサンプリングされたフィードバック信号が、制御部80eに入力されてもよい。この場合、レプリカ生成部82bは、例えば、フィードバック信号の周波数をデジタルダウンコンバートさせる等して、受信部40が受信する受信信号の周波数に合わせる。
また、受信部40とフィードバック部70とのAGC43がそれぞれ独立に動作するようにしてもよい。この場合、時変動成分抽出部110cは、各AGC43の利得情報を含む信号を受信し、2つのAGC43間の時変動の差を、受信部40とフィードバック部70とにおける受信処理の差異(すなわち、時変動成分)として抽出する。
制御部80eは、プロセッサ等であり、送受信機150Fに含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150Fの各要素を制御する。また、制御部80eは、図1に示した制御部80と同様に、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。さらに、制御部80eは、プログラムを実行することで、判定部81およびレプリカ生成部82bとして動作する。
レプリカ生成部82bは、フィードバック部70により生成されたフィードバック信号と、時変動成分抽出部110cにより抽出された受信信号の時変動成分(すなわち、局部発振器50a、50bの各々のLO信号またはLO信号の位相雑音)と、検出された時刻とを用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。例えば、局部発振器50a、50bのLO信号の周波数が互いに同じ場合、レプリカ生成部82bは、検出された時刻のタイミングで、局部発振器50a、50bのLO信号間の位相差(すなわち時間差)を検出する。そして、レプリカ生成部82bは、検出した位相差と抽出された局部発振器50a、50bのLO信号の時変動成分とを用いて、四則演算等によりフィードバック信号の振幅および位相を変化させ参照信号を生成する。
一方、局部発振器50a、50bのLO信号の周波数が互いに異なる場合、レプリカ生成部82bは、例えば、フィードバック信号の周波数をデジタルダウンコンバートさせる等して、受信部40が受信する受信信号の周波数に合わせる。そして、レプリカ生成部82bは、抽出された局部発振器50a、50bのLO信号の時変動成分を用いて、演算等によりフィードバック信号の振幅および位相を変化させ参照信号を生成する。
レプリカ生成部82bは、生成した参照信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較し、参照信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、レプリカ生成部82bは、求めた差分情報を用いて参照信号の振幅および位相を変化させて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部82bは、生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90に出力する。
なお、図12に示した送受信機150Fにおける送受信処理は、図10に示した処理と同一または同様であり、詳細な説明を省略する。
以上、図12に示した実施形態では、レプリカ生成部82bは、フィードバック部70により生成されたフィードバック信号と、時変動成分抽出部110cにより抽出された受信部40とフィードバック部70とにおける受信処理の差異を示す時変動成分とを用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。すなわち、レプリカ生成部82bは、受信部40とフィードバック部70bとにおける受信処理の差異について、時変動成分抽出部110cにより抽出された時変動成分を用いてフィードバック信号を補正し、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。これにより、送受信機150Fは、回り込み自干渉信号が送受信機150F内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Fは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
図13は、送受信機の別の実施形態を示す。図7で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図13に示した送受信機150Gは、送信部10、受信部40、局部発振器50、クロック発生器60、フィードバック部70c、制御部80f、キャンセル部90および時変動成分抽出部110を有する。
フィードバック部70cは、図9に示したフィードバック部70aと同様に、LNA41、AGC43およびADC44を有する。すなわち、フィードバック部70cは、ミキサ42が省略される。これにより、フィードバック部70cは、ミキサ42による処理が除外された受信処理を、制御部80fから受信した送信信号のレプリカ信号に対して実行し、フィードバック信号を生成する。フィードバック部70cは、生成したフィードバック信号を制御部80fに出力する。
制御部80fは、プロセッサ等であり、送受信機150Gに含まれるメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、送受信機150Gの各要素を制御する。また、制御部80fは、図7に示した制御部80cと同様に、受信部40から受信した受信信号を用いて、受信アンテナ30を介して回り込み自干渉信号の到来した時刻を検出する。さらに、制御部80fは、プログラムを実行することで、判定部81およびレプリカ生成部82cとして動作する。
レプリカ生成部82cは、図7に示したレプリカ生成部82と同様に、デジタルの送信信号を受信する。また、レプリカ生成部82cは、時変動成分抽出部110が抽出した送信信号の振幅および位相の時変動成分(すなわち、局部発振器50のLO信号およびクロック発生器60のクロックジッタ等)を取得する。レプリカ生成部82cは、取得した時変動成分を用いて受信したデジタルの送信信号の振幅および位相を変化させて、送信部10のDAC11およびミキサ12の処理を擬似的に受けた送信信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部82cは、制御部80fに含まれるDAC等を介して、生成した送信信号のレプリカ信号をフィードバック部70cに出力する。これにより、フィードバック部70cは、フィードバック信号を生成できる。
また、レプリカ生成部82cは、フィードバック部70cにより生成されたフィードバック信号と検出された時刻とともに、時変動成分抽出部110により抽出された局部発振器50のLO信号または位相雑音を受信信号の時変動成分として用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。例えば、レプリカ生成部82cは、検出された時刻のタイミングで、抽出された局部発振器50のLO信号の時変動成分を用いて、四則演算等によりフィードバック部70aから受信したフィードバック信号の振幅および位相を変化させ、参照信号を生成する。すなわち、レプリカ生成部82cは、フィードバック信号に対して、除外されたミキサ42による時変動を擬似的に付加する。
なお、フィードバック部70cからミキサ42が省略されることから、ADC44に入力される信号の周波数は、RF帯である。そこで、フィードバック部70cのADC44はダウンコンバートされた後の低い周波数の信号を対象としており低いレートでサンプリングを行うため、アンダーサンプリングの効果によりフィードバック信号が低い周波数帯域にダウンコンバートされる。アンダーサンプリングにより元のトレーニング信号とは異なる周波数に変換される場合や信号帯域外に不要波が存在する場合もあるので、レプリカ生成部82cは、ダウンコンバートしたフィードバック信号にバンドパスフィルタの処理を実行し、必要に応じてさらに周波数変換処理を実行することで、回り込み自干渉信号の成分を抽出する。
レプリカ生成部82cは、生成した参照信号と受信部40から受信した受信信号に含まれる回り込み自干渉信号とを比較し、参照信号と回り込み自干渉信号との間の相対的な振幅および位相の差を示す差分情報を求める。そして、レプリカ生成部82cは、求めた差分情報を用いて参照信号の振幅および位相を変化させて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。レプリカ生成部82cは、生成した回り込み自干渉信号のレプリカ信号をキャンセル部90に出力する。
なお、図13に示した送受信機150Gにおける送受信処理は、図10に示した処理と同一または同様であり、詳細な説明を省略する。
以上、図13に示した実施形態では、レプリカ生成部82cは、フィードバック部70cにより生成されたフィードバック信号と、時変動成分抽出部110により抽出されたフィードバック部70cから除外された受信処理に対応する時変動成分とを用いて、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。すなわち、レプリカ生成部82cは、フィードバック部70cにおいて除外された受信処理について、時変動成分抽出部110により抽出された時変動成分を用いてフィードバック信号を補正し、回り込み自干渉信号のレプリカ信号を生成する。これにより、送受信機150Gは、回り込み自干渉信号が送受信機150G内でランダム性のある時変動を受ける場合でも、受信信号から回り込み自干渉信号を除去する信号を高い精度で生成できる。そして、送受信機150Gは、回り込み自干渉信号を除去する性能の向上を図ることができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。