以下、本発明に係る実施の形態について、実施例を挙げて具体的に説明する。
<実施例>
まず、本実施例の画像形成装置であるプリンタ100を例に図面を用いて説明する。なお、図1は、画像加熱装置として機能する定着装置を搭載した画像形成装置100の構成を示す図である。この画像形成装置100は、中間転写ベルト130の移動方向に沿って第1、第2、第3、第4の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラーレーザープリンタである。なお、図1では、後述する外部加熱ユニットはその図示を省略している。
[画像形成部]
図1に示すように、画像形成装置100内には、画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdが併設されており、各画像形成部では各々異なった色のトナー像が潜像、現像、転写のプロセスを経て形成される。画像形成部Paでは、電子写真感光体である感光ドラム3aにイエロートナー像が形成されてこれに接する中間転写ベルト130に一次転写される。画像形成部Pb,Pc,Pdにおいても同様に、それぞれマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が感光ドラム3b,3c,3dに形成されて順次一次転写される。
シート(記録材、用紙)Pは、カセット10から1枚ずつ取り出されてレジストローラ12で待機する。レジストローラ12は、中間転写ベルト130によって二次転写部T2へと運ばれるトナー像にタイミングを合わせてシートPを二次転写部T2へ給送する。二次転写部T2に搬送されたシートPは中間転写ベルト130から四色のトナー像を二次転写される。トナー像が二次転写されたシートPは、定着装置9へ搬送され、定着装置9による加熱加圧を受けてシートのトナー像(画像)を定着される。定着済みのシートPは機体外部のトレイ7へ排出される。
また、両面印刷の場合は、第一面に2次転写されたトナー像を定着装置9で定着したシートPは、フラッパー16によって反転パス18に導かれる。反転パス18のシートPは、反転ローラ17により反転されて両面パス19へ導かれる。そして、シートPは、再び、レジストローラ12で待機して二次転写部T2へ送り込まれて第二面にトナー像が転写される。第二面に転写されたトナー像を定着装置9で定着することで両面に画像が定着されたシートPは機体外部のトレイ7へ排出される。
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置1a、1b、1c、1dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、実質的に同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、画像形成部Pb、Pc、Pdに関する重複した説明を省略する。
画像形成部Paは、感光ドラム3aの周囲に、帯電ローラ2a、露光装置5a、現像装置1a、一次転写ローラ6a、及びドラムクリーニング装置4aを配置している。感光ドラム3aは、アルミニウムの円筒材料の表面に感光層が形成されている。
帯電ローラ2aは、感光ドラム3aの表面を一様な電位に帯電させる。露光装置5aは、レーザービームを走査して感光ドラム3aに画像の静電像を書き込む。現像装置1aは、静電像を現像して感光ドラム3aにトナー像を形成する。一次転写ローラ6aは、電圧が印加されており感光ドラム3aのトナー像を中間転写ベルト130へ一次転写させる。
ドラムクリーニング装置4aは、感光ドラム3aにクリーニングブレードを摺擦させて、中間転写ベルト130への転写を逃れて感光ドラム3aに付着した転写残トナーを回収する。ベルトクリーニング装置15は、二次転写部T2でシートへの転写を逃れて中間転写ベルト130に付着した転写残トナーを回収する。
[定着装置]
次に定着装置9の構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例における外部加熱ユニットを備えた定着装置9の構成の説明図である。なお、前述のように画像形成装置100は定着装置9を備えており、定着装置9は画像加熱装置として機能する。定着装置9は、加熱回転体として機能する定着ローラ101と、ベルトユニット34と、検出部と、回動機構と、変位機構と、を備える。
以下、定着装置9について図を用いて詳細に説明する。なお、ここでは定着装置9の基本的な構成について説明をおこない、ベルトユニット34と、検出部と、回動機構と、変位機構とについては後述する。
図2に示すように、定着装置9は、定着ローラ101に加圧ローラ102を圧接してシートのニップ部Nを形成している。定着装置9はニップ部Nにおいて、未定着トナーKを担持したシートPを挟持搬送するとともにシート上の未定着トナーKを融解してシートP上に画像を定着させる機能を担っている。
定着ローラ101は、芯金101aを有し、この外周面に弾性層101bを備えている。また、この弾性層101bの表面は離型層101cで被覆されている。定着ローラ101は、ギア列を含む駆動機構141に回転駆動されて矢印A方向に所定のプロセススピードで回転する。
加圧ローラ102は、芯金102aを有し、この外周面に弾性層102bを備えている。また、この弾性層102bの表面は離型層102cで被覆されている。加圧ローラ102は、駆動機構141に駆動されて矢印B方向に所定のプロセススピードで回転する。加圧ローラ102は、偏心カムを用いた接離機構200に駆動されて定着ローラ101に対して接離可能である。接離機構200は、加圧ローラ102を所定の加圧力で加圧して、定着ローラ101と加圧ローラ102を協働させることで、この二つの間にニップ部Nを形成する。
ハロゲンヒータ111は、定着ローラ101の芯金101aの内部に非回転に配置された加熱部である。サーミスタ121は、定着ローラ101に接触して配置されて定着ローラ101の表面温度を検出する。制御部140は、サーミスタ121の検出温度に応じてハロゲンヒータ111への通電をON/OFF制御して、定着ローラ101の表面温度をシートの種類に応じた所定の目標温度に維持する。
ハロゲンヒータ112は、加圧ローラ102の芯金102aの内部に非回転に配置された加熱部である。サーミスタ122は、加圧ローラ102に接触して配置されて加圧ローラ102の表面温度を検出する。制御部140は、サーミスタ122の検出温度に応じてハロゲンヒータ112への通電をON/OFF制御して、加圧ローラ102の表面温度を所定の目標温度に維持する。
なお、制御部140はCPU等の演算部とROMなどの記憶部を備えた制御回路であり、記憶部内に記憶されたプログラムを演算部が読み込んで実行することで各種制御を実行可能である。なお、制御部は1つの制御回路に限られず、複数の制御回路から構成されていてもよい。
[外部加熱ユニット]
昨今、画像形成装置においては、厚紙などいろいろなシートでの高い生産性(単位時間当たりのプリント枚数)が求められてきている。坪量の大きなシートでの生産性を上げるためには、定着装置における加熱処理のスピードを高速化することが好ましい。しかし、坪量の大きなシートを加熱する場合は定着ローラの熱が多く奪われる。そのため、従来の画像形成装置では、定着時にシートに奪われる熱量に対して定着ローラの加熱源であるハロゲンヒータ等からの熱応答が間に合わない場合は、定着スピードを落として定着処理を施しているのが現状である。
これに対し、本実施例における定着装置9ではベルト外部加熱方式を採用し、定着ローラ101に対して外部加熱ユニットの一例であるベルトユニット34を当接/退避可能に配置している。そして定着ローラ101の表面にベルトユニット34を圧接させることで外部から定着ローラ101を加熱する。このような構成により、本実施例では坪量の大きいシートに定着する際でもスピードを落とさずに定着処理を施すことが可能である。ベルト外部加熱方式では、熱伝導に関わる定着ローラ101とベルトユニット34との接触面積が広いため、多くの熱伝導量を得られる点が特徴である。
図2に示すように、定着ローラ101の外周面は、弾性層101bの熱伝導性が低いため、定着時にシートに奪われる熱量に対してハロゲンヒータ111からの熱応答が間に合わない場合がある。そこで図2に示すように、ベルト外部加熱方式の外部加熱ユニットの一例であるベルトユニット34を採用する。ベルト外部加熱方式では、熱伝導に関わる定着ローラ101とベルトユニット34との接触面積が広いため、多くの熱伝導量を得られる点が特徴である。
ベルトユニット34は加熱ローラ103,104と、外部加熱ベルト105を備える。ベルトユニット34は、ベルト105を支持する支持部材(支持ローラ)として機能する加熱ローラ103,104にベルト105を掛け渡し、これを定着ローラ101に当接させて、定着ローラ101に必要な表面温度を確保している。
図2に示すように、ベルト105は、定着ローラ101の外周面に当接して接触部Neを形成して、定着ローラ101の表面を外部から加熱する。ベルト105は、加熱ローラ103,104に張架されている。ベルト105は、定着ローラ101の回転に伴って摩擦駆動されて矢印C方向に従動回転する。
ベルト105は、加熱回転体に接触してこれを加熱する無端状(エンドレス状)のベルトとして機能する。ベルト105は、ステンレス、ニッケル等の金属製の基層又はポリイミド等の樹脂製の基層を有する。基層の表面は、トナーの付着を防止するために、フッ素系樹脂を用いた耐熱性の摺動層で被覆されている。
加熱ローラ103,104は、定着ローラ101の回転方向に並べて配置されている。加熱ローラ103,104はベルト105を張架するとともにベルト105を定着ローラ101に押し付けた状態で回転する機能を担っている。また、ベルト105は定着ローラに従動回転し、加熱ローラ103,104はベルト105に従動回転するように構成されている。
加熱ローラ103,104は、熱伝導率の高いアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属で形成された芯金aの表面に高離型性を持つゴム、樹脂等をコートして構成される。また、加熱ローラ103、104は中空状であり、中には熱源(ヒータ)として機能するハロゲンヒータ113、114が非回転に配置(内蔵)されている。ハロゲンヒータ113,114は加熱ローラ103,104の回転軸線方向(長手方向)に沿って並んだON/OFF可能な複数の熱源(ヒータ)を有する。
クリーニングローラ108は、不図示の付勢機構によって所定の圧力でベルト105に押圧されて従動回転してベルト105の表面をクリーニングする。
出力部としてのサーミスタ123は、加熱ローラ103の位置でベルト105の外面に接触して配置されて加熱ローラ103の温度(あるいは、加熱ローラ103の近傍におけるベルト105の温度)に応じて制御部140に信号を出力する。このとき、サーミスタ123と制御部140は、ベルト105の表面温度を検知する検知部として機能する。サーミスタ123は、ベルト105を加熱ローラ103に向けて押圧するようにベルト105表面に弾性的に接触している。図3は外部加熱ユニットの構成の説明図である。制御部140は、図3に示すように、サーミスタ123(123a,123b)の検出温度に応じてハロゲンヒータ113の複数の熱源をON/OFF制御して、加熱ローラ103の温度をその長手方向の位置に応じて所定の目標温度に維持する。
出力部としてのサーミスタ124は、加熱ローラ104の位置でベルト105に接触して配置されて加熱ローラ104の温度(あるいは加熱ローラ104近傍のベルト105の温度)に応じて制御部140に信号を出力する。サーミスタ124は、ベルト105を加熱ローラ104に向けて押圧するようにベルト105表面に弾性的に接触している。このとき、サーミスタ124と制御部140は、ベルト105の表面温度を検知する検知部として機能する。制御部140は、不図示のサーミスタ124(124a,124b)の検出温度に応じてハロゲンヒータ114の複数の熱源をON/OFF制御して、加熱ローラ104の温度をその長手方向の位置に応じて所定の目標温度に維持する。
加熱ローラ103,104の目標温度は、定着ローラ101の目標温度よりも高く設定されている。これは、ベルト105の表面温度が定着ローラ101の表面温度よりも高温に保たれている方が、定着ローラ101の表面温度の降下に対してベルト105から効率的に熱供給できるからである。
ところで、本実施例においてベルトユニット34にベルト105を用いているが、一般的にベルトを用いた機構においてはベルトの寄り移動が発生することが知られている。つまり、本実施例においては、ベルト105は、加熱ローラ103,104の平行度のずれ等により回転動作時に加熱ローラ103,104に沿って寄り移動する虞がある。
ここで、ベルト105の寄り移動を規制するため、加熱ローラ103,104の両端部にベルト規制板(つば)を設けてベルトエッジを突き当てることが考えられる。しかし、ベルトエッジがベルト規制板に及ぼす寄り力が大きいと、ベルト規制板(つば)との摺動に伴ってベルトエッジに削れや変形が発生してベルト寿命が低下する可能性がある。
そこで、本実施例では、ベルトの寄り移動を意図的に発生させてそれを制御する手法を用いている。具体的には、図6に示すように定着ローラ101の回転軸線方向に対してベルトユニット34の幅方向の代表線が交差角度を持つように当接させる。図6は交差角制御に伴う交差角度θの説明図である。
より詳細には、図6に示すように、ベルトユニット34を上面から見て加熱ローラ103の軸線と104の軸線が平行となるときこの2つの軸線と平行となるベルトユニット34の幅方向の軸線をベルトユニット34の幅方向の代表線とする。そして、ベルトユニット34の幅方向の代表線と定着ローラ101の回転軸線とが交差する角度を交差角度θと呼ぶ。
そして、交差角度θを生じるようにベルトユニット34を傾けて定着ローラ101に当接させる。そして、接触部Neにおける定着ローラ101の表面の移動方向とベルト105の表面の移動方向とを異ならせることで、定着ローラ101とベルト105の間に摩擦による力を発生させている。その結果、ベルト105はこの摩擦の力によって寄り移動をする。そのため、この交差角度θを制御することによってベルトの寄り移動の制御が可能となる。なお、接触部Neにおける定着ローラ101の表面の移動方向とベルト105の表面の移動方向とがなす角度の大きさと、交差角度θの大きさはほぼ同一とみなすことができる。
前述した交差角度θの変更は後述する回動機構によって行われベルト105の寄り移動する範囲が所定の走行範囲(ゾーン内)に収まるように制御されている。
[交差角変更機構]
図4は外部加熱ユニットの斜視図である。図7は交差角変更機構の説明図である。以下、交差角度θが変更可能となるようにベルトユニット34を支持する交差角変更機構について詳細に説明する。
なお、以降の説明において、手前側とは図7中の矢印L方向の側を指し、奥側とは図7中の矢印M方向の側を指す。
本実施例におけるベルト寄り制御方法では、図6に示すように、定着ローラ101とベルト105が接触している接触部Neに対する法線方向に平行な軸線を中心としてベルトユニット34を回動させる。以下、この回動をユニット回動と呼ぶ。そのため、図4に示す外部加熱ユニットを、回動軸209によりユニット回動を可能に支持する。なお、ベルトユニット34がユニット回動を可能に支持されていれば、ユニット回動の中心軸線に沿った回動軸209を必ずしも設ける必要は無い。例えば、ベルトユニット34をユニット回動させることができるように、ベルトユニット34の両端部を支持して且つベルトユニットの両端部を中心軸線の周方向に沿って移動させる支持機構を用いてもよい
図7に示す加圧フレーム201の支持軸203は、本体側板202に両端が固定されている。揺動フレーム208及びベルトユニット34は、回動軸209を中心軸として加圧フレーム201に対して一体に回動可能である。揺動フレーム208に固定された支持軸207aは、本体側板202とクリアランスをもって保持され、ウォームホイール118のアーム部118aの移動に伴って、クリアランスの範囲で、矢印H、J方向に移動可能である。
図7に示すように、揺動フレーム208及びベルトユニット34の手前側が矢印H方向又はJ方向に移動すると、ベルトユニット34は回動軸209の周りでユニット回動する。そして、定着ローラ101とベルトユニット34との間の交差角度θが変更される。なお、揺動フレーム208及びベルトユニット34をユニット回動させる方法としては、回動軸209をモータ等で直接的に回転させる方法でもよい。
ここで、定着ローラ101とベルトユニット34の交差角度θとベルト105の寄り速度には関係があることが確認されている。そして、定着ローラ101とベルト105の交差角度θを外から調整することで、ベルト105が加熱ローラ103,104に沿って寄り移動する方向と寄り移動する速度を制御できる。
[交差角制御]
図8は定着装置の制御系のブロック図である。図9はベルトユニット34の交差角制御のフローチャートである。以下、交差角変更機構によって回動可能に支持されたベルトユニット34の制御の流れについて詳細に説明する。
制御部140はCPU、ROM、RAMプログラムを備える。ROMはCPUによって動作されるプログラムを格納する。CPUは、ROMに格納されたプログラムを実行する。RAMは、CPUによってプログラムを実行する際のワークメモリなどのメインメモリとして使われる。
図8に示すように、制御部140は、モータコントローラ51及びモータドライバ52を介してモータ125を制御してベルト105を寄り制御する。制御部140は、検出部としてのフォトインタラプタ133,134の出力に基づいてベルト105の寄り位置を検出する検出部として機能する。
ウォームホイール118と、ウォームギア(不図示)、モータ125と、に加え、制御部140と、モータコントローラ51と、モータドライバ52と、は回動機構(回動部、変更部)として機能する。あるいは、回動機構は検出部からの出力に応じてベルトユニット34をユニット回動させる。
制御部140は、ベルト105が手前側の所定位置まで寄ってくると、モータ125を作動させて支持軸207aを矢印(H:図7)へ移動させることで、ベルト105に奥側へ向かう寄り力を作用させる。制御部140は、ベルト105が奥側の所定位置まで寄ってくると、モータ125を作動させて支持軸207aを矢印(J:図7)へ移動させることで、ベルト105に手前側へ向かう寄り力を作用させる。
図4、図7に示すように、ベルトユニット34の長手方向の一方の端部には、フォトインタラプタ133,134、135が設けられており、ベルトの寄り移動に連動して動く部材と組みあわせて用いられている。
フォトインタラプタ135は、扇状のウォームホイール118のホームポジションを検知する。フォトインタラプタ135は、モータ125を作動させて加熱ローラ103,104を定着ローラ101と平行にした際にホームポジションを検知する。
図7に示すように、定着ローラ101の回転に伴ってベルト105が従動回転して外部加熱ベルトが手前側又は奥側へ寄ってきた際に、ベルト105の寄り方向とは逆の方向に寄り力が作用するように、支持軸207aを移動させる。支持軸207の移動量は、ホームポジションから矢印H、J方向ともに2mmとする。
図9はCPU204によって実行される処理手順を示すフローチャートである。図8を参照して図9に示すように、制御部140は、スタンバイ動作が開始すると(S11)、定着ローラ101とベルト105の交差角度θを0°にすべくフォトインタラプタ135がホームポジション位置を検知するようにモータ125を回転させる(S12)。ここで、交差角度θとは、図6に示すように、定着ローラ101に対するベルトユニット34の角度である。したがって、加熱ローラ103,104の軸線と定着ローラ101の軸線が実質平行となるときの交差角度θを0°とする。なお、本説明のベルト寄り制御に用いる交差角度θは±1.25°であり、ベルトユニット34の端部が定着ローラ101にから極端に浮き上がることのない角度としている。
制御部140は、ハロゲンヒータ111,112,113,114へ通電して、定着ローラ101、加圧ローラ102、加熱ローラ103,104の温度調整を開始する(S13)。制御部140は、画像形成ジョブが開始すると(S14のYES)、圧力解除カム205を回転させてベルト105を定着ローラ101に当接させる(S15)。定着ローラ101の回転に伴ってベルト105が従動回転する(S16)。
制御部140は、ベルト105が手前側に寄ってフォトインタラプタ133がOFFすると(S17のYES)、モータ125を回転させて、ベルト105を奥側に寄らせる方向に支持軸207aを移動する(S18)。制御部140は、ベルト105が奥側に寄ってフォトインタラプタ134がOFFすると(S19のYES)、モータ125を回転させて、ベルト105を手前側に寄らす方向に支持軸207aを移動する(S20)。
制御部140は、画像形成ジョブが終了するまで(S21のNO)、ベルト105の寄り制御を継続する(S17〜S21)。制御部140は、画像形成ジョブが終了すると(S21のYES)、圧力解除カム205を回転して、ベルト105を定着ローラ101から退避させる(S22)。
制御部140は、モータ125を回転して定着ローラ101と加熱ローラ103,104の交差角度θを0°に近付けてフォトインタラプタ135にホームポジションを検知させてモータ125を停止させる(S23)。なお、交差角制御においては、必ずしも交差角度θを0°ホームポジションにする必要はなく、また、ホームポジションがなくともよい。例えば、ベルトユニット34は、ベルト105を手前側に寄らす方向の交差角度θ1とベルト105を奥側に寄らせる方向の交差角度θ2の2つの位置を取り得る構成でもよい。
[支持機構]
図10は、ねじれの位置関係となった外部加熱ローラの状態図である。以下、ベルト105が定着ローラ101と接触部Neを形成して当接するように、ベルトユニット34を支持して、定着ローラ101に向かって付勢する支持機構の構成について詳細に説明する。なお、図10ではベルト105の図示を省略している。
ベルトユニット34は回動機構によってユニット回動し定着ローラ101に対して交差角度を持つ。このとき、加熱ローラ103,104の相対位置が固定されていると、加熱ローラ103、104は定着ローラ101に対してベルト105越しにそれぞれ片当たりしてしまう。従って、接触部Neにおける圧力分布はバラつきを生じてしまう。また、ベルト105の移動方向に沿った接触部Neの接触長さは、ベルト105の幅方向の位置によって異なってしまう。
このように、定着ローラ101に対して適切な圧力分布が得られない場合、個々の加熱ローラ103(104)及びベルト105によって定着ローラ101の表面を長手方向において不均一に加熱してしまう。その結果、カラー画像の定着性が記録部材の面内でムラが発生したり、グロス変動(光沢ムラ)等の画像弊害が発生したりする虞がある。
そのため、圧力分布の偏りを低減する方向に加熱ローラ103,104を傾けることが望ましい。また、加熱ローラ103,104の当接圧の偏りは奥側と手前側において互い違いの状態になっている。従って、図10に示すように、定着ローラ101の接線方向に沿い、加熱ローラ103,104の軸線を貫く軸線Xを中心として加熱ローラ103,104をそれぞれY方向(時計回り),Z方向(反時計回り)に回動させることが望ましい。以後、この回動をねじれ回動と呼ぶ。そこで、この加熱ローラ103,104にねじれ回動をさせる方法の一例として、加熱ローラ103,104のねじれ回動を許容する変位機構を有する支持機構について詳細に説明する。また、図10に示すように、軸線X方向から見たときにねじれ回動によって生じる加熱ローラ103の軸線と加熱ローラ104の軸線との交差角度をねじれ角度αと呼ぶ。
また、ねじれ角度αは、定着ローラ101とベルトユニット34の交差角度である交差角度θの増減に伴って増減する。つまり、交差角度θの絶対値が大きければ大きいほど、ねじれ角度αの絶対値も大きくなる。例えば、第1の交差角度θ1とこれより絶対値が大きい第2の交差角度θ2とでベルトユニット34が定着ローラ101に対して当接したとすると。第1の交差角度となるときの第1のねじれ角度α1の絶対値よりも、第2の交差角度となるときの第2のねじれ角度α2の絶対値の方が大きい。
ここで、回動機構によるベルトユニット34のユニット回動の中心はベルトユニット34の長手方向の実質中央に位置する。実質中央とは、ベルト105の幅方向の中央位置が寄り移動する範囲内であり、好ましくは、この範囲の中央の位置から部品精度や組み立て精度による誤差を許す位置である。
ねじれ回動の中心となる軸線Xはベルトユニット34のユニット回動中心の位置によって決まるため、この構成により、加熱ローラ103,104はその長手方向の中央を基準にねじれ角度αを持つ。従って、加熱ローラ103,104の回転軸線方向の端部のうち、ねじれ回動中心とそこから遠い側の端部までの距離を抑えることができる。よって、ねじれ回動により加熱ローラ103,104の端部の間隔が拡がることによるベルト105の拡がりを抑えることができるため、ベルト105への負荷を低減することができる。また、その負荷が一方の端部側にだけ偏らないように両端側に分散させることができる。
図3、図5に示すように、ローラ保持フレーム206a(以後、フレーム206aと呼ぶ)は加熱ローラ103,104のベルト幅方向一端側(手前側)の端部を保持する第1の保持部材として機能する。ローラ保持フレーム206b(以後、フレーム206bと呼ぶ)は加熱ローラ103,104のベルトの幅方向の他端側(奥側)の端部を保持する第2の保持部材として機能する。フレーム206(206a,206b)は、支持軸207にそった軸線を中心にそれぞれ回動(変位、傾動)が可能である。以後、この回動を端部回動と呼ぶ。
ところで、フレーム206(206a,206b)が互いに逆向きに端部回動を行うと、加熱ローラ103のその回転軸線方向の一端側が上がり、他端側がさがる。また、加熱ローラ104のその回転軸線方向の他端側が上がり、一端側がさがる。このため、加熱ローラ103,104はねじれ回動をすることになる。この現象はベルトユニット34が定着ローラ101に当接することで実際に起こり得る。
定着ローラ101に対してベルトユニット34が押圧されることで、定着ローラ101は加熱ローラ103,104の間に食い込んだ状態となる。この状態において、回動機構により定着ローラ101とベルトユニット34の間に交差角度θが生じると、定着ローラ101からの反力を受けてフレーム206aとフレーム206bとが互いに逆向きに端部回動する。その結果、フレーム206a,206bに保持された加熱ローラ103,104はねじれ回動をする。
このとき、加熱ローラ103,104の間に食い込む構成は定着ローラ101のみには限られない。例えば、ベルト105に対向する位置関係のローラによってベルトユニット34に向かって内面から押圧された定着ベルトであってもよい。以下、図面を用いて支持機構の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、第1の保持部材の一例であるフレーム206aは、加熱ローラ103と加熱ローラ104の手前側の各端部を回転自在に保持(支持)する。第2の保持部材の一例であるフレーム206bは、加熱ローラ103と加熱ローラ104のベルト幅方向の奥側の各端部を回転自在に保持(支持)する。
この構成により、フレーム206(206a,206b)は次のような特徴を有する。
フレーム206aは、回動機構によるベルトユニット34のユニット回動に伴い、加熱ローラ103,104がベルト105の幅方向の一端側を定着ローラ101に向けて押圧する夫々の力が互いに等しくなる方向に揺動可能(回動可能、変位可能、傾動可能)である。
フレーム206bは、回動機構によるベルトユニット34のユニット回動に伴い、加熱ローラ103,104がベルト105の幅方向の他端側を定着ローラ101に向けて押圧する夫々の力が互いに等しくなる方向に揺動可能(回動可能、変位可能、傾動可能)である。
また、本実施例では定着ローラ101とベルトユニット34の交差角が0°のとき、つまり、定着ローラ101と加熱ローラ103,104とが実質平行となるとき次のような構成となる。
その構成とは、加熱ローラ103と加熱ローラ104の回転中心を結ぶ線分の垂直二等分線上に、定着ローラ101の回転中心及びフレーム206a,206bの端部回動の中心が配置されるといった構成である。
この構成により、加熱ローラ103,104の径が等しいとき、加熱ローラ103,104にかかる加圧力がそれぞれに均等に分配される効果が得られる。これは、定着ローラ101から加熱ローラ103,104への反力が等しいときに、フレーム206のモーメントが釣り合うように仮想上の腕の長さを持つためである。
しかしながら、このとき、加熱ローラ103,104にかかる加圧力をそれぞれに均等に分配させる必要は必ずしもない。したがって、フレーム206aの端部回動の中心及びフレーム206bの端部回動の中心は必ずしもこの位置でなくてもよい。従って、端部回動の中心は、フレーム206がモーメントの釣り合いをとり得る位置であればよい。例えば、端部回動の中心は、加熱ローラ103と加熱ローラ104の軸線の間の任意の位置でよい。
フレーム206aは、加熱ローラ103と加熱ローラ104の一方の端部を支持する部分から加熱ローラ103と加熱ローラ104に沿って拡張されたL字型の部材である。フレーム206aは、加熱ローラ103と加熱ローラ104の一方の端部を支持する側とL字型に拡張された先端側とで揺動フレーム208に対して同一軸線上で端部回動を可能に支持される。
フレーム206bは、加熱ローラ103と加熱ローラ104の他方の端部を支持する部分から加熱ローラ103と加熱ローラ104に沿って拡張されたL字型の部材である。フレーム206bは、加熱ローラ103と加熱ローラ104の他方の端部を支持する側とL字型に拡張された先端側とで揺動フレーム208に対して同一軸線上で端部回動(端部回動)可能に支持される。なお、フレーム206a,206bは必ずしもL字型である必要はない。フレーム206は揺動フレーム208の端部に軸支されている構成であればよい。例えば、揺動フレーム208の端部から加熱ローラ103,104に沿って拡張する部分がないフレーム206でもよい。本実施例では、サーミスタ123,124やヒータ113、114の各種配線を保持させるために、フレーム206に上述した拡張部を設けている。
図5に示すように、揺動フレーム208は、加熱ローラ103と加熱ローラ104とがねじれ回動可能となるようフレーム206aとフレーム206bとを独立して端部回動可能に支持する。
図3に示すように、加圧ばね204は、定着ローラ101に向かって加圧フレーム201を付勢する。接離機構の一例である接離機構200は、加圧ばね204に逆らって揺動フレーム208を移動させることで、加熱ローラ103と加熱ローラ104とをベルト105を介して定着ローラ101に接離させる。ベルトユニット34は、接離機構200によって定着ローラ101の外周面に対して接離可能である。加熱ローラ103,104は、高耐熱性を有する不図示の断熱ブッシュとベアリングとを介して、フレーム206(206a,206b)に回転自在に支持されている。
図5に示すように、フレーム206は、加熱ローラ103,104の長手方向の中央部で手前側のフレーム206aと奥側のフレーム206bとに分割されている。加熱ローラ103,104の手前側の端部は、フレーム206aに支持され、加熱ローラ103,104の奥側の端部は、フレーム206bに支持されている。
図5に示すように、フレーム206aは、軸部としての支持軸207a、207cによって揺動フレーム208に対して端部回動自在に支持されている。フレーム206bは、軸部としての支持軸207c、207bによって揺動フレーム208に端部回動自在に支持されている。つまり、フレーム206bはフレーム206aに対して揺動可能となるように支持軸207(207a、207b,207c)によって接続されている。定着ローラ101と加熱ローラ103,104とが実質平行となるとき、支持軸207はこれらに実質平行である。
揺動フレーム208と、支持軸207(207a,207c,207b)は、フレーム206(206a,206b)を揺動可能に支持する揺動支持機構として機能する。
フレーム206(206a,206b)と、揺動フレーム208と、支持軸207(207a,207c,207b)と、は、加熱ローラ103,104のねじれ回動を許容する変位機構として機能する。
上述したように、本実施例では、フレーム206a、フレーム206b、支持軸207(207a、207b,207c)をそれぞれ別部材として設けている。しかしながら、揺動フレーム208に対して端部回動可能であれば、フレーム206aと支持軸207aを一体の部品で構成してもよい。揺動フレーム208に対して端部回動可能であれば、フレーム206bと支持軸207bを一体の部品で構成してもよい。フレーム206aとフレーム206bが独立して端部回動可能であれば、支持軸207cを、フレーム206aとフレーム206bのいずれか一方と一体の部品で構成してもよい。
回動機構によるベルトユニット34の回動に伴い、加熱ローラ103はベルト105を定着ローラ101に向けて押圧する。変位機構は、その押圧する力がベルト105の幅方向の両端において互いに等しくなる方向へ加熱ローラ103が変位するのを許容する。
回動機構によるベルトユニット34の回動に伴い、加熱ローラ104はベルト105を定着ローラ101に向けて押圧する。変位機構は、その押圧する力がベルト105の幅方向の両端において互いに等しくなる方向へ加熱ローラ104が変位するのを許容する。
つまり、変位機構は、回動機構によるベルトユニット34の回動に伴い、加熱ローラ103,104の軸線がねじれの位置関係となるように加熱ローラ103,104が変位するのを許容する。
図3に示す揺動フレーム208は、その両端部にある円筒形状の回転体としての中間コロ210を介して加圧アーム117に対してユニット回動自在に当接する。この構成により、ベルトユニット34の回動にともない中間コロ210が回転し、ユニット回動による揺動フレーム208と加圧アーム117の間の摩擦を低減でき、これらの磨耗を抑えることができる。
また、このとき、中間コロ210は、図3では加圧アーム117側に設けられているが、ベルトユニット34側の支持軸207a、207bによってそれぞれ回転可能に支持された中間コロ210a,210bとして設けられてもよい。このとき中間コロ210a,210bは第1及び第2の回転体として機能する。そしてこの構成では、フレーム206a,206bの端部回動への影響を低減できるという効果が得られる。つまり、ユニット回動によって生じるフレーム206a,206bの自然な端部回動を妨げることがない。
接離機構は、ベルトユニット34を定着ローラ101に圧接させる加圧機構を兼ねている。加圧アーム117は加圧フレーム201の長手方向の両端に一体に設けられている。そして加圧アーム117は、定着装置9の筐体フレーム9fに対して、支持軸203を中心にして回動自在である。以後、この回動をアーム回動と呼ぶ。加圧アーム117のアーム回動端と定着装置9の筐体フレーム9fとの間に加圧ばね204が配置される。加圧ばね204は、加圧フレーム201の両端に設けられた加圧アーム117のアーム回動の端を押し下げて、支持軸203を中心に加圧アーム117をアーム回動させる。そして、加圧アーム117を中間コロ210に当接させてこれを付勢する。
したがって、加圧ばね204と、加圧フレーム201と、加圧アーム117と、その長手方向の一端側において中間コロ210aに当接してこれを付勢する付勢部材として機能する。また、その長手方向の他端側において中間コロ210bに当接してこれを付勢する付勢部材として機能する。
この構成によって中間コロ210(210a,210b)介してフレーム206(206a,206b)が付勢され、フレーム206(206a,206b)を介して加熱ローラ103,104が定着ローラ101に向かって付勢される。したがって、加熱ローラ103,104がベルト105を介して定着ローラ101に当接した状態で、加圧ばね204は、加熱ローラ103,104を定着ローラ101に向かって、総圧力392N(約40kgf)にて加圧する。
圧力解除カム205は、加圧アーム117の支持軸203を中心にした回動端の下面に当接している。制御部140は、モータ211を制御して回動軸を中心にして圧力解除カム205をアーム回動させて、加圧アーム117のアーム回動端を昇降させる。
圧力解除カム205が加圧アーム117から離間しているとき、加圧ばね204が加圧アーム117のアーム回動端を押し下げて加熱ローラ103,104を定着ローラ101に圧接させる。圧力解除カム205が加圧ばね204を縮めて加圧アーム117を押し上げるとき、加熱ローラ103,104が定着ローラ101から離間する。
画像形成の開始時、圧力解除カム205を回動させて加圧アーム117をアーム回動させて、揺動フレーム208を定着ローラ101の方向に移動させる。それに伴い、フレーム206に両端を支持された加熱ローラ103,104が定着ローラ101の方向に移動開始する。次に、加熱ローラ103,104がベルト105を介して定着ローラ101に加圧当接すると、加圧ばね204によって加熱ローラ103,104が定着ローラ101に加圧される。そして、加熱ローラ103,104の熱がベルト105を介して定着ローラ101へ移動開始する。
画像形成の終了後、圧力解除カム205を逆方向に回動させることで、ベルトユニット34に画像形成開始時とは逆の順序の動作を行わせベルトユニット34が定着ローラ101から離間している最初の状態に戻す。そして、次の画像形成ジョブを受信するまでこの状態は保持させる。
上述したように加圧ばね204と、加圧フレーム201と、加圧アーム117とは第1及び第2の付勢部材として機能する。そして、加圧アーム117はベルトユニット34の手前側と奥側に配置された一対の円筒形状の回転体としての中間コロ210(210a,210b)を介して加熱ローラ103,104を定着ローラ101に向かって付勢する。加圧アーム117は中間コロ210の回転によって、ユニット回動の状態によらず付勢可能である。従って、加圧フレーム201と、加圧アーム117と、中間コロ210と、支持軸207と、加圧ばね204、とはベルトユニット34を定着ローラ101にむかって付勢する付勢機構として機能する。
付勢機構によって端部から付勢されたベルトユニット34は、定着ローラ101からの反力をより多く受ける。そのため、加熱ローラ103,104はより確実にねじれ回動をする。
本実施例では、ベルトユニット34のユニット回動にともない、フレーム206aとフレーム206bとが互いに逆方向に端部回動する。これにより、加熱ローラ103,104はねじれ回動をする。したがって、定着ローラ101に対する加熱ローラ103,104の両端部の加圧力は分散して平均化される。
加熱ローラ103,104に加圧力差が発生すると、手前側のフレーム206aと奥側のフレーム206bとが自律的に回動して加圧力差を相殺する。手前側のフレーム206aと奥側のフレーム206bとが相対的に回動して、定着ローラ101の曲面に応じたねじれ位置へ加熱ローラ103,104の姿勢を変更させる。
本実施例では、加熱ローラ103,104の相対的なねじれ角度αの変更が自在であるため、定着ローラ101の曲面に応じたねじれ位置へ加熱ローラ103,104の姿勢が自律的に修正される。そのため、加熱ローラ103,104の両方が定着ローラ101に均等に当接して、手前側でも奥側でも加熱ローラ103,104から定着ローラ101へ十分な外部加熱が行われ、定着ローラ101に回転軸線方向の温度ムラが発生しにくい。
本実施例によれば、定着ローラ101とベルトユニット34が回動機構によって交差角度θを持って当接するとき、定着ローラ101に接触するベルト105のその幅方向の両端側における加圧力の差を低減することができる。
本実施例によれば、定着ローラ101とベルトユニット34が交差角度θを持って当接するとき、定着ローラ101に接触するベルト105のその移動方向に沿った接触長さが、ベルト幅方向の位置においてバラつくことを低減できる。
本実施例によれば、定着ローラ101とベルトユニット34が交差角度θを持って当接するとき、定着ローラ101からの反力をうまく活用することで、加熱ローラ103,104をそれぞれねじれ回動させる。
本実施例によれば、定着ローラ101とベルトユニット34が交差角度θを持って当接するとき、定着ローラ101に対するベルト105の圧力分布は外部加熱ローラの回動軸線方向の略中央を基準としてほぼ対称となる。そのため、この圧力分布を長手方向においてほぼ均一に近づけるための、ベルトユニット34の両端部を付勢する加圧ばね204の調整を容易にできる。
本実施例によれば、定着ローラ101とベルトユニット34が交差角度θを持って当接するとき、ベルト105への定着ローラ101からの反力が効率的に調整される。すなわち、ベルトユニット34の接触部Neのうち、定着ローラ101からの反力が大きい領域の反力を減少させる動作が、定着ローラ101からの反力が小さい領域の反力を増加させる動作となる。したがって、加熱ローラ103,104をねじれ回動させる為に必要な力が少なくて済む。
本実施例によれば、回動機構によって定着ローラ101とベルトユニット34の交差角度θが変化するとき、交差角度θの変化に応じてねじれ角度αが変化する。そのため、定着ローラ101の長手方向の圧力分布は交差角度θの変化によらず安定する。
上述したような特徴により、本実施例によれば、エンドレス状のベルトの走行安定性を向上させるとともに、加熱回転体に当接するベルトの接触状態を向上させることができる。また、定着ローラ101の表面に与える熱量をその回転軸線方向の手前側から奥側まで安定して供給することができる。そして、定着ローラ101の表面温度をその回転軸線方向の手前側から奥側まで安定させることで、カラー画像の定着性をシートの面内で均一にし、定着画像のグロス変動(光沢ムラ)等の画像弊害を改善できる。したがって、出力画像に高い定着品質を付与できる。
[サーミスタ支持構成]
次に、サーミスタの取付構成に関して説明する。図5は、外部加熱ユニットの構成を示す図である。図11(a)は、ねじれていない状態の外部加熱ベルトユニットを正面から見た図である。図11(b)は、図11(a)におけるA−A断面の図である。 図12(a)は、ねじれた状態の外部加熱ベルトユニットを斜視した図である。図12(b)ねじれた状態の外部加熱ベルトユニットを正面から見た図である。図12(c)は、図12(b)におけるB−B断面の図である。図13(a)は、ねじれた状態の外部加熱ベルトユニットを斜視した図である。図13(b)は、ねじれた状態の外部加熱ベルトユニットを正面から見た図である。図13(c)は、図13(b)におけるC−C断面の図である。
上述したように、本実施例のベルトユニットは、その回動にともなって図12(a)に示すようにねじれる。このとき、図12(b)のB−B断面は図12(c)のようになる。
図12(c)によれば、加熱ローラ103とフレーム206bの間の距離d1と、加熱ローラ104とフレーム206bの間の距離d2が異なっていることが分かる。詳細には、図12(a)の示す方向にねじれた場合、d1はd2よりも小さくなる。図12(a)の示す方向と逆方向にねじれた場合は、d1はd2よりも大きくなる。つまり、加熱ローラ103、104とフレーム206bの位置関係が安定しない。これは、加熱ローラ103、104とフレーム206aの間に関係についても同様である。そのためフレーム206にサーミスタ(特にベルト中央近傍の温度を検知するためのサーミスタ)123を固定すると、ベルトユニットのねじれに伴い、サーミスタ123がベルトから浮いてしまう虞がある。そこで、本実施例では、図3及び図4に示すように、固定部材301にサーミスタ123を固定している。固定部材301は、ベルトユニット34のねじれ状態によらずベルト105と一定の対向間隔を保つことが出来る。そのため、固定部材301にサーミスタ123を固定することで、サーミスタ123はベルト105に対して安定的に接触することができる。 固定部材301は、部材の一端側をフレーム206a及び206bの回転中心となる支持軸207cに支持されている。また、支持軸207cは揺動フレーム208に対して回動可能に支持されている。つまり、固定部材301は、ベルト105の外側において支持軸207cを中心に揺動可能な揺動部材である。そして、固定部材301は支持軸207cを中心として、フレーム206a及び206bとは独立して回動可能である。つまり、固定部材301は支持軸207cを中心として、フレーム206a及び206bに対して相対的に変位可能である。
また、固定部材301は、支持軸207cを中心とした回動が規制されるように、部材の他端側が回動規制軸303によって支持されている。本実施例の固定部材301はベルトユニットの長手方向の中央側において、固定部材301が支持軸207cの周りを回転することを規制している。固定部材301の回動規制軸303側の端部はコの字の形状をしており、コの字の隙間部分において回動規制軸303を咥えるように把持している。このような構成により、固定部材301が支持軸207cの周りを回転することを規制する一方で、回動規制軸303が支持軸207cに近づく方向及び離れる方向に微少に移動することを許容している。こうして、サーミスタ123は、ベルト105から離間することが抑制されている。つまり、サーミスタ123はベルト105から浮き上がることがない。また、このような構成によりサーミスタ123がベルト105に対して過剰に強く押し当たることが抑制されている。つまり、本実施例のサーミスタ123はベルト105との接触圧をほぼ一定に維持することができる。なお、部品の精度によっては固定部材310が微小にがたつくことがあるが、サーミスタの先端の弾性を持たせることで検知温度が乱れることを抑制することができる。
回動規制軸303は、前奥のフレーム206a、206bの端面に開けられた開口部302に差し込まれ、フレーム206a、206bを橋渡すように(連結するように)設けられた部材である。回動規制軸303は、ベルト105を間において、加熱ローラ103と対向するように配置されており、回動規制軸303の軸線方向は加熱ローラ103の軸線方向と略同じである。なお、回動規制軸303へのねじれ回動による影響を低減するため、開口部302は、フレーム206a、206bのうちベルトユニット34の中央側に延びた拡張部ではなく端面に設けることが望ましい。つまり、回動規制軸303は、ベルト105よりも長手方向外側においてフレーム206a、206bに支持されることが望ましい。さらに、回動規制軸303は、フレーム206a、206bに回動可能に支持されている。つまり、本実施例の回動規制軸303は、ベルト幅方向においてベルト105よりも一端側でフレーム206aに回転可能に支持されており、ベルト幅方向においてベルト105よりも他端側でフレーム206bに回転可能に支持されている。このようなこうせいにより、回動規制軸303はベルトユニット34のねじれに起因する応力が生じない構成となっている。
ここで、ベルトユニット34がねじれた場合の各構成の位置関係について説明する。図10において、ベルトユニットが一方にねじれた場合の回動規制軸を303(a)、ベルトユニットが他方にねじれた場合の回動規制軸を303(c)、ベルトユニットがねじれていない場合の回動規制軸を303(b)で示す。
図10に示すように、本実施例の加熱ローラ103,104は、ベルトユニット34の交差角回動に伴って、支持軸207cから間隔をあけた位置において支持軸207cを中心にねじれ回動する。また、回動規制軸303は、支持軸207cから間隔aをあけた位置において支持軸207cを中心にねじれ回動する。回動規制軸303は、フレーム206a、206bによって加熱ローラ103と間隔bをあけた位置に設けられている。
ここで、回動規制軸303は、支持軸207cからの距離が加熱ローラ103と略同じ距離となるように加熱ローラ103の近傍においてフレーム206a、206bに支持されている。そのため回動規制軸303は、ベルトユニット34のねじれの状態によらず、加熱ローラ103と略平行な関係が維持される。つまり、加熱ローラ103が変位すると、それにともなって回動規制軸303も変位する。したがって、回動規制軸303と加熱ローラ103の間隔bは、ベルトユニット34のねじれの状態によらずにほぼ一定である。つまり、図11(b)、図12(c)、図13(c)に示すように間隔bは、ベルトユニットの長手方向のどの位置においてもほぼ一定であり、ベルトユニット34がねじれた場合であってもほぼ一定である。支持軸207cの軸中心と回動規制軸303の軸中心の最短距離を結ぶ仮想線と、支持軸207cの軸中心と加熱ローラ103の軸中心の最短距離を結ぶ仮想線を、図11(b)に示す。間隔bがほぼ一定であるので、図11(b)、図12(c)、図13(c)に示しように、これらの仮想線がなす角度θ’も、ベルトユニット34の長手方向位置及びベルトユニット34のねじれ状態によらずほぼ一定である。そのため、支持軸207cと回動規制軸を橋渡すように固定部材303を設けることで、固定部材303は、ベルトユニット34のねじれによらずに加熱ローラ103に対してほぼ一定の距離間隔を保つことができる。図11(b)及び13(c)によれば、固定部材301は、ベルトユニット34のねじれによらずに、ベルトユニット34の長手方向の中央において加熱ローラ103に対して一定の間隔を維持できていることがわかる。よって、固定部材301にサーミスタ123を固定することで、サーミスタ123とベルト105の接触状態をベルトユニット34のねじれによらず良好に維持することができる。
なお、本実施例では、それぞれの加熱ローラ内に配置された2本のハロゲンヒータ113、114の制御をする構成になっている。そのため、ベルト105の加熱ローラ104側の温度を検知するためのサーミスタ124と、ベルト105の加熱ローラ103側の温度を検知するためのサーミスタ123を、備えている。ここで、本実施例では図5に示すように、サーミスタ123、124をベルトユニット34の長手方向中央から微小にずらして配置している。本実施例では、ベルトの幅方向の中央から一端側に10mmオフセットした位置にサーミスタ123を接触させ、ベルトの幅方向の中央から他端側に10mmオフセットした位置にサーミスタ123を接触させている。これは、サーミスタ123によるベルト105の摩耗位置と、サーミスタ124によるベルト105の摩耗位置がベルトの長手方向で重ならないようにするためである。このような構成により、ベルト105表面が局所的に摩耗することを抑制できる。なおこのとき、固定部材301とベルト105表面との間の距離は0.2mmほどバラつきを生じるが、サーミスタ123、124は、0.5mm程度の距離変動を許容する弾性を有しているためベルト105から離間してしまうことがない。しかしながら、サーミスタ123、124の位置をベルトユニットの長手方向中央に限りなく近づけた方が、サーミスタ123、124とベルト105の接触を安定させる点では好ましい。
上述したように、本実施例では、ベルトの寄り制御によって加熱ローラ103、104がねじれの関係にとなりえる。しかしながら、本実施例では、ベルト105とサーミスタ123、124の位置関係を上述したねじれの関係によらずにほぼ一定に保つことができる。したがって、本実施例のベルトユニット34はベルト105の寄り制御が行われても、サーミスタ123、124が検出する温度とベルト105の表面の実際の温度にズレが生じることを抑制できる。
つまり、本実施例は、ベルト105と定着ローラ101の交差角度を変化させてベルトの寄り制御を行う構成に適用できる。更に、本実施例は、ベルト105と定着ローラ101で形成される圧分布を前奥で均一にするために、加熱ローラ103、104をねじれの関係にできる構成におい適用できる。
本実施例によれば、ベルト105の表面温度を目標温度に非常に近い温度で調整できるために、ベルト105の表面温度を安定した温度制御ができる。したがって、本実施例によれば、そして、定着ローラ101の表面温度を想定した温度に温度調整することが可能になり、画像弊害の発生を抑制することができる。
<その他の実施例>
以上、実施例について説明したが、本発明を実施するための形態は上述した実施例の構成のみに限られない。
固定部材301を支持する軸は、回動規制軸303と支持軸207cには限られない。たとえば、ベルト105の外側において加熱ローラ103と平行になるようにフレーム206a及び206bに支持された回動規制軸303によって固定部材301を支持してもよい。さらにはベルト105の外側において加熱ローラ104と平行になるようにフレーム206a及び206bに支持された更なる軸によって固定部材301を支持してもよい。
加熱ローラ103,104をねじれ回動させる力を外部の駆動源により発生させてもよい。例えば、実施例の支持軸207をモータによって能動的に回転させる構成であってもよい。
しかしながら、外部の駆動源を用いる場合にはベルトユニット34の回動に伴う制御が必要となり、装置構成が複雑化し、部品点数が増大する。したがって、上述した実施例の方がより好ましい。
また、加熱回転体に当接するベルトユニット34のベルト105を支持する加熱ローラ103,104が、変位機構によってねじれ回動可能に支持されており、この構成に影響を与えなければ、他の構成要素を追加しても構わない。
したがって、ベルトユニット34を支持する支持部材は、加熱ローラ103,104の2本のみには限られない。例えば、支持部材が定着ローラ101の周面に追従するように変位する構成であれば、ベルトユニットは2以上のローラ又はニップパッド等を備えてもよい。
一対のローラのその長手方向の一方の端部を支持する第1の支持部材とその長手方向の他方の端部を支持する第2の支持部材とが独立して回動する限りにおいて、実施例の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施例でも実施できる。
したがって、ローラ及びベルトの加熱方法は、ハロゲンヒータには限らない。例えば、ローラ及びベルトに誘導加熱層を設けて交番磁束により誘導加熱してもよい。ローラ及びベルトは、加熱回転体の加熱用途には限らない。例えば、加熱回転体の回転軸線方向の温度分布を平均化する均熱用途、加熱回転体の冷却を促進する冷却用途でも実施できる。加熱回転体は定着ローラには限らない。例えば、シートの画像面の裏面を加熱する加圧ローラにおいても実施できる。
実施例として説明した画像加熱装置は、定着装置の他に、画像の光沢や表面性を調整する表面加熱装置としても実施可能である。また、この画像加熱装置は、画像形成装置に組み込む以外に、単独で設置、操作される1台の装置又はコンポーネントユニットとして実施できる。この画像形成装置は、フルカラーの画像を形成する装置に限られず、モノクロの画像を形成する装置でもよい。また、実施例の構成に必要な機器、装備、筐体構造を加えることで、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。