JP3931922B1 - 防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止でき施工も簡単な防蟻性能を有する断熱基礎の構築方法を提供すること。
【解決手段】 捨てコンクリート5上に一対の板状の断熱材(11,21)を所定距離隔てて立設させて型枠10を形成し、防蟻用のメッシュシート材30を、その下端部31が当該型枠10の外側の断熱材11と当該捨てコンクリート5との間を通ってコンクリート充填空間19に達するとともに、その上部32が当該外側の断熱材11の上端面部14に掛けられかつ当該上部32の端部33が当該コンクリート充填空間19に達するように配設し、内側端部52が当該コンクリート充填空間19に達する金属製のカバー51で当該メッシュシート材30の上部32を当該外側の断熱材11の上端面部14に押圧するようにして係止する。
【選択図】 図1
【解決手段】 捨てコンクリート5上に一対の板状の断熱材(11,21)を所定距離隔てて立設させて型枠10を形成し、防蟻用のメッシュシート材30を、その下端部31が当該型枠10の外側の断熱材11と当該捨てコンクリート5との間を通ってコンクリート充填空間19に達するとともに、その上部32が当該外側の断熱材11の上端面部14に掛けられかつ当該上部32の端部33が当該コンクリート充填空間19に達するように配設し、内側端部52が当該コンクリート充填空間19に達する金属製のカバー51で当該メッシュシート材30の上部32を当該外側の断熱材11の上端面部14に押圧するようにして係止する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シロアリの食害被害を防除するのに好適な防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法に関する。
木造建物のシロアリ防除技術として、物理的工法(ケミカルフリー法)が注目されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に係る発明は、図12に示すように、建物の外周部分に設けられた立ち上がり部82と基礎 スラブ83とを有するべた基礎81 の立ち上がり部82の外側面に密着した断熱材91の内部をシロアリが通過して軸組及び床組へ侵入するのを物理的に防止する防蟻性能であって、当該断熱材91の外側面をステンレスメッシュ95で被覆したものとされている。このステンレスメッシュ95は、シロアリの分泌物に耐性の耐腐食材料製とされかつ編み目の孔がシロアリ種の頭部最大寸法より小径とされている。
また、最近、コンクリート打設後に型枠を取り外す工法(従来基礎構築方法)に代わって、断熱材を型枠として使用するとともにコンクリート打設後も残置するという工法(断熱基礎構築方法)が次第に採用されるようになっている(例えば、特許文献3参照)。この場合、断熱材は、硬質発泡樹脂(例えば、発泡スチロール)製とされている。
特開2000−179060号公報
特開2000−110268号公報
特開平11−36587号公報
ところで、特許文献1の発明の場合、理論的には、シロアリの断熱材91への入り込みはステンレスメッシュ95で防止できるようにみえるが、実際は例えば図13に示すように、捨てコンクリート85の上面は完全な平坦ではなく幾分の凹凸を有しており、断熱材91(断熱材91に密着するステンレスメッシュ95)の下端が直線状に形成されていても、当該捨てコンクリート85と断熱材91(ステンレスメッシュ95)の下端との間に隙間が開く部分が生じる。あるいは、図14および図15に示すように、捨てコンクリート85の上面は平坦で形成されているが、断熱材91(ステンレスメッシュ95)の下端が直線状ではなく凹凸を有していれば、当該捨てコンクリート85と断熱材91(ステンレスメッシュ95)の下端との間に隙間が開く部分が生じてしまう。そのため、現実には、シロアリは、捨てコンクリート85と断熱材91(ステンレスメッシュ95)の下端との間の隙間部分から当該断熱材91部分に入り込んで蟻道を作り、その蟻道を伝って土台89(図12参照)等の木材部分に達して食害を起こしてしまう。
なお、特許文献2に示すように、図12に示すステンレスメッシュ95の下端部96を折り曲げて捨てコンクリート85上面にセメントで接着させることも提案されているが、上記したように捨てコンクリート85の上面に凹凸が有ると、ステンレスメッシュ95の下端部が捨てコンクリート85上面から離れてしまう部分(隙間となる部分)が生じてしまうことがあり、シロアリは当該隙間から断熱材91に入り込んで蟻道を作り、その蟻道を伝って土台89等の木材部分に達して食害を起こしてしまう。
上記した不都合は、従来基礎構築方法を実施した際に生じるものであるが、断熱基礎でも生じる。そこで、本出願人は断熱基礎構築で上記した不都合が生じない方法を開発する必要性を強く感じた。
本発明の目的は、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止でき施工も簡単な防蟻性能を有する断熱基礎の構築方法を提供することにある。
請求項1の発明は、防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法であって、捨てコンクリート上に一対の板状の断熱材を所定距離隔てて立設させて型枠を形成し、上メッシュシート材と下メッシュシート材とからなる防蟻用のメッシュシート材を備え、前記下メッシュシート材をその下端部が前記型枠の外側の断熱材と前記捨てコンクリートとの間を通って当該両断熱材間のコンクリート充填空間に達するように配設し、前記上メッシュシート材の上部を折り曲げて前記外側の断熱材の上端面部に掛かるとともに当該上部の端部が前記コンクリート充填空間に達するように配設し、凹み部分と当該凹み部分から水平方向に突出する内側端部を有する金属製のカバーをその内側端部を前記コンクリート充填空間に突出させた状態でその凹み部分を当該上メッシュシート材の上部を介在させた状態で前記外側の断熱材の上端面部に被せ、前記上メッシュシート材の下端部と前記下メッシュシート材の上端部とを接着し、その状態で前記コンクリート充填空間にコンクリートを前記カバーの内側端部および前記上メッシュシート材の上部の端部が埋設するまで打設して基礎の立ち上がり部を形成してなる。
上記した構成の請求項1の発明の場合、通常、断熱材は、硬質発泡樹脂(例えば、発泡スチロール)製とされている。また、防蟻用のメッシュシート材は、特許文献1で開示されたように、シロアリの分泌物に耐性でかつ少なくとも約70のショワ硬度を有する耐腐食材料製とされかつ編み目の孔がシロアリ種の頭部最大寸法より小径のものを使う。
防蟻用のメッシュシート材である下メッシュシート材は、その下端部が外側の断熱材と捨てコンクリートとの間に挟まるように固定され、上メッシュシート材はその上部が当該断熱材の上端面部に掛けられ更にその上から金属製のカバーで当該上端面部に押圧されるようにして係止されるので、現場でも簡単に仮止めすることができる。なお、上メッシュシート材の下端部と下メッシュシート材の上端部とは接続しなければならないが、両方ともに一端部が固定されているので、当該接続作業は簡単に行える。コンクリート充填空間にコンクリートを上記カバーの内側端部および上記上メッシュシート材の上部の端部が埋設するまで打設する。
打設コンクリートが硬化した後は、上記下メッシュシート材の下端部は、外側の断熱材と捨てコンクリートとの間に挟まれた状態で当該コンクリートに埋設されて固定される。また、上記上メッシュシート材の上部は、カバーで外側の断熱材の上端面部に押圧されるようにして係止されその状態で更に当該カバーの内側端部および当該上部の端部が打設コンクリートに埋設される。したがって、打設コンクリート硬化後は、上記各メッシュシート材は、それぞれの両端部が完全に固定されることになり、外側の断熱材の打設コンクリートと密着している背面を除く面部分は当該各メッシュシート材で覆われることになる。なお、防蟻用のメッシュシート材が、上メッシュシート材と下メッシュシート材とから形成されているので、大きさや重さを例えば半々とすることができる。したがって、現場までの運搬が楽になるとともに、現場での持ち運びやセット等が楽になる。
これにより、シロアリが、外方の地面から外側の断熱材の内部へ入りこもうとしてもメッシュシート材に阻まれ入り込めない。万が一、メッシュシート材の一部が破れてしまい、そこからシロアリが外側の断熱材の内部へ入り込んでも当該断熱材の上端面部は金属製のカバーで覆われているので、当該カバーに進路を阻まれ当該上端面部の上にある土台等の木材には達しない。
以上より、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止でき施工も簡単である。
請求項2の発明は、前記外側の断熱材を、複数個の断熱ブロックを一列に接続して形成し、 前記カバーを、当該断熱ブロック以上の長さを有するように形成し、当該カバーを前記外側の断熱材を形成する複数個の断熱ブロックに跨るように配設して前記上メッシュシート材の係止を行う構成とした請求項1記載の防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法である。
上記した請求項2の発明の場合、請求項1記載の発明と同様に、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、金属製のカバーがいわゆる定規の役目を果たし、複数個の断熱ブロックを正確かつ迅速に直線状に接続して外側の断熱材を形成できる。また、カバーが、接続された各断熱ブロックの接続箇所を覆うことによって、コンクリート打設時に当該接続箇所に大きなコンクリート圧がかかっても当該各接続箇所は曲がりにくくなり、外側の断熱材の構造強度を増すことができる。したがって、一段と型枠の構造強度が大きくなり、コンクリート打設時に断熱材の破損を防止できる。また、断熱基礎の直線精度も一段と向上する。
請求項3の発明は、前記外側の断熱材を、複数個の断熱ブロックを一列に接続して形成し、前記カバーを、当該断熱ブロック以上の長さを有するように形成し、当該カバーを前記
外側の断熱材を形成する複数個の断熱ブロックに跨るように配設して前記上メッシュシー
ト材の係止を行う構成とした請求項1又は2記載の防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法である。
外側の断熱材を形成する複数個の断熱ブロックに跨るように配設して前記上メッシュシー
ト材の係止を行う構成とした請求項1又は2記載の防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法である。
上記した請求項3の発明の場合、請求項1又は2記載の発明と同様に、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、カバーを足場にして補強用棒で地面に対して突っ張らせるという簡単な構成で、打設したコンクリートが硬化しないうちに、例えば作業者が断熱材と接触して外側(又は内側)へ押してしまったような場合でも、当該断熱材は補強用棒で補強されて倒れにくくなっているので、外側(又は内側)へ共倒れするようなことはない。これにより、両断熱材には、共倒れによる過大な曲げ応力が発生するようなことはなく、破損を防止できる。また、打設したコンクリートが曲がったまま硬化してしまい基礎の直線精度が出ないような事態も生じない。
請求項1の発明によれば、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止でき施工も簡単になる。
請求項2の発明によれば、請求項1記載の発明と同様に、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、金属製のカバーがいわゆる定規の役目を果たし、複数個の断熱ブロックを正確かつ迅速に直線状に接続して外側の断熱材を形成できる。また、カバーによって断熱材の構造強度が大きくなり、コンクリート打設時に断熱材の破損を防止できる。また、断熱基礎の直線精度も一段と向上する。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2記載の発明と同様に、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、カバーを足場にして補強用棒で地面に対して突っ張らせるという補強ができる。これにより、コンクリート打設時に断熱材の破損を防止できる。また、打設したコンクリートが曲がったまま硬化してしまい基礎の直線精度が出ないような事態も生じない。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る防蟻性能を備えた断熱基礎1の構築方法は、図1および図8に示すように、捨てコンクリート5上に一対の板状の断熱材(11,21)を所定距離隔てて立設させて型枠10を形成し、防蟻用のメッシュシート材30をその下端部31が当該型枠10の外側の断熱材11と当該捨てコンクリート5との間を通って当該両断熱材(11,21)間のコンクリート充填空間19に達するとともにその上部32が当該外側の断熱材11の上端面部14に掛けられかつ当該上部32の端部33が当該コンクリート充填空間19に達するように配設し、内側端部52が当該コンクリート充填空間19に達する金属製のカバー51で当該メッシュシート材30の上部32を当該外側の断熱材11の上端面部14に押圧するようにして係止し、その状態で当該コンクリート充填空間19にコンクリートを当該カバー51の内側端部52および当該メッシュシート材30の上部32の端部33が埋設するまで打設して基礎の立ち上がり部2を形成して成るものである。
なお、木造建物の外周部分に配設される外側の断熱材は、所定長さ(図1中紙面と直交方向の長さ)の板状断熱ブロック11を所定個数繋げて形成されている。上記断熱ブロック11は、板状の硬質発泡樹脂(例えば、発泡スチロール)から形成されている。より具体的には、断熱ブロックは、図2(A)に示すように、横寸法L1が1365mm、縦寸法Lが720mm、厚さw2が50mmとされており、その上端面部の前方の角部は斜めにカットされている。 また、上記外側の断熱材11よりも内側に配設される断熱材(内側断熱材21)も、所定長さ(同図中紙面と直交方向の長さ)の断熱ブロック22を所定個数繋げて形成されている。上記断熱ブロック22も板状の硬質発泡樹脂(この実施形態では発泡スチロール)から形成されている。より具体的には、断熱ブロック22は、同図(B)に示すように、横寸法L3が1365mm、縦寸法L4が370mm、厚さw3が50mmとされている。
上記外側の断熱材11は、図1に示すように、その下端面が捨てコンクリート5の上面上に位置するように配設される。いっぽう、内側断熱材21は、その下端面が捨てコンクリート5の上面から所定距離離れて配設される。図8に示すように、断熱基礎の立ち上がり部2および内方の土間コンクリート3とを一緒に形成するためである。なお、両断熱材(11,21)の間隔を一定に保つ保持部材(図1に示すセパレータ41)が設けられている。
なお、防蟻用のメッシュシート材30は、図5および図6に示すように、シロアリの分泌物に耐性でかつ約70以上のショワ硬度を有する耐腐食材料製とされかつ編み目の孔36はシロアリの進入を阻止できる大きさ(例えば、シロアリの頭部最大寸法より小径のもの)とされている。この実施形態では、メッシュシート材30は、ステンレス鋼ワイヤー35等から形成されている。なお、シロアリとは、シロアリ目(等翅類)の総称である。例えば、ヤマトシロアリやイエシロアリが挙げられる。
この実施形態では、カバー51は、アルミニウム合金製とされ、図1に示すように、外側の断熱材11の上端面部14に掛けられたメッシュシート材30の上部32をクリップするようにして当該上端面部14に押圧し係止するように構成されている。より具体的には、カバー51は、アルミニウム合金の板を折り曲げ加工して形成されている。カバー51の凹み部分54の幅w3は、当該カバー51を断熱材11の上端面部14にメッシュシート材30を介在した状態で少しきつく被せることができるように選定されている。
本断熱基礎1の構築方法を以下詳細に述べる。
(A)図1に示すように、捨てコンクリート5上に、外側の断熱材11と内側断熱材21とを所定距離(例えば、150mm)隔てて立設する。外側の断熱材11は、図2および図3に示すように、互いの端面13を介して複数個の断熱ブロック12を一列に接続して形成してある。内側断熱材21も同様である。
(B)、メッシュシート材30の上部32を、図1および図5に示すように、外側の断熱材11の上端面部14に密着させながら当該上端面部14の形状に倣って折り曲げる。この際、メッシュシート材30の上部32の端部33が、コンクリート充填空間19に達するようにセットする。その状態で、複数個のカバー51を、図5に示すように、上記メッシュシート材30の上部32を介在させた状態で外側の断熱材11の上端面部14に被せる。すると、カバー30は、その上部32の端部33をコンクリート充填空間19に達するようにした位置を保持した状態で当該メッシュシート材30の上部32を係止する。この係止力は、カバー51とメッシュシート材30と外側の断熱材11との間に働く摩擦力に起因する。こうして、上部32が係止されたメッシュシート材30の断熱材11の縦寸法L2相当の箇所を内側に折って、当該折り曲げた部分(下端部31)を外側の断熱材11と捨てコンクリート5との間を通過させて上記コンクリート充填空間19に達するようにセットする。これにより、メッシュシート材30で外側の断熱材11の一部はその内面(打設コンクリートと接する面)を除く面は覆われたことになる。
(C)こうして、メッシュシート材30を仮止め後、コンクリート充填空間19にコンクリートを上記カバー51の内側端部52および上記メッシュシート材30の上部32の端部33が埋設するまで打設する。打設コンクリートが硬化した後は、上記メッシュシート材30の下端部31は、外側の断熱材11と捨てコンクリート5との間に挟まれた状態で当該コンクリートに埋設されて固定される。また、上記メッシュシート材30の上部32は、カバー51で係止されその状態で更に当該カバー51の内側端部52および上記メッシュシート材30の上部32の端部33が打設コンクリートに埋設される。その結果、打設コンクリート硬化後は、メッシュシート材30は、その両端部(下端部31および上端部33)が完全に固定されることになり、外側の断熱材11は打設コンクリートと密着している内面を除く面は全て当該メッシュシート材30で覆われることになる。これにより、シロアリが、外方の地面から外側の断熱材11の内部へ入りこもうとしてもメッシュシート材30に阻まれ入り込めない。したがって、シロアリが外側の断熱材11より上方にある土台4等の木材には達することはなく食害は発生しない。
万が一、メッシュシート材30の一部が破れてしまい、そこから1匹でもシロアリが侵入してしまうと、シロアリは大群で断熱材11内を掘り進んで、トンネルのような道(蟻道)を作りながら当該断熱材11の上端面部12まで登って行くことがある。しかし、外側の断熱材11の上端面部14はメッシュシート材30で覆われているともに更にその外側から金属製のカバー51で覆われており、しかも当該カバー51とメッシュシート材30とは打設コンクリートによって完全に固定されている。なお、メッシュシート材30の上部32は、カバー51に被覆されているので保護され損傷することはない。その結果、シロアリは、断熱材11の上端面部14に達しても、メッシュシート材30の上部32と金属製のカバー51とに行く手を阻まれて、それよりも上の土台4等へは進めなくなる。ここで、シロアリは、鋭い牙を持っているが、当該メッシュシート材30を食い破り更に金属製のカバー51を齧って穴を開けられるほどではない。したがって、シロアリが建築物の土台4等に達することはなく、建築物の木材に対するシロアリの食害を防止できる。以上より、木造建物の土台等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止でき施工も簡単である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る発明は、図9に示すように、前記メッシュシート材30を、上メッシュシート材30Aと下メッシュシート材30Bとから形成し、当該下メッシュシート材30Bをその下端部31が前記外側の断熱材11と前記捨てコンクリート5との間を通って前記コンクリート充填空間19に達するように配設し、当該上メッシュシート材30Aをその上部32bが当該外側の断熱材11の上端面部14に掛けられかつ当該上部32bの端部33bが前記コンクリート充填空間19に達するように配設し、当該下メッシュシート材30Bの上端部30Bbと当該上メッシュシート材30Aの下端部30Aaとを接着し、内側端部52が当該コンクリート充填空間19に達する金属製のカバー51で当該上メッシュシート材30Aの上部32bを当該外側の断熱材11の上端面部14に押圧するようにして係止し、その状態で当該コンクリート充填空間19にコンクリートを当該カバー51の内側端部52および当該上メッシュシート材30Aの上部32bの端部33bが埋設するまで打設して基礎の立ち上がり部2を形成してなる。
上記した第2の実施形態の発明の場合、第1の実施形態の発明と同様に、木造建物の土台4等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、メッシュシート材30が、上メッシュシート材30Aと下メッシュシート材30Bとから形成されているので、大きさや重さを例えば半々とすることができる。したがって、現場までの運搬が楽になるとともに、現場での持ち運びやセット等が楽になる。なお、コンクリート打設後に、上メッシュシート材30Aと下メッシュシート材30Bとは接続しなければならないが、両方ともに一端部が打設コンクリートに埋設されており確実に固定されているので、当該接続作業は簡単に行える。その結果、断熱基礎の施工も一段と簡単になる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る発明は、前記外側の断熱材11を、複数個の断熱ブロック12を一列に接続して形成し、前記カバー51を、当該断熱ブロック11以上の長さを有するように形成し、当該カバー51を前記外側の断熱材11を形成する複数個の断熱ブロック12に跨るように配設してメッシュシート材30の係止を行うようにしたものである。図10に、カバー51の寸法を示す。カバー51の長さL6は、図2(A)に示す断熱ブロック12の横寸法l1よりも大きくなるように選定されている。
上記した構成の第3の実施形態に係る発明の場合、第1又は第2の実施形態の発明と同様に、木造建物の土台4等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、金属製のカバー51がいわゆる定規の役目を果たし、複数個の断熱ブロック12を正確かつ迅速に直線状に接続して外側の断熱材11を形成できる。また、カバー51が、互いに接続された各断熱ブロック12の接続箇所を覆うことになり、コンクリート打設時に当該接続箇所に大きなコンクリート圧がかかっても当該各接続箇所は開きにくく、外側の断熱材12の構造強度を増すことができる。この外側の断熱材12とセパレータ41を介して幅方向に接続された内側断熱材21の構造強度も増す。したがって、一段と型枠10の構造強度が大きくなり、両断熱材(11,21)のコンクリート打設時の共倒れによる破損を防止できる。また、断熱基礎1の直線精度も一段と向上する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る発明は、図11に示すように、補強用棒61を、その一端部62を外側の断熱材11よりも外方へ所定距離離れた地面9に固定しかつその他端部63を前記カバー51に固定し、その後に、前記コンクリート充填空間19にコンクリートを当該カバー51の内側端部52および前記メッシュシート材30の上部32の端部33が埋設するまで打設することにより成る。より、具体的には、外側の断熱材11から外方に所定距離離離れた地面9に杭6を打ち込み、当該杭6に補強用棒51の一端部62を釘等で固定する。そして、この補強用棒61の他端部63をカバー51の上端面部に釘等で固定する。この際、カバー51の上縁面部の前面部分が傾斜しているので、補強用棒61の他端部63を安定して載置して釘等で固定しやすい。
なお、図11では、メッシュシート材30を、上記第2の実施形態と同様に、上メッシュシート材30Aと下メッシュシート材30Bとから形成してあるが、第1の実施形態で詳述したように、単体でもよいことはもとよりである。
なお、図11では、メッシュシート材30を、上記第2の実施形態と同様に、上メッシュシート材30Aと下メッシュシート材30Bとから形成してあるが、第1の実施形態で詳述したように、単体でもよいことはもとよりである。
上記した構成の第4の実施形態に係る発明の場合、第1,第2又は第3の実施形態の発明と同様に、木造建物の土台4等の木材部分をシロアリによる食害から確実に防止できる他、カバー51を足場にして補強用棒61で地面9に対して突っ張らせるという簡単な構成で、打設したコンクリートが硬化しないうちに、例えば作業者が断熱材(11又は21)と接触して外側(又は内側)へ押してしまったような場合でも、当該断熱材(11又は21)は補強用棒61で補強されて倒れにくくなっているので、外側(又は内側)へ共倒れするようなことはない。これにより、両断熱材(11,21)には、共倒れによる過大な曲げ応力が発生するようなことはなく、破損を防止できる。また、打設したコンクリートが曲がったまま硬化してしまい基礎の直線精度が出ないような事態も生じない。
1 断熱基礎
2 断熱基礎の立ち上がり部
3 土間コンクリート
4 土台
5 捨てコンクリート
9 地面
10 型枠
11 外側の断熱材
12 断熱ブロック
14 上端面部
19 コンクリート充填空間
21 内側の断熱材
22 断熱ブロック
30 メッシュシート材
31 下端部
32 上部
33 端部
41 セパレータ
51 金属製のカバー
61 補強棒
2 断熱基礎の立ち上がり部
3 土間コンクリート
4 土台
5 捨てコンクリート
9 地面
10 型枠
11 外側の断熱材
12 断熱ブロック
14 上端面部
19 コンクリート充填空間
21 内側の断熱材
22 断熱ブロック
30 メッシュシート材
31 下端部
32 上部
33 端部
41 セパレータ
51 金属製のカバー
61 補強棒
Claims (3)
- 防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法であって、
捨てコンクリート上に一対の板状の断熱材を所定距離隔てて立設させて型枠を形成し、
上メッシュシート材と下メッシュシート材とからなる防蟻用のメッシュシート材を備え、
前記下メッシュシート材をその下端部が前記型枠の外側の断熱材と前記捨てコンクリー
トとの間を通って当該両断熱材間のコンクリート充填空間に達するように配設し、
前記上メッシュシート材の上部を折り曲げて前記外側の断熱材の上端面部に掛かるとと
もに当該上部の端部が前記コンクリート充填空間に達するように配設し、凹み部分と当
該凹み部分から水平方向に突出する内側端部を有する金属製のカバーをその内側端部を
前記コンクリート充填空間に突出させた状態でその凹み部分を当該上メッシュシート材
の上部を介在させた状態で前記外側の断熱材の上端面部に被せ、
前記上メッシュシート材の下端部と前記下メッシュシート材の上端部とを接着し、
その状態で前記コンクリート充填空間にコンクリートを前記カバーの内側端部および前記上メッシュシート材の上部の端部が埋設するまで打設して基礎の立ち上がり部を形成してなる防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法。 - 前記外側の断熱材を、複数個の断熱ブロックを一列に接続して形成し、
前記カバーを、当該断熱ブロック以上の長さを有するように形成し、当該カバーを前記
外側の断熱材を形成する複数個の断熱ブロックに跨るように配設して前記上メッシュシー
ト材の係止を行う構成とした請求項1記載の防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法。 - 補強用棒を、その内側端部を前記両断熱材よりも外方へ所定距離離れた地面に固定しか
つその他端部を前記カバーに固定し、その後に、前記コンクリート充填空間にコンクリー
トを当該カバーの内側端部および前記上メッシュシート材の上部の端部が埋設するまで打
設することを特徴とする請求項1又は2記載の防蟻性能を備えた断熱基礎の構築方法。
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