添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る切削方法は、複数の分割予定ラインによって区画された各領域にデバイスが配置されたパッケージ基板を切削する切削方法であって、分断ライン設定ステップ(図4(A)参照)、保持ステップ(図4(B)参照)、分割ステップ(図5(A)参照)、第一移動ステップ(図5(B)参照)、第一領域切削ステップ(図5(C)参照)、第二移動ステップ(図6(A)参照)、第二領域切削ステップ(図6(B)参照)、第三移動ステップ(図6(C)参照)及び第三領域切削ステップ(図6(D)参照)を含む。
分断ライン設定ステップでは、パッケージ基板を複数(本実施形態では、3個)の領域に分割するための分断ラインを設定する。保持ステップでは、分断ラインによって区画されたパッケージ基板の各領域を複数(本実施形態では、3個)の保持テーブルで保持する。分割ステップでは、分断ラインに沿ってパッケージ基板を切削して、複数の領域に分割する。
第一移動ステップでは、複数の保持テーブルを相対的に移動させて、パッケージ基板の第一領域を保持する第一保持テーブルの第一保持面を、他の保持テーブルの保持面よりも高い位置に位置付ける。第一領域切削ステップでは、第一保持テーブルに保持されたパッケージ基板の第一領域を分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削する。
第二移動ステップでは、複数の保持テーブルを相対的に移動させて、パッケージ基板の第二領域を保持する第二保持テーブルの第二保持面を、他の保持テーブルの保持面よりも高い位置に位置付ける。第二領域切削ステップでは、第二保持テーブルに保持されたパッケージ基板の第二領域を分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削する。
第三移動ステップでは、複数の保持テーブルを相対的に移動させて、パッケージ基板の第三領域を保持する第三保持テーブルの第三保持面を、他の保持テーブルの保持面よりも高い位置に位置付ける。第三領域切削ステップでは、第三保持テーブルに保持されたパッケージ基板の第三領域を分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削する。以下、本実施形態に係る切削方法について詳述する。
はじめに、本実施形態に係る切削方法に使用される切削装置の例を説明する。図1は、本実施形態に係る切削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、切削装置2は、各構造を支持する基台4を備えている。
基台4の上面には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い矩形状の開口4aが形成されている。この開口4a内には、X軸移動テーブル6、X軸移動テーブル6をX軸方向に移動させるX軸移動機構(不図示)及びX軸移動機構を覆う防塵防滴カバー8が設けられている。
X軸移動機構は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール(不図示)を備えており、X軸ガイドレールには、X軸移動テーブル6がスライド可能に取り付けられている。X軸移動テーブル6の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレールに平行なX軸ボールネジ(不図示)が螺合されている。
X軸ボールネジの一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジを回転させることで、X軸移動テーブル6はX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
X軸移動テーブル6上には、パッケージ基板11を吸引、保持するための第一保持テーブル(第一保持手段)10、第二保持テーブル(第二保持手段)12及び第三保持テーブル(第三保持手段)14が配置されている。第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、それぞれZ軸方向(鉛直方向)に平行な回転軸の周りに回転する。
また、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14の下方には、エアシリンダ等でなる昇降機構(不図示)が設けられている。この昇降機構によって、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14は、それぞれ昇降(Z軸方向に移動)する。第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14の詳細については後述する。
図2(A)は、パッケージ基板11の構成例を模式的に示す平面図であり、図2(B)は、パッケージ基板11の構成例を模式的に示す底面図である。図2(A)及び図2(B)に示すように、パッケージ基板11は、平面視で矩形状に形成された金属枠体13を含む。
金属枠体13は、例えば、42アロイ(鉄とニッケルとの合金)や銅等の金属で構成されており、複数のデバイス領域15(本実施形態では、3個のデバイス領域15)と、各デバイス領域15を囲む外周余剰領域17と、を有する。
各デバイス領域15は、交差する複数の分割予定ライン(ストリート)19でさらに複数の領域(本実施形態では、48個の領域)に区画されており、各領域には、ICやLED、MEMS等のデバイス(デバイスチップ)(不図示)が配置されている。
また、金属枠体13の裏面13b側には、複数のデバイスを封止する樹脂層21が設けられている。樹脂層21は、所定の厚みに形成されており、例えば、金属枠体13の裏面13bから僅かに突出している。この樹脂層21によって、各デバイス領域15の裏面13b側全体が覆われている。
図2(A)に示すように、金属枠体13の表面13a側には、各デバイスに対応する複数のステージ23が設けられている。各ステージ23の周囲には、複数の電極パッド(不図示)が形成されている。
パッケージ基板11は、例えば、金属枠体13の裏面13b側から各ステージ23にデバイスを配置し、各デバイスの電極と、ステージ23の周囲に配置された電極パッドとを金属ワイヤー(不図示)等で接続した後に、裏面13b側を樹脂層21で封止することによって得られる。
このパッケージ基板11を分割予定ライン19に沿って切断、分割することで、樹脂によって封止された複数のパッケージデバイスが完成する。なお、本実施形態では、平面視で矩形状のパッケージ基板11を用いているが、パッケージ基板11の形状、構造、材質等に制限はない。例えば、平面視で円形状のパッケージ基板11や、1個のデバイス領域15のみを有するパッケージ基板11等を用いることもできる。
図1に示すように、基台4の上面には、パッケージ基板11を切削(切削加工)する切削ユニット16を支持するための門型の支持構造18が、開口4aを跨ぐように配置されている。支持構造18の前面上部には、切削ユニット16をY軸方向(左右方向、割り出し送り方向)及びZ軸方向に移動させる切削ユニット移動機構20が設けられている。
切削ユニット移動機構20は、支持構造18の前面に配置されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール22を備えている。Y軸ガイドレール22には、切削ユニット移動機構20を構成するY軸移動プレート24がスライド可能に取り付けられている。
Y軸移動プレート24の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール22に平行なY軸ボールネジ26が螺合されている。Y軸ボールネジ26の一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。Y軸パルスモータでY軸ボールネジ26を回転させれば、Y軸移動プレート24は、Y軸ガイドレール22に沿ってY軸方向に移動する。
Y軸移動プレート24の表面(前面)には、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール28が設けられている。Z軸ガイドレール28には、Z軸移動プレート30がスライド可能に取り付けられている。
Z軸移動プレート30の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール28に平行なZ軸ボールネジ32が螺合されている。Z軸ボールネジ32の一端部には、Z軸パルスモータ34が連結されている。Z軸パルスモータ34でZ軸ボールネジ32を回転させれば、Z軸移動プレート30は、Z軸ガイドレール28に沿ってZ軸方向に移動する。
Z軸移動プレート30の下部には、パッケージ基板11を切削する切削ユニット16が設けられている。また、切削ユニット16に隣接する位置には、パッケージ基板11の上面側を撮像するカメラ等の撮像ユニット(撮像手段)36が設置されている。
切削ユニット移動機構20で、Y軸移動プレート24をY軸方向に移動させれば、切削ユニット16及び撮像ユニット36は割り出し送りされ、Z軸移動プレート30をZ軸方向に移動させれば、切削ユニット16及び撮像ユニット36は昇降する。
切削ユニット16は、スピンドルの一端側に装着された円環状の切削ブレード38を備えている。スピンドルの他端側にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、切削ブレード38は、スピンドルを介して回転駆動源から伝達する回転力によって回転する。
また、切削ブレード38の近傍には、パッケージ基板11の切削中に、切削ブレード38及びパッケージ基板11に対して純水等の切削液を供給する切削液供給ノズル(切削液供給手段)40が配置されている。
図3(A)は、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14について説明するための平面図であり、図3(B)は、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14について説明するための側面図である。
第一保持テーブル10は、内部に負圧伝達経路(不図示)を備えた第一治具ベース42を含む。この第一治具ベース42の上面には、パッケージ基板11の第一領域11a(図4(A)等参照)に対応する第一保持治具44が装着される。
同様に、第二保持テーブル12は、負圧伝達経路(不図示)を備えた第二治具ベース46を含む。第二治具ベース46の上面には、パッケージ基板11の第二領域11b(図4(A)等参照)に対応する第二保持治具48が装着される。
また、第三保持テーブル14は、負圧伝達経路(不図示)を備えた第三治具ベース50を含む。第三治具ベース50の上面には、パッケージ基板11の第三領域11c(図4(A)等参照)に対応する第三保持治具52が装着される。
第一保持治具44、第二保持治具48及び第三保持治具52は、いずれも、樹脂等の材料でなる矩形状の平板であり、これらの上面は、それぞれ、パッケージ基板11の第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cを吸引、保持するための第一保持面44a、第二保持面48a及び第三保持面52aになっている。
一方、第一保持治具44、第二保持治具48及び第三保持治具52の下面44b,48b,52bには、それぞれ、第一治具ベース42、第二治具ベース46及び第三治具ベース50の上面が接する。
第一保持治具44の第一保持面44a側、第二保持治具48の第二保持面48a側及び第三保持治具52の第三保持面52a側には、それぞれ、パッケージ基板11の分割予定ライン19に対応する第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cが形成されている。
第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cの上端は、それぞれ、第一保持面44a、第二保持面48a及び第三保持面52aに開口している。これら第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cによって、第一保持面44a、第二保持面48a及び第三保持面52aは、それぞれ、複数の領域に区画される。
第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cの幅は、分割予定ライン19や切削ブレード38の幅より十分に広くなっており、第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cの深さは、切削ブレード38の切り込み深さより深くなっている。
そのため、パッケージ基板11を分割予定ライン19に沿って切削する際に、切削ブレード38を十分に切り込ませても、第一保持治具44、第二保持治具48及び第三保持治具52と、切削ブレード38とが接触することはない。なお、第一保持治具44、第二保持治具48及び第三保持治具52は、それぞれ、第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cの深さよりも厚く形成される。
第一逃げ溝44cによって区画された第一保持面44aの各領域には、第一保持治具44を上下に貫通する第一吸引孔44dが形成されている。第一治具ベース42の上面に第一保持治具44を載せると、第一吸引孔44dは、第一治具ベース42の内部に形成された負圧伝達経路に接続される。
同様に、第二逃げ溝48cによって区画された第二保持面48aの各領域には、第二保持治具48を上下に貫通する第二吸引孔48dが形成されている。第二治具ベース46の上面に第二保持治具48を載せると、第二吸引孔48dは、第二治具ベース46の内部に形成された負圧伝達経路に接続される。
また、第三逃げ溝52cによって区画された第三保持面52aの各領域には、第三保持治具52を上下に貫通する第三吸引孔52dが形成されている。第三治具ベース50の上面に第三保持治具52を載せると、第三吸引孔52dは、第三治具ベース50の内部に形成された負圧伝達経路に接続される。
第一治具ベース42、第二治具ベース46及び第三治具ベース52の負圧伝達経路は、ソレノイドバルブ(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。よって、第一保持面44a、第二保持面48a及び第三保持面52aにパッケージ基板11を重ねた状態でソレノイドバルブを開けば、パッケージ基板11を第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14によって吸引、保持できる。
第一保持治具44(第一保持面44a)と第二保持治具48(第二保持面48a)との境界に相当する部分には、第四逃げ溝54aが形成されている。パッケージ基板11を第一領域11aと第二領域11bとに分割する際には、この第四逃げ溝54aに沿って切削ブレード38を切り込ませることになる。
また、第二保持治具48(第二保持面48a)と第三保持治具52(第三保持面52a)との境界に相当する部分には、第五逃げ溝54bが形成されている。パッケージ基板11を第二領域11bと第三領域11cとに分割する際には、この第五逃げ溝54bに沿って切削ブレード38を切り込ませることになる。
次に、本実施形態に係る切削方法について説明する。本実施形態に係る切削方法では、まず、パッケージ基板11を複数の領域に分割するための分断ラインを設定する分断ライン設定ステップを実施する。図4(A)は、分断ライン設定ステップを説明するための平面図である。
図4(A)に示すように、本実施形態では、パッケージ基板11を、第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cの3個の領域に分割するための2本の分断ライン25を設定する。なお、第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cには、それぞれ、デバイス領域15が含まれている。また、分断ライン25は、上述した第四逃げ溝54aと第五逃げ溝54bとに対応する領域に設定される。
分断ライン設定ステップの後には、分断ライン25によって区画されたパッケージ基板11の第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cを、それぞれ、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14で保持する保持ステップを実施する。図4(B)は、保持ステップを説明するための側面図である。
保持ステップでは、まず、各分割予定ライン19が第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cのいずれかと重なり、2本の分断ライン25がそれぞれ第四逃げ溝54a及び第五逃げ溝54bと重なるように、パッケージ基板11を第一保持面44a、第二保持面48a及び第三保持面52aに重ねる。
なお、第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cの幅は、分割予定ライン19の幅より十分に広くなっているので、図4(A)に示すようにパッケージ基板11が多少歪んでいても、第一逃げ溝44c、第二逃げ溝48c及び第三逃げ溝52cに対して各分割予定ライン19を重ねることができる。
次に、ソレノイドバルブを開いて、パッケージ基板11に吸引源の負圧を作用させる。これにより、パッケージ基板11は、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14によって吸引、保持される。
保持ステップの後には、分断ライン25に沿ってパッケージ基板11を切削して、第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cに分割する分割ステップを実施する。図5(A)は、分割ステップを説明するための側面図である。
分割ステップでは、まず、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14と、切削ブレード38とを相対的に移動、回転させて、例えば、第四逃げ溝54aと重なる分断ライン25の延長線の上方に切削ブレード38を合わせる。
次に、回転させた切削ブレード38をパッケージ基板11に接触する高さまで下降させ、更に、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14と、切削ブレード38とを上述の分断ライン25に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、第四逃げ溝54aと重なる分断ライン25に沿って切削ブレード38を切り込ませ、パッケージ基板11を分割できる。
第四逃げ溝54aと重なる分断ライン25に沿ってパッケージ基板11を分割した後には、第五逃げ溝54bと重なる分断ライン25に沿って同様の手順でパッケージ基板11を分割する。パッケージ基板11が第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cに分割されると、分割ステップは終了する。
分割ステップの後には、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14をZ軸方向に相対的に移動させて、第一保持面44aを、第二保持面48a及び第三保持面52aよりも高い位置に位置付ける第一移動ステップを実施する。図5(B)は、第一移動ステップを説明するための側面図である。
この第一移動ステップでは、例えば、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を同じ高さに位置付けた状態で、昇降機構によって第一保持テーブル10を上昇させることで、第二保持面48a及び第三保持面52aよりも高い位置に第一保持面44aを位置付けることができる。
もちろん、昇降機構によって第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を下降させることで、第二保持面48a及び第三保持面52aよりも高い位置に第一保持面44aを位置付けても良い。
第二保持面48a及び第三保持面52aに対する第一保持面44aの高さは、次の第一領域切削ステップで第一領域11aを切削する際に、第二領域11b及び第三領域11cに切削ブレード38が切り込まない範囲で設定される。すなわち、この第一移動ステップでは、第二保持面48a及び第三保持面52aに対し、第一領域切削ステップで第一領域11aを切削する際に第二領域11b及び第三領域11cが切削されない高さ位置に第一保持面44aを位置付ける。
より具体的には、第二領域11b及び第三領域11cの上面よりも、第一領域切削ステップで第一領域11aを切削する際の切削ブレード38の最下点が高くなるように、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を相対的に移動させる。
第一移動ステップの後には、第一保持テーブル10に保持された第一領域11aを分割予定ライン19に沿って切削する第一領域切削ステップを実施する。図5(C)は、第一領域切削ステップを説明するための側面図である。
この第一領域切削ステップでは、まず、第一保持テーブル10と切削ブレード38と相対的に移動、回転させて、例えば、第一領域11aにおいて第一方向に伸びる分割予定ライン19の延長線上に切削ブレード38を合わせる。次に、切削ブレード38を第一領域11aに接触する高さまで下降させる。
その後、第一保持テーブル10と回転させた切削ブレード38とを対象の分割予定ライン19に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、対象の分割予定ライン19に沿って切削ブレード38を切り込ませ、第一領域11aを分割できる。
対象の分割予定ライン19に沿って第一領域11aを分割した後には、第一保持テーブル10と切削ブレード38とを相対的に移動させて、例えば、隣接する分割予定ライン19の延長線上に切削ブレード38を合わせる。そして、切削ブレード38を第一領域11aに接触する高さまで下降させる。
その後、第一保持テーブル10と回転させた切削ブレード38とをこの分割予定ライン19に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、この分割予定ライン19に沿って切削ブレード38を切り込ませ、第一領域11aを更に分割できる。
上述の手順を繰り返し、第一方向に伸びる全ての分割予定ライン19に沿って第一領域11aを分割した後には、例えば、第一保持テーブル10を回転させて、第二方向に伸びる分割予定ライン19に沿って第一領域11aを切削する。第一領域11aに設定されている全ての分割予定ライン19に沿って第一領域11aが分割されると、第一領域切削ステップは終了する。
本実施形態では、第二保持面48a及び第三保持面52aに対し、第一領域切削ステップで第一領域11aを切削する際に第二領域11b及び第三領域11cが切削されない高さ位置に第一保持面44aを位置付けている。よって、第一領域切削ステップで第一領域11aを切削する際に、第二領域11b及び第三領域11cが切削されてしまうことはない。
第一領域切削ステップの後には、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14をZ軸方向に相対的に移動させて、第二保持面48aを、第一保持面44a及び第三保持面52aよりも高い位置に位置付ける第二移動ステップを実施する。図6(A)は、第二移動ステップを説明するための側面図である。
この第二移動ステップでは、例えば、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を同じ高さに位置付けた状態で、昇降機構によって第二保持テーブル12を上昇させることで、第一保持面44a及び第三保持面52aよりも高い位置に第二保持面48aを位置付けることができる。
もちろん、昇降機構によって第一保持テーブル10及び第三保持テーブル14を下降させることで、第一保持面44a及び第三保持面52aよりも高い位置に第二保持面48aを位置付けても良い。
第一保持面44a及び第三保持面52aに対する第二保持面48aの高さは、次の第二領域切削ステップで第二領域11bを切削する際に、第一領域11a及び第三領域11cに切削ブレード38が切り込まない範囲で設定される。すなわち、この第二移動ステップでは、第一保持面44a及び第三保持面52aに対し、第二領域切削ステップで第二領域11bを切削する際に第一領域11a及び第三領域11cが切削されない高さ位置に第二保持面48aを位置付ける。
より具体的には、第一領域11a及び第三領域11cの上面よりも、第二領域切削ステップで第二領域11bを切削する際の切削ブレード38の最下点が高くなるように、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を相対的に移動させる。
第二移動ステップの後には、第二保持テーブル12に保持された第二領域11bを分割予定ライン19に沿って切削する第二領域切削ステップを実施する。図6(B)は、第二領域切削ステップを説明するための側面図である。
この第二領域切削ステップでは、まず、第二保持テーブル12と切削ブレード38と相対的に移動、回転させて、例えば、第二領域11bにおいて第一方向に伸びる分割予定ライン19の延長線上に切削ブレード38を合わせる。次に、切削ブレード38を第二領域11bに接触する高さまで下降させる。
その後、第二保持テーブル12と回転させた切削ブレード38とを対象の分割予定ライン19に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、対象の分割予定ライン19に沿って切削ブレード38を切り込ませ、第二領域11bを分割できる。
対象の分割予定ライン19に沿って第二領域11bを分割した後には、第二保持テーブル12と切削ブレード38とを相対的に移動させて、例えば、隣接する分割予定ライン19の延長線上に切削ブレード38を合わせる。そして、切削ブレード38を第二領域11bに接触する高さまで下降させる。
その後、第二保持テーブル12と回転させた切削ブレード38とをこの分割予定ライン19に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、この分割予定ライン19に沿って切削ブレード38を切り込ませ、第二領域11bを更に分割できる。
上述の手順を繰り返し、第一方向に伸びる全ての分割予定ライン19に沿って第二領域11bを分割した後には、例えば、第二保持テーブル12を回転させて、第二方向に伸びる分割予定ライン19に沿って第二領域11bを切削する。第二領域11bに設定されている全ての分割予定ライン19に沿って第二領域11bが分割されると、第二領域切削ステップは終了する。
本実施形態では、第一保持面44a及び第三保持面52aに対し、第二領域切削ステップで第二領域11bを切削する際に第一領域11a及び第三領域11cが切削されない高さ位置に第二保持面48aを位置付けている。よって、第二領域切削ステップで第二領域11bを切削する際に、第一領域11a及び第三領域11cが切削されてしまうことはない。
第二領域切削ステップの後には、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14をZ軸方向に相対的に移動させて、第三保持面52aを、第一保持面44a及び第二保持面48aよりも高い位置に位置付ける第三移動ステップを実施する。図6(C)は、第三移動ステップを説明するための側面図である。
この第三移動ステップでは、例えば、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を同じ高さに位置付けた状態で、昇降機構によって第三保持テーブル14を上昇させることで、第一保持面44a及び第二保持面48aよりも高い位置に第三保持面52aを位置付けることができる。
もちろん、昇降機構によって第一保持テーブル10及び第二保持テーブル12を下降させることで、第一保持面44a及び第二保持面48aよりも高い位置に第三保持面52aを位置付けても良い。
第一保持面44a及び第二保持面48aに対する第三保持面52aの高さは、次の第三領域切削ステップで第三領域11cを切削する際に、第一領域11a及び第二領域11bに切削ブレード38が切り込まない範囲で設定される。すなわち、この第三移動ステップでは、第一保持面44a及び第二保持面48aに対し、第三領域切削ステップで第三領域11cを切削する際に第一領域11a及び第二領域11bが切削されない高さ位置に第三保持面52aを位置付ける。
より具体的には、第一領域11a及び第二領域11bの上面よりも、第三領域切削ステップで第三領域11cを切削する際の切削ブレード38の最下点が高くなるように、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14を相対的に移動させる。
第三移動ステップの後には、第三保持テーブル14に保持された第三領域11cを分割予定ライン19に沿って切削する第三領域切削ステップを実施する。図6(D)は、第三領域切削ステップを説明するための側面図である。
この第三領域切削ステップでは、まず、第三保持テーブル14と切削ブレード38と相対的に移動、回転させて、例えば、第三領域11cにおいて第一方向に伸びる分割予定ライン19の延長線上に切削ブレード38を合わせる。次に、切削ブレード38を第三領域11cに接触する高さまで下降させる。
その後、第三保持テーブル14と回転させた切削ブレード38とを対象の分割予定ライン19に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、対象の分割予定ライン19に沿って切削ブレード38を切り込ませ、第三領域11cを分割できる。
対象の分割予定ライン19に沿って第三領域11cを分割した後には、第三保持テーブル14と切削ブレード38とを相対的に移動させて、例えば、隣接する分割予定ライン19の延長線上に切削ブレード38を合わせる。そして、切削ブレード38を第三領域11cに接触する高さまで下降させる。
その後、第三保持テーブル14と回転させた切削ブレード38とをこの分割予定ライン19に対して平行な方向に相対的に移動させる。これにより、この分割予定ライン19に沿って切削ブレード38を切り込ませ、第三領域11cを更に分割できる。
上述の手順を繰り返し、第一方向に伸びる全ての分割予定ライン19に沿って第三領域11cを分割した後には、例えば、第三保持テーブル14を回転させて、第二方向に伸びる分割予定ライン19に沿って第三領域11cを切削する。第三領域11cに設定されている全ての分割予定ライン19に沿って第三領域11cが分割されると、第三領域切削ステップは終了する。
本実施形態では、第一保持面44a及び第二保持面48aに対し、第三領域切削ステップで第三領域11cを切削する際に第一領域11a及び第二領域11bが切削されない高さ位置に第三保持面52aを位置付けている。よって、第三領域切削ステップで第三領域11cを切削する際に、第一領域11a及び第二領域11bが切削されてしまうことはない。
このように、本実施形態に係る切削方法によれば、切削の対象となっていない領域に切削ブレード38を切り込ませてしまうことがなくなる。すなわち、切削の対象となる領域にのみ切削ブレード38を切り込ませることができる。
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、1組の切削ユニット16(切削ブレード38)のみを使用しているが、2組以上の切削ユニット(切削ブレード)を組み合わせて使用することもできる。
また、上記実施形態では、パッケージ基板11の分割予定ライン19等に対応する逃げ溝を備えた保持テーブル(いわゆる、治具テーブル)を使用しているが、多孔質材等でなる一般的なチャックテーブルを保持テーブルとして用いることもできる。
また、上記実施形態では、全てのステップで共通の切削ブレード38を用いているが、2組以上の切削ブレードを用いて各ステップを実施することもできる。
また、上記実施形態では、パッケージ基板11を第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cの3個の領域に分割しているが、パッケージ基板11は、2以上の領域に分割されれば良い。分断ラインの位置も任意に設定できる。例えば、1個のデバイス領域15を分断するような分断ラインを設定しても良い。
なお、パッケージ基板11を第一領域及び第二領域の2個の領域に分割する場合には、第一領域及び第二領域に対応する2個の保持テーブルが使用される。同様に、パッケージ基板11を4個以上の領域に分割する場合には、各領域に対応する4個以上の保持テーブルが使用される。
また、上記実施形態の第一領域切削ステップでは、第一領域11aに設定されている全ての分割予定ライン19に沿って第一領域11aを分割しているが、例えば、第一領域11aの一部の分割予定ライン19に沿って第一領域11aを分割しても良い。
同様に、第二領域切削ステップでは、第二領域11bの一部の分割予定ライン19に沿って第二領域11bを分割しても良く、第三領域切削ステップでは、第三領域11cの一部の分割予定ライン19に沿って第三領域11cを分割しても良い。
例えば、次のような手順によってパッケージ基板11を分割することもできる。まず、第一移動ステップ、第一領域切削ステップ、第二移動ステップ、第二領域切削ステップ、第三移動ステップ及び第三領域切削ステップを遂行し、第一方向に伸びる分割予定ライン19に沿って第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cをそれぞれ分割する。
その後、第一保持テーブル10、第二保持テーブル12及び第三保持テーブル14と、切削ブレード38とを相対的に移動、回転させる。そして、再び、第一移動ステップ、第一領域切削ステップ、第二移動ステップ、第二領域切削ステップ、第三移動ステップ及び第三領域切削ステップを遂行する。
2度目の第一移動ステップ、第一領域切削ステップ、第二移動ステップ、第二領域切削ステップ、第三移動ステップ及び第三領域切削ステップでは、第二方向に伸びる分割予定ライン19に沿って第一領域11a、第二領域11b及び第三領域11cをそれぞれ分割することになる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。