JP6559060B2 - 耐震構造、およびその形成方法 - Google Patents
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Description
具体的には、スリット材を配設した部位を切削し、位置ずれしてしまったスリット材を取り除く。しかし、スリット材がどのように位置ずれを起こしているか目視できないため、切削作業は慎重に行う必要があり、スリット材のずれ方によっては多くの部位を切削しなくてはならない。この位置ずれを起こしたスリット材を取り除いた後は、スリット材を正規の位置にもどし、切削した部位にコンクリートを埋め戻す作業を行う。
また、コンクリートの打設後に形成される壁内であって、後施工スリットが、スリット材の記壁の厚さ方向への延長部分を切削して形成されることで、柱と壁との拘束を断ち、柱と壁とを分断する完全スリットが形成される。これにより、耐震補強を施した構造を形成することができる。
図1は、本実施の形態に係るスリット材の構成を示す平面図である。
図1に示すように、スリット材100は、発泡体101、ロックウール102、ブチルゴム103、および受金具104を備えている。
スリット材100は、板状態のロックウール102を中心に板状態の発泡体101を両面に備えている。ロックウール102、および発泡体101の片側の側面には、コの字プレートを固定するための形状をした受金具104を備えている。発泡体101の受金具104を備える側、およびその反対側の端部は、ブチルゴム103を備えている。ブチルゴム103は、外部からの水漏れ等を抑制するものである。尚、ブチルゴム103は、ブチルゴム103以外の防水機能を持つゴムを使用しても構わない。
図2に示すように、コンクリート型枠200は、柱210および壁220を形成するためのものである。スリット材100は、壁220の厚さより短く、壁220内であってコンクリート打設後に形成される柱210と壁220との境界位置の際に、一方のコンクリート型枠200に対し垂直に固定される。これにより、スリット材100とスリット材100が固定されていない側のコンクリート型枠200との間には、隙間221が生じる。固定法については後述する。
図3に示すように、柱210、および壁220を形成するために、コンクリート型枠200内に柱220側からコンクリート230打設する。打設されたコンクリート230は、コンクリート型枠200に沿って柱210方向に流れ込み、コンクリート型枠200とスリット材100との間に形成された隙間221を通り、やがて柱210に到達する。尚、スリット材100の壁の厚さ方向の長さは、隙間221をコンクリート230、およびコンクリート230に混ぜる砂利が十分に通過できる距離を保持できる長さにする必要がある。
図4に示すように、コンクリート型枠200は、幅を一定に保つためのセパレータを備えている。セパレータ110はコーン111でコンクリート型枠200内に締結され、コンクリート型枠内に一定の間隔で設置されている。セパレータ110は、スリット材100を固定するために使用し、スリット材100に最も近く、スリット材100とセパレータ110との距離が200mm以内に設置されたセパレータ110を使用する。
図5に示すように、コの字プレート123には同方向を持つ二面の閉口部側に全ネジボルト122の外径大の穴および六角ボルト124の外径大の穴が設けられている。全ネジボルト122を長手方向からコの字プレート123の穴に挿入すると、コの字プレート123は全ネジボルト122の全長200mm内で移動が可能になる。コの字プレート123の位置を調節し、セパレータ110をコの字プレート123の開口部からくわえこむように被せる。コの字プレート123に設けられた穴に、六角ボルト124を通しナットで締結することで全ネジボルト122とセパレータ110とを連結する。
コンクリート230を打設し硬化した後、コンクリート型枠200を解体する。壁220の厚さとスリット材100との差分222のコンクリートを切削し、スリットを形成する。これにより柱210と壁220との拘束が断たれ、柱210と壁220とが完全に分断される。コンクリートの切削はコンクリート切削機、またはブレーカーなどを用いて切削を行う。
図7に示すように、壁220とスリット材100との差分であるコンクリート230の切削には、一般的に切削機、ピック等を用いて切削するが、本実施例では効率性を考慮し、円盤状の砥石を用いたコンクリート切削機を用いた場合の切削方法を説明する。
そこで、図7に示すように、振れ止め筋203を、あらかじめ固定されるスリット材100の内部を通すように配筋することで、振れ止め筋203が切削部位に含まれないので、切削機を用いて効率的に作業を進めることができる。
図8に示すように、スリット材230は、ロックウール231、防水シート232、およびバックアップ材233を備えている。
101 発泡体
102 ロックウール
103 ブチルゴム
104 受金具
110 セパレータ
111 コーン
120 金具
121 字プレート
122 全ネジボルト
123 字プレート
124 六角ボルト
200 コンクリート型枠
201 目地棒
202 釘
203 筋
210 柱
220 壁
221 隙間
222 差分
222A 切削痕
222B 隅部
230 コンクリート
230 スリット材
231 ロックウール
232 防水シート
233 バックアップ材
234 差分
235 目地
Claims (4)
- コンクリート建築物における壁と柱とを形成するためのコンクリート型枠にコンクリートを打設することによって形成された壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造において、
前記壁と前記柱とを形成する前記コンクリート型枠に固定され、前記壁の厚さ方向の一部の長さで形成されたスリット材と、
前記コンクリートの打設後に形成される前記壁の内部であって、前記スリット材の前記壁の厚さ方向への延長部分を切削することで形成された後施工スリットと、
を備えることを特徴とする耐震構造。 - 前記スリット材の前記壁の厚さ方向の長さが、
前記スリット材と前記壁との間に生じる隙間を、前記コンクリートに混ぜる砂利が十分に通過できる前記隙間を保持できる長さであることを特徴とする請求項1記載の耐震構造。 - 前記壁の内部に配筋される振れ止め筋が、
前記スリット材の配設位置内部に配筋されることを特徴とする請求項1記載の耐震構造。 - コンクリート建築物における壁と柱とを形成するためのコンクリート型枠にコンクリートを打設することによって形成された壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造の形成方法において、
前記壁の厚さ方向の一部の長さのみであるスリット材が、コンクリート型枠に固定される工程と、
前記コンクリートが、前記コンクリート型枠の内側に打設される工程と、
前記コンクリートの打設後に形成される前記壁の内部であって、後施工スリットが、前記スリット材の前記壁の厚さ方向への延長部分を切削して形成される工程と、
を備えることを特徴とする耐震構造の形成方法。
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