JP6556834B2 - レジスト除去液、レジスト除去方法、再生半導体基板の製造方法 - Google Patents

レジスト除去液、レジスト除去方法、再生半導体基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、レジスト除去液、レジスト除去方法および再生半導体基板の製造方法に関する。
半導体素子の製造工程には、リソグラフィ工程などの工程が含まれている。このような工程の終了後、または、次の工程に移る前に、例えば、基板表面に存在するレジストを除去する処理が実施されることがある。
上記のようなレジストの除去には、例えば、特許文献1においては、カラーレジストを除去するための洗浄剤組成物が開示されている。より具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含む洗浄剤組成物が開示されている。
韓国公開特許第2014−0113114号公報
上述した半導体素子の製造おいて、半導体基板に設けられた永久膜としてのレジストを形成した後、この永久膜の除去が求められる場合がある。具体的には、形成された永久膜に製造上の欠損等があると、半導体基板の全体からこれらの永久膜を除去して、半導体基板を再利用(再生)することが考えられる。ここで、永久膜としてのレジストとしては、微細加工されたカラーフィルタ、透明絶縁膜、樹脂製のレンズなどが挙げられ、固体撮像素子や画像表示素子の製造に適用される。
本発明者らは、特許文献1に記載の洗浄剤組成物を使用して、各種レジストが配置された半導体基板の洗浄を実施した際に、レジストの除去が十分でない場合があることを知見した。特に、その表面にオーバーコート層など各種機能層をパターン状に配置した半導体基板上にカラーフィルタなどのレジストが配置されている場合に、これらのレジストが除去しづらい場合があることを知見している。
そこで、本発明は、各種レジストの除去に優れるレジスト除去液、ならびにこれを用いたレジスト除去方法および再生半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含有するレジスト除去液を用いることで、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
第4級アンモニウム化合物を含有するレジスト除去液であって、
上記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含む、レジスト除去液。
[2]
上記第4級アンモニウム化合物Aの含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.05質量%以上0.2質量%未満である、上記[1]に記載のレジスト除去液。
[3]
上記第4級アンモニウム化合物Aの質量に対する、上記第4級アンモニウム化合物Bの質量の割合が、25超である、上記[1]または[2]に記載のレジスト除去液。
[4]
エタノールアミンを実質的に含有しない、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[5]
さらに、有機溶媒を含有する、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[6]
上記有機溶媒が、非プロトン性極性溶媒を含む、上記[5]に記載のレジスト除去液。
[7]
上記有機溶媒が、ジメチルスルホキシドを含む、上記[5]または[6]に記載のレジスト除去液。
[8]
上記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、70〜99.5質量%である、上記[5]〜[7]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[9]
上記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、80〜99質量%である、上記[5]〜[8]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[10]
上記第4級アンモニウム化合物Aが、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムの少なくとも一方を含み、
上記第4級アンモニウム化合物Bが、水酸化テトラプロピルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムの少なくとも一方を含む、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[11]
上記第4級アンモニウム化合物Aが、水酸化テトラメチルアンモニウムを含み、
上記第4級アンモニウム化合物Bが、水酸化テトラブチルアンモニウムを含む、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[12]
さらに、腐食防止剤を含有する、上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[13]
上記腐食防止剤が、シラン化合物、および、カルボキシ基またはその塩を有する環状化合物、の少なくとも一方を含む、上記[12]に記載のレジスト除去液。
[14]
上記環状化合物が、芳香族複素環式化合物である、上記[13]に記載のレジスト除去液。
[15]
上記シラン化合物が、アルコキシシラン化合物である、上記[13]に記載のレジスト除去液。
[16]
さらに、無機アルカリ化合物を含有する、[1]〜[15]のいずれかに記載のレジスト除去液。
[17]
上記無機アルカリ化合物が、水酸化カリウムである、[16]に記載のレジスト除去液。
[18]
上記無機アルカリ化合物の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.00001〜1.0質量%である、[16]または[17]に記載のレジスト除去液。
[19]
上記無機アルカリ化合物の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.0001〜0.1質量%である、[16]〜[18]のいずれかに記載のレジスト除去液。
[20]
永久膜の除去に用いられる、上記[1]〜[19]のいずれか1つに記載のレジスト除去液。
[21]
上記[1]〜[20]のいずれか1つに記載のレジスト除去液を用いて、レジストを除去する、レジスト除去方法。
[22]
上記レジストが、永久膜である、上記[21]に記載のレジスト除去方法。
[23]
半導体基板上に設けられたレジストを上記[21]または[22]に記載のレジスト除去方法で除去することにより、上記半導体基板から上記レジストが除去された再生半導体基板を得る工程を含む、再生半導体基板の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、各種レジストの除去に優れるレジスト除去液、ならびにこれを用いたレジスト除去方法および再生半導体基板の製造方法を提供することができる。
図1Aは実施例で用いた除去試験前のテストウェハを模式的に示す側面図である。 図1Bは実施例で用いた除去試験後のテストウェハを模式的に示す側面図である。
以下に、本発明のレジスト除去液について説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子群)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。このことは、各化合物についても同義である。
また、本明細書中における「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV(Extreme ultraviolet)光)、X線、電子線等を意味する。また、本明細書において光とは、活性光線または放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、特に断らない限り、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
[レジスト除去液]
本発明のレジスト除去液は、第4級アンモニウム化合物を含有するレジスト除去液であって、上記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含む。
本発明者らは、従来技術において、十分にレジストが除去できない原因について検討を行ったところ、種々のレジストが配置される基板上の特性が影響していることを知見している。より具体的には、例えば、基板上には、オーバーコート層や電極などの種々の部材が配置され、このような部材上にさらにレジストが配置される。一般的に、各基材の表面特性は、その基材を構成する材料によって異なってくる。そのため、上述したオーバーコート層や電極を有する基板においては、基板表面の親疎水特性、オーバーコート層表面の親疎水特性、電極の親疎水特性などが大きく異なる。そのため、従来技術で使用されるレジスト除去液では、例えば、親水性表面上に配置された各種レジストは容易に剥離することはできるが、疎水性表面上に配置された各種レジストは除去しづらいと考えられる。
それに対して、本発明のレジスト除去液は、上記の第4級アンモニウム化合物Aおよび第4級アンモニウム化合物Bを併用することで、各種レジストの除去に優れたものとなる。
すなわち、第4級アンモニウム化合物Aは、これに含まれる炭素数の合計から、第4級アンモニウム化合物Bと比べて親水的である。言い換えると、第4級アンモニウム化合物Bは、第4級アンモニウム化合物Aと比べて疎水的である。このように、親水的である第4級アンモニウム化合物Aと、疎水的である第4級アンモニウム化合物Bと、を併用することで、親水性や疎水性のいずれの性質のレジストに対しても効果的であることはもちろんのこと、レジストが形成される材料(基板など)の親水性や疎水性のいずれの性質に対しても効果的に作用するので、除去性が優れたものになると推測される。
なお、上記の第4級アンモニウム化合物AおよびBを併用すると、一方の性質のみが発揮されたり、両化合物の親疎水の性質を平均化したような効果のみが発揮されたりすると考えていたが、本発明者らが検討した結果、両化合物の有するいずれの性質も良好に発揮できることを見出した。
実際に、本発明者らは検討の結果、親水性層と疎水性層という異なる2つの層が一の基板上に存在し、各層のそれぞれの上に形成されたレジスト(永久膜)を、一度の処理で除去したい場合に、本発明のレジスト除去液が効果的であることを見出している。
例えば、永久膜の一例であるカラーフィルタは、シリコンと比べて親水性である窒化シリコンからなる基板上や、樹脂などからなる疎水性の高いオーバーコート層上に形成される。このような場合であっても、上述した理由から、一度の処理でカラーフィルタを除去できる。
このような理由から、本発明のレジスト除去液は、基板上の親水性表面および疎水性表面の両方に配置された永久膜の除去に特に好適に用いられる。
ここで、本発明における「レジスト」には、現像などの処理によって溶解するレジストの他に、各種の素子に組み込まれる樹脂製の永久膜も含まれるものとする。
また、本発明において「永久膜」とは、製造途中で通常、各種の素子の完成前に除去されることが想定されていない膜(層)のことをいい、素子を構成する部品上や部品間に、素子の完成後にも残存している膜(層)を総称する概念として使用される。このような永久膜の具体例としては、例えば、カラーフィルタ、マイクロレンズ、絶縁膜などが挙げられる。
なお、本発明において、レジストの除去には、レジストを溶解することで取り除くことのみならず、レジストを剥離して取り除くことも含まれるものとする。
本発明において、ある材料(例えば、基材、レジスト、オーバーコート層など)が「親水性」であるとは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の25質量%水溶液の接触角が50°未満になるものをいう。また、ある材料が「疎水性」であるとは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の25質量%水溶液の接触角が50°以上になるものをいう。ここで、接触角は、接線法により測定され、例えば、協和界面化学社製の接触角計「DropMaster-701」に準じた装置を用いることができる。
以下、本発明のレジスト除去液に含まれる成分および含まれ得る成分について詳細に説明する。
<第4級アンモニウム化合物>
本発明のレジスト除去液は、第4級アンモニウム化合物を含有する。第4級アンモニウム化合物は、炭素数の合計が8以下である第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上である第4級アンモニウム化合物Bと、を含む。
第4級アンモニウム化合物の含有量の下限値は、レジスト除去液の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。上限値としては、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、4質量%以下であることが最も好ましい。この範囲にすることで、レジストの除去性がより向上する。
なお、第4級アンモニウム化合物の含有量とは、第4級アンモニウム化合物Aと、第4級アンモニウム化合物Bと、の合計量を指す。
(第4級アンモニウム化合物A)
第4級アンモニウム化合物Aは、上述したように、炭素数の合計が8以下である第4級アンモニウム化合物である。ここで、本発明において、第4級アンモニウム化合物の炭素数の合計とは、第4級アンモニウム化合物の一分子中に含まれる炭素数の合計を指し、例えば、後述する水酸化テトラメチルアンモニウムの炭素数の合計は4である。
第4級アンモニウム化合物Aの炭素数の合計は、8以下であるが、4〜8であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、4であることが特に好ましい。これにより、親水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものとなる。
第4級アンモニウム化合物Aの対イオンとしては、特に限定されないが、カルボン酸、リン酸、硫酸、ホスホン酸、硝酸などの各種の酸アニオン、水酸化物イオン、および、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオンなど)が挙げられ、本発明の効果が損なわれない範囲で、これらが適宜組み合わされたものであってもよい。
また、対イオンとしては、上記の酸(リン酸、硫酸、ホスホン酸、硝酸)を官能基として有する化合物のアニオンであってもよいし、後述するカルボキシ基を有する特定環状化合物のアニオンであってもよい。
このような第4級アンモニウム化合物Aの対イオンの中でも、レジストの除去性がより優れたものになるという点から、フッ化物イオンまたは水酸化物イオンであることが好ましく、水酸化物イオンであることがより好ましい。
第4級アンモニウム化合物Aとしては、これに限定されるものではないが、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)、水酸化メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム、および、水酸化テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウム等が挙げられる。第4級アンモニウム化合物Aは、1種単独で使用してもよいし、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、第4級アンモニウム化合物Aは、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムの少なくとも一方を含むことが好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウムを含むことがより好ましい。特に、第4級アンモニウム化合物Aは、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムの少なくとも一方であることが好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウムであることが好ましい。これにより、親水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものとなる。
第4級アンモニウム化合物Aの含有量の下限としては、レジスト除去液の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。これにより、親水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものになる。
また、第4級アンモニウム化合物Aの含有量の上限としては、レジスト除去液の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%未満であることが特に好ましく、0.15質量%未満であることが最も好ましい。これにより、レジスト除去液による電極(配線も含む。以下同じ。)のダメージを低減できる。
なお、2種以上の第4級アンモニウム化合物Aを併用する場合には、その併用割合は特に限定されず、上記第4級アンモニウム化合物Aの含有量は、2種以上の第4級アンモニウム化合物Aの合計量を示す。
(第4級アンモニウム化合物B)
第4級アンモニウム化合物Bは、上述したように、炭素数の合計が9以上である第4級アンモニウム化合物である。
第4級アンモニウム化合物Bの炭素数の合計は、9以上であるが、9〜20であることが好ましく、12〜18であることがより好ましく、14〜16であることが特に好ましい。炭素数の合計が下限値以上であることで、疎水性のレジストや、疎水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものとなる。また、炭素数の合計が上限値以下であることで、上記第4級アンモニウム化合物Aとの相溶性が高まり、第4級アンモニウム化合物の効果がより発揮されるものと推測される。なお、上記炭素数の合計が14〜16である場合、電極のダメージをより抑制できる。
第4級アンモニウム化合物Bの対イオンの具体例および対イオンの好ましい態様については、上述した第4級アンモニウム化合物Aと同様である。
第4級アンモニウム化合物Bとしては、これに限定されるものではないが、例えば、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAH)、および、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)等が挙げられる。第4級アンモニウム化合物Bは、1種単独で使用してもよいし、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、第4級アンモニウム化合物Bは、水酸化テトラプロピルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムの少なくとも一方を含むことが好ましく、水酸化テトラブチルアンモニウムを含むことがより好ましい。特に、第4級アンモニウム化合物Aは、水酸化テトラプロピルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムの少なくとも一方であることが好ましく、水酸化テトラブチルアンモニウムであることが好ましい。これにより、疎水性のレジストや、疎水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものとなる。
第4級アンモニウム化合物Bの含有量の下限としては、レジスト除去液の全質量に対して、1.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。これにより、疎水性のレジストや疎水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものになる。
第4級アンモニウム化合物Bの含有量の上限としては、レジスト除去液の全質量に対して、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、pHが高くなりすぎることを抑制できるので、除去液の取り扱い性が容易になる。
なお、2種以上の第4級アンモニウム化合物Bを併用する場合には、その併用割合は特に限定されず、上記第4級アンモニウム化合物Bの含有量は、2種以上の第4級アンモニウム化合物Bの合計量を示す。
第4級アンモニウム化合物Aの質量に対する、第4級アンモニウム化合物Bの質量の割合(第4級アンモニウム化合物B/第4級アンモニウム化合物A)は特に制限されず、10以上の場合が多いが、なかでも、25超であることが好ましく、25超100以下であることがより好ましく、25超50以下であることがさらに好ましい。上記割合が25超であることで、レジスト除去液による電極へのダメージを低減することができる。
本発明のレジスト除去液は、レジストの除去性能をより向上する点、および、電極のダメージを低減するという点から、エタノールアミンを実質的に含有しないことが好ましい。
ここで、エタノールアミンを実質的に含有しないとは、レジスト除去液の調製時にエタノールアミンを意図的に添加しないという意味であり、具体的には、レジスト除去液の全質量に対して、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、全く含まないこと(すなわち、0質量%であること)が最も好ましい。
<有機溶媒>
本発明のレジスト除去液は、有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒は、上記第4級アンモニウム化合物の溶解性を高めたり、レジスト除去液を付与する材料に対する付着性を良好にできるという機能を有する。
有機溶媒としては、特に限定されず、従来公知の有機溶媒をいずれも用いることができるが、例えば、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、および、スルホキシド系溶媒などが挙げられる。
有機溶媒は、1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、および、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなど)等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、および、2−ヘプタノン等が挙げられる。
ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、および、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等が挙げられる。
スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記有機溶媒は、レジストのより高い除去性、および、電極のダメージをより抑制できる点から、非プロトン性極性溶媒(例えば、ジメチルスルホキド、N,N−ジメチルホルムアミド、および、1−メチル−2−ピロリドンなど)を含むことが好ましい。
また、上記有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルホキドを含むことが好ましい。このように、非プロトン性極性溶媒の中でも、ジメチルスルホキシドを含むことで、疎水性のレジストや疎水性の材料に接して形成されたレジストの除去性がより優れたものとなり、かつ、電極のダメージをより抑制できる。
有機溶媒の含有量は、レジスト除去液の全質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上限としては、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下がさらに好ましく、97質量%以下が特に好ましい。有機溶媒を上記の範囲とすることで、有機溶媒による電極の保護力を保ちながら、レジストの高い除去性を発揮することができるため好ましい。なお、2種以上の有機溶媒を併用する場合には、その併用割合は特に限定されないが、上記有機溶媒の含有量は、2種以上の有機溶媒の合計量を示す。
<腐食防止剤>
本発明のレジスト除去液は、さらに、腐食防止剤を含有することが好ましい。これにより、レジスト除去液による電極のダメージを抑制できる。
このような腐食防止剤は、上記機能がより発揮される点から、環状化合物、カルボキシ基またはその塩を有する化合物、および、シラン化合物、からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むこと、または、これらの化合物の2種以上の併用(組み合わせ)が好ましい。
(環状化合物)
環状化合物は、これの環状構造部が、複素環であっても、炭化水素環であってもよい。または、芳香族環であっても、非芳香族環(例えば、脂環族環)であってもよい。
環状化合物としては、電極へのダメージをより抑制できるという観点から、カルボキシ基またはその塩を有する環状化合物(以下、単に「特定環状化合物」ともいう。)であることが好ましい。
なかでも、特定環状化合物は、カルボキシ基またはその塩を有する複素環を含む化合物(以下、「特定複素環式化合物」ともいう。)であることが好ましい。特定複素環式化合物の母核をなす複素環式化合物は、脂肪族複素環式化合物であっても芳香族複素環式化合物であってもよいが、芳香族複素環式化合物であることが好ましい。すなわち、特定複素環式化合物は、カルボキシ基またはその塩を有する芳香族複素環式化合物であることが好ましい。
特定複素環式化合物の母核をなす複素環式化合物としては、5〜7員環の骨格をもつ化合物であることが好ましく、5または6員環の骨格をもつ化合物であることがより好ましい。特定複素環式化合物の母核をなす複素環式化合物は、単環であっても、複環であってもよい。
特定複素環式化合物の母核をなす複素環式化合物としては、5または6員環の骨格をもつ芳香族複素環式化合物が特に好ましい。5または6員環の骨格をもつ芳香族複素環式化合物は、ベンゼン環等を伴った複環構造(例えば、インドール、カルバゾール、プリン等)を有していてもよい。
上記特定複素環式化合物の母核をなす複素環式化合物は、5員のアゾール化合物であることが好ましい。5員のアゾール化合物としては、ピロール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピラゾール、イミダゾール、および、テトラゾールが挙げられる。
具体的には、上記特定複素環式化合物は、下記式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
上記式(1)〜(6)中、R11、R12、R21、R22、R31、R41、R42、R43、R51、R52、R53、R54、R61、R62、および、R63は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)、カルボキシ基もしくはその塩を含有する基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、またはアミノ基もしくはその塩を含有する基(炭素数0〜6が好ましく、0〜3がより好ましい)である。
カルボキシ基もしくはその塩を含有する基、または、アミノ基もしくはその塩を含有する基が連結基を有するとき、その連結基は、アルキレン基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニレン基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、−O−、−CO−、−NR−、−S−、またはその組合せに係る基であることが好ましい。
連結基を構成する原子の数は、水素原子を除いて、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
連結基の連結原子数は、6以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。下限としては、1以上である。上記連結原子数とは、所定の構造部間を結ぶ経路に位置し、連結に関与する最少の原子数を言う。たとえば、−CH−C(=O)−O−の場合、連結基を構成する原子の数は6となるが、連結原子数は3となる。なお、ここで定義される連結基を連結基Lと呼ぶ。
11、R12、R21、R22、R31、R41、R42、R43、R51、R52、R53、R54、R61、R62、および、R63が、水素原子、カルボキシ基またはアミノ基以外の基であるとき、任意の置換基Tを有していてもよい。任意の置換基Tとしては、カルボキシ基、アミノ基(炭素数0〜6が好ましく、0〜3がより好ましい)、ヒドロキシル基等が挙げられる。上記連結基Lのうち、O,S,CO以外の連結基についても、同様に、置換基Tを有していてもよい。
は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、または、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)である。Rは、上記任意の置換基Tを有していてもよい。
式(1)〜(6)で表される化合物は、カルボキシ基またはその塩を分子内に1つ以上有する。その上限は、各化合物において分子内に置換可能な数となるが、分子内のカルボキシ基またはその塩の数は、1〜4個が好ましく、1または2個がより好ましい。各式について具体的に示すと下記のとおりである。
式(1)中、R11、R12、およびRのいずれかは、カルボキシ基またはその塩を含有する基である。なかでも、R11およびR12のいずれかが、カルボキシ基またはその塩を含有する基であることが好ましい。
式(2)中、R21、R22、およびRのいずれかは、カルボキシ基またはその塩を含有する基である。なかでも、R21およびR22のいずれかが、カルボキシ基またはその塩を含有する基であることが好ましい。
式(3)中、R31およびRのいずれかは、カルボキシ基またはその塩を含有する基である。なかでも、R31が、カルボキシ基またはその塩を含有する基であることが好ましい。
式(4)中、R41、R42、R43、およびRのいずれかは、カルボキシ基またはその塩を含有する基である。なかでも、R41、R42、およびR43のいずれかが、カルボキシ基またはその塩を含有する基であることが好ましい。
式(5)中、R51、R52、R53、R54、およびRのいずれかは、カルボキシ基またはその塩を含有する基である。なかでも、R51、R52、R53、およびR54のいずれかが、カルボキシ基またはその塩を含有する基であることが好ましい。
式(6)中、R61、R62、R63、およびRのいずれかは、カルボキシ基またはその塩を含有する基である。なかでも、R61、R62、およびR63のいずれかが、カルボキシ基またはその塩を含有する基であることが好ましい。
11とR12、R12とR、R22とR、R41とR、R41とR42、R42とR43、R51とR、R51とR52、R52とR53、R53とR54、R54とR、R61とR、R61とR62、および、R63とRは、互いに連結して環を形成していてもよい。形成される環としては、5員環または6員環が好ましい。具体的には、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロブタン環、および、シクロプロパン環などが挙げられる。形成された環には、さらに、R11の選択肢にある基が任意に置換していてもよい。
上記式(1)、(4)、(5)、および、(6)がベンゼン環を伴った複環となった例を以下に示す。以下の式中、上記式と同一の符号で示した置換基は、上記式で説明したものと同義である。
17、R47、R57、R58、および、R67は、それぞれ、R11と同じ選択肢を持つ基である。nは、0〜4の整数である。
このとき、各式の化合物は、カルボキシ基またはその塩を分子内に1つ以上有する。その上限は、各化合物において分子内に置換可能な数となるが、カルボキシ基またはその塩の数は、1〜4個が好ましく、1または2個がより好ましい。
なかでも、式(1a)については、R17のうちの少なくとも1つがカルボキシ基またはその塩であることが好ましい。
式(4a)については、R41およびR47のうちの少なくとも1つが、カルボキシ基またはその塩であることが好ましい。
式(5a)については、R51、R52、およびR57のうちの少なくとも1つが、カルボキシ基またはその塩であることが好ましい。
式(5b)については、R51、R54、およびR58のうちの少なくとも1つがカルボキシ基またはその塩であることが好ましい。
式(6a)については、R63およびR67のうちの少なくとも1つがカルボキシ基またはその塩であることが好ましい。
特定環状化合物の具体例としては、テトラゾール−5−酢酸、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、および、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸などが挙げられる。
環状化合物を含有する場合の含有量は、レジスト除去液の全質量に対して、下限としては、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましい。上限としては、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。環状化合物の含有量が上記範囲内にあることで、レジストの除去力を十分に維持しつつ、電極のダメージをより効果的に抑制できる。環状化合物は、単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
(カルボキシ基またはその塩を有する化合物)
カルボキシ基またはその塩を有する化合物としては、上記の環状化合物の項で述べた「特定環状化合物(すなわち、カルボキシ基またはその塩を有する環状化合物)」、有機カルボン酸化合物などが挙げられる。
有機カルボン酸化合物としては、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、またはこれらの塩が挙げられる。
カルボキシ基またはその塩を有する化合物は、電極へのダメージをより抑制できるという観点から、上記の化合物の中でも、特定環状化合物を用いることが好ましい。
カルボキシ基またはその塩を有する化合物を含有する場合の含有量は、レジスト除去液の全質量に対して、下限としては、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましい。上限としては、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。カルボキシ基またはその塩を有する化合物の含有量が上記範囲内にあることで、レジストの除去力を十分に維持しつつ、電極のダメージをより効果的に抑制できる。カルボキシ基またはその塩を有する化合物は、単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
(シラン化合物)
シラン化合物は、化合物中にケイ素原子を有する化合物を意味する。シラン化合物は、分子量が80以上であることが好ましく、100以上がより好ましい。分子量の上限は、1000以下が好ましく、500以下がより好ましい。
シラン化合物としては、分子中にアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物が好ましく、下記式(S1)で表される化合物がより好ましい。
(RSi(OR4−a (S1)
上記式(S1)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表す。
炭化水素基としては、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、および、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)が好ましく、アルキル基、アリール基、および、アルケニル基がより好ましい。
aは、0〜2の整数を表す。
シラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、および、ジメトキシジエトキシシランなどが挙げられる。
シラン化合物を含有する場合の含有量は、レジスト除去液の全質量に対して、下限としては、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましい。上限としては、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。シラン化合物の含有量が上記範囲内にあることで、レジストの除去力を十分に維持しつつ、電極のダメージをより効果的に抑制できる。シラン化合物は、単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
(水)
本発明のレジスト除去液は、水を含有してもよい。水としては、特に限定されないが、本発明の効果を損ねない範囲で溶解成分を含む水性媒体であってもよく、不可避的な微量の混合成分を含んでいてもよい。
水としては、蒸留水、イオン交換水、または超純水といった浄化処理を施された水が好ましく、半導体製造に使用される超純水を用いることが特に好ましい。
水を含有する場合の含有量としては、レジスト除去液の全質量に対して、上限値として、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、4質量%以下が特に好ましい。下限値としては、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。
水の含有量が上記範囲内にあることで、電極の腐食(ダメージ)の発生を抑制しつつ、第4級アンモニウム化合物のもつレジストの除去性能をより優れたものにできる。
(無機アルカリ化合物)
本発明のレジスト除去液は、無機アルカリ化合物を含有してもよい。無機アルカリ化合物が含有されることにより、レジスト剥離性を向上することができる。
無機アルカリ化合物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、および、炭酸水素リチウム等のアルカリ金属重炭酸塩;水素化リチウム、水素化ナトリウム、および、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物が挙げられる。
このような無機アルカリ化合物は、上記機能がより発揮される点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウムが特に好ましい。
レジスト除去液中の無機アルカリ化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、レジスト剥離性向上の観点から、レジスト除去液の全質量に対して、0.00001〜1.0質量%であることが好ましく、0.0001〜0.5質量%であることがより好ましく、さらに、レジスト剥離性向上と電極へのダメージ抑制の両立の観点から、0.0001〜0.1質量%であることが特に好ましい。
なお、本発明において、無機アルカリ化合物は、2種以上を併用(組み合わせ)してもよい。
(その他の添加剤)
本発明のレジスト除去液には、本発明の効果を奏する範囲で、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、界面活性剤、および、消泡剤などが挙げられる。
<容器>
本発明のレジスト除去液は、対腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬、そして使用することができる。また、半導体用途向けに、容器のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。使用可能な容器としては、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、コダマ樹脂工業(株)製の「ピュアボトル」などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この容器ないしその収容部の内壁は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂とは異なる樹脂、または、防錆および金属溶出防止処理が施された金属から形成されることが好ましい。
上記の異なる樹脂としては、フッ素系樹脂(パーフルオロ樹脂)を特に好ましく用いることができる。このように、収容部の内壁がフッ素系樹脂である容器を用いることで、収容部の内壁が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、または、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂である容器を用いる場合と比べて、エチレンやプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
このような収容部の内壁がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3−502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、および、国際公開第99/46309号パンフレットの第9および16頁等、などに記載の容器も用いることができる。
<フィルタリング>
本発明のレジスト除去液は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、さらに好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、レジスト除去液に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)または株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、さらに好ましくは0.3〜6.0μm程度である。この範囲とすることにより、レジスト除去液に成分粒子が含有されている場合には、この成分粒子を残存させたまま、レジスト除去液に混入している異物を除去することができる。
例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、レジスト除去液の一部の成分のみが含まれる混合液で行い、これに残りの成分を混合してレジスト除去液を調製した後で、第2のフィルタリングを行ってもよい。
<メタル濃度>
本発明のレジスト除去液は、メタル(Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、および、Znの金属元素)の濃度がいずれも5ppm以下(好ましくは1ppm)であることが好ましい。特に、最先端の半導体素子の製造においては、さらに高純度のレジスト除去液が求められることが想定されることから、メタル濃度がppmオーダーよりもさらに低い値、すなわち、ppbオーダーであることがより好ましく、pptオーダーであることがさらに好ましい。
このようなメタル濃度の低減については、その好ましい実施形態について、後記の着色硬化性樹脂組成物についても同じである。
メタル濃度の低減方法としては、例えば、レジスト除去液を製造する際に使用する原材料の段階、および、レジスト除去液を調製した後の段階、の少なくとも一方の段階において、蒸留やイオン交換樹脂を用いたろ過を十分に行うことが挙げられる。
メタル濃度の低減方法のその他の方法としては、レジスト除去液の製造に使用する原材料を収容する「容器」について、レジスト除去液を収容する容器の説明を行った項で示したような、不純物の溶出が少ない容器を用いることが挙げられる。また、レジスト除去液の調製時の「配管」などからメタル分が溶出しないように、配管内壁にフッ素系樹脂のライニングを施すなどの方法も挙げられる。
[レジスト除去方法]
本発明のレジスト除去方法は、上述したレジスト除去液を用いて行われる。
具体的には、レジスト除去方法は、レジストが設けられた基材(半導体基板)に対して、上記除去液を付与する工程を有することができる。これにより、レジスト内部やレジストと基材との界面に、上述したレジスト除去液が浸透して、レジストを除去することができる。
レジスト除去方法におけるレジスト除去液を付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の吐出機構や噴射機構(噴霧機構)を備えた装置の流路にレジスト除去液を流通させて、レジスト除去液を吐出機構の吐出口から吐出または噴射機構の噴射口から噴射(噴霧)して、レジスト除去液とレジストや基材とを接触させる方法が挙げられる。
具体的には、上記装置の導入口に導入された上記レジスト除去液は、上記導入口に接続された流路を介して吐出口に達し、この吐出口から吐出されて、処理容器(例えば、処理槽)内に載置された半導体基板に付着する。なお、流路は、レジスト除去液を再利用するための経路を有していてもよい。半導体基板は、回転駆動部を有する回転テーブル上に載置されていてもよく、レジスト除去液を付着させる際や付着させた後に回転テーブルとともに回転させてもよい。
本発明のレジスト除去液の付与には、枚葉式装置を用いることが好ましい。具体的には、枚葉式装置は、処理槽を有する。処理槽では、上記半導体基板の搬送および回転などの処理や、上記レジスト除去液の供給などが行われる。これにより、半導体基板が処理槽内で上記レジスト除去液と接触して、半導体基板へのレジスト除去液の付与(吐出、噴射、流下、滴下等)が行われることが好ましい。
上記の枚葉式装置を使用する利点としては、常に新鮮なレジスト除去液が供給されるので再現性がよいことや、面内の均一処理性が高いこと等が挙げられる。
枚葉式装置は、その処理槽にノズルを具備することが好ましい。半導体基板にレジスト除去液を付与する方法としては、上記ノズルを半導体基板の面方向にスイングさせながらレジスト除去液を吐出させて、これを半導体基板に付与する方法が挙げられる。この方法を用いれば、レジスト除去液の劣化が防止できるという点で好ましい。
レジスト除去方法における処理温度は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上が特に好ましい。上限としては、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。
なお、処理温度は、枚葉式装置においては以下の条件で測定する。株式会社堀場製作所製の放射温度計IT−550F(商品名)を上記枚葉式装置内のウェハ上30cmの高さに固定する。ウェハ中心から2cm外側のウェハ表面上に温度計を向け、レジスト除去液を流しながら温度を計測する。温度は、放射温度計からデジタル出力し、パソコンで連続的に記録する。このうち温度が安定した10秒間の温度を平均した値をウェハ上の温度とする。保存温度あるいはバッチ処理で管理する場合には、そのタンク内の温度を所定時間(例えば1分間)安定するまで保持して設定することができる。循環系で管理する場合には、循環流路内の温度で所定時間(例えば1分間)安定するまで保持して設定してもよい。
枚葉式装置を用いる場合のレジスト除去液の供給速度は、特に限定されないが、0.05〜5L/minとすることが好ましく、0.1〜3L/minとすることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、処理対象の面内の均一性をより良好に確保しつつ、連続処理時に安定した性能を確保できる点で好ましい。
半導体基板を回転させるときには、その大きさ等にもよるが、上記と同様の観点から、50〜1000rpmで回転させることが好ましい。
吐出口(ノズル)を移動させる際の移動速度は、特に限定されないが、0.1cm/s以上であることが好ましく、1cm/s以上であることがより好ましい。その上限としては、30cm/s以下であることが好ましく、15cm/s以下であることがより好ましい。移動軌跡線は、直線でも曲線(例えば円弧状)でもよい。いずれの場合にも、移動速度は、実際の軌跡線の距離とその移動に費やされた時間から算出することができる。半導体基板1枚の処理に要する時間は、10〜1200秒の範囲であることが好ましい。
上記のレジスト除去方法におけるレジスト除去液を付与する方法として、枚葉式装置を用いた方法を例示したが、これに限定されず、例えば浸漬法(ディップ処理)を用いてもよい。
このような浸漬法の具体例としては、レジストが設けられた基材(半導体基板)を処理槽内のレジスト除去液に浸漬させて、上記処理槽内で半導体基板とレジスト除去液とを接触させる方法が挙げられる。半導体基板を浸漬する際のレジスト除去液の温度については、上述したレジスト除去方法における処理温度で示した通りである。また、これ以外の条件(例えば、半導体基板を浸漬させる時間など)は、適宜設定することができ、特に限定されるものではない。
<半導体基板製品の製造>
本発明のレジスト除去方法は、半導体基板製品の製造時や、半導体基板製品の製造後に適用することができる。
ここで、半導体基板製品とは、後述する半導体基板を用いて、リソグラフィ工程などの工程を経て得られる半導体素子を含む製品の総称である。
半導体基板製品の製造時には、現像などの処理によって溶解するレジストおよびこれの残渣物を除去するために、本発明のレジスト除去方法が適用される。なお、以下においては、現像などの処理によって溶解するレジストおよびこれの残渣物を、単に「パターニング用のレジスト」ともいう。
半導体基板製品の製造後には、半導体基板に配置されている永久膜を除去するために、本発明のレジスト除去方法が適用可能である。
このような永久膜は、パターニング用のレジストとは異なり、現像によっても溶けずに残り、加工後に除去されることが想定されておらず、これの除去は困難となることが予想される。しかしながら、本発明のレジスト除去液(レジスト除去方法)を用いれば、永久膜を良好に除去できる。したがって、本発明のレジスト除去液(レジスト除去方法)は、永久膜の除去に特に好適に用いられる。
<基材(半導体基板)>
本発明のレジスト除去方法において、その表面にレジストが配置される基材として、例えば半導体基板を用いることができる。
半導体基板(ウェハ)としては、特に限定されないが、シリコン基板(Si基板)、酸化シリコン基板(SiO基板)、および、窒化シリコン基板(SiN基板)などが挙げられる。
本明細書において、半導体基板とは、ウェハのみではなくそこに回路構造が施された基板構造体全体を含むものであってもよい。
半導体基板のウェハサイズは、特に限定されないが、直径8インチ、直径12インチ、または直径14インチのものを好適に使用することができる(1インチ=25.4mm)。
<レジスト>
本発明のレジスト除去方法で除去されるレジストは、上述したレジストの定義の通り、パターニング用のレジスト、および、各種の半導体素子に組み込まれる永久膜が含まれる。以下、レジストについて詳細に説明する。
(パターニング用のレジスト)
パターニング用のレジストとしては、例えば、ポジ型、ネガ型、およびポジ−ネガ兼用型のフォトレジストが挙げられる。
ポジ型レジストの具体例は、(メタ)アクリレート樹脂系、ケイ皮酸ビニール系、環化ポリイソブチレン系、アゾ−ノボラック樹脂系、ジアゾケトン−ノボラック樹脂系、ならびに、ノボラック系樹脂およびポリヒドロキシスチレン系樹脂の少なくとも一方の樹脂、などが挙げられる。
ネガ型レジストの具体例は、アジド−環化ポリイソプレン系、アジド−フェノール樹脂系、および、クロロメチルポリスチレン系などが挙げられる。さらに、ポジ−ネガ兼用型レジストの具体例は、ポリ(p−ブトキシカルボニルオキシスチレン)系などが挙げられる。
その他、パターニング用のレジストの例として、特許5222804、特許5244740、特許5244933、特許5286236、特許5210755、特許5277128、特許5303604、特許5216892、特許5531139、特許5531078、および、特許5155803号の各公報に開示されたものを参照することができ、本明細書に引用して取り込む。
(永久膜(カラーフィルタ))
本発明のレジスト除去方法で除去されるレジストの種類としては、上記のレジスト除去液の効果がより発揮されるという点から、永久膜であることが好ましい。
以下、永久膜の一例であるカラーフィルタ用のレジスト(以下、「カラーレジスト」ともいう。)について説明する。
ここで、カラーフィルタは、色材など、通常のレジストにはない含有成分もあり、これの除去が難しくなることが予想される。しかしながら、この理由の詳細は明らかになっていないが、本発明のレジスト除去液は、カラーフィルタの除去にその効果を良好に発揮する。したがって、本発明のレジスト除去液(レジスト除去方法)は、永久膜の中でも、カラーフィルタの除去に特に好適である。
カラーレジストとして具体的には、富士フイルム株式会社製、RGB 5000 series/6000 series(商品名)、および、CMY 3000series(商品名)を好適に用いることができる。また、特許5274680号、特許5283747号、特許05334624号、特許05339781号、特許05340102号、特許05344843号、特許5355069号、特許5367060号、特許5371313号、特許5371449号、特許5374189号、特許5398586号、特許5448352号、および、特許5448416号の各公報に開示されたものを参照することができ、本明細書に引用して取り込む。
以下に、カラーフィルタの形成材料と形成方法との一例ついて、詳細に説明する。
本実施形態に係るカラーフィルタの各画素は、下記の着色硬化性樹脂組成物を硬化して形成することができる。着色硬化性樹脂組成物としては、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、重合開始剤、および着色剤を含有するものが挙げられる。
・アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂としては、分子中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するものが好ましい。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、および、アクリル−アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、および、アクリル−アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸性基ともいう)としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、および、フェノール性水酸基などが挙げられる。溶媒に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、主鎖もしくは側鎖にカルボキシ基を有するポリマーが好ましい。具体的には、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、および、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、ならびに、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、および、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、(イソ)ペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、および、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、および、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N−フェニルマレイミド、および、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、重合性基を有することも好ましい。重合性基としては、エチレン性不飽和結合性基が例示される。具体的には、(メタ)アクリロイル基およびビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、および、(メタ)アクリルアミドのいずれか1種以上由来の繰り返し単位を有するビニル重合体が好ましい。
重合性のアルカリ可溶性樹脂の合成は、特開2003−262958号公報の段落番号0027〜0057に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。この中では、同公報中の合成方法1によるのが好ましい。その例示化合物としては、上記特開2003−262958号公報の段落番号0058〜0061に記載の化合物を参照することができ、本明細書に取り込む。具体的な化合物例としては、下記化合物(樹脂P−1)(重量平均分子量:14000)を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂は、下記式の重合体であることも好ましい。
X1は、単結合または連結基を表す。連結基の例としては上記の連結基Lが挙げられる。なかでも単結合が好ましい。
X1、RY1は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、またはシアノ基であり、水素原子またはメチル基が好ましい。
は、酸性基である。その好ましいものは、上記と同義である。
Y2は、置換基を表し、中でも、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、または、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)が好ましい。これらの基はさらに置換基を有してもよく、さらなる置換基としては、ヒドロキシル基、および、カルボキシ基等が挙げられる。
nxおよびnyはモル分率であり、nx+nyは1未満でもよいが(他の繰り返し単位を有してよいという意味)、1であることが好ましい。nxは下限としては、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上が特に好ましい。上限としては、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下が特に好ましい。nyは下限としては0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.6以上が特に好ましい。上限としては、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、23℃で0.1質量%以上の濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に可溶であるものが好ましい。さらに、1質量%以上のTMAH水溶液に可溶であること、さらに2質量%以上のTMAH水溶液に可溶であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては、好ましくは30〜200mgKOH/g、さらに好ましくは70〜120mgKOH/gである。このような範囲とすることにより、未露光部の現像残渣を効果的に低減できる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2000〜50000が好ましく、7000〜20000が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、着色硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%であり、特に好ましくは20〜35質量%である。
アルカリ可溶性樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・重合性化合物
重合性化合物は、分子内に重合性基を有する化合物であればよいが、なかでもエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(以下、「特定モノマー」ということがある)が好ましい。特定モノマーは、多官能のモノマーであることが好ましい。
特定モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
特定モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜0108に記載されている化合物を本実施形態においても好適に用いることができる。特定モノマーは、さらに、下記式(MO−1)〜(MO−6)で表されるものであることが好ましい。
式中、nは、それぞれ、0〜14であり、mは、それぞれ、1〜8である。1分子内に複数存在するR、TおよびZは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。Rのうち少なくとも1つは、重合性基である。
nは、0〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
mは、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
上記式(MO−1)〜(MO−6)で表される重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜0251に記載されている化合物を、本実施形態においても好適に用いることができる。
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造、ならびに、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亜合成製)が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
重合性化合物の分子量は、特に限定されないが、300以上1500以下であることが好ましく、400以上700以下であることがより好ましい。
組成物中の全固形分に対して、重合性化合物の含有率は、1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、3質量%〜40質量%の範囲であることがより好ましく、5質量%〜30質量%の範囲であることがさらに好ましい。この範囲内であると、屈折率や透明性を過度に低下させることなく、硬化性が良好で好ましい。重合性化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・重合開始剤
重合開始剤としては、熱重合開始剤でも光重合開始剤でもよいが、光重合性開始剤が好ましい。例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシム化合物、オニウム塩化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体化合物、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物、α−アミノアルキルフェノン化合物、および、安息香酸エステル化合物が挙げられる。
これらの具体例として、特開2010−106268号公報の段落[0135](対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0163])以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
重合開始剤としては、上記のなかでも、オキシム化合物を用いることが好ましい。なかでも、IRGACURE OXE01(下式)、および、IRGACURE OXE02(下式)などの市販品(いずれも、BASF社製)を好適に使用することができる。
重合開始剤は、着色硬化性樹脂組成物の固形分中、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲、特に好ましくは1〜8質量%の範囲である。
重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
・着色剤
着色剤は、特に限定されるものではなく、種々の染料や顔料を用いることができる。例えば、カラーフィルタの色画素を形成する赤色、マゼンタ色、黄色、青色、シアン色および緑色等の有彩色系の着色剤(有彩色着色剤)、およびブラックマトリクス形成用に一般に用いられている黒色系の着色剤(黒色着色剤)のいずれをも用いることができる。本実施形態では、着色剤が、赤色、マゼンタ色、黄色、青色、シアン色および緑色から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
無機顔料としては、金属酸化物、および、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン、および、銀等の金属酸化物、ならびに上記金属の複合酸化物を挙げることができる。チタンの窒化物、銀錫化合物および銀化合物なども使用することができる。
有機顔料としては、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、アントラキノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インダントロン顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、ジオキサジン顔料、アミノアントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、および、イソビオラントロン顔料が挙げられる。
染料としては、例えば、トリアリールメタン系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、アゾメチン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、および、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。
上記着色剤が粒子状の場合、その平均一次粒子径は、5nm以上が好ましく、30nm以上が特に好ましい。上限としては、1μm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
本明細書でいう「平均粒子径」とは、特に断らない限り、一次粒子が集合した二次粒子についての平均粒子径を意味する。上記粒径の測定は、動的光散乱式粒径分布測定装置(日機装製 ナノトラック(Nanotrac) Wave-EX150[商品名])、株式会社堀場製作所社製 LB−500[商品名])を用いて行う。手順は以下のとおりである。試料分散物を20mlサンプル瓶に分取し、不溶性の溶媒(例えば水)により固形成分濃度が0.2質量%になるように希釈する。温度25℃で2mlの測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた「数平均」を平均粒子径とした。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照することができる。
着色剤の含有量としては、着色硬化性樹脂組成物の固形分中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。上限については特に制限はないが、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。本発明のレジスト除去液によれば、このように多量に着色剤を含有していても、十分にレジストを除去することができる。
・分散剤
着色硬化性樹脂組成物には分散剤を含有させてもよい。分散剤としては、高分子分散剤(例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、および、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物)、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、および、顔料分散剤等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、または、ブロック型高分子に分類することができる。
顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、ならびに、161、162、163、164、165、166および170(高分子共重合物)」、「BYK−P104およびP105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、ならびに、BYK2001」、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010および4165(ポリウレタン系)、EFKA4330および4340(ブロック共重合体)、4400および4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、ならびに、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821およびPB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50EおよびNo.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874および#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、ならびに、DA−725」、花王社製「デモールRNおよびN(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、ならびに、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935および985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000および27000(末端部に機能部を有する高分子)、ならびに、24000、28000、32000および38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、および、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
分散剤の濃度としては、着色剤1質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜80質量部がさらに好ましい。また、着色硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、5〜30質量%であることが好ましい。
分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
・界面活性剤
着色硬化性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、および、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
界面活性剤の含有する場合の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分全質量に対して、1質量%〜40質量%の範囲であることが好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
着色硬化性樹脂組成物は、その他の成分を適宜含有させることもできる。その他の成分としては、例えば、有機溶媒、紫外線吸収剤、密着向上剤、増感色素、共増感剤、希釈剤、可塑剤、および、感脂化剤などが挙げられる。
・カラーフィルタの形成
着色硬化性樹脂組成物の調製およびその硬化膜の形成については、一般的な方法によればよいが、以下では、着色硬化性樹脂組成物を用いたカラーフィルタの形成を例にさらに詳述する。
カラーフィルタを形成する際の支持体としては、例えば、基板(例えば、シリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板などの、上述した半導体基板を用いることができる。
着色パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子用基板における各撮像素子間、または、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。また、支持体上には、上部の層との密着改良、物質の拡散防止または基板表面の平坦化のために、部分的に下塗り層を設けてもよい。下塗り層を設けた部分および設けなかった部分のいずれにもカラーフィルタを形成することで、親水性の層上のカラーフィルタと、疎水性の層上のカラーフィルタと、を1つの基板上に併存させることができる。
ここで、下塗り層には、後述するオーバーコート層を用いることができる。
支持体上への着色硬化性樹脂組成物の適用方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、および、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
支持体上に塗布された着色硬化性樹脂組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
露光工程では、着色硬化性樹脂組成物層形成工程において形成された着色硬化性樹脂組成物層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン露光する。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は30〜1500mJ/cmが好ましく、50〜1000mJ/cmがより好ましく、80〜500mJ/cmが最も好ましい。
次いでアルカリ現像処理等の現像を行うことにより、露光工程における光未照射部分の着色硬化性樹脂組成物がアルカリ水溶液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起しにくい、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は、例えば、20秒〜90秒である。より残渣を除去するため、近年では120秒〜180秒実施する場合もある。さらには、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返す場合もある。
本発明において好ましく適用できるカラーフィルタの製造方法や材料としては、特開2014−199272号、特開2013−064999号、特開2013−064998号、特開2013−064993号、特開2013−054081号、特開2013−040240号、特開2012−136669号、特開2012−012498号、特開2011−252046号、特開2011−252045号、特開2011−252044号、特開2011−162781号、特開2011−144299号、特開2011−144298号、特開2011−127044号、特開2011−127043号、特開2011−084726号、特開2010−244028号、特開2010−159409号、特開2010−155983号、特開2010−085979号、特開2010−084135号、特開2009−244320号、特開2006−058821号、および、特開2004−117856号などの記載を参照することができ、本明細書に引用して取り込む。
次いで、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。このとき、多色の着色パターンを形成することが好ましく、各色に上記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。これによりカラーフィルタが得られる。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。その加熱温度は、250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましく、230℃以下がさらに好ましく、220℃以下が特に好ましい。下限は特にないが、効率的かつ効果的な処理を考慮すると、50℃以上の熱硬化処理を行うことが好ましく、100℃以上がより好ましい。上記の加熱によるポストベークに変え、UV(紫外線)照射によってカラーフィルタの画素を硬化させてもよい。
硬化膜(カラーフィルター)の膜厚は、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。上限としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、4μm以下がさらに好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。下限としては、0.1μm以上が実際的である。
この程度の膜厚およびサイズがカラーフィルタとして一般的であり、本発明のレジスト除去液によれば、上記のようなカラーフィルタに対しても十分な除去効果が得られる。
<オーバーコート層>
上記のカラーフィルタを永久膜として用いる場合において、着色硬化性樹脂組成物層の形成工程の前に、基材(支持体)上にオーバーコート層を形成する工程を有してもよい。
オーバーコート層の形成には、例えば、国際公開第2010/010899号、特許第4269480号公報、特開2005−227525号公報、特開2000−250217号公報、特開平9−221602号公報、および、特開2001−343748号公報に基づいて、エポキシ系感放射線性樹脂組成物(オーバーコート形成用組成物)を用いて行うことができる。
以下、オーバーコート層の形成する工程の具体例を示す。
まず、エポキシ系感放射性樹脂組成物を上記基材の表面に塗布し、プレベークして溶剤を除去することにより、被膜を形成する。
組成物溶液の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、および、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができるが、特に、スピンコート法、および、スリットダイ塗布法が好ましい。
プレベークの条件は、各構成成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通常、80〜120℃で1〜15分間程度である。
基材としては、窒化シリコン基板を用いることが好ましい。
次いで、プレベークされた被膜に、所定パターンのマスクを介し露光して重合させたのち、現像液により現像し、不要な部分を除去して、パターンを形成する。
露光に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、荷電粒子線、X線等の放射線を適宜に選択して使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
現像方法としては、例えば、液盛り法、浸漬法、および、シャワー法等のいずれでもよい。現像時間は、通常、常温で30〜180秒間程度である。
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、および、アンモニア等の無機アルカリ類;エチルアミン、および、n−プロピルアミン等の1級アミン類;ジエチルアミン、および、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、および、トリエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、および、トリエタノールアミン等の3級アルカノールアミン類;ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、および、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の脂環族3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、および、キノリン等の芳香族3級アミン類;ならびに、水酸化テトラメチルアンモニウム、および、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム化合物等のアルカリ性化合物の水溶液(アルカリ水溶液)を使用することができる。
また、上記アルカリ水溶液には、メタノールまたはエタノール等の水溶性有機溶媒、および/または、界面活性剤を適当量添加することもできる。
現像後、例えば流水洗浄等により、例えば30〜90秒間洗浄して、不要な部分を除去したのち、圧縮空気や圧縮窒素を吹きつけて乾燥させることにより、所定のパターンが形成される。
その後、このパターンを、ホットプレートまたはオーブン等の加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、ホットプレート上では例えば3〜10分間、オーブン中では例えば30〜90分間、加熱(以下、「ポストベーク」という。)することにより、オーバーコート層を得ることができる。
<電極>
上述した基材には、電極が形成されてもよい。このような電極を形成するために使用される電極材料としては、特に限定されないが、汎用されているものとして銅またはアルミニウム等が挙げられる。なお、本明細書における「電極」には、配線も含まれる。
電極(アルミニウム等)のエッチングレート[R1]は、特に限定されないが、レジスト除去液の付与により過度に除去(または腐食)されないことが好ましい。具体的には、500Å/min以下であることが好ましく、200Å/min以下であることがより好ましく、100Å/min以下であることが特に好ましい。下限は特にないが、測定限界を考慮すると1Å/min以上であることが実際的である。本明細書において、エッチング速度は、特に断らない限り、後記実施例で測定した条件によるものとする。
[再生半導体基板の製造方法]
本発明の再生半導体基板の製造方法は、上述した半導体基板に設けられたレジストを上記のレジスト除去方法で除去することにより、上記半導体基板から上記レジストが除去された再生半導体基板を得る工程を含むものである。
半導体基板製品の製造時や製造後において、半導体基板製品に修復が必要な部分(レジスト)が発見されることがある。この場合には、修復が必要な部分を除去することで、半導体基板を再生することができる。
本発明では、半導体基板上に一旦レジストが形成された後、修復が必要な部分が上述したレジスト除去方法により除去されて得られる半導体基板を、再生半導体基板という。
本発明の再生半導体基板の製造方法によれば、上述したレジスト除去液を用いているため、修復が必要な部分のレジストの除去性に優れている。そのため、得られる再生半導体基板が再利用しやすくなるという効果を奏する。
以下、実施例を用いて、本発明のレジスト除去液について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中で処方や配合量として示した%および部は特に断らない限り質量基準である。
レジスト除去液を用いたカラーフィルタの除去試験および電極ダメージ試験を行った。
カラーフィルタの除去試験には、以下のように基板上にカラーフィルタおよびアルミニウム電極が形成されたサンプルを作製して、これを用いた。
また、電極ダメージ試験には、市販のアルミニウムウェハを用いて行った。
[カラーフィルタの製造]
<Green顔料分散液の調製>
顔料としてC.I.ピグメント・グリーン36とC.I.ピグメント・イエロー139との100/55(質量比)混合物12.6部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)5.2部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を2.7部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート78.3部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Green顔料分散液を調製した。
<Red顔料分散液の調製>
顔料としてC.I.ピグメントレッド254 12.1部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)10.4部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を3.8部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート73.7部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Red顔料分散液を調製した。
<Blue顔料分散液の調製>
顔料としてC.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との100/25(質量比)混合物14部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)4.7部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を3.5部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77.8部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Blue顔料分散液を調製した。
<着色硬化性樹脂組成物の調製>
上記の各顔料分散液を用い、下記組成となるように混合、攪拌して着色硬化性樹脂組成物を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記各顔料分散液 83.3部
上記樹脂P−1 2.05部
重合開始剤 1.2部
DPHA 1.4部
M−305 1.4部
p−メトキシフェノール 0.001部
PEGMEA 7.4部
F781 4.2部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
重合開始剤:BASF社製 IRGACURE OXE01[商品名]
DPHA:日本化薬社製 KARAYAD DPHA[商品名]、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
M−305:東亞合成社製 トリアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[商品名]
F781:DIC社製 メガファックF781[商品名]、含フッ素ポリマー型界面活性剤、PEGMEAの0.2%溶液で適用した
PEGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<オーバーコート層の形成>
まず、SiN基板上にスピンナーを用いて、国際公開第2010/010899号に記載のエポキシ系の感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で2分間、ホットプレート上でプレベークして膜厚3μmの塗膜を形成した。
上記で得られた塗膜に5μm角の抜きパターンのマスクを介して、365nmでの強度が10mW/cm2である紫外線を30秒間照射した。この際の紫外線照射は、酸素雰囲気下(空気中)で行った。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液を現像液として用いて、25℃で30秒間現像した後、純水で1分間リンスした。上記で形成されたパターン状薄膜をオーブン中で200℃で5分間加熱し硬化させた。
このようにして、SiN基板上の一部の領域にオーバーコート層を形成した。
<カラーフィルタの形成>
次に、上記において調製された各着色感光性組成物を、SiN基板上および上記オーバーコート層上にそれぞれ形成した。
具体的には、まず、SiN基板およびオーバーコート層上に、各着色感光性組成物を塗布して、光硬化性の塗布膜を形成した。この塗布膜の乾燥膜厚が1.0μmになるように、100℃のホットプレートを用いて180秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、i線を、365nmの波長で1.0μm四方のベイヤーパターンマスクを通して50〜1000mJ/cmにて照射した(50mJ/cmずつ露光量を変化)。その後、照射された塗布膜が形成されているSiN基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置した。CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の40%希釈液を用いて23℃で180秒間パドル現像を行ない、SiN基板およびオーバーコート層の上に着色パターンを形成した。
着色パターンが形成されたSiN基板を真空チャック方式で上記水平回転テーブルに固定し、回転装置によってSiN基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。次に、200℃のホットプレートにて5分間加熱し、パターンが形成されたRGB(Red Green Blue)のパターンを有するカラーフィルタを得た。
<アルミニウム電極の作製>
SiN基板のオーバーコート層およびカラーフィルタが形成されていない領域にアルミニウム(Al)電極をCVD(chemical vapor deposition)法により形成した。Al電極の厚さは約0.5μmであった。
[レジスト除去液の調製(その1)]
第1表の組成比となるように各成分を混合、攪拌して、実施例および比較例の各レジスト除去液を調製した。
なお、第1表に示した各成分の概要は、以下の通りである。
(有機溶媒)
DMSO : ジメチルスルホキシド
NMP : 1−メチル−2−ピロリドン
(第4級アンモニウム化合物A)
TMAH: 水酸化テトラメチルアンモニウム
TEAH: 水酸化テトラエチルアンモニウム
(第4級アンモニウム化合物B)
TBAH: 水酸化テトラブチルアンモニウム
TBAF: フッ化テトラブチルアンモニウム
TPAH: 水酸化テトラプロピルアンモニウム
(その他の成分)
腐食防止剤1: テトラメトキシシラン
腐食防止剤2: 3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸
MEA : エタノールアミン
(水)
水 : イオン交換水
[評価試験]
<カラーフィルタの除去試験>
上記カラーフィルタおよびAl電極を配置したウェハ(SiN基板)を1×2cmにカットしテストウェハを得た。
そして、ビーカーに攪拌子と上記レジスト除去液を入れ、回転数250rpmにてレジスト除去液を攪拌させながら70℃まで加温した。その後、上記テストウェハを5分間浸漬した。浸漬後、イオン交換水(DIW(Deionized Water))を二流体ノズルより噴出させ、30秒間リンス処理した。
なお、除去試験の実施前後におけるテストウェハの側面模式図は、図1の通りである。図1Aが除去試験前であり、図1Bが除去試験後である。図1Aに示すように、テストウェハ1は、SiN基板10上に形成されたカラーフィルタ層30Aと、SiN基板10上に形成されたオーバーコート層20と、アルミニウム電極40と、を有する。オーバーコート層20には、カラーフィルタ層30Bが形成されている。また、カラーフィルタ層30Aおよび30Bはいずれも、赤色パターン130R、緑色パターン130Gおよび青色パターン130Bから構成されている。
上記のカラーフィルタ層30Aおよび30Bを配設したウェハを光学顕微鏡(倍率50倍)にて観察し、親水層であるSiN基板上に形成されたカラーフィルタ層30Aと、疎水層であるオーバーコート層20上に形成されたカラーフィルタ層30Bと、のそれぞれの除去状態を観察した。
カラーフィルタ(CF)の除去性については、下記のように区分して評価した。
(評価区分)
A: 光学顕微鏡で残留物が確認できず、100%除去された状態
B: 光学顕微鏡で残留物が確認でき、75%以上100%未満除去された状態
C: 光学顕微鏡で残留物が確認でき、50%超75%未満除去された状態
D: 光学顕微鏡で残留物が確認でき、50%以上残存している状態
<電極ダメージの評価>
電極ダメージの評価には、市販のアルミニウムウェハ(Advanced Materials社製)をもちいた。アルミニウムウェハの構造としては、下層からシリコン層、シリコンオキシド層、アルミニウム層であった。上記カラーフィルタ除去試験と同様の条件で、アルミニウムウェハを処理した。その処理の前後で、4端子型電流計(国際電気アルファ社製、商品名VR200)を用い、アルミニウム層の電流値より膜厚を算出した。第1表に、膜厚の減少量を記し、この値が小さいほど電極ダメージが少ないと判断できる。
[評価結果]
以上の評価試験の結果を第1表に示す。なお、第1表中、第4級アンモニウム化合物の比率B/Aとは、(第4級アンモニウム化合物Bの含有量)/(第4級アンモニウム化合物Aの含有量)で算出される値を示す。
第1表に示すように、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含むレジスト除去液を用いると、レジスト膜の除去性に優れていることが示された(実施例1〜13)。
実施例10と実施例11との対比により、第4級アンモニウム化合物Aの含有量が0.2質量%未満であることで(実施例11)、電極ダメージを低減できることが示された。
実施例1および実施例11の対比により、比率B/Aが25を超えたレジスト除去液を用いると(実施例1)、電極ダメージを低減できることが示された。
実施例1と実施例9との対比により、エタノールアミンを含有するレジスト除去液を用いると(実施例9)、レジスト除去性能が低下し、電極ダメージが向上することが示された。
実施例1と実施例13との対比により、非プロトン性極性溶媒を用いることで(実施例1)、レジスト除去性能がより向上し、電極ダメージも低減できることが示された。
一方、第4級アンモニウム化合物Aを含有しないレジスト除去液を用いると、親水層上に形成されたカラーフィルタが除去しにくくなることが示された(比較例1)。
また、第4級アンモニウム化合物Bを含有しないレジスト除去液を用いると、疎水層上に形成されたカラーフィルタが除去しにくくなることが示された(比較例2)。
上記の着色硬化性樹脂組成物を、富士フイルム株式会社製、RGB 5000 series/6000 series(商品名)およびCMY 3000series(商品名)にそれぞれ代えて、同様にカラーフィルタ層を有するテストウェハを作製した。このテストウェハを用いて、上記のカラーフィルタ層の除去試験を行った。その結果、上述した評価結果と同様の傾向が見られた。
また、上述した実施例と同様にして調製した以下の第2表に示す実施例14および実施例15のレジスト除去液について、上述したカラーフィルタの除去試験および電極ダメージ試験を行った。その結果、実施例14および実施例15のレジスト除去液のいずれも、カラーフィルタの除去性能が良好であり、電極ダメージも良好に低減できることがわかった。
[レジスト除去液の調製(その2)]
第3表の組成比となるように各成分を混合、攪拌して、実施例および比較例の各レジスト除去液を調製した。
なお、第3表に示した各成分は、第1表で使用した成分、および、以下の通りである。
(その他の成分)
KOH : 水酸化カリウム
NaOH: 水酸化ナトリウム
上述した実施例1〜15と同様にして、調製した以下の第3表に示す実施例16〜実施例25のレジスト除去液について、カラーフィルタの除去試験および電極ダメージ試験を行った。結果を第3表に示す。
ただし、カラーフィルタの除去試験においては、テストウェハのレジスト除去液への浸漬時間を5分間から3分間に短く調整した。
第1表に示すように、添加剤としてKOHまたはNaOHなどの無機アルカリ化合物を含むレジスト除去液を用いると、レジスト膜の除去性に優れていることが示された。特に、KOHを用いる場合、より効果に優れていた。
1 テストウェハ、10 SiN基板、20 オーバーコート層、30A,30B カラーフィルタ層、40 アルミニウム電極、130R 赤色パターン、130G 緑色パターン、130B 青色パターン

Claims (27)

  1. 第4級アンモニウム化合物を含有するレジスト除去液であって、
    前記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含み、
    前記第4級アンモニウム化合物の対イオンが水酸化物イオンまたはハロゲン化物イオンであり、
    前記第4級アンモニウム化合物Aの含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.05質量%以上0.2質量%未満である、レジスト除去液。
  2. 第4級アンモニウム化合物を含有するレジスト除去液であって、
    前記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含み、
    前記第4級アンモニウム化合物の対イオンが水酸化物イオンまたはハロゲン化物イオンであり、
    前記第4級アンモニウム化合物Aの質量に対する、前記第4級アンモニウム化合物Bの質量の割合が、25超である、レジスト除去液。
  3. 第4級アンモニウム化合物と、有機溶媒と、無機アルカリ化合物と、を含有するレジスト除去液であって、
    前記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含み、
    前記第4級アンモニウム化合物の対イオンが水酸化物イオンまたはハロゲン化物イオンであり、
    前記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、70〜99.5質量%であ
    前記第4級アンモニウム化合物Aの含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.05質量%以上0.2質量%未満である、レジスト除去液。
  4. 第4級アンモニウム化合物と、有機溶媒と、無機アルカリ化合物と、を含有するレジスト除去液であって、
    前記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含み、
    前記第4級アンモニウム化合物の対イオンが水酸化物イオンまたはハロゲン化物イオンであり、
    前記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、70〜99.5質量%であり、
    前記第4級アンモニウム化合物Aの質量に対する、前記第4級アンモニウム化合物Bの質量の割合が、25超である、レジスト除去液。
  5. 第4級アンモニウム化合物と、有機溶媒と、無機アルカリ化合物と、を含有するレジスト除去液であって、
    前記第4級アンモニウム化合物が、炭素数の合計が8以下の第4級アンモニウム化合物Aと、炭素数の合計が9以上の第4級アンモニウム化合物Bと、を含み、
    前記第4級アンモニウム化合物の対イオンが水酸化物イオンまたはハロゲン化物イオンであり、
    前記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、70〜99.5質量%であり、
    前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシドを含む、レジスト除去液。
  6. 前記第4級アンモニウム化合物Aの含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.05質量%以上0.2質量%未満である、請求項2に記載のレジスト除去液。
  7. 前記第4級アンモニウム化合物Aの質量に対する、前記第4級アンモニウム化合物Bの質量の割合が、25超である、請求項1に記載のレジスト除去液。
  8. エタノールアミンを実質的に含有しない、請求項1〜のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  9. さらに、有機溶媒を含有する、請求項1または2に記載のレジスト除去液。
  10. 前記有機溶媒が、非プロトン性極性溶媒を含む、請求項3〜5および9のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  11. 前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシドを含む、請求項9または10に記載のレジスト除去液。
  12. 前記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、70〜99.5質量%である、請求項に記載のレジスト除去液。
  13. 前記有機溶媒の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、80〜99質量%である、請求項3〜5および9〜12のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  14. 前記第4級アンモニウム化合物Aが、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムの少なくとも一方を含み、
    前記第4級アンモニウム化合物Bが、水酸化テトラプロピルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムの少なくとも一方を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  15. 前記第4級アンモニウム化合物Aが、水酸化テトラメチルアンモニウムを含み、
    前記第4級アンモニウム化合物Bが、水酸化テトラブチルアンモニウムを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  16. さらに、腐食防止剤を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  17. 前記腐食防止剤が、シラン化合物、および、カルボキシ基またはその塩を有する環状化合物、の少なくとも一方を含む、請求項16に記載のレジスト除去液。
  18. 前記環状化合物が、芳香族複素環式化合物である、請求項17に記載のレジスト除去液。
  19. 前記シラン化合物が、アルコキシシラン化合物である、請求項17に記載のレジスト除去液。
  20. さらに、無機アルカリ化合物を含有する、請求項1または2に記載のレジスト除去液。
  21. 前記無機アルカリ化合物が、水酸化カリウムである、請求項3〜5および20のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  22. 前記無機アルカリ化合物の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.00001〜1.0質量%である、請求項3〜5、20および21のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  23. 前記無機アルカリ化合物の含有量が、レジスト除去液の全質量に対して、0.0001〜0.1質量%である、請求項3〜5および20〜22のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  24. 永久膜の除去に用いられる、請求項1〜23のいずれか1項に記載のレジスト除去液。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載のレジスト除去液を用いて、レジストを除去する、レジスト除去方法。
  26. 前記レジストが、永久膜である、請求項25に記載のレジスト除去方法。
  27. 半導体基板上に設けられたレジストを請求項25または26に記載のレジスト除去方法で除去することにより、前記半導体基板から前記レジストが除去された再生半導体基板を得る工程を含む、再生半導体基板の製造方法。
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