JP6559005B2 - 熱線反射材料及び窓 - Google Patents

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Description

本発明は、熱線反射材料及び窓に関する。
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして環境負荷の少ない商品が求められており、自動車や建物等の窓に対する日射調整フィルムや熱線反射材料が注目されている。窓などに熱線反射材料を設置することで室内側と室外側との熱の移動を遅くさせることができるため、冷暖房の使用量が減り、節電効果が期待できる。
断熱性は、熱貫流率で表すことができる。国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(いわゆるグリーン購入法)における窓用日射調整フィルム調達基準では、断熱性については、JIS(Japanese Industrial Standards) A 5759:2008「建築窓ガラス用フィルム」による計測方法で、熱貫流率5.9W/(m・K)未満であることが求められており、この数字が小さいほど断熱性が高いことになる。JIS A 5759:2008によれば、熱貫流率は波長5μm〜50μmの遠赤外線の反射スペクトルから求めることができる。すなわち、熱貫流率を下げるには波長5μm〜50μmの遠赤外線の反射率を上げることが好ましい。
上記のような熱線反射材料は種々提案されている。
例えば、透明フィルム及び金属ナノ繊維を含む熱線反射層を含む熱線遮蔽フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されている熱線遮蔽フィルムは、熱線反射層が金属ナノ繊維を含んでいるので、室内から放射される暖房等の熱線を反射して逃がさず、外気の熱を室内に取り込まない断熱性に優れるとされている。
また、熱線反射材料の用途ではないが、長軸が400nm未満であって、アスペクト比が1より大きいロッド状の金属ナノ繊維と、長軸が400nm以上であって短軸が50nm以下であるワイヤー状の金属ナノ繊維とを含有する金属ナノ繊維含有組成物からなる近赤外光吸収フィルターが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2012−252172号公報 特開2004−238503号公報
ところで、窓に用いられる熱線反射材料は、粘着剤を介して被着体に貼り付けて使用されることがある。熱線反射材料を被着体に貼り付ける方法としては、窓に施工液を塗布した後、熱線反射材料を貼り付ける方法がある。この際、熱線反射材料の表面をスキージー等でこすりながら貼り付けることが行われるため、熱線反射材料には耐久性(特に表面が濡れた場合における耐擦過性)が求められる。
熱線反射材料を上記の方法で貼り付ける場合、熱線反射材料を構成する層の樹脂成分として、例えば、水溶性樹脂を用いた場合、施工時に熱線反射材料の表面がスキージー等でこすられると層が剥がれてしまうおそれがある。また、樹脂成分として、単純に硬化樹脂を用いると、層が硬くなりすぎて施工時にヒビワレが発生することがある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、断熱性及び耐久性(特に、表面が濡れた状態における耐擦過性(以下Wet膜強度ともいう)、及びヒビワレ抑制)に優れた熱線反射材料及び窓を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 少なくとも、支持体と、繊維状導電粒子を含み、少なくとも支持体が配置されている側とは反対側の表面の表面抵抗が1000Ω/square以上である導電粒子含有層と、を有し、支持体の導電粒子含有層を有する側に配置された、導電粒子含有層を含む全ての層より選ばれる少なくとも1層が、2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含み、3官能以上の重合性モノマーに対する2官能以下の重合性モノマーの質量比が10/90〜90/10であるモノマー組成物が硬化された有機バインダーを含む熱線反射材料。
<2> 繊維状導電粒子の含有量が0.020g/m〜0.200g/mである<1>に記載の熱線反射材料。
<3> 3官能以上の重合性モノマーに対する2官能以下の重合性モノマーの質量比が、30/70〜70/30である<1>又は<2>に記載の熱線反射材料。
<4> 有機バインダーの含有量に対する繊維状導電粒子の含有量の質量比が1/100〜1/2である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<5> 2官能以下の重合性モノマーは、単官能の重合性モノマーと、2官能の重合性モノマーと、を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<6> 2官能の重合性モノマーの含有量が、単官能の重合性モノマーの含有量より多い<5>に記載の熱線反射材料。
<7> 繊維状導電粒子は、平均短軸長が150nm以下であり、平均長軸長が5μm〜50μmである<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<8> 有機バインダーの含有量に対する繊維状導電粒子の含有量の質量比が1/20〜1/10である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
<9> 導電粒子含有層が、支持体から最も離れた位置に配置された最上層又は支持体側において最上層に隣接する層である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<10> 導電粒子含有層が、支持体から最も離れた位置に配置された最上層である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<11> JIS A5759:2008に準拠した可視光透過率が70%以上である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<12> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の熱線反射材料と、粘着剤層と、透明基材と、を備えた窓。
本発明によれば、断熱性及び耐久性(特に、表面が濡れた状態における耐擦過性、及びヒビワレ抑制)に優れた熱線反射材料及び窓が提供される。
本発明の熱線反射材料の一例を示す概略図である。 本発明の熱線反射材料の他の一例を示す概略図である。 本発明の窓の一例を示す概略図である。
以下、本発明の熱線反射材料及び窓について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
本明細書において、「断熱」とは、波長5μm〜50μmの遠赤外線を平均反射率で5%以上反射することを意味する。遠赤外線の平均反射率は7%以上であることがより好ましく、8%以上であることが特に好ましく、10%以上であることがより特に好ましい。遠赤外線の反射率は、赤外分光機(ブルカー・オプティクス社製、IFS66v/S)により測定された値である。
<熱線反射材料>
本発明の熱線反射材料は、窓の室内側に配置されて、室内の遠赤外線を室内に保つ材料であり、少なくとも、支持体と、繊維状導電粒子を含み、少なくとも支持体が配置されている側とは反対側の表面の表面抵抗が1000Ω/square以上である導電粒子含有層と、を有し、支持体の導電粒子含有層を有する側に配置された、導電粒子含有層を含む全ての層より選ばれる少なくとも1層が、2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含み、3官能以上の重合性モノマーに対する2官能以下の重合性モノマーの質量比が10/90〜90/10であるモノマー組成物が硬化された有機バインダー(以下、特定有機バインダーともいう)を含む。
熱線反射材料において、支持体上に配置された導電粒子含有層は支持体から最も離れた位置に配置された層(最上層)であってもよく、導電粒子含有層の支持体を有する側とは反対側にさらに層(例えば、保護層)を設けて最上層としてもよい。
熱線反射材料は、支持体の導電粒子含有層を有する側に配置された少なくとも1層が特定有機バインダーを含む。例えば、導電粒子含有層が特定有機バインダーを含んでもよく、導電粒子含有層上に保護層を設ける場合、保護層が特定有機バインダーを含んでもよく、導電粒子含有層と保護層の両方が特定有機バインダーを含んでもよい。
本発明の作用は明確ではないが、本発明者らは以下のように推定している。
従来、特許文献2に記載の電磁波遮蔽フィルターや導電膜のように、低い表面抵抗を必要とする用途において、粒子同士が接して存在することで高い導電性を得やすい繊維状導電粒子が用いられることが多かった。
そして、従来の熱線(例えば遠赤外線)反射用途における材料は、導電性が高い、つまり表面抵抗が低い材料を用いた方が高い反射率が得られる傾向にあった。
しかし、繊維状導電粒子は、粒子が繊維状であるため粒子自体の遠赤外線に対する反射率が高く、繊維状導電粒子が存在すれば断熱効果を得られるため、必ずしも繊維状導電粒子同士が接している必要はないと考えられる。そのため、熱線反射材料に繊維状導電粒子を用いると、表面抵抗を高く維持しつつ(1000Ω/square以上)、断熱性の高い材料が得られる。
また、熱線反射材料は、貼り付け位置の調整が容易に行えるなどの利点から、被着体(例えば窓)に施工液を塗布した後、貼り付けられる場合がある。施工液を用いて材料を貼り付ける場合、熱線反射材料の表面をスキージー等でこすりながら貼り付けることが行われるため、熱線反射材料には耐久性(特に表面が濡れた場合における耐擦過性)が求められる。
一方、前述の特許文献1に記載の熱線遮蔽フィルムは、上記のような施工液を用いて貼り付けることは想定されておらず、濡れた状態でスキージーにより表面こすられるような過酷な条件ではWet膜強度が不足すると考えられる。
本発明の熱線反射材料は、支持体の導電粒子含有層を有する側に配置された少なくとも1層が特定有機バインダーを含み、特定有機バインダーは所定の質量比で配合された2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含むモノマー組成物が硬化されて形成されている。そのため、熱線反射材料は、濡れた状態においてスキージーでこすられても、耐えうるWet膜強度を有し、その一方で硬くなりすぎず施工時にヒビワレが発生し難いと考えられる。
このように、本発明の熱線反射材料は、断熱性と耐久性に優れている。
上記に加え、本発明の熱線反射材料は導電粒子含有層の表面抵抗が1000Ω/square以上であることで、導電粒子含有層における電波の吸収が抑制されると考えられる。すなわち、本発明の熱線反射材料は電波透過性を有すると考えられる。
[導電粒子含有層]
本発明の熱線反射材料は、支持体上に、繊維状導電粒子を含み、少なくとも支持体を有しない側の表面抵抗が1000Ω/square以上である導電粒子含有層を有する。導電粒子含有層は、特定有機バインダーを含み得る。
導電粒子含有層が繊維状導電粒子を含むことで、熱線反射材料は断熱性を示す。また、導電粒子含有層の表面抵抗が1000Ω/square以上である場合、導電粒子含有層における繊維状導電粒子は比較的少量でありながら、熱貫流率が低く、つまり断熱性が良好となる。
さらには、導電粒子含有層の表面抵抗が1000Ω/square以上であると、熱線反射材料に電波透過性も示す。
導電粒子含有層の表面抵抗としては、1500Ω/square以上がより好ましく、2000Ω/square以上が更に好ましく、3000Ω/square以上が特に好ましい。
導電粒子含有層が特定有機バインダーを含む場合、特定有機バインダーを含むことで熱線反射材料に耐久性が付与される。
表面抵抗は、非接触抵抗計(ナプソン社製、EC−80)を用いて測定できる。
(繊維状導電粒子の含有量)
導電粒子含有層における繊維状導電粒子の含有量は、0.010g/m〜0.300g/mであることが好ましく、0.020g/m〜0.200g/mであることがより好ましく、0.020g/m〜0.100g/mであることがさらに好ましい。
繊維状導電粒子の含有量が0.010g/m以上であることで、断熱性をより向上させることができる。一方、繊維状導電粒子の含有量が0.300g/m以下であることで、熱線反射材料の導電性を低く抑えることができ、さらに熱線反射材料のヘイズを低くすることができる。
(特定有機バインダーにおけるモノマーの質量比)
特定有機バインダーは、2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含むモノマー組成物が硬化されて形成される。モノマー組成物における3官能以上の重合性モノマーに対する2官能以下の重合性モノマーの質量比は、10/90〜90/10であり、30/70〜70/30であることが好ましく、40/60〜60/40であることがより好ましい。
上記のモノマーの質量比の範囲が下限値以上であると、熱線反射材料施工時のヒビワレが抑制される。一方、上記のモノマーの質量比の範囲が上限値以下であると、熱線反射材料の施工時のWet膜強度が優れる。
上記の質量比は、モノマー組成物における2官能以下の重合性モノマー及び3官能以上の重合性モノマーの配合量により調節できる。
2官能以下の重合性モノマーは、熱線反射材料の耐久性の観点から、単官能の重合性モノマーと、2官能の重合性モノマーと、を少なくとも1種ずつ含むことが好ましい。
2官能の重合性モノマーが、単官能の重合性モノマーと2官能の重合性モノマーとを含む場合、2官能の重合性モノマーの含有量が、単官能の重合性モノマーの含有量より多いことがより好ましい。
(有機バインダーの含有量に対する繊維状導電粒子の含有量の比)
導電粒子含有層中の、有機バインダーの含有量に対する繊維状導電粒子の含有量の質量比は、1/120〜1/1.5であることが好ましく、1/100〜1/2であることがより好ましく、1/20〜1/10であることがさらに好ましい。
有機バインダーの含有量に対する繊維状導電粒子の含有量の質量比の範囲が下限値以上であると、Wet膜強度をより向上させることができる。一方、有機バインダーの含有量に対する繊維状導電粒子の含有量の質量比の範囲が上限値以下であると、導電粒子含有層の表面抵抗を所定の範囲に調整しやすくなる。
(繊維状導電粒子)
繊維状導電粒子は、繊維状の導電性を有する粒子である。
ここで、「繊維状」には、ワイヤ状もしくは線状、又は棒状の形状の粒子が含まれる。また、「導電性を有する粒子」とは、繊維状粒子を錠剤成型機で成形することや繊維状粒子を液体に分散後乾固することにより厚さ0.01mm以上のペレットを作製した場合の、ペレットの一端面と他端面との間の抵抗値が10Ω以下になる粒子のことを指す。抵抗値は、2点式のテスター(MR−4060、MONOTARO製)にて測定される値である。
繊維状導電粒子としては、例えば、金属ナノワイヤ及び棒状金属粒子等の繊維状金属粒子、カーボンナノチューブ、繊維状導電性樹脂を挙げることができる。繊維状導電粒子としては、金属ナノワイヤが好ましい。
「金属ナノワイヤ」とは、導電性を有し、かつ、長軸長が直径(短軸長)に比べて長く、短軸長(すなわち長手方向と直交する断面の長さ)がナノオーダーサイズの形状を持つ金属粒子をいう。中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
導電粒子含有層は、平均短軸長150nm以下の繊維状導電粒子を含有することが好ましい。平均短軸長が150nm以下であると、断熱性が向上し、光散乱等による光学特性の悪化が生じにくくなるため好ましい。繊維状導電粒子は、中実構造であることが好ましい。
より透明な導電粒子含有層を形成しやすいという観点からは、例えば、繊維状導電粒子は、平均短軸長が1nm〜150nmのものが好ましい。
製造時の扱い易さから、繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、特に25nm以下であることがヘイズに関して一段と優れるものが得られるので好ましい。平均短軸長を1nm以上とすることにより、耐酸化性が良好で、耐候性に優れる導電粒子含有層が容易に得られる。平均短軸長は5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが特に好ましい。
繊維状導電粒子の平均短軸長は、ヘイズ値、耐酸化性、及び耐候性の観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜60nmであることがより好ましく、10nm〜60nmであることが更に好ましく、15nm〜50nmであることが特に好ましい。
繊維状導電粒子の平均長軸長は、反射したい遠赤外線の反射帯域と同じ程度であることが、その反射したい遠赤外線の反射帯域を反射しやすい観点から好ましい。繊維状導電粒子の平均長軸長は、5μm〜50μmであることが波長5μm〜50μmの遠赤外線を反射しやすい観点から好ましく、10μm〜40μmがより好ましく、15μm〜40μmが更に好ましい。繊維状導電粒子の平均長軸長が50μm以下であると、繊維状導電粒子を凝集物が生じることなく合成することが容易となり、平均長軸長が5μm以上であると、十分な断熱性を得ることが容易となる。
繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。
具体的には、繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の繊維状導電粒子について、各々短軸長と長軸長を測定し、その平均値から繊維状導電粒子の平均短軸長と平均長軸長を求めることができる。
なお、繊維状導電粒子の短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とする。また、繊維状導電粒子が曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とする。
繊維状導電粒子は、断熱性及び電波透過性の観点から、平均短軸長が150nm以下であり、平均長軸長が5μm〜50μmであることが好ましい。
導電粒子含有層における全繊維状導電粒子の含有量に対する、平均短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ平均長軸長が5μm以上50μm以下である繊維状導電粒子の含有量が、金属量で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましい。
平均短軸長(直径)が150nm以下であり、平均長軸長が5μm以上50μm以下である繊維状導電粒子の割合が、50質量%以上であることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制し得るため好ましい。繊維状導電粒子以外の繊維状でない導電性粒子が導電粒子含有層に実質的に含まれない構成では、プラズモン吸収が強い場合にも透明度の低下を避け得る。
導電粒子含有層に用いられる繊維状導電粒子の平均短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
変動係数が40%以下であると、波長5μm〜50μmの遠赤外線を反射しやすい繊維状導電粒子の比率が増えて、透明性と断熱性の観点で好ましい。
繊維状導電粒子の平均短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの平均短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより、求めることができる。
繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、平均短軸長に対する平均長軸長の比(平均長軸長/平均短軸長)を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、アスペクト比を算出することができる。
繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜100,000が好ましく、50〜100,000がさらに好ましく、100〜100,000がより好ましい。
アスペクト比が10以上であると、繊維状導電粒子同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い断熱性を有する導電粒子含有層が容易に得られる。また、アスペクト比が100,000以下であると、例えば支持体上に導電粒子含有層を塗布により設ける際の塗布液において、繊維状導電粒子同士が絡まって凝集物を形成することが抑制され、安定な塗布液が得られるので、導電粒子含有層の製造が容易となる。
導電粒子含有層に含まれる全繊維状導電粒子の質量に対するアスペクト比が10以上の繊維状導電粒子の含有量は特に制限されない。例えば、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
繊維状導電粒子の形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状であり得るが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
繊維状導電粒子の断面形状は、支持体上に繊維状導電粒子の水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
繊維状導電粒子が繊維状金属粒子である場合、繊維状金属粒子を形成する金属は特に制限がなく、いかなる金属であってもよい。1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金を用いることも可能である。これらの中でも、金属単体又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属単体から形成されるものがより好ましい。
金属としては、周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、これらの金属を主成分として含むことが特に好ましい。
金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及び、これらのうちいずれかを含む合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫、又は、これらのうちいずれかを含む合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。ここで銀を含有する合金における銀の含有量は合金の全量に対して50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
導電粒子含有層に含まれる繊維状導電粒子は、高い断熱性を実現する観点から、繊維状金属粒子であることが好ましく、金属ナノワイヤであることがより好ましく、銀ナノワイヤであることがさらに好ましい。銀ナノワイヤとしては、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmの銀ナノワイヤが好ましく、平均短軸長が5nm〜30nmであって、平均長軸長が5μm〜30μmの銀ナノワイヤが更に好ましい。導電粒子含有層に含まれる全繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に制限されない。例えば、導電粒子含有層に含まれる全繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、全繊維状導電粒子が実質的に銀ナノワイヤであることが更に好ましい。ここで「実質的に」とは、不可避的に混入する銀以外の金属原子を許容することを意味する。
導電粒子含有層に含まれる繊維状導電粒子の含有量は、繊維状導電粒子の種類等に応じて、導電粒子含有層の抵抗率、全光透過率及びヘイズ値が所望の範囲となるような量とされることが好ましい。
導電粒子含有層に対する繊維状導電粒子の量は、1質量%〜35質量%であることが好ましく、3質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜25質量%であることが特に好ましい。
−繊維状導電粒子の製造方法−
繊維状導電粒子は、特に制限はなく、いかなる方法で作製されたものであってもよい。繊維状導電粒子として金属ナノワイヤを用いる場合、以下のように、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、繊維状導電粒子を形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、導電粒子含有層の経時安定性の観点から好ましい。
繊維状導電粒子の製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
繊維状導電粒子の製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される繊維状導電粒子の長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、繊維状導電粒子の断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、金属粒子の表面プラズモン吸収による着色が抑えられ、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
加熱処理は、還元剤を添加して行うことが好ましい。
還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
繊維状導電粒子の製造は分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい繊維状導電粒子を得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
分散剤を添加する段階は特に制限されない。繊維状導電粒子を調製する前に添加し、分散剤存在下で繊維状導電粒子を添加してもよいし、繊維状導電粒子調製後に分散状態の制御のために添加しても構わない。
分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる繊維状導電粒子の形状を変化させることができる。
ハロゲン化合物は、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
ハロゲン化合物は、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤の機能とハロゲン化合物の機能との双方を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤の機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド(HTAB)、アミノ基と塩化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド(HTAC)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
繊維状導電粒子として金属ナノワイヤを用いる場合、金属ナノワイヤの製造方法においては、金属ナノワイヤ形成後に脱塩処理を行うことが好ましい。金属ナノワイヤ形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
繊維状導電粒子が金属ナノワイヤである場合、金属ナノワイヤは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。繊維状導電粒子を水性溶媒に分散させてなる水性分散物の電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
繊維状導電粒子の水性分散物の25℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
電気伝導度及び粘度は、水性分散物における繊維状導電粒子の濃度を0.45質量%として測定される。水性分散物における繊維状導電粒子の濃度が上記濃度より高い場合には、水性分散物を蒸留水にて希釈して測定する。
導電粒子含有層の平均厚みは、通常、0.005μm〜2μmの範囲で選択される。例えば、平均厚みを0.001μm〜0.5μmとすることで、十分な耐久性、膜強度が得られる。特に、平均厚みを0.01μm〜0.1μmの範囲とすれば、製造上の許容範囲が確保され得るので好ましい。
本発明は、下記条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たす導電粒子含有層とすることで、断熱性と透明性とを高く維持しうるとともに、ゾルゲル硬化物に起因して、繊維状導電粒子が安定に固定化されるとともに、高い強度と耐久性とを実現し得ることが好ましい。例えば、導電粒子含有層の厚みを0.005μm〜0.5μmという薄層としても、実用上問題のない耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性を有する導電粒子含有層を得ることができる。このため、熱線反射材料は種々の用途に好適に使用される。薄層を必要とする態様では、厚みは、0.005μm〜0.5μmとしてもよく、0.007μm〜0.3μmがさらに好ましく、0.008μm〜0.2μmがより好まく、0.01μm〜0.1μmが最も好ましい。このように導電粒子含有層をより薄層とすることで、導電粒子含有層の透明性がさらに向上し得る。
導電粒子含有層の平均厚みは、電子顕微鏡による導電粒子含有層断面の直接観察により、導電粒子含有層の厚みを5点測定し、その算術平均値として算出される。なお、導電粒子含有層の厚みは例えば、触針式表面形状測定器(Dektak(登録商標)150、Bruker AXS製)を用いて、導電粒子含有層を形成した部分と導電粒子含有層を除去した部分の段差として測定することもできる。しかし、導電粒子含有層を除去する際に支持体の一部まで除去してしまう恐れがあることり、また形成される導電粒子含有層が薄膜なため誤差が生じやすい。そのため、後述の実施例においては電子顕微鏡を用いて測定される平均厚みを記載している。
(特定有機バインダー)
本発明の熱線反射材料は、支持体の導電粒子含有層を有する側に配置された、導電粒子含有層を含む全ての層より選ばれる少なくとも1層が、特定有機バインダーを含む。
特定有機バインダーは、導電粒子含有層に含まれていてもよく、導電粒子含有層の上にさらに層を有する場合は、その層に含まれていてもよく、複数の層に含まれていてもよい。
特定有機バインダーは、2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含むモノマー組成物が硬化して形成される。モノマー組成物における3官能以上の重合性モノマーに対する2官能以下の重合性モノマーの質量比が10/90〜90/10である。
導電粒子含有層が、特定有機バインダーを含むことで、熱線反射材料はWet膜強度及びヒビワレの抑制などの耐久性に優れる。
特定有機バインダーを形成するモノマー組成物の硬化方法は特に限定されない。特定有機バインダーは、モノマー組成物が光により硬化したものでもよく、熱により硬化したものでもよい。
−2官能以下の重合性モノマー−
2官能以下の重合性モノマーとしては、単官能の重合性モノマーと2官能の重合性モノマーが挙げられる。耐久性の観点から、単官能の重合性モノマー及び2官能の重合性モノマーを少なくとも1種ずつ用いることが好ましい。
−−単官能の重合性モノマー−−
単官能の重合性モノマーは、1つの重合性基を有するモノマーから適宜選択することができる。重合性基とは、光又は熱により他のモノマーと重合し得る基を意味し、例えば、不飽和二重結合、水酸基、イソシアネート基が挙げられる。
単官能の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ビニルモノマー、不飽和カルボン酸が挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基)を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
なお、(メタ)アクリレート中、炭化水素基とエステル基との間には、2価の連結基(例えば、オキシアルキレン基など)が含まれていてもよい。
炭化水素基を有する(メタ)アクリレートとしては、鎖状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、及び環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
より具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。
単官能のアクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミドが挙げられる。
単官能のビニルモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタムが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びマレイン酸が挙げられる。
上記の単官能の重合性モノマーの中でも、(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
−−2官能の重合性モノマー−−
2官能の重合性モノマーは、2つの重合性基を有するモノマーから適宜選択することができる。
2官能の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート、ジオール、ジイソシアネートが挙げられる。
2官能の(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を2つ含有するモノマーから選択される。
具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステルが挙げられる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,2-ジメチルー1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、3,3-ジメチルー1,2−ブタンジオール、2-エチルー2-メチルー1,3-プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2−メチルー2,4−ペンタンジオール、2,2-ジエチルー1,3-プロパンジオール、2,4−ジメチルー2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチルー2−プロピルー1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチルー2,5−ヘキサンジオール、2-エチルー1,3-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、4,4'―ジヒドロキシージフェニルー2,2−プロパン、及び4,4'―ジヒドロキシフェニルスルホンが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及び1,5−ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
上記の2官能の重合性モノマーの中でも、(メタ)アクリレートが好ましく、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジアクリレートがより好ましい。
−3官能以上の重合性モノマー−
3官能以上の重合性モノマーは、3つ以上の重合性基を有するモノマーから適宜選択することができる。
3官能以上の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート、ポリオール、ポリイソシアネートが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基を3つ以上含有するモノマーから選択される。
具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びコハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロースが挙げられる。
また、ポリオールとしては、上記の2官能以下の重合性モノマー及び3官能以上の重合性モノマーを用いて合成されたプレポリマーを用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えば、上記の単官能の(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート)、2官能の(メタ)アクリレート(例えば、ジプロピレングリコールジアクリレート)、及び3官能以上の(メタ)アクリレート(例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート)を重合することで形成されたプレポリマーが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、前述のジイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、並びにビュレット体やイソシアヌレート体が挙げられる。
−硬化剤−
特定有機バインダーを形成するモノマー組成物は、硬化剤として架橋剤及び光重合開始剤を含んでいてもよい。
−−光重合開始剤−−
光重合開始剤は、前述の2官能以下の重合性モノマー及び3官能以上の重合性モノマーの性質に適した任意の化合物を使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系等光重合開始剤が挙げられる。中でも、硬化性の観点から、アセトフェノン系光重合開始剤が好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASFジャパン社製のIRGACURE184)がより好ましい。
モノマー組成物における光重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、前述の2官能以下の重合性モノマー及び3官能以上の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.1質量部〜10質量部が好ましく、2質量部〜8質量部がより好ましい。
これらの光重合開始剤は単独で使用しても、2種類以上を併用することも可能である。2種類以上の光重合開始剤を用いる場合、光重合開始剤の総量として上記の量に含まれていることが好ましい。
−−架橋剤−−
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。 イソシアネート系架橋剤としては、例えば、前述のジイソシアネート及び前述のポリイソシアネートが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
架橋剤としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、バーノックシリーズ(DIC製)デュラネートシリーズ(旭化成(株)製)、エラストロンシリーズ(第一工業製薬(株)製)、タケネートシリーズ(三井化学(株)製)、7950等のブロックイソシアネートシリーズ(Baxenden社製)が挙げられる。
モノマー組成物におけるイソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤の含有量は、特に制限されないが、前述の2官能以下の重合性モノマー及び3官能以上の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.01質量部〜3質量部が好ましく、0.01質量部〜2質量部がより好ましく、0.1質量部〜1質量部がさらに好ましい。
但し、前述の2官能以下の重合性モノマーとしてジオール又はジイソシアネートを用い、前述の3官能以上の重合性モノマーとしてポリオール又はポリイソシアネートを用いる場合、含有量の好ましい範囲は上記の限りではない。
これらの架橋剤は単独で使用しても、2種類以上を併用することも可能であり、架橋剤の総量として上記の量に含まれていることが好ましい。
特定有機バインダーは、2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含むモノマー組成物が硬化された状態で、かつ、水に分散された、いわゆるラテックスの形態で用いてもよい。
ラテックスとしては、例えば、(メタ)アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、ゴム系ラテックス、ポリ塩化ビニル系ラテックス、ポリ塩化ビニリデン系ラテックス、ポリオレフィン系ラテックス、ナイロン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックスが挙げられる。
アクリル系ラテックスとしては、例えば、Nipol LX855、857x2(以上、日本ゼオン(株)製);Voncoat R3370(DIC(株)製);ジュリマー(登録商標)ET−410(日本純薬(株)製);AE116、AE119、AE121、AE125、AE134、AE137、AE140、AE173(以上、JSR(株)製);アロンA−104(東亞合成(株)製)が挙げられる。
ポリエステル系ラテックスとしては、例えば、FINETEX ES650、611、675、850(以上、DIC(株)製);WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル社製);A−110、A−115GE、A−120、A−121、A−124GP、A−124S、A−160P、A−210、A−215GE、A−510、A−513E、A−515GE、A−520、A−610、A−613、A−615GE、A−620、WAC−10、WAC−15、WAC−17XC、WAC−20、S−110、S−110EA、S−111SL、S−120、S−140、S−140A、S−250、S−252G、S−250S、S−320、S−680、DNS−63P、NS−122L、NS−122LX、NS−244LX、NS−140L、NS−141LX、NS−282LX(以上、高松油脂(株)製);アロンメルトPES−1000シリーズ、PES−2000シリーズ(以上、東亞合成(株)製);バイロナール(登録商標)MD−1100、MD−1200、MD−1220、MD−1245、MD−1250、MD−1335、MD−1400、MD−1480、MD−1500、MD−1930、MD−1985(以上、東洋紡(株)製);セポルジョンES(住友精化(株)製)が挙げられる。
ポリウレタン系ラテックスとしては、例えば、HYDRAN AP10、AP20、AP30、AP40、101H、Vondic 1320NS、1610NS(以上、DIC(株)製);D−1000、D−2000、D−6000、D−4000、D−9000(以上、大日精化工業(株)製);NS−155X、NS−310A、NS−310X、NS−311X(以上、高松油脂(株)製);エラストロン(第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
ゴム系ラテックスとしては、例えば、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、DIC(株)製)、Nipol LX416、LX410、LX430、LX435、LX110、LX415A、LX415M、LX438C、2507H、LX303A、LX407BPシリーズ、V1004、MH5055(以上、日本ゼオン(株)製)が挙げられる。
ポリ塩化ビニル系ラテックスとしては、例えば、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製);ビニブラン 240、270、277、375、386、609、550、601、602、630、660、671、683、680、680S、681N、685R、277、380、381、410、430、432、860、863、865、867、900、900GT、938、950、SOLBIN C、SOLBIN CL、SOLBIN CH、SOLBIN CN、SOLBIN C5、SOLBIN M、SOLBIN MF、SOLBIN A、SOLBIN AL(以上、日信化学工業(株)製);エスレックA、エスレックC、エスレックM(以上、積水化学工業(株)製);デンカビニル1000GKT、デンカビニル1000L、デンカビニル1000CK、デンカビニル1000A、デンカビニル1000LK2、デンカビニル1000AS、デンカビニル1000GS、デンカビニル1000LT3、デンカビニル1000D、デンカビニル1000W(以上、電気化学工業(株)製)が挙げられる。
ポリ塩化ビニリデン系ラテックスとしては、例えば、L502、L513(以上、旭化成(株)製);D−5071(DIC(株)製)が挙げられる。
ポリオレフィン系ラテックスとしては、例えば、ケミパール(登録商標)S120、SA100、V300(以上、三井化学(株)製);Voncoat 2830、2210、2960(以上、DIC(株)製)、ザイクセン、セポルジョンG(以上、住友精化(株)製)が挙げられる。
ナイロン系ラテックスとしては、例えば、セポルジョンPA(住友精化(株)製)が挙げられる。
ポリ酢酸ビニル系ラテックスとしては、例えば、ビニブラン 1080、1082、1085W、1108W、1108S、1563M、1566、1570、1588C、A22J7−F2、1128C、1137、1138、A20J2、A23J1、A23J1、A23K1、A23P2E、A68J1N、1086A、1086、1086D、1108S、1187、1241LT、1580N、1083、1571、1572、1581、4465、4466、4468W、4468S、4470、4485LL、4495LL、1023、1042、1060、1060S、1080M、1084W、1084S、1096、1570K、1050、1050S、3290、1017AD、1002、1006、1008、1107L、1225、1245L、GV−6170、GV−6181、4468W、4468S(以上、日信化学工業(株)製)が挙げられる。
更に、上記のラテックス以外のラテックスとしては、例えば、ポリ乳酸エステル系ラテックス、ポリカーボネート系ラテックス、ポリアセタール系ラテックス、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)系ラテックスが挙げられる。
これらのラテックスは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のラテックスの中でも、(メタ)アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックスが好ましく、ポリウレタン系ラテックス、ポリ塩化ビニル系ラテックスが好ましく、(メタ)アクリル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックスがより好ましく、ポリウレタン系ラテックスがさらに好ましい。
(マトリックス)
導電粒子含有層は、前述の特定有機バインダーとは別に、マトリックスを含んでもよい。ここで「マトリックス」は、繊維状導電粒子を分散させた状態で固定化し、かつ、層を形成する樹脂成分の総称である。マトリックスを含むことにより、導電粒子含有層における繊維状導電粒子の分散が安定に維持される上、支持体表面に導電粒子含有層を、直接形成した場合においても支持体と導電粒子含有層との強固な接着が確保される傾向がある。
マトリックスとしては、例えば、ゾルゲル硬化物、非感光性樹脂が挙げられる。
−ゾルゲル硬化物−
導電粒子含有層は、マトリックスとしての機能も有するゾルゲル硬化物を含んでもよく、ゾルゲル硬化物を含む場合、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含むことが好ましい。
導電粒子含有層は、繊維状導電粒子として金属元素(a)を含みかつ平均短軸長が150nm以下である金属ナノワイヤ、並びに、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を少なくとも含むことがより好ましい。
導電粒子含有層は、下記条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たすことが好ましく、下記条件(ii)を少なくとも満たすことがより好ましく、下記条件(i)及び(ii)を満たすことが特に好ましい。
(i)導電粒子含有層に含まれる元素(b)の物質量と、導電粒子含有層に含まれる金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある。
(ii)導電粒子含有層においてゾルゲル硬化物の形成に使用されるアルコキシド化合物の質量と、導電粒子含有層に含まれる金属ナノワイヤの質量の比〔(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量)〕が0.25/1〜30/1の範囲にある。
導電粒子含有層は、前述の金属ナノワイヤの使用量に対するアルコキシド化合物の使用量の比率、即ち、〔(アルコキシド化合物の質量)/(金属ナノワイヤの質量)〕の比が0.25/1〜30/1の範囲で形成され得ることが好ましい。上記質量比が0.25/1以上である場合、断熱性(繊維状導電粒子の導電性が高いことに起因すると考えられる)と透明性が優れると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性の全てが優れた導電粒子含有層となり得る。上記質量比が30/1以下である場合、導電性及び耐屈曲性が優れた導電粒子含有層となり得る。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜25/1の範囲、更に好ましくは1/1〜20/1、最も好ましくは2/1〜15/1の範囲である。質量比を好ましい範囲とすることで、得られた導電粒子含有層は、高い断熱性と高い透明性(可視光透過率及びヘイズ)と、を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れることになり、好適な物性を有する熱線反射材料を安定的に得ることができる。
最適な態様として、導電粒子含有層において、元素(b)の物質量と、金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある態様が挙げられる。モル比は、より好ましくは0.20/1〜18/1、特に好ましくは0.45/1〜15/1、より特に好ましくは0.90/1〜11/1の範囲であり、さらにより特に好ましくは1.5/1〜10/1の範囲である。
モル比が上記範囲にあると、導電粒子含有層は、断熱性と透明性とが両立し、且つ、物性の観点からは、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性に優れ、且つ、耐屈曲性にも優れたものとなり得る。
導電粒子含有層の形成時に用いられ得るアルコキシド化合物は、加水分解及び重縮合により消尽され、導電粒子含有層中にはアルコキシド化合物は実質的に存在しないが、得られた導電粒子含有層には、アルコキシド化合物由来のケイ素等である元素(b)が含まれる。含有するケイ素等の元素(b)と金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)との物質量比を上記範囲に調整することで、優れた特性を有する導電粒子含有層が形成される。
導電粒子含有層におけるアルコキシド化合物由来のケイ素、チタン、ジルコニア及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)成分、及び、金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)成分は以下の方法で解析可能である。
即ち、導電粒子含有層をX線光電子分析(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis(ESCA)に付することで、物質量比、すなわち、(元素(b)成分モル数)/(金属元素(a)成分モル数)の値を算出しうる。しかし、ESCAによる分析方法では元素によって測定感度が異なるために、得られた値は必ずしも直ちに元素成分のモル比を示すものではない。このため、予め元素成分のモル比が既知の導電粒子含有層を用いて検量線を作成し、その検量線から実際の導電粒子含有層の物質量比を計算することが可能となる。本明細書における、各元素のモル比は、上記方法に算出した値を用いている。
熱線反射材料は、高い断熱性と高い透明性を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れ得るという効果を奏することが好ましい。これらの効果は、導電粒子含有層が金属ナノワイヤを含み、かつアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるマトリックスを含んでいることにより発現すると考えられる。すなわち、マトリックスとして一般的な有機高分子樹脂(例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル重合系樹脂など)を含む導電粒子含有層の場合に比べて、導電粒子含有層に含まれるマトリックスの割合が少ない範囲であっても、空隙が少なく、且つ、架橋密度の高い緻密な導電粒子含有層が形成されるため、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れる熱線反射材料が得られる。そして、アルコキシド化合物由来の元素(b)/金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)の含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲とされること、及び、0.10/1〜22/1の範囲とされていることと関連して、アルコキシド化合物/金属ナノワイヤの質量比が0.25/1〜30/1の範囲とされていることのいずれかを満たすことで、上記の作用がバランスよく高まり、断熱性と透明性が維持されつつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れると同時に、耐屈曲性にも優れるという効果がもたらされるものと推定している。
−非感光性樹脂−
非感光性樹脂には、ポリマーが含まれる。ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、及びポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、及びポリカーボネート)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、及びポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーン及びその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、及びフッ化炭素系重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、又はポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子(株)製のLUMIFLON(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子(株)製のCYTOP(登録商標)又はデュポン社製のTeflon(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
(その他の添加剤)
導電粒子含有層は、必要に応じて、分散剤、溶媒、金属酸化防止剤、他の導電性材料などの添加剤を含んでもよい。
−分散剤−
分散剤は、後述の導電粒子含有層形成用の組成物中における前述の繊維状導電粒子が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、繊維状導電粒子を分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に繊維状導電粒子に吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYK(登録商標)シリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパース(登録商標)シリーズ(日本ルーブリゾール(株)製など)、アジスパー(登録商標)シリーズ(味の素(株)製)などが挙げられる。
導電粒子含有層中における分散剤の含有量は、導電粒子含有層の全固形分100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部となる量が好ましく、0.5質量部〜40質量部となる量がより好ましく、1質量部〜30質量部となる量が特に好ましい。
導電粒子含有層の全固形分に対する分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、繊維状導電粒子の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
−溶媒−
溶媒は、前述の繊維状導電粒子を含む組成物を支持体の表面に膜状に形成するための組成物(塗布液)とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の繊維状導電粒子の分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
−金属腐食防止剤−
導電粒子含有層は繊維状導電粒子の金属腐食防止剤を含有することが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類が好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、導電粒子含有層の経時による断熱性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は導電粒子含有層形成用の組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加することで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合、導電粒子含有層中におけるその含有量は、繊維状導電粒子の含有量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
その他マトリックスとしては、前述の繊維状導電粒子の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリックスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
−他の導電性材料−
導電粒子含有層には、繊維状導電粒子に加え、他の導電性材料、例えば、繊維状でない導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうる。効果の観点からは、繊維状導電粒子(好ましくは、アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤ)の含有比率は、繊維状導電粒子を含む導電性材料の総量に対して体積基準で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。繊維状導電粒子の含有比率を50%とすることにより、繊維状導電粒子同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する導電粒子含有層を容易に得ることができる。
また、繊維状導電粒子以外の形状の導電性粒子は、導電粒子含有層における導電性に大きく寄与しない上に可視光領域に吸収を持つ場合がある。特に導電性粒子が金属であって、球形などのプラズモン吸収が強い形状ではないことが、導電粒子含有層の透明度が悪化しないようにする観点から好ましい。
ここで、繊維状導電粒子の比率は、下記のように求めることができる。例えば、繊維状導電粒子が銀ナノワイヤであり、導電性粒子が銀粒子である場合には、銀ナノワイヤ水分散液をろ過して、銀ナノワイヤと、それ以外の導電性粒子とを分離し、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定し、繊維状導電粒子の比率を算出することができる。繊維状導電粒子のアスペクト比は、ろ紙に残っている繊維状導電粒子などの繊維状導電粒子をTEMで観察し、300個の繊維状導電粒子の短軸長及び長軸長をそれぞれ測定することにより算出される。
繊維状導電粒子の平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
〜導電粒子含有層の形成〜
導電粒子含有層の形成方法は、特に制限はない。導電粒子含有層の層形成時において、繊維状導電粒子の量を、全固形分量に比較して少なくして層を形成する方法が好ましい。その他の好ましい実施態様において、導電粒子含有層を支持体上に形成する方法としては、前述の繊維状導電粒子を含む分散液を調製し、さらに前述の特定有機バインダーを形成するモノマー組成物を含む溶液を調製し、両者を混合した塗布液を調製して、塗布液を支持体上に塗布して塗膜を形成することが好ましい。
上記の塗布液を支持体上に塗布する方法には特に制限はなく、一般的な塗布方法で行うことができ、目的に応じて適宜選択することができる。例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法が挙げられる。
支持体に上記の塗布液を塗布した後、モノマー組成物の硬化が行われる。モノマー組成物の硬化は、光により行われてもよく、熱により行われてもよい。
光による硬化は、メタルハライドランプなどの光源を用いて塗布膜に光を照射することで行うことができる。
他方、熱による硬化は、塗布膜を加熱することで行うことができる。
−有機溶剤−
上記の導電粒子含有層形成用の組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより支持体上に、より均一な液膜を形成することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。
導電粒子含有層形成用組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤は組成物の全質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
[保護層]
熱線反射材料は、導電粒子含有層の支持体とは反対側(つまり支持体から最も離れた位置)にさらに保護層を設けて最上層としてもよい。
保護層は、特定有機バインダーを含んでもよい。前述の導電粒子含有層が特定有機バインダーを含まない場合、保護層が特定有機バインダーを含む。
保護層が、特定有機バインダーを含むことで、熱線反射材料はWet膜強度及びヒビワレの抑制などの耐久性に優れる。
保護層が含み得る特定有機バインダーは、前述の導電粒子含有層が含み得る特定バインダーと同じであり、好ましい態様も同様である。
〜保護層の形成〜
保護層は、水性組成物を調製し、前述の導電粒子含有層の表面に塗布することにより形成してもよい。保護層形成用の水性組成物の調製手順は特に限定されない。
保護層形成用の水性組成物の塗布は公知の方法で行うことができる。例えば、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコータ等を用いる塗布方法が挙げられる。
保護層が上記の特定有機バインダーを含む場合、塗布後にモノマー組成物の硬化が行われる。モノマー組成物の硬化方法は上述の通りである。
[支持体]
熱線反射材料は、支持体を有する。
支持体としては特に制限は無く公知の支持体を用いることができる。
支持体としては、光学的に透明な支持体が好ましく、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のもの、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
支持体としては、その形状、構造、大きさ、材料などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、熱線反射材料の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などのフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。これらの中で、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
支持体の厚みとしては、特に制限はなく、熱線反射材料の使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であるが薄膜化の観点からは、より薄い方が好ましい。支持体の厚みは10μm〜100μmであることが好ましく、20μm〜75μmであることがより好ましく、35μm〜75μmであることが特に好ましい。支持体の厚みが十分に厚いと、接着故障が起き難くなる傾向にある。また、支持体の厚みが十分に薄いと、熱線反射材料として建材や自動車に貼り合わせる際、材料としての剛性が高過ぎず、施工し易くなる傾向にある。更に、支持体が十分に薄いことにより、可視光透過率が増加し、原材料費を抑制できる傾向にある。
[熱線反射材料の層構成]
本発明の熱線反射材料は、少なくとも前述の支持体と前述の導電粒子含有層とを有するものであれば、形態は特に制限されない。熱線反射材料は、透明性及び生産性の観点から、フィルムである態様が好ましい。すなわち、本発明の熱線反射材料は、熱線反射フィルムであることが好ましい。
本発明の熱線反射材料の層構成としては、図1に一例を示すように、導電粒子含有層1と、支持体2と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
本発明の熱線反射材料の層構成としては、図2に一例を示すように、保護層3と、導電粒子含有層1と、支持体2と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
熱線反射材料において、断熱性の観点から、導電粒子含有層が、支持体から最も離れた位置に配置された最上層又は支持体側において最上層に隣接する層であることが好ましい。
上記と同様の観点から、導電粒子含有層が、支持体から最も離れた位置に配置された最上層であることがより好ましい。
[熱線反射材料の製造方法]
熱線反射材料は、前述の支持体上に、前述の導電粒子含有層を形成することで製造することができる。導電粒子含有層の形成方法は既述の通りである。
また、熱線反射材料が保護層を有する場合、導電粒子含有層の面上に形成されてもよい。
熱線反射材料は、ロール状に製造されてもよく、シート状に製造されてもよい。導電粒子含有層を形成した後、ロール状に巻き取られてもよく、シート状にカットされてもよい。
<窓>
本発明の窓は、前述の熱線反射材料と、粘着剤層と、透明基材と、を備える。熱線反射材料は透明基材の室内側に配置される。
窓における熱線反射材料は、支持体を有する側を粘着剤層に対向させて配置されていることが好ましい。
(透明基材)
透明基材は、厚み0.5mm以上であることが好ましく、厚み1mm以上であることがより好ましく、透明基材の厚みに起因する熱伝導を抑制して温暖性を高める観点からは厚み2mm以上の透明基材であることが特に好ましい。
透明基材は一般的には、板状のものが使用される。
透明基材としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスが挙げられる。;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどを挙げることができる。これらの中でも、透明基材が、ガラス又は樹脂板であることが好ましく、ガラスであることがより好ましい。
ガラスを構成する成分としては特に制限は無く、ガラスとして、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスを用いることができる。
なお、透明基材は、表面が平滑であることが好ましく、フロートガラスであることが特に好ましい。
可視光透過率を求める際に、本発明の熱線反射材料を3mmの青板ガラスに貼り合わせて測定することが好ましい。3mmの青板ガラスについてはJIS A5759:2008に記載されているガラスを使用することが好ましい。
熱線反射材料のJIS A5759:2008に準拠した可視光透過率は、70%以上であることが好ましい。
<粘着剤層>
窓は、粘着剤層を有する。窓における粘着剤層は、前述の熱線反射材料の支持体と接して配置されることが好ましい。
粘着剤層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。中でも屈折率の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの材料からなる粘着剤層は、塗布により形成することができる。
さらに、粘着剤層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
粘着剤層の厚みとしては、0.1μm〜30μmが好ましい。
また、粘着剤層としては、市販の両面テープを用いてもよい。両面テープとしては、例えば、パナクリーンPD−S1(パナック(株)製)が挙げられる。
熱線反射材料は、断熱の効率の観点から、窓ガラスにおける透明基材の室内側に貼り付ける。
透明基材に前述の熱線反射材料が貼り付けられた際、導電粒子含有層は、室内側の最上層であることが好ましい。熱線反射材料が導電粒子含有層の室内側に上にさらに層を有し、その層が最上層である場合は、最上層の厚み(最上層が複数の層が積層されて形成される場合は、合計の厚みが)が5μm以下であるが断熱性を高める観点から好ましく、4μm以下にあることがより好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
透明基材に熱線反射材料を貼り付ける際、熱線反射材料の支持体の上に粘着剤層を塗工、若しくは、粘着剤層をラミネートにより設け、あらかじめ透明基材表面と粘着剤層表面に界面活性剤(主にアニオン系)を含んだ水溶液を噴霧してから、粘着剤層を介して透明基材に熱線反射材料を設置する。
水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は低く、透明基材表面では本発明の熱線反射材料の位置の調整が可能である。透明基材に対する熱線反射材料の貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて透明基材と熱線反射材料の間に残る水分をガラス中央から端部に向けて掃き出すことにより、透明基材表面に熱線反射材料を固定できる。このようにして、透明基材に熱線反射材料を貼り付けることが可能である。
[窓の構成]
本発明の窓の構成としては、図3に一例を示すように、透明基材5と、粘着剤層4と、支持体2と、導電粒子含有層1と、がこの順に積層されている態様が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<銀ナノワイヤ水分散液1及び銀ナノワイヤ溶剤分散液1の調製>
予め、下記の添加液A、GおよびHを調製した。
(添加液A)
硝酸銀粉末0.51gを純水50mL(ミリリットル)に溶解した。その後、1N(1mol/L)のアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加し添加液Aを調製した。
(添加液G)
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
(添加液H)
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤを含む水分散液を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL及び添加液G 206mLをロートにて添加した。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/分、攪拌回転数800rpmで添加した。その10分間後、添加液Hを82.5mL添加した。その後、3℃/分で内温73℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、4時間加熱した。得られた水分散液を冷却した。
ここで、限外濾過モジュールSIP1013(商品名、旭化成(株)製、分画分子量:6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製のチューブで接続し、限外濾過装置を用意した。
上述の冷却後の水分散液を限外濾過装置のステンレスカップに入れ、ポンプを駆動させて限外濾過を行った。限外濾過モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、濾過物の洗浄を行った。前述の洗浄を電気伝導度(東亜ディーケーケー(株)製のCM−25Rで測定)が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮し、0.84質量%の銀ナノワイヤ1を含有する水分散液とした。
得られた水分散液に含まれる銀ナノワイヤ1について、下記の方法で平均短軸長、平均長軸長、及び短軸長の変動係数を測定した。
その結果、平均短軸長17.1nm、平均長軸長25.1μm、変動係数が17.9%の銀ナノワイヤを得たことがわかった。以後、「銀ナノワイヤ水分散液1」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤの水分散液を示す。
次いで、この水分散液を遠心分離し、上澄みである水を除去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを銀ナノワイヤの含有量が0.84質量%となるよう添加することで、銀ナノワイヤ溶剤分散液1を作製した。
<金属ナノワイヤの平均短軸長及び平均長軸長の測定方法>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)製、商品名:JEM−2000FX)を用いて金属ナノワイヤのTEM像を撮影した。TEM像においてランダムに選択した300個の金属ナノワイヤの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その算術平均値から金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長を求めた。
<金属ナノワイヤの短軸長の変動係数の測定方法>
上記透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個の銀ナノワイヤの短軸長(直径)を測定し、300個の銀ナノワイヤの短軸長について標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより求めた。
<銀ナノワイヤ溶剤分散液2の調製>
エチレングリコール30mLを三口フラスコに入れ160℃に加熱した。その後、36mM(mg/mol)のポリビニルピロリドン(PVP;K−55)、3μM(μg/mol)のアセチルアセトナート鉄、60μM(μg/mol)の塩化ナトリウムエチレングリコール溶液18mLと、24mM(mg/mol)の硝酸銀エチレングリコール溶液18mLを毎分1mLの速度で添加した。160℃で60分加熱後室温まで冷却した。水を加えて遠心分離し、伝導度が50μS/cm以下になるまで精製し、銀ナノワイヤ2を含有する溶剤分散液とした。この溶剤分散液を銀ナノワイヤ溶剤分散液2とした。
(実施例1)
<熱線反射材料の作製>
―モノマー組成物1の調製―
下記の組成となるように各成分を混合し、60分撹拌して、2官能以下の重合性モノマーに対する3官能以上の重合性モノマーの質量比が50/50の溶液状のモノマー組成物1を調製した。
−モノマー組成物1の組成−
・ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)・・・7.0部
(2官能の重合性モノマー)
・フェノキシエチルアクリレート(PEA)・・・3.0部
(単官能の重合性モノマー)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)・・・10.0部
(3官能の重合性モノマー)
・重合開始剤・・・1.0部
(IRGACURE184、BASF社製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル・・・20.0部
(溶媒)
−導電粒子含有層の形成−
得られたモノマー組成物1を20部と、銀ナノワイヤ溶剤分散液1を119部と、を混合し、導電粒子含有層形成用の塗布液を得た。
支持体(ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、東洋紡(株)製のA4300)の表面にコロナ放電処理を施し、コロナ処理を施した表面にバーコート法で銀ナノワイヤの量が0.040g/mとなるように上記塗布液を塗布した。その後、120℃で2分間乾燥した後、窒素置換雰囲気中でメタルハライドランプ(マリオネットワーク製、ハンディ250)を5分間照射し、モノマー組成物1を硬化することで有機バインダー1を形成し、導電粒子含有層を形成した。導電粒子含有層における銀ナノワイヤ/有機バインダーの質量比は1/10であった。
このようにして、実施例1の熱線反射材料を作製した。
(実施例2〜実施例5、実施例16〜実施例20、比較例3、及び比較例4)
実施例1において用いたモノマー組成物1を表1及び表2に示すように下記モノマー組成物2〜モノマー組成物10、並びに比較組成物2〜比較組成物3に変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例及び比較例の熱線反射材料を作製した。
モノマー組成物2〜モノマー組成物10、及び比較組成物2〜比較組成物3は、溶液中の2官能以下の重合性モノマー及び3官能以上の重合性モノマーを表1に示す重合性モノマーに変更した以外は、モノマー組成物1と同様にして作製した。
なお、モノマー組成物2〜モノマー組成物10が硬化することで有機バインダー2〜有機バインダー10がそれぞれ形成され、比較例組成物2〜比較組成物3が硬化することで比較バインダー2〜比較バインダー3が形成される。
(比較例1)
下記表1に記載の比較組成物1(固形分1質量%のポリビニルアルコール溶液)8.4部、銀ナノワイヤ水分散液1を1部、及び水10部を混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を、バーコーターによりPET基板の表面に塗工し、120℃、1分間乾燥して、導電粒子含有層を形成した。このようにして比較例1の熱線反射材料を作製した。
(比較例2)
比較例1の熱線反射材料の導電粒子含有層の上に、バーコーターを用いてさらに比較組成物1を塗工し、120℃、2分間乾燥して保護層を形成した。このようにして比較例2の熱線反射材料を作製した。
表1中の成分の詳細は以下の通りである。
PEA : フェノキシエチルアクリレート
DPGDA : ジプロピレングリコールジアクリレート
TMPTA : トリメチロールプロパントリアクリレート
DPHA : ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PVA : ポリビニルアルコール
(実施例6)
実施例1において、モノマー組成物1を下記に示すモノマー組成物Aに変更し、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に実施例1と同様の方法で導電粒子含有層を形成し、更に導電粒子含有層の上にモノマー組成物1を塗布して保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、熱線反射材料を作製した。
実施例6における保護層の形成は、モノマー組成物1の塗布後、120℃で2分間乾燥し、窒素置換雰囲気中でメタルハライドランプ(マリオネットワーク製、ハンディ250)を5分間照射することで、モノマー組成物1を硬化して有機バインダー1を形成する手順で行った。
実施例6の熱線反射材料における有機バインダーに対する繊維状導電粒子の質量比は、1/10であった。なお、モノマー組成物Aは、重合開始剤を含まないため硬化せず有機バインダーは形成されない。つまり、有機バインダーの量は、保護層における有機バインダーの量である。
−モノマー組成物Aの組成−
・ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)・・・7.0部
(2官能の重合性モノマー)
・フェノキシエチルアクリレート(PEA)・・・3.0部
(単官能の重合性モノマー)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)・・・10.0部
(3官能の重合性モノマー)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル・・・20部
(溶媒)
(実施例7〜実施例11、比較例5)
実施例1で用いたモノマー組成物1及び銀ナノワイヤ溶剤分散液1を、下記表2に示す繊維状導電粒子/有機バインダーの質量比となるように調製して用いた以外は実施例1と同様にして、各実施例及び比較例の熱線反射材料を作製した。
(実施例12〜実施例15)
実施例1における銀ナノワイヤの塗布量を、下記表2に示す量となるように変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例及び比較例の熱線反射材料を作製した。
(実施例21)
実施例1における銀ナノワイヤ溶剤分散液1を、上記の銀ナノワイヤ溶剤分散液2に変更した以外は実施例1と同様にして、熱線反射材料を作製した。
(実施例22)
−ポリオール合成用組成物の調製−
下記の組成となるように各成分を60分撹拌して、ポリオール合成用組成物を調製したのち、窒素環境下でUV露光を行い、各重合性モノマーを重合させることで、ポリオール溶液を得た。
−ポリオール合成用組成物の組成−
・ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)・・・7.0部
(2官能の重合性モノマー)
・ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)・・・3.0部
(単官能の重合性モノマー)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)・・・2.0部
(3官能の重合性モノマー)
・重合開始剤・・・0.2部
(IRGACURE184、BASF社製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル・・・12部
(溶媒)
−モノマー組成物11溶液の調製−
上記のポリオール溶液(3官能以上の重合性モノマー、固形分49.6質量%)15部と、トリレンジイソシアネート(2官能以下の重合性モノマー)2.5部と、を60分撹拌して、3官能以下の重合性モノマーに対する2官能以上の重合性モノマーの質量比が25/75のモノマー組成物11溶液を調製した。
<導電粒子含有層の形成>
得られたモノマー組成物11溶液を17.5部と、銀ナノワイヤ溶剤分散液1を119部と、を混合し、導電粒子含有層形成用の塗布液を得た。
支持体(PET基板、東洋紡(株)製のA4300)の表面にコロナ放電処理を施し、コロナ処理を施した表面にバーコート法で銀ナノワイヤの量が0.040g/mとなるように上記塗布液を塗布した。その後、120℃で2分間乾燥し、導電粒子含有層を形成した。導電粒子含有層における銀ナノワイヤ/有機バインダーの質量比は1/10であった。
このようにして熱線反射材料を得た。
<評価>
上記で得られた各実施例及び比較例の熱線反射材料について、以下の評価を行った。評価結果は表2に示す。
(1)可視光透過率
各実施例及び比較例の熱線反射材料についてJIS A 5759:2008に準拠して可視光透過率(%)を測定した。可視光透過率の測定は、紫外可視近赤外分光機(日本分光(株)製、V−670、積分球ユニットISN−723使用)を用いて行った。測定用の試料は、JIS R 3202:2011に規定するフロート板ガラスと、各実施例及び比較例の熱線反射材料の支持体側の面と、を粘着剤としてパナック(株)製のパナクリーンPD−S1(粘着剤層25μm)を用いて貼り合わせて作製した。
(2)ヘイズ
各実施例及び比較例の熱線反射材料について、ヘイズ計(ガードナー社製、ヘイズガードプラス)を用いてヘイズ(%)を測定した。測定用の試料は、上記可視光透過率の測定と同様の方法で作製した。
(3)断熱性(熱貫流率)
各実施例及び比較例の熱線反射材料についてJIS A 5759:2008に準拠して熱貫流率(W/m・K)を算出した。熱貫流率は、赤外分光機(ブルカー・オプティクス社製、IFS66v/S)を用いて熱線反射材料の波長5μm〜50μmの反射率を測定し算出した。測定用の試料は、上記可視光透過率の測定と同様の方法で作製した。
(4)表面抵抗の測定
各実施例及び比較例の熱線反射材料の導電粒子含有層の表面における表面抵抗(Ω/square)を、非接触抵抗計(ナプソン社製、EC−80)を用いて測定した。
(5)Wet膜強度
各実施例及び比較例の熱線反射材料について、以下に示す方法で表面が濡れた状態での膜強度(Wet膜強度)を評価した。
各実施例及び比較例の熱線反射材料を10cm×5cmにカットした。熱線反射材料の導電粒子含有層側の表面に水を1ml垂らし、250g荷重をかけながらベンコット(登録商標)M3II(旭化成せんい(株)製)を10往復させて拭き取った。拭き取り後の熱線反射材料の表面を目視で観察し、下記の基準に従い評価した。
−評価基準−
5 : 表面にキズ及び層のハガレがなく、外観が非常に良好であり、実用上問題ない。
4 : 表面に僅かにキズがあるが、層のハガレは見られず、実用上問題ない。
3 : 表面にキズと僅かな層のハガレが見られるが、実用上問題ない。
2 : 表面にキズと層のハガレが見られるが、実用上問題ない。
1 : 層のハガレが顕著に確認でき、実用上問題がある。
(6)ヒビワレ
各実施例及び比較例の熱線反射材料について、以下に示す方法でヒビワレを評価した。 各実施例及び比較例の熱線反射材料を10cm×5cmにカットした。熱線反射材料の導電粒子含有層側の表面の中央部に水を垂らし、5cm×5cmに裁断した。その後、熱線反射材料の導電粒子含有層側を外側にし、直径5mmの棒に10回巻きつけた。巻きつけた後の熱線反射材料の裁断面を目視で観察し、下記の基準に従い評価した。
−評価基準−
5 : 端部にヒビに起因する層のハガレがなく外観が非常に良好であり、実用上問題ない。
4 : 端部に僅かにヒビがあるが、ヒビに起因する層のハガレは見られず、実用上問題ない。
3 : 端部にヒビとヒビに起因する僅かな層のハガレが見られるが、実用上問題ない。
2 : 端部にヒビとヒビに起因する層のハガレが見られるが、実用上問題ない。
1 : 端部にヒビに起因する層のハガレが顕著に確認でき、実用上問題ある。
表2より、実施例の熱線反射材料は、断熱性、Wet膜強度、及びヒビワレの評価結果がいずれも良好である。このことから、実施例の熱線反射材料は断熱性及び耐久性に優れることがわかる。
<熱線反射材料を備えた窓の作製>
実施例1〜実施例22の熱線反射材料を用いて、以下の要領で建築物の窓に取り付けられた窓ガラスの表面に貼り付け、熱線反射材料を備えた窓を作製した。
実施例1〜実施例22の熱線反射材料の支持体側の面に粘着剤を貼り合わせて粘着剤層を形成した。粘着剤はパナック(株)製パナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μm、粘着剤層の一方に軽剥離セパレータを有し他方に重剥離セパレータを有する構成)を使用し、軽剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がして支持体表面に貼り合わせた。
粘着剤層の重剥離セパレータを剥離した。
窓ガラスの表面と熱線反射材料の粘着剤層表面に界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)0.1質量%の水溶液を噴霧し、粘着剤層を介して窓ガラスに熱線反射材料を設置した。
水分が蒸発するまでの間、ガラス表面を移動させて熱線反射材料の位置の調整を行った。窓ガラスに対する熱線反射材料の貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて、熱線反射材料の表面をこすり、窓ガラスと熱線反射材料の間に残る水分をガラス中央から、端部に向けて掃き出し、窓ガラス表面に熱線反射材料を固定した。
このようにして、熱線反射材料を備えた窓を作製した。
これらの窓は、実施例1〜実施例22の熱線反射材料を用いているため、断熱性及び耐久性に優れる。
1・・・導電粒子含有層
2・・・支持体
3・・・保護層
4・・・粘着剤層
5・・・透明基材
10・・・熱線反射材料
20・・・窓

Claims (11)

  1. 少なくとも、支持体と、繊維状導電粒子を含み、少なくとも前記支持体が配置されている側とは反対側の表面の表面抵抗が1000Ω/square以上である導電粒子含有層と、を有し、
    前記支持体の導電粒子含有層を有する側に配置された、前記導電粒子含有層を含む全ての層より選ばれる少なくとも1層が、2官能以下の重合性モノマーと3官能以上の重合性モノマーとを含み、前記2官能以下の重合性モノマーは単官能の重合性モノマーと2官能の重合性モノマーとを含み、前記3官能以上の重合性モノマーに対する前記2官能以下の重合性モノマーの質量比が10/90〜90/10であるモノマー組成物が硬化された有機バインダーを含む熱線反射材料。
  2. 前記繊維状導電粒子の含有量が0.020g/m〜0.200g/mである請求項1に記載の熱線反射材料。
  3. 前記3官能以上の重合性モノマーに対する前記2官能以下の重合性モノマーの質量比が、30/70〜70/30である請求項1又は請求項2に記載の熱線反射材料。
  4. 前記有機バインダーの含有量に対する前記繊維状導電粒子の含有量の質量比が1/100〜1/2である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  5. 前記2官能の重合性モノマーの含有量が、前記単官能の重合性モノマーの含有量より多い請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  6. 前記繊維状導電粒子は、平均短軸長が150nm以下であり、平均長軸長が5μm〜50μmである請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  7. 前記有機バインダーの含有量に対する前記繊維状導電粒子の含有量の質量比が1/20〜1/10である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  8. 前記導電粒子含有層が、支持体から最も離れた位置に配置された最上層又は支持体側において前記最上層に隣接する層である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  9. 前記導電粒子含有層が、支持体から最も離れた位置に配置された最上層である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  10. JIS A5759:2008に準拠した可視光透過率が70%以上である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の熱線反射材料と、粘着剤層と、透明基材と、を備えた窓。
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