以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本発明に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、クレーン10の移動方向や使用態様などを限定するものではない。
クレーン10は、クレーン本体に相当する旋回体12と、この旋回体12を旋回可能に支持する走行体14と、ブーム16及びジブ18を含む起伏部材と、ブーム起伏用部材であるマスト20と、を備える。また、旋回体12の後部には、クレーン10のバランスを調整するためのカウンタウエイト13が積載されている。また、旋回体12の前端部には、キャブ15が備えられている。キャブ15は、クレーン10の運転席に相当する。
図1に示されるブーム16は、いわゆるラチス型であり、基端側部材16Aと、一または複数(図例では2個)の中間部材16B,16Cと、先端側部材16Dとから構成される。具体的に、基端側部材16Aは、旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。中間部材16B,16Cは、その順に基端側部材16Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。先端側部材16Dは中間部材16Cの先端側に着脱可能に継ぎ足され、この先端側部材16Dの先端部に、後述のようにジブ18を回動させるためのリアストラット21及びフロントストラット22が回動可能に連結される。ブーム16は、下端部に備えられたブームフットピン16Sを支点として旋回体12に回動可能に軸支される。
ただし、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームは、中間部材がないものでもよく、また、上記とは中間部材の数が異なるものでもよい。更に、ブームは、単一の部材で構成されたものでもよい。
ジブ18も、その具体的な構造は限定されないが、図例ではラチス型の構造を有する。そして、このジブ18の基端部は、ブーム16の先端側部材16Dの先端部に回動可能に連結(軸支)されており、ジブ18の回動中心軸は、旋回体12に対するブーム16の回動中心軸(ブームフットピン16S)と平行な横軸になっている。
マスト20は、基端及び回動端を有し、その基端が旋回体12に回動可能に連結される。マスト20の回動軸は、ブーム16の回動軸と平行でかつ当該ブーム16の回動軸のすぐ後方に位置している。すなわち、このマスト20はブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。一方、このマスト20の回動端は左右一対のブーム用ガイライン24を介してブーム16の先端に連結される。この連結は、マスト20の回動とブーム16の回動とを連携させる。
旋回体12上には左右一対のバックストップ23が設けられる。これらのバックストップ23は、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で当該ブーム16の基端側部材16Aの左右両側部に当接する。この当接によって、ブーム16が強風等で後方に煽られることが規制される。
リアストラット21およびフロントストラット22は、ブーム16の先端に回動可能に軸支される。リアストラット21は、先端側部材16Dの先端からブーム起立側(図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。この姿勢を保持する手段として、リアストラット21とブーム16との間に左右一対のバックストップ25及び左右一対のガイリンク26が介在する。バックストップ25は、先端側部材16Dとリアストラット21の中間部位との間に介在し、リアストラット21を下から支える。ガイリンク26はリアストラット21の先端部とブーム16の基端側部材16Aとを接続するように張設され、その張力によってリアストラット21の位置を規制する。なお、他の実施形態において、リアストラット21およびフロントストラット22は、ジブ18の基端部に回動可能に軸支されてもよい。また、リアストラット21がブーム16の先端部に回動可能に軸支され、フロントストラット22がジブ18の基端部に回動可能に軸支されてもよい。
フロントストラット22は、ジブ18と連動して(一体的に)回動するようにこのジブ18に連結される。詳しくは、このフロントストラット22の先端部とジブ18の先端部とを結ぶように左右一対のジブ用ガイライン28が張設される。従って、このフロントストラット22の回動駆動によってジブ18も回動駆動される。なお、前述のリアストラット21は、図1に示すようにフロントストラット22の後側に配置され、フロントストラット22との間で略二等辺三角形形状を形成する。
クレーン10には、各種ウインチが搭載される。具体的には、ブーム16を起伏させるためのブーム起伏用ウインチ30と、ジブ18を起伏方向に回動させるためのジブ起伏用ウインチ32と、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36とが搭載される。本実施形態に係るクレーン10では、ブーム起伏用ウインチ30がマスト20の基端近傍部位に据え付けられる。また、ジブ起伏用ウインチ32、主巻用ウインチ34、及び補巻用ウインチ36がいずれもブーム16における基端側部材16Aに据え付けられる。これらのウインチ30,32,34,36は旋回体12に搭載されていてもよい。
ブーム起伏用ウインチ30は、ブーム起伏用ロープ38の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取り及び繰り出しによりマスト20が回動するようにブーム起伏用ロープ38が配索される。具体的には、マスト20の回動端部及び旋回体12の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック40,42が設けられ、ブーム起伏用ウインチ30から引き出されたブーム起伏用ロープ38がシーブブロック40,42間に掛け渡される。従って、ブーム起伏用ウインチ30がブーム起伏用ロープ38の巻き取りや繰り出しを行うことにより、両シーブブロック40,42間の距離が変化し、これによってマスト20さらにはこれと連動するブーム16が起伏方向に回動する。
ジブ起伏用ウインチ32は、リアストラット21とフロントストラット22との間に巻き回されたジブ起伏用ロープ44の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取りや繰り出しによってフロントストラット22が回動するようにジブ起伏用ロープ44が配索される。具体的には、リアストラット21の長手方向中間部にはガイドシーブ46が設けられるとともに、リアストラット21の回動端部及びフロントストラット22の回動端部にそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック47,48が設けられている。そして、ジブ起伏用ウインチ32から引き出されたジブ起伏用ロープ44がガイドシーブ46に掛けられ、かつ、シーブブロック47,48間に掛け渡される。従って、ジブ起伏用ウインチ32によるジブ起伏用ロープ44の巻き取りや繰り出しは、両シーブブロック47,48間の距離を変え、フロントストラット22さらにはこれと連動するジブ18を起伏方向に回動させる。
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ50(巻き取り用ロープ)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、リアストラット21の基端近傍部位、フロントストラット22の基端近傍部位、及びジブ18の先端部にはそれぞれ主巻用ガイドシーブ52,53,54が回転可能に設けられ、さらに主巻用ガイドシーブ54に隣接する位置に複数の主巻用ポイントシーブ56が幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50が主巻用ガイドシーブ52,53,54に順に掛けられ、かつ、シーブブロックの主巻用ポイントシーブ56と、吊荷用の主フック57(フック)に設けられたシーブブロックのシーブ58との間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34(巻き取り用ウインチ)が主巻ロープ50の巻き取りや繰り出しを行うと、両シーブ56,58間の距離が変わって、ジブ18の先端から垂下された主巻ロープ50に連結された主フック57の巻上げ及び巻下げが行われる。
同様にして、補巻用ウインチ36は、補巻ロープ60による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、主巻用ガイドシーブ52,53,54とそれぞれ同軸に補巻用ガイドシーブ62,63,64が回転可能に設けられ、補巻用ガイドシーブ64に隣接する位置に不図示の補巻用ポイントシーブが回転可能に設けられている。補巻用ウインチ36から引き出された補巻ロープ60は、補巻用ガイドシーブ62,63,64に順に掛けられ、かつ、補巻用ポイントシーブから垂下される。従って、補巻用ウインチ36が補巻ロープ60の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻ロープ60の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
なお、本実施形態では、後記のとおり、リアストラット21の組立時において、主巻ロープ50は、リアストラット21に接続されるストラット起伏用ロープとして機能する。同様に、主巻用ウインチ34は、前記ストラット起伏用ロープの巻き取りおよび繰り出しを行うストラット起伏用ウインチとして機能する。
次に、図2乃至図12を参照して、本発明の第1実施形態に係るクレーン10のリアストラット21の組立作業について説明する。クレーン10は、リアストラット21の組み立てを補助するためのクレーン組立補助装置70(ストラット組立補助装置)を備える。なお、本実施形態では、クレーン組立補助装置70は、クレーン10の一部を構成する。他の実施形態において、クレーン組立補助装置70は、クレーン10とは別体からなるものでもよい。
図2は、本実施形態に係るクレーン組立補助装置70の電気的なブロック図である。図3乃至図6は、本実施形態に係るリアストラット21の組立手順を示した工程図である。図7乃至図11は、リアストラット21の組立手順を示したフローチャートである。また、図12は、後述する表示部77の模式図である。
図2を参照して、クレーン組立補助装置70は、前述の主巻ロープ50、主巻用ウインチ34に加え、制御部71と、荷重検出部75と、角度計76と、表示部77と、を備える。
制御部71は、クレーン組立補助装置70を統括的に制御するもので、制御信号の送受先として、荷重検出部75、角度計76、表示部77に加え、前述のジブ起伏用ウインチ32および主巻用ウインチ34に電気的に接続されている。
荷重検出部75は、本発明の張力検出部として機能する。荷重検出部75は、図4に示されるように、リアストラット21の先端側に備えられている。また、荷重検出部75の近傍には、ジブ起伏用ウインチ32から延設された後、シーブブロック47、48間に巻き回されたジブ起伏用ロープ44の先端部44Sが係止されている。荷重検出部75は、ジブ起伏用ロープ44の張力Tを検出し出力する。荷重検出部75によって検出されるジブ起伏用ロープ44の張力Tは、後記の駆動制御部72または演算部73によって参照される。
角度計76は、図4に示されるように、リアストラット21の基端側に固定されている。角度計76は、リアストラット21の対地角θを検出し出力する。図4では、リアストラット21の側縁を延長した直線L1と、地面Gと平行な直線L2(水平線)とがなす角度が、対地角θとして示されている。なお、他の実施形態において、角度計76は、ブーム16に対するリアストラット21の相対的な角度を検出してもよい。
表示部77は、キャブ15(図1)内に配置されている液晶表示装置からなる。図12を参照して、表示部77は、所定の液晶表示画面に表示される上限表示部77A、現在値表示部77B、下限表示部77C、開始ボタン78およびメッセージ表示部79を備える。上限表示部77Aは、ジブ起伏用ロープ44の上限張力Tm(張力Tの上限値)を表示する。現在値表示部77Bは、荷重検出部75によって検出されたジブ起伏用ロープ44の張力Tの現在値を表示する。また、下限表示部77Cは、ジブ起伏用ロープ44の下限張力Tn(張力Tの下限値)を表示する。開始ボタン78は、作業者によって押圧されるものであり、後記の組立動作を開始する機能を備える。メッセージ表示部79は、作業者に対する種々のメッセージを表示する。図12では、一例として、ガイリンク26の接続指示メッセージが表示されている。なお、他の実施形態において、クレーン組立補助装置70は、表示部77を備えないものでもよい。この場合、クレーン10のキャブ15内に開始ボタン78が備えられてもよい。
制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUが前記制御プログラムを実行することにより、出力部70A、駆動制御部72、演算部73及び記憶部74を機能的に有するよう動作する。
出力部70Aは、角度計76によって出力されたリアストラット21の対地角θに応じて記憶部74を参照し、ジブ起伏用ロープ44の張力Tの上限張力Tmおよび下限張力Tnを出力する。本実施形態では、出力部70Aが出力した上限張力Tmおよび下限張力Tnは、駆動制御部72に入力される。
駆動制御部72は、クレーン10の組立作業において、ジブ起伏用ウインチ32および主巻用ウインチ34(ストラット起伏用ウインチ)の巻き取りおよび繰り出しを制御する。なお、本実施形態では、前述のようにクレーン組立補助装置70がクレーン10の一部を構成している。このため、通常のクレーン10の移動および吊り上げ作業などでは、駆動制御部72は、その他のウインチや走行体14を含めクレーン10全体の駆動を制御する。
演算部73は、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが上限張力Tmを超えた場合や下限張力Tnを下回った場合に、主巻用ウインチ34の巻き取り、繰り出し速度の減速分を算出する。また、演算部73は、上限張力Tmおよび下限張力Tnが算出式として記憶部74に記憶されている場合には、角度計76によって検出されたリアストラット21の対地角θに応じて上限張力Tmおよび下限張力Tnを算出する。
記憶部74は、ジブ起伏用ロープ44の張力Tの上限張力Tmおよび下限張力Tnを予め記憶する。特に、本実施形態では、リアストラット21の対地角θに応じて、上限張力Tmおよび下限張力Tnが予めテーブル値として記憶されている。これらの値は、予め実験によって導出されたものであり、所定の安全率を設けて設定されている。他の実施形態において、上記のように上限張力Tmおよび下限張力Tnが算出式として記憶部74に記憶されていてもよい。
図3を参照して、ブーム16が地上Gに倒伏され、ブーム16の先端にリアストラット21およびフロントストラット22が取り付けられた状態で、リアストラット21の引き上げが開始される。予め用意された補助クレーン80を用いてリアストラット21の先端側が引き上げられる。なお、図3および図4では、補助クレーン80のフックおよび吊り上げ用のスリングのみが図示されている。また、ブーム16の先端には、予めブーム用ガイライン24(図1、図3)が接続されている。更に、リアストラット21には、ガイリンク26(図1)の一端側を構成する第1リンク部26Aおよびバックストップ25が装着されている。一方、ガイリンク26の他端側を構成する第2リンク部26Bは、ブーム16上に配置されている(図5参照)。
本実施形態では、クレーン10がラッフィングジブ構造を備えた大型のクレーンからなるため、シーブブロック47とシーブブロック48との間には、ジブ起伏用ロープ44が10回巻かれた結果、20本のストラット間ロープ部44B(図4)が形成されている。なお、ジブ起伏用ウインチ32に繋がるウインチ側ロープ部44A(図4)は1本である。
リアストラット21は、補助クレーン80によって、図4に示す状態まで引き上げられる。一例として、図4では、対地角θ=75度(第1の対地角)に設定されている。なお、リアストラット21は、必ずしも補助クレーン80によって引き上げられる必要はないが、初期的に補助クレーン80によって引き上げられることで、リアストラット21の組立が効率的に実現される。一方、図4に示される状態から、リアストラット21が矢印DA方向に更に回動される場合、補助クレーン80の旋回動作だけではリアストラット21を充分回動させることができない。このため、本実施形態では、クレーン組立補助装置70によって、リアストラット21の回動動作が実現される。
作業者は、図4に示される状態において、リアストラット21に主巻ロープ50(ストラット起伏用ロープ)の先端部50Tを固定する。前述のように、本来、主巻ロープ50は主フック57(図1)(フック)の巻き上げを行うものであるが、このように、リアストラット21の組立に際して、ストラット起伏用ロープとして機能する。主巻ロープ50の基端側は主巻用ウインチ34に取り付けられている。
図4に示される状態から、クレーン組立補助装置70によるリアストラット21の回動作業が開始される。図7を参照して、作業者によって表示部77の開始ボタン78(図12)が押圧されると(ステップS01)、図7の第1フローF1が開始される。まず、駆動制御部72が、現在のリアストラット21の対地角θと予め設定された対地角θG(第2の対地角)との大小関係を判定する(ステップS02)。なお、対地角θGは、ガイリンク26がリアストラット21およびブーム16に接続可能とされるリアストラット21の対地角θである。本実施形態では、図5に示されるリアストラット21の対地角θが対地角θGに相当する。
θG>θ、すなわち、リアストラット21の対地角θが未だθGに至っていない場合(ステップS02でYES)、出力部70Aが、記憶部74を参照して、ジブ起伏用ロープ44の上限張力Tmおよび下限張力Tnを決定、出力する(ステップS03)。この際、出力された上限張力Tmおよび下限張力Tnは、図12の表示部77に表示される。更に、駆動制御部72は、荷重検出部75によって検出されたジブ起伏用ロープ44の張力Tと、出力部70Aによって出力された上限張力Tmとの大小関係を判定する(ステップS04)。なお、本実施形態では、当該大小関係の判定は、駆動制御部72によって自動で実行されるが、作業者の安全のために、検出された張力Tは図12の表示部77に表示される。
T≦Tm、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが上限張力Tm以下の場合(ステップS04でYES)、駆動制御部72は、荷重検出部75によって検出されたジブ起伏用ロープ44の張力TとステップS03で決定された下限張力Tnとの大小関係を判定する(ステップS05)。T≧Tn、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが下限張力Tn以上の場合(ステップS05でYES)、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが好ましい範囲に含まれている。このため、駆動制御部72は、主巻用ウインチ34を制御して主巻ロープ50を巻き上げる(ステップS06)。この結果、リアストラット21が、図4の矢印DA方向に回動され始める。更に、駆動制御部72は、第1フローF1を繰り返しながら、リアストラット21を回動させる。この際、ステップS04において、T>Tm、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが上限張力Tmを超えている場合、駆動制御部72は、図8の第2フローF2を実行する。
図8を参照して、駆動制御部72は、ジブ起伏用ロープ44の張力Tを低下させるために、ジブ起伏用ウインチ32を制御してジブ起伏用ロープ44を繰り出す(ステップS07)。ジブ起伏用ロープ44の繰り出しにも関わらず、張力Tが上限張力Tmを超えている場合(ステップS08でNO)には、駆動制御部72はジブ起伏用ロープ44の繰り出しを継続する。一方、張力Tが上限張力Tm以下となると(ステップS08でYES)、駆動制御部72は、ジブ起伏用ロープ44の繰り出しを停止し(ステップS09)、図7の第1フローF1に復帰する。このように、第2フローF2では、リアストラット21とフロントストラット22との間に強い張力Tがかかることが抑止され、各ストラットが損傷することが防止される。
一方、図7のステップS05において、T<Tn、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが下限張力Tnを下回っている場合、駆動制御部72は、図9の第3フローF3を実行する。
図9を参照して、駆動制御部72は、ジブ起伏用ロープ44の張力Tを増大させるために、ジブ起伏用ウインチ32を制御してジブ起伏用ロープ44を巻き上げる(ステップS10)。ジブ起伏用ロープ44の巻き上げにも関わらず、張力Tが下限張力Tnを下回っている場合(ステップS11でNO)には、駆動制御部72はジブ起伏用ロープ44の巻き上げを継続する。一方、張力Tが下限張力Tn以上となると(ステップS11でYES)、駆動制御部72は、ジブ起伏用ロープ44の巻き上げを停止し(ステップS12)、図7の第1フローF1に復帰する。このように、第3フローF3では、リアストラット21とフロントストラット22との間の張力が緩みすぎることが抑止され、ストラットが転倒することが防止される。特に、リアストラット21の自重およびジブ起伏用ロープ44の自重によって、リアストラット21が下方に倒れることが抑止される。
このように、本実施形態では、駆動制御部72が、ジブ起伏用ウインチ32を制御してジブ起伏用ロープ44の張力Tを上限張力Tmと下限張力Tnとの間に調整しながら、リアストラット21を回動させる。なお、本実施形態では、図7の第1フローF1から、図8の第2フローF2または図9の第3フローF3に移行している間、主巻用ウインチ34による主巻ロープ50の巻き取り動作は継続されている。このため、予め主巻用ウインチ34の巻き取り/繰り出し速度よりも、ジブ起伏用ウインチ32の巻き取り/繰り出し速度の方が大きく設定されている。この結果、リアストラット21の回動が継続されながらも、ジブ起伏用ロープ44の張力Tの調整を速やかに行うことができる。
やがて、リアストラット21の対地角θが90度を超えθGに至ると、リアストラット21が図5に示される状態となる。なお、本実施形態では前述のように、シーブブロック47とシーブブロック48との間には、20本のストラット間ロープ部44Bが形成されている。このため、リアストラット21には、ジブ起伏用ロープ44の自重によるカテラリー張力が大きく付与されている。このため、リアストラット21が鉛直方向に延びる姿勢となったあと後傾姿勢となった場合であっても、引き続き、主巻ロープ50の巻き取り動作によって、リアストラット21の回動が調整される。これは、上記のカテラリー張力によって前方に引き戻されるような力がリアストラット21にかかっているためである。
リアストラット21の対地角θがθGに至る(図7のステップS02でNO)と、駆動制御部72は、図10の第4フローF4を実行する。図10を参照して、駆動制御部72は、主巻用ウインチ34を制御して主巻ロープ50の巻き上げを停止する(ステップS13)。このため、リアストラット21が後方に過剰に回動されることが抑止される。この際、第2フローF2(図8)および第3フローF3(図9)は実行されていないため、ジブ起伏用ウインチ32の巻き上げおよび繰り出し動作も停止されている。この際、駆動制御部72は、図12に示すように、表示部77のメッセージ表示部79に、作業指示を表示してもよい。そして、作業者は、ガイリンク26の接続作業を実行する(図10のステップS14)。詳しくは、リアストラット21の先端から垂下された第1リンク部26Aの下端に備えられたピン26Pを、予めブーム16上に延設された第2リンク部26Bの先端に連結する。この結果、略90度に屈曲されたガイリンク26が形成され、当該ガイリンク26によってブーム16とリアストラット21の先端とが接続される。上記のように、リアストラット21の対地角θがθGに至ると、主巻用ウインチ34およびジブ起伏用ウインチ32が停止されるため、作業者によってガイリンク26が安全かつ速やかに接続可能とされる。
ガイリンク26の接続が完了すると、作業者は再び表示部77(図12)の開始ボタン78を押圧する(図10のステップS15)。この結果、駆動制御部72は、第5フローF5を実行する。
駆動制御部72は、現在のリアストラット21の対地角θと予め設定された対地角θB(第3の対地角)との一致、不一致を判定する(ステップS16)。なお、対地角θBは、バックストップ25(図1)がリアストラット21およびブーム16を接続可能となるリアストラット21の対地角θである。本実施形態では、図6に示されるリアストラット21の対地角θが対地角θBに相当する。なお、図5に示される状態では、リアストラット21とブーム16との間の角度が小さいため、バックストップ25を装着することができない。
θ≠θB、すなわち、リアストラット21の対地角θがθBに至っていない場合(ステップS16でYES)、出力部70Aは、図7のステップS03と同様に、記憶部74を参照して、ジブ起伏用ロープ44の上限張力Tmおよび下限張力Tnを決定し、出力する(ステップS17)。更に、駆動制御部72は、図7のステップS04およびS05と同様に、荷重検出部75によって検出されたジブ起伏用ロープ44の張力Tと、出力部70Aによって出力された上限張力Tmおよび下限張力Tnとの大小関係を判定する(ステップS18、ステップS19)。
Tn≦T≦Tm、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが、上限張力Tmと下限張力Tnとの間に含まれている場合(ステップS18、S19でYES)、駆動制御部72は、主巻用ウインチ34を制御して主巻ロープ50を繰り出す(ステップS20)。この結果、リアストラット21が、図5の矢印DB方向に回動され始める。更に、駆動制御部72は、第5フローF5を繰り返しながら、リアストラット21を回動させる。
なお、ステップS18において、T>Tm、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが上限張力Tmを超えている場合、駆動制御部72は、前述の第2フローF2を実行する。同様に、ステップS19において、T<Tn、すなわち、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが下限張力Tnを下回っている場合、駆動制御部72は、第3フローF3を実行する。第2フローF2または第3フローF3が実行された後、駆動制御部72は、図10の第5フローF5を繰り返す。
やがて、リアストラット21の対地角θがθBに至り、リアストラット21が図6に示される位置に至ると(図10のステップS16でNO)、駆動制御部72は、図11の第8フローF8を実行する。
図11を参照して、駆動制御部72は、主巻用ウインチ34を制御して主巻ロープ50の繰り出しを停止する(ステップS21)。この際、第2フローF2(図8)および第3フローF3(図9)は実行されていないため、ジブ起伏用ウインチ32の巻き上げおよび繰り出し動作も停止されている。ここで、作業者は、バックストップ25の接続作業を実行する(ステップS22)。詳しくは、作業者はリアストラット21から垂下されたバックストップ25の下端に備えられた固定部25Tを、予めブーム16上に配置された被固定部(不図示)に連結する。この結果、図6に示される状態よりもリアストラット21がブーム16側に後傾することが防止される。以上より、本実施形態に係るクレーン組立補助装置70によるリアストラット21の組立動作が完了する。
なお、バックストップ25の接続が完了すると、作業者は、図6において主巻ロープ50の先端部50Tをリアストラット21から取り外す。そして、作業者がジブ起伏用ウインチ32を制御してジブ起伏用ロープ44を巻き取ることで、リアストラット21が矢印DB方向に回動する。この結果、屈曲されていたガイリンク26が図1に示すように直線的に延びるとともに、リアストラット21とフロントストラット22との間隔が図1に示されるように保持される。なお、バックストップ25はシリンダ構造を備えているため、図6に示される状態からリアストラット21が前方に傾動する際、バックストップ25はリアストラット21に追従して伸長する。また、リアストラット21の前傾が終了すると、作業者によってバックストップ25の不図示のコックが閉止され、バックストップ25の長さが固定される。その後、ジブ18がブーム16の先端に取り付けられるとともに、ジブ用ガイライン28(図1)がフロントストラット22の先端とジブ18の先端とを接続する。そして、ブーム起伏用ロープ38(図1)が巻き取られることで、ブーム16が引き上げられ、図1に示される姿勢をもってクレーン10が完成する。
以上のように、本実施形態に係るクレーン組立補助装置70を備えたクレーン10によれば、クレーン組立時のリアストラット21の回動作業において、作業者がジブ起伏用ロープ44の張力(張り具合)を目視に頼って判断する必要がない。このため、クレーン10の組立が容易に実現されるとともに、クレーン10の組立時間、特に、ガイリンク26やバックストップ25が接続可能となるまでのリアストラット21の回動作業時間が短縮される。なお、本実施形態では、駆動制御部72は、組立時のリアストラット21の対地角θに応じて、記憶部74の上限張力Tmおよび下限張力Tnを参照する。このため、リアストラット21が前傾姿勢から後傾姿勢に切り替わった後のように、リアストラット21の対地角θに応じて張力Tの最適な上下限値が変動しやすい場合であっても、各ストラットが損傷または転倒することが抑止される。更に、本実施形態では、予めクレーン10に備え付けられている主巻用ウインチ34および主巻ロープ50を利用して、リアストラット21の回動(組立)を行うことができる。
また、本実施形態に係るクレーン10のリアストラット21の組立方法(ストラット組立方法)は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程とを備える。第1工程では、主巻ロープ50の張力Tを検出し出力する荷重検出部75と、リアストラット21の対地角θを検出し出力する角度計76と、リアストラット21の対地角θに応じた主巻ロープ50の張力Tの上限張力Tmおよび下限張力Tnを予め記憶する記憶部74と、が準備される。第2工程では、ブーム16が地上に倒伏された状態から、リアストラット21が第1の対地角θ(図4)まで引き上げられる。第3工程では、リアストラット21の対地角θに応じて記憶部74から上限張力Tmおよび下限張力Tnが参照され、ジブ起伏用ウインチ32の巻き取りおよび繰り出しによって主巻ロープ50の張力Tが上限張力Tmと下限張力Tnとの間に調整されながら、主巻用ウインチ34の巻き取りによって第1の対地角θからガイリンク26が接続可能とされる第2の対地角θGに至るまでリアストラット21が回動される。そして、第4工程では、第2の対地角θGに至ったリアストラット21の先端部とブーム16とがガイリンク26によって接続される。この結果、リアストラット21を含むクレーン10の組立時間が短縮可能とされる。
なお、前述のように、記憶部74に記憶されるジブ起伏用ロープ44の張力Tの上限張力Tmおよび下限張力Tnは、予め行われる実験または所定の演算によって決定される。以下に、張力Tの上限張力Tmおよび下限張力Tnの導出方法について説明する。図13は、組立時のリアストラット21に付与される力を説明するための模式図である。図13を参照して、リアストラット21の組立作業において、リアストラット21には、主巻ロープ50の先端部50Tにかかる主巻ロープ50の張力Fs、リアストラット21の重力Fg、ジブ起伏用ロープ44の張力Fjが作用する。これらの力によってリアストラット21にかかる回転方向のモーメントとして、主巻ロープ50の張力FsによるモーメントがMs、リアストラットFgの重力によるモーメントがMg、ジブ起伏用ロープ44の張力FjによるモーメントがMjと定義される。以下に、リアストラット21の回動方向および対地角θに応じた上限張力Tmおよび下限張力Tnの導出方法を説明する。
<リアストラット21が第1方向に回動する場合>
リアストラット21が図13の矢印DA方向(第1方向)に回動する場合は、リアストラット21の対地角θが、75度以上90度未満の範囲と、90度以上135度未満の範囲とに分けられる。
(リアストラット21の対地角θが75度以上90度未満の範囲の場合)
(上限張力Tmの導出)
リアストラット21の対地角θが75度以上90度未満の範囲では、リアストラット21の重力Fgが主巻ロープ50の張力Fsとは逆方向に作用する。そのため、リアストラット21が矢印DA方向に回動する条件は、前述のリアストラット21にかかるモーメントに以下の式が成り立つときとなる。
Ms>Mg+Mj ・・・ (式1)
上記の(式1)が成り立つMjの最大値が上限張力Tmとなる。ジブ起伏用ロープ44には、カテナリー張力が作用するため、ストラット間ロープ部44Bは鉛直方向に撓んでいる。このストラット間ロープ部44Bの撓み量が導出されれば、ジブ起伏用ロープ44の張力Fjの向きがわかるため、ジブ起伏用ロープ44の張力Fjが算出可能となる。その張力Fjの絶対値が上限張力Tmとなる。
一方、上限張力Tmは、予め行われる実験において導出されることも可能である。すなわち、ジブ起伏用ロープ44のストラット間ロープ部44Bが撓んでいる状態とされ、主巻用ウインチ34の巻き取りが開始される。巻き取りが少し進むと、ジブ起伏ロープ44のストラット間ロープ部44Bの撓みが減り、リアストラット21が回動を始める。この際に、荷重検出部75で測定された張力が上限張力Tmと定められる。この後、主巻ロープ50を巻き取りながら、ジブ起伏用ロープ44を繰り出しつつ、荷重検出部75で測定された各対地角θでの張力が、随時、上限張力Tmとされる。なお、最終的に記憶部74に格納される値は、クレーン毎の個体差によるばらつき等が考慮され、測定された張力よりも小さな値とされることが望ましい。
(下限張力Tnの導出)
下限張力Tnの値は、上限張力Tmのように大きな制限が設けられるものではなく、ジブ起伏ロープ用44が撓み過ぎない程度に予め設定されればよい。
(リアストラット21の対地角θが90度以上135度未満の範囲)
(上限張力Tmの導出)
リアストラット21の対地角θが90度以上135度未満の範囲では、リアストラット21の重力Fgが主巻ロープ50の張力Fsと同じ方向に作用する。このため、リアストラット21が矢印DA方向に回動する条件は、以下の式が成り立つときとなる。
Ms+Mg>Mj ・・・ (式2)
上記の(式2)が成り立つMjの最大値から上限張力Tmを求めることができる。また、この範囲においても、リアストラット21の対地角θが75度以上90度未満の範囲と同様の手法により上限張力Tmを求めることが可能である。
(下限張力Tnの算出)
下限張力Tnの値は、上限張力Tmのように大きな制限が設けられるものではなく、リアストラット21が下方に倒れることが抑止できる程度に予め設定されればよい。
<リアストラット21が第2方向に回動する場合>
リアストラット21の図13の矢印DB方向(第2方向)への回動は、リアストラット21の対地角θが90度以上135度未満の範囲の場合のみである。以下、この対地角θの範囲における、上限張力Tm、下限張力Tnの導出について説明する。
(上限張力Tmの算出)
リアストラット21等のクレーン構成部材が破損しない程度に予め設定されればよい。
(下限張力Tnの算出)
リアストラット21が矢印DB方向に回動する条件は、以下の式となる。
Ms+Mg<Mj ・・・ (式3)
上記の(式3)が成り立つMjの最小値から下限張力Tnを求めることが可能である。この場合も、上記と同様に、予め行われる実験において下限張力Tnが求められる。すなわち、ストラットガイライン26が21とブーム16とに接続された後、リアストラット21が矢印DB方向に回動される。そして、ジブ起伏ロープ44が巻き取られると、ストラット間ロープ部44Bの撓みが減少したところで、リアストラット21が回動を始める。この際、荷重検出部75で測定された張力が下限張力Tnとされる。この後、ジブ起伏ロープ44が巻き取られながら、主巻ロープ50が繰り出され、荷重検出部75で測定された各対地角θにおける張力が、随時、下限張力Tnとされる。なお、最終的に記憶部74に格納される値は、クレーン毎の個体差によるばらつき等が考慮され、測定された張力よりも大きな値とされることが望ましい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、クレーン10が、クレーン組立補助装置90(ストラット組立補助装置)を備える。クレーン組立補助装置90は、クレーン10のリアストラット21の組立作業を補助する。なお、本実施形態では、クレーン組立補助装置90は、クレーン10の一部を構成する。他の実施形態において、クレーン組立補助装置90は、クレーン10とは別体からなるものでもよい。図14は、本実施形態に係るクレーン10のクレーン組立補助装置90の電気的なブロック図である。図15は、本実施形態に係るクレーン10のリアストラット21の組立手順を示したフローチャートである。以下、先の第1実施形態と本実施形態との相違点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。
図14を参照して、クレーン組立補助装置90は、荷重検出部75と、角度計76と、表示部77と、制御部91と、を備える。ただし、制御部91は、必ずしも駆動制御部72、演算部73を備える必要はなく、少なくとも出力部70Aおよび記憶部74を備えていればよい。また、制御部91は、荷重検出部75、角度計76および表示部77に電気的に接続されている。一方、ジブ起伏用ウインチ32および主巻用ウインチ34は、キャブ15(図1)内に備えられた操作部92に電気的に接続されている。ジブ起伏用ウインチ32、主巻用ウインチ34の巻き取りおよび繰り出しは、いずれも組立作業者によって行われる。
本実施形態では、ブーム16が地上に倒伏され、かつ、リアストラット21が予め対地角θ(第1の対地角)まで引き上げられた状態(図4)から、ガイリンク26が接続可能とされる対地角θG(第2の対地角)にリアストラット21が至る(図5)までの間、制御部91が組立補助動作を実行する。
図15を参照して、図4に示される対地角θまでリアストラット21が予め引き上げられると、作業者が表示部77の開始ボタン78を押圧する(ステップS31)。この結果、制御部91は、現在のリアストラット21の対地角θと予め設定された対地角θGとの大小関係を判定する(ステップS32)。θG>θ、すなわち、リアストラット21の対地角θが未だθGに至っていない場合(ステップS32でYES)、出力部70Aが、記憶部74を参照して、ジブ起伏用ロープ44の上限張力Tmおよび下限張力Tnを決定、出力するとともに、図12の表示部77に表示させる(ステップS33)。この際、出力部70Aは、現在の張力Tも現在値表示部77Bに表示する。
作業者は、当該表示された張力Tが上限張力Tmと下限張力Tnとの間に入るように、ジブ起伏用ウインチ32を駆動させジブ起伏用ロープ44の張力を調整する(ステップS34)。また、作業者は、主巻用ウインチ34を駆動させ主巻ロープ50を巻き上げながら、リアストラット21を回動させる。
やがて、リアストラット21の対地角θがθGに至り、リアストラット21が図5に示される位置に至ると(図15のステップS32でNO)、出力部70Aは、表示部77のメッセージ表示部79(図12)に、ガイリンク26の接続メッセージを表示する(ステップS36)。なお、他の実施形態において、当該メッセージが表示されることなく、作業者が目視でリアストラット21の位置を確認してもよい。その後、作業者は、先の第1実施形態と同様にガイリンク26をブーム16に接続する(ステップS37)。
なお、図15では、ガイリンク26が接続されるまでのフローを示しているが、第1の実施形態と同様に、ガイリンク26の接続後、バックストップ25の接続が可能となるまで、クレーン組立補助装置90がリアストラット21の回動作業を補助してもよい。このように、本実施形態においても、クレーンのリアストラット21の組立作業において、作業者がジブ起伏用ロープ44の張力を目視に頼って判断する必要がない。作業者は、表示部77に表示される上下限値を参照しながらジブ起伏用ロープ44の張力を調整することができる。このため、クレーン10の組立が容易に実現されるとともに、クレーン10の組立時間、特に、ガイリンク26やバックストップ25が接続可能となるまでのリアストラット21の回動作業時間が短縮される。
以上、本発明の実施形態に係るクレーン10、クレーン組立補助装置70、90およびクレーン10のリアストラット21の組立方法について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の各実施形態では、図4のようにリアストラット21の対地角θが所定の角度(図4では75度)まで引き上げられた状態で、作業者が図12の開始ボタン78を押圧する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。リアストラット21の対地角が所定の角度に至ったことが荷重検出部75によって検出されると、補助クレーン80とリアストラット21との接続が駆動制御部72によって自動で切断されるとともに、予め接続されていた主巻ロープ50によってリアストラット21の回動が、駆動制御部72によってそのまま開始されてもよい。
(2)上記の第1実施形態では、図7の第1フローF1において、主巻ロープ50の巻き上げ(ステップS06)が連続的に実行され、θG≦θとなると主巻ロープ50の巻き取りが停止される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図7において、ジブ起伏用ロープ44の張力Tが上限張力Tmまたは下限張力Tnから外れ、第2フローF2(図8)または第3フローF3(図9)が開始される際に、主巻ロープ50の巻き上げが停止または減速されてもよい。この場合、リアストラット21の回動が一時的に抑制された状態で、ジブ起伏用ロープ44の張力Tの調整が容易に実行可能とされる。
(3)また、上記の各実施形態では、図3乃至図6に示されるように、ジブ18がブーム16に取り付けられる前の状態において、リアストラット21の組立(起立)作業を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ジブ18がブーム16に取り付けられた後に、リアストラット21が起立される態様でもよい。この際、リアストラット21の起立に先だって、ジブ18全体がブーム16に取り付けられてもよいし、ジブ18の一部である下部ジブのみがブーム16に取り付けられてもよい。更に、下部ジブを含むジブ18の一部がブーム16に取り付けられてもよい。
(4)また、上記の各実施形態では、図1に示されるクレーン10をもって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係るクレーンは、所定のブーム、ジブ、各ストラットを備えるものであればよい。この場合も、本発明をストラットの起立組立作業に適用することができる。