本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムを有するシュリンクラベルである。なお、本明細書では、上記シュリンクフィルム(即ち、本発明のシュリンクラベルに含まれるシュリンクフィルム)を「本発明のシュリンクフィルム」と称する場合がある。本発明のシュリンクラベルは、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明のシュリンクフィルム以外の層を含んでいてもよい。
[シュリンクフィルム]
本発明のシュリンクフィルムは、基層部の両面側に積層された、表面層を有する。即ち、本発明のシュリンクフィルムは、基層部と、上記基層部の両面側にそれぞれ設けられた表面層とを含む。具体的には、本発明のシュリンクフィルムは、表面層/基層部/表面層の層構成を有し、好ましくは基層部と表面層とが直接積層されている。本発明のシュリンクフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内で、表面層の外面に帯電防止層やアンカーコート層が設けられていてもよい。本発明のシュリンクフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理、フレーム処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。
<表面層>
本発明のシュリンクフィルム中の、基層部の両面側にある表面層のうちの一方の表面層(表面層A1)は、層中にポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層である。また、本発明のシュリンクフィルム中の、基層部の両面側にある表面層のうちの他方の表面層(表面層A2)は、層中にポリスチレン系樹脂を少なくとも含有する層である。なお、本明細書において、上記「基層部の両面側にある表面層のうちの一方の表面層」を、「表面層A1」と称する場合がある。また、上記「基層部の両面側にある表面層のうちの他方の表面層」を、「表面層A2」と称する場合がある。
(表面層A1)
本発明のシュリンクフィルムにおける一方の表面層(表面層A1)は、層中にポリエステル系樹脂を50重量%以上含む層である。上記表面層A1を有することにより、熱収縮率と剛性とが向上し、腰を強くしたり、表面層A1側の耐摩耗性、耐溶剤性が優れるようにすることができる。
上記表面層A1は、ポリエステル系樹脂を必須成分として含む。上記ポリエステル系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。また、表面層A1は、特に限定されないが、上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
本明細書において、ポリエステル系樹脂は、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を必須の構成成分として構成されたポリエステル(即ち、ジカルボン酸に由来する構成単位(構造単位)とジオールに由来する構成単位を少なくとも含むポリエステル)、ポリ乳酸系重合体、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。ジカルボン酸に由来する構成単位とジオールに由来する構成単位を少なくとも含むポリエステルの主なものとしては、ジカルボン酸とジオールの縮合反応による重合体、共重合体又はこれらの混合物が挙げられる。
上記ジカルボン酸(ジカルボン酸成分)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、イコサン二酸、ドコサン二酸、1,12−ドデカンジオン酸、及びこれらの置換体等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。上記ジカルボン酸は、1種のみを使用してもよいし2種以上を使用してもよい。
上記ジオール(ジオール成分)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式ジオール;2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。上記ジオールは、1種のみを使用してもよいし2種以上を使用してもよい。
上記ポリエステル系樹脂は、上記以外にも、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;トリメリット酸等の多価カルボン酸;ポリアルキレングリコールモノメチルエーテル等の1価アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどに由来する構成単位を含んでいてもよい。
中でも、剛性、表面光沢、機械強度、耐熱性、収縮特性、耐摩耗性、耐溶剤性の観点から、上記ポリエステル系樹脂は、芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。なお、上記芳香族ポリエステル系樹脂とは、全ジカルボン酸成分中の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が芳香族ジカルボン酸、及び/又は、全ジオール成分中の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が芳香族ジオールであるポリエステル系樹脂である。さらに、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と脂肪族ジオールを含むジオールとの縮合反応による重合体、共重合体、又はこれらの混合物である芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
上記芳香族ポリエステル系樹脂は、熱収縮率を高くし、ポリエステル系樹脂を非晶性とすることにより、シュリンクフィルム内の層間剥離(特に、表面層A1と基層部との間の層間剥離)を生じにくくする観点から、単一の繰り返し単位から構成されているのではなく、変性成分(共重合成分)を含んでいる変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。変性芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分及びジオール成分のうちの少なくとも一方が2以上の成分から構成される、即ち、主成分の他に変性成分を含んでいる変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。言い換えると、上記芳香族ポリエステル系樹脂は、少なくとも2種類以上のジカルボン酸に由来する構成単位及び/又は少なくとも2種類以上のジオールに由来する構成単位を含む変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
上記変性芳香族ポリエステル系樹脂としては、上記の中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)を用いたポリエチレンテレフタレート(PET)において、ジカルボン酸成分及び/又はジオール成分の一部を変性成分(すなわち、他のジカルボン酸成分及び/又は他のジオール成分)に置き換えた変性PETが好ましく例示される。
上記変性芳香族ポリエステル系樹脂(特に、変性PET)の変性成分(共重合成分)として用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、イソフタル酸などが挙げられる。中でも好ましくは、イソフタル酸である。また、変性成分として用いられるジオール成分としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NPG)等の2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。中でも好ましくは、CHDM、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール(特に、NPG)である。なお、上記2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールにおけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、また、2つのアルキル基は、同一のアルキル基であってもよいし異なるアルキル基であってもよい。
上記芳香族ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、熱収縮性(収縮特性)の観点で、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてEGを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、CHDMを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(「CHDM共重合PET」と称する場合がある);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(「2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PET」と称する場合がある)が好ましい。上記2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETの中では、特に、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、NPGを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(「NPG共重合PET」と称する場合がある)が好ましい。上記芳香族ポリエステル系樹脂は、特に好ましくはCHDM共重合PET及び/又は2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETであり、さらに好ましくはCHDM共重合PET及び/又はNPG共重合PET、最も好ましくはCHDM共重合PETである。なお、上記CHDM共重合PET、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETには、それぞれ、CHDM、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール以外の共重合成分が用いられていてもよく、例えば、さらに、イソフタル酸やジエチレングリコールが共重合されていてもよい。
上記変性芳香族ポリエステル系樹脂において、共重合成分(変性成分)の共重合比率[全ジカルボン酸成分に対する共重合ジカルボン酸成分の比率(割合)、又は、全ジオール成分に対する共重合ジオール成分の比率(割合)]は、特に限定されないが、表面層A1等ポリエステル系樹脂を主成分とする層の熱変形挙動を適正化し、シュリンクフィルム内の層間剥離(特に、表面層A1と基層部との間の層間剥離)を低減させる観点から、10モル%以上(例えば、10〜40モル%)が好ましく、より好ましくは15モル%以上(例えば、15〜40モル%)である。中でも、例えば、CHDM共重合PETの場合、CHDMの割合は、全ジオール成分中、10モル%以上(EGが90モル%以下)が好ましく、より好ましくは12モル%以上(EGが88モル%以下)、さらに好ましくは15モル%以上(EGが85モル%以下)であり、20モル%以上(EGが80モル%以下)、25モル%以上(EGが75モル%以下)であってもよい。また、CHDMの割合の上限は、全ジオール成分中、40モル%以下(EGが60モル%以上)が好ましく、より好ましくは35モル%以下(EGが65モル%以上)、さらに好ましくは30モル%以下(EGが70モル%以上)、特に好ましくは25モル%以下(EGが75モル%以上)である。また、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETの場合、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールの割合(NPG共重合PETの場合にはNPGの割合)は、全ジオール成分中、10モル%以上(EGが90モル%以下)が好ましく、より好ましくは15モル%以上(EGが85モル%以下)である。また、NPGの割合の上限は、全ジオール成分中、40モル%以下(EGが60モル%以上)が好ましく、より好ましくは30モル%以下(EGが70モル%以上)である。また、さらにEG成分の一部(好ましくは、全ジオール成分中、1〜30モル%、より好ましくは1〜10モル%)をジエチレングリコールに置き換えてもよい。
上記芳香族ポリエステル系樹脂は、実質的に非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくは、非晶性の飽和ポリエステル系樹脂である芳香族ポリエステル系樹脂である。特に限定されないが、芳香族ポリエステル系樹脂は、上述のように変性することによって、結晶化しにくくなるため、例えば、変性によって実質的に非晶性とすることができる。芳香族ポリエステル系樹脂を非晶性とすることにより、比較的低温での押出が可能となる。これにより、押出加工時の表面層A1等ポリエステル系樹脂を主成分とする層の層形成性が良好となることで、シュリンクフィルム内の層間剥離(特に、表面層A1と基層部との間の層間剥離)が生じにくくなり、また、シュリンクラベルの収縮特性が向上する。
上記ポリエステル系樹脂の、示差走査熱量測定(DSC)法(10℃/分の昇温速度で測定)により測定した結晶化度は、15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。さらに、上記ポリエステル系樹脂は、上記DSC法により測定した場合に、融点(融解ピーク)がほとんど見られないもの(すなわち、結晶化度0%のもの)が最も好ましい。上記結晶化度は、DSC測定より得られる結晶融解熱の値から、X線法等により測定した結晶化度の明確なサンプルを標準として、算出することができる。なお、結晶融解熱は、例えば、セイコーインスツル(株)製DSC(示差走査熱量測定)装置を用い、試料量10mg、昇温速度10℃/分で、窒素シールを行い、一度融点以上まで昇温し、常温まで降温した後、再度昇温したときの融解ピークの面積から求めることができる。結晶化度は、単一の樹脂から測定されることが好ましいが、混合状態で測定される場合には、混合される樹脂の融解ピークを差し引いて、対象となるポリエステル系樹脂の融解ピークを求めればよい。
上記ポリエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶融挙動や収縮挙動の観点から、15,000〜100,000が好ましく、より好ましくは15,000〜90,000、さらに好ましくは30,000〜90,000、特に好ましくは30,000〜80,000である。2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETの場合、50,000〜70,000が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、GPCにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、延伸特性、収縮特性の観点から60〜80℃が好ましく、より好ましくは60〜75℃である。上記Tgは、ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸やジオールなどの種類や変性に用いる共重合成分(変性成分)の共重合比率により制御できる。
本明細書中において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、JIS K 7121に準拠して、DSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。DSC測定は、特に限定されないが、例えば、セイコーインスツル(株)製、示差走査熱量計「DSC6200」を用いて、昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。
上記ポリエステル系樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、Eastman Chemical(イーストマンケミカル)社製「EMBRACE 21214」、「EMBRACE LV」(以上、CHDM共重合PET)や、(株)ベルポリエステルプロダクツ製「ベルペット MGG200」(2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PET)、(株)ベルポリエステルプロダクツ製「ベルペット E02」(NPG共重合PET)等が市場で入手できる。
上記ポリ乳酸系重合体は、乳酸(D−乳酸、L−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物)を単量体成分とする重合体を意味し、乳酸と他の単量体成分(例えば、他のヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸、ジオールなど)との共重合体も含まれる。他のヒドロキシカルボン酸として、例えば、グリコール酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。また、ジカルボン酸としては、上述のポリエステル系樹脂を構成する成分として例示及び説明されたジカルボン酸などが挙げられる。また、ジオールとしては、上述のポリエステル系樹脂を構成する成分として例示及び説明されたジオールなどが挙げられる。これらの他の単量体成分は、乳酸とモノマー状態で混合され、ランダム共重合体としてポリマー中に導かれてもよいし、事前にポリエステルとして重合されたオリゴマー、或いはプレポリマーとして乳酸とブロック共重合体を形成する形でポリマー中に導かれてもよい。
上記ポリ乳酸系重合体を構成する乳酸の光学異性体の組成比(D体とL体の含有率比)は、要求される物性によっても異なり、特に限定されないが、結晶化度制御の観点から、全乳酸成分に対するD−乳酸の割合が1〜20重量%(好ましくは1〜15重量%)であるか、又は全乳酸成分に対するL−乳酸の割合が1〜20重量%(好ましくは1〜15重量%)であることが好ましい。中でも、全乳酸成分に対するD−乳酸の割合が1〜20重量%の場合がより好ましい。
上記ポリ乳酸系重合体を構成する全単量体に占める乳酸の割合は、特に限定されないが、50モル%以上が好ましく、より好ましくは65モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。上記割合の上限は、特に限定されないが、100モル%であってもよい。上記ポリ乳酸系重合体は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。例えば、L−乳酸とD−乳酸との比率が異なるポリ乳酸系重合体を2種以上組み合わせて用いることができる。
上記ポリ乳酸系重合体は、例えば、トウモロコシや芋類などから得られたデンプンを原料として製造された乳酸を重合して製造することができる。重合法としては、特に限定されず、縮重合法、開環重合法等の公知乃至慣用の方法を採用できる。例えば、縮重合法では、乳酸、又は乳酸と他の単量体成分とを直接脱水縮合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、適当な触媒の存在下で重合させることにより任意の組成のポリ乳酸系重合体を得ることができる。
上記ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、機械特性、溶融粘度の観点から、通常5,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000程度である。上記重量平均分子量が小さすぎると機械物性や耐熱性が劣る場合がある。上記重量平均分子量が大きすぎると成形加工性が低下する場合がある。
上記表面層A1中の上記ポリエステル系樹脂の含有量は、表面層A1の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%であり、または100%未満であってもよく、99重量%以下、98重量%以下であってもよい。上記含有量が50重量%未満では、熱収縮率やラベルの剛性が低下する。上記ポリエステル系樹脂の含有量は、表面層A1中に含まれる全てのポリエステル系樹脂の含有量の合計である。
表面層A1は、特に限定されないが、上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。表面層A1がポリエステル系樹脂以外の樹脂を含有する場合には、当該樹脂の含有量は、表面層A1の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0重量%を超えて50重量%以下)であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。表面層A1がポリエステル系樹脂以外の樹脂を2種以上含む場合、上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂の含有量は、上記2種以上の樹脂の含有量の合計である。なお、表面層A1は、上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよいが、ポリスチレン系樹脂を含まないことが特に好ましく、ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含まないことが最も好ましい。
上記表面層A1は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤、相溶化剤などの添加剤を含有してもよい。
(表面層A2)
本発明のシュリンクフィルムにおける他方の表面層(表面層A2)は、層中にポリスチレン系樹脂を少なくとも含む層である。層中にポリスチレン系樹脂を含む上記表面層A2を有することにより、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有するB層を有する基層部との収縮挙動が近づくため、表面層A2と基層部との熱収縮時の層間剥離を防止することができる。また、シュリンクフィルムの表面層A2側に印刷層を設ける場合には、印刷適性に優れる。
表面層A2は、ポリスチレン系樹脂を必須成分として含む。上記ポリスチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。また、表面層A2は、特に限定されないが、上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
本明細書において、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を必須の単量体(モノマー)成分として構成される重合体である。即ち、分子中(1分子中)に、スチレン系単量体に由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。
上記スチレン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。中でも、入手し易さ、材料価格などの観点から、スチレンが好ましい。なお、上記スチレン系単量体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレンの単独重合体である汎用ポリスチレン(GPPS)等のスチレン系単量体の単独重合体;2種以上のスチレン系単量体のみを単量体成分として構成される共重合体;スチレン−ジエン系共重合体;スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル系共重合体等の共重合体;ポリスチレンと合成ゴム(例えば、ポリブタジエンやポリイソプレン等)の混合物、合成ゴムにスチレンをグラフト重合させたポリスチレンなどの耐衝撃性ポリスチレン(HIPS);スチレン系単量体を含む重合体(例えば、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合体)の連続相中にゴム状弾性体を分散させ、該ゴム状弾性体に前記共重合体をグラフト重合させたポリスチレン(グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン「グラフトHIPS」という);スチレン系エラストマーなどが挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂としては、中でも、スチレン−ジエン系共重合体が好ましい。なお、上記ポリスチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエン系共重合体は、スチレン系単量体及びジエン(特に、共役ジエン)を必須の単量体成分として構成される共重合体である。即ち、分子中(1分子中)に、スチレン系単量体に由来する構成単位、及びジエン(特に、共役ジエン)に由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。
上記ジエンとしては、特に限定されないが、共役ジエンが好ましく、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレンなどが挙げられる。中でも、延伸特性、熱収縮性、層間強度の観点から、1,3−ブタジエンが特に好ましい。即ち、上記スチレン−ジエン系共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。なお、上記ジエンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエン系共重合体を構成する単量体成分は、さらに、上記スチレン系単量体及び上記ジエン以外の単量体成分を含んでいてもよい。上記スチレン系単量体及び上記ジエン以外の単量体成分としては、例えば、ビニル系モノマー、重合性不飽和カルボン酸エステル、重合性不飽和無水カルボン酸などが挙げられる。
上記スチレン−ジエン系共重合体の共重合の形態は、特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。中でも、ブロック共重合体が好ましく、例えば、スチレンブロック(S)−ジエンブロック(D)型、S−D−S型、D−S−D型、S−D−S−D型などが挙げられる。
上記スチレン−ジエン系共重合体のブロック共重合体(スチレン−ジエンブロック共重合体)としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)等のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBC)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等のスチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)等のスチレン−ブタジエン−イソプレンブロック共重合体などが挙げられ、中でも、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましい。なお、これらのブロック共重合体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体としては、スチレン系単量体のみが重合したスチレンブロックとブタジエンのみが重合したブタジエンブロックとを有する共重合体であればよく、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSBS)等のスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体(SB)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン共重合体(SBSB)等のスチレンブロック及びブタジエンブロックをそれぞれの末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体;ブタジエン−スチレン−ブタジエン共重合体(BSB)、ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン共重合体(BSBSB)等のブタジエンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体などが挙げられる。中でも、スチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましく、より好ましくはSBSである。なお、これらのスチレン−ブタジエンブロック共重合体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエンブロック共重合体は、公知乃至慣用のブロック共重合体の製造方法により製造することができる。上記スチレン−ジエンブロック共重合体の製造方法としては、例えば、スチレン−ジエンブロック共重合体の分子量、分子量分布及び末端構造などを制御しやすい、リビング重合(リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合など)が挙げられる。上記リビング重合は公知乃至慣用の方法により実施可能である。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、水素添加されていてもよい。即ち、上記ポリスチレン系樹脂は、水素添加されたポリスチレン系樹脂(水添ポリスチレン系樹脂)であってもよい。上記水添ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、SBSやSISに水素を添加した樹脂である水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)や水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等の水素添加されたスチレン−ジエン系共重合体が好ましい。上記水添ポリスチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、極性基が導入されていてもよい。即ち、上記ポリスチレン系樹脂は、極性基が導入されたポリスチレン系樹脂(変性ポリスチレン系樹脂)であってもよい。なお、上記変性ポリスチレン系樹脂には、極性基が導入された水添ポリスチレン系樹脂が含まれる。
上記変性ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系樹脂を主鎖骨格として、極性基を導入されたポリスチレン系樹脂である。上記極性基としては、特に限定されないが、例えば、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、水酸基などが挙げられる。中でも、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基が好ましく、より好ましくは無水マレイン酸基、エポキシ基である。上記極性基は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。上記変性ポリスチレン系樹脂は、ポリエステル系樹脂と親和性が高いまたは反応可能な極性基を有し、かつ、ポリスチレン系樹脂と相溶可能であることにより、ポリエステル系樹脂を主成分とする層(例えば、表面層A1など)や他のポリスチレン系樹脂を主成分とする層との常温での接着性が高くなる。上記極性基は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)の変性体、水添スチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)の変性体が好ましい。即ち、上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、酸無水物変性SEBS、酸無水物変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSが好ましく、より好ましくは、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSである。上記変性ポリスチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、軟質ポリスチレン系樹脂であってもよい。上記軟質ポリスチレン系樹脂としては、軟質性によって本発明のプラスチックフィルム中の各層間の接着性を向上させるポリスチレン系樹脂として利用できるものであれば特に限定されない。上記軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系エラストマー、スチレン−ジエン系共重合体、ゴム成分の多いHIPS(ハイインパクトポリスチレン)、ゴム成分の多いグラフトHIPSなどが挙げられる。中でも、スチレン系エラストマー、スチレン−ジエン系共重合体が好ましい。上記軟質ポリスチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。上記スチレン系エラストマーは、ジエン成分を含み、スチレン−ジエン系共重合体エラストマーであってもよい。なお、上記ゴム成分が多いHIPSとは、ゴム成分の含有量が、HIPSの総重量(100重量%)に対して、30重量%を超えるHIPSをいう。また、上記ゴム成分が多いグラフトHIPSとは、ゴム成分の含有量が、グラフトHIPSの総重量(100重量%)に対して、30重量%を超えるグラフトHIPSをいう。
上記軟質ポリスチレン系樹脂には、水素添加された軟質ポリスチレン系樹脂(水添軟質ポリスチレン系樹脂)が含まれる。上記水添軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン系エラストマー、水添スチレン−ジエン系共重合体(特に、水素添加されたジエン成分の多いスチレン−ジエン系共重合体)が好ましい。
上記スチレン−ジエン系共重合体エラストマーは、ジエンに由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上のスチレン−ジエン系共重合体が好ましく、より好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは65〜90重量%である。
上記ポリスチレン系樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、電気化学工業(株)製「クリアレン 530L」、「クリアレン 730L」、旭化成(株)製「タフプレン 126S」、「アサプレン T411」、クレイトンポリマージャパン(株)製「クレイトン D1102A」、「クレイトン D1116A」、スタイロルーション社製「スタイロルクス S」、「スタイロルクス T」、旭化成ケミカルズ(株)製「アサフレックス 840」、「アサフレックス 860」(以上、SBS)、PSジャパン(株)製「679」、「HF77」、「SGP10」、DIC(株)製「ディックスチレン XC−515」、「ディックスチレン XC−535」(以上、GPPS)、PSジャパン(株)製「475D」、「H0103」、「HT478」、DIC(株)製「ディックスチレン GH−8300−5」(以上、HIPS)、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックHシリーズ」、シェルジャパン(株)製「クレイトンGシリーズ」(以上、SEBS)、JSR(株)製「ダイナロン」(水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体)、(株)クラレ製「セプトン」(SEPS)、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックMシリーズ」、(株)ダイセル製「エポフレンド」、JSR(株)製「極性基変性ダイナロン」、東亞合成(株)製「レゼダ」(以上、変性ポリスチレン系樹脂)、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックPシリーズ」(水添スチレン系エラストマー)などが挙げられる。
表面層A2中のポリスチレン系樹脂としては、中でも、シュリンクラベルの収縮特性、層間強度の観点から、スチレン−ジエン系共重合体が好ましく、より好ましくはスチレン−ブタジエン共重合体、さらに好ましくはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、特に好ましくはスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、最も好ましくはSBSである。
表面層A2中のポリスチレン系樹脂としてスチレン−ジエン系共重合体を用いる場合、上記スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、50〜95重量%が好ましく、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%、特に好ましくは75〜90重量%である。上記含有量が50重量%以上であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、シュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となり、好ましい。上記含有量が95重量%以下であると、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができるため、好ましい。
表面層A2中のポリスチレン系樹脂としてスチレン−ジエン系共重合体を用いる場合、上記スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、ジエンに由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。上記含有量が50重量%以下であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、シュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となり、好ましい。上記含有量が5重量%以上であると、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができるため、好ましい。
なお、層中に含まれるスチレン−ジエン系共重合体が2種以上のスチレン−ジエン系共重合体を含む場合、上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量、及びジエンに由来する構成単位の含有量は、それぞれ、全てのスチレン−ジエン系共重合体中の含有量である。
本明細書において、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量及びジエンに由来する構成単位の含有量は、上記スチレン−ジエン系共重合体の組成(各スチレン−ジエン系共重合体中に含まれる各構成単位の含有量、及び層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体中の各スチレン−ジエン系共重合体の含有量)により制御することができる。より具体的には、例えば、上記スチレン−ジエン系共重合体が、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量がs1(重量%)及びジエンに由来する構成単位の含有量がd1(重量%)であるスチレン−ジエン系共重合体(PS1)と、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量がs2(重量%)及びジエンに由来する構成単位の含有量がd2(重量%)であるスチレン−ジエン系共重合体(PS2)のみから構成される樹脂混合物であり、上記樹脂混合物(PS1とPS2の樹脂混合物)100重量%中のPS1の含有量がW1(重量%)、PS2の含有量がW2(重量%)である場合には、上記樹脂混合物中のスチレン系単量体に由来する構成単位の含有量及びジエンに由来する構成単位の含有量は、一般的に、以下のように制御できる。
スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量(重量%)=(s1×W1+s2×W2)/100
ジエンに由来する構成単位の含有量(重量%)=(d1×W1+d2×W2)/100
上記構成単位(スチレン系単量体に由来する構成単位及びジエンに由来する構成単位)や上記構成単位の含有量の分析・測定は、特に限定されないが、例えば、核磁気共鳴(NMR)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)などにより行うことができる。なお、層や樹脂における構成単位や構成単位の含有量の分析・測定も同様にして行うことができる。
上記表面層A2中の上記ポリスチレン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、表面層A2の総重量(100重量%)に対して、10重量%以上が好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上、50重量%以上、55重量%以上であってもよい。上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%であり、または100%未満であってもよく、95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下であってもよい。上記含有量が10重量%以上であると、表面層A2の収縮挙動を基層部により近づけることができ、好ましい。上記ポリスチレン系樹脂の含有量は、表面層A2中に含まれる全てのポリスチレン系樹脂の含有量の合計である。
表面層A2は、特に限定されないが、上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。表面層A2がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含有する場合には、当該樹脂の含有量は、表面層A2の総重量(100重量%)に対して、90重量%以下(例えば、0重量%を超えて90重量%以下)が好ましく、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下、50重量%以下、40重量%以下であってもよい。である。上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂の含有量の下限は、5重量%以上であってもよく、10重量%以上、20重量%以上であってもよい。表面層A2がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を2種以上含む場合、上記樹脂の含有量は、上記2種以上の樹脂の含有量の合計である。
上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂としては、中でも、耐摩耗性及び耐溶剤性を高くする観点、溶剤シールでシール部を形成してシュリンクラベルを筒状等にした場合のシール部における表面層A1との接着性がより向上する観点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。上記ポリエステル系樹脂は、上記表面層A1に含まれるポリエステル系樹脂と同一であってもよいし、異なっていてもよいが、フィルム製造時の回収原料を用いて廃棄物を削減する観点、シール部を形成した際における表面層A1との接着性の観点から、同一であることが好ましい。
上記表面層A2は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤、相溶化剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの成分は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。また、表面層A2は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化された回収原料を含有していてもよい。
上記の中でも、特に好ましい表面層A2としては、表面層A2の総重量(100重量%)に対して、ポリスチレン系樹脂を10〜90重量%、ポリエステル系樹脂を90〜10重量%含有する層であり、より好ましくは、ポリスチレン系樹脂を20〜70重量%、ポリエステル系樹脂を80〜30重量%含有する層、さらに好ましくは、ポリスチレン系樹脂を25〜55重量%、ポリエステル系樹脂を75〜45重量%含有する層である。表面層A2がポリエステル系樹脂を10重量%以上含有すると、表面層A2側のシュリンクラベルの耐摩耗性と耐溶剤性とを向上させることができ、また、溶剤シールでシール部を形成してシュリンクラベルを筒状等にした場合のシール部における表面層A1との接着性がより向上するため、好ましい。また、表面層A2が上記特に好ましい表面層A2である場合、表面層A1は、表面層A1の総重量(100重量%)に対して、ポリエステル系樹脂を80重量%以上含有し、ポリスチレン系樹脂を含有しない層が好ましく、ポリエステル系樹脂を90重量%以上含有し、ポリスチレン系樹脂を含有しない層がより好ましい。
<基層部>
本発明のシュリンクフィルムにおける基層部は、層を4〜65層含む。また、上記基層部は、基層部中の層として、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層(B層)を少なくとも有する。上記基層部を設けることにより、本発明のシュリンクフィルムを有する本発明のシュリンクラベルは、ポリエステル系樹脂を主成分とする層を含むことによるシュリンクラベルの急激な収縮挙動を緩和し、収縮後の仕上がり向上を高める効果がある。また、基層部中の層間における層間剥離が発生しにくくなる。また、基層部が多層化された構造を有することにより、シュリンクラベルの剛性が向上する。このため、シュリンクラベルが薄肉化された場合に特に有用である。
また、上記基層部は、特に限定されないが、基層部中の層として、B層以外に、表面層と基層部の接着性を付与するための接着樹脂を含有する層(接着樹脂層)を有することが好ましい。
なお、本明細書において、「基層部」とは、本発明のシュリンクフィルム中の表面層にはさまれた部分である。上記基層部は、4〜65層の層が積層された構造を有し、基層部中の層であって、厚み方向の両端面に位置する2つの最外層と、当該最外層に挟まれた厚み方向内側に位置する複数の中間層とによって構成される。即ち、上記基層部は、[最外層/中間層/・・・/中間層/最外層]の構成を有する。また、上記「ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層」を、「B層」と称する場合がある。上記基層部中に複数のB層がある場合、上記基層部中の複数のB層のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、本願で規定するB層の範囲内で互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。同様に、上記基層部中に複数の接着樹脂層がある場合、上記基層部中の複数の接着樹脂層のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。また、上記基層部は、本発明の効果を損なわない範囲内で、B層、接着樹脂層以外の層(他の層)を含んでいてもよい。さらに、上記B層、上記接着樹脂層は、それぞれ、基層部の最外層であってもよいし、中間層であってもよく、又はその両方として基層部に含まれていてもよい。
上記基層部において、隣接する基層部中の層同士は原料組成が異なる。隣接する基層部中の層同士の原料組成が同一であると、基層部中の隣接する層間の界面が見えなくなり、重なって1つの層となるためである。
上記基層部中の層は、樹脂層である。樹脂層は、少なくとも熱可塑性樹脂を含んでいればよい。樹脂層中の熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂層の総重量(100重量%)に対して50重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などが挙げられる。
上記基層部中の層は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの熱収縮性向上の観点から、高分子可塑剤を含んでいてもよい。上記高分子可塑剤としては、例えば、ロジン系樹脂(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらの誘導体、樹脂酸ダイマーなど)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂など)、石油樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂)などが挙げられる。中でも、石油樹脂が好ましい。上記高分子可塑剤は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。上記高分子可塑剤としては、荒川化学工業(株)製「アルコン」、ヤスハラケミカル(株)製「クリアロン」、出光興産(株)製「アイマーブ」などが市販品として入手できる。
上記基層部中の層は、必要に応じて、他の成分(添加成分)、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤、相溶化剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。また、上記基層部中の層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、回収原料(再生材)を含んでいてもよい。なお、回収原料とは、製品化の前後やフィルムエッジなどの非製品部分、中間製品から製品フィルムを採取した際の残余部分や規格外品などのフィルム屑、ポリマー屑からなるリサイクル原料である。ただし、回収原料は本発明のシュリンクフィルムの製造より生じたもの(いわゆる自己回収品)が好ましい。
(B層)
B層は、層中に、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層である。上記基層部がB層を有することにより、ポリエステル系樹脂を主成分とする層を含むことによるシュリンクラベルの急激な収縮挙動を緩和し、収縮後の仕上がり向上を高める効果がある。
B層は、ポリスチレン系樹脂を必須成分として含む。B層中に含まれるポリスチレン系樹脂としては、上述の表面層A2中に含まれるポリスチレン系樹脂として例示及び説明されたポリスチレン系樹脂が挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。また、B層は、特に限定されないが、上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
上記ポリスチレン系樹脂は、上記表面層A2に含まれるポリスチレン系樹脂と同一であってもよいし、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
B層中に含まれる好ましいポリスチレン系樹脂としては、上述の表面層A2中に含まれるポリスチレン系樹脂として例示及び説明された好ましいポリスチレン系樹脂を使用することができる。上記ポリスチレン系樹脂としては、中でも、シュリンクラベルの収縮特性、層間強度の観点から、スチレン−ジエン系共重合体が好ましく、より好ましくはスチレン−ブタジエン共重合体、さらに好ましくはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、特に好ましくはスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、最も好ましくはSBSである。
B層中のポリスチレン系樹脂としての上記スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、50〜95重量%が好ましく、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%、特に好ましくは75〜90重量%である。上記含有量が50重量%以上であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、シュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となり、好ましい。上記含有量が95重量%以下であると、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができるため、好ましい。
B層中のポリスチレン系樹脂としての上記スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、ジエンに由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。上記含有量が50重量%以下であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、シュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となり、好ましい。上記含有量が5重量%以上であると、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができるため、好ましい。
上記B層中のポリスチレン系樹脂の含有量は、B層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記含有量の上限は、100重量%であってもよい。上記含有量が50重量%未満では、熱収縮の際にシワ等が発生しやすく収縮特性が低下する。なお、B層中に2種以上のポリスチレン系樹脂が含まれる場合には、上記「B層中のポリスチレン系樹脂の含有量」は、B層中に含まれる全てのポリスチレン系樹脂の含有量の合計である。なお、B層は、ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含まないことが最も好ましい。
B層は、特に限定されないが、上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。B層が上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含む場合、中でも、ポリエステル系樹脂が好ましい。上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。B層がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含有する場合には、当該樹脂の含有量は、B層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0重量%を超えて50重量%以下)であり、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%である。また、B層がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含有する場合における、上記B層中のポリスチレン系樹脂の含有量の上限は、100重量%未満であってもよく、好ましくは95重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。B層がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を2種以上含む場合、上記樹脂の含有量は、上記2種以上の樹脂の含有量の合計である。
(接着樹脂層)
上記接着樹脂層は、基層部中の層であり、表面層と基層部の接着性を付与するための接着樹脂を含有する層である。上記接着樹脂層を基層部の最外層に含むことにより、表面層と基層部の接着性を向上させ、シュリンクフィルム内の層間剥離を起こりにくくすることができる。また、基層部において上記接着樹脂層は、B層間に介在させることにより、収縮速度を適正化したり、シュリンクラベルの剛性を高くしたりすることにも使用できる。
上記接着樹脂層は、表面層と基層部の接着性を付与するための接着樹脂層であれば特に限定されない。このような接着樹脂層としては、例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層;上記軟質ポリスチレン系樹脂、上記B層に含まれるポリスチレン系樹脂よりも柔軟なポリスチレン系樹脂(比柔軟ポリスチレン系樹脂)、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層;ポリエステル系エラストマーを主成分とする樹脂層などが挙げられる。上記接着樹脂層としては、中でも、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層;軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層であることが好ましく、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層であることがより好ましい。上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層であると、B層中及び表面層A2中のポリスチレン系樹脂は接着樹脂層のポリスチレン系樹脂と、表面層A1中のポリエステル系樹脂は接着樹脂層のポリエステル系樹脂とそれぞれ接着することが可能となり、基層部と表面層の接着性が向上するため、好ましい。
なお、上記接着樹脂層はB層であってもよい。即ち、上記接着樹脂層が、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対してポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する場合、上記接着樹脂層はB層でもある。上記接着樹脂層がB層でもある場合、上記基層部中にB層が2種類存在することになるが、当該2種類のB層は互いに原料組成が異なるB層(B1層とB2層)である。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。当該ポリスチレン系樹脂は、B層中に含まれるポリスチレン系樹脂と同一のポリスチレン系樹脂であってもよいし、異なるポリスチレン系樹脂であってもよい。当該ポリスチレン系樹脂としては、スチレン−ジエン系共重合体、スチレン系エラストマー(特に、スチレン−ジエン系共重合体エラストマー)が好ましく、より好ましくはスチレン−ブタジエン共重合体、さらに好ましくはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、特に好ましくはスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、最も好ましくはSBSである。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)がスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の場合には、当該スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、収縮特性、剛性の観点から、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量が、接着樹脂層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、20重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは55重量%以上、特に好ましくは60重量%以上である。上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量の上限は、特に限定されないが、接着樹脂層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、95重量%が好ましく、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは80重量%である。上記含有量が95重量%以下であると、シュリンクフィルム内の層間剥離がより生じにくいため、好ましい。上記含有量が20重量%以上であると、接着樹脂層がやわらかくなり過ぎず、シュリンク加工時にシュリンクフィルム内の層間剥離がより生じにくいため、好ましい。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)がスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)である場合には、当該スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、収縮特性、剛性の観点からジエン(若しくはブタジエン)に由来する構成単位の含有量が、接着樹脂層中の全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。上記ジエン(若しくはブタジエン)に由来する構成単位の含有量の上限は、特に限定されないが、接着樹脂層中の全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、80重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%未満、さらに好ましくは45重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。上記含有量が5重量%以上であると、シュリンクフィルム内の層間剥離がより生じにくいため、好ましい。また、上記含有量が80重量%以下であると、接着樹脂層がやわらかくなり過ぎず、シュリンク加工時にシュリンクフィルム内の層間剥離が生じにくいため、好ましい。なお、特に、接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂のジエンに由来する構成単位の含有量は、B層に含まれるポリスチレン系樹脂のジエンに由来する構成単位の含有量よりも多いことが好ましい。
なお、上記スチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS))が2種以上のスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)を含む混合樹脂である場合、上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量、及び上記ジエンに由来する構成単位の含有量は、それぞれ、混合樹脂中の含有量である。
上記ポリエステル系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリエステル系樹脂)は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。当該ポリエステル系樹脂は、表面層A1中に含まれるポリエステル系樹脂と同一のポリエステル系樹脂であってもよいし、異なるポリエステル系樹脂であってもよいが、表面層A1と基層部の層間剥離を低減させる観点からは、同一のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
上記ポリエステル系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリエステル系樹脂)としては、中でも、変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。上記芳香族ポリエステル系樹脂は、実質的に非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくは、非晶性の飽和ポリエステル系樹脂である芳香族ポリエステル系樹脂である。
上記芳香族ポリエステル系樹脂としては、中でも、変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくはCHDM共重合PET、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PET(特に、NPG共重合PET)である。
上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層である場合、上記混合樹脂の含有量(即ち、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の含有量の合計)は、特に限定されないが、表面層と基層部の接着性を向上させ、シュリンクフィルム内の層間剥離を抑制する観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%であってもよい。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)の含有量は、特に限定されないが、表面層と基層部の接着性を向上させ、シュリンクフィルム内の層間剥離を抑制する観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、10〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜85重量%、さらに好ましくは30〜80重量%である。
上記ポリエステル系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリエステル系樹脂)の含有量は、特に限定されないが、表面層と基層部との層間強度を向上させ、シュリンクフィルム内の層間剥離を抑制する観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、10〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。
上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層である場合、上記接着樹脂層は、中でも、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、ポリエステル系樹脂を45〜75重量%、ポリスチレン系樹脂を55〜25重量%含有する層であることが特に好ましい。
上記接着樹脂層が、軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層である場合の軟質ポリスチレン系樹脂に含まれる水添軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン系エラストマー、水添スチレン−ジエン系共重合体(特に、水素添加されたジエン成分の多いスチレン−ジエン系共重合体)が好ましい。
上記軟質ポリスチレン系樹脂であるスチレン−ジエン系共重合体エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、表面層と基層部、又は、B層同士の接着性の観点から、20℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下ある。
上記変性ポリスチレン系樹脂における極性基としては、特に限定されないが、中でも、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基が好ましく、より好ましくは無水マレイン酸基、エポキシ基である。上記変性ポリスチレン系樹脂は、表面層A1に含まれるポリエステル系樹脂と親和性が高いまたは反応可能な極性基を有し、かつ、B層及び表面層A2に含まれるポリスチレン系樹脂と相溶可能であることにより、接着樹脂層はB層との接着性が良好で、表面層A1や表面層A2との常温での接着性が高くなるため、好ましい。
上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、SEBSの変性体、SEPSの変性体が好ましい。即ち、上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、酸無水物変性SEBS、酸無水物変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSが好ましく、より好ましくは、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSである。
上記比柔軟ポリスチレン系樹脂は、例えば、スチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)であって、B層に使用されているポリスチレン系樹脂(スチレン−ジエン系共重合体)よりもジエンの含有量が多いことが好ましい。例えば、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量は、接着樹脂層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、20〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは55〜90重量%、特に好ましくは60〜80重量%である。他方、ジエン(若しくはブタジエン)に由来する構成単位の含有量は、接着樹脂層中の全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、5〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは5重量%以上50重量%未満、さらに好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
上記接着樹脂層が軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層である場合、上記軟質ポリスチレン系樹脂、上記比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び上記変性ポリスチレン系樹脂の含有量の合計は、特に限定されないが、表面層と基層部の接着性を向上させ、シュリンクフィルム内の層間剥離を抑制する観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)であることが好ましく、より好ましくは60〜90重量%である。
上記接着樹脂層は、表面層と基層部の接着性を向上させる目的で、必要に応じて、さらに、例えば、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、水添テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、水添クマロン系樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂;ポリオレフィン系樹脂;芳香族系炭化水素樹脂;フェノール系樹脂;脂環族系炭化水素樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−(メタ)アクリレート共重合体;天然ゴムや合成ゴムのエラストマーなどを含んでいてもよい。
(基層部の層構成、物性等)
上記基層部中に含まれる層の層数は、4〜65層であり、好ましくは5〜32層、より好ましくは8〜32層である。上記層数が4層未満では、基層部の多層化による効果が小さく、シュリンクフィルム内の層間剥離を抑制する効果が得られなくなる。一方、上記層数が65層を超えると、シュリンクフィルムの厚み(総厚み)をシュリンクラベルに適した範囲にする場合に、B層の厚み(1層あたりの厚み)が薄くなりすぎて、B層を用いることの効果が小さくなる。また、シュリンクフィルム及びシュリンクラベルの剛性が低下し、腰が弱くなる。
上記基層部は、基層部中の層として、B層を1層以上含み、好ましくは2層以上、より好ましくは3層以上含む。上記B層の層数の上限は、特に限定されないが、65層以下であればよく、好ましくは32層以下である。
上記基層部が接着樹脂層を有する場合、基層部中の接着樹脂層の層数は、1層以上であり、好ましくは2層以上、さらに好ましくは4層以上である。上記接着樹脂層の層数の上限は、特に限定されないが、64層以下であればよく、好ましくは33層以下、より好ましくは17層以下である。なお、接着樹脂層がB層でもある場合、接着樹脂層の層数の上限は65層であってもよい。
上記基層部が接着樹脂層を有する場合、B層と接着樹脂層の合計の層数は、特に限定されないが、4〜65層が好ましく、より好ましくは5〜33層、さらに好ましくは9〜33層である。
上記基層部が接着樹脂層を有する場合、上記基層部は、B層と接着樹脂層とが隣接する積層構成を有することが好ましい。上記基層部が上記積層構成を有すると、接着樹脂層はB層との接着性に問題がなく、収縮速度を適正化したり、シュリンクラベルの圧縮強度や剛性をより高くしたりすることにも使用できるため、好ましい。
上記基層部は、特に限定されないが、B層と接着樹脂層とが隣接(直接積層)して形成される界面を3以上有することが好ましい。上記界面の数は、特に限定されないが、3以上が好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。また、上記界面の数の上限は64であり、好ましくは32である。基層部が上記界面を3以上有すると、ラベルの引き裂き性が向上し、また、落下した際に落下の衝撃による応力が各界面に分散して緩和され、落下耐性も向上するため、好ましい。また、基層部は多層化されているので、上記界面の層間強度が比較的弱い場合であってもラベルは層間剥離(デラミネーション)し難い。
上記基層部が上記接着樹脂層を有する場合、上記基層部において、B層は、特に限定されないが、2以上の接着樹脂層間に介在していることが好ましく、シュリンクフィルム中の全ての接着樹脂層間に介在していることがより好ましい。特に、上記基層部において、B層及び上記接着樹脂層は、特に限定されないが、交互に積層されていることが好ましく、他の層を介さずに、交互に直接積層されていることがより好ましい。即ち、上記基層部は、層として、B層及び上記接着樹脂層を、交互に、合計して4〜65層含むことが最も好ましい。
上記基層部は、層を4〜65層含み、基層部中の層としてB層を少なくとも1層ずつ含めばよい。上記基層部がB層及び接着樹脂層のみから形成されている場合の上記基層部の積層構成は、特に限定されないが、具体的には、「B層/接着樹脂層」を繰り返し単位として繰り返す積層構成(B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/B層/接着樹脂層/B層)、(接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/接着樹脂層/B層/接着樹脂層)、(B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/B層/接着樹脂層)若しくは(接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/接着樹脂層/B層)となっていることが好ましい。また、基層部の両面の最外層は、B層であってもよいし、接着樹脂層であってもよい。
特に限定されないが、上記積層構成の基層部においては、全てのB層が同じ原料から形成されていることが好ましく、なおかつ、全ての接着樹脂層が同じ原料から形成されていることが好ましい。即ち、B層同士、接着樹脂層同士は、それぞれ、同じ原料から形成されていることが好ましい。特に、全てのB層は同じ組成の層であることが好ましく、なおかつ、全ての接着樹脂層は同じ組成の層であることが好ましい。
上記基層部がB層のみから形成されている場合(即ち、上記接着樹脂層がB層でもある場合)、特に限定されないが、上記基層部において、原料組成が異なる2のB層(B1層及びB2層)が、他の層を介さずに、交互に直接積層されていることがより好ましい。即ち、上記基層部は、層として、原料組成が異なる2のB層(B1層及びB2層、但し、B1層とB2層の少なくとも一方は接着樹脂層)を、交互に、合計して4〜65層含むことが特に好ましい。
(本発明のシュリンクフィルムの構成、物性など)
本発明のシュリンクフィルムは、上記基層部と、上記表面層A1及び上記表面層A2を含む。上記表面層A1及び上記表面層A2は、上記基層部の両面側に積層され、基層部の一面側と他面側とにそれぞれ設けられている。
本発明のシュリンクフィルムの積層構成は、特に限定されないが、シュリンク加工時のシュリンクフィルム内の層間剥離をより抑制する観点から、基層部が「接着樹脂層/B層」を繰り返し単位として繰り返す積層構成である、[表面層A1/接着樹脂層/B層/・・・・/接着樹脂層/B層/表面層A2]となっていることが好ましい。
本発明のシュリンクフィルムの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは15〜50μm、さらに好ましくは20〜45μmである。上記厚みが10μm以上であると、剛性が向上して、腰が強くなり、好ましい。
上記表面層A1の厚みは、特に限定されないが、1〜15μmが好ましく、より好ましくは2〜12μm、さらに好ましくは2.5〜10μm、特に好ましくは5〜10μmである。上記厚みが1μm以上であると、ラベルの剛性やフィルムの耐溶剤性が向上し、好ましい。上記厚みが15μm以下であると、シュリンク加工時のシュリンクフィルム内の層間剥離がより発生しにくくなり、好ましい。なお、表面層A1の厚みは、表面層A2の厚みよりも厚いことが好ましい。また、表面層A1の厚みは、基層部中の各層の厚みよりも厚いことが好ましい。また、表面層A1は、全ての表面層及び全ての基層部中の各層の中で最も厚い層であることがより好ましい。
上記表面層A2の厚みは、特に限定されないが、0.2〜10μmが好ましく、より好ましくは0.3〜5μm、さらに好ましくは0.3μm以上5μm未満である。上記厚みが上記範囲内であると、シュリンク加工時の表面層A2と、表面層A2が設けられている基層部の最外層との熱収縮率の差が小さくなり、シュリンクフィルム内の層間剥離がより発生しにくくなるため、好ましい。
上記基層部の厚みは、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、より好ましくは8〜90μm、さらに好ましくは10〜45μm、特に好ましくは11〜40μmである。上記厚みが5μm以上であると、ラベルの剛性が向上し、好ましい。上記厚みが90μm以下であると、基層部中の層同士の界面の層間強度が比較的低い場合であっても層間剥離しにくいため、好ましい。
上記基層部中の各層(接着樹脂層など)の厚み(1層あたりの厚み)は、特に限定されないが、0.2μm以上(例えば、0.2〜10μm)が好ましく、より好ましくは0.3μm以上(例えば、0.3〜5μm)である。なお、基層部中の複数の層の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、表面層と接する、基層部の最外層となる層は、基層部内の層(中間層)よりも薄くなっていてもよい。
上記B層の厚み(1層あたりの厚み)は、特に限定されないが、0.2μm以上が好ましく、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上である。上記厚みの上限は、特に限定されないが、15μmが好ましく、より好ましくは10μm、さらに好ましくは5μmである。なお、上記基層部がB層を複数有する場合、上記基層部中の複数のB層の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、基層部の最外層であるB層は、基層部の中間層であるB層よりも薄くなっていてもよい。
本発明のシュリンクフィルム中の、表面層の厚み(全ての表面層の厚みの合計)と基層部の厚みの比[(表面層の厚み):(基層部の厚み)]は、特に限定されないが、2:1〜1:10が好ましく、より好ましくは1:1〜1:4である。上記の比が2:1よりも基層部が厚いと、シワや、表面層と基層部間の層間剥離がより生じにくく、好ましい。一方、上記の比が1:10よりも表面層が厚いと、ラベルの剛性や耐摩耗性が向上し、好ましい。
本発明のシュリンクフィルム中に、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂、及びポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂のうちのいずれかの樹脂の組み合わせをそれぞれの主成分とする2つの樹脂層(樹脂層(P)と樹脂層(Q))が隣接して形成される界面が存在する場合、界面[P/Q]の90℃における180°方向の層間剥離強度は、特に限定されないが、2N以上が好ましく、より好ましくは3N以上、さらに好ましくは4N以上である。上記90℃における180°方向の層間剥離強度の上限は、特に限定されないが、10Nが好ましく、より好ましくは8Nである。上記90℃における180°方向の層間剥離強度が2N以上であると、シュリンク加工時においても、シュリンクフィルム内の層間剥離をより生じにくくすることができる。なお、本明細書において、樹脂層(P)と樹脂層(Q)とが隣接して形成される界面を、「界面[P/Q]」と称する場合がある。本発明のシュリンクフィルム中に界面[P/Q]が複数存在する場合、全ての界面[P/Q]の90℃における180°方向の層間剥離強度が2N以上である。なお、シュリンクフィルム中に同一の界面[P/Q]が複数存在する場合、同一の界面[P/Q]の90℃における180°方向の層間剥離強度は同一とみなしてもよい。
本明細書において、界面の90℃における180°方向の層間剥離強度は、特に限定されないが、例えば、JIS K 6854−2に倣って、90℃に加熱した状態の180°方向の層間剥離強度を測定することによって得ることができる。具体的には、下記の方法で測定することができる。
(界面の90℃における180°方向の層間剥離強度の測定方法)
シュリンクラベル(又はシュリンクフィルム)の主収縮方向の端面から測定する界面を部分的に剥離して、剥離した部分(剥離部)、及び剥離されて残っている部分(被剥離部)を形成する。上記被剥離部を、粘着テープを用いてガラス板に固定する。その後、ガラス板側から90℃まで加熱する。そして、ガラス板を動かないように固定し、測定幅を15mmとし、剥離部を180°方向に引っ張り速度200mm/minで引っ張る。この引っ張った際の強度を測定し、当該強度を測定する界面の90℃における180°方向の層間剥離強度とする。なお、剥離したときのシュリンクラベルの厚みの薄い側を剥離部、厚みの厚い側を被剥離部とする。
本明細書において、「主成分」とは、層中に含まれる材料(成分)の中で最も多い材料(成分)をいう。なお、層中に含まれる樹脂の中で最も多い樹脂が2種以上存在する層(混合樹脂層)は、原則として、上記2種以上の樹脂それぞれを主成分とするいずれの層にも該当する。例えば、ポリエステル系樹脂を50重量%、ポリスチレン系樹脂を50重量%含有する混合樹脂層は、ポリエステル系樹脂を主成分とする層であり、且つポリスチレン系樹脂を主成分とする層でもある。但し、上記混合樹脂層が、混合樹脂層中の主成分である1の樹脂を主成分とする層と隣接する場合は、上記混合樹脂層は、当該1の樹脂以外の樹脂を主成分とする層に該当する。例えば、ポリエステル系樹脂を50重量%、ポリスチレン系樹脂を50重量%含有する混合樹脂層と、ポリエステル系樹脂を主成分とする層とが隣接する場合、当該混合樹脂層は、ポリスチレン系樹脂を主成分とする層である。
本発明のシュリンクフィルム中に、界面[P/Q]が存在する場合、上記界面[P/Q]の常温における180°方向の層間剥離強度は、特に限定されないが、1N未満が好ましく、より好ましくは0.9N以下、さらに好ましくは0.8N以下である。上記常温における180°方向の層間剥離強度の下限は、特に限定されないが、0Nを超えることが好ましく、より好ましくは0.1N以上、さらに好ましくは0.2N以上である。上記常温における180°方向の層間剥離強度が1N未満であると、界面[P/Q]の常温において層間剥離強度が強すぎず、シュリンクフィルムがやわらかくなり、ラベルの引き裂き性が向上する。なお、本発明のシュリンクフィルム中に界面[P/Q]が複数存在する場合、全ての界面[P/Q]の常温における180°方向の層間剥離強度が0Nを超えて1N未満である。なお、シュリンクフィルム中に同一の界面[P/Q]が複数存在する場合、同一の界面[P/Q]の常温における180°方向の層間剥離強度は同一とみなしてもよい。
本明細書において、界面の常温における180°方向の層間剥離強度は、特に限定されないが、例えば、JIS K 6854−2に準拠して、常温において180°方向の層間剥離強度を測定することによって得ることができる。具体的には、例えば、下記の方法で測定することができる。
(界面の常温における180°方向の層間剥離強度の測定方法)
シュリンクラベル(又はシュリンクフィルム)の主収縮方向の端面から測定する界面を部分的に剥離して、剥離した部分(剥離部)、及び剥離されて残っている部分(被剥離部)を形成する。上記被剥離部を、粘着テープを用いてガラス板に固定する。そして、常温(23℃)の環境下で、ガラス板を動かないように固定し、測定幅を15mmとし、剥離部を180°方向に引っ張り速度200mm/minで引っ張る。この引っ張った際の強度を測定し、当該強度を測定する界面の常温における180°方向の層間剥離強度とする。なお、剥離したときのシュリンクラベルの厚みの薄い側を剥離部、厚みの厚い側を被剥離部とする。
上記常温における180°方向の層間剥離強度及び上記90℃における180°方向の層間剥離強度は、例えば、樹脂層(P)や樹脂層(Q)を構成する原料組成、原料物性、フィルムの製造条件(例えば、押出温度、延伸温度、延伸倍率等)などにより調整することができる。
本発明のシュリンクフィルムの90℃における収縮応力は、特に限定されないが、1〜10Nが好ましく、より好ましくは1〜7N、さらに好ましくは1〜5N、特に好ましくは1〜3Nである。上記収縮応力が1N以上であると、シュリンクラベルの容器等に対する追従性が向上するため、好ましい。上記収縮応力は、例えば、シュリンクフィルムの厚みや層構成や原料組成、表面層(表面層A1、表面層A2)、基層部中の層(B層、接着樹脂層など)を構成する原料組成や厚みなどにより調整することができる。なお、本明細書において、収縮応力は、測定幅を15mmとして測定したものである。
本発明のシュリンクフィルムの90℃における収縮応力は、界面[P/Q]の90℃における180°方向の層間剥離強度よりも小さいことが好ましい。この場合、シュリンク加工時においても、シュリンクフィルム内の層間剥離が生じ難くすることができるため、好ましい。なお、基層部中に界面[P/Q]が複数存在する場合、本発明のシュリンクフィルムの90℃における収縮応力が、全ての界面[P/Q]の90℃における180°方向の層間剥離強度よりも小さいことが好ましい。
本発明のシュリンクフィルムの90℃における収縮応力は、特に限定されないが、例えば、シュリンクフィルムにたるみがないように、シュリンクフィルムの両端を固定し、90℃の温水に浸漬し、その際のシュリンクフィルムが熱収縮しようとする応力を測定して得ることができる。上記収縮応力の測定に用いる測定機は、特に限定されないが、例えば、島津製作所(株)製「島津オートグラフ(AGS−50G:ロードセルタイプ500N)」などが挙げられる。
本発明のシュリンクフィルムにおいて、上記界面[P/Q]としては、基層部の最外層と表面層が隣接して形成される界面、表面層A1とB層が隣接して形成される界面、表面層A2とB層が隣接して形成される界面、表面層A1と接着樹脂層が隣接して形成される界面、表面層A2と接着樹脂層が隣接して形成される界面、B層と接着樹脂層が隣接して形成される界面、主成分とする樹脂の系が異なる2の接着樹脂層(接着樹脂層1と接着樹脂層2)が隣接して形成される界面などであってもよい。この場合、上記樹脂層(P)と上記樹脂層(Q)としては、特に限定されないが、基層部の最外層と表面層(特に、基層部の最外層であるB層又は接着樹脂層と、表面層A1又は表面層A2)、B層と接着樹脂層、主成分とする樹脂の系が異なる2の接着樹脂層(接着樹脂層1と接着樹脂層2)などが挙げられる。
本発明のシュリンクフィルムにおいて、特に限定されないが、上記基層部中の層同士が隣接して形成される界面のうちの3以上が、表面層と基層部のT型剥離強度よりも低いT型剥離強度を有する界面(界面(L))であることが好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上、特に好ましくは8以上である。なお、本明細書中では、基層部中の、層同士が隣接して形成される界面のうち、上記表面層と上記基層部のT型剥離強度よりも低いT型剥離強度を有する界面を、「界面(L)」と称する場合がある。また、本発明のシュリンクフィルムにおいて表面層と基層部の界面は2つ存在するが、上記表面層と基層部のT型剥離強度は、上記表面層A1と基層部の界面におけるT型剥離強度及び上記表面層A2と基層部の界面におけるT型剥離強度の両方をいう。即ち、上記界面(L)は、上記表面層A1と基層部の界面におけるT型剥離強度及び上記表面層A2と基層部の界面におけるT型剥離強度の両方のT型剥離強度よりも低いT型剥離強度を有する界面である。上記T型剥離強度は、例えば、JIS K 6854−3に準拠して、常温において、T型剥離試験により測定することができる。なお、基層部中に同一の界面が複数存在する場合、全ての同一の界面におけるT型剥離強度は同一とみなしてもよい。
上記界面(L)の数の上限は、基層部中の層同士が隣接して形成される界面の数以下であれば特に限定されない。中でも、上記基層部中の層同士が隣接して形成される界面のうちの全てが界面(L)であることが特に好ましい。上記界面(L)は、本発明のシュリンクフィルム中において比較的T型剥離強度が弱いため、基層部が上記界面(L)を3以上有すると、ラベルの引き裂き性が向上し、また、落下した際に落下の衝撃による応力が各界面に分散して緩和され、落下耐性も向上するため、好ましい。また、基層部は多層化されているので、上記基層部中の層同士が隣接して形成される界面のT型剥離強度が比較的弱い場合であってもラベルは層間剥離(デラミネーション)しにくい。
上記界面(L)のT型剥離強度は、特に限定されないが、0.1〜1.5Nが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0N、さらに好ましくは0.2〜0.8Nである。上記T型剥離強度が0.1N以上(特に、0.2N以上)であると、基層部内の層間剥離を抑制することができ、好ましい。上記T型剥離強度が1.5N以下(特に、1.0N以下)であると、ラベルに対する応力の分散性が向上し、ラベルの落下耐性が優れるため、好ましい。なお、本明細書においてT型剥離強度は、測定幅を15mmとして測定したものである。
上記表面層と上記基層部のT型剥離強度(表面層A1と基層部のT型剥離強度、及び表面層A2と基層部のT型剥離強度)は、特に限定されないが、0.8Nを超えることが好ましく、より好ましくは0.9Nを超えること、さらに好ましくは1Nを超えることである。上記T型剥離強度の上限は、特に限定されないが、10N以下が好ましく、より好ましくは8N以下である。上記T型剥離強度が0.8Nを超えると、表面層と基層部との層間剥離を抑制することができ、好ましい。
本発明のシュリンクフィルムにおいて、上記界面(L)は、特に限定されないが、基層部中に存在する上記界面[P/Q]であってもよい。即ち、上記基層部は、界面[P/Q]を有し、界面[P/Q]のうちの3以上が界面(L)であることが好ましい。特に、、基層部中の全ての界面[P/Q]が界面(L)であることが好ましい。
本発明のシュリンクフィルムは、シュリンク特性を発揮する観点から、少なくとも一方向に配向したフィルム(例えば、一方向に配向したフィルムや、一方向及び一方向と異なる方向に配向したフィルム)であることが好ましい。さらに、全てのフィルム層(表面層、B層を含む基層部の各層)が少なくとも一方向に配向したフィルムであることが好ましい。シュリンクフィルムとしては、特に一方向に配向したフィルム(1軸配向フィルム)又は一方向及び一方向と直交する方向に配向したフィルム(2軸配向フィルム)が用いられることが多く、中でも、1軸配向フィルム(一方向に主に延伸され、当該一方向と直交する方向にわずかに延伸された、実質的に一方向に延伸されたフィルムを含む)が一般的に用いられる。
上記少なくとも一方向に配向したフィルムは、未延伸フィルムを、少なくとも一方向に延伸することで得られる。例えば、上記少なくとも一方向に配向したフィルムが1軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを一方向に延伸することで得られ、2軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを一方向及び当該一方向と直交する方向に延伸することで得られる。なお、本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムの配向方向に主に熱収縮できる。
本発明のシュリンクフィルム(シュリンク加工前)の、主収縮方向の、90℃、10秒(温水処理)における熱収縮率(「熱収縮率(90℃、10秒)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、20%以上(例えば、20〜90%)が好ましく、より好ましくは30%以上(例えば、30〜85%)、さらに好ましくは40%以上(例えば、40〜80%)、さらに好ましくは45%以上(例えば、45〜80%)、さらに好ましくは60%以上(例えば、60〜80%)である。熱収縮率(90℃、10秒)が20%未満の場合には、シュリンクラベルを容器に熱で密着させるシュリンク加工工程において、収縮が十分でないため、容器の形に追従困難となり、特に複雑な形状の容器に対して仕上がりが悪くなることがある。なお、上記「主収縮方向」とは最も熱収縮率が大きい方向であり、一般的には主に延伸処理された方向であり、例えば、幅方向に実質的に一方向に延伸されたフィルムの場合には幅方向であり、長手方向に実質的に一方向に延伸されたフィルムの場合には長手方向である。
なお、本発明のシュリンクフィルム(シュリンク加工前)の、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率(90℃、10秒)は、特に限定されないが、−5〜15%が好ましく、より好ましくは−3〜10%である。
本発明のシュリンクフィルムが透明である場合には、当該シュリンクフィルムのヘイズ(ヘーズ)値[JIS K 7136準拠、厚み40μm換算、単位:%]は、特に限定されないが、10%以下が好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。ヘイズ値が10%を超えると、シュリンクフィルムの内側(シュリンクラベルを容器に装着した時に容器側になる面側)に印刷を施し、シュリンクフィルムを通して印刷を見せるシュリンクラベル(裏印刷シュリンクラベル)の場合、製品とした際に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。但し、ヘイズ値が10%を超える場合であっても、シュリンクフィルムを通して印刷を見せる上記用途以外の用途(表印刷シュリンクラベル)においては不透明であってもよく、十分に使用可能である。
[シュリンクラベル]
本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムの少なくとも有するシュリンクラベルである。本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルム以外の層を有していてもよい。
(本発明のシュリンクフィルム以外の層)
本発明のシュリンクラベルに含まれる、本発明のシュリンクフィルム以外の層としては、特に限定されないが、印刷層、不織布や発泡シートなどの他のフィルム層、接着剤層(感圧性接着剤層、感熱性接着剤層等)、保護層、アンカーコート層、プライマーコート層、コーティング層、帯電防止層、アルミニウム蒸着層などが挙げられる。
(印刷層)
上記印刷層としては、特に限定されず、例えば、シュリンクラベルにおいて用いられる公知乃至慣用の印刷層等が挙げられる。また、上記印刷層としては、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等の図やデザインなどの意匠印刷層(カラー印刷層等)、白などの単一色で形成された背景印刷層、フィルムや印刷層を保護するために設けられる保護印刷層、フィルムと印刷層の密着性を高めるために設けられるプライマー印刷層などが挙げられる。上記印刷層は、特に限定されないが、本発明のシュリンクフィルムの片面側のみに設けられていてもよいし、本発明のシュリンクフィルムの両面側に設けられていてもよい。また、上記印刷層は、本発明のシュリンクフィルムの表面(印刷層が設けられる側の表面)の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。さらに、上記印刷層は、特に限定されないが、単層であってもよいし、複層であってもよい。
上記印刷層は、特に限定されないが、バインダー樹脂を必須成分として含むことが好ましい。さらに、必要に応じて、青、赤、黄、黒、白等の着色顔料や滑剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記バインダー樹脂等は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、例えば、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキにおいてバインダー樹脂として用いられる樹脂を用いることができる。上記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース系樹脂を含む)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂などが挙げられる。上記着色顔料としては、特に限定されず、例えば、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキにおいて用いられる着色顔料を用いることができる。上記着色顔料は、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)、その他着色顔料等を用途に合わせて選択、使用できる。また、上記着色顔料として、その他にも、光沢調整などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。
上記印刷層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.3〜5μmである。上記厚みが0.1μm未満では、印刷層を均一に設けることが困難である場合があり、部分的な「かすれ」が起こり、装飾性が損なわれる場合や、デザイン通りの印刷が困難となる場合がある。また、上記厚みが10μmを超えると、印刷インキを多量に消費するため、コストが高くなったり、均一に塗布することが困難となったり、印刷層がもろくなり剥離しやすくなったりする場合や、シュリンク加工時にシュリンクフィルムの熱収縮に印刷層が追従しにくくなる場合がある。
本発明のシュリンクラベルが上記印刷層を有する場合、上記印刷層は、本発明のシュリンクフィルムの少なくとも一方の面に設けられる。この場合、上記印刷層は、本発明のシュリンクフィルムの表面層A1側又は表面層A2側の一方又は両方に設けられるが、印刷層との密着性、印刷適性の観点から、少なくとも表面層A2側に設けられていることが好ましい。特に印刷層で表面層A2側の略全面を覆うことで、シュリンクラベルの表面層A2側の耐摩耗性、耐溶剤性等を向上させることができる。
図1及び図2は、それぞれ、本発明のシュリンクラベルの好ましい一例を示す概略図(部分断面図)である。図1に記載の本発明のシュリンクラベル(3)は、本発明のシュリンクフィルム(1)と、本発明のシュリンクフィルム(1)の片面側に設けられた印刷層を含む。本発明のシュリンクフィルム(1)は、基層部(12)と、基層部(12)の両面側にそれぞれ設けられた表面層A1(11a)と表面層A2(11b)とを含む。基層部(12)は、その最外層(表面層と接する層)をそれぞれB層(12a)、接着樹脂層(12b)とし、B層(12a)と接着樹脂層(12b)とが、交互に、合計8層積層されて形成されている。基層部(12)中、B層(12a)と接着樹脂層(12b)とが隣接(直接積層)して形成される界面の数は7である。また、表面層A1(11a)と基層部(12)、及び表面層A2(11b)と基層部(12)は他の層を介することなく直接積層されている。具体的には、表面層A1(11a)と基層部(12)の最外層となる接着樹脂層(12b)とが他の層を介することなく直接積層されており、表面層A2(11b)と基層部(12)の最外層となるB層(12a)とが他の層を介することなく直接積層されている。なお、上記印刷層は背景印刷層(2b)及び意匠印刷層(2a)から形成されており、表面層A2(11b)側の略全面を覆うように設けられている。背景印刷層(2b)は意匠印刷層(2a)を覆うように形成されている。
図2に記載の本発明のシュリンクラベル(3)は、本発明のシュリンクフィルム(1)と、その両面側に設けられた印刷層とを含む。なお、本発明のシュリンクフィルム(1)の構成は、図1のシュリンクフィルムの構成と同一である。本発明のシュリンクフィルム(1)の表面層A1(11a)側には、表面層A1(11a)側の略全面を覆うように背景印刷層(2b)及び意匠印刷層(2a)から形成された印刷層が設けられており、表面層A2(11b)側には、表面層A2(11b)側の略全面を覆うように透明印刷層(2c)が設けられている。背景印刷層(2b)は意匠印刷層(2a)を覆うように形成されている。
図1及び図2に記載の本発明のシュリンクラベル(3)中の本発明のシュリンクフィルム(1)は、ポリスチレン系樹脂を含有する表面層A2(11b)層とB層(12a)とが直接積層され、ポリエステル系樹脂を主成分とする表面層A1(11a)と接着樹脂層(12b)とが直接積層されている。このため、本発明のシュリンクラベルは、装着デラミが極めて発生しにくい構成となっている。
本発明のシュリンクラベルの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10〜110μmが好ましく、より好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは20〜50μmである。上記厚みが10μm以上であると、剛性が高くなり、ラベルの腰が強くなるため、好ましい。
本発明のシュリンクラベルは、特に限定されないが、ラベル両端を溶剤や接着剤でシールし筒状にして容器に装着されるタイプの筒状シュリンクラベルや、ラベルの一端を容器に貼り付け、ラベルを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式のシュリンクラベルとして用いること好ましい。本発明のシュリンクフィルムは、少なくとも片面側に耐摩耗性及び耐溶剤性を有するため、特に、筒状シュリンクラベルや巻き付け方式のシュリンクラベルとして用いた場合、シール部付近においても、シュリンク加工時にシュリンクフィルム内の層間剥離が発生しにくいためである。以下、本発明のシュリンクラベルを用いた筒状シュリンクラベルを、「本発明の筒状シュリンクラベル」と称する場合がある。また、本発明のシュリンクラベルを用いた巻き付け方式のシュリンクラベルを、「本発明の巻き付け方式のシュリンクラベル」と称する場合がある。
本発明の筒状シュリンクラベル及び本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムの表面層A1側及び表面層A2側のどちら側が内側であってもよいし、外側であってもよい。表面層A1側が外側である場合、内側となる表面層A2表面に意匠印刷層が設けられている構成が好ましい。この場合、本発明の筒状シュリンクラベル又は本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクラベルを用いた筒状シュリンクラベル又は巻き付け方式のシュリンクラベルであって、表面層A1側が外側となるように筒状に形成されており、シュリンクフィルムの表面層A2側に意匠印刷層が設けられている筒状シュリンクラベル又は巻き付け方式のシュリンクラベルとなる。
一方、表面層A2側が外側である場合、内側となる表面層A1表面に意匠印刷層が設けられており、外側となる表面層A2表面には透明印刷層が設けられている構成が好ましい。この場合、本発明の筒状シュリンクラベル又は本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクラベルを用いた筒状シュリンクラベル又は巻き付け方式のシュリンクラベルであって、表面層A2側が外側となるように筒状に形成されており、シュリンクフィルムの表面層A2側に透明印刷層が設けられており、表面層A1側に意匠印刷層が設けられている筒状シュリンクラベル又は巻き付け方式のシュリンクラベルとなる。
図1に記載の本発明のシュリンクラベル(3)は、筒状シュリンクラベルや巻き付け方式のシュリンクラベルとして容器等に装着する場合、シュリンクフィルム(1)の表面層A2(11b)側が内側となるように装着されることが好ましい。この場合、ポリスチレン系樹脂を含有する表面層A2の印刷適性が優れるため印刷層に対する密着性が良好であり、また、ポリエステル系樹脂を主成分とする表面層A1が外側となり、シュリンクラベルの耐摩耗性及び耐溶剤性が優れるため、好ましい。さらにこの場合、表面層A2とB層とが隣接して形成される界面は、シュリンク加工時に最も収縮応力がかかり剥離しやすい部分であるが、この部分にポリスチレン系樹脂を含有する表面層A2とB層とが直接積層する構成を有することにより装着デラミの抑制に極めて効果的に作用する。
図2に記載の本発明のシュリンクラベル(3)は、筒状シュリンクラベルや巻き付け方式のシュリンクラベルとして容器等に装着する場合、シュリンクフィルム(1)の表面層A1(11a)側が内側となるように装着されることが好ましい。この場合、ポリエステル系樹脂を主成分とする表面層A1は耐溶剤性に優れるため、種々の印刷インキ(例えば、溶解性の強い溶剤を含む印刷インキ等)を使用することができる。また、シュリンクラベルをさらに薄肉化した場合であっても印刷インキに用いられている溶剤がフィルムに残留しにくく、フィルムがより破断しにくくなるため、好ましい。さらに、表面層A2が外側になるが、表面層A2には透明印刷層が設けられているため、シュリンクラベルの耐摩耗性も優れ、表面層A2側の耐溶剤性も優れる。
図3及び図4を用いて、本発明の筒状シュリンクラベルの好ましい一実施形態の一例について説明する。図3に記載の本発明の筒状シュリンクラベル(4)は、矩形状に形成された本発明のシュリンクラベルの一端部の外側に他端部を重ね合わせて筒状とし、他端部の内面と一端部の外面とを溶剤又は接着剤で接合しシール部(41)が形成されている。本発明の筒状シュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムを含み、本発明のシュリンクフィルムは、本発明の筒状シュリンクラベルの周方向Dに少なくとも配向し、当該方向に熱収縮可能である。なお、本発明の筒状シュリンクラベルは、周方向が主収縮方向となるように装着されていることが好ましい。
図4は、図3におけるA−A’の断面、即ち、本発明の筒状シュリンクラベル(4)の、シール部付近の要部拡大図である。シール部(41)では、シュリンクラベルの両端部が溶剤又は接着剤(51)で接合されている。具体的には、本発明のシュリンクラベル(3)は、本発明のシュリンクフィルム(1)の一方の面(筒状の内面側の面)の他端部の端から所定幅の領域を除いて意匠印刷層(2a)、背景印刷層(2b)の順に積層されている。本発明のシュリンクラベル(3)の他端部の端から所定幅の領域は、背景印刷層(2b)及び意匠印刷層(2a)が形成されておらず、本発明のシュリンクフィルム(1)が露出し、フィルム露出面が形成され、シール部(41)は、本発明のシュリンクラベル(3)の他端部の内面側に形成されたフィルム露出面と、一端部の外面(フィルム露出面)とを、溶剤又は接着剤(51)によって接合されている。即ち、シール部(41)では、本発明のシュリンクフィルム(1)同士(具体的には、本発明のシュリンクフィルム(1)の表面層A1と表面層A2)が溶剤又は接着剤(51)で接合されていることが好ましい。なお、上記両端部のうち、接合されない部分は、背景印刷層、意匠印刷層等の印刷層などを有していても接着性に影響はないため、印刷層を有していてもよい。なお、図4に示す本発明の筒状シュリンクラベル(4)の外側は、本発明のシュリンクフィルム(1)が露出している状態になっているが、透明印刷層などの印刷層が設けられていてもよい。
図5を用いて、本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルの好ましい一実施形態の一例について説明する。図5は、本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルが容器に装着された状態の、シール部付近の要部拡大図である。図5において、本発明のシュリンクラベル(3)は、ラベルの一端部の接着剤(62)が塗布された部分を装着する容器(63)に貼り付け、次いでラベルを容器(63)の外周に沿って巻き回した後、他端部の接着剤(62)が塗布された部分を一端部に重なるように、シュリンクラベルの両端部(両端)が重ね合わさるようにシール部(61)が形成される。なお、この場合、本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルは、背景印刷層(2b)及び意匠印刷層(2a)が内側となるように巻き付けられる。シュリンクラベルは、その一端部の背景印刷層(2b)上に接着剤(62)を塗布し、接着剤が塗布された一端部を容器(63)に貼り付けて固定する方法が主流ではあるが、接着剤(62)を容器(63)に塗布し、シュリンクラベルの一端部の内側を、接着剤(62)が塗布された容器(63)に貼り付けて固定してもよい。上記接着剤としては、ホットメルト型接着剤が好ましい。シュリンクラベルの一端部の端及び他端部の端には、接着剤が塗布されていない部分(非接着部)を有していてもよい。また、シュリンクラベルの他端部の内側の端に上記非接着部を有すると、装着デラミがより発生しにくくなり、好ましい。上記巻き付けられた本発明のシュリンクラベルにおいて、本発明のシュリンクフィルムは、容器の外周に沿って巻き回した方向(即ち、容器の周方向)に少なくともに配向している(本発明のシュリンクフィルムの主収縮方向が容器の周方向となるように巻き付けられる)ことが好ましい。また、本発明のシュリンクラベル(3)は、本発明のシュリンクフィルム(1)の一方の面に意匠印刷層(2a)が形成され、その意匠印刷層(2a)を覆うように、シュリンクフィルム(1)に背景印刷層(2b)が形成されている。図5に示す本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルは、意匠印刷層及び背景印刷層が一端部及び他端部の端まで設けられているが、図4に示す本発明の筒状シュリンクラベルのように、一部の領域を除いて設けられていてもよい。
上記意匠印刷層は、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等を表示した層が挙げられる。上記意匠印刷層としては、特に限定されないが、例えば、上記印刷層などが使用できる。より具体的には、意匠印刷層は、所望のデザインとなるように着色顔料の異なる複数の印刷層によって形成されている。上記意匠印刷層の厚みは、特に限定されないが、0.1〜8μmが好ましい。
上記背景印刷層は、本発明の筒状シュリンクラベルを筒の外側から観察したときの意匠印刷層の背景となる印刷層である。上記背景印刷層としては、特に限定されないが、例えば、上記印刷層などが使用できる。中でも、意匠印刷層の背景となる観点から、着色顔料として酸化チタンを20〜60重量%含有する白色の印刷層などの背景印刷層が好ましい。上記背景印刷層の厚みは、特に限定されないが、0.5〜10μmが好ましい。
上記透明印刷層は、本発明のシュリンクラベルを容器等に装着した際に、本発明のシュリンクラベルの外側を保護するための印刷層である。上記透明印刷層としては、特に限定されないが、例えば、上記印刷層などが使用できる。上記透明印刷層の厚みは、特に限定されないが、0.5〜10μmが好ましい。
上記溶剤又は接着剤(51)の溶剤としては、特に限定されないが、THF、ジオキサン、ジオキソランなどが挙げられる。
上記シール部の幅は、特に限定されないが、1〜10mmが好ましく、より好ましくは2〜4mmである。
本発明のシュリンクフィルムは、ポリスチレン系樹脂がを50重量%以上含有する層を含む多層化された基層部と、上記基層部の両面に、ポリスチレン系樹脂を含有する表面層とポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する表面層とをそれぞれ有することにより、本発明のシュリンクラベルは、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂のそれぞれの特徴を損なうことなくハイブリッド効果を有しながら、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層をシュリンクフィルムの一方の表面層とすることによって、薄肉化しても耐摩耗性及び耐溶剤性に優れることができる。また、ポリスチレン系樹脂を含有する層をシュリンクフィルムの他方の表面層とすることによって、当該表面層側の印刷適性にも優れる。
[本発明のシュリンクラベルの製造方法]
本発明のシュリンクラベルの製造方法は、本発明のシュリンクフィルムを作製する工程を少なくとも含む。本明細書では、上記「本発明のシュリンクフィルムを作製する工程」を「フィルム作製工程」と称する場合がある。本発明のシュリンクラベルの製造方法は、さらに、本発明のシュリンクフィルム以外の層を形成する工程などの他の工程(上記フィルム作製工程以外の工程)を含んでいてもよい。
(フィルム作製工程)
上記フィルム作製工程において、本発明のシュリンクフィルムは、溶融製膜などの慣用の方法によって作製することができる。中でも、溶融製膜法(特に、Tダイ法)が好ましい。また、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法(フィードブロック法、マルチマニホールド法等)、ドライラミネート法などを用いることができる。中でも、共押出法が好ましく、フィードブロック法が好ましい。さらに、レイヤー・マルチプライヤー(layer multiplier)を用いて、特にフィードブロックとレイヤー・マルチプライヤーを組み合わせて用いて、基層部の多層化を行うことが好ましい。上記レイヤー・マルチプライヤーは、フィルム層を多層化する装置である。上記レイヤー・マルチプライヤーでフィルム層を多層化する方法としては、特に限定されないが、フィルム層を幅方向に分割した後、分割したフィルム層を厚み方向に積層する方法が挙げられる。本明細書では、上記「レイヤー・マルチプライヤー」を、単に「マルチプライヤー」と称する場合がある。上記マルチプライヤーは、例えば、EDI社、クローレン社より入手できる。
上記共押出法(フィードブロック法)の具体的な一例を下記に説明する。例えば、それぞれ所定の温度に設定した複数の押出機に、基層部を形成する原料、表面層を形成する原料をそれぞれ投入し、Tダイから共押出する。この際、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いて、基層部を多層化し、所定の積層構成とすることが好ましい。また必要に応じて、ギアポンプを用いて供給量を調節してもよい。さらにフィルターを用いて、異物を除去するとフィルム破れが低減できるため好ましい。なお、押出温度は、用いる原料の種類によっても異なり、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。上記共押出したポリマーを、冷却ドラムなどを用いて急冷することにより、積層未延伸フィルム(シート)を得ることができる。
上記フィルム作製工程は、特に限定されないが、基層部が、B層と接着樹脂層から形成される場合、B層を構成する原料(「原料(b)」と称する場合がある)と、接着樹脂層を構成する原料(「原料(c)」と称する場合がある)と、上記表面層A1を構成する原料(「原料(a1)」と称する場合がある)と、上記表面層A2を構成する原料(「原料(a2)」と称する場合がある)とをそれぞれ溶融(又は溶融混練)する第1の段階;上記第1の段階で溶融(又は溶融混練)された、原料(b)と、原料(c)とを積層し、さらに多層化して積層体を形成する第2の段階;及び、上記第2の段階で形成された積層体の両面側に、上記第1の段階で溶融された、原料(a1)及び原料(a2)をそれぞれ積層する第3の段階を少なくとも含むことが好ましい。さらに、他の段階(第1の段階、第2の段階、及び第3の段階以外の段階)を含んでいてもよい。上記他の段階は、例えば、第1の段階の前、第3の段階の後、第1の段階と第2の段階との間、第2の段階と第3の段階との間などのいずれの位置に設けられてもよい。
上記第1の段階においては、公知乃至慣用の押出機を用いて、原料(b)、原料(c)、原料(a1)、原料(a2)をそれぞれ、溶融(又は溶融混練)することが好ましい。例えば、それぞれ所定の温度に設定した4台の押出機に、原料(b)、原料(c)、原料(a1)、原料(a2)をそれぞれ投入して、溶融(又は溶融混練)を行うことができる。押出温度は、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。
上記第2の段階において、上記第1の段階において溶融された、原料(b)と、原料(c)とを積層し、さらに多層化された積層体は、特に限定されないが、例えば、上記溶融された原料(b)と原料(c)とを順次積層して、あるいはフィードブロックを用いて同時に積層(共押出)して形成された積層体を、マルチプライヤーを用いてさらに多層化して形成された積層体であってもよい。上記積層には、特に限定されないが、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いることが好ましい。上記フィードブロックやマルチプライヤーは、それぞれ、1のみを用いてもよいし、2以上を用いてもよい。上記積層体において、原料(b)から形成された層の層数と原料(c)から形成された層の層数の合計は4〜65層が好ましく、より好ましくは5〜33層、さらに好ましくは8〜33層である。
上記第2の段階において、原料(b)と、原料(c)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(b)及び原料(c)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(b)/原料(c)/原料(b)]の構成を有する積層体(「積層体1」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体1を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(b)/原料(c)/原料(b)/原料(b)/原料(c)/原料(b)/・・・・/原料(b)/原料(c)/原料(b)]の構造を有する積層体(「積層体2」と称する場合がある)を得ることができる。
他に、上記第2の段階において、原料(b)と、原料(c)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(b)及び原料(c)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(c)/原料(b)/原料(c)]の構成を有する積層体(「積層体3」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体3を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(c)/原料(b)/原料(c)/原料(c)/原料(b)/原料(c)/・・・・/原料(c)/原料(b)/原料(c)]の構造を有する積層体(「積層体4」と称する場合がある)を得ることもできる。
他に、上記第2の段階において、原料(b)と、原料(c)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(b)及び原料(c)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(b)/原料(c)]の構成を有する積層体(「積層体5」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体5を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(b)/原料(c)/原料(b)/原料(c)/・・・・/原料(b)/原料(c)]の構造を有する積層体(「積層体6」と称する場合がある)を得ることができる。なお、上記積層体6は、逆から追えば、[原料(c)/原料(b)/原料(c)/原料(b)/・・・・/原料(c)/原料(b)]の構造を有する積層体でもある。
上記第3の段階において、上記第2の段階で形成された積層体(例えば、積層体2、4、又は6)の両面側に、上記第1の段階で溶融された、原料(a1)及び原料(a2)を積層する際には、フィードブロックを用いることが好ましい。積層された原料(a1)及び原料(a2)は、本発明のシュリンクフィルムの表面層A1及び表面層A2を形成する。上記第3の段階により、上記第2の段階において形成された積層体の両面側に、上記第1の段階において溶融された、原料(a1)及び原料(a2)が積層された、多層構造体が得られる。
特に限定されないが、上記第1の段階、第2の段階、及び第3の段階を経て形成された積層体をTダイから共押出し、冷却ドラムなどを用いて急冷することにより、積層未延伸フィルム(シート)を得ることができる。
なお、[原料(b)/原料(c)/原料(b)/原料(b)/原料(c)/原料(b)/・・・・/原料(b)/原料(c)/原料(b)]の構造を有する上記積層体2は、[B層/接着樹脂層/B層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/B層/接着樹脂層/B層]の構造を有する基層部となるはずであるが、実際は、積層体2の同一素材を積層した[原料(b)/原料(b)]から形成される[B層/B層]の部分は界面が見えなくなり1つのB層となるため、[B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/B層/接着樹脂層/B層]の構造を有する基層部となる。同様に、上記積層体4の同一素材を積層した[原料(c)/原料(c)]から形成される[接着樹脂層/接着樹脂層]の部分は界面が見えなくなり1つの接着樹脂層となるため、上記積層体4に由来する基層部は、[接着樹脂層/B層/接着樹脂層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/接着樹脂層/B層/接着樹脂層]の構造を有する基層部となるはずであるが、実際は、[接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/接着樹脂層/B層/接着樹脂層]の構造を有する基層部となる。なお、上記基層部において、異なる2のB層(B1層及びB2層)を形成する原料を積層して形成される積層体[B1層/B2層]が存在する場合、[B1層/B2層]の部分は界面が見えるため、1つのB層とはならない。なお、表面層と基層部の最外層の層(樹脂層)とが同一の樹脂組成物を原料とする層である場合はその界面が見えなくなり、表面層と基層部の最外層の層とが1つの層(表面層)となる。
上記他の段階としては、特に限定されないが、延伸を行う段階、表面処理を行う段階などが挙げられる。例えば、上記第3の段階で作製された上記積層未延伸フィルムは、その後さらに、延伸を行う段階を有する。
上記延伸を行う段階(延伸段階)は、長手方向(フィルムの製造ライン方向。MD方向とも称する)および幅方向(長手方向と直交する方向。TD方向とも称する)の2軸延伸、長手方向又は幅方向の1軸延伸等を用いることができる。中でも、本発明のシュリンクラベルが筒状シュリンクラベルの場合は幅方向、巻き付け方式のシュリンクラベルの場合は長手方向に少なくとも延伸することが好ましい。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式の何れの方式を用いてもよい。2軸延伸する場合には、同時に2軸に延伸してもよく、逐次に2軸に延伸してもよい。より具体的には、例えば、ロール方式により長手方向に延伸温度65〜100℃、延伸倍率1.05〜1.50倍で延伸した後、テンター方式により幅方向に延伸温度70〜100℃、延伸倍率3〜8倍(好ましくは4〜7倍)で延伸する。
上記表面処理を行う段階としては、例えば、本発明のシュリンクフィルムの表面にコロナ放電処理やプライマー処理、フレーム処理等の慣用の表面処理を行う段階が挙げられる。
上記フィルム作製工程は、4種の原料を溶融して用いる例を示したが、これに限定されるものではなく、3種の原料(例えば、原料(b)、原料(c)、及び原料(a1))を溶融する第1段階と、当該第1段階で溶融された、2種の原料(例えば、原料(b)と原料(c))を隣接して積層し、少なくとも一方の最外層が原料(b)(接着樹脂層がポリスチレン系樹脂を含有する場合は、上記最外層が原料(c)でも可)である積層体を形成する第2段階と、上記第2の段階で形成された積層体の、原料(b)である最外層とは反対側(両面の最外層が原料(b)である場合はどちらの面でも可)に、上記原料(a1)を積層する第3の段階を有するものであってもよく、この場合、第2の段階の積層体の、原料(a1)が設けられていない側の最外層の原料(b)が表面層A2となる。
(他の工程)
本発明のシュリンクラベルの製造方法において、特に限定されないが、フィルム作製工程以外の工程(他の工程)として、印刷層を設ける工程、保護層を設ける工程などを有していてもよい。
上記印刷層を設ける工程では、本発明のシュリンクフィルムの少なくとも一方の表面上に、印刷インキを塗布し、乾燥等によって固化させる印刷段階を単数又は複数行うことにより印刷層が形成される。例えば、単数又は複数の印刷段階を行い、意匠印刷層を形成した後、単数又は複数の印刷段階を行い、背景印刷層を形成することができる。上記の印刷層を設ける工程は、周知慣用の印刷方法を用いることができ、中でも、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法が好ましい。
上記印刷インキは、例えば、上記バインダー樹脂、上記着色顔料、溶剤及びその他添加剤などを、必要に応じて、混合することにより製造される。混合は、公知乃至慣用の混合方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、ペイントシェイカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパーなどのミキサーや、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミルなどのミル、ニーダーなどの混合装置が用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10〜120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。上記各成分(バインダー樹脂、着色顔料、溶剤、その他の添加剤)は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記溶剤(溶媒)としては、印刷インキに通常用いられる有機溶剤等を用いることができる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)などのエステル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステルなどが挙げられる。上記溶剤は、印刷インキを本発明のシュリンクフィルムに塗布した後、乾燥により除去することができる。なお、上記溶剤(溶媒)は、「分散媒」の意味も含む。
(筒状シュリンクラベルの製造方法)
本発明の筒状シュリンクラベルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記の通りである。長尺状の本発明のシュリンクフィルムに、任意で印刷層などを設けた後、所定の幅にスリットして、本発明のシュリンクラベルが長尺方向(長手方向)に複数個連なったラベル長尺体を得る。このラベル長尺体を、主収縮方向(即ち、本発明のシュリンクフィルムの主収縮方向)が周方向となるように、他端部が一端部の外側になるように重ね合わせて筒状に形成し、当該重ね合わせた部分を所定の幅で帯状にシールして両端部を接合して、長尺筒状のラベル連続体(長尺筒状シュリンクラベル)を得ることができる。この長尺筒状シュリンクラベルを長手方向が所定の長さとなるように幅方向に切断することで、高さ方向に所定の長さを有する1つの筒状シュリンクラベル(本発明の筒状シュリンクラベル)を得ることができる。
上記筒状シュリンクラベルの製造方法では、長尺筒状シュリンクラベルを作製してから切断して所定の長さを有する個々の筒状シュリンクラベルを製造する方法を説明したが、他に、印刷層が設けられたシュリンクラベルの長尺体を所定の長さを有する個々のラベルに切断してから筒状化する「Roll−on Shrink−onラベリング方式」によって製造してもよい。
なお、筒状シュリンクラベルにラベル切除用のミシン目を設ける場合は、所定の長さ及びピッチのミシン目を縦方向(周方向と直交する方向)に形成する。ミシン目は慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程は、上記印刷層を設ける工程の後や、筒状に加工する工程の前後など、適宜選択できる。
[ラベル付き容器]
本発明のシュリンクラベルは、特に限定されないが、容器に装着して、ラベル付き容器として用いられる。なお、本発明のシュリンクラベルは、容器以外の被着体に用いられてもよい。例えば、本発明のシュリンクラベルが筒状シュリンクラベルの場合、本発明の筒状シュリンクラベルを容器の周りに、本発明のシュリンクラベルが筒状となるように配置し、熱収縮させることによって容器に装着することにより、ラベル付き容器(本発明のシュリンクラベルを有するラベル付き容器)が得られる。また、本発明のシュリンクラベルが巻き付け方式のシュリンクラベルの場合、本発明の巻き付け方式のシュリンクラベルのラベルの一端部を容器に貼り付け、次いでラベルを容器の外周に沿って巻き回した後、他端部を一端部に重なるように、シュリンクラベルの両端部(両端)を重ね合わせ、熱収縮させることによって容器に装着することにより、ラベル付き容器(本発明のシュリンクラベルを有するラベル付き容器)が得られる。
上記容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料などの食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレーなどの化学製品の容器、トイレタリー用の容器、カップ麺容器などが含まれる。上記容器の形状としては、特に限定されないが、例えば、円筒状、角形等のボトルタイプや、カップタイプなどの様々な形状が挙げられる。また、上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、PETなどのプラスチック、ガラス、金属などが挙げられる。
上記ラベル付き容器は、例えば、筒状シュリンクラベルを、所定の容器に外嵌した後、加熱処理によって筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、容器に追従密着させること(シュリンク加工)によって作製できる。また、上記ラベル付き容器は、例えば、巻き付け方式のシュリンクラベルを、所定の容器に巻き付け貼付した後、加熱処理によって巻き付け方式のシュリンクラベルを熱収縮させ、容器に追従密着させること(シュリンク加工)によって作製できる。上記加熱処理の方法としては、例えば、熱風トンネルやスチームトンネルを通過させる方法、赤外線などの輻射熱で加熱する方法等が挙げられる。特に、80〜100℃のスチームで処理する(スチームおよび湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)方法が好ましい。また、101〜140℃のドライスチームを用いることもできる。上記加熱処理は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの温度が85〜100℃(特に、90〜97℃)となる温度範囲で実施することが好ましい。本発明のシュリンクフィルムは、特に高温で加熱処理を行うことができるため、高収縮を要する容器に対する使用が可能となる。また、加熱処理の処理時間は、生産性、経済性の観点から、4〜20秒が好ましい。
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例1及び4は参考例として記載するものである。
なお、表1に、実施例で用いた、表面層A1用原料(原料(a1))、B層用原料(原料(b))、接着樹脂層用原料(原料(c))、実施例で作製したシュリンクフィルム及びシュリンクラベルの構成及び評価結果などを示した。
実施例1
(原料)
B層を構成する原料(B層用原料)として、ポリスチレン系樹脂A(スタイロルーション社製、商品名「スタイロルクス S」、ブタジエンに由来する構成単位の含有量:12重量%)を80重量%、ポリスチレン系樹脂B(スタイロルーション社製、商品名「スタイロルクス T」、ブタジエンに由来する構成単位の含有量:25重量%)を20重量%用いた。
接着樹脂層を構成する原料(接着樹脂層用原料)として、ポリスチレン系樹脂Bを40重量%、ポリエステル系樹脂B(Eastman Chemical社製、商品名「EMBRACE 21214」)を60重量%用いた。
表面層A1を構成する原料(表面層A1用原料)として、ポリエステル系樹脂A(Eastman Chemical社製、商品名「EMBRACE LV」)を100重量%用いた。
(シュリンクフィルム)
220℃に加熱した押出機xに上記B層用原料、220℃に加熱した押出機yに上記接着樹脂層用原料、250℃に加熱した押出機zに上記表面層A1用原料を投入した。上記3台の押出機を用いて、溶融押出を行った。溶融したB層用原料及び溶融した接着樹脂層用原料を、合流方式が2種3層型のフィードブロックと4分割のマルチプライヤーとを組み合わせた積層装置を用いて、接着樹脂層用原料/B層用原料/接着樹脂層用原料の2種3層構成をひとつの繰り返し単位として分割・合流・積層させ、積層体(I)(前記2種3層構成が4つ積層(繰り返し数4)されたもの)とし、溶融した表面層A1用原料を、上記積層体(I)の片面側に、フィードブロックを用いて合流・積層させ、積層体(II)とした。なお、上記積層体(II)において、表面層A1用原料が積層されていない側は接着樹脂層用原料となっている。さらに、上記積層体(II)を、Tダイより押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、基層部の両面側にそれぞれ表面層A1、及び接着樹脂層用原料が冷却されて形成された表面層A2を有する積層未延伸フィルムを得た。
次に、上記積層未延伸フィルムを、幅方向に90℃で5倍テンター延伸することにより、幅方向に主に延伸され、当該方向に熱収縮性を有する延伸フィルム(シュリンクフィルム)の長尺体を得た。
(筒状シュリンクラベル)
上記で得られたシュリンクフィルムの長尺体に対して、グラビア印刷機によって、シュリンクフィルムの表面層A2側の面に意匠印刷層及び白色の背景印刷層を形成して、シュリンクラベルの長尺体を得た。次いで、上記シュリンクラベルの長尺体を、スリットして所定幅とした後、シュリンクラベルの表面層A1側が外側となるように、幅方向が周方向となるように一端部と他端部とを重ね合わせて筒状にし、当該一端部と他端部のシュリンクフィルム面同士を溶剤でシールし、シュリンクラベルの筒状長尺体を得た。さらに、上記シュリンクラベルの筒状長尺体(ラベル連続体)を、個々のラベルサイズにカットして、筒状シュリンクラベルを得た。
実施例2、3
表1に示すとおり、原料(a1)、原料(b)、原料(c)の組成や成分比、各層やシュリンクフィルムの厚みなどを変更して、実施例1と同様にして、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、及び筒状シュリンクラベルを得た。
実施例1〜3で作製されたシュリンクフィルムは、[表面層A1/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層(表面層A2)]の10層構成となっている。なお、上記シュリンクフィルムにおいて、表面層A1とは反対側の端面は接着樹脂層となっているが、当該接着樹脂層はポリスチレン系樹脂を含有するため、表面層A2となる。また、基層部は、2種3層構成の繰り返し単位を繰り返し数4で積層しているため11層となるが、実際は接着樹脂層用原料同士が重なる部分は、層間の界面が見えなくなり、重なって1つの層となる。このため、基層部は、[接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層]の8層構成となっており、基層部の最外層はそれぞれ接着樹脂層及びB層となっている。また、基層部中、B層と接着樹脂層が隣接して形成される界面の数は7である。なお、実施例2、3において、接着樹脂層はB層でもある。即ち、上記基層部は、原料組成が異なる2のB層(B1層及びB2層)が交互に積層されている。しかしながら、B層と接着樹脂層とは原料組成が異なるため、[B層/接着樹脂層]の界面が見え、一つのB層とはならない。
実施例4
実施例1で得られたシュリンクフィルムの長尺体に対して、グラビア印刷機によって、シュリンクフィルムの表面層A1側の面に意匠印刷層及び白色の背景印刷層を形成し、シュリンクフィルムの表面層A2側に透明印刷層を形成して、シュリンクラベルの長尺体を得た。次いで、上記シュリンクラベルの長尺体を、スリットして所定幅とした後、シュリンクラベルの表面層A2側が外側となるように、幅方向が周方向となるように一端部と他端部とを重ね合わせて筒状にし、当該一端部と他端部のシュリンクフィルム面同士を溶剤でシールし、シュリンクラベルの筒状長尺体を得た。さらに、上記シュリンクラベルの筒状長尺体(ラベル連続体)を、個々のラベルサイズにカットして、筒状シュリンクラベルを得た。
(評価)
実施例で得られたシュリンクラベルについて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示した。
(1)層間剥離
実施例1〜4で得られた筒状シュリンクラベルを、容器(280ml,マヨネーズ瓶)に外嵌した後、90℃のスチームトンネルを通過させて筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、ラベル付き容器(容器胴部での熱収縮率が5%)を得た。上記ラベル付き容器を、98℃の熱水中に10秒間浸漬させた際の層間剥離の頻度をn=10で確認した。そして、層間剥離を以下の基準で評価した。
良好(○) : 10本中、層間剥離発生なし
不良(×) : 10本中、層間剥離が1本以上発生
(2)収縮適性
実施例1〜4で得られた筒状シュリンクラベルを、容器(東洋製罐(株)製、500ml丸形PET製容器)に外嵌した後、90℃のスチームトンネルを通過させて筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、ラベル付き容器(容器胴部での熱収縮率は5%)を得た。上記ラベル付き容器のラベルのシワの発生頻度をn=10で確認した。そして、収縮適性を以下の基準で評価した。
良好(○) : 10本中、シワの発生なし
不良(×) : 10本中、シワが1本以上発生
(3)圧縮強度(剛性)(リングクラッシュ法)
実施例1〜4で得られたシュリンクフィルム(シュリンク加工前)を用いて評価を行った。JIS P 8126に準拠して、シュリンクラベルの圧縮強度を、以下の条件で、測定した。測定方向はシュリンクフィルムの長手方向である。なお、表1に記載した評価結果は、下記の試験回数で評価を行った結果の平均値である。
測定装置 : 島津製作所(株)製オートグラフ(AGS−50G:ロードセルタイプ500N)
サンプルサイズ : 15mm(長手方向)×152.4mm(幅方向:主収縮方向)
試験回数: 5回
実施例1〜3の本発明のシュリンクラベルから形成された筒状シュリンクラベルは、ラベルの厚みが薄いにもかかわらず、筒状シュリンクラベルの外側に、比較的厚い、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層を表面層とするシュリンクフィルムを有する構成であるため、耐性が比較的要求される筒状シュリンクラベルの外側において耐摩耗性及び耐溶剤性に優れる。実施例4の本発明のシュリンクラベルから形成された筒状シュリンクラベルは、シュリンクフィルムの表面層A2側に透明印刷層が形成されているので、筒状シュリンクラベルの外側に耐摩耗性及び耐溶剤性を有する。また、実施例4の本発明のシュリンクラベルから形成された筒状シュリンクラベルは、耐摩耗性及び耐溶剤性の高い表面層A1側に意匠印刷層及び背景印刷層が形成されている。