JP6557489B2 - 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、生体信号から生体状態の一つである眠気を推定する生体状態推定装置及びコンピュータプログラムに関する。
本出願人は、特許文献1において、人の上体から採取した主に心循環系の波動である生体信号の時系列波形から周波数の時系列波形を求め、さらに、周波数傾きの時系列波形、周波数変動の時系列波形を求めてこれらを周波数解析する手段を有する装置を開示している。周波数解析の際には、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する各周波数のパワースペクトルを求め、各パワースペクトルの時系列変化から人の状態を判定することも開示している。
また、本出願人は、特許文献2において、人の上体から採取した生体信号の時系列波形を用い、周波数解析して得られた対数パワースペクトル密度と対数周波数の関係において回帰直線を求め、この回帰直線の形等から人の状態をより正確に判定する技術を開示している。
特開2011−167362号公報 特開2012−179202号公報
上記した技術は、いずれも、人の上体の中で背部の体表面に生じる振動を生体信号測定装置により検出して解析するものである。この背部の体表面に生じる振動である脈波(背部体表脈波(Aortic Pulse Wave(APW)))は、心臓と大動脈の運動から生じる圧力振動であり、心室の収縮期及び拡張期の情報と、循環の補助ポンプとなる血管壁の弾力情報を含んでいる。そして、心拍変動に伴う信号波形は交感神経系及び副交感神経系の神経活動情報を含み、大動脈の揺動に伴う信号波形には交感神経活動の情報を含んでいる。
一方、例えば上記特許文献2に示されているように、背部体表脈波を解析するだけでなく、指尖容積脈波も周波数解析し、背部体表脈波及び指尖容積脈波の各解析結果を比較して人の状態を判定する手法も知られている。心臓の動きの特徴を捉える中枢系の生体信号情報である背部体表脈波と、末梢系の生体信号情報を捉える指尖容積脈波とは、所定の時間遅れをもって対応するのが通常である。
背部体表脈波、指尖容積脈波は、自律神経系の活動情報を含むため、上記特許文献1,2のように、生体状態の推定、特に、交感神経活動よりも副交感神経活動が優位になっていく眠気の推定に好適に用いられる。眠気の推定精度をより高めるために特許文献1,2では、生体状態のトレンドを捉えるべく、生体信号の時系列波形に所定の時間幅を適用してスライド計算を行って周波数傾きの時系列波形を求め、これを自律神経評価指標として用いるなど、様々な工夫を行っている。また、心臓の拍動間隔(RR間隔)は、交感神経活動によって短縮し、副交感神経活動によって延長することが知られており、この拍動間隔の変化を自律神経評価指標として用いることができることも知られている。しかしながら、いずれの自律神経評価指標を用いるにしても、眠気の推定精度は高いほど望ましい。
本発明は、上記した点に鑑みなされたものであり、生体状態の一つである眠気をより高い精度で捉えることができる生体状態推定装置及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明者は、自律神経評価指標としての周波数傾きの時系列波形、あるいは、RR間隔の時系列波形等を求めるに当たって、被験者の眠気推定の実施日の前日の睡眠の質、特に深い眠りの時間的な割合が、眠気推定の結果と実際の眠気との相関性に影響を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の生体状態推定装置は、
生体信号測定装置により測定された生体信号を用いて生体の状態を推定する生体状態推定装置であって、
前記生体信号から自律神経評価指標を求め、この自律神経評価指標から眠気指標を求める眠気指標演算手段と、
前記眠気指標演算手段により眠気指標を求める分析対象時間帯より前に生じた、1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における睡眠の質情報を取得する睡眠の質情報取得手段と
を具備し、
前記眠気指標演算手段が、前記睡眠の質情報取得手段から得られる睡眠の質情報に応じて演算条件を異ならせて前記眠気指標を求めることを特徴とする。
前記睡眠の質情報取得手段は、前記1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における深い睡眠の時間的な割合を取得する構成であることが好ましい。
前記眠気指標演算手段は、所定の時間幅毎に眠気指標を求め、その眠気指標を時系列に出力する手段であり、前記演算条件である前記所定の時間幅を、前記深い睡眠の時間的な割合に応じて異ならせる構成であることが好ましい。
前記深い睡眠の時間的な割合が、所定の範囲の場合には、前記眠気指標演算手段における時間幅を所定時間幅以上に設定し、前記深い睡眠の時間的な割合が、前記所定の範囲以下と所定の範囲以上の場合には、前記眠気指標演算手段における時間幅を前記所定時間幅よりも短い時間幅で設定する構成であることが好ましい。
前記眠気指標演算手段から得られる眠気指標を眠気レベルに変換する眠気レベル判定手段をさらに有する構成とすることが好ましい。
前記眠気レベル判定手段は、予め、所定の眠気指標を用いて教師データを作成すると共に、その教師データを用いて正準判別分析を行って複数の正準判別関数を作成しておき、分析対象時間帯の生体信号について、前記眠気指標演算手段によって求められた眠気指標を、前記正準判別関数に代入して最も近い眠気レベルを判定する手段であることが好ましい。
本発明のコンピュータプログラムは、
コンピュータに、生体信号測定装置により測定された生体信号を用いて眠気を推定する手順を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記眠気を推定する手順として、
前記生体信号から自律神経評価指標を求め、この自律神経評価指標から眠気指標を求める眠気指標演算手順と、
前記眠気指標演算手順により眠気指標を求める分析対象時間帯より前に生じた、1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における睡眠の質情報を取得する睡眠の質情報取得手順と
を実行させる構成であり、
前記眠気指標演算手順が、前記睡眠の質情報取得手順の実行により得られる睡眠の質情報に応じて演算条件を異ならせて前記眠気指標を求めることを特徴とする。
前記睡眠の質情報取得手順は、前記1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における深い睡眠の時間的な割合を取得することが好ましい。
前記眠気指標演算手順は、所定の時間幅毎に眠気指標を求め、その眠気指標を時系列に出力する手順であり、前記演算条件である前記所定の時間幅を、前記深い睡眠の時間的な割合に応じて異ならせることが好ましい。
前記深い睡眠の時間的な割合が、所定の範囲の場合には、前記眠気指標演算手順における時間幅を所定時間幅以上に設定し、前記深い睡眠の時間的な割合が、前記所定の範囲以下と所定の範囲以上の場合には、前記眠気指標演算手順における時間幅を前記所定時間幅よりも短い時間幅で設定することが好ましい。
前記眠気指標演算手順から得られる眠気指標を眠気レベルに変換する眠気レベル判定手順をさらに実行することが好ましい。
前記眠気レベル判定手順は、予め、所定の眠気指標を用いて教師データを作成すると共に、その教師データを用いて正準判別分析を行って複数の正準判別関数を作成しておき、分析対象時間帯の生体信号について、前記眠気指標演算手順の実行によって求められた眠気指標を、前記正準判別関数に代入して最も近い眠気レベルを判定することが好ましい。
本発明は、眠気指標を求める分析対象時間帯より前に生じた、1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における睡眠の質情報を取得する睡眠の質情報取得手段を具備し、これにより得られる睡眠の質、特に、深い睡眠の時間的な割合を加味して、眠気指標を求める。分析対象時間帯より前に生じた1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯、典型的には前日の睡眠時間帯における睡眠の質を示す深い睡眠の時間的な割合は、眠気推定の結果と実際の眠気との相関性に影響することから、これを加味することにより、眠気の推定をより高い精度で行うことができる。
図1は、本発明の一の実施形態に係る生体状態推定装置の構成を模式的に示した図である。 図2(a)は、心電図波形の一例を示し、図2(b)は、指尖容積脈波の一例を示した図である。 図3(a)は、RR間隔の時系列データの一例を示し、図3(b)は、図3(a)を線形補間したRR間隔の時系列データを示した図である。 図4は、第1眠気指標演算手段で用いる指標「RRIX_M」の求め方を説明するための図である。 図5(a)は、線形RR間隔のパワースペクトル密度を示した図であり、図5(b)は、HFに係るパワースペクトル密度の時系列データを示した図である。 図6は、第2眠気指標演算手段で用いる指標「HFY_M」の求め方を説明するための図である。 図7は、顔表情による4段階の眠気の求め方を示した図である。 図8は、被験者Hの12月8日の指標RRIX_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図9は、被験者Aの12月8日の指標RRIX_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図10は、被験者Bの12月7日の指標RRIX_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図11は、被験者Aの12月11日の指標RRIX_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図12は、被験者Hの12月8日の指標HFY_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図13は、被験者Bの11月27日の指標HFY_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図14は、被験者Eの12月11日の指標HFY_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図15は、被験者Bの12月7日の指標HFY_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図16は、被験者Cの12月10日の指標RRIX_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図17は、被験者Cの12月10日の指標HFY_Mと眠気レベルとの相関係数を示した図である。 図18は、被験者Aの12月8日の指標RRI20_2と眠気レベルとの時系列データを示した図である。 図19は、被験者Gの12月10日の指標HF5_2と眠気レベルとの時系列データを示した図である。 図20は、被験者Eの12月9日の指標RRI25_7と眠気レベルとの時系列データを示した図である。 図21は、被験者Cの11月28日の指標HF10_7と眠気レベルとの時系列データを示した図である。 図22は、さらに眠気レベル判定手段を備えた本発明の実施形態に係る生体状態推定装置の構成を模式的に示した図である。 図23は、眠気レベル判定手段において採用した判別分析の方法を説明するための図である。 図24は、判別マップの一例を示した図である。 図25は、眼球運動から求めた被験者Bの11月27日の眠気指標MAKeと眠気レベルとの時系列データを示した図である。 図26は、12月8日の被験者Aの眠気を、当該被験者個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図27は、12月8日の被験者Aの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図28は、1月14日の被験者Fの眠気を、当該被験者個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図29は、1月14日の被験者Fの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図30は、1月19日の被験者Gの眠気を、当該被験者個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図31は、1月19日の被験者Gの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図32は、12月13日の被験者Dの眠気を、当該被験者個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図33は、12月13日の被験者Dの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図34は、1月11日の被験者Fの眠気を、当該被験者個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図35は、1月11日の被験者Fの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図36は、1月16日の被験者Gの眠気を、当該被験者個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図37は、1月16日の被験者Gの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図38は、12月11日の被験者Eの眠気を、当該被験者の12月5日の個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図39は、12月11日の被験者Eの眠気を、当該被験者の12月5日及び12月9日の個人のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。 図40は、12月11日の被験者Eの眠気を、一般の被験者のデータを教師データにして推定した推定眠気と顔表情眠気との時系列データを示した図である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。本実施形態において採取する生体信号は、背部体表脈波(APW)、指尖容積脈波あるいは心拍等である。生体信号測定装置1は、背部体表脈波については、人の上体背部に当接される(株)デルタツーリング製の背部体表脈波測定装置(商品名:Sleep Buster(登録商標))を用いて検出するこができ、指尖容積脈波、心拍についてはそれぞれ指尖容積脈波計、心電計を用いて検出することができる。
生体状態推定装置10は、図1に示したように、眠気指標演算手段11、睡眠の質情報取得手段12等を有して構成される。生体状態推定装置10はコンピュータから構成され、眠気指標演算手段11として機能する眠気指標演算手順、睡眠の質情報取得手段12として機能する睡眠の質情報取得手順を実行させるコンピュータプログラムが設定される。なお、コンピュータプログラムは、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体へ記憶させて提供することもできるし、通信回線を通じて伝送することも可能である。
眠気指標演算手段11は、生体信号測定装置1から得られた生体信号に時系列データに所定の処理を施して自律神経活動を反映する自律神経評価指標を求めると共に、この自律神経評価指標から眠気指標を得る手段である。例えば、心臓の拍動間隔であるR波とR波の間隔(RR間隔)の変動は、上記のように自律神経活動を反映するものであり、拍動間隔の短縮には交感神経系が大きく影響し、延長には副交感神経系が大きく影響している。従って、生体信号の時系列波形から、拍動間隔(RR間隔)のデータを求め、それを時系列化することにより、交感神経系が優位な時間帯、副交感神経系が優位な時間帯を明確化でき、自律神経活動の評価指標となる。RR間隔は、心電図により求められることはもとよりであるが、末梢血管の運動である指尖容積脈波からも間接的に求めることができる。背部体表脈波ももちろん心臓と大動脈の運動から生じる圧力振動であり、所定の処理を施してRR間隔を求めることができる。図2(a)は、心電図の波形の例を示し、図2(b)は指尖容積脈波の波形の例を示したものである。
RR間隔の時系列データは、例えば、指尖容積脈波から求める場合、指尖容積脈波のデータの中から所定以上の振幅のピークを抽出し、抽出したピークの時間間隔をRR間隔のデータとして求め、RR間隔を求める2つのピーク取得時刻のうちの後方ピークの取得時刻を基準として求めていく。但し、このようにして求めたRR間隔の時系列データそれぞれの取得時刻は等時間間隔ではないため、所定のサンプリング周期で線形補間を行うことが好ましい。図3(a)は、線形補間前のRR間隔の時系列データの一例であり、図3(b)は、図3(a)のデータに線形補間を施した時系列データを示している。
眠気指標演算手段11は、本実施形態では2つの手段(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)を用いている。第1眠気指標演算手段111は、自律神経評価指標であるRR間隔(線形補間されたRR間隔)の変動から眠気指標を求める手段である。人は眠くなると副交感神経が亢進することから、線形補間されたRR間隔(以下、「線形RR間隔」)が所定以上長くなったことは眠気が増したことの指標となる。ここで、佐藤らの「長時間トラック運転労働における心拍変動」(北方産業衛生、No.43(2001)、pp.1−7)において、長時間トラック運転に関して、深夜の運転中及び翌日の日中の運転中に、心拍数の漸減と同時にRR50が増加することが確認されている。ここでいう「RR50」とは、線形RR間隔が直前に比べて50ms以上変化することが一定時間内に発生する回数と定義されている。心拍数の漸減は眠気と相関があるため、RR50も眠気との相関が高い可能性があり、その点についての検討したところ、RR50が主観的な眠気と強い相関を示すことが確認できたとする一方で、十分な相関があるとは言えない事例も見られたとしている。線形RR間隔の差分を100ms(「RR100」)に設定した研究事例(「A Method of Sleepiness Estimate by Using Bayesian Estimation」 S.Miyazaki, S.Kaneko)もあるが、その場合も主観的な眠気との相関の点では十分な相関が見られないものがあった。
一方、RR50、RR100の手法をさらたに発展させた天田らの指標「RRIX_M」が知られている(「入眠予兆現象捕捉法の研究」、東京大学卒業論文、2014、天田直弥、金子成彦)。これは、RR50、RR100において実施されていた指標作成時の直前1分間における線形RR間隔の変化の回数を検出するだけでなく、より長期的に変化を捉えるものである。すなわち、RRIX_Mは、直前のM分間のうち線形RR間隔のRRIの差分の絶対値がX(ms)を超えた場合を抽出し、その回数をM分間における眠気指標として捉える。線形RR間隔のRRIの差分の絶対値がX(ms)を超えた回数の多い時間帯ほど、分析対象のM分間における眠気が高いことを示す。図4は、実験開始3分後において、その直前3分間における線形RR間隔の差分の絶対値が30msを超えた回数を調べる場合(RRI30_3)の抽出事例を示したものである。
「RRIX_M」によって求められる眠気指標は、眠気の長期のトレンドを把握できるため、RR50、RR100よりも主観的な眠気への相関が高い結果が得られる。しかしながら、拍動間隔の個人差等により、RRI差分X、変化期間Mの値を一意に決めてしまうと、被験者によっては眠気との相関性が十分とれなくなるおそれがある。本実施形態は、RRI差分X、変化期間Mの値をより適切な値として実際の眠気との一致度合いを高める工夫を行ったことを特徴とする。この適切な値を定める手段については後述することとし、次に、本実施形態で用いた第2眠気指標演算手段112について説明する。
第2眠気指標演算手段112は、心拍のゆらぎ成分のうちの高周波成分(HF)を利用する手段である。心拍は常に一定ではなく、1拍毎にゆらぎがあり、そのゆらぎ成分のうち、高周波成分をHFと呼び、低周波成分をLFと呼ぶ。そして、LF/HFが交感神経活動を、HFが副交感神経活動をそれぞれ反映する。本実施形態では、図5(a)に示したように、線形補間されたRR間隔の時系列データをウェーブレット解析してパワースペクトル密度を求め、0.15〜0.40Hzの範囲の積分値によりHFを求め、0.05〜0.15Hzの範囲の積分値によりLFを求めた。図5(b)は、HFの時系列データを求めたものである。天田らは指標「HFY_M」(「入眠予兆現象捕捉法の研究」、東京大学卒業論文、2014、天田直弥、金子成彦)も提唱している。これは、指標作成時の直前のM分間のうちHFの変化の絶対値がY(msec)を超えた回数を測定し、その回数を眠気指標とするものである。すなわち、HFY_Mは、直前のM分間のうちHFの差分の絶対値がY(msec)を超えた場合を抽出し、その回数をM分間における眠気指標として捉える。図6は、実験開始21分後において、その直前4分間におけるHFの差分の絶対値が20msecを超えた回数を調べる場合(HF20_4)の抽出事例を示したものである。
睡眠の質情報取得手段12は、眠気指標演算手段11(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)を用いて眠気の状態分析を行う分析対象時間帯より前における被験者の睡眠時の質を評価する手段である。「分析対象時間帯より前における被験者の睡眠」とは、数分から数十分程度の短時間の睡眠ではなく、所定時間以上の睡眠であり、レム睡眠及びノンレム睡眠の睡眠周期が少なくとも1サイクル(平均で約90分)は伴う睡眠を意味する。典型的には、分析対象時間帯の前日にける通常の夜間睡眠、すなわち、3サイクル〜5サイクル前後の睡眠周期を伴う睡眠を指す。「睡眠の質」とは、このような睡眠時において「深い睡眠」の時間的割合であり、睡眠の質情報取得手段12はその割合を評価する。ここでいう「深い睡眠」とは、睡眠段階3,4の徐波睡眠をいい、睡眠の質情報取得手段12は、全睡眠時間に対する徐波睡眠の割合を評価する。
睡眠の質情報取得手段12は、睡眠の状況を測定できる装置からそれらの情報を得る。具体的には、被験者に睡眠情報記録装置2を付設し、睡眠の質情報取得手段12は、この睡眠情報記録装置2から出力される各種情報(睡眠開始時刻、起床時刻、睡眠時間、睡眠深度等)を取得して記憶する。なお、睡眠情報記録装置2としては、脳波計などを用いることができるが、簡易な装置として、Trinity社製、商品名「UP by JAWBONE」と呼ばれるライフログツールを用いることもできる。
眠気指標演算手段11(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)により眠気指標を求める場合、上記のように、第1眠気指標演算手段111では、RRI差分X及び変化期間Mの値の決定、第2眠気指標演算手段112では、HF差分Y及び変化期間Mの値の決定が必要となるが、本実施形態では、これを上記の睡眠の質情報取得手段12において取得した睡眠の質情報を加味して決定する。すなわち、眠気指標演算手段11(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)は、眠気指標を求める演算を行う際に、睡眠の質情報取得手段12において取得した睡眠の質情報にアクセスして演算条件となる上記各値を決定する。
本実施形態では、後述の実験例の実験結果に基づいてこれらの値を決定した。具体的には、睡眠の質情報取得手段12が睡眠情報記録装置2から取得した深い睡眠の時間的な割合に関する情報が、所定の範囲の場合には、眠気指標演算手段11である第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112は、いずれも、時間幅(変化期間M)を所定時間幅以上に設定し、深い睡眠の時間的な割合が、所定の範囲を下回る場合と上回る場合には、時間幅(変化期間M)を上記所定時間幅よりも短い時間幅で設定する。後述の実験例から、より具体的には、深い睡眠の時間的な割合が所定の範囲を下回る25%以下、及び、所定の範囲以上である45%以上の場合をいずれも条件1とし、時間幅(変化期間M)を1〜3分に設定することが好ましく、所定の範囲である25%と45%との間(25%〜45%)の場合には、条件2として、時間幅(変化期間M)を5〜7分に設定することが好ましい。
(実験例)
・実験条件
まず、被験者AからGについて、実験実施日の前日の睡眠を睡眠の質情報取得手段12が睡眠情報記録装置2から取得し、深い睡眠の時間的な割合により、上記した条件1及び条件2に分類した。結果を表1〜3に示す。なお、被験者AからGの年齢、身長、体重、性別は表4のとおりである。睡眠情報記録装置2は、上記のTrinity社製、商品名「UP by JAWBONE」を用いた。
実験実施日における実験方法は次のとおりである。
まず、実験実施日の昼食を12時から13時の間にとってもらい、実験の開始時刻は14時頃から16時頃とした。実験直前の約10分間は、着座状態で安静に待機させてリラックスさせ、60分間実験を行った。
実験は、室温約20℃に保たれた直射日光のあたらない部屋で行い、照明は常に消した状態として、実験室の扉を閉じて密室空間とした。また、自動車運転中の状態を再現するため、ハンドル、アクセルを設置すると共に、被験者の正面にディスプレイを設置し、高速道路運転中の動画を見させて行った。なお、被験者が経過時間を把握することを防ぐため、腕時計、携帯電話、スマートフォン等は身に付けず、ディスプレイにも時刻表示がなされないようにした。
実験中、被験者は、左手の人差し指に脈波測定用センサー(NOHIN社製、成人用フィンガークリップセンサー8000AA)を装着して指尖容積脈波をサンプリング周波数200Hzで測定した。
被験者の眠気は、眠気評価のぶれを減らすため、被験者がボタンを押す行為を伴う主観眠気ではなく、顔表情から眠気を判断する客観眠気を評価した。眠気の判断基準は、瞳孔の見えている割合等をもとに、図7のフローチャートに従って行った。顔表情は赤外線カメラにより撮影し、1分毎に、覚醒、少し眠い、眠い、睡眠中の4段階で判断して記録した。
また、第1眠気指標演算手段111では、「RRIX_M」について、RRI差分Xを20から50まで5刻みに変え、変化期間Mを1から7まで変えて指標を求め、第2眠気指標演算手段112では、指標「HFY_M」について、HF差分Yを5から30まで5刻みに変え、変化期間Mを1から7まで変えて指標を求めた。第1眠気指標演算手段111及び第2眠気指標演算手段112によって求めた各指標と被験者の眠気との相関を調べ、相関係数を求めた。
・実験結果
a)第1眠気指標演算手段111における「RRIX_M」について
(1)深い眠りの割合が25%以下及び45%以上の条件1に係る被験者集団、すなわち、眠りが浅いか、逆に熟睡時間の長い人の集団の場合
代表事例を図8〜図9に示す。いずれも、横軸が変化期間Mで、縦軸がRRIX_Mにより求めた演算結果と眠気レベルと相関係数であり、RRI差分Xの値毎に示したものである。図8は、被験者Hの12月8日のデータであり、図9は被験者Aの12月8日のデータである。
まず、図8を見ると、RRI差分Xの値に拘わらず、変化期間Mが大きくなるにつれて眠気レベルとの相関係数が低くなる傾向にある。図9では、全体のうち、相関係数の高いRRI差分X=20〜35msに注目すると、変化期間M=2minのときに最大となり、変化期間Mが大きくなるにつれて相関係数が減少している。他の被験者でもこれらと同様の傾向が見られ、この集団の共通点は、変化期間Mの値が1〜3minという小さい値の場合に眠気レベルとの相関係数が高いことがわかった。
(2)深い眠りの割合が25%〜45%(25%超45%未満)の条件2に係る被験者集団の場合
図10〜図11が代表事例であり、このうち、図10は、被験者Bの12月7日のデータであり、図11は被験者Aの12月11日のデータである。
図10から、変化期間Mの値が大きいほど、眠気レベルとの相関係数が高いことがわかる。この傾向は他の被験者でも同様であった。図11は、図9と同じ被験者Aのデータであるが、同じ被験者であっても、最大相関係数を示す値が、X、Mのいずれも異なっている。これは、同じ被験者であっても、前日の睡眠における深い眠りの割合によって、眠気推定を行う際のX、Mの値を変えることにより、より相関性の高い結果が得られることを示すものである。
b)第2眠気指標演算手段112における「HFY_M」について
(1)深い睡眠の割合が25%以下及び45%以上の条件1に係る被験者集団、すなわち、眠りが浅いか、逆に熟睡時間の長い人の集団の場合
代表事例を図12〜図13に示す。図12は、図8と同じ被験者Hの12月8日のデータであり、変化期間Mが3以下の小さいときの方が、眠気との相関が高い傾向にある。図13は、被験者Bの11月27日のデータであり、変化期間M=3のときに相関係数が最大で、Mが大きくなるにつれて相関係数が小さくなっている。なお、図12及び図13のデータでは、相関係数が負になる場合があり、HF差分Y及び変化期間Mの値の設定によっては、適切な眠気推定結果が得られないことがわかる。
(2)深い睡眠の割合が25%〜45%(25%超45%未満)の条件2に係る被験者集団の場合
図14〜図15が代表事例であり、このうち、図14は、被験者Eの12月11日のデータであり、図15は、図13と同じ被験者Bの12月7日のデータである。いずれも、変化期間Mが大きくなるほど相関係数が高くなる傾向が見られる。また、被験者Bについて、深い眠りの割合が条件2に分類される図15の12月7日のデータと、深い眠りの割合が条件1に分類される図13の11月27日のデータとを比較すると、同じ被験者であっても、前日の深い眠りの割合によってY、Mの値を異ならせることで、より高い相関が得られることがわかる。
c)条件1,2のいずれにも当てはまらない事例
図16及び図17は、12月10日の被験者Cのデータであり、図16は第1眠気指標演算手段111における「RRIX_M」で求めた眠気指標に関するデータで、図17は第2眠気指標演算手段112における「HFY_M」で求めた眠気指標に関するデータである。
被験者Cの12月10日の前日の深い睡眠の割合は48.4%であり、本来、条件1に相当する結果が得られるはずである。しかしながら、図16及び図17共に、変化期間Mの値が大きくなるほど相関係数が高くなっており、条件1の他の事例とは異なる傾向を示した。すなわち、前日の深い睡眠の割合の結果に従って条件1で推定すると、被験者Cの12月10日の実験の場合、相関性の高い眠気推定を行うことができない。これは、上記の睡眠情報記録装置2であるライフログツールの装着が正しくないなど、被験者Cの前日の睡眠の質の計測が正確ではなかったことによるか、あるいは、ライフログツールを装着した夜の睡眠以外に居眠りをしていて、実際の合計睡眠時間が計測値と異なるものであったことによるものと考えられる。
上記の実験から、前日の睡眠の質情報によって使いわけることで、各被験者の指標と眠気の相関が大きくなることがわかった。すなわち、眠気指標を求める際の変化期間M(min)を、「RRIX_M」及び「HFY_M」のいずれの場合も、前日の深い睡眠の割合が条件1に当てはまる場合には、1〜3分に設定し、条件2に当てはまる場合には、5〜7分に設定すると、より高い相関が得られる。この変化期間Mの値と、RRI差分X、HF差分Yの値について、できるだけ多くの被験者にとってより高い相関係数が得られる指標をまとめると、表5のとおりである。
また、表5で選択した、前日の深い睡眠の割合が条件1に相当する場合に用いる指標及び条件2に相当する場合に用いる指標の両方を、全ての実験データに当てはめて相関係数を求めたものが表6である。
表6から、実験前日の睡眠の質情報によって分類して、変化期間Mの値を適用し、より好ましくは、RRI差分X、HF差分Yの値も分類して適用することで、相関係数の高い眠気推定結果が得られることがわかる。なお、被験者Fの11月24日の実験は条件1に分類される。相関係数0.2以下の場合、眠気レベルとの間に相関がないと言えるので、それを除外すると、11月24日の被験者Fは、条件1、条件2のいずれに分類してもそれほど変わらないが、深い睡眠の割合に従って条件1で分類したものである。
図18〜図19は、条件1に分類して求めたRRI20_2、HF5_2による眠気推定結果と、顔表情による4段階の眠気レベルとの相関の高い事例を示し、図20〜図21は、条件2に分類して求めたRRI25_7、HF5_7による眠気推定結果と、顔表情による4段階の眠気レベルとの相関の高い事例を示す。
これらの図から、本実施形態の生体状態推定装置10において、眠気指標演算手段11(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)により出力される眠気推定結果が、睡眠の質情報取得手段12によって上記条件1,2に分類して変化期間M、RRI差分X、HF差分Yの値を選択して適用しているため、被験者の眠気レベルとの相関性の高く、本実施形態の生体状態推定装置1は、従来よりも精度の高い眠気推定を行うことができると言える。
なお、上記実施形態においては、眠気指標演算手段11として、拍動間隔(RR間隔)のデータを求める手段を用いているが、眠気指標を抽出可能な自律神経評価指標がこれに限定されるものではないことはもちろんである。
例えば、眠気指標演算手段11としては、周波数傾き時系列波形を求める手段が挙げられる。生体信号測定装置1として、例えば背部体表脈波測定装置から得られる背部体表脈波(APW)の時系列波形(以下、「原波形」というが、ここでいう原波形には、体動等の分析に使用しない成分をフィルタリング処理した後の波形の場合も含む))から周波数の時系列波形を求めた後、周波数の時系列波形をスライド計算して周波数傾き時系列波形を求める。
周波数傾き時系列波形を求める手法としては、本出願人による上記特許文献1及び2に開示されているように、背部体表脈波(APW)の時系列波形において、正から負に切り替わる点(ゼロクロス点)を用いる手法(ゼロクロス法)と、背部体表脈波(APW)の時系列波形を平滑化微分して極大値(ピーク点)を用いて時系列波形を求める方法(ピーク検出法)の2つの方法がある。
ゼロクロス法では、ゼロクロス点を求めたならば、それを例えば5秒毎に切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形のゼロクロス点間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する。そして、この5秒毎に得られる周波数Fを時系列にプロットすることにより、周波数の変動の時系列波形を求める。
ピーク検出法では、背部体表脈波(APW)の上記原波形を、例えば、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により極大値を求める。次に、例えば5秒ごとに極大値を切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形の極大値間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する。そして、この5秒毎に得られる周波数Fを時系列にプロットすることにより、周波数の変動の時系列波形を求める。
そして、ゼロクロス法又はピーク検出法により求められた周波数の変動の時系列波形から、所定のオーバーラップ時間で所定の時間幅の時間窓を設定し、時間窓毎に最小二乗法により周波数の傾きを求め、その傾きの時系列波形を出力する。このスライド計算を順次繰り返し、APWの周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する。
背部体表脈波(APW)は、中枢系である心臓の制御の様子を主として含む生体信号、すなわち、動脈の交感神経支配の様子、並びに、交感神経系と副交感神経系の出現情報を含む生体信号であり、ゼロクロス法により求めた周波数傾き時系列波形は、心臓の制御の状態により関連しており、交感神経の出現状態を反映しているが、ピーク検出法により求めた周波数傾き時系列波形は、心拍変動により関連している。従って、入眠予兆現象やあくびなどの眠気を示す兆候は、ゼロクロス法を用いて求めた周波数傾き時系列波形の変化傾向(振幅が所定以上の拡大を示した後、収束傾向を示すか否か、あるいは、周期が長くなる傾向にあるか等)から抽出することができる。また、ピーク検出法を用いて求めた周波数傾き時系列波形が心拍変動に関連していることから、上記実施形態におけるRR間隔を求めるのに有効である。
このようにして周波数傾き時系列波形を求める場合、上記のように、所定の時間幅でスライド計算を行うが、この時間幅の設定に当たって、睡眠の質情報取得手段12から得られる「分析対象時間帯より前における被験者の睡眠」における質を考慮することが好ましい。すなわち、上記実験結果から、深い睡眠の割合が25%以下及び45%以上の条件1に該当する場合には、スライド計算の時間幅(上記実験の変化期間M)を短い時間(例えば、3分)に設定し、深い睡眠の割合が25%〜45%(25%超45%未満)の条件2に該当する場合には、スライド計算の時間幅(上記実験の変化期間M)を長い時間(例えば、6分)に設定するというように演算条件を異ならせて、眠気指標を抽出することが好ましい。上記実験における条件1は、熟睡時間の短い場合と熟睡時間が長い被験者が含まれるため(表1参照)、熟睡できずに体調が悪い場合と熟睡して体調のよい場合には時間幅を短めにし、普通程度の体調か若干熟睡できなかったと感じる場合に時間幅を長めに設定するといった分類により演算条件を異ならせることも可能である。
上記実施形態の眠気指標演算手段12から得られる眠気指標は、眠気の質情報取得手段12から得た眠気の質である深い睡眠の割合を考慮しているため、実際の眠気との相関性が高い。そこで、次に、この眠気指標演算手段12から得られる眠気指標を、眠気レベル1〜4(眠気レベル1:覚醒、眠気レベル2:少し眠い、眠気レベル3:眠い、眠気レベル4:睡眠中)に変換して眠気レベルを判定する実施形態について説明する。
本実施形態では、図22に示したように、生体状態推定装置10が、眠気指標演算手段12(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)の出力結果である眠気指標を眠気レベルに変換する眠気レベル判定手段13を有している。すなわち、コンピュータから構成される生体状態推定装置10に、眠気レベル判定手段13として機能する眠気レベル判定手順を実行させるコンピュータプログラムが設定されている。
本実施形態の眠気レベル判定手段13は、眠気指標演算手段12(第1眠気指標演算手段111、第2眠気指標演算手段112)の出力結果である眠気指標のうち、表7に示した各指標を用いて判定する。
具体的には、図23に示したように、まず、各指標に対応する教師データに相当するデータセットを作成する。次いで、そのデータを用いて正準判別分析を行い、正準判別関数を3つ作り、3つの関数をもとに正準判別量を各眠気レベルの群を離してプロットして判別マップを作成する。そして、新たに被験者から得られた分析対象時間帯の生体信号をもとに、眠気指標演算手段12によって求めた眠気指標を正準判別関数に代入し、最も近い眠気レベルを判定する。図24は、判別マップの一例であり、被験者Aの11月25日のデータを教師データとしたときの判別マップである。なお、図の横軸を正準判別関数1、縦軸を正準判別関数2としており、正準判別関数3は判別に影響がないので省略され、2軸平面としている。
本実施形態では、2つの手法で眠気レベルを判定した。一方の手法は、被験者個人毎に、初回の実験のデータを利用して教師データセットを作成した(個人の教師データセットによる推定)。当該被験者が条件1又は条件2に該当する実験回数が3回以上の場合は、初回の実験又は初回と2回目の実験を教師データセットに用い、残りの実験において眠気レベル判定を行った。他方の手法は、判定対象の被験者のデータ以外の全ての被験者のデータを用いて教師データセットを作成した(一般の教師データによる推定)。なお、眠気レベルは、データ数だけ算出されるが、そのままプロットすると状態把握が却って困難になるため、1分毎に平均してプロットした。
なお、表7及び後述の判定結果において示されている「MAKe」は、参考指標として採用したものであり、基準電位と眼周辺の電位差を利用するEOG法によって測定(本実施形態では、「生体情報収録装置 Polymate II AP216」に標準付設のACT生体電極を利用して測定)した眼球運動から求めた眠気指標である。具体的には、サンプリング周波数200Hzで計測した眼球運動波形を2000点毎に取り出し、FFTを行い周波数に対応するスペクトル密度を計算する。得られたパワースペクトル密度のうち、0〜0.3Hzの積分値をLFe、3〜10Hzの積分値をHFeとして計算する。そして、Ke=LFe/(HFe+KFe)が眠気と相関があり、Keの値が1に近づくほど眠気が大きくなる(「眼球運動センシングによる自動車運転時の眠気評価と覚醒刺激に関する研究」、東京大学博士論文、2009、有光知里)。しかし、Keをそのまま用いると変化が激しいため、本実施形態では、直前500点の単純移動平均を求めトレンドを見るようにし、その指標を「MAKe」としている(図25参照)。
表8、表9は、本実施形態において眠気レベルを判定する、上記実施形態の指尖容積脈波を用いた被験者指標「RRI_X」又は「HFY_M」と眠気の相関、及び、眼球運動を用いた指標「MAKe」と眠気との相関をまとめて示したものである。表8は条件1に関するデータで、表9は条件2に関するデータである。
次に、本実施形態の眠気レベル判定手段13によって出力される推定眠気レベルの判定結果を説明する。
(1)条件1の被験者の眠気レベルの判定結果
被験者個人の教師データによる推定成功率(顔表情評価による眠気(以下、場合により「顔表情眠気」と略記)と推定眠気レベルとの一致率)及び顔表情評価による眠気との相関係数を表10の上段に示し、当該被験者を含まない一般の教師データによる推定成功率及び顔表情による眠気との相関係数を表10の下段に示す。
a)被験者Aの判定結果
表11は、11月25日の被験者Aのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数である。分散の割合が大きい関数が眠気レベルをよく判別できているということになる。個人の教師データを用いた推定眠気レベルは、指標RRI20_3、RRI20_2、MAKeの影響が大きいということが判別関数1の構造行列の大小関係の比較でわかる。
表12は、被験者A以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数を示している。この一般の被験者の教師データを用いた推定眠気レベルでは、MAKeの影響が最も大きかった。

図26は、11月25日の被験者Aのデータを教師データセットした判別分析をもとに、12月8日の被験者Aの推定眠気レベルを判定した結果であり、図27は、被験者A以外の一般の教師データセットとした判別分析をもとに、12月8日の被験者Aの推定眠気レベルを判定した結果である。
これらの図から、眠気の変化の傾向は両者ともに概ね捉えられていることがわかる。定量的に見てもそれぞれの相関係数が0.68、0.80であることから、眠気の変化を捉えることができている。但し、本来20分頃から入眠しているが、推定眠気レベルでは10分頃から眠気レベル4「睡眠中」を示しており、眠気レベルの判定精度の点では改善の余地がある。
b)被験者Fの判定結果
表13は、11月24日の被験者Fのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数である。MAKeの値から、眼球運動のデータの影響が大きいことがわかる。
表14は、被験者F以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数を示している。この一般の被験者の教師データを用いた推定眠気レベルでは、判別関数の分散の割合が97.2%となっており、判別関数1によってほぼ判別されていることがわかる。またその主因子がMAKeだということもわかる。
図28は、11月24日の被験者Fのデータを教師データセットした判別分析をもとに、1月14日の被験者Fの推定眠気レベルを判定した結果である。
図28から、顔表情眠気レベルが14分頃の眠気レベル4「睡眠中」になるのに合わせて推定眠気レベルも上昇しており、33分頃の眠気レベル1「覚醒」になっている箇所は明確に推定できている。従って、概ね眠気の変化の傾向は捉えることができることがわかる。相関係数も0.79と高く、推定眠気レベルが、顔表情眠気と相関があることがわかる。但し、推定眠気レベルは、顔表情眠気で眠気レベル4「睡眠中」に至る前にそのことを捉えているわけではないので、入眠予兆を捉えるということはできていない。
図29は、被験者F以外の一般の教師データセットとした判別分析をもとに、1月14日の被験者Fの推定眠気レベルを判定した結果である。こちらも相関係数は0.77と高い値を示しているが、顔表情眠気での眠気レベル4「睡眠中」を、推定眠気レベでは推定できていない。
c)被験者Gの判定結果
表15は、12月10日の被験者Gのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数である。被験者Gの場合、判別関数1の構造行列に着目するとRRI20_2の係数が最も大きく、他のどの指標も複合的に推定に使われていることがわかる。
しかし、表16の被験者G以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数では、被験者A、被験者Fと同様に、MAKeの影響が大きいことがわかる。
図30は、12月10日の被験者Gのデータを教師データセットした判別分析をもとに、1月19日の被験者Gの推定眠気レベルを判定した結果である。図31は、被験者G以外の一般の教師データセットとした判別分析をもとに、1月19日の被験者Gの推定眠気レベルを判定した結果である。
いずれも、長時間寝ている時間帯を推定眠気レベルが判定しており、被験者A、被験者Fと比べて高い推定正解率、相関関数を示している。また、個人による推定よりも一般による推定の方が精度が向上していると共に、顔表情眠気で眠気レベル4「睡眠中」に至る数分前に推定眠気レベルは眠気レベル4に至っており、入眠予兆も検出できていると言える。
以上より、参考指標MAKeは、個人はもちろん一般による推定でも推定眠気レベルの判定精度が高いことがわかる。これに対し、脈波は、被験者ごとの個人差が眼球運動よりも大きいと考えられるが、前日の睡眠の質を考慮した本発明によれば、脈波を用いた場合でも、少なくとも、個人による推定ではMAKeを用いた場合に匹敵する精度で眠気レベルを推定できると言える。
(2)条件2の被験者の眠気レベルの判定結果
表17に、条件2に該当する被験者について、個人で推定した眠気と顔表情眠気の比較によって算出された推定正解率及び相関係数、及び、当該被験者を含まない一般の教師データによる推定成功率及び顔表情による眠気との相関係数を示す。なお、個人による推定では、同一被験者で条件2に3回該当する場合、1回学習させた場合と、2回学習させた場合について判定を行った。
a)被験者Dの判定結果
表18は、12月12日の被験者Dのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数である。被験者Dの場合、個人による推定の際の判別関数1の係数に着目すると、MAKeの係数が最も大きく、被験者Dの教師データによる推定もMAKeの影響が大きいことがわかる。また、判別関数2の分散の割合が30.2%となっており、判別関数2を含めた平面的な判別が行われていた。
表19は、被験者D以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数を示している。分散の割合は、判別関数1が98.9%と高く、判別関数1でほとんど判別され、MAKeの影響が大きかった。
図32は、12月12日の被験者Dのデータを教師データセットした判別分析をもとに、12月13日の被験者Dの推定眠気レベルを判定した結果である。推定眠気は、22分の入眠を事前に捉えていることがわかる。28分頃には顔表情眠気が眠気レベル1「覚醒」に対して、推定眠気は眠気レベル4「睡眠中」を示しており、この部分では推定結果が妥当ではないが、その他の部分は眠気の変化の傾向と概ね一致しており、相関係数は0.58であった。
図33は、一般の教師データセットとした判別分析をもとに、12月13日の被験者Dの推定眠気レベルを判定した結果である。表17では、被験者の推定正解率が、一般による推定の方が個人による推定よりも高いが、図33を見ると、全体的に推定された眠気レベルの推定の値が低めになっていた。
b)被験者Fの判定結果
表20は、1月11日の被験者Fのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数であり、表21は、被験者F以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数を示している。いずれの場合も、MAKeの値から、眼球運動のデータの影響が大きいことがわかる。
図34は、1月9日の被験者Fのデータを教師データセットした判別分析をもとに、1月11日の被験者Fの推定眠気レベルを判定した結果である。推定眠気は、13分の入眠を事前に捉えていることがわかる。しかし、40分以降は顔表情眠気が眠気レベル1「覚醒」を示しているのに対し、推定眠気は眠気レベル3「眠い」を示しており、判定結果に乖離があった。
図35は、被験者F以外の一般の教師データセットとした判別分析をもとに、1月11日の被験者Fの推定眠気レベルを判定した結果である。全体的に眠気の傾向は捉えており、40分頃の眠気レベルが小さくなっている傾向も個人による推定より捉えていることがわかる。相関係数も、個人による推定「0.49」から一般による推定「0.66」へと上昇している(表17参照)。
c)被験者Gの判定結果
表22は、12月12日の被験者Gのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数であり、表23は、被験者G以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数を示している。いずれの場合も、MAKeの値から、眼球運動のデータの影響が大きいことがわかる。
図36は、12月12日の被験者Gのデータを教師データセットした判別分析をもとに、1月16日の被験者Gの推定眠気レベルを判定した結果である。入眠の予測はできていないが長時間の睡眠を捉えている。
図37は、被験者G以外の一般の教師データセットとした判別分析をもとに、1月16日の被験者Gの推定眠気レベルを判定した結果である。入眠の予測はできていないが、顔表情による眠気が眠気レベル4になった時点に対し、推定眠気が1分遅れで眠気レベル4になっているため、図36よりも高い精度で推定できている。
d)被験者Eの判定結果
表24は、12月11日の被験Eのデータによって作成された教師データの正準判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数である。被験者Eの場合、全ての実験で指標作成期間(7〜60分)において眠気レベル1「覚醒」に判定されることはなかった(図38参照)。このことから、眠気レベル2.3,4に分ける判別分析を行っており、判別関数は2種類となっている。個人による推定の際の判別関数1の係数に着目すると、1回学習させた場合ではMAKeの影響が大きかった。
しかし、表25に示したように、被験者Eの12月5日と12月9日の2回のデータを学習させた場合には、HF5_7とMAKeが同程度に影響を及ぼしていることがわかる。
表26は、被験者E以外の一般の被験者を教師データにした判別関数の正準相関、分散の割合及び構造行列係数を示しているが、この場合は、MAKeの値から、眼球運動のデータの影響が大きいことがわかる。
図38は、12月5日の被験者Eのデータを教師データセットした判別分析をもとに、12月11日の被験者Eの推定眠気レベルを判定した結果である。図39は、12月5日及び12月9日の2回の被験者Eのデータを教師データセットした判別分析をもとに、12月11日の被験者Eの推定眠気レベルを判定した結果である。
上記の表14によると、1回学習させたときよりも2回学習させたときの推定成功率が上昇しているが相関係数が低い。これは、図38、図39に示したように、顔表情による眠気では常に眠気レベル4であるのに対し、38分頃の推定眠気が大きく変動しているためである。この点、図40の一般による推定でも、同様の推定眠気と顔表情眠気のずれがあった。
以上より、条件2の被験者の場合、その多くが眼球運動の指標MAKeの影響が最も大きかった。しかし、個人差が眼球運動よりも大きい脈波であっても、前日の睡眠の質を考慮した本発明によれば、被験者Eのように、脈波のデータの影響が大きいものもあった。
1 生体信号測定装置
10 生体状態推定装置
11 眠気指標演算手段
111 第1眠気指標演算手段
112 第2眠気指標演算手段
12 睡眠の質情報取得手段
13 眠気レベル判定手段

Claims (8)

  1. 生体信号測定装置により測定された生体信号を用いて生体の状態を推定する生体状態推定装置であって、
    前記生体信号から自律神経評価指標を求め、この自律神経評価指標から眠気指標を求める眠気指標演算手段と、
    前記眠気指標演算手段により眠気指標を求める分析対象時間帯より前に生じた、1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における睡眠の質情報を取得する睡眠の質情報取得手段と
    を具備し、
    前記眠気指標演算手段が、前記睡眠の質情報取得手段から得られる睡眠の質情報に応じて演算条件を異ならせて前記眠気指標を求める手段であり、
    前記睡眠の質情報取得手段は、前記1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における深い睡眠の時間的な割合を取得し、
    前記眠気指標演算手段は、所定の時間幅毎に眠気指標を求め、その眠気指標を時系列に出力する手段であって、前記演算条件である前記所定の時間幅を、前記深い睡眠の時間的な割合に応じて異ならせて前記眠気指標を求めることを特徴とする生体状態推定装置。
  2. 前記深い睡眠の時間的な割合が、所定の範囲の場合には、前記眠気指標演算手段における時間幅を所定時間幅以上に設定し、前記深い睡眠の時間的な割合が、前記所定の範囲以下と所定の範囲以上の場合には、前記眠気指標演算手段における時間幅を前記所定時間幅よりも短い時間幅で設定する請求項記載の生体状態推定装置。
  3. 前記眠気指標演算手段から得られる眠気指標を眠気レベルに変換する眠気レベル判定手段をさらに有する請求項1又は2記載の生体状態推定装置。
  4. 前記眠気レベル判定手段は、予め、所定の眠気指標を用いて教師データを作成すると共に、その教師データを用いて正準判別分析を行って複数の正準判別関数を作成しておき、分析対象時間帯の生体信号について、前記眠気指標演算手段によって求められた眠気指標を、前記正準判別関数に代入して最も近い眠気レベルを判定する手段である請求項記載の生体状態推定装置。
  5. コンピュータに、生体信号測定装置により測定された生体信号を用いて眠気を推定する手順を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記眠気を推定する手順として、
    前記生体信号から自律神経評価指標を求め、この自律神経評価指標から眠気指標を求める眠気指標演算手順と、
    前記眠気指標演算手順により眠気指標を求める分析対象時間帯より前に生じた、1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における睡眠の質情報を取得する睡眠の質情報取得手順と
    を実行させる構成であり、
    前記眠気指標演算手順が、前記睡眠の質情報取得手順の実行により得られる睡眠の質情報に応じて演算条件を異ならせて前記眠気指標を求める手順であり、
    前記睡眠の質情報取得手順は、前記1サイクル以上の睡眠周期を伴った睡眠時間帯における深い睡眠の時間的な割合を取得し、
    前記眠気指標演算手順は、所定の時間幅毎に眠気指標を求め、その眠気指標を時系列に出力する手順であって、前記演算条件である前記所定の時間幅を、前記深い睡眠の時間的な割合に応じて異ならせて前記眠気指標を求めるコンピュータプログラム。
  6. 前記深い睡眠の時間的な割合が、所定の範囲の場合には、前記眠気指標演算手順における時間幅を所定時間幅以上に設定し、前記深い睡眠の時間的な割合が、前記所定の範囲以下と所定の範囲以上の場合には、前記眠気指標演算手順における時間幅を前記所定時間幅よりも短い時間幅で設定する請求項記載のコンピュータプログラム。
  7. 前記眠気指標演算手順から得られる眠気指標を眠気レベルに変換する眠気レベル判定手順をさらに実行する請求項5又は6に記載のコンピュータプログラム。
  8. 前記眠気レベル判定手順は、予め、所定の眠気指標を用いて教師データを作成すると共に、その教師データを用いて正準判別分析を行って複数の正準判別関数を作成しておき、分析対象時間帯の生体信号について、前記眠気指標演算手順の実行によって求められた眠気指標を、前記正準判別関数に代入して最も近い眠気レベルを判定する請求項記載のコンピュータプログラム。
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