JP6558159B2 - 産業機械部品部材に用いるポリウレタンエラストマー形成性組成物、およびそれをもちいた産業機械部品 - Google Patents

産業機械部品部材に用いるポリウレタンエラストマー形成性組成物、およびそれをもちいた産業機械部品 Download PDF

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Description

本発明は、産業機械部品部材に用いられる熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物に関する。
熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、高モジュラス、高破断強度、低摩耗、低歪であることから耐久性が非常に高く、産業機械の部品部材として好適に使用されている。
一般的に産業機械部品部材に用いられる熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、イソシアネート基成分からなる主剤と、活性水素含有成分からなる硬化剤とを、注型機のミキシングヘッドで混合し、得られた混合液を型内に注入し、この型内で当該混合液を加熱硬化(ウレタン化反応)させることにより製造することができる。
ここに、熱硬化ポリウレタンエラストマーを成型するための形成性組成物をなす成分として、イソシアネートとポリオールから成るイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)(以下「NCO基末端ウレタンプレポリマー」と略記)とポリオールやポリアミンからなる活性水素基末端硬化剤(B)とを、混合し加熱硬化させる方法が一般的に用いられる。
例えば、イソシアネート成分として、ジフェニルメタジイソジアネート(以下「MDI」と略記)とポリオールとして、ブチレンアジペート(以下「PBA」と略記)からなるNCO基末端ウレタンプレポリマーとポリオール成分として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンとPBAとを混合した水酸基を活性水素基として用いた水酸基末端硬化剤(以下「OH基末端硬化剤」と略記)が好適に用いられている。この他、トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記)とポリテトラメチレングリコール(以下「PTMG」と略記)からなるNCO基末端ウレタンプレポリマーと4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(以下「MOCA」と略記)等のアミノ基を活性水素基として用いたアミノ基末端硬化剤(以下「NH基末端硬化剤」と略記)が好適に用いられている。
然るに、上記の様にして得られる熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物の摩擦係数は非常に高い。このため、連続的に使用される産業機械部品においては、駆動による摩擦で発熱し、この熱が徐々に蓄熱することで設計以上の温度となり物性が変化する。特に問題なのは、高温化することで弾性力が増し更に摩擦抵抗が増え高温化すると言った悪循環を招く。これらの熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物を産業機械部品として使用する場合、当該部品の蓄熱により特性が変化し、比較的短期間で、当該部品の破断、亀裂、摩耗などによる欠損が発生し、当該部品の交換が必要となる。特に、近年においては、産業機器の高速処理化に伴い、当該部品の蓄熱スピードや温度の上昇が見られ機械的強度の低下を招き、これに伴う当該部品の破断、亀裂、摩耗などによる欠損が頻発しており、従来公知の熱硬化ポリウレタンエラストマー成型物では十分な対応が出来なくなってきており、低摩擦の熱硬化ポリウレタンエラストマー成型物が強く望まれている。
ポリウレタンエラストマー成型物の摩擦係数低減を目的にグラファイト、4弗化エチレン、樹脂パウダー、パラフィン、二硫化モリブテン、もくろう等、脂肪アルコールエステルや炭素数13以上の高級脂肪酸と炭素数8以上のアルコールとで構成される液状及び粉末状の高級脂肪酸エステル等の潤滑剤をポリウレタンエラストマーに混合することが提案されている(特許文献1〜3)。この他、水酸基、又はアミノ基を有するステアリン酸、又はオレイン酸系のエステル及び硬化剤等を用いポリウレタン分子中に滑剤成分を取り込む方法も提案されている(特許文献4)。
実開昭57−194946号公報 特開平3−346号公報 特開平5−133440号公報 特開平11−51122号公報
しかしながら、前述のポリウレタンと反応を伴わない滑剤をポリウレタンエラストマーに混合する場合は、これら滑剤とNCO基末端ウレタンプレポリマーや活性水素基末端硬化剤との相溶性が悪く、不均一なポリウレタンエラストマー成型物となるばかりではなく、滑剤成分のブリードやブルームの発生が見られる。特に精密な産業機械の部品に用いる場合は、これら潤滑剤成分による汚染により、産業機械に不具合が発生し問題化することがある。後述のポリウレタンと反応を伴う滑剤をポリウレタンエラストマーに混合反応させポリウレタン分子中に滑剤成分を取り込んだポリウレタンエラストマー成型物は、これら滑剤成分の炭素数の不足や自由度の阻害により、成型品表面に十分に移行出来ずに低摩擦化が不十分な場合が多い。
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物として、少なくとも一つ以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を0.1〜8質量%含ませることでブリード、ブルームを発生することもなく、摩擦係数が非常に低い産業機械部品用の熱硬化性ポリウレタンエラストマーを提供することにある。また、これら熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得るためのNCO基末端ウレタンプレポリマーや活性水素基末端硬化剤との相溶性を良好にすることで、品質安定化が図られた熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得るためのNCO基末端ウレタンプレポリマーと活性水素基末端硬化剤を提供することにある。
本発明は、以下の(1)から(5)に示されるものである。
(1)少なくともイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)、活性水素基末端硬化剤(B)、及び滑剤(C)からなる産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、滑剤(C)として、少なくとも一種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物中に0.1〜8質量%含むことを特徴とする産業機械部品用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
(2)上記(1)に記載の産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、水酸基価が5〜70KOHmg/gのポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を用いることを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
(3)上記(1)又は(2)に記載の産業機械部品部材用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、予めイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)とをウレタン化反応させたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)を用いることを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
(4)上記(1)又は(2)に記載の産業機械部品部材用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、予め活性水素基末端硬化剤(B)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)とを混合した活性水素基末端硬化剤(B1)を用いることを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を熱硬化処理することを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマーの製造方法。
(6)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物の硬化物からなり、そのJIS−A硬度が60〜98の範囲である産業機械部品。
本発明の産業機械部品用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成組成物を産業機械に用いることで、従来ではなし得なかった低汚染性と低摩擦化を兼ね備え、且つ、NCO基末端ウレタンプレポリマー、及び活性水素基末端硬化剤の性状(相溶性)を損ねることなく、均一な産業機械部品用の熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得ることが出来る。
本発明の産業機械部品用熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型組成物は、少なくともイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)、活性水素基末端硬化剤(B)と滑剤(C)として、少なくとも一つ以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を0.1〜8質量%含む点に特徴がある。このようにポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を滑剤(C)として用いることで、得られる熱硬化性ポリウレタンエラストマーの低摩擦化が図れる。熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物中のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)の含有量が0.1質量%を下回る場合は、摩擦低減効果が見られない。また、8質量%を上回る場合は、摩擦低減効果は見られるが、1官能成分増加により、得られる熱硬化性ポリウレタンエラストマーの物性値低下を招き、産業機械部品としての役割を十分に果たせなくなる。
本発明に用いる滑剤(C)として用いるポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)は本発明の効果を奏すれば、特に限定されるものでない。このポリオキシエチレンアルキルエーテルは一般式1で示すことができる。
[一般式1]
2m+1−O−(CHCHO)nH

一般式1のm及びnの値について特に限定はしないが、より効果的摩擦の低減を図るには、水酸基価が5〜70KOHmg/gであることが好ましい。水酸基価が70KOHmg/gを上回る場合は、総じて炭素数が短く、滑剤成分としての効果が徐々に小さくなる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)の市販品の具体例としてポリオキシエチレンラウリルエーテル「日光ケミカルズ製のNIKKOL BL−2、NIKKOL BL−4.2、NIKKOL BL−21、NIKKOL BL−25」、ポリオキシエチレンセチルエール「NIKKOL BC−2、NIKKOL BC−5.5、NIKKOL BC−7、NIKKOL BC−10、NIKKOL BC−20、NIKKOL BC−23、NIKKOL BC−25、NIKKOL BC−30、NIKKOL BC−40、NIKKOL BC−150」、ポリオキシエチレンステアリルエーテール「NIKKOL BS−2、「NIKKOL BS−4、「NIKKOL BS−20」、ポリオキシエチレンオレイルエーテル「「NIKKOL BO−2V、「NIKKOL BO−7V、「NIKKOL BO−10V、「NIKKOL BO−15V、「NIKKOL BO−20V、「NIKKOL BO−50V」、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル「NIKKOL BB−5、NIKKOL BB−10、NIKKOL BB−20、NIKKOL BB−40」等が使用できる。
本発明に用いるNCO基末端ウレタンプレポリマー(A)、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を加えたNCO基末端ウレタンプレポリマー(A1)は、必要に応じ反応抑制剤(D)を用い、少なくともポリイソシアネート(A2)とポリオール(A3)、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)とのウレタン化反応により得ることができる。NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)、又は(A1)のNCO含量は、5〜25質量%が好ましい。NCO含量が5質量%より低い場合には、主にプレポリマーの粘度が高くなり、注型時にウレタン樹脂の流れ性が著しく悪くなる。25質量%より高い場合は、保存時及び使用時の性状安定性が著しく悪くなり、安定した産業機械部品が得にくく、成型不良に繋がるなどの問題を抱えるため、産業機械部品部材用のNCO基末端ウレタンプレポリマーとして適さないものとなってしまう。
NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を加えたNCO基末端ウレタンプレポリマー(A1)は、攪拌容器内にポリイソシアネート(A2)と反応抑制剤(D)を投入攪拌し、その後、攪拌容器内の温度を40から70℃に保ちながらポリオール(A3)、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を投入攪拌する。続いて、攪拌容器内の温度を70〜90℃に保ちながら、2〜5時間程度ウレタン化反応を進めることで得ることができる。
本発明に用いるポリイソシアネート(A2)は、本発明の効果を奏すれば、特に限定されるものでない。機械物性や反応制御の観点から、芳香族ジイソシアネートからから少なくとも1種類選ばれることが好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートの具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリメチルキシリレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート等の脂肪族及び脂環族ジイソシアネート。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート。オルトキシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の難黄変ジイソシアネート。また、いずれかのイソシアネートのウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体等も使用できる。
本発明に用いるポリオール(A3)は、本発明の効果を奏すれば、特に限定されるものでないが、機械物性やガラス転移温度の観点から、平均官能基数2〜3、数平均分子量250〜5000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールから少なくとも1種類選ばれることが好ましい。なお、必要に応じて、モノマーポリオールを併用することもできる。
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールの具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸またはこれらの無水物等の1種類以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分子量500以下の低分子ポリオール類の1種類以上との縮重合反応から得られるものを挙げることができる。また、低分子ポリオールの一部をヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等の低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールに代えて得られるポリエステル−アミドポリオールを使用することもできる。
<ポリエーテルポリオール>
また、ポリエーテルポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、またはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子ポリアミン類等のような活性水素基を2個以上、好ましくは2〜3個有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のようなアルキレンオキサイド類を付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオール、或いはメチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリエーテルポリオールを挙げることができる。
<ポリカーボネートポリオール>
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオールの一種類以上と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類との脱アルコール反応や脱フェノール反応から得られるものを挙げることができる。
また、ポリオール(A3)には、性能の低下しない範囲で、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールを単独、又は2種以上を併用することができる。
<ポリオレフィンポリオール>
ポリオレフィンポリオールの具体例としては、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等を挙げることができる。
<アクリルポリオール>
アクリルポリオールとしては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル〔以下(メタ)アクリル酸エステルという〕と、反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有するアクリル酸ヒドロキシ化合物及び/又はメタクリル酸ヒドロキシ化合物〔以下(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物という〕と、重合開始剤とを熱エネルギーや紫外線または電子線などの光エネルギー等を使用し、アクリルモノマーを共重合したものを挙げることができる。
<(メタ)アクリル酸エステル>
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、炭素数1〜20のアルキルエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリルエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは、単独、又は2種類以上組み合わせたものを挙げることができる。
<(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物>
(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物の具体例としては、ポリイソシアネート組成物との反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有しており、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのアクリル酸ヒドロキシ化合物が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどのメタクリル酸ヒドロキシ化合物が挙げられる。これらアクリル酸ヒドロキシ化合物及び/又はメタクリル酸ヒドロキシ化合物は、単独、又は2種以上を組み合わせたものを挙げることができる。
<重合開始剤>
重合開始剤は、熱重合開始剤、光重合開始剤を挙げることができ、重合方法によって適宜選択される。
熱重合開始剤の具体例としては、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルカーボネート等のペルオキシエステル類、ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等のペルオキシケタール類等が挙げることができる。
また、光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モンフォリノプロパノン−1等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等のケトン類、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン等のチオキサンソン類、ビスアシルホスフィンオキサイド、ベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン酸化物、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、カンファン−2,3−ジオン、フェナントレンキノン等のキノン類などを挙げることができる。
<シリコーンポリオール>
シリコーンポリオールの具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを重合したビニル基含有シリコーン化合物、及び分子中に少なくとも1個の末端水酸基を有する、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジヒドロキシポリジフェニルシロキサン等のポリシロキサンを挙げることができる。
<ヒマシ油系ポリオール>
ヒマシ油系ポリオールの具体例としては、ヒマシ油脂肪酸とポリオールとの反応により得られる線状または分岐状ポリエステルポリオールが挙げられる。また、脱水ヒマシ油、一部分を脱水した部分脱水ヒマシ油、水素を付加させた水添ヒマシ油も使用することができる。
<フッ素系ポリオール>
フッ素系ポリオールの具体例としては、含フッ素モノマーとヒドロキシ基を有するモノマーとを必須成分として共重合反応により得られる線状、又は分岐状のポリオールである。ここで、含フッ素モノマーとしては、フルオロオレフィンであることが好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロメチルトリフルオロエチレンが挙げられる。また、ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアルキルクロトン酸ビニル等のヒドロキシル基含有カルボン酸ビニル、又はアリルエステル等のヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
<モノマーポリオール>
モノマーポリオールの具体例として、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
本発明に用いる反応抑制剤(D)は、本発明の効果を奏すれば、特に限定されるものでない。反応抑制剤(D)の具体例としては、亜リン酸エステル系、酸性リン酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸系等が挙げられる。亜リン酸エステル系としては、トリフェニルホスフェート、トリデシルホスフェート、ジブチルハイドロジエンホスフェート等である。酸性リン酸エステル系としては、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート等である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸系としては、ジ(C12−15)パレス−2リン酸、ジ(C12−15)−パレス4リン酸、ジ(C12−15)−パレス6リン酸、ジ(C12−15)−パレス8リン酸、ジ(C12−15)−パレス10リン酸、リン酸(モノ,ジ)ポリエチレングルコール(3EO)C10−14アルコール、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、リン酸(モノ,ジ)ポリエチレングリコール(4E0)4−ノニルフェニル等である。
本発明に用いる活性水素基末端硬化剤(B)、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を加えた活性水素基末端硬化剤(B1)は、少なくとも前述のポリオール(A3)を用いることができるが、本発明の効果を奏すれば、特に限定されるものでない。機械物性や成形加工性を向上させる観点から、モノマーポリオールを単独で又は2種以上混合して用いることができる。また、更に平均官能基数2〜3、数平均分子量250〜5000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールのいずれかのポリオールを加えた混合物を用いることができる。モノマーポリオールとしては、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物が好ましい。また、更に平均官能基数2、平均分子量500〜3000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを加えた混合物が好ましい。
本発明に用いる活性水素基末端硬化剤(B)、又は(B1)は必要に応じ触媒(E)を添加することが出来る。触媒(E)は、発明の効果を奏すれば、特に限定されるものでないが、機械物性や成形加工性向上させる観点から、ポリウレタン用ヌレート化触媒(E1)として、カリウム塩や4級アンモニウム塩が好ましく、ポリウレタン用アロファネート化触媒(E2)として、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミンやN,N−ジメチルアミノエトキシエタノールが好ましい。なお、必要に応じて、ウレタン化触媒(E3)を併用、又は単独使用することも出来る。ウレタン化触媒(E3)は公知の一般的なトリエチレンジアミン等のアミン触媒、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系触媒、ジオクチルチンジラウレート等の金属系触媒等を用いることもできる。
<ポリウレタン用ヌレート化触媒>
ヌレート化反応で使用されるポリウレタン用ヌレート化触媒(E1)としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、具体例としては、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−エチルモルフォリン、フェノール化合物のマンニッヒ塩基等の第三級アミン、テトラメチルアンモニウム炭酸水素塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸水素塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、トリデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタニウム炭酸水素塩、又は1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウム炭酸水素塩等の第四級アンモニウム炭酸水素塩、テトラメチルアンモニウム炭酸塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、トリデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタニウム炭酸塩、又は1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウム炭酸塩等の第四級アンモニウム炭酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、吉草酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。また、これらのポリウレタン用イソシアヌレート化触媒(E1)は、単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、イソシアヌレート化触媒(E1)の使用量は、NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)と活性水素基末端硬化剤(B)の総和重量に対して、0.001〜0.5質量%の範囲で用いられるのが好ましく、中でも、反応制御の容易さという観点から、0.005〜0.10質量%の範囲で用いられるのがより好ましい。
<ポリウレタン用アロファネート化触媒>
アロファネート化反応で使用されるポリウレタン用アロファネート化触媒(E2)としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、例えば、カルボン酸の金属塩を用いることができる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ[4.4.0]デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上述したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類が挙げられる。
また、カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、スズ、鉛等のその他の典型金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム等の遷移金属などが挙げられる。これらのカルボン酸金属塩は、単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この他、アルカノールアミンとしては、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール等が挙げられる。尚、アロファネート化触媒(E2)の使用量は、NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)と活性水素基末端硬化剤(B)の総和重量に対して、0.001〜0.5質量%の範囲で用いられるのが好ましく、中でも、反応制御の容易さという観点から、0.005〜0.10質量%の範囲で用いられるのがより好ましい。
<ポリウレタン用ウレタン化触媒>
ウレタン化反応で使用されるポリウレタン用ウレタン化触媒(E3)としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、アミン系触媒の具体例としては、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン等である。イミダソール系触媒の具体例としては、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等である。金属触媒系の具体例としては、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等である。尚、ウレタン化触媒(E3)の使用量は、NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)と活性水素基末端硬化剤(B)の総和重量に対して、0.001〜0.5質量%の範囲で用いられるのが好ましく、中でも、反応制御の容易さという観点から、0.005〜0.10質量%の範囲で用いられるのがより好ましい。
本発明に於いては、さらに必要に応じて、添加剤として、酸化防止剤、脱泡剤、紫外線吸収剤等を形成性組成物に導入使用することができる。
本発明に於いては、これまでに述べた熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を用いて、工程として成形型内に於いて硬化処理(具体的には、加熱により硬化を促進する処理)を行い、ウレタン化、並びにヌレート化、アロファネート化結合を有する熱硬化ポリウレタンエラストマー成型物を製造する。
この場合、本発明に於ける形成性組成物を用いて、本発明に於ける熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物を製造する方法としては、以下のような工程を含む方法により製造されるのが好ましい。
工程(1):
NCO基末端プレポリマー(A)、又は(A1)と活性水素基末端硬化剤(B)又は(B1)、ただし、予め活性水素基末端硬化剤(B)、又は(B1)に触媒(E)を含ませてない場合は、触媒(E)を別途添加し、均一に混合して形成性組成物を調製する。なお、空気を巻き込み気泡が見られる場合は、真空脱泡等で気泡を取り除く。これらの工程は、専用のポリウレタン注型機を用いることが好ましい。
工程(2):
プレヒートした成形型に該形成性組成物を混合後直ちに成形型内に注入し(注型)、該形成性組成物を成形型内で硬化処理を行う(具体的には、加熱して硬化反応させる)。この場合、成形型の温度はウレタン化反応、及びヌレート化、アロファネート化反応を容易に且つ確実に行わせる条件であるという観点から、80〜170℃の範囲であることが好ましい。
工程(3):
形成性組成物が硬化した後、硬化物(即ち、熱硬化ポリウレタンエラストマー成型物)を成形型内から取り出す(脱型)。なお、本発明に於いては、前記の注型から脱型までに要する時間は、特に限定するものではないが、本発明の意図する熱硬化性ポリウレタンエラストマーの生産性という観点から触媒量や成形型のプレヒート温度を調整し、30〜600秒の範囲であることが好ましい。
工程(4):
硬化後、熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物(産業機械部品)を脱型した後、室温で一週間エージング処理を行う。
なお、注型時におけるNCO末端プレポリマーのNCO基含量と活性水素基末端硬化剤の活性水素基含量とのモル比((OH基またはNH基)/NCO基)は、選択した触媒種や目的の物性に応じ選択することができる。例えば、ポリウレタン用ヌレート化触媒(E1)やポリウレタン用アロファネート化触媒(E2)を用いる場合は0.2〜0.8が好ましい。この場合、ウレタン化触媒(E3)を併用することもできる。0.2を下回る場合は、過剰イソシアネートによるヌレート化やアロファネート化が極端に多くなり、この架橋点の増加により、著しく引張物性値の低下を招く。また、0.8を上回る場合は、ヌレート化やアロファネート化による架橋点が少なくなり、初期モジュラス(M100)の低下を招き応力に対する変形量が大きく硬度に対する強度不足を招く。また、ウレタン化触媒(E3)を単独で用いる場合は、0.8〜1.0が好ましい。0.8を下回る場合は、十分な分子延長が行えずに硬化不足等の問題が発生する。また、1.0を上回る場合も物性低下や硬化不足等の問題が発生する。
本発明について、実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。実施例及び比較例において、「%」は全て「質量%」を意味し、配合の単位は「g」である。なお、以下に示す実施例1〜7のうち、実施例7は本発明の範囲に属しない参考例としての試験例である。
実施例1〜7、比較例1〜7
表1、及び表2に示す配合比率で、窒素を満たした5Lの攪拌容器内に各種ポリイソシアネート(A2)と反応抑制剤(D)を投入攪拌した。その後、攪拌容器内の温度を40〜70℃に保ちながら各種ポリオール(A3)、更に必要に応じポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を投入攪拌した。続いて、消泡剤を適量投入し攪拌容器内の温度を70〜90℃に保ちながら、2〜5時間程度ウレタン化反応を進めることで、各種NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)、又は(A1)を得た。
また、表1、及び表2に示す配合比率で、窒素を満たした5Lの攪拌容器内に各種ポリオール(A3)、必要に応じポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)、各種触媒(E)と適量の消泡剤を投入攪拌し、拌容器内の温度を40〜70℃に保ちながら、1〜3時間程度、混合攪拌することで、各種活性水素基末端硬化剤(B)、又は(B1)を得た。
次に、表1、及び表2に示す処方(配合比)に従って、NCO基末端ウレタンプレポリマー(A)、又は(A1)と、触媒入り活性水素基末端硬化剤(B)、又は(B1)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を調整し、この組成物を、予めキュア温度に予熱された2mm厚の平板シート形成用の金型に注入し、この成型物を金型から取り出し(脱型)が可能な最小限の時間、金型内で加熱硬化させ、速やかにこの成型物を脱型することにより、本発明のポリウレタンエラストマー成型物(シート)を得た。
表1、及び表2に用いられる原料の略記号は以下の通り。
「イソシアネート」
(1)MDI;ミリオネートMT(日本ポリウレタン工業社製)、4,4’−MDI、NCO含有量=33.5%
(2)TDI;コロネートT−100(日本ポリウレタン工業社製)、2,4−TDI、NCO含有量=48.2%
「ポリオール」
(3)PBA−2500;ニッポラン3027(日本ポリウレタン工業社製)、ポリブチレンアジペート、水酸基価=44.9 KOHmg/g
(4)PEA−2000;ニッポラン4040(日本ポリウレタン工業社製)、ポリエチレンアジペート、水酸基価=56.1 KOHmg/g
(5)PTMG−1000;PTMG−1000(三菱化学社製)、ポリテトラメチレングリコール、水酸基価=112.0 KOHmg/g
(6)1.4−BG;1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)、水酸基価=1,245 KOHmg/g
(7)TMP;トリメチロールプロパン(三菱瓦斯化学社製)、水酸基価=1,247 KOHmg/g
(8)MOCA;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(イハラケミカル工業社製)、水酸基価(アミノ基)=420KOHmg/g
「滑剤」
(9)NIKKOL BC−150;ポリオキシエチレンセチルエーテル(日光ケミカルズ社製)、水酸基価=9KOHmg/g
(10)NIKKOL BO−50V;ポリオキシエチレンオレイルエーテル(日光ケミカルズ社製)、水酸基価=24KOHmg/g
(11)NIKKOL BL−25;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製)、水酸基価=45KOHmg/g
(12)NIKKOL BB−5;ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(日光ケミカルズ社製)、水酸基価=106KOHmg/g
(13)FT−0070;パラフィン系汎用合成WAX(日本精蝋社製)
(14)リコワックスE;モンタン酸系エステルWAX(クライアントジャパン社製)
(15)リケマールSL−900;ステアリルステアレート(理研ビタミン社製)
「反応抑制剤」
(16)PS−236;Phospholan PS−236(Akzo Nobel社製)、モノ・ジ(C10−12)パレス−5リン酸
「触媒」
(17)POLYCAT−46;(エアプロダクツ社製)、酢酸カリウムとエチレングリコールの混合物
(18)DABCO TMR;(エアプロダクツ社製)、四級アンモニウム塩触媒とエチレングリコールの混合物
(19)TOYOCAT RX−5;(東ソー社製)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン
(20)TOYOCAT TEDA−L33E;(東ソー社製)、トリエチレンジアミンとエチレングリコールの混合物
「その他」
(21)I−1010;イルガノックス1010;(BASFジャパン社製)ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(22)BYK−052;(ビックケミー・ジャパン社製)非シリコーン系消泡剤
(23)AF−7;ケムリースジャパン製);離型剤
得られた成形シートの特性評価方法は以下の通り。
(1)JIS−A硬度;JIS K7312に準じ、A型硬度計を用い測定。
(2)引張強度(TB)、伸長率(EB);JIS K7312に準じ測定。
(3)動摩擦係数;試験片の準備;成型シートを幅25mm×長さ100mmに切り出し、シクロヘキサンを用い脱脂し試験片を準備した。その後、室温23℃、湿度50%の環境下に1日放置後、以下の条件で動摩擦係数を測定した。
「測定条件」
測定機器;表面性測定機TYPE:38(新東科学製)
測定条件;測定冶具=ボール圧子(SUS)、荷重=20g、テーブル移動速度=50mm/min
(4)成型シート外観;動摩擦試験測定直後に、同試験片を用い目視により、滑剤成分とウレタン成分の相溶性の指標として白濁の有無を観察した。
(5)ブリード、ブルームの有無;動摩擦係数測定に用いた試験片を室温23℃、湿度50%の環境下に2週間放置し、その後、ガーゼ拭き取り前後の試験片表面状況を目視で観察し、ブリード、ブルームの有無を評価した。
実施例1〜7に本発明の実施結果を示す。実施例中いずれの条件においても、本発明の課題の滑剤とNCO基末端ウレタンプレポリマー(A)や活性水素基末端硬化剤(B)との相溶性を損ねることなく、ブリード、ブルームを起こさない低摩擦で機械強度が高く強靭な熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得ることができた。
比較例1は、本発明のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)が0.1質量%を下回る場合の比較例であり、十分な低摩擦化が図れず適さないものであった。
比較例2は、本発明のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)が8質量%を上回る場合の比較例であり、十分に低摩擦化が図れているが、引張物性値が極端に低く適さないものであった。
比較例3〜7は、本発明以外の滑剤を用いた場合の比較例であり、低摩擦化は成されているが、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)、及び活性水素基末端硬化剤(B)との相溶性が悪く、得られた成型物にブリード、若しくはブルームが見られ適さないものであった。

Claims (6)

  1. 少なくともイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)、活性水素基末端硬化剤(B)、及び滑剤(C)からなる産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、
    滑剤(C)として、少なくとも一種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物中に0.1〜8質量%含み、
    ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)の水酸基価が5〜45KOHmg/gであることを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
  2. 請求項1に記載の産業機械部品部材用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、
    前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)を熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物中に0.1〜2.8質量%含むことを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の産業機械部品部材用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、予めイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)とをウレタン化反応させたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)を用いることを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
  4. 請求項1又は2に記載の産業機械部品部材用熱硬化ポリウレタンエラストマー形成性組成物において、予め活性水素基末端硬化剤(B)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(C1)とを混合した活性水素基末端硬化剤(B1)を用いることを特徴とする産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を熱硬化処理することを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマーの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の産業機械部品部材用熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物の硬化物からなり、そのJIS−A硬度が60〜98の範囲である産業機械部品。
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