JP2021032050A - 耐震構造、および耐震構造の形成方法 - Google Patents

耐震構造、および耐震構造の形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021032050A
JP2021032050A JP2019157065A JP2019157065A JP2021032050A JP 2021032050 A JP2021032050 A JP 2021032050A JP 2019157065 A JP2019157065 A JP 2019157065A JP 2019157065 A JP2019157065 A JP 2019157065A JP 2021032050 A JP2021032050 A JP 2021032050A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slit material
wall
vertical slit
pillar
concrete
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019157065A
Other languages
English (en)
Inventor
裕司 畑中
Yuji Hatanaka
裕司 畑中
友宏 畑中
Tomohiro Hatanaka
友宏 畑中
真吾 大室
Shingo Omuro
真吾 大室
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lonbic Japan Co Ltd
Original Assignee
Lonbic Japan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lonbic Japan Co Ltd filed Critical Lonbic Japan Co Ltd
Priority to JP2019157065A priority Critical patent/JP2021032050A/ja
Publication of JP2021032050A publication Critical patent/JP2021032050A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Forms Removed On Construction Sites Or Auxiliary Members Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 スリット材が位置ずれを起こすことなく、かつ施工時間と施工による手間とを削減して耐震用スリットが必要な箇所に形成される耐震構造、および耐震構造の形成方法を提供することを目的とする。【解決手段】 下階の床スラブ30と形成される壁20との間に水平スリット材110が水平方向に載置され、形成される柱10と壁20との間で、柱10の高さ方向の一部の高さで形成された下端鉛直スリット材120または上端鉛直スリット材130が、柱10の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から柱10の高さの中心方向に沿って鉛直に載置され、コンクリートの打設後に形成された柱10と形成された壁20との間であって、下階または上階の床スラブ30と下端鉛直スリット材120または上端鉛直スリット材130との間、または下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130との間を切削することで後施工鉛直スリット140Sが形成される【選択図】図1

Description

本発明は、耐震構造、および耐震構造の形成方法に関し、特にあらかじめ形成された下階の床スラブの上に、前記下階の床スラブ上から上階の床スラブまでコンクリートを打設することで形成される壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造、および耐震構造の形成方法に関する。
従来、コンクリート建築物における耐震壁は、壁にかかった応力が柱にかかり、柱が座屈することで建築物が倒壊することを防ぐため、壁と柱との境界位置に沿って、弾性を有するスリット材を配設している。
この耐震壁の施工は、柱を形成する部位と壁を形成する部位との境界位置に、弾性を有するスリット材を配設し、スリット材を柱および壁を形成するコンクリート型枠に固定し、その後コンクリートをコンクリート型枠内に打設する(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載の技術のようにコンクリート型枠にスリット材を固定した状態でコンクリート型枠内にコンクリートを打設すると、打設されたコンクリートの圧力によって、スリット材が位置ずれを起こしてしまうことがあった。
位置ずれを起こしてしまったスリット材は、耐震構造を維持するために、正規の位置に修正する必要がある。
具体的には、スリット材を配設した部位を切削し、位置ずれしてしまったスリット材を取り除く。しかし、スリット材がどのように位置ずれを起こしているか目視できないため、切削作業は慎重に行う必要があり、スリット材のずれ方によっては多くの部位を切削しなくてはならない。この位置ずれを起こしたスリット材を取り除いた後は、スリット材を正規の位置にもどし、切削した部位にコンクリートを埋め戻す作業を行う。
そこで、耐震スリットを容易に形成でき、また、あらかじめ配設されたスリット材が位置ずれすることを防止できる耐震構造、および形成方法が開発されている(たとえば、特許文献2参照)。
図8は、特許文献2で開示された耐震補強を行った壁の一例を示す立面図である。
図8に示すように、2本の柱10間に形成される壁20は、床スラブ30との間に水平方向の水平スリット材40が介装され、壁20と床スラブ30との拘束が絶たれている。また、壁20は、柱10との間に鉛直方向の鉛直スリット材50が介装され、壁20と柱10との拘束が絶たれている。
コンクリート建築物における柱10や壁20は、床スラブ30から上階のスラブまで一度にコンクリートの打設を行うことが工数削減やコスト面において望ましい。しかし、型枠に鉛直方向の鉛直スリット材50を取り付けた状態でコンクリートを打設すると、どんなに強固に鉛直方向の鉛直スリット材50を固定しても鉛直スリット材50のゆがみが生じる可能性を排除することができない。
したがって、このような鉛直方向の鉛直スリット材50は、コンクリートの打設時には設置せず、水平方向の水平スリット材40のみを所望の位置に設置し、床スラブ30から上階のスラブまでコンクリートを打設し、柱10の際に鉛直方向の鉛直スリットを後施工によって形成し、鉛直スリット材50を設置することにより鉛直方向のスリットを形成する。
これにより、スラブから上階のスラブまで一度にコンクリートを打設することができる
上に、コンクリートの打設時に鉛直方向のスリット材が位置ずれを起こさず、決して曲がることがない。したがって、作業工数が削減でき、作業コストが低減できる上に耐震精度が維持でき、かつ外装材にひびが入り、最悪の場合には壁のひびから水漏れが起こることなどを防ぐことができる。
図9は、本特許文献2で開示された耐震補強の形成方法の第一工程を示す立面図である。
図9に示すように、水平スリット材40が2本の柱10間に形成される壁20と床スラブ30との間にのみ水平方向の水平スリット材40が設置され、水平方向の水平スリット材40のみが設置された状態で、床スラブ30から上階のスラブまで一度にコンクリートの打設を行う。これにより、柱10と壁20とが連続した状態で一度の打設で形成され、壁20と床スラブ30との間には水平スリット材40が介装されることで、壁20と床スラブ30との拘束が絶たれた状態が形成される。
図10は、本特許文献2で開示された耐震補強の形成方法の第二工程を示す立面図である。
図10に示すように、柱10の際に鉛直方向の鉛直スリット50Sを形成する。このように柱10の際に鉛直スリット50Sを形成することで壁20と柱10との拘束が絶たれ、壁20と床スラブ30との間には水平スリット材40が介装されることで、壁20と床スラブ30との拘束が絶たれた状態が形成される。
これにより壁20は、柱10および床スラブ30と拘束が絶たれた状態になり、壁20にかかった応力が柱10にかかることがなく、柱10が座屈する恐れがなくなるため、建築物の倒壊を防止することができる。
この第二工程によって形成された鉛直スリット50Sには、鉛直スリット50Sと同形状の弾性を有する鉛直スリット材50を挿入することで、形成された鉛直スリット50Sを閉塞することができる。
特開平10―317666号公報 特開2014−234602公報
しかし、鉛直スリット50Sを形成するには、非常に手間がかかるという問題があった。
図11は、本特許文献2で開示された耐震補強の形成方法の第二工程で壁を切削している様子を示す鉛直スリット部の断面図である。
図11に示すように、ここでは図示しない柱10の際に鉛直方向の鉛直スリット50Sが点線のように壁20を一般的に切削機、ピック等を用いて切削して形成する。
壁20を切削して鉛直スリット50Sを形成するには、たとえば円盤状の砥石を回転させて対象物に接触させることで直線状に対象物を切削するウォールソーなどのコンクリート切削機60や、穿孔治具を回転させて対象物に当てることで円柱状の穴をあける穿孔機70や、尖らせた先端治具を対象物に叩き当てることで対象物を砕いて切削するピック80などが利用される。
コンクリート切削機60では、形成する鉛直スリット50Sに沿って回転させた円盤状の砥石を押し当て、上下に移動させることで鉛直スリット50Sを形成する。
また、穿孔機70では、形成する鉛直スリット50Sに沿って壁20に円柱状の穴を連続して形成し、形成する鉛直スリット50Sを穿孔機70による円柱状の穴で切削しきれなかった部位を、コンクリート切削機60などで直線状に形成して整えることで鉛直スリット50Sを形成する。
ピック80では、形成するべき鉛直スリット50Sにあたる壁20に、尖らせた先端治具を叩き当てて、壁20を砕きながら鉛直スリット50Sを形成する。
ところが、形成するべき鉛直スリット50Sにあたる壁20のうち、壁20と下階の床スラブ30とが結合されている部分の際20Aや、壁20と上階の床スラブ30とが結合されている部分の際20Bなどでは、切削作業が非常に困難となっている。
たとえば、コンクリート切削機60を用いて際20Aや際20Bを切削しようとする場合、コンクリート切削機60本体が下階の床スラブ30や上階の床スラブ30に当たってしまうと、それ以上上下に切削することができなくなり、際20Aや際20Bまできれいに切削することができない。
また穿孔機70を用いて際20Aや際20Bを切削しようとする場合でも同様に、穿孔機70本体が下階の床スラブ30や上階の床スラブ30に当たってしまうと、それ以上上下に切削することができなくなり、際20Aや際20Bまできれいに切削することができない。
一方で、ピック80を用いた場合では、コンクリート切削機60や穿孔機70などのように円盤状の砥石を回転させる本体機器や、穿孔治具を回転させる本体機器が不要なため、際20Aや際20Bまできれいに切削することは考えられる。
ところが、ピック80では、尖らせた先端治具を人による力で叩き当てて壁20を叩き壊すため、非常に時間がかかる問題が残る。
そこで、壁20の中央部分をコンクリート切削機60や穿孔機70を用いて切削し、残された際20Aや際20B付近のみをピック80で切削する方法が考えられる。しかし、人の力によるピック80で際20Aや際20Bをきれいに切削するには、相当の技術が要される。
通常、鉛直スリット50Sは、30mm〜50mmの幅で形成される。この細い隙間を狙ってピック80を挿入し、際20Aや際20Bをきれいな平坦に仕上げるのは、非常に困難である。
誤って床スラブ30まで切削してしまった場合には、床スラブ30に凹部が形成されてしまい、後に挿入される鉛直スリット材50と床スラブ30との間に隙間が生じてしまう。この隙間に雨水等が入り込んでしまうことで水漏れの原因や、隙間に染み込んだ水分が凍結して膨張すると壁20のひび割れなどの原因になりかねない。
また際20Aや際20Bに切削残しが生じてしまった場合には、形成されるべき鉛直スリット50Sに凸部が形成されてしまい、後に挿入される鉛直スリット材50が鉛直スリット50Sに収まりきらないことが考えられる。
このため、際20Aや際20Bをきれいな平坦に仕上げるためには、時間をかけて丁寧にピック80を用いて切削するしか考えられないため、非常に手間のかかる作業となっている。
なお、鉛直スリット50Sにコンクリート切削機60や穿孔機70を挿入して、鉛直スリット50Sの内部で切削面を際20Aや際20Bに向けて切削することも考えられるが、前述のとおり、鉛直スリット50Sは30mm〜50mmの幅で形成されるため、鉛直スリット50Sの内部で切削作業を行うことは現実的ではない。
そこで、鉛直スリット50Sをコンクリート切削機60や穿孔機70を挿入可能な幅に大きく形成することも考えられるが、鉛直スリット50Sの幅を大きくしてしまうと構造的にコンクリート建築物の耐久性が低下してしまうため、こちらも現実的ではない。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、スリット材が位置ずれを起こすことなく、かつ施工時間と施工による手間とを削減して耐震用スリットが必要な箇所に形成される耐震構造、および耐震構造の形成方法を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、あらかじめ形成された下階の床スラブの上に、前記下階の床スラブ上から上階の床スラブまでコンクリートを打設することで形成される壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造において、前記下階の床スラブと前記形成される壁との間に水平方向に載置される水平スリット材と、前記形成される柱と壁との間で、前記柱の高さ方向の一部の高さで形成され、前記柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から前記柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置される鉛直部分スリット材と、前記コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の前記床スラブと前記鉛直部分スリット材との間、または前記鉛直部分スリット材と前記直部分スリット材との間で、前記直部分スリット材の延長部分を切削することで形成された後施工鉛直スリットと、を備えることを特徴とする耐震構造が提供される。
これにより、下階の床スラブと形成される壁との間に水平スリット材が水平方向に載置され、形成される柱と壁との間で、柱の高さ方向の一部の高さで形成された鉛直部分スリット材が、柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置され、コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の床スラブと鉛直部分スリット材との間、または鉛直部分スリット材と鉛直部分スリット材との間で、直部分スリット材の延長部分を切削することで後施工鉛直スリットが形成される。
また、本願発明では、あらかじめ形成された下階の床スラブの上に、前記下階の床スラブ上から上階の床スラブまでコンクリートを打設することで形成される壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造の形成方法において、前記下階の床スラブと前記形成される壁との間に水平スリット材が水平方向に載置される工程と、前記形成される柱と壁との間で、前記柱の高さ方向の一部の高さで形成された鉛直部分スリット材が、前記柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から前記柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置される工程と、前記コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の前記床スラブと前記鉛直部分スリット材との間、または前記鉛直部分スリット材と前記直部分スリット材との間で、前記直部分スリット材の延長部分を切削することで後施工鉛直スリットが形成される工程とを備えることを特徴とする耐震構造の形成方法が提供される。
これにより、下階の床スラブと形成される壁との間に水平スリット材が水平方向に載置され、形成される柱と壁との間で、柱の高さ方向の一部の高さで形成された鉛直部分スリット材が、柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置され、コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の床スラブと鉛直部分スリット材との間、または鉛直部分スリット材と鉛直部分スリット材との間で、直部分スリット材の延長部分を切削することで後施工鉛直スリットが形成される。
本発明の耐震構造、および耐震構造の形成方法によれば、下階の床スラブと形成される壁との間に水平スリット材が水平方向に載置され、形成される柱と壁との間で、柱の高さ方向の一部の高さで形成された鉛直部分スリット材が、柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置され、コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の床スラブと鉛直部分スリット材との間、または鉛直部分スリット材と鉛直部分スリット材との間で、直部分スリット材の延長部分を切削することで後施工鉛直スリットが形成されるので、コンクリートの打設時に、鉛直部分スリット材と鉛直部分スリット材との間をコンクリートが通ることで、鉛直部分スリット材にかかる圧力が低減されて鉛直部分スリット材に位置ずれが生じることがなくなる。
また、位置ずれが生じない鉛直部分スリット材と鉛直部分スリット材との間で、直部分スリット材の延長部分を切削することで、正確な位置である壁と柱との境界位置にスリットを形成することができるため、位置ずれしたスリット材の位置を補修するなどの工事が不要になるため、全体的な施工時間と施工による手間とを削減して耐震用スリットが必要な箇所に形成することができる。
本実施の形態に係る耐震補強を行った壁の一例を示す立面図である。 本実施の形態に係る耐震補強を行う壁における、水平スリット材、下端鉛直スリット材、および上端鉛直スリット材を配置してコンクリートを下階の床スラブから上階の床スラブまで一度に打設した状態を示す立面図である。 本実施の形態に係る耐震補強を行う壁における、コンクリート打設後に後施工鉛直スリットを後施工で形成した状態を示す立面図である。 本実施の形態に係る耐震補強を行う壁における、後施工鉛直スリットを切削により形成している様子を示す鉛直スリット部の断面図である。 本実施の形態に係る耐震補強を行う壁を形成するときにおける、コンクリート打設前の型枠、セパレータ、およびスリット材を示す図である。 本実施の形態に係る耐震補強を行う壁を形成するときにおける、コンクリート打設時の型枠、セパレータ、およびスリット材を示す側面図である。 後施工で形成した後施工鉛直スリットに後施工鉛直スリット材を設置した平面図である。 特許文献2で開示された耐震補強を行った壁の一例を示す立面図である。 本特許文献2で開示された耐震補強の形成方法の第一工程を示す立面図である。 本特許文献2で開示された耐震補強の形成方法の第二工程を示す立面図である。 本特許文献2で開示された耐震補強の形成方法の第二工程で壁を切削している様子を示す鉛直スリット部の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る耐震補強を行った壁の一例を示す立面図である。
図1に示すように、2本の柱10間に形成される壁20は、床スラブ30との間に水平方向の水平スリット材110が介装され、壁20と床スラブ30との拘束が絶たれている。
また、壁20は、柱10との間に介在される鉛直方向のスリット材である下端鉛直スリット材120、上端鉛直スリット材130、および後施工鉛直スリット材140が介装され、壁20と柱10との拘束が絶たれている。
前述のとおり、下階の床スラブ30から上階の床スラブ30まで一度にコンクリートの打設を行うことで、柱10と壁20とが連続した状態で一度の打設で形成されるため、工数の削減によるコスト削減が可能になるため望ましい施工方法である。
ところが、柱10や壁20を形成するためのコンクリート型枠に、鉛直方向のスリット材を下階の床スラブ30の上面から上階の床スラブ30下面まで一連の鉛直スリット材を取り付けた状態でコンクリートを打設した場合、一連の鉛直スリット材をたとえどんなに強固に固定しても、打設したコンクリートの圧力が一連の鉛直スリット材全面にかかるため、一連の鉛直スリット材がゆがんだり、位置ずれが生じたりする可能性を排除することができない。
そこで、本願発明では、まず打設するコンクリートの圧力による影響が限りなく小さい形成されるべき壁20との下階の床スラブ30との間に設置される水平スリット材110と、柱10と壁20との間に改装される鉛直スリット材のうち、下端鉛直スリット材120と、上端鉛直スリット材130とのみを所望の位置に設置し、後施工鉛直スリット材140は設置しない状態で、下階の床スラブ30から上階の床スラブ30まで一度にコンクリートを打設し、形成された柱10と壁20との間、かつ下端鉛直スリット材120と、上端鉛直スリット材130との間を後施工によって鉛直方向の後施工鉛直スリットを形成し、後施工によって形成された後施工鉛直スリットに後施工鉛直スリット材140を設置することにより鉛直方向の鉛直スリットを形成する。
コンクリートを打設する際に、形成されるべき壁20との下階の床スラブ30との間、つまり床スラブ30の上面に水平方向に配置された水平スリット材110は、打設したコンクリートの大きな圧力を受ける高さがないため、打設するコンクリートの圧力により位置ずれを生じることはない。
また鉛直方向のスリット材については、打設したコンクリートが鉛直方向に配置された下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130との間を壁20から柱10方向へ、または柱10から壁20方向へ流れていくことができるので、下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130とが受ける打設時のコンクリートの圧力は小さくなる。つまり打設されたコンクリートの圧力が少ない下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130とは、位置ずれを生じることがない。
これにより、下階の床スラブ30から上階の床スラブ30まで一度にコンクリートを打設することができ、かつコンクリートを一度に打設しても、下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130とが位置ずれを起こさず、決して曲がることがない。
したがって、位置ずれしてしまった鉛直スリット材を調査するなどの調査作業や、位置ずれしてコンクリート内に埋設されてしまった鉛直スリット材を取り出して、正確な位置に補正して埋め戻すなどの補修作業などが不要になるため、全体の作業工数が削減でき、作業コストが低減できる。
また、位置ずれしない水平スリット材110、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が打設したコンクリート内に埋設され、下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130との間を後施工で正確な位置に後施工鉛直スリットを形成し、形成された後施工鉛直スリットに後施工鉛直スリット材140を配置することで、正確な位置に各スリット材が配置されるため、精度の高い耐震構造を提供することができる。
さらに、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130がコンクリート内で正確な位置に埋設されているため、後施工鉛直スリットを形成する際に、切削作業に時間を要していた下階の床スラブ30と鉛直スリットとの際や、上階の床スラブ30と鉛直スリットとの際を切削する必要がなくなるため、前述のコンクリート切削機60や穿孔機70などの機械が階の床スラブ30や上階の床スラブ30と干渉することなく切削作業を行うことができる。これにより、切削作業の作業工数も削減することができる。
図2は、本実施の形態に係る耐震補強を行う壁における、水平スリット材、下端鉛直スリット材、および上端鉛直スリット材を配置してコンクリートを下階の床スラブから上階の床スラブまで一度に打設した状態を示す立面図である。
図2に示すように、2本の柱10間に形成される壁20は、床スラブ30との間に水平方向の水平スリット材110が介装されている。
また、形成された壁20と柱10との間には、柱10の下端部と壁20の下端部との間に下端鉛直スリット材120が介装され、柱10の上端部と壁20の上端部との間に上端鉛直スリット材130が介装されている。
水平スリット材110は、打設したコンクリートの大きな圧力を受けて位置ずれを生じるほどの高さがなく下階の床スラブ30に固定されているため、打設するコンクリートの圧力により位置ずれを生じることなく、壁20と床スラブ30との間の所望の位置に介装されている。
また打設したコンクリートが鉛直方向に配置された下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130との間を通り抜けることで、打設されたコンクリートの圧力が低減された下端鉛直スリット材120および上端鉛直スリット材130は、打設するコンクリートの圧力により位置ずれを生じることなく、柱10と壁20との間の所望の位置に介装されている。
また、一般に壁20が面外方向へ動くことを拘束するために、壁20の内部を面方向に沿って、たとえば10mm程度の鉄筋が400mm間隔などで水平方向に振れ止め筋21が配置される。
振れ止め筋21は柱10と壁20とをつなぐように鉄筋が水平に配置されているため、振れ止め筋21を配置しすぎると、柱10と壁20との拘束を絶つことができない。このため柱10と壁20との間にスリットを形成して柱10と壁20との拘束を絶つためには、形成するスリットの位置に配置された振れ止め筋21を切断しなければならない。
本願発明では、この振れ止め筋21を、あらかじめ下端鉛直スリット材120、または上端鉛直スリット材が配置される部分のみを通過するように配置している。これにより、後施工鉛直スリットを形成する際に、配置された振れ止め筋21を切断する手間が省ける。
図3は、本実施の形態に係る耐震補強を行う壁における、コンクリート打設後に後施工鉛直スリットを後施工で形成した状態を示す立面図である。
図3に示すように、水平スリット材110、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130を配置してコンクリートを下階の床スラブから上階の床スラブまで一度に打設し、十分な養生期間をおいた後に後施工鉛直スリット140Sが形成される。
後施工鉛直スリット140Sは、コンクリートの打設によって形成された柱10と壁20との間、かつ下端鉛直スリット材120と、上端鉛直スリット材130との間に鉛直方向に形成される。
具体的には、コンクリート内に介装された下端鉛直スリット材120および上端鉛直スリット材130は、形成される鉛直スリット幅で形成されてコンクリート内に介装されている。
後施工鉛直スリット140Sは、埋設された下端鉛直スリット材120の上端部から上端鉛直スリット材130の下端部にかけて形成される鉛直スリット幅で切削することで形成される。
図4は、本実施の形態に係る耐震補強を行う壁における、後施工鉛直スリットを切削により形成している様子を示す鉛直スリット部の断面図である。
図4に示すように、ここでは図示しない柱10の際に鉛直方向の後施工鉛直スリット140Sが点線のように壁20を一般的に切削機、ピック等を用いて切削して形成する。
壁20を切削して後施工鉛直スリット140Sを形成するには、たとえば円盤状の砥石を回転させて対象物に接触させることで直線状に対象物を切削するウォールソーなどのコンクリート切削機60や、穿孔治具を回転させて対象物に当てることで円柱状の穴をあける穿孔機70や、尖らせた先端治具を対象物に叩き当てることで対象物を砕いて切削するピック80などが利用される。
コンクリート切削機60では、形成する後施工鉛直スリット140Sに沿って回転させた円盤状の砥石を押し当て、上下に移動させることで後施工鉛直スリット140Sを形成する。
また、穿孔機70では、形成する後施工鉛直スリット140Sに沿って壁20に円柱状の穴を連続して形成し、形成する後施工鉛直スリット140Sに対して穿孔機70による円柱状の穴で切削しきれなかった部位を、コンクリート切削機60などで直線状に形成して整えることで後施工鉛直スリット140Sを形成する。
ピック80では、叩き当て形成するべき後施工鉛直スリット140Sにあたる壁20に、尖らせた先端治具を叩き当てて、壁20を砕きながら後施工鉛直スリット140Sを形成する。
従来では、形成するべき柱10と壁20との間に形成される鉛直スリットのうち、壁20と下階の床スラブ30とが結合されている部分の際20Aや、壁20と上階の床スラブ30とが結合されている部分の際20Bなどでは、切削作業が非常に困難となっていたが、本願発明では後施工鉛直スリット140Sの切削前に、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が際20Aや際20Bから鉛直に介装されているので、切削作業が非常に困難だった部位にあらかじめ下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が介装されている。つまりあらためて後施工で、切削作業が非常に困難な際20Aや際20Bを切削する必要がない。
このように、後施工で切削作業が非常に困難な際20Aや際20Bを切削する必要を排除するためには、際20Aや際20Bから鉛直方向に設置される下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130の高さを、コンクリート切削機60や、穿孔機70などの切削機械での切削可能範囲に到達する高さ以上の高さが必要である。
具体的には、コンクリート切削機60や、穿孔機70などの切削機械が、際20Aや際20Bから300mmまでが切削可能な範囲の場合、つまり切削機械本体が上下階の床スラブ30に干渉することで、上下階の床スラブ30から300mmが切削できない場合は、設置される下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130の鉛直方向の高さを300mm以上にすればよい。
これにより、切削機械が切削可能な範囲内にまで到達するように下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が、あらかじめ介装されているので、後施工で切削する後施工鉛直スリット140Sは切削機械が切削可能な範囲内におさめることができる。
また、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130の高さを高く設定しすぎると、打設したコンクリートの圧力を受けて、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が位置ずれを生じる恐れがあるため、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130の高さは、コンクリートの打設による圧力によって位置ずれを生じない程度の高さ以内におさめる必要がある。
さらに、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130は両者とも必ず介装させる必要はなく、際20Aや際20Bまで鉛直スリットを必要としない部位については、いずれか一方を介装させるようにしてもよい。
また、壁20が面外方向へ動くことを拘束するため振れ止め筋21は、あらかじめ下端鉛直スリット材120、または上端鉛直スリット材が配置される部分のみを通過するように配置している。
このため、形成する後施工鉛直スリット140S部分には振れ止め筋21が存在しないため、柱10と壁20との拘束を絶つために配置された振れ止め筋21を切断する手間が必要ない。
また、形成する後施工鉛直スリット140S部分に振れ止め筋21が配置されていると、鉄筋を切断するために、コンクリート切削機60や、穿孔機70などの切削機械の砥石や穿孔治具の消耗を早めてしまう恐れがあるが、本願発明では後施工鉛直スリット140S部分に振れ止め筋21が配置されていないため、鉄筋と比較して切削しやすいコンクリートだけを切削すればよく、切削機械の砥石の消耗を抑制することができる。
図5は、本実施の形態に係る耐震補強を行う壁を形成するときにおける、コンクリート打設前の型枠、セパレータ、およびスリット材を示す図である。
図5に示すように、コンクリートをコンクリート型枠90内に流し込んで壁を形成するためには、一対の型枠板91の間にセパレータ92を設けて所定の間隔が維持されるようにした状態でコンクリート型枠90の内側である型枠板91と型枠板91との間にコンクリートを流し込むことによって行われる。
従来工法のように、壁20の形成とともに水平スリット材110、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が壁内に設置されるようにするためには、セパレータ92とともに、型枠板91の間の所望の位置に水平スリット材110、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130を設置してからコンクリートを流し込む。
水平スリット材110は、型枠板91と型枠板91との間で床スラブ30の上面を覆うように水平方向に敷設される。
また下端鉛直スリット材120は、型枠板91と型枠板91との間で、形成される柱10と形成される壁20との際の下端部から、形成される柱10に沿って鉛直上方向に向けて配置される。なお下端鉛直スリット材120は任意の方法によって型枠板91と型枠板91とに固定される。
さらに上端鉛直スリット材130は、型枠板91と型枠板91との間で、形成される柱10と形成される壁20との際の上端部から、形成される柱10に沿って鉛直下方向に向けて配置される。なお下端鉛直スリット材120は任意の方法によって型枠板91と型枠板91とに固定される。
図6は、本実施の形態に係る耐震補強を行う壁を形成するときにおける、コンクリート打設時の様子を示す側面図である。
図6に示すように、コンクリートを流し込んで建造物を形成する手順としては、まず床スラブ30を形成し、床スラブ30上に形成する壁20の設置位置の墨出しを行う。そして、墨出しに合わせてコンクリート型枠90を設置した後に、コンクリート型枠90内に配筋を行い、上階の床スラブ30まで一気にコンクリートCを流し込む。さらに上階を形成するときはこの手順を繰り返す。
この手順において、従来構法のように、型枠板91と型枠板91との間の所望の位置に、形成される柱10と形成される壁20との際に、壁20の下端部から壁20の上端部にかけて連続したスリット材を設置した状態でコンクリートCを流し込むと、流し込んだコンクリートCの圧力によってスリット材に強い側圧がかかり、スリット材が所望の位置から曲がってしまうという問題があった。
ところが、本願発明では、下端鉛直スリット材120と上端鉛直スリット材130との間に隙間Lが形成された状態でコンクリートCを打設するので、流し込まれたコンクリートCは隙間Lを流れていく。
具体的には、柱10および壁20を形成するために、コンクリート型枠90内に柱10側からコンクリートCを打設した場合、打設されたコンクリートCは、コンクリート型枠90に沿って壁20方向に流れ込む。
打設されたコンクリートCが流れて下端鉛直スリット材120にあたると、やがて下端鉛直スリット材120をコンクリートCが乗り越えて隙間Lを通り、やがて壁20に到達する。
このように、コンクリートCが隙間Lを通ることで、下端鉛直スリット材120にかかる圧力が軽減する。このコンクリート型枠90内にコンクリートCを打設すると、柱10と壁20が形成され、壁20内であって、柱10と壁20との境界位置の下端部の際には下端鉛直スリット材120が埋設された状態となる。
よって、隙間Lは、下端鉛直スリット材120にかかる圧力を回避させ、下端鉛直スリット材120の位置ずれを防止することができ、下端鉛直スリット材120を所望の位置に固定したまま一度にコンクリートCを打設し、柱10および壁20を形成することができる。
上端鉛直スリット材130の場合も同様に、打設されたコンクリートCが流れて上端鉛直スリット材130にあたると、やがて上端鉛直スリット材130をコンクリートCが乗り越えて上端鉛直スリット材130の上部の空間を通り、やがて壁20に到達する。
または、打設されたコンクリートCが流れて上端鉛直スリット材130にあたると、やがて上端鉛直スリット材130の下側をコンクリートCが流れて、やがて壁20に到達する。
よって、隙間Lや上端鉛直スリット材130の上部の空間は、上端鉛直スリット材130にかかる圧力を回避させ、上端鉛直スリット材130の位置ずれを防止することができ、上端鉛直スリット材130を所望の位置に固定したまま一度にコンクリートCを打設し、柱10および壁20を形成することができる。
図7は、後施工で形成した後施工鉛直スリットに後施工鉛直スリット材を設置した平面図である。
図7に示すように、後施工鉛直スリット材140は、発泡体141、ロックウール142、防水シート143、バックアップ材144、およびシーリング材145を備えている。
発泡体141は、たとえば熱伝導率が低く、断熱性能に優れた板状体のポリエチレン発泡体141Aであって、後施工で形成される後施工鉛直スリット140Sと同じ高さで形成される。
ポリエチレン発泡体141Aの壁厚方向の厚さは、形成される壁20の厚さの半分程度で形成される。具体的には、形成される壁20の厚さが150mmとすると、ポリエチレン発泡体141Aの壁厚方向の厚さは80mm程度で形成するとよい。
またポリエチレン発泡体141Aは、無機質で難燃性を備えた炭酸カルシウム発泡体141Bを厚さ3mm程度の周面に備えることができる。これにより、難燃性を向上させることができる。
発泡体141の幅は、後施工で形成される後施工鉛直スリット140Sと同じか、若干大きめに形成され、後施工鉛直スリット140Sの屋内側の壁20の壁面に合わせて発泡体141が圧入される。
ロックウール142は、断熱性、吸音性、耐火性などに優れたロックウールを集束または積層することで弾性をもたせて板状体に形成したものであって、後施工で形成される後施工鉛直スリット140Sと同じ高さで形成される。
ロックウール142の壁厚方向の厚さは、後施工鉛直スリット140Sと後施工鉛直スリット140Sに挿入された発泡体141との差分の約半分程度で形成される。具体的には、形成される壁20の厚さが150mmで、後施工鉛直スリット140Sに挿入された発泡体141の壁厚方向の厚さが80mmとすると、ロックウール142の壁厚方向の厚さは40mm程度で形成するとよい。
さらに、ロックウール142の周面には、ロックウール142の表面を完全に被覆する例えばポリエチレンフィルム製の外被材を備えることができ、外部から雨水などの水分からロックウール142を守ることができる。
ロックウール142の幅は、後施工で形成される後施工鉛直スリット140Sと同じか、若干大きめに形成され、後施工鉛直スリット140Sに圧入された発泡体141に接するようにロックウール142が圧入される。
後施工鉛直スリット140Sに圧入されたロックウール142の屋外側には、防水シート143が貼付されて一体に形成されている。防水シート143は、たとえばポリエステル不織布が耐熱性、耐寒性、耐水性に優れ、高粘着力を備えたブチルゴムによって粘着されるものであり、後施工鉛直スリット140Sの幅よりも大きい寸法で形成されている。
一体に形成されたロックウール142と防水シート143とを、ロックウール142側から後施工鉛直スリット140Sに圧入し、後施工鉛直スリット140Sの幅よりも幅広で形成された防水シート143は屋外側に折り返される。
次に、バックアップ材144を防水シート143で包むようにして後施工鉛直スリット140Sに挿入する。
バックアップ材144は、たとえば熱伝導率が低く、断熱性能に優れた板状体のポリエチレン発泡体であって、後施工で形成される後施工鉛直スリット140Sと同じ高さで形成される。
バックアップ材144の幅は、後施工で形成される後施工鉛直スリット140Sと同じか、若干大きめに形成され、後施工鉛直スリット140Sに圧入されたロックウール142および防水シート143に接するようにバックアップ材144が圧入される。
バックアップ材144の壁厚方向の厚さは、後施工鉛直スリット140Sと後施工鉛直スリット140Sに挿入された発泡体141、ロックウール142、および防水シート143との差分の約半分程度で形成される。
具体的には、形成される壁20の厚さが150mmで、後施工鉛直スリット140Sに挿入された発泡体141の壁厚方向の厚さが80mm、一体に形成されたロックウール142および防水シート143の厚さが40mmとすると、バックアップ材144の壁厚方向の厚さは15mm程度で形成するとよい。
最後に、後施工鉛直スリット140Sに挿入された発泡体141、ロックウール142、防水シート143、およびバックアップ材144と後施工鉛直スリット140Sとの差分を、たとえばポリウレタンなどのシーリング材145で閉塞して防水処理を行う。
以上により、水平スリット材110、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130を所望の位置に固定したままコンクリートの打設が一度に行えるので、コンクリート硬化後に各スリット材の位置ずれを修正するというリスクを回避することができる。
また、水平スリット材110、下端鉛直スリット材120、および上端鉛直スリット材130が正常な位置で介装されたまま、後施工で後施工鉛直スリット140Sを形成して後施工鉛直スリット材140を設置することで、柱10と壁20との拘束を断ち、柱10と壁20とを完全に分断することで耐震補強を施した構造を効率的に提供することができる。
10 柱
20 壁
20A 際
20B 際
21 振れ止め筋
30 床スラブ
40 水平スリット材
50 鉛直スリット材
50S 鉛直スリット
60 コンクリート切削機
70 穿孔機
80 ピック
90 コンクリート型枠
91 型枠板
92 セパレータ
110 水平スリット材
120 下端鉛直スリット材
130 上端鉛直スリット材
140 後施工鉛直スリット材
140S 後施工鉛直スリット
141 発泡体
141A ポリエチレン発泡体
141B 炭酸カルシウム発泡体
142 ロックウール
143 防水シート
144 バックアップ材
145 シーリング材
C コンクリート
L 隙間

Claims (5)

  1. あらかじめ形成された下階の床スラブの上に、前記下階の床スラブ上から上階の床スラブまでコンクリートを打設することで形成される壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造において、
    前記下階の床スラブと前記形成される壁との間に水平方向に載置される水平スリット材と、
    前記形成される柱と壁との間で、前記柱の高さ方向の一部の高さで形成され、前記柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から前記柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置される鉛直部分スリット材と、
    前記コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の前記床スラブと前記鉛直部分スリット材との間、または前記鉛直部分スリット材と前記直部分スリット材との間で、前記直部分スリット材の延長部分を切削することで形成された後施工鉛直スリットと、
    を備えることを特徴とする耐震構造。
  2. 前記鉛直部分スリット材は、
    前記後施工鉛直スリットを切削する切削機器の切削稼働範囲まで到達する高さ、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の耐震構造。
  3. 前記鉛直部分スリット材は、
    前記鉛直部分スリット材との間、または前記鉛直部分スリット材と前記直部分スリット材との間で、打設される記コンクリートによる負荷で、前記鉛直部分スリット材が位置ずれしないように緩和する間隔を得られる高さ以下であること
    を特徴とする請求項1記載の耐震構造。
  4. 前記壁の内部に配筋される振れ止め筋が、
    前記鉛直部分スリット材の配設位置内部に配筋されることを特徴とする請求項1記載の耐震構造。
  5. あらかじめ形成された下階の床スラブの上に、前記下階の床スラブ上から上階の床スラブまでコンクリートを打設することで形成される壁と柱との境界位置にスリットを有する耐震構造の形成方法において、
    前記下階の床スラブと前記形成される壁との間に水平スリット材が水平方向に載置される工程と、
    前記形成される柱と壁との間で、前記柱の高さ方向の一部の高さで形成された鉛直部分スリット材が、前記柱の上端部と下端部とのいずれか一方、または両方から前記柱の高さの中心方向に沿って鉛直に載置される工程と、
    前記コンクリートの打設後に形成された柱と形成された壁との間であって、下階または上階の前記床スラブと前記鉛直部分スリット材との間、または前記鉛直部分スリット材と前記直部分スリット材との間で、前記直部分スリット材の延長部分を切削することで後施工鉛直スリットが形成される工程と、
    を備えることを特徴とする耐震構造の形成方法。
JP2019157065A 2019-08-29 2019-08-29 耐震構造、および耐震構造の形成方法 Pending JP2021032050A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019157065A JP2021032050A (ja) 2019-08-29 2019-08-29 耐震構造、および耐震構造の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019157065A JP2021032050A (ja) 2019-08-29 2019-08-29 耐震構造、および耐震構造の形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021032050A true JP2021032050A (ja) 2021-03-01

Family

ID=74677953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019157065A Pending JP2021032050A (ja) 2019-08-29 2019-08-29 耐震構造、および耐震構造の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021032050A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09203219A (ja) * 1996-01-26 1997-08-05 Kajima Corp 既存建物の耐震補強方法
JP2000001923A (ja) * 1998-06-12 2000-01-07 Toda Constr Co Ltd スリット目地の遮音構造とその施工方法
JP2000213204A (ja) * 1999-01-26 2000-08-02 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐震用スリット材
JP2006028980A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Hiroyasu Ooka 後施工耐震スリット材
JP2014234602A (ja) * 2013-05-31 2014-12-15 株式会社ロンビックジャパン 耐震壁、およびその形成方法
JP2016216920A (ja) * 2015-05-15 2016-12-22 鉄建建設株式会社 連続コアドリル工法
JP2017115467A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 株式会社ロンビックジャパン 耐震構造、およびその形成方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09203219A (ja) * 1996-01-26 1997-08-05 Kajima Corp 既存建物の耐震補強方法
JP2000001923A (ja) * 1998-06-12 2000-01-07 Toda Constr Co Ltd スリット目地の遮音構造とその施工方法
JP2000213204A (ja) * 1999-01-26 2000-08-02 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐震用スリット材
JP2006028980A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Hiroyasu Ooka 後施工耐震スリット材
JP2014234602A (ja) * 2013-05-31 2014-12-15 株式会社ロンビックジャパン 耐震壁、およびその形成方法
JP2016216920A (ja) * 2015-05-15 2016-12-22 鉄建建設株式会社 連続コアドリル工法
JP2017115467A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 株式会社ロンビックジャパン 耐震構造、およびその形成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10465379B2 (en) Wall tie apparatus and method
NO316179B1 (no) Fremgangsmåte for fremstilling av et dekkeparti og et slikt dekkeparti
KR20180072968A (ko) 교각 구조물용 영구거푸집 및 이를 이용한 교각 시공방법
CN102116010A (zh) 一种叠层隔震橡胶支座的安装方法
KR20150025554A (ko) 누수방지형 건축용 pc벽체구조물
JP5854506B2 (ja) 既存建物の基礎形式変更方法
JP2021032050A (ja) 耐震構造、および耐震構造の形成方法
JP5822379B2 (ja) 中空スラブの補修工法
KR102239768B1 (ko) 동시 타설이 가능한 자립형 신축이음장치 및 그 시공방법
JP6302222B2 (ja) 水平力支持構造および水平力支持構造の構築方法
JP6559060B2 (ja) 耐震構造、およびその形成方法
KR101366503B1 (ko) 콘크리트 측압 저항성능이 증진된 현장타설형 중단열 벽체 및 그 시공방법
JP3551816B2 (ja) 既存建物の免震化工法
JP5830068B2 (ja) 法面補強工法
JP4821713B2 (ja) 合成壁構造および合成壁の構築方法
JP7016106B2 (ja) 軽量盛土構造、および軽量盛土の構築方法
JP6190002B2 (ja) 複合パネル及び複合パネルの製造方法
KR100765055B1 (ko) 공동주택 최상층 천정의 전기박스 설치장치 및 설치방법
JPH07310329A (ja) 建築物の基礎構造およびその構築方法
KR20160028160A (ko) 스틸 와이어로프를 이용한 매립형 보수/보강공법
JP6449115B2 (ja) 耐震構造および耐震化方法
JP6232190B2 (ja) 目地構成部材、コンクリート打設方法、コンクリート構造物
JP5951949B2 (ja) 複合パネル及び複合パネルの製造方法
JP3931922B1 (ja) 防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法
JP2007162314A (ja) 仕上げ下地材兼用打込型枠及びそれを用いるコンクリート躯体施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230509

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231031