JP2022115073A - クレーンの旋回制御装置およびこれを備えたクレーン - Google Patents

クレーンの旋回制御装置およびこれを備えたクレーン Download PDF

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Naoki Sugano
靖生 市川
Yasuo Ichikawa
仁史 黒津
Hitoshi Kurotsu
拓也 渡邉
Takuya Watanabe
和文 百濟
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Abstract

【課題】上部旋回体の旋回動作によってアタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを抑止する。【解決手段】旋回制御装置8Sは、アタッチメント情報取得部800Aと、角速度設定部801と、旋回制御部802とを有する。アタッチメント情報取得部800Aは、アタッチメント10Sに作用する横荷重に基づいて最大旋回角速度を設定するためのアタッチメント情報を取得する。角速度設定部801は、前記アタッチメント情報に基づいて、上部旋回体12の最大旋回角速度を設定する。旋回制御部802は、上部旋回体12の旋回角速度が前記角速度設定部801によって設定された前記最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御する。【選択図】図3

Description

本発明は、クレーンの旋回制御装置およびこれを備えたクレーンに関する。
従来、移動式クレーンとして、下部走行体と、上部旋回体と、ブームやジブのようなアタッチメントと、を備えたものが知られている。アタッチメントは、上部旋回体の前部に起伏可能に取り付けられる。アタッチメントの先端部から垂下された吊り荷ロープに吊り荷が接続されると、吊り荷の吊り上げ作業が可能となる。また、このようなクレーンでは、吊り荷が吊り上げられた状態で上部旋回体の旋回動作が行われることがある。
特許文献1には、ブーム、固定ジブ、ラッフィングジブなどを含む複数種のアタッチメントが上部旋回体に選択的に着脱可能なクレーンが開示されており、当該クレーンは、作業モード自動判別装置を備えている。当該自動判別装置は、アタッチメントの種類および装着状態を検出する手段と、当該検出手段から入力される検出信号に基づいてクレーンの作業モードを判別する作業モード感知装置と、作業者による作業モードの入力を受け付けるモード設定スイッチと、作業モード感知装置が判別した作業モードとモード設定スイッチから入力された作業モードとの一致、不一致を判定するモード比較管理装置と、当該2つの作業モードの一致または不一致を報知するモード表示灯とを有している。作業者は、入力した作業モードに対応する適切なアタッチメントが上部旋回体に装着されていることをモード表示灯によって確認した上で、安全に作業を実行することができる。
特許第2971388号公報
特許文献1に記載されたクレーンでは、作業者は適切なアタッチメントが上部旋回体に装着されていることを認識できる一方、装着されたアタッチメントではどの程度の旋回角速度で旋回動作を行うことができるかが不明であるため、過度に大きな旋回角速度で前記旋回動作を実行し当該アタッチメントの一部が破損、損傷する可能性があることや、このようなアタッチメントの損傷を考慮しすぎて旋回角速度を過剰に抑え作業性が悪化するという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業者の旋回操作に基づく上部旋回体の旋回動作によってアタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを効率的に抑止することが可能なクレーンの旋回制御装置およびこれを備えたクレーンを提供することにある。
本発明の一局面に係るクレーンの旋回制御装置は、下部本体と、前記下部本体に対して上下方向に延びる旋回中心軸回りに旋回可能なように前記下部本体に支持される上部旋回体と、前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させるための操作を受け付けるとともに前記操作の大きさに応じた旋回指令信号を出力する操作部と、前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させることが可能な旋回駆動部と、前記上部旋回体に起伏方向に回動可能に支持される基端部と当該基端部とは反対側の先端部とを含み前記上部旋回体に対して着脱可能なアタッチメントと、前記アタッチメントの前記先端部から垂下され吊り荷に接続される吊り荷ロープとを有するクレーンに用いられる。クレーンの旋回制御装置は、アタッチメント情報取得部と、角速度設定部と、旋回制御部とを備える。前記アタッチメント情報取得部は、アタッチメント情報を取得する。前記アタッチメント情報は、前記上部旋回体の旋回角速度に起因して前記アタッチメントに作用する前記上部旋回体の旋回方向に沿った荷重である横荷重に基づいて前記旋回角速度の最大値である最大旋回角速度を設定するための、前記アタッチメント固有の情報である。前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報に基づいて、前記上部旋回体の旋回動作において許容される前記最大旋回角速度を設定する。前記旋回制御部は、前記操作部から出力された前記旋回指令信号を受け入れ、当該旋回指令信号に対応して前記上部旋回体が前記下部本体に対して旋回するように前記旋回駆動部を制御するものであって、前記上部旋回体の旋回角速度が前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する。
本構成によれば、アタッチメント情報が横荷重に基づいて旋回角速度の最大値である最大旋回角速度を設定するための情報であり、角速度設定部が当該アタッチメント情報に応じて上部旋回体の旋回動作における最大旋回角速度を設定することができるため、作業者の旋回操作に基づいてアタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを効率的に抑止することが可能となる。
上記の構成において、前記アタッチメント情報は、前記基端部から前記先端部までの前記アタッチメントの長さを含み、前記角速度設定部は、前記アタッチメントの長さが大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、相対的に長いアタッチメントが上部旋回体に装着されている場合には、角速度設定部が上部旋回体の最大旋回角速度を相対的に小さく設定するため、前記アタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを確実に抑止することができる。
上記の構成において、旋回情報を取得する旋回情報取得部を更に備え、前記旋回情報は、前記最大旋回角速度を設定するための前記旋回動作の条件に関連する情報であり、前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記旋回情報に基づいて前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、角速度設定部が、アタッチメント固有のアタッチメント情報に加え、クレーンの旋回動作における旋回情報に基づいて、最大旋回角速度を設定するため、前記アタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを更に抑止することができる。
上記の構成において、前記旋回情報は、前記吊り荷ロープに接続される吊り荷の荷重である吊り荷荷重に対応する情報を含み、前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記吊り荷荷重に基づいて前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、角速度設定部が、アタッチメント情報に加え、アタッチメントに作用する横荷重に大きな影響を与えうる吊り荷荷重に基づいて最大旋回角速度を設定するため、実際に吊り上げられた吊り荷に応じて適切な最大旋回角速度を設定することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、同じ前記アタッチメント情報において、前記吊り荷荷重が大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、相対的に大きな荷重の吊り荷がアタッチメントに接続されている場合には、角速度設定部が上部旋回体の最大旋回角速度を相対的に小さく設定するため、前記アタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを確実に抑止することができる。
上記の構成において、前記吊り荷荷重を検出することが可能な荷重検出部を更に備え、前記角速度設定部は、前記吊り荷が地面から上方に離間した後であって前記操作部に入力される前記操作に応じて前記旋回駆動部が前記上部旋回体を旋回させる前の期間において、前記荷重検出部によって検出された前記吊り荷荷重に基づいて、前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中におけるアタッチメントの振れや風などによる荷重検出値の変動の影響を受けることなく最大旋回角速度を設定することができるため、上部旋回体の旋回動作を安定して制御することができる。
上記の構成において、前記旋回情報取得部によって取得される前記旋回情報は、予め設定された、前記吊り荷ロープに接続される吊り荷の最大荷重である最大吊り荷荷重に関する情報を含み、前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記最大吊り荷荷重に基づいて前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、上部旋回体の旋回動作に際して、現在の吊り荷荷重を検出し反映させる必要なく最大旋回角速度を設定することができる。
上記の構成において、前記旋回情報は、前記アタッチメントの姿勢に関する情報を含み、前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報、および前記旋回情報取得部によって取得された前記アタッチメントの姿勢から決定される定格荷重に対する前記吊り荷荷重の比率に基づいて、前記最大旋回角速度を設定し、前記定格荷重は、前記アタッチメントの前記先端部から垂下される前記吊り荷ロープの最大掛け本数に対応して設定されていることが望ましい。
本構成によれば、アタッチメントの能力から決定される定格荷重に対する吊り荷荷重の比率を用いて最大旋回角速度を設定することで、クレーンの安全性と作業性とを両立させることができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定し、前記設定された最大旋回角速度を前記旋回動作中に維持することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中に最大旋回角速度が変化することがないため、上部旋回体の急な角速度変化の頻発によって作業者の操作性が低下することを防止することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作中に、前記最大旋回角速度を所定の間隔で更新し、前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記角速度設定部によって更新された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中の旋回情報の変化に応じて最大旋回角速度が更新されるため、安全性を担保しつつ、作業性を向上させることができる。
上記の構成において、前記旋回情報取得部によって取得される前記旋回情報は、平面視における前記アタッチメントの前記基端部から前記先端部までの距離である作業半径に関する情報を含み、前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記作業半径に基づいて前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、角速度設定部が、アタッチメント情報に加え、アタッチメントに作用する横荷重に大きな影響を与えうる作業半径に基づいて最大旋回角速度を設定するため、前記アタッチメントに大きな横荷重が加わることを確実に抑止することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、同じ前記アタッチメント情報において、前記作業半径が大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、アタッチメントが相対的に大きな作業半径に設定されている場合には、角速度設定部が上部旋回体の最大旋回角速度を相対的に小さく設定するため、前記アタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを確実に抑止することができる。
上記の構成において、前記アタッチメントは、前記基端部を含み前記上部旋回体に起伏方向に回動可能に支持されるブームと、前記先端部を含み前記ブームに起伏方向に回動可能に支持されるジブとを有し、前記旋回情報は、前記ブームの起伏角および前記ジブの起伏角に関する情報を更に含み、前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報、および前記旋回情報取得部によって取得された前記作業半径、前記ブームの起伏角および前記ジブの起伏角に基づいて前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、同じ作業半径であっても、横荷重に対するアタッチメントの耐性がブームの起伏角およびジブの起伏角に応じて変化することを鑑みて、最適な最大旋回角速度を設定することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、同じ作業半径に対して、前記横荷重による前記アタッチメントのたわみが最大となる前記ブームの起伏角および前記ジブの起伏角の組み合わせに対応して、前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、同じ作業半径であっても、たわみの観点で最も厳しいブームの起伏角およびジブの起伏角の条件に対応して最大旋回角速度が設定されるため、安全性を担保して旋回動作を行うことができる。
上記の構成において、前記旋回情報は、前記作業半径について、前記クレーンの転倒を防止するために吊り荷の荷重に応じて設定された最大作業半径に関する情報を含み、前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記最大作業半径に基づいて前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、上部旋回体の旋回動作に際して、現在の作業半径を検出し反映させる必要なく最大旋回角速度を設定することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定し、前記設定された最大旋回角速度を前記旋回動作中に維持することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中に最大旋回角速度が変化することがないため、上部旋回体の急な角速度変化の頻発によって作業者の操作性が低下することを防止することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作中に、前記最大旋回角速度を所定の間隔で更新し、前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記角速度設定部によって更新された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中の旋回情報の変化に応じて最大旋回角速度が更新されるため、安全性を担保しつつ、作業性を向上させることができる。
上記の構成において、前記旋回情報取得部は、前記上部旋回体の旋回動作中に、前記アタッチメントの起伏動作に伴って変化する前記作業半径に関する情報を取得し、前記角速度設定部は、前記旋回情報取得部によって取得された前記作業半径の情報に基づいて前記最大旋回角速度を更新することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中にアタッチメントの起伏動作によって作業半径が変化した場合であっても、最適な最大旋回角速度を設定することができる。特に、アタッチメントの起立動作によって作業半径が小さくなった場合には、最大旋回角速度を大きく設定することで、実際の旋回角速度も大きくすることが可能になるため、安全性を担保しつつ作業性を向上することができる。また、アタッチメントの倒伏動作によって作業半径が大きくなった場合には、旋回角速度をより制限することで、安全性を担保することができる。
上記の構成において、前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定するとともに当該最大旋回角速度に対応する最大周速を更に演算し、前記上部旋回体の旋回動作中に前記アタッチメントの前記先端部の周速が前記最大周速を超えないように前記旋回動作中の前記最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、旋回動作中に最大周速が一定となるように制御されるため、作業半径が変化しても吊り荷速度の最大値が変化せず、作業性を高めることができる。
上記の構成において、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度を最大値とする実効最大旋回角速度を作業者が入力可能な入力部を更に備え、前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記入力部に入力された前記実効最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御することが望ましい。
本構成によれば、作業者が自らの能力、好みに応じて、最大旋回角速度を更に制限することができるため、より安全に旋回動作を行うことができる。
上記の構成において、前記入力部は、前記実効最大旋回角速度を段階的に選択可能なように構成されていることが望ましい。
本構成によれば、吊り荷の強度、種類などに応じて、作業者が実効最大旋回角速度を段階的に選択できるため、より安全に旋回動作を行うことができる。
上記の構成において、前記クレーンの前記旋回駆動部は、出力軸を備えるエンジンと、前記出力軸に連結され前記出力軸から入力される動力によって作動油を吐出する油圧ポンプであって、傾転指令信号の入力を受け付け当該傾転指令信号の大きさに応じて作動油の最大吐出量を変化させることが可能な可変容量式の油圧ポンプと、内部に複数の油圧室を備え、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、前記上部旋回体を旋回させる駆動力を発生する油圧式の旋回モータと、前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在するように配置されるコントロールバルブを含み、前記操作部から出力される前記旋回指令信号に応じて前記油圧ポンプから吐出された作動油のうち前記旋回モータに供給される作動油の流量を調整する流量調整機構と、を有し、前記旋回制御部は、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する傾転指令信号を前記油圧ポンプに入力することで、前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように、前記油圧ポンプから吐出される作動油の吐出量を制限することが望ましい。
本構成によれば、旋回制御部が、油圧ポンプの傾転を調整することで、上部旋回体の旋回角速度が最大旋回角速度を超えないように油圧ポンプから吐出される作動油の吐出量を制限するため、上部旋回体の旋回角速度を確実に制限することができる。
上記の構成において、前記油圧ポンプは、ゼロよりも大きな最小吐出量の作動油を吐出し、前記旋回制御部は、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する前記油圧ポンプの吐出量が前記最小吐出量よりも大きい場合に、前記最大旋回角速度に対応する傾転指令信号を前記油圧ポンプに入力することで、前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように、前記油圧ポンプから吐出される作動油の吐出量を制限する一方、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する前記油圧ポンプの吐出量が前記最小吐出量よりも小さい場合に、前記最大旋回角速度に対応する強制指令信号を前記流量調整機構に入力することで、前記旋回指令信号の大きさに関わらず前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように前記流量調整機構から前記旋回モータに供給される作動油の流量を制限することが望ましい。
本構成によれば、油圧ポンプの性能上、角速度設定部が要求する最大旋回角速度を油圧ポンプの傾転調整では達成できない場合があっても、旋回制御部が流量調整機構に強制指令信号を入力することで、旋回モータに供給される作動油の流量を制限し、上部旋回体の旋回角速度を確実に制限することができる。
上記の構成において、前記クレーンの前記旋回駆動部は、出力軸を備えるエンジンと、前記出力軸に連結され前記出力軸から入力される動力によって作動油を吐出する油圧ポンプと、内部に複数の油圧室を備え、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、前記上部旋回体を旋回させる駆動力を発生する油圧式の旋回モータと、前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在するように配置されるコントロールバルブを含み、前記操作部から出力される前記旋回指令信号に応じて前記油圧ポンプから吐出された作動油のうち前記旋回モータに供給される作動油の流量を調整する流量調整機構と、を有し、前記旋回制御部は、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する強制指令信号を前記流量調整機構に入力することで、前記旋回指令信号の大きさに関わらず前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように前記流量調整機構から前記旋回モータに供給される作動油の流量を制限することが望ましい。
本構成によれば、旋回制御部が、旋回制御部が流量調整機構に強制指令信号を入力することで、上部旋回体の旋回角速度が最大旋回角速度を超えないように旋回モータへの作動油の供給量を制限するため、上部旋回体の旋回角速度を確実に制限することができる。
上記の構成において、前記クレーンの前記旋回駆動部は、出力軸を備えるエンジンと、前記出力軸に連結され前記出力軸から入力される動力によって作動油を吐出する油圧ポンプと、内部に複数の油圧室を備え、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、前記上部旋回体を旋回させる駆動力を発生する油圧式の旋回モータと、前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在するように配置されるコントロールバルブを含み、前記操作部から出力される前記旋回指令信号に応じて前記油圧ポンプから吐出された作動油のうち前記旋回モータに供給される作動油の流量を調整する流量調整機構と、を有し、前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように前記エンジンの回転数を制限することが望ましい。
本構成によれば、旋回制御部が、上部旋回体の旋回角速度が最大旋回角速度を超えないようにエンジンの回転数を制限するため、上部旋回体の旋回角速度を確実に制限することができる。
本発明の他の局面に係るクレーンは、下部本体と、前記下部本体に対して上下方向に延びる旋回中心軸回りに旋回可能なように前記下部本体に支持される上部旋回体と、前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させるための操作を受け付けるとともに、前記操作の大きさに応じた旋回指令信号を出力する操作部と、前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させることが可能な旋回駆動部と、前記上部旋回体に起伏方向に回動可能に支持される基端部と当該基端部とは反対側の先端部とを含み、前記上部旋回体に対して着脱可能なアタッチメントと、前記アタッチメントの前記先端部から垂下され、吊り荷に接続される吊り荷ロープと、前記上部旋回体の旋回角速度が少なくとも前記アタッチメントのアタッチメント情報に応じて設定された最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する、上記に記載の旋回制御装置と、を備える。
本構成によれば、角速度設定部が当該アタッチメント情報に応じて上部旋回体の旋回動作における最大旋回角速度を設定するため、作業者の旋回操作に基づいてアタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを効率的に抑止しながら旋回動作を安定して行うことが可能となる。
本発明によれば、作業者の旋回操作に基づく上部旋回体の旋回動作によってアタッチメントに大きな横荷重が加わり当該アタッチメントが損傷、破損することを効率的に抑止することが可能なクレーンの旋回制御装置およびこれを備えたクレーンが提供される。
本発明の第1実施形態に係る旋回制御装置を備えたクレーンの側面図である。 本発明の第1実施形態に係るクレーンの旋回駆動部の油圧回路図である。 本発明の第1実施形態に係る旋回制御装置のブロック図である。 クレーンの旋回動作時に操作レバーが受ける操作量の推移を示すグラフである。 クレーンの旋回動作時の上部旋回体の旋回角速度の推移を示すグラフである。 クレーンの旋回動作時の吊り荷の荷振れ量の推移を示すグラフである。 クレーンの旋回動作時のアタッチメント先端の振れ量の推移を示すグラフである。 上部旋回体の旋回角速度とアタッチメントの振れ最大値との関係を示すグラフである。 上部旋回体の旋回角速度とアタッチメントが受ける応力との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る旋回制御装置において設定される旋回角速度制限値とアタッチメント長さとの関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る旋回制御装置において設定される旋回角速度制限値とポンプ傾転との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る旋回制御装置を備えるクレーンにおける操作レバーの操作量と上部旋回体の旋回角速度との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る旋回制御装置が実行するクレーンの旋回制御のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御におけるエンジン回転数とポンプ傾転との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御において操作レバーの操作量と上部旋回体の旋回角速度との関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御における操作レバーの操作量と電磁比例弁の2次圧との関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御における電磁比例弁の2次圧と上部旋回体の旋回角速度との関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る旋回制御装置が実行するクレーンの旋回制御のフローチャートである。 本発明の第3実施形態の変形例に係る旋回制御装置が実行するクレーンの旋回制御のフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る旋回制御装置を備えるクレーンのブームおよびジブの模式図である。 本発明の第4実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御における作業半径と負荷率との関係を示すグラフである。 本発明の第5実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御における吊り荷荷重検出値の推移を示すグラフである。 上部旋回体の旋回角速度のふらつきを示すグラフである。 本発明の第5実施形態に係る旋回制御装置が実行する旋回制御における上部旋回体の旋回角速度の推移を示すグラフである。 本発明の変形実施形態に係る旋回制御装置を備えたクレーンの側面図である。
<第1実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るクレーン10の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、各実施形態に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係るクレーンの移動方向や使用態様などを限定するものではない。
クレーン10は、クレーン本体に相当する上部旋回体12と、この上部旋回体12を旋回可能に支持する下部走行体14(下部本体)と、ブーム16及びジブ18を含むアタッチメント10S(起伏体ともいう)と、ブーム起伏用部材であるマスト20と、を備える。上部旋回体12は、下部走行体14に対して上下方向に延びる旋回中心軸CL回りに旋回可能なように下部走行体14に支持される。また、上部旋回体12の後部には、クレーン10のバランスを調整するためのカウンタウエイト13が積載されている。また、上部旋回体12の前端部には、キャブ15が備えられている。キャブ15は、クレーン10の運転席に相当する。
また、アタッチメント10Sは、上部旋回体12に起伏方向に回動可能に支持される基端部と当該基端部とは反対側の先端部とを含み、上部旋回体12に対して着脱可能とされている。前述のように、本実施形態では、アタッチメント10Sは、ブーム16とジブ18とを含む。
図1に示されるブーム16は、いわゆるラチス型であり、下部ブーム16Aと、一または複数(図例では3個)の中間ブーム16B,16C、16Dと、上部ブーム16Eとから構成される。具体的に、下部ブーム16Aは、上部旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。中間ブーム16B,16C,16Dは、その順に下部ブーム16Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ブーム16Eは中間ブーム16Dの先端側に着脱可能に継ぎ足され、この上部ブーム16Eの先端部に、ジブ18およびジブ18を回動させるためのリヤストラット21およびフロントストラット22がそれぞれ回動可能に連結される。ブーム16は、下端部に備えられたブームフットピン16Sを支点として左右方向に延びる回転軸回りに上部旋回体12に回動可能に軸支される。
ブーム16は、中間ブームシーブ46と、各アイドラシーブ32S、34S、36Sと、を有する。中間ブームシーブ46は、中間ブーム16Dの先端側の後側面に配置されている。アイドラシーブ32S、アイドラシーブ34Sおよびアイドラシーブ36Sは、ブーム16の基端部の後側面に回転可能に支持されている。
ただし、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームは、中間部材がないものでもよく、また、上記とは中間部材の数が異なるものでもよい。更に、ブームは、単一の部材で構成されたものでもよい。
ジブ18も、その具体的な構造は限定されない。そして、このジブ18の基端部は、ブーム16の上部ブーム16Eの先端部に回動可能に連結(軸支)されており、ジブ18の回動軸は、上部旋回体12に対するブーム16の回動軸(ブームフットピン16S)と平行な横軸になっている。
マスト20は、基端及び回動端を有し、その基端が上部旋回体12に回動可能に連結される。マスト20の回動軸は、ブーム16の回動軸と平行でかつ当該ブーム16の回動軸のすぐ後方に位置している。すなわち、このマスト20はブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。一方、このマスト20の回動端は左右一対のブーム用ガイライン24を介してブーム16の先端に連結される。この連結は、マスト20の回動とブーム16の回動とを連携させる。
更に、クレーン10は、左右一対のバックストップ23と、リヤストラット21と、フロントストラット22と、左右一対のストラットバックストップ25およびガイライン26と、左右一対のジブ用ガイライン28と、を備える。
左右一対のバックストップ23はブーム16の下部ブーム16Aの左右両側部に設けられる。これらのバックストップ23は、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で、上部旋回体12の前後方向の中央部に当接する。この当接によって、ブーム16が強風等で後方に煽られることが規制される。
リヤストラット21は、ブーム16の先端部に回動可能に軸支される。リヤストラット21は、上部ブーム16Eの先端からブーム起立側(図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。この姿勢を保持する手段として、リヤストラット21とブーム16との間に左右一対のストラットバックストップ25及び左右一対のガイライン26が介在する。ストラットバックストップ25は、中間ブーム16Dとリヤストラット21の中間部位との間に介在し、リヤストラット21を下から支える。ガイライン26は、リヤストラット21の先端部とブーム16の下部ブーム16Aとを接続するように張設され、その張力によってリヤストラット21の位置を規制する。なお、リヤストラット21は、シーブブロック47、リヤストラットアイドラシーブ52、62を有する。シーブブロック47は、リヤストラット21の回動端部に配置され、幅方向に配列された複数のシーブを含む。リヤストラットアイドラシーブ52、62は、リヤストラット21の長手方向の中央部よりも基端部側に位置する部分に配置され、それぞれ幅方向に配列された複数のシーブを含む。
フロントストラット22は、ジブ18の後方に配置されており、ジブ18と連動して回動するようにブーム16の先端部(上部ブーム16E)に回動可能に軸支されている。詳しくは、このフロントストラット22の先端部とジブ18の先端部とを連結するように左右一対のジブ用ガイライン28が張設される。従って、このフロントストラット22の回動駆動によって、ジブ18もフロントストラット22と一体的に回動駆動される。なお、前述のリヤストラット21は、図1に示すようにフロントストラット22の後側に配置され、フロントストラット22との間で略二等辺三角形形状を形成する。フロントストラット22は、シーブブロック48と、フロントストラットアイドラシーブ53、63と、を有する。シーブブロック48は、フロントストラット22の回動端部に配置され、幅方向に配列された複数のシーブを含む。フロントストラットアイドラシーブ53、63は、フロントストラット22の長手方向の中央部よりも基端部側に位置する部分に配置され、それぞれ幅方向に配列された複数のシーブを含む。
クレーン10は、各種ウインチを更に備える。具体的には、クレーン10は、ブーム16を起伏させるためのブーム起伏用ウインチ30と、ジブ18を起伏方向に回動させるためのジブ起伏用ウインチ32と、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36とを備える。また、クレーン10は、ブーム起伏用ロープ38と、ジブ起伏用ロープ44と、主巻ロープ50(吊り荷ロープ)と、補巻ロープ60と、を備える。本実施形態に係るクレーン10では、ジブ起伏用ウインチ32、主巻用ウインチ34および補巻用ウインチ36がブーム16の基端近傍部位に据え付けられる。また、ブーム起伏用ウインチ30が上部旋回体12に据え付けられる。これらのウインチ30,32,34,36の位置は、上記に限定されるものではない。
ブーム起伏用ウインチ30は、ブーム起伏用ロープ38の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取り及び繰り出しによりマスト20が回動するようにブーム起伏用ロープ38が配索される。具体的には、マスト20の回動端部及び上部旋回体12の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック40,42が設けられ、ブーム起伏用ウインチ30から引き出されたブーム起伏用ロープ38がシーブブロック40,42間に掛け渡される。従って、ブーム起伏用ウインチ30がブーム起伏用ロープ38の巻き取りや繰り出しを行うことにより、両シーブブロック40,42間の距離が変化し、これによってマスト20さらにはこれと連動するブーム16が起伏方向に回動する。
ジブ起伏用ウインチ32は、リヤストラット21とフロントストラット22との間に掛け回されたジブ起伏用ロープ44の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取りや繰り出しによってフロントストラット22が回動するようにジブ起伏用ロープ44が配索される。具体的には、ジブ起伏用ウインチ32から引き出されたジブ起伏用ロープ44がアイドラシーブ32S、中間ブームシーブ46に掛けられ、更に、シーブブロック47,48間に複数回掛け渡される。従って、ジブ起伏用ウインチ32は、ジブ起伏用ロープ44の巻き取りおよび繰り出しを行うことで、両シーブブロック47,48間の距離を変え、リヤストラット21に対してフロントストラット22を相対的に回動させる。この結果、ジブ起伏用ウインチ32は、フロントストラット22と連動するジブ18を起伏させる。
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ50による吊り荷の巻き上げ及び巻き下げを行う。この主巻について、前述のように、リヤストラット21の基端近傍部位、フロントストラット22の基端近傍部位、及びジブ18の先端部にはそれぞれリヤストラットアイドラシーブ52、フロントストラットアイドラシーブ53、主巻用ガイドシーブ54が回転可能に設けられ、さらに主巻用ガイドシーブ54に隣接する位置に複数の主巻用ポイントシーブ56が幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50が、アイドラシーブ34S、リヤストラットアイドラシーブ52、フロントストラットアイドラシーブ53、主巻用ガイドシーブ54に順に掛けられ、かつ、シーブブロックの主巻用ポイントシーブ56と、吊荷用の主フック57に設けられたシーブブロックのシーブ58との間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34が主巻ロープ50の巻き取りや繰り出しを行うと、両シーブ56,58間の距離が変わって、ジブ18の先端から垂下された主巻ロープ50に連結された主フック57の巻き上げ及び巻き下げが行われる。このように本実施形態では、主巻ロープ50(吊り荷ロープ)は、アタッチメント10Sの前記先端部から垂下され、主フック57を介して吊り荷に接続される。
同様にして、補巻用ウインチ36は、補巻ロープ60による吊り荷の巻き上げ及び巻き下げを行う。この補巻については、リヤストラットアイドラシーブ52、フロントストラットアイドラシーブ53、主巻用ガイドシーブ54とそれぞれ同軸にリヤストラットアイドラシーブ62、フロントストラットアイドラシーブ63、補巻用ガイドシーブ64が回転可能に設けられ、補巻用ガイドシーブ64に隣接する位置に不図示の補巻用ポイントシーブが回転可能に設けられている。補巻用ウインチ36から引き出された補巻ロープ60は、リヤストラットアイドラシーブ62、フロントストラットアイドラシーブ63、補巻用ガイドシーブ64に順に掛けられ、かつ、補巻用ポイントシーブから垂下される。従って、補巻用ウインチ36が補巻ロープ60の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻ロープ60の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
図2は、本実施形態に係るクレーン10の旋回駆動部7Sの油圧回路図である。図3は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sのブロック図である。クレーン10は、旋回駆動部7Sと、旋回制御装置8Sとを有する。旋回駆動部7Sは、上部旋回体12を下部走行体14に対して旋回させる(旋回動作)ことが可能とされている。また、クレーン10において上部旋回体12の旋回動作が実行される際に、旋回制御装置8Sはアタッチメント10S(ブーム16、ジブ18)の損傷を防止するように、上部旋回体12の旋回角速度を制限しながら、上部旋回体12を旋回させる。
図2を参照して、旋回駆動部7Sは、エンジン70と、傾転調整部71S(図3)を含む油圧ポンプ71と、旋回モータ72と、コントロールバルブ73と、リリーフ弁74と、エンジン回転数検出部75と、旋回角速度検出部76と、第1電磁比例弁77と、第2電磁比例弁78と、を有する。また、クレーン10は、制御部80と、操作部81と、入力部82とを更に有する。更に、図3を参照して、クレーン10は、起伏角検出部66と、荷重検出部67とを更に有する。
エンジン70は、出力軸を有する。本実施形態では、エンジン70は、作業者による操作(入力)に応じて、HIGHアイドルモードとLOWアイドルモードとに切り換え可能とされている。HIGHアイドルモードの前記出力軸の回転数は、LOWアイドルモードの前記出力軸の回転数よりも高く設定されており、相対的に大きな負荷の作業時などには作業者によってHIGHアイドルモードが選択される。
油圧ポンプ71は、エンジン70の前記出力軸に連結され当該出力軸から入力される動力をうけ、旋回モータ72に供給されるべき作動油をタンクから吸い込んで吐出する。この実施形態に係る油圧ポンプ71は、可変容量式の油圧ポンプからなり、当該油圧ポンプ71に含まれる傾転調整部71S(レギュレータ)への傾転指令信号の入力により油圧ポンプ71の容量(押しのけ容積)が変化し、これにより油圧ポンプ71から吐出される作動油の流量であるポンプ吐出流量が変化する。換言すれば、油圧ポンプ71は、傾転指令信号の入力を受け付け当該傾転指令信号の大きさに応じて作動油の最大吐出量を変化させることが可能とされている。なお、上記の傾転指令信号は、後記の制御部80の旋回制御部802(図3)から出力される。
旋回モータ72は、上部旋回体12を旋回駆動する油圧式の旋回モータである。旋回モータ72は、内部に複数の油圧室を備え、油圧ポンプ71から供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、上部旋回体12を旋回させる駆動力を発生する。具体的に、旋回モータ72は、図1の上部旋回体12と下部走行体14との間に介在するように配置されている。旋回モータ72は、ピニオンを含むモータ軸を備え、上部旋回体12に固定されている。一方、下部走行体14は、円周状に形成された不図示の旋回ギアを備える。旋回モータ72のピニオンと旋回ギアとが噛み合うことで、旋回モータ72の回転に応じて上部旋回体12が旋回する。このため、旋回モータ72は、旋回ギアの円周付近に位置するように配置されている。旋回モータ72は、モータ第1ポート72Aおよびモータ第2ポート72Bを有する。旋回モータ72は、モータ第1ポート72Aを通じて作動油の供給を受けることにより上部旋回体12を第1方向(たとえば左方向)に旋回させるとともに、モータ第2ポート72Bを通じて作動油を排出する。一方、旋回モータ72は、モータ第2ポート72Bを通じて作動油の供給を受けることにより上部旋回体12を第1方向とは反対の第2方向(たとえば右方向)に旋回させるとともにモータ第1ポート72Aを通じて作動油を排出する。
コントロールバルブ73は、油圧ポンプ71と旋回モータ72との間に介在するように、作動油の油路に配置されている。コントロールバルブ73は、油圧ポンプ71から旋回モータ72への作動油の供給の方向を切換えるとともに、作動油の流量を調整するように作動する。コントロールバルブ73は、旋回モータ72のモータ第1ポート72Aおよびモータ第2ポート20Bにそれぞれ接続されている。
コントロールバルブ73は、当該コントロールバルブ73に入力されるパイロット圧に応じて左旋回位置73A(第1旋回用位置)、中立位置73B(中立旋回用位置)および右旋回位置73C(第2旋回用位置)の間で切換わるように作動する。コントロールバルブ73は、一対のパイロットポート、すなわち左旋回パイロットポート73Pおよび右旋回パイロットポート73Qを有する。コントロールバルブ73は、左旋回パイロットポート73Pおよび右旋回パイロットポート73Qのいずれにもパイロット圧が入力されない場合には中立位置73Bに保たれる。コントロールバルブ73は、左旋回パイロットポート73Pにパイロット圧が入力されると左旋回位置73Aに切換えられ、右旋回パイロットポート73Qにパイロット圧が入力されると右旋回位置73Cに切換えられる。そして、コントロールバルブ73は、前記パイロット圧に応じた開口面積で開弁し、作動油の流量を変化させる。
左旋回位置73Aでは、コントロールバルブ73は、油圧ポンプ71から吐出される作動油をモータ第1ポート72Aに供給するとともに、モータ第2ポート72Bから排出される作動油をタンクに導く油路を形成する。右旋回位置73Cでは、コントロールバルブ73は、油圧ポンプ71から吐出される作動油をモータ第2ポート72Bに供給するとともに、モータ第1ポート72Aから排出される作動油をタンクに導く油路を形成する。また、中立位置73Bでは、コントロールバルブ73は、モータ第1ポート72Aとモータ第2ポート72Bとの間で作動油が循環することを許容する。
リリーフ弁74は、コントロールバルブ73とタンクとの間の油路(ブリードオフライン)の圧力が所定の圧力を超えないように作動する。
エンジン回転数検出部75は、エンジン70の出力軸の回転速度(または回転数)を検出する。旋回角速度検出部76は、旋回モータ72の回転速度(または回転数)を検出する。また、旋回角速度検出部76は、旋回モータ72の回転方向(第1方向、第2方向)を検出する。
操作部81は、キャブ15(図1)内に配置され、アタッチメント10Sの起伏動作や上部旋回体12の旋回動作のために作業者によって操作される。以下では、上部旋回体12の旋回動作に関する操作部81について説明する。操作部81は、上部旋回体12を下部走行体14に対して旋回させるための操作を受け付けるとともに、前記操作の大きさに応じた旋回指令信号を出力し、制御部80に入力する。操作部81は、操作レバー81Aおよびリモコン部81Bを有する。操作レバー81Aは、上部旋回体12を前記第1方向に旋回させる第1操作領域と、上部旋回体12を前記第2方向に旋回させる第2操作領域と、第1操作領域と第2操作領域との間の中立操作領域とに選択的に操作されることが可能である。また、第1操作領域および第2操作領域における当該操作レバー81Aの操作量はそれぞれ可変とされている。
操作レバー81Aが作業者によって第1操作領域に操作されると(第1旋回操作)、リモコン部81Bは操作レバー81Aがうける操作量に応じた信号を制御部80に入力する。また、操作レバー81Aが作業者によって第2操作領域に操作されると(第2旋回操作)、リモコン部81Bは操作レバー81Aがうける操作量に応じた信号を制御部80に入力する。この結果、制御部80から第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78に指令信号が入力される。
第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78は、制御部80の旋回制御部802から与えられる指令信号に応じて、コントロールバルブ73に入力されるパイロット圧を調整する。具体的に、第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78は、パイロット油圧源とコントロールバルブ73の左旋回パイロットポート73Pおよび右旋回パイロットポート73Qとの間に介在し、左旋回パイロットポート73Pおよび右旋回パイロットポート73Qにそれぞれパイロットラインを介して接続されている。第1電磁比例弁77は、旋回制御部802(図3)から指令信号が与えられると左旋回パイロットポート73Pに供給されるパイロット圧を減圧するように開弁する。また、第2電磁比例弁78は、旋回制御部802から指令信号が与えられると右旋回パイロットポート73Qに供給されるパイロット圧を減圧するように開弁する。この際、左旋回パイロットポート73Pおよび右旋回パイロットポート73Qに入力されるパイロット圧の変化に応じて、コントロールバルブ73のスプールのストローク量が変化する。
入力部82は、作業者による各種の情報の入力を受け付ける。入力部82から入力された情報は、後記の制御部80の記憶部803に格納(記憶)される。また、作業者は、入力部82に含まれる不図示の操作スイッチを通じて、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御の実行のオン/オフを入力する(切り換える)ことができる。
起伏角検出部66は、アタッチメント10Sの起伏角、すなわち、地面に対する相対的な角度を検出する。本実施形態では、起伏角検出部66は、ブーム16の起伏角(対地角)およびジブ18の起伏角をそれぞれ検出可能とされている。
荷重検出部67は、主巻ロープ50(補巻ロープ60)に接続される吊り荷の荷重(吊り荷荷重)を検出する。荷重検出部67は、主巻用ウインチ34(補巻用ウインチ36)に装着された張力センサなどから構成される。
制御部80は、クレーン10の動作を統括的に制御するもので、制御信号の送受先として、操作部81、入力部82、旋回角速度検出部76、エンジン回転数検出部75、起伏角検出部66、荷重検出部67、傾転調整部71S、第1電磁比例弁77、第2電磁比例弁78などに電気的に接続されている。なお、制御部80は、クレーン10に備えられたその他のユニットにも電気的に接続されている。
制御部80は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUが前記制御プログラムを実行することにより、アタッチメント情報取得部800A、旋回動作情報取得部800B(旋回情報取得部)、角速度設定部801、旋回制御部802および記憶部803を機能的に有するよう動作する。
アタッチメント情報取得部800Aは、アタッチメント情報を取得する。当該アタッチメント情報は、アタッチメント10Sに作用する横荷重に基づいて前記旋回角速度の最大値である最大旋回角速度を設定するための情報である。一例として、アタッチメント情報は、前記横荷重に対するアタッチメント10Sの強さおよび前記横荷重の大きさのうちの少なくとも一方に関連するアタッチメント10S固有の情報である。すなわち、当該アタッチメント情報は、アタッチメント10Sが上部旋回体12から脱離された状態においても、アタッチメント10Sが備えている情報である。なお、前記横荷重は、上部旋回体12の旋回動作に伴ってアタッチメント10Sに作用する上部旋回体12の旋回方向に沿った荷重である。一例として、アタッチメント情報は、前記基端部から前記先端部までのアタッチメント10Sの長さを含み、入力部82を通じて作業者によって入力される。
旋回動作情報取得部800Bは、旋回動作情報(旋回情報)を取得する。前記旋回動作情報は、前記最大旋回角速度を設定するための上部旋回体12の旋回動作の条件に関連する情報である。換言すれば、前記旋回動作情報は、アタッチメント10Sが上部旋回体12に装着された状態での上部旋回体12の旋回動作の条件に関する情報であり、前記横荷重の大きさに関連する情報である。一例として、旋回動作情報は、吊り荷荷重、アタッチメント10Sの作業半径などを含む。前記作業半径は、平面視におけるアタッチメント10S(ジブ18)の前記基端部から前記先端部までの距離である。
角速度設定部801は、少なくともアタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報に基づいて、上部旋回体12の旋回動作において許容される上部旋回体12の旋回角速度の最大値である最大旋回角速度を設定する。また、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報および旋回動作情報取得部800Bによって取得された前記旋回動作情報に基づいて前記最大旋回角速度を設定してもよい。
旋回制御部802は、操作部81から出力された前記旋回指令信号を受け入れ、当該旋回指令信号に対応して上部旋回体12が下部走行体14に対して旋回するように旋回駆動部7Sを制御する。また、旋回制御部802は、上部旋回体12の旋回角速度が角速度設定部801によって設定された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部7Sを制御する。本実施形態では、旋回制御部802は、角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度に対応する傾転指令信号を油圧ポンプ71に入力することで、上部旋回体12の旋回角速度が設定された最大旋回角速度を超えないように、油圧ポンプ71から吐出される作動油の吐出量を制限する。
記憶部803は、クレーン10の動作において旋回制御装置8Sによって参照される各種のパラメータ、閾値などの情報を格納および出力する。また、記憶部803は、角速度設定部801によって参照される後記の制限値マップを記憶している。
なお、コントロールバルブ73、第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78は、本実施形態に係る流量調整機構7Tを構成する。流量調整機構7Tは、操作部81から出力される旋回指令信号に応じて油圧ポンプ71から吐出された作動油のうち旋回モータ72に供給される作動油の流量を調整する。また、エンジン70、油圧ポンプ71、旋回モータ72および流量調整機構7Tは、前述の旋回駆動部7Sを構成する。更に、制御部80、エンジン回転数検出部75、旋回角速度検出部76、起伏角検出部66、荷重検出部67は、本実施形態における旋回制御装置8Sを構成する。旋回制御装置8Sは、クレーン10に用いられる。
なお、図2では、クレーン10のうち上部旋回体12の旋回動作に関わる油圧回路について示しているが、クレーン10は、下部走行体14の走行動作、ブーム16およびジブ18の起伏動作、主巻ロープ50および補巻ロープ60の巻き上げ・巻き下げ動作に関わる不図示の油圧回路を有している。ブーム16およびジブ18の起伏動作では、操作部81に入力される操作に応じて、前述のブーム起伏用ウインチ30、ジブ起伏用ウインチ32がそれぞれ回転駆動される。また、主巻ロープ50および補巻ロープ60の巻き上げ・巻き下げ動作では、操作部81に入力される操作に応じて、前述の主巻用ウインチ34および補巻用ウインチ36がそれぞれ回転駆動される。
<旋回動作におけるアタッチメントの振れについて>
図4は、クレーン10の旋回動作時に操作レバー81Aが受ける操作量の推移を示すグラフである。図5は、クレーン10の旋回動作時の上部旋回体12の旋回角速度の推移を示すグラフである。図6は、クレーン10の旋回動作時の吊り荷の荷振れ量の推移を示すグラフである。図7は、クレーン10の旋回動作時のアタッチメント先端の振れ量の推移を示すグラフである。
クレーン10の主巻ロープ50(主フック57)に吊り荷が接続された状態で、上部旋回体12が旋回する場合に、図4に示すように作業者が操作レバー81Aを操作すると、その操作量に応じて旋回駆動部7Sが上部旋回体12を旋回させるため、図5に示すように上部旋回体12の旋回角速度が変化する。作業者が操作レバー81Aを操作する操作量が大きいほど、上部旋回体12の旋回角速度が大きくなる(図5)。
このような上部旋回体12の旋回動作では、作業者の操作の仕方によって大きな荷振れが発生する場合がある。たとえば、旋回動作の起動時に上部旋回体12が旋回を開始すると、吊り荷には慣性があるため、上部旋回体12に対して吊り荷は遅行して旋回を始める。その後、吊り荷の振り子運動により吊り荷は上部旋回体12を追い越すように移動する。この結果、図6に示すように、吊り荷が上部旋回体12に対して、先行、遅行、先行を繰り返す運動(荷振れ)が発生する。この際、吊り荷が上部旋回体12よりも先行するタイミングで、作業者が上部旋回体12を減速させると、吊り荷の慣性力により吊り荷が上部旋回体12に対して更に先行しようとするため、大きな荷振れが発生する(図6の右端のピーク部分)。すなわち、旋回動作の加速時における荷振れの位相(上部旋回体12に対する相対的な吊り荷の移動方向)と減速時の荷振れの位相とが同じ場合には、荷振れの振幅が重なるため、荷振れの振幅が大きくなる。
このような荷振れの増幅が発生すると、アタッチメント10Sにも横荷重が作用するためアタッチメント10Sの先端部にも同様の振れが発生するとともに(図7)、この振れによる応力も発生する。また、吊り荷の荷重が大きい(重負荷)ほどアタッチメント10Sに作用する横荷重が増加するため、アタッチメント10Sの振れも増大する。アタッチメント10Sに作用する応力も、同様に重負荷の方が大きくなる。また、上部旋回体12が同じ旋回角速度で旋回する場合でも、アタッチメント10Sが長い場合には、その先端部の周速が大きくなるため、上記の現象は顕著となる。このような振れ、横荷重、応力などの発生は、アタッチメント10Sの一部に損傷や破損が生じる可能性がある。
<制限値マップについて>
図8は、上部旋回体12の旋回角速度とアタッチメント10Sの振れ最大値との関係を示すグラフである。図9は、上部旋回体12の旋回角速度とアタッチメント10Sが受ける応力との関係を示すグラフである。図10は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sにおいて設定される旋回角速度制限値とアタッチメント長さとの関係を示すグラフである(制限値マップ)。
前述のような旋回動作では、図8、図9に示すように、上部旋回体12の旋回角速度が大きいほど、アタッチメント10Sの振れおよびアタッチメント10Sが受ける応力が大きくなる傾向がある。そこで、本実施形態では、クレーン10を安全に操作するためのアタッチメント10Sの振れの許容値が予め設定されており、図8に示すように、当該許容値を満足するための旋回角速度が重負荷の場合を踏まえてS1_A以下とされている。同様に、アタッチメント10Sを破損しないための応力の許容値が予め設定されており、当該許容値を満足するための旋回角速度が重負荷の場合を踏まえてS1_B以下とされている。そして、上記のS1_AおよびS1_Bのうちのの小さい方の旋回角速度が、旋回角速度制限値S1として設定され、記憶部803に格納されている。この旋回角速度制限値S1がアタッチメント10Sのアタッチメント情報(仕様、長さ)に応じて設定されていることが望ましく、本実施形態では、図10に示すようにアタッチメント10Sの長さに対する旋回角速度制限値S1の制限値マップが記憶部803に格納されている。なお、上記の制限値マップは、事前のオフラインでの解析や実験によって、荷振れ量、アタッチメント10Sの振れ量、応力などを評価することにより作成されている。
<上部旋回体12の旋回動作について>
図11は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sにおいて設定される旋回角速度制限値と油圧ポンプ71の傾転との関係を示すグラフである。図12は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sを備えるクレーン10における操作レバー81Aの操作量と上部旋回体12の旋回角速度との関係を示すグラフである。図13は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行するクレーン10の旋回制御のフローチャートである。以下に、上記のような制限値マップを用いた、上部旋回体12の旋回制御について詳述する。
図13を参照して、作業者が旋回動作に関する操作レバー81Aを操作し、当該操作に応じた信号がリモコン部81Bから制御部80に入力されると、角速度設定部801は、最大旋回角速度制御の実行スイッチがオンされているかを判定する(ステップS10)。ここで、上記の実行スイッチがオンされている場合(ステップS10でYES)、角速度設定部801は、記憶部803からアタッチメント情報を取得する(ステップS20)。本実施形態では、前述のように、アタッチメント10Sの長さ情報が取得される。なお、アタッチメント10Sの長さは、ブーム16の長さとジブ18の長さとの和である。
次に、角速度設定部801は、上記で取得したアタッチメント10Sの長さに基づいて、記憶部803に記憶されている制限値マップ(図10)を参照し、旋回角速度制限値S1(最大旋回角速度)を設定する(ステップS30)。
次に、旋回制御部802が、上記で設定された旋回角速度制限値S1に基づいて、上部旋回体12の旋回角速度を制限しながら、上部旋回体12の旋回制御を実行する(ステップS40)。具体的に、旋回制御部802は、油圧ポンプ71の傾転を制御することで、油圧ポンプ71からコントロールバルブ73を通じて旋回モータ72に供給される作動油の最大流量を制限することで、上部旋回体12の最大旋回角速度(旋回角速度制限値S1)を制限する。以下に、その詳細について説明する。
作業者が操作レバー81Aを最大の操作量で操作し、油圧ポンプ71から吐出される作動油の流量すべてがコントロールバルブ73を介して旋回モータ72に供給されるとすると、油圧ポンプ71の傾転qpと上部旋回体12の旋回角速度Sとは以下の式1の関係となる。
qp×ω_eng×Npump=qm×S×Ngear ・・・(式1)
なお、ω_engはエンジン回転数であり、Npumpは油圧ポンプ71の減速比であり、qmは旋回モータ72のモータ容量であり、Ngearは旋回モータ72から上部旋回体12にかけての旋回減速比である。したがって、上部旋回体12の旋回角速度Sを旋回角速度制限値S1に制限するためには、下記の式2を満たすように油圧ポンプ71の傾転q1(図11)を設定すればよい。
q1=qm×S1×Ngear/(ω_eng_Hi×Npump) ・・・(式2)
なお、ω_eng_Hiは、エンジン回転数(エンジンHIGHアイドルモード時)である。
このように、油圧ポンプ71の傾転が設定されると、図12に示すように、エンジン70がエンジンHIGHアイドルモードの場合に、作業者が操作レバー81Aの操作量を最大に設定しても(フルレバー)、上部旋回体12の旋回角速度が旋回角速度制限値S1を上回ることがないため、旋回動作時のアタッチメント10Sの振れ量やアタッチメント10Sに作用する応力を許容値以下に抑えることができ、安全な旋回動作を実行することが可能となる。なお、旋回制御部802は、旋回角速度検出部76の検出値を参照して、上部旋回体12の旋回角速度が旋回角速度制限値S1以下に維持されていることを確認することができる。
なお、ステップS10において、最大旋回角速度制御の実行スイッチがオンされていない場合(ステップS10でNO)、上記の最大旋回角速度制御が実行されることなく、通常の旋回制御(最大旋回角速度を制限しない制御)が実行される。
本実施形態では、図10に示すように、アタッチメント10Sの長さをアタッチメント情報として、旋回角速度制限値S1を設定する態様にて説明したが、アタッチメント10Sの長さ(ブーム長+ジブ長)が同じ場合であっても、相対的にブーム16が長くジブ18が短い場合や、相対的にブーム16が短くジブ18が長い場合のように、複数の組み合わせがある場合には、それぞれの組み合わせに応じて旋回角速度制限値のマップが準備され、適切な旋回角速度制限値S1が設定される態様でもよい。この場合も、アタッチメント10Sの変形やアタッチメント10Sに作用する応力の条件が最も厳しい組み合わせに対応して、前述のような制限値マップが準備され、上部旋回体12の旋回角速度が制御されることで、より安全な旋回動作が可能となる。
また、本実施形態では、図8、図9および図10に示すように、吊り荷の荷重に関して、予め設定された重負荷条件に基づいて旋回角速度制限値S1を設定する態様にて説明したが、重負荷条件に対応する吊り荷の荷重は、クレーン10の作業現場において作業者によって入力部82から入力される任意の荷重値でもよいし、クレーン10において予め設定される吊り荷荷重の上限値(定格荷重)であってもよい。前者の場合には、吊り荷荷重(負荷率)の大きさに応じて、図10のグラフ(表でもよい)が記憶部803にそれぞれ格納されており、当該吊り荷荷重に応じた旋回角速度制限値S1が設定されればよい。
また、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aが取得するアタッチメント情報(アタッチメント10Sの長さ)に加え、旋回動作情報に基づいて、上部旋回体12の旋回角速度制限値S1を設定してもよい。この場合、旋回動作情報取得部800B(図3)が旋回動作情報として荷重検出部67から吊り荷荷重を取得すると、角速度設定部801は、図10のグラフにおける「重負荷」、「軽負荷」の複数のグラフの中から、上記の吊り荷荷重に応じたグラフを選択した上で、アタッチメント10Sの長さに対応する旋回角速度制限値S1を設定すればよい。なお、図10に示される複数のグラフは、吊り荷荷重の大きさに対応して、3以上のグラフから構成されてもよい。また、吊り荷荷重やアタッチメント10Sの長さを変数とする所定の式が予め記憶部803に格納されており、当該式に基づいて角速度設定部801が旋回角速度制限値S1を設定してもよい。
以上のように、本実施形態では、アタッチメント情報取得部800Aが、アタッチメント情報を取得する。前記アタッチメント情報は、上部旋回体12の旋回動作に伴ってアタッチメント10Sに作用する上部旋回体12の旋回方向に沿った荷重である横荷重に基づいて最大旋回角速度を設定するための、アタッチメント10S固有の情報である。また、角速度設定部801は、少なくともアタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報に基づいて、上部旋回体12の旋回動作において許容される上部旋回体12の旋回角速度の最大値である最大旋回角速度(旋回角速度制限値S1)を設定する。更に、旋回制御部802は、操作部81から出力された前記旋回指令信号を受け入れ、当該旋回指令信号に対応して上部旋回体12が下部走行体14に対して旋回するように旋回駆動部7Sを制御する。この際、旋回制御部802は、上部旋回体12の旋回角速度が前記角速度設定部801によって設定された前記最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御する。
このような構成によれば、角速度設定部801が当該アタッチメント情報に応じて上部旋回体12の旋回動作における最大旋回角速度を設定するため、作業者の旋回操作に基づいてアタッチメント10Sに大きな横荷重が加わり当該アタッチメント10Sが損傷、破損することを効率的に抑止することが可能となる。特に、作業者は、装着されているアタッチメント10Sの剛性を考慮しすぎて、上部旋回体12の旋回角速度を自ら過剰に低く設定する必要がないため、吊り荷の挙動などに集中することができる。
特に、前記アタッチメント情報は、アタッチメント10Sの前記基端部から前記先端部までのアタッチメント10Sの長さを含む。そして、角速度設定部801は、アタッチメント10Sの長さが第1の長さの場合に最大旋回角速度を第1の旋回角速度に設定し、アタッチメント10Sの長さが前記第1の長さよりも大きな第2の長さの場合に前記最大旋回角速度を前記第1の旋回角速度よりも小さな第2の旋回角速度に設定する(図10のグラフ参照)。すなわち、角速度設定部801は、アタッチメント10Sの長さが大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、相対的に長いアタッチメント10Sが上部旋回体12に装着されている場合には、角速度設定部801が上部旋回体12の最大旋回角速度を相対的に小さく設定するため、アタッチメント10Sに大きな横荷重が加わり当該アタッチメント10Sが損傷、破損することを抑止することができる。特に、長尺のアタッチメントなど強度が低いアタッチメント10Sが上部旋回体12に装着されている場合に、仮に作業者が操作レバー81Aから急に大きな旋回操作を入力しても、角速度設定部801が最大旋回角速度を制限することで、荷揺れに伴うアタッチメント10Sの変形を許容値以下に抑えることが可能となり、上記のようにアタッチメント10Sの破損などのリスクを抑え、安全な操作を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aによって取得されたアタッチメント情報および旋回動作情報取得部800Bによって取得された前記旋回動作情報に基づいて前記最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、角速度設定部801が、アタッチメント固有のアタッチメント情報に加え、クレーン10の旋回動作における旋回情報に基づいて、最大旋回角速度を設定するため、旋回動作における大きな横荷重の発生を抑制し、アタッチメント10Sが損傷、破損することを更に抑止することができる。
また、本実施形態では、前記旋回動作情報は、主巻ロープ50に接続される吊り荷の荷重である吊り荷荷重に対応する情報を含み、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報および旋回動作情報取得部800Bによって取得された前記吊り荷荷重に基づいて前記最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、角速度設定部801が、前記アタッチメント情報に加え、アタッチメント10Sに作用する横荷重に大きな影響を与えうる吊り荷荷重に基づいて最大旋回角速度を設定するため、アタッチメント10Sに大きな横荷重が加わることを確実に抑止することができる。
特に、角速度設定部801は、同じ前記アタッチメント情報(図10のアタッチメント長さL1)において、前記吊り荷荷重が第1の荷重の場合(軽負荷)に前記最大旋回角速度を第3の旋回角速度に設定し、前記吊り荷荷重が前記第1の荷重よりも大きな第2の荷重(重負荷)の場合に前記最大旋回角速度を前記第3の旋回角速度よりも小さな第4の旋回角速度に設定する(図10のグラフ参照)。すなわち、角速度設定部801は、前記吊り荷荷重が大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、相対的に大きな荷重の吊り荷がアタッチメント10Sに接続されている場合には、角速度設定部801が上部旋回体12の最大旋回角速度を相対的に小さく設定するため、前記アタッチメント10Sに大きな横荷重が加わり当該アタッチメント10Sが損傷、破損することを確実に抑止することができる。
なお、前述のように、旋回動作情報取得部800Bによって取得される前記旋回動作情報は、予め設定された、主巻ロープ50に接続される吊り荷の最大荷重である最大吊り荷荷重に関する情報を含むものでもよい。この場合、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報および前記最大吊り荷荷重に基づいて最大旋回角速度を設定することが望ましい。前記最大吊り荷荷重は、作業現場において作業者によって設定されてもよいし、クレーン10に予め設定された定格荷重などでもよい。前者の場合、作業者は設定した最大吊り荷荷重以下の吊り荷を主巻ロープ50に接続すればよい。後者の場合、作業者は予め設定された定格荷重以下の吊り荷を主巻ロープ50に接続すればよい。
このような構成によれば、最大旋回角速度を設定するための情報が旋回動作に先立って予め設定されているため、上部旋回体12の旋回動作に際して現在の吊り荷荷重を荷重検出部67によって検出し反映させる必要なく、最大旋回角速度を簡易に設定することができる。
なお、角速度設定部801は、上部旋回体12の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定し、上部旋回体12の旋回動作中に前記最大旋回角速度を維持する(変化させない)ものでもよい。
このような構成によれば、旋回動作中に最大旋回角速度が変化することがないため、上部旋回体12の急な角速度変化の頻発によって作業者の操作性が低下することを防止することができる。
また、本実施形態では、旋回制御部802が、油圧ポンプ71の傾転を調整することで、上部旋回体12の旋回角速度が最大旋回角速度を超えないように油圧ポンプ71から吐出される作動油の吐出量を制限するため、上部旋回体12の旋回角速度を確実に制限することができる。
一方、角速度設定部801は、上部旋回体12の旋回動作中に、前記最大旋回角速度を所定の間隔で更新し、旋回制御部802は、上部旋回体12の旋回角速度が角速度設定部801によって更新された前記最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御するものでもよい。
このような構成によれば、旋回動作中の旋回情報の変化に応じて最大旋回角速度が更新されるため、安全性を担保しつつ、作業性を向上させることができる。なお、前記所定の間隔は、所定の時間間隔でもよいし、所定の旋回角度の間隔でもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。なお、本実施形態では、先の第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する(以後の各実施形態においても同様)。図14は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御におけるエンジン回転数と油圧ポンプ71の傾転との関係を示すグラフである。図15は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御において操作レバー81Aの操作量と上部旋回体12の旋回角速度との関係を示すグラフである。
先の第1実施形態では、図11に示すように、角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度(旋回角速度制限値S1)に基づいて、油圧ポンプ71の傾転がq1に設定される態様にて説明した。本実施形態では、図14に示すように、エンジン70の回転数に応じて油圧ポンプ71の傾転(ポンプ傾転)が設定される。
図14において、q1minおよびq1maxは、それぞれ以下の式3、式4によって設定される。
q1min=S1×Ngear×qm/ω_eng_Hi ・・・(式3)
q1max=S1×Ngear×qm/ω_eng_Low ・・・(式4)
なお、ω_eng_Lowは、エンジン回転数(エンジンLowアイドルモード時)であって、エンジン回転数検出部75の検出値によって取得できる。
エンジン70の回転数に応じて、旋回制御部802が図14のように油圧ポンプ71の傾転をq1minとq1maxとの間で調整することで、上部旋回体12の旋回角速度を図15に示すように設定することができる。すなわち、上部旋回体12の旋回角速度が大きくなりやすいエンジンHIGHアイドルモードでは、図14において油圧ポンプ71の傾転がq1minに設定されることで、上部旋回体12の旋回角速度を旋回角速度制限値S1以下に抑えることができる。一方、先の第1実施形態に係る旋回制御装置8Sによる制御(図15のエンジンLOW-2)と比較して、本実施形態では、エンジンLOWアイドルモード時には、図14において油圧ポンプ71の傾転がq1maxに設定されることで、油圧ポンプ71から吐出される作動油の吐出量が過剰に小さく設定されることが抑止される。この結果、図15のエンジンLOW-1に示すように、上部旋回体12の旋回角速度が第1実施形態よりも大きく(旋回角速度S2、ただしS1>S2)なることが許容され、エンジン70の回転数に対する上部旋回体12の旋回角速度の変化が緩やかに設定されるため、作業者による旋回動作の操作性を改善することが可能となる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。図16は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御における操作レバー81Aの操作量と電磁比例弁(第1電磁比例弁77、第2電磁比例弁78)の2次圧との関係を示すグラフである。図17は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御における電磁比例弁の2次圧と上部旋回体12の旋回角速度との関係を示すグラフである。図18は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行するクレーン10の旋回制御のフローチャートである。
先の第1実施形態では、旋回制御部802が油圧ポンプ71の傾転を調整し、油圧ポンプ71から吐出される作動油の吐出量(ポンプ容量)を制限することで、上部旋回体12の旋回角速度を制限する態様にて説明した。一方、本実施形態では、図2に示す第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78の2次圧を調整し、コントロールバルブ73において作動油の流量を調整することで、上部旋回体12の旋回角速度を制限する。
すなわち、本実施形態においても、先の第1実施形態と同様に、ステップS10、S20、S30が順に実行される(図18)。一方、ステップS30において角速度設定部801が最大旋回角速度(旋回角速度制限値S1)を設定すると、旋回制御部802は、ステップS50において、第1電磁比例弁77または第2電磁比例弁78に対して、比例弁指令信号を入力する。具体的に、旋回制御部802は、旋回角速度制限値S1に対応するように各比例弁の2次圧をPiに制限する(図16)。第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78の各2次圧と上部旋回体12の旋回角速度との間は、図17の示すような関係があるため、電磁比例弁2次圧の最大値をPiとすることで、上部旋回体12の旋回角速度の最大値をS1に制限することが可能となり、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、旋回制御部802は、角速度設定部801によって設定された前記最大旋回角速度に対応する強制指令信号(比例弁指令信号)を流量調整機構7Tの第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78に入力することで、操作部81から出力される前記旋回指令信号の大きさに関わらず上部旋回体12の旋回角速度が前記最大旋回角速度(旋回角速度制限値S1)を超えないように流量調整機構7Tのコントロールバルブ73から旋回モータ72に供給される作動油の流量を制限する。この結果、上部旋回体12の旋回角速度を確実に制限することができる。
なお、上記の第1実施形態および第3実施形態は、互いに組み合わされることで好適な制御を行うことが可能となる。以下に、このような本実施形態に係る変形例について説明する。図19は、本実施形態の変形例に係る旋回制御装置8Sが実行するクレーンの旋回制御のフローチャートである。
図11を参照して、油圧ポンプ71は、その構造上、傾転指令信号の大きさに関わらず(傾転がゼロに設定された場合でも)、最小容量qmin(図11)の作動油を吐出する。換言すれば、一般的に油圧ポンプ71から吐出される作動油の流量はゼロにはならない。この場合、上記の最小容量qminに対応する上部旋回体12の旋回角速度Sminは、下記の式5によって算出される。
Smin=qmin×ω_eng×Npump/(qm×Ngear) ・・・(式5)
すなわち、角速度設定部801が設定する最大旋回角速度(旋回角速度制限値)が上記の旋回角速度Sminよりも小さい場合、油圧ポンプ71の吐出性能によっては上部旋回体12の旋回角速度を十分に制限することが難しくなる。このような問題を解決するために、本実施形態では、図19に示すように、ステップS30Aにおいて、旋回制御部802が、旋回角速度制限値S1と最小容量qminに対応する旋回角速度Sminとの大小関係を比較する。そして、Smin<S1の場合(ステップS30AでYES)、旋回制御部802は第1実施形態のように油圧ポンプ71の傾転に基づいて上部旋回体12の旋回角速度を制限する(ステップS40)。一方、Smin≧S1の場合(ステップS30AでNO)、旋回制御部802は第3実施形態のように第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78の2次圧に基づいて上部旋回体12の旋回角速度を制限する(ステップS40)。
以上のように本変形例では、角速度設定部801によって設定された前記最大旋回角速度に対応する油圧ポンプ71の吐出量が最小吐出量(最小容量qmin)よりも大きい場合に、旋回制御部802は、前記最大旋回角速度に対応する傾転指令信号を油圧ポンプ71(傾転調整部71S)に入力することで、上部旋回体12の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように、油圧ポンプ71から吐出される作動油の吐出量を制限する。一方、角速度設定部801によって設定された前記最大旋回角速度に対応する油圧ポンプ71の吐出量が前記最小吐出量よりも小さい場合に、旋回制御部802は、前記最大旋回角速度に対応する強制指令信号を流量調整機構7T(第1電磁比例弁77、第2電磁比例弁78)に入力することで、前記旋回指令信号の大きさに関わらず上部旋回体12の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように流量調整機構7Tから旋回モータ72に供給される作動油の流量を制限する。
このような制御に基づけば、油圧ポンプ71の吐出性能上、角速度設定部801が要求する最大旋回角速度となるように上部旋回体12の旋回角速度を十分に制限できない場合があっても、旋回制御部802が第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78に対して強制指令信号を入力しその2次圧を調整することによって上部旋回体12の旋回角速度を確実に制限することが可能となる。また、通常の旋回動作では、第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78の2次圧を調整することなく上部旋回体12の旋回角速度を制限できるため、作業者が操作レバー81Aを操作する操作量とコントロールバルブ73のストローク量との関係を維持することができる。
また、上記の第3実施形態では、第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78の2次圧を調整することで、コントロールバルブ73から旋回モータ72に供給される作動油の流量を調整し、上部旋回体12の旋回角速度を制限する態様にて説明したが、旋回モータ72を油圧ポンプ71と同様に可変容量型の油圧モータから構成し、当該旋回モータ72の容量(傾転)を調整することで、上部旋回体12の旋回角速度を制限してもよい。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。図20は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sを備えるクレーン10のブーム16およびジブ19の模式図である。図21は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御における作業半径と負荷率との関係を示すグラフである。
先の第1実施形態では、アタッチメント10Sの長さに基づいて、または、アタッチメント10Sの長さおよび吊り荷の荷重に基づいて、上部旋回体12の旋回角速度を制限する態様にて説明した。本実施形態では、角速度設定部801が、アタッチメント10Sの作業半径に基づいて上部旋回体12の旋回角速度を制限する。
図20を参照して、アタッチメント10S(ジブ18)の先端部から垂下される吊り荷の荷重が同じ場合であっても、アタッチメント10Sが起伏する(起伏角が変化する)ことで作業半径R1が変化すると、アタッチメント10Sの先端の振れやアタッチメント10Sに作用する応力が変化する。特に、アタッチメント10Sが倒伏し作業半径R1が大きくなると、アタッチメント10Sに対する負荷は大きくなる。このため、本実施形態では、旋回動作情報取得部800Bが、旋回動作情報として、吊り荷の荷重に加え作業半径R1を取得し、適切な上部旋回体12の旋回角速度制限値S1を設定する。
具体的に、図21に示すように、吊り荷の荷重の大きさと作業半径R1の大きさに応じて、予め設定された負荷率が設定される。そして、当該負荷率に応じて、角速度設定部801が旋回角速度制限値S1を設定すればよい。同じ荷重値に対して、作業半径R1が大きいほど負荷率は大きくなるため、角速度設定部801は、旋回角速度制限値S1をより小さく設定することが望ましい。
なお、角速度設定部801は、起伏角検出部66が検出するアタッチメント10S(ブーム16、ジブ18)の起伏角と、予め入力または記憶されるアタッチメント10Sの長さとから、三角関数を用いて作業半径R1を簡易に演算することができる。
以上のように本実施形態では、旋回動作情報取得部800Bによって取得される前記旋回動作情報は、平面視におけるアタッチメント10Sの前記基端部から前記先端部までの距離である作業半径に関する情報を含む。そして、角速度設定部801は、前記アタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回動作情報取得部800Bによって取得された前記作業半径に基づいて前記最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、角速度設定部が、アタッチメント10Sに作用する横荷重に大きな影響を与えうる作業半径に基づいて最大旋回角速度を設定するため、アタッチメント10Sに大きな横荷重が加わることを確実に抑止することができる。
特に、角速度設定部801は、同じ前記アタッチメント情報において、作業半径Rが第1の作業半径の場合に前記最大旋回角速度を一の旋回角速度(第5の旋回角速度)に設定し、作業半径Rが前記第1の作業半径よりも大きな第2の作業半径の場合に前記最大旋回角速度を前記一の旋回角速度よりも小さな他の旋回角速度(第6の旋回角速度)に設定することが望ましい。すなわち、角速度設定部801は作業半径Rが大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定してもよい。
このような構成によれば、アタッチメント10Sが相対的に大きな作業半径に設定されている場合には、角速度設定部801が上部旋回体12の最大旋回角速度を相対的に小さく設定するため、アタッチメント10Sに大きな横荷重が加わり当該アタッチメント10Sが損傷、破損することを確実に抑止することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。上部旋回体12の旋回動作中に、作業者が旋回操作に加えアタッチメント10Sの起伏操作を同時操作したと仮定する。例えば、作業者がアタッチメント10Sを倒伏させようとすると(起伏下げ)アタッチメント10Sの作業半径R1が増加し、これに伴ってアタッチメント10Sに作用するモーメントが増加するため、前記負荷率が増加する。
このため、角速度設定部801が前述のように負荷率に対して旋回角速度制限値S1を設定すると、作業者による旋回用の操作レバー81Aの操作量が一定であったとしても、倒伏操作に基づく負荷率の変化から旋回角速度制限値S1が変化するため、安全性は確保できる一方、作業者の意図しない旋回動作となり操作性が悪化する可能性がある。
このため、角速度設定部801は、旋回動作の開始時に、以後の旋回動作中に操作される可能性のある最大の作業半径Rmax(図20、図21)と予め検出された吊り荷荷重(荷重値)とに基づいて、最大負荷率Load_maxを演算し、この最大負荷率Load_maxとアタッチメント10Sの長さとに基づいて、旋回角速度制限値S1を設定してもよい。なお、前記最大の作業半径Rmaxは、制御部80が備える公知のモーメントリミット機能(ML)によって設定されることが可能である。モーメントリミット機能は、前述のように、クレーン10の作業中にクレーン10が転倒することを防止するために、前記作業半径を制限する機能である。また、前記最大の作業半径Rmaxは、作業現場に応じて作業者が入力部82から入力し、記憶部803に記憶されてもよい。
このような制御により、旋回動作中に、作業者がアタッチメント10Sの倒伏操作を行い作業半径R1が増加したとしても、予め最も大きな作業半径Rmaxに基づいて旋回角速度制限値S1が設定されているため、作業者は安全な操作を確実に行うことが可能となるとともに、旋回動作中に旋回用の操作レバー81Aの操作量に対応しないような旋回角速度の変化が生じることが抑止され、旋回動作における安全性と作業性とを両立することが可能となる。
なお、旋回動作中に作業者の操作によって、アタッチメント10Sの作業半径R1が小さくなった場合には、角速度設定部801が上部旋回体12の旋回角速度制限値S1を相対的に大きく設定してもよい。
以上のように、本変形例では、旋回動作情報取得部800Bが取得する前記旋回動作情報は、アタッチメント10Sの作業半径について、クレーン10の転倒を防止するために吊り荷の荷重に応じて設定された最大作業半径に関する情報を含む。そして、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報および旋回動作情報取得部800Bによって取得された最大作業半径(作業半径Rmax)に基づいて前記最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、上部旋回体12の旋回動作に際して、起伏角検出部66などを用いて現在の作業半径を検出し反映させる必要なく、最大旋回角速度を簡易に設定することができる。なお、角速度設定部801は、上記のような最大作業半径(作業半径Rmax)に前述の最大吊り荷荷重を組み合わせた上で、旋回動作前に最大旋回角速度を予め設定してもよい。
上記のように、本実施形態またはその変形例に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御では、角速度設定部801は旋回動作中に上部旋回体12の旋回角速度制限値S1を固定してもよいし、随時更新してもよい。
なお、角速度設定部801が、上部旋回体12の旋回動作中に前記最大旋回角速度を維持するように当該最大旋回角速度を設定する場合には、上部旋回体12の急な角速度変化の頻発によって作業者の操作性が低下することを防止することができる。
一方、角速度設定部801は、上部旋回体12の旋回動作中に最大旋回角速度を所定の間隔で更新してもよい。この場合、旋回制御部802は、上部旋回体12の旋回角速度が角速度設定部801によって更新された前記最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御すればよい。
このような構成によれば、旋回動作中の旋回情報の変化に応じて最大旋回角速度が更新されるため、安全性を担保しつつ、作業性を向上させることができる。
特に、旋回動作情報取得部800Bが、上部旋回体12の旋回動作中に、アタッチメント10Sの起伏動作に伴って変化する作業半径に関する情報を取得し、角速度設定部801は、旋回動作情報取得部800Bによって取得された作業半径の情報に基づいて前記最大旋回角速度を更新することができる。
このような構成によれば、旋回動作中にアタッチメント10Sの起伏動作によって作業半径が変化した場合であっても、最適な最大旋回角速度を設定することができる。特に、アタッチメント10Sの起立動作によって作業半径が小さくなった場合には、最大旋回角速度を大きく設定することで、実際の旋回角速度も大きくすることが可能になるため、安全性を担保しつつ作業性を向上することができる。また、アタッチメント10Sの倒伏動作によって作業半径が大きくなった場合には、最大旋回角速度をより制限することで、安全性を担保することができる。なお、このような旋回動作中の最大旋回角速度の更新は、旋回情報が作業半径や起伏角などの場合に限られるものではなく、他の実施形態にも適用可能である。
更に、旋回動作情報取得部800Bによって取得される旋回情報は、上記のような作業半径に加えて、ブーム16の起伏角およびジブ18の起伏角に関する情報を含むものでもよい。この場合、角速度設定部801は、少なくともアタッチメント情報取得部800Aによって取得されたアタッチメント情報、および旋回動作情報取得部800Bによって取得された作業半径、ブーム16の起伏角およびジブ18の起伏角に基づいて最大旋回角速度を設定することができる。図1のブーム16およびジブ18の起伏角が変化すれば、たとえ作業半径R1(図20)が同じであっても、負荷率、すなわち、横荷重に対するアタッチメント10Sのたわみ、安定性は変化する。一例として、同じ作業半径であっても、ブーム16の起伏角が大きく(より起立している)、ジブ18の起伏角が小さい(より倒立している)組み合わせにおいて、アタッチメント10Sのたわみは大きくなる。
したがって、上記のような構成によれば、同じ作業半径であっても、横荷重に対するアタッチメント10Sの耐性がブーム16の起伏角およびジブ18の起伏角に応じて変化することを鑑みて、最適な最大旋回角速度を設定することができる。このため、更に安全な旋回動作を行うことが可能になる。
なお、上記の場合、角速度設定部801は、同じ作業半径に対して、横荷重によるアタッチメント10Sのたわみが最大となるブーム16の起伏角およびジブ18の起伏角の組み合わせに対応して、最大旋回角速度を設定することが望ましい。
本構成によれば、同じ作業半径であっても、たわみの観点で最も厳しいブーム16の起伏角およびジブ18の起伏角の条件に対応して最大旋回角速度が設定されるため、安全性を担保して旋回動作を行うことができる。この場合、作業半径、ブーム16の起伏角およびジブ18の起伏角の異なる組み合わせに対して、適切な最大旋回角速度が予め記憶部803に記憶されていることが望ましい。また、同じ作業半径に対して、最もたわみが最大となる組み合わせに対応する最大旋回角速度が優先的に記憶部803から出力されるものでもよい。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。図22は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御における吊り荷荷重検出値の推移を示すグラフである。図23は、上部旋回体12の旋回角速度のふらつきを示すグラフである。図24は、本実施形態に係る旋回制御装置8Sが実行する旋回制御における上部旋回体12の旋回角速度の推移を示すグラフである。
作業現場において、吊り荷を吊り上げて上部旋回体12の旋回動作を行う場合、荷重検出部67による吊り荷荷重の検出値は図22のように時刻t0から地切り操作に従って増加する。そして、吊り荷が完全に地切った後(時刻t1)に旋回操作が開始されることが一般的である。また、荷重検出部67による吊り荷荷重の検出値は、吊り荷の慣性やアタッチメント10Sの揺れなどの影響を受けて変動を伴う場合が多い(図22参照)。
このため、旋回動作中に荷重検出部67によって検出される吊り荷の荷重検出値に基づいて負荷率(高荷重、軽荷重)を更新すると、旋回角速度制限値S1が刻々と変化し、図23に示すような旋回角速度のフラツキが発生し、操作性が悪化する可能性がある。このような問題を解決するために、本実施形態では、図22に示すように、吊り荷の地切りの終了後であって旋回開始前の最大荷重検出値を用いて、角速度設定部801が予め旋回角速度制限値S1を設定する。このような制御によれば、図24に示すように、旋回動作中、旋回角速度制限値S1が固定されるため、操作性の悪化を防止することが可能になるとともに、検出される吊り荷荷重の最大値を用いて旋回角速度制限値S1を設定するため安全性を充分に担保することができる。
なお、上記の吊り荷荷重の最大値は、旋回用の操作レバー81Aが操作されることをきっかけとして、それ以前の検出値の最大値から決定されてもよい。また、地切りが完了したことを作業者が入力部82の不図示のスイッチなどから入力し、その際の吊り荷荷重の検出値が最大値として採用されてもよい。更に、作業者が入力部82から吊り荷荷重(最大値)を入力し、当該荷重値が記憶部803に記憶され、旋回動作情報取得部800Bによって参照されてもよい。
以上のように、本実施形態では、旋回制御装置8Sが、吊り荷荷重を検出することが可能な荷重検出部67を更に備えている。そして、旋回動作情報取得部800Bは、吊り荷が地面から上方に離間した後であって操作部81に入力される操作に応じて旋回駆動部7Sが上部旋回体12を旋回させる前の期間において、荷重検出部67によって検出された吊り荷荷重に基づいて、最大旋回角速度を設定する。
このような構成によれば、旋回動作中におけるアタッチメント10Sの振れや風などによる荷重検出値の変動の影響を受けることなく最大旋回角速度を設定し、上部旋回体12の旋回動作を安定して制御することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。上記の説明では、角速度設定部801が、アタッチメント10Sの長さ、吊り荷荷重、作業半径などに応じて上部旋回体12の最大旋回角速度を設定する態様にて説明した。ここで、旋回動作情報取得部800Bが取得する前記旋回情報は、アタッチメント10Sの姿勢に関する情報(ブーム16、ジブ18の起伏角)を含むものでもよい。そして、角速度設定部801は、アタッチメント情報取得部800Aによって取得された前記アタッチメント情報、および旋回動作情報取得部800Bによって取得された前記アタッチメントの姿勢から決定される定格荷重に対する吊り荷荷重の比率に基づいて、最大旋回角速度を設定するものでもよい。この場合、前記定格荷重は、アタッチメント10Sの先端部から垂下される主巻ロープ50の最大掛け本数に対応して設定されることが望ましい。一般的なモーメントリミット機能(ML)に基づく定格荷重は、アタッチメント10Sの特性や油圧回路の特性に基づいて設定される。しかしながら、角速度設定部801が参照する上記の定格荷重では、油圧回路の特性を考慮する必要がないため、専らアタッチメント10Sの特性を考慮すればよい。このため、前記シーブブロックの主巻用ポイントシーブ56(図1)と吊荷用の主フック57に設けられたシーブブロックのシーブ58との間に掛け渡される主巻ロープ50の最大掛け本数(巻き数)に基づいて、前記定格荷重が設定される。したがって、現実的に主巻ロープ50が掛けられている掛け本数ではなく、上記のシーブ間に掛けることができる掛け本数の最大値が用いられる。この場合の定格荷重は、取り付けられたアタッチメント10Sの実力の負荷率と称することができる。
本実施形態によれば、アタッチメント10Sの能力から決定される定格荷重に対する吊り荷荷重の比率を用いて最大旋回角速度を設定するため、クレーン10の安全性と作業性とを両立させることができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。上記の各実施形態では、角速度設定部801が最大旋回角速度を設定し、旋回制御部802が上部旋回体12の旋回角速度が角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御する態様にて説明した。一方、本実施形態では、上部旋回体12の旋回動作中においてアタッチメント10Sの先端部の周速を鑑みて、旋回駆動部7Sが制御される。なお、アタッチメント10Sの先端部は、理想的には吊り荷の直上に位置するため、前記先端部の周速は吊り荷の周速とみなすことができる。
具体的に、本実施形態では、角速度設定部801は、上部旋回体12の旋回動作開始時に先の実施形態と同様に最大旋回角速度を設定するとともに、当該最大旋回角速度に対応する最大周速を更に演算する。この際、角速度設定部801は、設定した最大旋回角速度に作業半径を掛けることで、最大周速を演算することができる。更に、角速度設定部801は、上部旋回体12の旋回動作が開始されると、当該旋回動作中に、アタッチメント10Sの先端部の周速が前記最大周速を超えないように、前記旋回動作中の最大旋回角速度を随時設定する。
このような構成によれば、アタッチメント10Sの先端部、すなわち、吊り荷の周速が、前記最大周速を超えないように、旋回動作中の最大旋回角速度が設定される。したがって、旋回動作中に最大周速が一定となるように制御されるため、作業半径が変化しても吊り荷速度の最大値が変化せず、旋回作業の作業性を高めることができる。なお、旋回動作中にアタッチメント10Sが倒伏すると作業半径が大きくなるため、吊り荷の周速は増大する。したがって、本実施形態に係る制御では、吊り荷の周速が最大周速を超えないように、旋回角速度が制限される。この際、キャブ15(図1)内の作業者から見ると、より遠くに位置する吊り荷の旋回角速度が低下しても、周速が大きく変化しないかぎり、吊り荷の移動速度に違和感を感じることは少ない。したがって、本実施形態に係る制御によれば、アタッチメント10Sの倒伏に伴って旋回角速度が低下した場合でも、大きな作業性の低下を招くことなく、安全性を担保することができる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る旋回制御装置8Sを有するクレーン10について説明する。上記の各実施形態では、角速度設定部801が最大旋回角速度を設定し、旋回制御部802が上部旋回体12の旋回角速度が角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御する態様にて説明した。一方、本実施形態では、角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度を最大値とする実効最大旋回角速度を、作業者が入力部82(図3)から入力することができる。そして、旋回制御部802は、上部旋回体12の旋回角速度が入力部82に入力された前記実効最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御すればよい。一例として、角速度設定部801が設定した最大旋回角速度が1.0(rpm)であった場合、当該角速度を最大として、作業者は実効最大旋回角速度を入力部82を通じて手入力することができる。この場合も、上部旋回体12の旋回角速度の最大値は、角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度に相当する。
このような構成によれば、作業者が自らの能力、好みに応じて、最大旋回角速度を更に制限することができるため、より安全に旋回動作を行うことができる。
なお、上記の構成において、入力部82は、前記実効最大旋回角速度を段階的に選択可能なように構成されているものでもよい。具体的に、キャブ15内には、入力部82の一部として、旋回角速度を設定するためにLow、Middle、Highの3つのスイッチがそれぞれ配設されている。この場合、Highのスイッチは、角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度(100%)に対応する。一方、Lowのスイッチは前記最大旋回角速度の60%、Middleのスイッチは前記最大旋回角速度の80%にそれぞれ対応する。なお、各スイッチの形態、最大旋回角速度に対する割合はこれらに限定されるものではない。
上記のような構成によれば、吊り荷の強度、種類などに応じて、作業者が実効最大旋回角速度を段階的に選択できるため、より安全に旋回動作を行うことができる。
以上、本発明の各実施形態に係る旋回制御装置8Sおよびこれを備えるクレーン10について説明した。このようなクレーン10では、上部旋回体12の旋回角速度が少なくともアタッチメント10Sのアタッチメント情報に応じて設定された最大旋回角速度を超えないように旋回駆動部7Sを制御する。そして、アタッチメント情報が最大旋回角速度を設定するための情報であり、角速度設定部801が当該アタッチメント情報に応じて上部旋回体12の旋回動作における最大旋回角速度を設定するため、作業者の旋回操作に基づいてアタッチメント10Sに大きな横荷重が加わり当該アタッチメント10Sが損傷、破損することを抑止しながら旋回動作を安定して行うことが可能となる。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、図1に示されるクレーン10をもって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図25は、本発明の変形実施形態に係る旋回制御装置8Sを備えたクレーン10の側面図である。本変形実施形態では、クレーン10が、ジブ18(図1)を備えず、ブーム16(アタッチメント10S)の先端部から主巻ロープ50(吊り荷ロープ)が垂下されることで、吊り荷が吊り上げられる。この場合、アタッチメント情報取得部800Aは、アタッチメント情報としてブーム16の長さなどの情報を取得し、角速度設定部801は、当該アタッチメント情報に応じて上部旋回体12の旋回動作における旋回角速度制限値S1を設定すればよい。また、先の第1実施形態において、アタッチメント10Sのうちジブ18の長さのみがアタッチメント情報として取得されてもよい。
(2)また、図1に示されるクレーン10は、リヤストラット21、フロントストラット22を備えないものでもよいし、1つのストラットを備えるものでもよい。また、ブーム16を支持するマストの構造も、図1に示されるものに限定されるものではなく、他のマスト構造や不図示のガントリ構造などでもよい。
(3)また、上記の各実施形態では、アタッチメント情報取得部800Aが取得するアタッチメント情報として、アタッチメント10Sの長さ情報を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。アタッチメント情報は、アタッチメント10S(ブーム16、ジブ18など)の剛性、強度、断面構造、材料特性などのように、横荷重に対する強さの指標となる情報を含むものでもよい。この場合、前記強さの指標が大きい場合には、角速度設定部801は旋回角速度制限値S1を相対的に大きく設定してもよい。また、アタッチメント情報は、アタッチメント10Sの使用年数(製造日からの経過年数)、上部旋回体12に対する着脱回数などを含むものでもよい。これらの年数、回数が大きいほど、角速度設定部801は旋回角速度制限値S1を相対的に小さく設定してもよい。
(4)また、旋回動作情報取得部800Bが取得する旋回動作情報は、吊り荷荷重、作業半径(起伏角)に限定されるものではない。旋回動作情報は、作業現場における風速など、吊り荷の荷振れ、アタッチメント10Sの振れ、アタッチメント10Sに作用する横荷重、応力などに影響を与える、その他の情報を含むものでもよい。
(5)また、上記の各実施形態では、入力部82からの.各種の情報の入力や記憶部803に記憶される情報(制限値マップなど)に基づいて、上部旋回体12の旋回角速度制限値S1が設定される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。アタッチメント10Sの固有情報、識別情報が既知の場合には、当該情報と予め準備された演算式とに基づいて、角速度設定部801が最大旋回角速度(旋回角速度制限値S1)を設定してもよい。また、アタッチメント情報取得部800A、旋回動作情報取得部800Bおよび角速度設定部801などを含む制御部80のうちの少なくとも一部は、クレーン10に搭載されず、遠隔のリモート制御拠点に配置されてもよい。この場合、当該拠点から無線などの通信装置を用いてクレーン10(制御部80)に旋回角速度制限値S1が送信されてもよい。また、クレーン10の周囲において、作業者が手にする不図示の操作装置内に、制御部80(アタッチメント情報取得部800A、旋回動作情報取得部800B、角速度設定部801)などが備えられていてもよい。更に、操作部81から入力されるのはアタッチメント20Sの型番(製造番号)であって、その型番に対応する長さ情報をアタッチメント情報取得部800Aが記憶部803から取得してもよい。
(6)また、先の第1実施形態では、旋回制御部802が油圧ポンプ71の傾転を調整し、油圧ポンプ71から吐出される作動油の吐出量(ポンプ容量)を制限することで、上部旋回体12の旋回角速度を制限する態様にて説明した。また、先の第3実施形態では、図2に示す第1電磁比例弁77および第2電磁比例弁78の2次圧を調整し、コントロールバルブ73において作動油の流量を調整することで、上部旋回体12の旋回角速度を制限する態様にて説明した。本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、旋回制御部802は、角速度設定部801によって設定された最大旋回角速度に対応する回転数指令信号をエンジン70に入力することで、上部旋回体12の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないようにエンジン70の回転数を制限するものでもよい。なお、エンジン70は、エンジン本体と、エンジンコントローラとを有する。エンジンコントローラは前記回転数指令信号を受け付け、当該回転数指令信号に応じた燃料噴射量でエンジン本体の出力軸を回転させる。
このような構成によれば、上部旋回体12の旋回角速度が最大旋回角速度を超えないように、旋回制御部802が最も上流に位置する駆動源であるエンジン70の回転数を制限するため、上部旋回体12の旋回角速度を確実に制限することができる。
10 クレーン
10S アタッチメント
12 上部旋回体
14 下部走行体(下部本体)
15 キャブ
16 ブーム
18 ジブ
20 マスト
30 ブーム起伏用ウインチ
32 ジブ起伏用ウインチ
34 主巻用ウインチ
36 補巻用ウインチ
38 ブーム起伏用ロープ
44 ジブ起伏用ロープ
50 主巻ロープ
57 主フック
66 起伏角検出部
67 荷重検出部
70 エンジン
71 油圧ポンプ
71S 傾転調整部
72 旋回モータ
73 コントロールバルブ
74 リリーフ弁
75 エンジン回転数検出部
76 旋回角速度検出部
77 第1電磁比例弁
78 第2電磁比例弁
7S 旋回駆動部
7T 流量調整機構
80 制御部
800A アタッチメント情報取得部
800B 旋回動作情報取得部
801 角速度設定部
802 旋回制御部
803 記憶部
81 操作部
82 入力部
8S 旋回制御装置
CL 旋回中心軸

Claims (26)

  1. 下部本体と、
    前記下部本体に対して上下方向に延びる旋回中心軸回りに旋回可能なように前記下部本体に支持される上部旋回体と、
    前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させるための操作を受け付けるとともに、前記操作の大きさに応じた旋回指令信号を出力する操作部と、
    前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させることが可能な旋回駆動部と、
    前記上部旋回体に起伏方向に回動可能に支持される基端部と当該基端部とは反対側の先端部とを含み、前記上部旋回体に対して着脱可能なアタッチメントと、
    前記アタッチメントの前記先端部から垂下され、吊り荷に接続される吊り荷ロープと、
    を有するクレーンに用いられるクレーンの旋回制御装置であって、
    アタッチメント情報を取得するアタッチメント情報取得部であって、前記アタッチメント情報は、前記上部旋回体の旋回角速度に起因して前記アタッチメントに作用する前記上部旋回体の旋回方向に沿った荷重である横荷重に基づいて前記旋回角速度の最大値である最大旋回角速度を設定するための、前記アタッチメント固有の情報である、アタッチメント情報取得部と、
    少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報に基づいて、前記上部旋回体の旋回動作において許容される前記最大旋回角速度を設定する角速度設定部と、
    前記操作部から出力された前記旋回指令信号を受け入れ、当該旋回指令信号に対応して前記上部旋回体が前記下部本体に対して旋回するように前記旋回駆動部を制御する旋回制御部であって、前記上部旋回体の旋回角速度が前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する旋回制御部と、
    を備える、クレーンの旋回制御装置。
  2. 前記アタッチメント情報は、前記基端部から前記先端部までの前記アタッチメントの長さを含み、
    前記角速度設定部は、前記アタッチメントの長さが大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定する、請求項1に記載のクレーンの旋回制御装置。
  3. 旋回情報を取得する旋回情報取得部であって、前記旋回情報は前記最大旋回角速度を設定するための前記旋回動作の条件に関連する情報である、旋回情報取得部を更に備え、
    前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記旋回情報に基づいて前記最大旋回角速度を設定する、請求項1または2に記載のクレーンの旋回制御装置。
  4. 前記旋回情報は、前記吊り荷ロープに接続される吊り荷の荷重である吊り荷荷重に対応する情報を含み、
    前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記吊り荷荷重に基づいて前記最大旋回角速度を設定する、請求項3に記載のクレーンの旋回制御装置。
  5. 前記角速度設定部は、同じ前記アタッチメント情報において、前記吊り荷荷重が大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定する、請求項4に記載のクレーンの旋回制御装置。
  6. 前記吊り荷荷重を検出することが可能な荷重検出部を更に備え、
    前記角速度設定部は、前記吊り荷が地面から上方に離間した後であって前記操作部に入力される前記操作に応じて前記旋回駆動部が前記上部旋回体を旋回させる前の期間において、前記荷重検出部によって検出された前記吊り荷荷重に基づいて、前記最大旋回角速度を設定する、請求項4または5に記載のクレーンの旋回制御装置。
  7. 前記旋回情報取得部によって取得される前記旋回情報は、予め設定された、前記吊り荷ロープに接続される吊り荷の最大荷重である最大吊り荷荷重に関する情報を含み、
    前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記最大吊り荷荷重に基づいて前記最大旋回角速度を設定する、請求項4または5に記載のクレーンの旋回制御装置。
  8. 前記旋回情報は、前記アタッチメントの姿勢に関する情報を含み、
    前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記アタッチメントの姿勢から決定される定格荷重に対する前記吊り荷荷重の比率に基づいて、前記最大旋回角速度を設定し、
    前記定格荷重は、前記アタッチメントの前記先端部から垂下される前記吊り荷ロープの最大掛け本数に対応して設定されている、請求項4または5に記載のクレーンの旋回制御装置。
  9. 前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定し、前記設定された最大旋回角速度を前記旋回動作中に維持する、請求項4乃至8の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  10. 前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作中に、前記最大旋回角速度を所定の間隔で更新し、
    前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記角速度設定部によって更新された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する、請求項3乃至8の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  11. 前記旋回情報取得部によって取得される前記旋回情報は、平面視における前記アタッチメントの前記基端部から前記先端部までの距離である作業半径に関する情報を含み、
    前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記作業半径に基づいて前記最大旋回角速度を設定する、請求項3乃至8の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  12. 前記角速度設定部は、同じ前記アタッチメント情報において、前記作業半径が大きいほど前記最大旋回角速度が小さくなるように、前記最大旋回角速度を設定する、請求項11に記載のクレーンの旋回制御装置。
  13. 前記アタッチメントは、前記基端部を含み前記上部旋回体に起伏方向に回動可能に支持されるブームと、前記先端部を含み前記ブームに起伏方向に回動可能に支持されるジブとを有し、
    前記旋回情報は、前記ブームの起伏角および前記ジブの起伏角に関する情報を更に含み、
    前記角速度設定部は、少なくとも前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記作業半径、前記ブームの起伏角および前記ジブの起伏角に基づいて前記最大旋回角速度を設定する、請求項11または12に記載のクレーンの旋回制御装置。
  14. 前記角速度設定部は、同じ作業半径に対して、前記横荷重による前記アタッチメントのたわみが最大となる前記ブームの起伏角および前記ジブの起伏角の組み合わせに対応して、前記最大旋回角速度を設定する、請求項13に記載のクレーンの旋回制御装置。
  15. 前記旋回情報は、前記作業半径について、前記クレーンの転倒を防止するために吊り荷の荷重に応じて設定された最大作業半径に関する情報を含み、
    前記角速度設定部は、前記アタッチメント情報取得部によって取得された前記アタッチメント情報および前記旋回情報取得部によって取得された前記最大作業半径に基づいて前記最大旋回角速度を設定する、請求項11または12に記載のクレーンの旋回制御装置。
  16. 前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定し、前記設定された最大旋回角速度を前記旋回動作中に維持する、請求項15に記載のクレーンの旋回制御装置。
  17. 前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作中に、前記最大旋回角速度を所定の間隔で更新し、
    前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記角速度設定部によって更新された前記最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する、請求項11乃至14の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  18. 前記旋回情報取得部は、前記上部旋回体の旋回動作中に、前記アタッチメントの起伏動作に伴って変化する前記作業半径に関する情報を取得し、
    前記角速度設定部は、前記旋回情報取得部によって取得された前記作業半径の情報に基づいて前記最大旋回角速度を更新する、請求項17に記載のクレーンの旋回制御装置。
  19. 前記角速度設定部は、前記上部旋回体の旋回動作開始時に前記最大旋回角速度を設定するとともに当該最大旋回角速度に対応する最大周速を更に演算し、前記上部旋回体の旋回動作中に前記アタッチメントの前記先端部の周速が前記最大周速を超えないように前記旋回動作中の前記最大旋回角速度を設定する、請求項1乃至3の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  20. 前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度を最大値とする実効最大旋回角速度を作業者が入力可能な入力部を更に備え、
    前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記入力部に入力された前記実効最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する、請求項1乃至3の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  21. 前記入力部は、前記実効最大旋回角速度を段階的に選択可能なように構成されている、請求項20に記載のクレーンの旋回制御装置。
  22. 前記クレーンの前記旋回駆動部は、
    出力軸を備えるエンジンと、
    前記出力軸に連結され前記出力軸から入力される動力によって作動油を吐出する油圧ポンプであって、傾転指令信号の入力を受け付け当該傾転指令信号の大きさに応じて作動油の最大吐出量を変化させることが可能な可変容量式の油圧ポンプと、
    内部に複数の油圧室を備え、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、前記上部旋回体を旋回させる駆動力を発生する油圧式の旋回モータと、
    前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在するように配置されるコントロールバルブを含み、前記操作部から出力される前記旋回指令信号に応じて前記油圧ポンプから吐出された作動油のうち前記旋回モータに供給される作動油の流量を調整する流量調整機構と、
    を有し、
    前記旋回制御部は、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する傾転指令信号を前記油圧ポンプに入力することで、前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように、前記油圧ポンプから吐出される作動油の吐出量を制限する、請求項1乃至21の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  23. 前記油圧ポンプは、ゼロよりも大きな最小吐出量の作動油を吐出し、
    前記旋回制御部は、
    前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する前記油圧ポンプの吐出量が前記最小吐出量よりも大きい場合に、前記最大旋回角速度に対応する傾転指令信号を前記油圧ポンプに入力することで、前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように、前記油圧ポンプから吐出される作動油の吐出量を制限する一方、
    前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する前記油圧ポンプの吐出量が前記最小吐出量よりも小さい場合に、前記最大旋回角速度に対応する強制指令信号を前記流量調整機構に入力することで、前記旋回指令信号の大きさに関わらず前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように前記流量調整機構から前記旋回モータに供給される作動油の流量を制限する、請求項22に記載のクレーンの旋回制御装置。
  24. 前記クレーンの前記旋回駆動部は、
    出力軸を備えるエンジンと、
    前記出力軸に連結され前記出力軸から入力される動力によって作動油を吐出する油圧ポンプと、
    内部に複数の油圧室を備え、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、前記上部旋回体を旋回させる駆動力を発生する油圧式の旋回モータと、
    前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在するように配置されるコントロールバルブを含み、前記操作部から出力される前記旋回指令信号に応じて前記油圧ポンプから吐出された作動油のうち前記旋回モータに供給される作動油の流量を調整する流量調整機構と、
    を有し、
    前記旋回制御部は、前記角速度設定部によって設定された前記最大旋回角速度に対応する強制指令信号を前記流量調整機構に入力することで、前記旋回指令信号の大きさに関わらず前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように前記流量調整機構から前記旋回モータに供給される作動油の流量を制限する、請求項1乃至21の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  25. 前記クレーンの前記旋回駆動部は、
    出力軸を備えるエンジンと、
    前記出力軸に連結され前記出力軸から入力される動力によって作動油を吐出する油圧ポンプと、
    内部に複数の油圧室を備え、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで、前記上部旋回体を旋回させる駆動力を発生する油圧式の旋回モータと、
    前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在するように配置されるコントロールバルブを含み、前記操作部から出力される前記旋回指令信号に応じて前記油圧ポンプから吐出された作動油のうち前記旋回モータに供給される作動油の流量を調整する流量調整機構と、
    を有し、
    前記旋回制御部は、前記上部旋回体の旋回角速度が前記最大旋回角速度を超えないように前記エンジンの回転数を制限する、請求項1乃至21の何れか1項に記載のクレーンの旋回制御装置。
  26. 下部本体と、
    前記下部本体に対して上下方向に延びる旋回中心軸回りに旋回可能なように前記下部本体に支持される上部旋回体と、
    前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させるための操作を受け付けるとともに、前記操作の大きさに応じた旋回指令信号を出力する操作部と、
    前記上部旋回体を前記下部本体に対して旋回させることが可能な旋回駆動部と、
    前記上部旋回体に起伏方向に回動可能に支持される基端部と当該基端部とは反対側の先端部とを含み、前記上部旋回体に対して着脱可能なアタッチメントと、
    前記アタッチメントの前記先端部から垂下され、吊り荷に接続される吊り荷ロープと、
    前記上部旋回体の旋回角速度が少なくとも前記アタッチメントのアタッチメント情報に応じて設定された最大旋回角速度を超えないように前記旋回駆動部を制御する、請求項1乃至25の何れか1項に記載の旋回制御装置と、
    を備える、クレーン。
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