本発明のシュリンクフィルムは、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層と、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層とを少なくとも含み、主収縮方向の、80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が60〜75%であり、前記主収縮方向と直交する方向の、80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が、−10%以上0%未満であり、前記主収縮方向と直交する方向の、100℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が、前記80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率よりも大きく、且つ20%以下である。なお、本明細書において、上記「ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層」を、「A層」と称する場合がある。また、上記「ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層」を、「B層」と称する場合がある。
本発明のシュリンクフィルムは、主収縮方向の、80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が60〜75%であり、好ましくは61〜70%、より好ましくは62%以上70%未満である。なお、本明細書において、上記「主収縮方向の、80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率」を、「主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)」と称する場合がある。
なお、本明細書において「主収縮方向」とは最も熱収縮率が大きい方向であり、一般的には主に延伸処理された方向であり、例えば、幅方向に実質的に一方向に延伸されたフィルムの場合には幅方向である。
本発明のシュリンクフィルムは、主収縮方向と直交する方向の、80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が−10%以上0%未満であり、好ましくは−8〜−0.1%、より好ましくは−7〜−0.5%、さらに好ましくは−7〜−1%、特に好ましくは−7〜−1.5%である。なお、本明細書において、上記「主収縮方向と直交する方向の、80℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率」を、「直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)」と称する場合がある。
本発明のシュリンクフィルムは、上記主収縮方向と直交する方向の、100℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が、上記直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)よりも大きく、且つ20%以下である。なお、本発明のシュリンクフィルムは、100℃の水に10秒間浸漬したときには上記直交方向に適度に収縮することが好ましい。上記収縮率の下限は、特に限定されないが、0%を超えることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは6%以上である。また、上記収縮率の下限は、特に限定されないが、上記直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)よりも5%高いことが好ましく、より好ましくは7%高いことである。上記収縮率の上限は、特に限定されないが、17%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。なお、本明細書において、上記「主収縮方向と直交する方向の、100℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率」を、「直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)」と称する場合がある。
上記主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、上記直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び上記直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)は、例えば、A層やB層の原料組成(例えば、ポリエステル系樹脂の種類、ポリスチレン系樹脂の種類、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の特性等)、シュリンクフィルムの層構成、フィルムの製造条件(例えば、後述の予熱段階、延伸段階、熱固定段階における各種条件等)等により調整することができる。
本発明のシュリンクフィルムは、上記主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、上記直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び上記直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)が、それぞれ上記で特定された範囲内であることにより、以下の効果が得られる。即ち、周方向が主収縮方向である筒状ラベルを被装着物に装着させるためのシュリンク加工時に、比較的低温領域の加熱状態では本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルが上記主収縮方向に比較的大きく収縮するとともに上記直交方向(即ち、筒状ラベルの縦方向)にわずかに延びる。そして、これにより、続く比較的高温領域の加熱状態において、わずかに延びたものが縮むことによって、シュリンク加工後においてデザインのゆがみや位置ずれ、シワの発生が起こりにくく、デザインと被装着物との一体感に優れ、収縮仕上がりに優れる。また、これらの効果は、高い熱収縮性を有するシュリンクフィルムにおいても得られるため、本発明のシュリンクフィルムは高い熱収縮性を有するシュリンクラベル用途に特に有用である。
本発明のシュリンクフィルムは、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層(A層)と、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層(B層)とを、それぞれ、少なくとも1層ずつ含む。本発明のシュリンクフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内で、表面に帯電防止層やアンカーコート層が設けられていてもよい。本発明のシュリンクフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、プライマー処理、帯電防止コーティング処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。
(A層)
本発明のシュリンクフィルムにおけるA層は、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含む。A層を含むことにより、シュリンクフィルムに高い熱収縮性を付与することが可能となる。このため、本発明のシュリンクフィルムを用いることにより、高い熱収縮性を有しながら、収縮仕上がりに優れるシュリンクラベルとすることができる。さらに、透明性、剛性に優れる。
A層は、ポリエステル系樹脂を必須成分として含む。上記ポリエステル系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、A層は、特に限定されないが、上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を必須の構成成分として構成されたポリエステル(即ち、ジカルボン酸に由来する構成単位(構造単位)とジオールに由来する構成単位を少なくとも含むポリエステル)、ポリ乳酸系重合体、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。ジカルボン酸に由来する構成単位とジオールに由来する構成単位を少なくとも含むポリエステルの主なものとしては、ジカルボン酸とジオールの縮合反応による重合体、共重合体又はこれらの混合物が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、可塑剤を添加されたポリエチレンテレフタレート等の軟質ポリエステル系樹脂を用いてもよい。
上記ジカルボン酸(ジカルボン酸成分)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、イコサン二酸、ドコサン二酸、1,12−ドデカンジオン酸、及びこれらの置換体等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸は、一種のみを使用してもよいし二種以上を使用してもよい。
上記ジオール(ジオール成分)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式ジオール;2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオール等が挙げられる。上記ジオールは、一種のみを使用してもよいし二種以上を使用してもよい。
上記ポリエステル系樹脂は、上記以外にも、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;トリメリット酸等の多価カルボン酸;ポリアルキレングリコールモノメチルエーテル等の1価アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール等に由来する構成単位を含んでいてもよい。
中でも、収縮特性(特に、高収縮率での熱収縮性)、剛性、機械強度等の観点から、上記ポリエステル系樹脂は、芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。なお、上記芳香族ポリエステル系樹脂とは、全ジカルボン酸成分中の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が芳香族ジカルボン酸、及び/又は、全ジオール成分中の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が芳香族ジオールであるポリエステル系樹脂である。さらに、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と脂肪族ジオールを含むジオールとの縮合反応による重合体、共重合体、又はこれらの混合物である芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
上記芳香族ポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂を非晶性とすることにより、熱収縮率を高くし、A層がB層と隣接する場合はA層とB層間の層間剥離を生じにくくする観点、収縮特性(特に、高収縮率での熱収縮性)、剛性の観点から、単一の繰り返し単位から構成されているのではなく、変性成分(共重合成分)を含んでいる変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。変性芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分及びジオール成分のうちの少なくとも一方が2以上の成分から構成される、即ち、主成分の他に変性成分を含んでいる変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。言い換えると、上記芳香族ポリエステル系樹脂は、少なくとも二種以上のジカルボン酸に由来する構成単位及び/又は少なくとも二種以上のジオールに由来する構成単位を含む変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
上記変性芳香族ポリエステル系樹脂としては、上記の中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)を用いたポリエチレンテレフタレート(PET)において、ジカルボン酸成分及び/又はジオール成分の一部を変性成分(すなわち、他のジカルボン酸成分及び/又は他のジオール成分)に置き換えた変性PETが好ましく例示される。
上記変性芳香族ポリエステル系樹脂(特に、変性PET)の変性成分(共重合成分)として用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、イソフタル酸等が挙げられる。中でも好ましくは、イソフタル酸である。また、変性成分として用いられるジオール成分としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NPG)等の2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール等が挙げられる。中でも好ましくは、CHDM、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール(特に、NPG)である。なお、上記2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールにおけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、また、2つのアルキル基は、同一のアルキル基であってもよいし異なるアルキル基であってもよい。
上記芳香族ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、収縮特性(特に、高収縮率での熱収縮性)の観点で、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてEGを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分(例えば、最も多いジオール成分) 、CHDMを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(「CHDM共重合PET」と称する場合がある);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(「2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PET」と称する場合がある)が好ましい。上記2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETの中では、特に、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、NPGを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(「NPG共重合PET」と称する場合がある)が好ましい。上記芳香族ポリエステル系樹脂は、特に好ましくはCHDM共重合PET及び/又は2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETであり、さらに好ましくはCHDM共重合PET及び/又はNPG共重合PET、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を本発明で規定する範囲内に調整しやすくする観点から、最も好ましくはCHDM共重合PETである。なお、上記CHDM共重合PET、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETには、それぞれ、CHDM、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール以外の共重合成分が用いられていてもよく、例えば、さらに、イソフタル酸やジエチレングリコールが共重合されていてもよい。
上記変性芳香族ポリエステル系樹脂において、共重合成分(変性成分)の共重合比率[全ジカルボン酸成分に対する共重合ジカルボン酸成分の比率(割合)、又は、全ジオール成分に対する共重合ジオール成分の比率(割合)]は、特に限定されないが、層の熱変形挙動を適正化し、層間剥離を低減させる観点から、10モル%以上(例えば、10〜40モル%)が好ましく、より好ましくは15モル%以上(例えば、15〜40モル%)である。中でも、例えば、CHDM共重合PETの場合、CHDMの割合は、全ジオール成分中、10モル%以上(EGが90モル%以下)が好ましく、より好ましくは12モル%以上(EGが88モル%以下)、さらに好ましくは15モル%以上(EGが85モル%以下)であり、20モル%以上(EGが80モル%以下)、25モル%以上(EGが75モル%以下)であってもよい。また、CHDMの割合の上限は、全ジオール成分中、40モル%以下(EGが60モル%以上)が好ましく、より好ましくは35モル%以下(EGが65モル%以上)、さらに好ましくは30モル%以下(EGが70モル%以上)、特に好ましくは25モル%以下(EGが75モル%以上)である。また、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETの場合、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールの割合(NPG共重合PETの場合にはNPGの割合)は、全ジオール成分中、10モル%以上(EGが90モル%以下)が好ましく、より好ましくは15モル%以上(EGが85モル%以下)である。また、NPGの割合の上限は、全ジオール成分中、40モル%以下(EGが60モル%以上)が好ましく、より好ましくは30モル%以下(EGが70モル%以上)である。また、さらにEG成分の一部(好ましくは、全ジオール成分中、1〜30モル%、より好ましくは1〜10モル%)をジエチレングリコールに置き換えてもよい。
上記芳香族ポリエステル系樹脂は、実質的に非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくは、非晶性の飽和ポリエステル系樹脂である芳香族ポリエステル系樹脂である。特に限定されないが、芳香族ポリエステル系樹脂は、上述のように変性することによって、結晶化しにくくなるため、例えば、変性によって実質的に非晶性とすることができる。芳香族ポリエステル系樹脂を非晶性とすることにより、比較的低温での押出が可能となる。これにより、押出加工時のA層の層形成性が良好となることで、A層とA層以外の層との間で層間剥離が生じにくくなり、また、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの収縮特性が向上する。
上記ポリエステル系樹脂の、示差走査熱量測定(DSC)法(10℃/分の昇温速度で測定)により測定した結晶化度は、15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。さらに、上記ポリエステル系樹脂は、上記DSC法により測定した場合に、融点(融解ピーク)がほとんど見られないもの(すなわち、結晶化度0%のもの)が最も好ましい。上記結晶化度は、DSC測定より得られる結晶融解熱の値から、X線法等により測定した結晶化度の明確なサンプルを標準として、算出することができる。なお、結晶融解熱は、例えば、セイコーインスツル(株)製DSC(示差走査熱量測定)装置を用い、試料量10mg、昇温速度10℃/分で、窒素シールを行い、一度融点以上まで昇温し、常温まで降温した後、再度昇温したときの融解ピークの面積から求めることができる。結晶化度は、単一の樹脂から測定されることが好ましいが、混合状態で測定される場合には、混合される樹脂の融解ピークを差し引いて、対象となる芳香族ポリエステル系樹脂の融解ピークを求めればよい。
上記ポリエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶融挙動や収縮挙動の観点から、15,000〜100,000が好ましく、より好ましくは15,000〜90,000、さらに好ましくは30,000〜90,000、特に好ましくは30,000〜80,000である。2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PETの場合、50,000〜70,000が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、GPCにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、70℃以下が好ましく、より好ましくは70℃未満、さらに好ましくは69℃以下である。上記Tgが70℃以下であると、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を本発明で規定する範囲内に調整しやすく、デザインの位置ずれやゆがみがより起こりにくく、収縮仕上がり(特に、高い収縮率で熱収縮した後の収縮仕上がり)により優れる。上記Tgの下限は、特に限定されないが、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を調整しやすい観点、並びに主収縮方向の熱収縮率(100℃、10秒)をより高くしやすい観点で、40℃が好ましく、より好ましくは50℃である。上記Tgは、ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸やジオール等の種類や変性に用いる共重合成分(変性成分)の共重合比率により制御できる。
本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、JIS K 7121に準拠して、DSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。DSC測定は、特に限定されないが、例えば、セイコーインスツル(株)製、示差走査熱量計「DSC6200」を用いて、昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。
上記ポリエステル系樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、Eastman Chemical(イーストマンケミカル)社製「EMBRACE 21214」、「EMBRACE LV」(以上、CHDM共重合PET)や、(株)ベルポリエステルプロダクツ製「ベルペット MGG200」(2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PET)、(株)ベルポリエステルプロダクツ製「ベルペット E02」(NPG共重合PET)、SKケミカル社製「スカイグリーン」等が市場で入手できる。
A層中のポリエステル系樹脂の含有量は、A層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%であり、又は100%未満であってもよく、99重量%以下、98重量%以下であってもよい。上記含有量が50重量%以上であることにより、熱収縮性を高くすることができる。また、透明性に優れる。さらに、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの剛性が高くなる。上記ポリエステル系樹脂の含有量は、A層中に含まれる全てのポリエステル系樹脂の含有量の合計である。なお、A層が本発明のシュリンクフィルムの表面層である場合、上記含有量は、80重量%以上が好ましく、より好ましくは90重量%以上である。
A層は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂以外の樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。A層がポリエステル系樹脂以外の樹脂を含有する場合には、当該樹脂の含有量は、A層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0重量%を超えて50重量%以下)である。なお、A層が本発明のシュリンクフィルムの表面層である場合、上記含有量は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下であり、含まないことが最も好ましい。一方、A層が後述の基層部中に含まれる層でありポリエステル系樹脂以外の樹脂を含む場合、当該樹脂の含有量は、例えば5重量%以上50重量%未満、好ましくは10〜49重量%、より好ましくは15〜45重量%である。また、A層が後述の基層部中に含まれる層でありポリエステル系樹脂以外の樹脂を含む場合の当該樹脂としては、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
A層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤、相溶化剤等の添加剤を含有してもよい。また、A層は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化された回収原料を含有していてもよい。なお、回収原料とは、製品化の前後やフィルムエッジ等の非製品部分、中間製品から製品フィルムを採取した際の残余部分や規格外品等のフィルム屑、ポリマー屑からなるリサイクル原料である。ただし、回収原料は本発明のシュリンクフィルムの製造より生じたもの(いわゆる自己回収品)が好ましい。
(B層)
本発明のシュリンクフィルムにおけるB層は、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含む。B層を含むことにより、本発明のシュリンクフィルムは、収縮挙動が適正化され、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルは、高い収縮率で熱収縮された場合であってもシュリンク加工後にシワが発生しにくい。このため、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルは、収縮仕上がりに優れる。
B層は、ポリスチレン系樹脂を必須成分として含む。上記ポリスチレン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、B層は、特に限定されないが、上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
上記ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を必須の単量体(モノマー)成分として構成される重合体である。即ち、分子中(1分子中)に、スチレン系単量体に由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。
上記スチレン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。中でも、入手し易さ、材料価格等の観点から、スチレンが好ましい。なお、上記スチレン系単量体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレンの単独重合体である汎用ポリスチレン(GPPS)等のスチレン系単量体の単独重合体;二種以上のスチレン系単量体のみを単量体成分として構成される共重合体;スチレン−ジエン系共重合体;スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル系共重合体等の共重合体;ポリスチレンと合成ゴム(例えば、ポリブタジエンやポリイソプレン等)の混合物、合成ゴムにスチレンをグラフト重合させたポリスチレン等の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS);スチレン系単量体を含む重合体(例えば、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合体)の連続相中にゴム状弾性体を分散させ、該ゴム状弾性体に前記共重合体をグラフト重合させたポリスチレン(グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン「グラフトHIPS」という);スチレン系エラストマー等が挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂としては、中でも、スチレン−ジエン系共重合体が好ましい。なお、上記ポリスチレン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエン系共重合体は、スチレン系単量体及びジエン(特に、共役ジエン)を必須の単量体成分として構成される共重合体である。即ち、分子中(1分子中)に、スチレン系単量体に由来する構成単位、及びジエン(特に、共役ジエン)に由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。
上記ジエンとしては、特に限定されないが、共役ジエンが好ましく、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレン等が挙げられる。中でも、延伸特性、熱収縮性、層間強度の観点から、1,3−ブタジエンが特に好ましい。即ち、上記スチレン−ジエン系共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。なお、上記ジエンは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエン系共重合体を構成する単量体成分は、さらに、上記スチレン系単量体及び上記ジエン以外の単量体成分を含んでいてもよい。上記スチレン系単量体及び上記ジエン以外の単量体成分としては、例えば、ビニル系モノマー、重合性不飽和カルボン酸エステル、重合性不飽和無水カルボン酸等が挙げられる。
上記スチレン−ジエン系共重合体の共重合の形態は、特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。中でも、ブロック共重合体が好ましく、例えば、スチレンブロック(S)−ジエンブロック(D)型、S−D−S型、D−S−D型、S−D−S−D型等が挙げられる。
上記スチレン−ジエン系共重合体のブロック共重合体(スチレン−ジエンブロック共重合体)としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)等のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBC)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等のスチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)等のスチレン−ブタジエン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられ、中でも、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましい。なお、これらのブロック共重合体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体としては、スチレン系単量体のみが重合したスチレンブロックとブタジエンのみが重合したブタジエンブロックとを有する共重合体であればよく、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSBS)等のスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体(SB)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン共重合体(SBSB)等のスチレンブロック及びブタジエンブロックをそれぞれ末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体;ブタジエン−スチレン−ブタジエン共重合体(BSB)、ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン共重合体(BSBSB)等のブタジエンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体等が挙げられる。中でも、スチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましく、より好ましくはSBSである。なお、これらのスチレン−ブタジエンブロック共重合体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエンブロック共重合体は、公知乃至慣用のブロック共重合体の製造方法により製造することができる。上記スチレン−ジエンブロック共重合体の製造方法としては、例えば、スチレン−ジエンブロック共重合体の分子量、分子量分布及び末端構造等を制御しやすい、リビング重合(リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等)が挙げられる。上記リビング重合は公知乃至慣用の方法により実施可能である。
上記スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、50〜95重量%が好ましく、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは65〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%である。上記含有量が50重量%以上であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となる傾向がある。上記含有量が95重量%以下(特に、85重量%以下)であると、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)がより小さくなり(即ち、低温領域の加熱状態において直交方向に延びやすくなり)、シュリンク加工後にデザインのゆがみや位置ずれがより起こりにくく、収縮仕上がりにより優れる傾向がある。また、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができる傾向がある。
上記スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、ジエンに由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%、特に好ましくは20〜30重量%である。上記含有量が50重量%以下であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となる傾向がある。上記含有量が5重量%以上(特に、15重量%以上)であると、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)がより小さくなり(即ち、低温領域の加熱状態において直交方向に延びやすくなり)、シュリンク加工後にデザインのゆがみや位置ずれより起こりにくく、収縮仕上がりにより優れる傾向がある。また、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができる傾向がある。
なお、B層中に含まれるスチレン−ジエン系共重合体が二種以上のスチレン−ジエン系共重合体を含む場合、上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量、及びジエンに由来する構成単位の含有量は、それぞれ、全てのスチレン−ジエン系共重合体中の含有量である。
上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量及びジエンに由来する構成単位の含有量は、上記スチレン−ジエン系共重合体の組成(各スチレン−ジエン系共重合体中に含まれる各構成単位の含有量、及び層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体中の各スチレン−ジエン系共重合体の含有量)により制御することができる。より具体的には、例えば、上記スチレン−ジエン系共重合体が、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量がs1(重量%)及びジエンに由来する構成単位の含有量がd1(重量%)であるスチレン−ジエン系共重合体(PS1)と、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量がs2(重量%)及びジエンに由来する構成単位の含有量がd2(重量%)であるスチレン−ジエン系共重合体(PS2)のみから構成される樹脂混合物であり、上記樹脂混合物(PS1とPS2の樹脂混合物)100重量%中のPS1の含有量がW1(重量%)、PS2の含有量がW2(重量%)である場合には、上記樹脂混合物中のスチレン系単量体に由来する構成単位の含有量及びジエンに由来する構成単位の含有量は、一般的に、以下のように制御できる。なお、後述の接着樹脂層中に含まれていてもよいスチレン−ジエン系共重合体のスチレン系単量体に由来する構成単位の含有量及びジエンに由来する構成単位の含有量についても同様である。
スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量(重量%)=(s1×W1+s2×W2)/100
ジエンに由来する構成単位の含有量(重量%)=(d1×W1+d2×W2)/100
上記構成単位(スチレン系単量体に由来する構成単位及びジエンに由来する構成単位)や上記構成単位の含有量の分析・測定は、特に限定されないが、例えば、核磁気共鳴(NMR)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)等により行うことができる。なお、他の樹脂層(接着樹脂層等)や樹脂における構成単位や構成単位の含有量の分析・測定も同様にして行うことができる。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、水素添加されていてもよい。即ち、上記ポリスチレン系樹脂は、水素添加されたポリスチレン系樹脂(水添ポリスチレン系樹脂)であってもよい。上記水添ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、SBSやSISに水素を添加した樹脂である水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)や水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等の水素添加されたスチレン−ジエン系共重合体が好ましい。上記水添ポリスチレン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、極性基が導入されていてもよい。即ち、上記ポリスチレン系樹脂は、極性基が導入されたポリスチレン系樹脂(変性ポリスチレン系樹脂)であってもよい。なお、上記変性ポリスチレン系樹脂には、極性基が導入された水添ポリスチレン系樹脂が含まれる。
上記変性ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系樹脂を主鎖骨格として、極性基を導入されたポリスチレン系樹脂である。上記極性基としては、特に限定されないが、例えば、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、水酸基等が挙げられる。中でも、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基が好ましく、より好ましくは無水マレイン酸基、エポキシ基である。上記極性基は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記変性ポリスチレン系樹脂は、ポリエステル系樹脂と親和性が高いまたは反応可能な極性基を有し、かつ、ポリスチレン系樹脂と相溶可能であることにより、ポリエステル系樹脂を主成分とする層(例えば、A層等)やポリスチレン系樹脂を主成分とする層(例えば、他のB層等)との常温での接着性が高くなる傾向がある。
上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)の変性体、水添スチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)の変性体が好ましい。即ち、上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、酸無水物変性SEBS、酸無水物変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSが好ましく、より好ましくは、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSである。上記変性ポリスチレン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、軟質ポリスチレン系樹脂であってもよい。上記軟質ポリスチレン系樹脂としては、軟質性によって本発明のシュリンクフィルム中の各層間の接着性を向上させるポリスチレン系樹脂として利用できるものであれば特に限定されない。上記軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系エラストマー、スチレン−ジエン系共重合体、ゴム成分の多いHIPS(ハイインパクトポリスチレン)、ゴム成分の多いグラフトHIPS等が挙げられる。中でも、スチレン系エラストマー、スチレン−ジエン系共重合体が好ましい。上記軟質ポリスチレン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記スチレン系エラストマーは、ジエン成分に由来する構成単位を含むスチレン−ジエン系共重合体エラストマーであってもよい。なお、上記ゴム成分が多いHIPSとは、ゴム成分の含有量が、HIPSの総重量(100重量%)に対して、30重量%を超えるHIPSをいう。また、上記ゴム成分が多いグラフトHIPSとは、ゴム成分の含有量が、グラフトHIPSの総重量(100重量%)に対して、30重量%を超えるグラフトHIPSをいう。
上記軟質ポリスチレン系樹脂には、水素添加された軟質ポリスチレン系樹脂(水添軟質ポリスチレン系樹脂)が含まれる。上記水添軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン系エラストマー、水添スチレン−ジエン系共重合体(特に、水素添加されたジエン成分の多いスチレン−ジエン系共重合体)が好ましい。
上記スチレン−ジエン系共重合体エラストマーは、ジエンに由来する構成単位の含有量が、スチレン−ジエン系共重合体の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上のスチレン−ジエン系共重合体が好ましく、より好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは65〜90重量%である。
上記ポリスチレン系樹脂としては、中でも、収縮特性(特に、高収縮率での熱収縮性)、延伸特性(特に、高倍率で延伸する際の破断のしにくさ)、層間強度の観点から、スチレン−ジエン系共重合体が好ましく、より好ましくはスチレン−ブタジエン共重合体、さらに好ましくはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、特に好ましくはスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、最も好ましくはSBSである。
上記ポリスチレン系樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、電気化学工業(株)製「クリアレン 530L」、「クリアレン 730L」、旭化成(株)製「タフプレン 126S」、「アサプレン T411」、クレイトンポリマージャパン(株)製「クレイトン D1102A」、「クレイトン D1116A」、スタイロルーション社製「スタイロルクス S」、「スタイロルクス T」、旭化成ケミカルズ(株)製、「アサフレックス 840」、「アサフレックス 860」(以上、SBS)、PSジャパン(株)製「679」、「HF77」、「SGP10」、DIC(株)製「ディックスチレン XC−515」、「ディックスチレン XC−535」(以上、GPPS)、PSジャパン(株)製「475D」、「H0103」、「HT478」、DIC(株)製「ディックスチレン GH−8300−5」(以上、HIPS)、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックHシリーズ」、シェルジャパン(株)製「クレイトンGシリーズ」(以上、SEBS)、JSR(株)製「ダイナロン」(水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体)、(株)クラレ製「セプトン」(SEPS)、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックMシリーズ」、(株)ダイセル製「エポフレンド」、JSR(株)製「極性基変性ダイナロン」、東亞合成(株)製「レゼダ」(以上、変性ポリスチレン系樹脂)、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックPシリーズ」(水添スチレン系エラストマー)等が挙げられる。
B層中に含まれる全てのポリスチレン系樹脂中のスチレン系単量体に由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、B層中のポリスチレン系樹脂の総重量(100重量%)に対して、50〜95重量%が好ましく、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは65〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%である。上記含有量が50重量%以上であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となる傾向がある。上記含有量が95重量%以下(特に、85重量%以下)であると、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)がより小さくなり(即ち、低温領域の加熱状態において直交方向に延びやすくなり)、シュリンク加工後にデザインのゆがみや位置ずれがより起こりにくく、収縮仕上がりにより優れる傾向がある。また、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができる傾向がある。
B層中に含まれる全てのポリスチレン系樹脂中のジエンに由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、B層中のポリスチレン系樹脂の総重量(100重量%)に対して、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%、特に好ましくは20〜30重量%である。上記含有量が50重量%以下であると、シュリンクフィルムを適度に硬くし、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となる傾向がある。上記含有量が5重量%以上(特に、15重量%以上)であると、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)がより小さくなり(即ち、低温領域の加熱状態において直交方向に延びやすくなり)、シュリンク加工後にデザインのゆがみや位置ずれがより起こりにくく、収縮仕上がりにより優れる傾向がある。また、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができる傾向がある。
B層中のポリスチレン系樹脂の含有量は、B層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記含有量の上限は、100重量%であってもよい。上記含有量が50重量%以上であることにより、収縮仕上がりに優れ、高収縮率での熱収縮後にもシワが生じにくい。なお、B層中に二種以上のポリスチレン系樹脂が含まれる場合には、上記「B層中のポリスチレン系樹脂の含有量」は、B層中に含まれる全てのポリスチレン系樹脂の含有量の合計量である。なお、B層が後述の基層部中の層である場合、上記含有量は、80重量%以上が好ましく、より好ましくは90重量%以上である。
B層は、特に限定されないが、ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。ポリスチレン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。B層がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含む場合、中でも、ポリエステル系樹脂が好ましい。上記ポリスチレン系樹脂以外の樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。B層がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含有する場合には、当該樹脂の含有量は、B層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0重量%を超えて50重量%以下)であり、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%である。なお、B層が後述の基層部中の層である場合、上記含有量は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。また、B層がポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含有する場合における、上記B層中のポリスチレン系樹脂の含有量の上限は、100重量%未満であってもよく、好ましくは95重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。また、B層が後述の基層部中に含まれる層でありポリスチレン系樹脂以外の樹脂を含む場合の当該樹脂としては、ポリエステル系樹脂が好ましい。
B層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤、相溶化剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、B層は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化された回収原料を含有していてもよい。なお、回収原料とは、製品化の前後やフィルムエッジ等の非製品部分、中間製品から製品フィルムを採取した際の残余部分や規格外品等のフィルム屑、ポリマー屑からなるリサイクル原料である。ただし、回収原料は本発明のシュリンクフィルムの製造より生じたもの(いわゆる自己回収品)が好ましい。
<シュリンクフィルムの構成>
本発明のシュリンクフィルムは、A層及びB層を少なくとも含む。本発明のシュリンクフィルムは、A層及びB層以外の層(「他の層」と称する場合がある)を含んでいてもよい。上記他の層としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
本発明のシュリンクフィルムは、A層及びB層のいずれが表面であってもよいし、他の層が表面であってもよいが、A層が表面であることが好ましい。即ち、本発明のシュリンクフィルムは、表面層としてA層を含むことが好ましい。表面層がA層であると、耐溶剤性、耐摩耗性、耐衝撃性が向上する。このようなシュリンクフィルムとしては、基層部と、上記基層部の両面側に設けられた表面層とを有するシュリンクフィルムが挙げられる。表面層がA層である場合、上記基層部はB層を少なくとも有し、一方、表面層がB層である場合、上記基層部はA層を少なくとも有する。本発明のシュリンクフィルムは、中でも、基層部と、上記基層部の両面側に設けられた表面層とを有し、上記表面層がA層であり、上記基層部がB層を少なくとも有するシュリンクフィルムであることが好ましい。
本発明のシュリンクフィルムが上記基層部の両面側に表面層が設けられた構成を有する場合、具体的には、本発明のシュリンクフィルムは、表面層/基層部/表面層の層構成を有し、好ましくは基層部と表面層とが直接積層されている。なお、本発明のシュリンクフィルム中の、基層部の両面側にある表面層はそれぞれ、同一の層であってもよいし、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。
以下、本発明のシュリンクフィルムが、基層部と、上記基層部の両面側に設けられた表面層とを有し、上記表面層がA層であり、上記基層部がB層を少なくとも有するシュリンクフィルムである場合の好ましい態様について説明する。なお、このような構成の本発明のシュリンクフィルムを、「シュリンクフィルム(I)」と称する場合がある。また、以下にシュリンクフィルム(I)について詳細に説明するが、以下のシュリンクフィルム(I)の構成は、A層とB層の位置関係が逆の構成等、本発明で規定する範囲内で適宜変更した構成にも適用することができる。
[シュリンクフィルム(I)]
(基層部)
シュリンクフィルム(I)において、上記基層部は、シュリンクフィルム中の表面層に挟まれた部分である。基層部は、B層を少なくとも1層有する。基層部は、B層1層のみであってもよいし、B層を含む2層以上の層を含んでいてもよい。例えば、基層部がB層1層のみである場合、シュリンクフィルム(I)は、[A層/B層/A層]の層構成を有する。基層部は、中でも、層を1〜65層含み、基層部中の層としてB層を少なくとも含むことが好ましい。
基層部が層を2層以上含む場合、基層部は、本発明の効果を損なわない範囲内で、B層以外の層(A層等)を含んでいてもよい。基層部は、基層部中の層として、さらに接着樹脂層を少なくとも1層含むことが好ましい。さらに、基層部中の最外層として接着樹脂層を含むことがより好ましい。基層部が上記接着樹脂層を基層部の最外層として含む場合、表面層であるA層と基層部中のB層との接着性を向上させ、層間剥離を起こりにくくすることができる。また、上記接着樹脂層はB層とB層との間等基層部中の各層間に介在させても接着性が損なわれることがない場合には、基層部において上記接着樹脂層をB層間等基層部中の各層間に介在させて使用できる。
基層部が層を3層以上含む場合、基層部は、基層部中の層であって、厚み方向の両端面に位置する2つの最外層と、当該最外層に挟まれた厚み方向内側に位置する1又は複数の中間層とによって構成される。即ち、基層部が層を3層以上含む場合、基層部は、[最外層/中間層(/・・・/中間層)/最外層]の構成を有する。基層部中に複数のB層がある場合、基層部中の複数のB層のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、本発明で規定するB層の範囲内で互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。同様に、基層部中に複数のA層や接着樹脂層がある場合、基層部中の複数のA層や接着樹脂層のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。さらに、上記A層、上記B層、上記接着樹脂層は、それぞれ、基層部の最外層であってもよいし、中間層であってもよく、又はその両方として基層部に含まれていてもよい。
上記基層部がB層を3層以上含む場合、上記基層部は、特に限定されないが、80重量%以上(特に90重量%以上)のポリスチレン系樹脂を含む層を少なくとも1層有していることが特に好ましい。
(接着樹脂層)
上記接着樹脂層は、基層部中の層であり、A層とB層との接着性を付与するための接着樹脂を含有する層である。上記接着樹脂層をA層とB層との間に含むと、A層とB層の接着性を向上させ、層間剥離をより起こりにくくすることができる。例えば、表面層がA層である場合に中間層としてB層を含む基層部の最外層に含むと、表面層と基層部の接着性を向上させ、層間剥離をより起こりにくくすることができる。また、基層部において上記接着樹脂層をA層間やB層間、A層とB層の間に介在させても、接着性が損なわれることがないため、例えば、A層、B層、接着樹脂層等によって基層部を多層化して収縮速度を適正化できる。
上記接着樹脂層はA層とB層との接着性を付与するための接着樹脂を含む層であれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂を必須成分として含有する樹脂層であることが好ましい。
上記接着樹脂層は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層;軟質ポリスチレン系樹脂、上記B層に含まれるポリスチレン系樹脂よりも柔軟なポリスチレン系樹脂(比柔軟ポリスチレン系樹脂)、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた一種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層;軟質ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂層等が挙げられる。上記接着樹脂層としては、中でも、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層であることが好ましい。上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層であると、上記主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、上記直交の熱収縮率(80℃、10秒)、及び上記直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を本発明で規定する範囲内に調整しやすい。また、B層のポリスチレン系樹脂は接着樹脂層のポリスチレン系樹脂と、表面層であるA層のポリエステル系樹脂は接着樹脂層のポリエステル系樹脂とそれぞれ接着することが可能となり、基層部と表面層の接着性がより向上する。
なお、上記接着樹脂層はA層であってもいし、B層であってもよいし、A層及びB層とは異なる層であってもよい。即ち、上記接着樹脂層が接着樹脂層の総重量(100重量%)に対してポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する場合、上記接着樹脂層はA層にも該当する。また、上記接着樹脂層が接着樹脂層の総重量(100重量%)に対してポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する場合、上記接着樹脂層はB層にも該当する。例えば、基層部が基層部中の層としてB層及び接着樹脂層を有し、上記接着樹脂層がB層にも該当する場合、基層部中にはB層が二種類存在することになるが、当該二種類のB層は互いに原料組成が異なるB層(B1層とB2層)である。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)としては、特に限定されないが、上述のB層に含まれるポリスチレン系樹脂として例示及び説明されたポリスチレン系樹脂が挙げられる。当該ポリスチレン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。当該ポリスチレン系樹脂は、B層中に含まれるポリスチレン系樹脂と同一のポリスチレン系樹脂であってもよいし、異なるポリスチレン系樹脂であってもよいが、表面層と基層部、B層同士の接着性の観点から、同一のポリスチレン系樹脂であることが好ましい。当該ポリスチレン系樹脂としては、スチレン−ジエン系共重合体、スチレン系エラストマー(特に、スチレン−ジエン系共重合体エラストマー)が好ましく、より好ましくはスチレン−ブタジエン共重合体、さらに好ましくはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、特に好ましくはスチレンブロックを両末端に有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、最も好ましくはSBSである。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)がスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の場合には、当該スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、収縮特性、剛性の観点から、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量が、接着樹脂層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、20重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。特に、高い熱収縮性を有するシュリンクフィルムを得る場合には、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量が多いことが好ましい。上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量の上限は、特に限定されないが、接着樹脂層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、95重量%が好ましく、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは85重量%、特に好ましくは80重量%である。上記含有量が95重量%以下であると、シュリンクフィルムの層間強度が向上する傾向がある。上記含有量が20重量%以上であると、接着樹脂層が適度な硬さを有し、シュリンク加工時(加温時)に層間剥離がより生じにくくなる傾向がある。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)がスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)である場合には、当該スチレン−ジエン系共重合体は、特に限定されないが、収縮特性、剛性の観点からジエン(若しくはブタジエン)に由来する構成単位の含有量が、接着樹脂層中の全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。上記ジエン(若しくはブタジエン)に由来する構成単位の含有量の上限は、特に限定されないが、接着樹脂層中の全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、80重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%未満、さらに好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。特に、高い熱収縮性を有するシュリンクフィルムを得る場合には、ジエンに由来する構成単位の含有量が少ないことが好ましい。上記含有量が5重量%以上であると、シュリンクフィルムの層間強度が向上する傾向がある。上記含有量が80重量%以下であると、接着樹脂層が適度な硬さを有し、シュリンク加工時(加温時)に層間剥離がより生じにくくなる傾向がある。なお、特に、接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂のジエンに由来する構成単位の含有量は、B層に含まれるポリスチレン系樹脂のジエンに由来する構成単位の含有量と同じかこれよりも多いことが好ましい。
なお、上記スチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS))が二種以上のスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)を含む混合樹脂である場合、上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量、及び上記ジエンに由来する構成単位の含有量は、それぞれ、混合樹脂中の含有量である。
上記スチレン−ジエン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの延伸特性の観点から、50℃以上(例えば、50〜80℃)が好ましく、より好ましくは60℃以上(例えば、60〜80℃)である。
上記ポリエステル系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリエステル系樹脂)としては、特に限定されないが、上述のA層に含まれるポリエステル系樹脂として例示及び説明されたポリエステル系樹脂が挙げられる。当該ポリエステル系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。当該ポリエステル系樹脂は、A層中に含まれるポリエステル系樹脂と同一のポリエステル系樹脂であってもよいし、異なるポリエステル系樹脂であってもよいが、表面層であるA層と基層部中のB層との層間剥離を低減させる観点からは、同一のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
上記ポリエステル系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリエステル系樹脂)としては、中でも、芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。上記芳香族ポリエステル系樹脂は、実質的に非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくは、非晶性の飽和ポリエステル系樹脂である芳香族ポリエステル系樹脂である。
上記芳香族ポリエステル系樹脂としては、中でも、変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくはCHDM共重合PET、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール共重合PET(特に、NPG共重合PET)、さらに好ましくはCHDM共重合PETである。
上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、70℃以下が好ましく、より好ましくは70℃未満、さらに好ましくは69℃以下である。上記Tgが70℃以下であると、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)及び直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を本発明で規定する範囲内によりいっそう調整しやすく、デザインの位置ずれやゆがみがより起こりにくく、収縮仕上がり(特に、高い収縮率で熱収縮した後の収縮仕上がり)により優れる。上記Tgの下限は、特に限定されないが、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を調整しやすい観点、並びに主配向方向の熱収縮率(100℃、10秒)をより高くしやすい観点で、40℃が好ましく、より好ましくは50℃である。上記Tgは、ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸やジオール等の種類や変性に用いる共重合成分(変性成分)の共重合比率により制御できる。
上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層である場合、上記混合樹脂の含有量(即ち、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の合計の含有量)は、特に限定されないが、表面層であるA層と基層部中のB層との接着性を向上させ、層間剥離をより起こりにくくする観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上が好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%であってよい。
上記ポリスチレン系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリスチレン系樹脂)の含有量は、特に限定されないが、表面層であるA層と基層部中のB層との接着性を向上させ、層間剥離をより起こりにくくする観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは25〜70重量%、特に好ましくは30〜60重量%である。
上記ポリエステル系樹脂(混合樹脂として接着樹脂層中に含まれるポリエステル系樹脂)の含有量は、特に限定されないが、表面層であるA層と基層部中のB層との層間強度を向上させ、層間剥離をより起こりにくくする観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%である。
上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を主成分とする樹脂層である場合、上記接着樹脂層中のポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の重量比は、特に限定されないが、[前者/後者]=30/70〜75/25であることが好ましく、より好ましくは40/60〜70/30である。
上記接着樹脂層が、軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた一種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層である場合の軟質ポリスチレン系樹脂、変性ポリスチレン系樹脂としては、例えば、上述のB層に含まれるポリスチレン系樹脂として例示及び説明された軟質ポリスチレン系樹脂、変性ポリスチレン系樹脂が挙げられる。上記軟質ポリスチレン系樹脂に含まれる水添軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン系エラストマー、水添スチレン−ジエン系共重合体(特に、水素添加されたジエン成分の多いスチレン−ジエン系共重合体)が好ましい。
上記軟質ポリスチレン系樹脂であるスチレン−ジエン系共重合体エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、表面層と基層部、又は、B層同士の接着性の観点から、20℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下ある。
上記変性ポリスチレン系樹脂における極性基としては、特に限定されないが、中でも、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基が好ましく、より好ましくは無水マレイン酸基、エポキシ基である。上記変性ポリスチレン系樹脂は、表面層に含まれるポリエステル系樹脂と親和性が高いまたは反応可能な極性基を有し、かつ、B層に含まれるポリスチレン系樹脂と相溶可能であることにより、接着樹脂層はB層との接着性が良好で、表面層であるA層との常温での接着性が向上する傾向がある。
上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、SEBSの変性体、SEPSの変性体が好ましい。即ち、上記変性ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、酸無水物変性SEBS、酸無水物変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSが好ましく、より好ましくは、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSである。
上記比柔軟ポリスチレン系樹脂は、例えば、スチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)であって、B層に使用されているポリスチレン系樹脂(スチレン−ジエン系共重合体)よりもジエンの含有量が多いことが好ましい。例えば、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有量は、接着樹脂層中に含まれる全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、20〜95重量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは55〜90重量%、特に好ましくは60〜80重量%である。他方、ジエン(若しくはブタジエン)に由来する構成単位の含有量は、接着樹脂層中の全てのスチレン−ジエン系共重合体(若しくはSBS)の総重量(100重量%)に対して、5〜80重量%が好ましく、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
上記接着樹脂層が軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた一種以上のポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂層である場合、上記軟質ポリスチレン系樹脂、上記比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び上記変性ポリスチレン系樹脂の合計の含有量は、特に限定されないが、表面層と基層部の接着性を向上させ、層間剥離をより起こりにくくする観点から、接着樹脂層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは60〜90重量%である。
上記接着樹脂層は、表面層であるA層と基層部中のB層との接着性を向上させる目的で、必要に応じて、さらに、例えば、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、水添テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、水添クマロン系樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂;ポリオレフィン系樹脂;芳香族系炭化水素樹脂;フェノール系樹脂;脂環族系炭化水素樹脂;天然ゴムや合成ゴムのエラストマー等を含んでいてもよい。また、上記接着樹脂層は、必要に応じて、他の成分(添加成分)、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤、相溶化剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、接着樹脂層は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化された回収原料を含有していてもよい。
基層部は、特に限定されないが、基層部中の層として、A層、B層、及び上記接着樹脂層以外の層(「E層」と称する場合がある)を有していてもよい。なお、基層部中に複数のE層がある場合、複数のE層のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。また、E層は、基層部の最外層であってもよいし中間層であってもよい。
上記E層は、表面層や基層部中の各層と積層可能な層であれば特に限定されない。上記E層としては、例えば、シュリンクフィルム(I)やシュリンクラベルに各種機能を付与する層が挙げられる。上記E層としては、上述の他の層が挙げられる。
基層部中に含まれる層の層数は、1層以上であり、好ましくは3〜65層、より好ましくは5〜33層、さらに好ましくは9〜33層である。上記層数が5層以上であると、熱収縮時の収縮挙動が緩やかであるため収縮仕上がりにより優れ、特に高収縮率での熱収縮後にシワがより生じにくい。また、上記層数が5層以上であると、シュリンクフィルムの剛性が向上する。また、基層部を構成する各層の層厚みが薄くなり、光散乱しにくくなることで、シュリンクフィルムのヘイズが低くなり、基層部が単層である同じ厚みのシュリンクフィルムと比較して透明性に優れる。一方、上記層数が65層以下であると、シュリンクフィルムの厚み(総厚み)をシュリンクラベルに適した範囲にする場合に、B層等の基層部中の各層の厚み(1層あたりの厚み)が薄くなりすぎることを防止し、B層を用いることの効果を維持しやすく、収縮仕上がりの向上効果がより得られる傾向がある。また、シュリンクフィルム及びシュリンクラベルの剛性が向上し、腰が強くなる傾向がある。
シュリンクフィルム(I)中のA層の層数は、1層以上であり、好ましくは2層以上、より好ましくは基層部の両面側に設けられた表面層を含む2層以上、さらに好ましくは表面層を含む4層以上、特に好ましくは表面層を含む5層以上である。なお、シュリンクフィルム(I)が、接着樹脂層を含む基層部を有し、該接着樹脂層がポリエステル系樹脂を50重量%以上含む層(即ち、A層)にも該当する場合、シュリンクフィルム(I)は、表面層以外にA層を1層以上含んでいてもよい。この場合のA層の層数の上限は、特に限定されないが、66層以下が好ましく、好ましくは35層以下、より好ましくは19層以下である。
基層部は、基層部中の層として、B層を1層以上含み、好ましくは2層以上、より好ましくは3層以上、さらに好ましくは4層以上含む。上記B層の層数の上限は、特に限定されないが、65層以下であればよく、好ましくは33層以下、より好ましくは17層以下である。
基層部が上記接着樹脂層を含む場合、基層部中の接着樹脂層の層数は、1層以上であり、好ましくは2層以上、より好ましくは3層以上、さらに好ましくは5層以上である。接着樹脂層の層数の上限は、特に限定されないが、64層以下であればよく、好ましくは33層以下、より好ましくは17層以下である。なお、接着樹脂層がB層でもある場合、接着樹脂層の層数の上限は65層であってもよい。
基層部が上記接着樹脂層を有する場合、B層と接着樹脂層の合計の層数は、特に限定されないが、3〜65層が好ましく、より好ましくは5〜33層、さらに好ましくは9〜33層である。
基層部が上記接着樹脂層を有する場合、B層と接着樹脂層の合計の層数は、特に限定されないが、基層部中の層数に対して、50%以上となる層数であることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。なお、B層と接着樹脂層の合計の層数の上限は、100%であってもよく、この場合、基層部はB層と接着樹脂層のみから形成される。
基層部が上記接着樹脂層を有する場合、基層部は、B層と接着樹脂層とが隣接する積層構成を有することが好ましい。基層部が上記積層構成を有すると、B層は接着樹脂層との接着性に問題がなく、B層と接着樹脂層の界面によって収縮速度を適正化したり、シュリンクラベルの圧縮強度や剛性を高くしたりすることにも使用できるため、好ましい。
基層部が、基層部中の層として接着樹脂層を有する場合、基層部において、接着樹脂層は、特に限定されないが、表面層以外に隣接する層がB層であることが好ましく、表面層以外に隣接する全ての層がB層であることがより好ましい。特に、基層部において、B層及び接着樹脂層は、特に限定されないが、交互に積層されていることが好ましく、他の層を介さずに、交互に直接積層されていることがより好ましい。即ち、基層部が、基層部中の層として接着樹脂層を有する場合、基層部は、層として、B層及び接着樹脂層を、交互に含むことが最も好ましい。
基層部が1層で構成される場合、基層部はB層1層のみで構成される。基層部が2層で構成される場合、基層部の積層構成は、(B層/接着樹脂層)、(B1層/B2層)、(B層/E層)、(A層/B層)が挙げられる。基層部が3層で構成される場合、基層部の積層構成は、(B層/接着樹脂層/B層)、(接着樹脂層/B層/接着樹脂層)、(B1層/B2層/B1層)、(B2層/B1層/B2層)、(E層/B層/E層)、(B層/E層/B層)、(B1層/B2層/B3層)、(A層/B層/A層)、(B層/A層/B層)(A層/B1層/B2層)、(A1層/A2層/B層)等が挙げられる。中でも、(接着樹脂層/B層/接着樹脂層)が特に好ましい。なお、上記B1層、上記B2層、及び上記B3層は、それぞれ、原料組成が異なるB層である。また、上記A1層及び上記A2層は、原料組成が異なるA層である。
基層部が層を3層以上(好ましくは5層以上、より好ましくは9層以上)含む場合、基層部は、「B層/接着樹脂層」の積層構成を少なくとも含むことが好ましい。
基層部が、層を3層以上(好ましくは5層以上、より好ましくは9層以上)含み、B層と接着樹脂層のみから形成されている場合、基層部の積層構成は、中でも、他の層を介さずに、「B層/接着樹脂層」を繰り返し単位として繰り返す積層構成となっていることが好ましい。このような積層構成としては、例えば、(B層/接着樹脂層/B層)、(接着樹脂層/B層/接着樹脂層)、(B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層)、(B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/B層/接着樹脂層/B層)、(接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/接着樹脂層/B層/接着樹脂層)、(B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/B層/接着樹脂層)等が挙げられる。また、基層部が層を3層以上有する場合、基層部の両面の最外層は、B層でもよいし、接着樹脂層でもよいが、両面とも接着樹脂層が好ましい。基層部の最外層に接着樹脂層を用いると、表面層と基層部の間でシュリンク加工時(熱収縮時)に生じやすい層間剥離を抑制することができ、好ましい。
特に限定されないが、基層部がB層又は接着樹脂層を2層以上有する場合、上記積層構成においては、全てのB層が同じ原料から形成されていることが好ましく、全ての接着樹脂層が同じ原料から形成されていることが好ましい。即ち、B層同士、接着樹脂層同士は、それぞれ、同じ原料から形成されていることが好ましい。特に、全てのB層は同じ組成の層であることが好ましく、全ての接着樹脂層は同じ組成の層であることが好ましい。
[本発明のシュリンクフィルムの構成、物性等]
本発明のシュリンクフィルムは、主収縮方向の、100℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率が、70%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは78%以上である。本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルは収縮仕上がりに優れるため、上記収縮率が70%以上であっても、シュリンクラベルを被装着物に熱で密着させるシュリンク加工工程において、被装着物の形に追従しやすく、特に複雑な形状の被装着物に対しても収縮仕上がりが良好となる。なお、本明細書において、上記「主収縮方向の、100℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率」を、「主収縮方向の熱収縮率(100℃、10秒)」と称する場合がある。本発明のシュリンクフィルムの、上記主収縮方向の熱収縮率(100℃、10秒)の上限は、特に限定されないが、90%が好ましい。
本発明のシュリンクフィルムの、主収縮方向の、70℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率は、特に限定されないが、40〜60%が好ましく、より好ましくは41〜55%である。
本発明のシュリンクフィルムの、上記直交方向の、70℃の水に10秒間浸漬したときの収縮率は、特に限定されないが、−10%以上0%未満が好ましく、より好ましくは−8〜−0.1%、さらに好ましくは−7〜−0.5%である。
本発明のシュリンクフィルム中のポリエステル系樹脂の含有量は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの総重量(100重量%)に対して、40重量%以上が好ましく、より好ましくは45重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。上記含有量が40重量%以上であると、熱収縮性がより向上する。上記含有量の上限は、特に限定されないが、80重量%が好ましく、より好ましくは75重量%、さらに好ましくは70重量%である。
本発明のシュリンクフィルム中のポリスチレン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの総重量(100重量%)に対して、20重量%以上が好ましく、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。上記含有量が20重量%以上であると、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルの収縮仕上がりがより優れる。上記含有量の上限は、特に限定されないが、60重量%が好ましく、より好ましくは55重量%、さらに好ましくは50重量%である。
本発明のシュリンクフィルムの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは15〜50μm、さらに好ましくは20〜45μmである。上記厚みが10μm以上であると、適度に剛性を有し好ましい。
本発明のシュリンクフィルムにおいて、A層の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、例えば0.1〜15μmであり、A層が表面層である場合には、1〜15μmが好ましく、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは2.5〜8μm、特に好ましくは5〜8μmである。なお、本発明のシュリンクフィルムがA層を複数有する場合、複数のA層の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、本発明のシュリンクフィルムが上記シュリンクフィルム(I)である場合、表面層であるA層の厚みが1μm以上であると、耐溶剤性が向上する。
本発明のシュリンクフィルムにおいて、B層の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、0.1μm以上(例えば、0.1〜15μm)が好ましく、より好ましくは0.2μm以上(例えば、0.2〜10μm)である。なお、本発明のシュリンクフィルムがB層を複数有する場合、複数のB層の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
シュリンクフィルムの厚み(総厚み)に対するA層の厚みの割合は、特に限定されないが、20〜95%が好ましく、より好ましくは30〜90%、さらに好ましくは40〜85%、特に好ましくは55〜80%である。なお、本発明のシュリンクフィルム中に2以上のA層が存在する場合、上記A層の厚みの割合は、2以上のA層の合計の厚みの割合である。
シュリンクフィルムの厚み(総厚み)に対するB層の厚みの割合は、特に限定されないが、5〜80%が好ましく、より好ましくは10〜70%、さらに好ましくは15〜60%、特に好ましくは20〜45%である。なお、本発明のシュリンクフィルム中に2以上のB層が存在する場合、上記B層の厚みの割合は、2以上のB層の合計の厚みの割合である。
シュリンクフィルムの厚み(総厚み)に対するA層の厚みとB層の厚みの合計の割合は、特に限定されないが、50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。上記割合の上限は、100%であってもよい。
上記A層の厚み(全てのA層の厚みの合計)と上記B層の厚み(全てのB層の厚みの合計)の比[(A層の厚み):(B層の厚み)]は、特に限定されないが、5:95〜95:5が好ましく、より好ましくは10:90〜90:10である。上記の比が5:95よりもA層が厚いと、シュリンクフィルムの熱収縮性が向上する。また、剛性が向上する。上記の比が5:95よりもB層が厚いと、収縮仕上がりがより向上する。
本発明のシュリンクフィルムが上記基層部の両面側に表面層が設けられた構成を有する場合、上記基層部の厚みは、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、より好ましくは8〜90μm、さらに好ましくは10〜45μm、特に好ましくは11〜40μmである。
本発明のシュリンクフィルムが上記基層部の両面側に表面層が設けられた構成を有する場合、上記基層部中の層の厚み(1層あたりの厚み)は、特に限定されないが、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。上記厚みの上限は、特に限定されないが、15μmが好ましく、より好ましくは10μm、さらに好ましくは8μmである。なお、上記基層部が層を複数含む場合、上記基層部中の複数の層の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、基層部の最外層は、基層部の中間層よりも薄くなっていてもよい。
本発明のシュリンクフィルムが上記基層部の両面側に表面層が設けられた構成を有する場合、シュリンクフィルムの厚み(総厚み)に対する表面層の厚み(2つの表面層の合計の厚み)の割合は、特に限定されないが、3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%以上である。上記割合の上限は、80%であってもよいが、75%が好ましく、70%がより好ましい。また、本発明のシュリンクフィルムがシュリンクフィルム(I)である場合、上記割合は、20〜60%が好ましく、より好ましくは30〜50%である。
本発明のシュリンクフィルムがシュリンクフィルム(I)であり、基層部が接着樹脂層を有する場合、シュリンクフィルムの厚み(総厚み)に対するB層の厚みの割合は、特に限定されないが、5%以上が好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。上記割合の上限は、75%が好ましく、より好ましくは65%、さらに好ましくは60%、特に好ましくは55%である。なお、基層部中に2以上のB層が存在する場合、上記B層の厚みの割合は、2以上のB層の合計の厚みの割合である。
本発明のシュリンクフィルムがシュリンクフィルム(I)であり、基層部が接着樹脂層を有する場合、シュリンクフィルムの厚み(総厚み)に対する接着樹脂層の厚みの割合は、特に限定されないが、2〜75%が好ましく、より好ましくは5〜60%、さらに好ましくは10〜55%である。なお、基層部中に2以上の接着樹脂層が存在する場合、上記接着樹脂層の厚みの割合は、2以上の接着樹脂層の合計の厚みの割合である。また、接着樹脂層がB層でもある場合は、接着樹脂層の厚みの割合は上記範囲に限定されない。
本発明のシュリンクフィルムがシュリンクフィルム(I)であり、基層部が接着樹脂層を有する場合、上記B層の厚み(全てのB層の厚みの合計)と上記接着樹脂層の厚み(全ての接着樹脂の厚みの合計)の比[(B層の厚み):(接着樹脂層の厚み)]は、特に限定されないが、5:95〜95:5が好ましく、より好ましくは10:90〜90:10である。上記の比が5:95よりもB層が厚いと、収縮仕上がりがより向上する。
本発明のシュリンクフィルムは、熱収縮性を発揮する観点から、少なくとも一方向に配向したフィルム(例えば、一方向に配向したフィルムや、一方向及び一方向と異なる方向に配向したフィルム)であることが好ましい。さらに、全てのフィルム層(A層及びB層等)が少なくとも一方向に配向したフィルムであることが好ましい。シュリンクフィルムとしては、特に一方向に配向したフィルム(1軸配向フィルム)又は一方向及び一方向と直交する方向に配向したフィルム(2軸配向フィルム)が用いられることが多く、中でも、1軸配向フィルム(一方向に主に延伸され、当該一方向と直交する方向にわずかに延伸された、実質的に一方向に延伸されたフィルムを含む)が一般的に用いられる。
上記少なくとも一方向に配向したフィルムは、未延伸フィルムを、少なくとも一方向に延伸することで得られる。例えば、上記少なくとも一方向に配向したフィルムが1軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを一方向に延伸することで得られ、2軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを一方向及び当該一方向と直交する方向に延伸することで得られる。なお、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムの配向方向に主に熱収縮できる。
本発明のシュリンクフィルムが透明である場合には、当該シュリンクフィルムのヘイズ(ヘーズ)値[JIS K 7136準拠、厚み40μm換算、単位:%]は、特に限定されないが、15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。ヘイズ値が15%を超えると、シュリンクフィルムの内側(シュリンクラベルを容器に装着した時に容器側になる面側)に印刷を施し、シュリンクフィルムを通して印刷を見せるシュリンクラベル(裏印刷シュリンクラベル)の場合、製品とした際に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。但し、ヘイズ値が15%を超える場合であっても、シュリンクフィルムを通して印刷を見せる上記用途以外の用途(表印刷シュリンクラベル)においては不透明であってもよく、十分に使用可能である。
図1及び図2は、それぞれ、本発明のシュリンクフィルムの好ましい一例(特に、シュリンクフィルム(I)の一例)を示す概略図(部分断面図)である。図1に記載の本発明のシュリンクフィルム1は、基層部12と、基層部12の両面側にそれぞれ1層ずつ設けられた表面層11とを含む。表面層11はA層である。基層部12は、層を3層有し、その最外層(表面層11と接する層)を接着樹脂層12aとし、接着樹脂層12aとB層12bとが、交互に、合計3層積層されて形成されている。表面層11と基層部12とは他の層を介することなく直接積層されている。具体的には、表面層11と基層部12の最外層となる接着樹脂層12aとが他の層を介することなく直接積層されている。また、接着樹脂層12a間にB層12bが介在している。
図2に記載の本発明のシュリンクフィルム1は表面層11と基層部12とを有し、表面層11はA層であり、基層部12は、層を9層有し、その最外層(表面層11と接する層)を接着樹脂層12aとし、接着樹脂層12aとB層12bとが、交互に、合計9層積層されて形成されている。図2においても、表面層11と基層部12とは他の層を介することなく直接積層されており、表面層11と基層部12の最外層となる接着樹脂層12aとが他の層を介することなく直接積層されている。また、全ての接着樹脂層12a間にB層12bが介在している。なお、図1及び図2に記載の本発明のシュリンクフィルム1において、接着樹脂層12aとB層12bは、逆の位置関係であってもよい。
[シュリンクフィルムの製造方法]
本発明のシュリンクフィルムは、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層と、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層とを少なくとも含む未延伸フィルムを、延伸する段階(延伸段階)を経て製造することができる。上記未延伸フィルムは、公知乃至慣用の方法で製造してもよいし、市販品を用いてもよい。
(未延伸フィルム作製段階)
本発明のシュリンクフィルムの未延伸フィルムは、溶融製膜等の慣用の方法によって作製することができる。中でも、溶融製膜法(特に、Tダイ法)が好ましい。また、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法(フィードブロック法、マルチマニホールド法等)、ドライラミネート法等を用いることができる。中でも、共押出法が好ましく、フィードブロック法が好ましい。また、本発明のシュリンクフィルムが基層部及び表面層を有し、該基層部が層を4層以上有する場合は、さらに、レイヤー・マルチプライヤー(layer multiplier)を用いて、特にフィードブロックとレイヤー・マルチプライヤーを組み合わせて用いて、基層部の多層化を行うことが好ましい。上記レイヤー・マルチプライヤーは、フィルム層を多層化する装置である。上記レイヤー・マルチプライヤーでフィルム層を多層化する方法としては、特に限定されないが、フィルム層を幅方向に分割した後、分割したフィルム層を厚み方向に積層する方法が挙げられる。本明細書では、上記「レイヤー・マルチプライヤー」を、単に「マルチプライヤー」と称する場合がある。上記マルチプライヤーは、例えば、EDI社、クローレン社より入手できる。
上記基層部の両面側に表面層が設けられた構成を有する本発明のシュリンクフィルム(例えば、シュリンクフィルム(I))について、上記共押出法(フィードブロック法)の具体的な一例を下記に説明する。例えば、それぞれ所定の温度に設定した複数の押出機に、基層部を形成する原料、表面層を形成する原料をそれぞれ投入し、Tダイ、サーキュラーダイ等から共押出する。この際、マニホールドやフィードブロックを用いて、所定の積層構成とすることが好ましい。なお、基層部が層を4層以上有する場合は、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いて、基層部を多層化し、所定の積層構成とすることが好ましい。また必要に応じて、ギアポンプを用いて供給量を調節してもよい。さらにフィルターを用いて、異物を除去するとフィルム破れが低減できるため好ましい。なお、押出温度は、用いる原料の種類によっても異なり、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。また、合流部やダイの温度は200〜250℃とすることが好ましい。上記共押出したポリマーを、冷却ドラム等を用いて急冷することにより、積層未延伸フィルム(シート)を得ることができる。
上記未延伸フィルムを作製する段階(未延伸フィルム作製段階)は、特に限定されないが、基層部が、層を4層以上有し、B層と接着樹脂層から形成される場合、B層を構成する原料(「原料(a)」と称する場合がある)と、接着樹脂層を構成する原料(「原料(b)」と称する場合がある)と、上記表面層を構成する原料(「原料(c)」と称する場合がある)とをそれぞれ溶融(又は溶融混練)する第1の段階;上記第1の段階で溶融(又は溶融混練)された、原料(a)と、原料(b)とを積層し、さらに多層化して積層体を形成する第2の段階;及び、上記第2の段階で形成された積層体の両面側に、上記第1の段階で溶融された、原料(c)を積層する第3の段階を少なくとも含む工程により作製されることが好ましい。
上記第1の段階においては、公知乃至慣用の押出機を用いて、原料(a)、原料(b)、原料(c)をそれぞれ、溶融(又は溶融混練)することが好ましい。例えば、それぞれ所定の温度に設定した3台の押出機に、原料(a)、原料(b)、原料(c)をそれぞれ投入して、溶融(又は溶融混練)を行うことができる。押出温度は、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。
上記第2の段階において、上記第1の段階において溶融された、原料(a)と、原料(b)とを積層し、さらに多層化された積層体は、特に限定されないが、例えば、上記溶融された原料(a)と原料(b)とを順次積層して、あるいはフィードブロックを用いて同時に積層(共押出)して形成された積層体を、マルチプライヤーを用いてさらに多層化して形成された積層体であってもよい。上記積層には、特に限定されないが、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いることが好ましい。上記フィードブロックやマルチプライヤーは、それぞれ、1のみを用いてもよいし、2以上を用いてもよい。上記積層体において、原料(a)から形成された層の層数と原料(b)から形成された層の層数の合計は4〜65層が好ましく、より好ましくは5〜33層、さらに好ましくは9〜33層である。上記第2の段階において得られた積層体は、本発明のシュリンクフィルムの基層部を形成する。
上記第2の段階において、原料(a)と、原料(b)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(a)及び原料(b)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(a)/原料(b)/原料(a)]の構成を有する積層体(「積層体1」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体1を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(a)/原料(b)/原料(a)/原料(a)/原料(b)/原料(a)/・・・・/原料(a)/原料(b)/原料(a)]の構造を有する積層体(「積層体2」と称する場合がある)を得ることができる。
他に、上記第2の段階において、原料(a)と、原料(b)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(a)及び原料(b)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(b)/原料(a)/原料(b)]の構成を有する積層体(「積層体3」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体3を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(b)/原料(a)/原料(b)/原料(b)/原料(a)/原料(b)/・・・・/原料(b)/原料(a)/原料(b)]の構造を有する積層体(「積層体4」と称する場合がある)を得ることもできる。
他に、上記第2の段階において、原料(a)と、原料(b)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(a)及び原料(b)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(a)/原料(b)]の構成を有する積層体(「積層体5」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体5を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(a)/原料(b)/原料(a)/原料(b)/・・・・/原料(a)/原料(b)]の構造を有する積層体(「積層体6」と称する場合がある)を得ることができる。なお、上記積層体6は、逆から追えば、[原料(b)/原料(a)/原料(b)/原料(a)/・・・・/原料(b)/原料(a)]の構造を有する積層体でもある。
上記第3の段階において、上記第2の段階で形成された積層体(例えば、積層体2、4、又は6)の両面側に、上記第1の段階で溶融された、原料(c)を積層する際には、フィードブロックを用いることが好ましい。積層された原料(c)は、シュリンクフィルム(I)の表面層を形成する。上記第3の段階により、上記第2の段階において形成された積層体の両面側に、上記第1の段階において溶融された、原料(c)が積層された、多層構造体が得られる。
特に限定されないが、上記第1の段階、第2の段階、及び第3の段階を経て形成された積層体をTダイから共押出し、冷却ドラム等を用いて急冷することにより、積層未延伸フィルム(シート)を得ることができる。
なお、[原料(a)/原料(b)/原料(a)/原料(a)/原料(b)/原料(a)/・・・・/原料(a)/原料(b)/原料(a)]の構造を有する上記積層体2は、[B層/接着樹脂層/B層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/B層/接着樹脂層/B層]の構造を有する基層部となるはずであるが、実際は、積層体2の同一素材を積層した[原料(a)/原料(a)]から形成される[B層/B層]の部分は界面が見えなくなり1つのB層となるため、[B層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/B層/接着樹脂層/B層]の構造を有する基層部となる。同様に、上記積層体4の同一素材を積層した[原料(b)/原料(b)]から形成される[接着樹脂層/接着樹脂層]の部分は界面が見えなくなり1つの接着樹脂層となるため、上記積層体4に由来する基層部は、[接着樹脂層/B層/接着樹脂層/接着樹脂層/B層/接着樹脂層/・・・・/接着樹脂層/B層/接着樹脂層]の構造を有する基層部となるはずであるが、実際は、[接着樹脂層/B層/接着樹脂層/B層/・・・・/接着樹脂層/B層/接着樹脂層]の構造を有する基層部となる。なお、上記基層部において接着樹脂層がB層でもある場合、即ち、上記基層部において、異なる2のB層(B1層及びB2層)を形成する原料を積層して形成される積層体[B1層/B2層]が存在する場合、[B1層/B2層]の部分は界面が見えるため、1つのB層とはならない。なお、表面層と基層部の最外層の層(樹脂層)とが同一の樹脂組成物を原料とする層である場合はその界面が見えなくなり、表面層と基層部の最外層の層とが1つの層(表面層)となる。
上記未延伸フィルム作製段階では、基層部がB層と接着樹脂層のみから形成されるシュリンクフィルム(I)の場合の例を説明したが、上記以外の構成や、B層及び接着樹脂層以外の層を含む場合も、同様の工程により積層未延伸フィルムを作製することができる。
(延伸段階)
本発明のシュリンクフィルムは、未延伸フィルムを延伸する段階(延伸段階)を経て製造される。さらに、未延伸フィルム作製段階、延伸段階以外の他の段階を含んでいてもよい。シュリンクフィルム(I)の場合、上記他の段階は、例えば、第1の段階の前、第3の段階の後、第1の段階と第2の段階との間、第2の段階と第3の段階との間等のいずれの位置に設けられてもよい。上記他の段階としては、特に限定されないが、表面処理を行う段階等が挙げられる。
特に、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)が60〜75%であり、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)が−10%以上0%未満であり、且つ直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)が上記直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)よりも大きく20%以下であるシュリンクフィルムを得るために、未延伸フィルム(特に、上記積層未延伸フィルム)を、予熱段階、延伸段階、及び熱固定段階に付すことにより本発明のシュリンクフィルムを製造することが好ましい。即ち、本発明のシュリンクフィルムの製造方法は、予熱段階、延伸段階、熱固定段階をこの順に含むことが好ましい。上記予熱段階、延伸段階、及び熱固定段階は、通常連続して設けられる。
また、二方向以上に逐次に延伸を行う場合、上記予熱段階及び上記熱固定段階は、延伸方向ごとに設けることが好ましい。例えば、幅方向が主延伸方向(最も延伸倍率を大きくする方向)、長手方向が該主延伸方向と直交する方向となるように逐次延伸を行う場合、予熱段階、長手方向への延伸段階、長手方向への熱固定段階、予熱段階、幅方向への延伸段階、幅方向への熱固定段階をこの順に含むことが好ましい。但し、1つ目の延伸段階前にフィルムがある程度の温度を有している場合には、1つ目の延伸段階前の予熱段階を省略してもよい。また、1つ目の延伸段階後の熱固定段階及び2つ目の延伸段階前の予熱段階については、いずれが一方を省略してもよいし、一度の加熱により両方を兼ね備える段階としてもよい。幅方向が主延伸方向、長手方向が上記直交方向となるように逐次延伸を行う場合、中でも、長手方向への延伸段階、長手方向への熱固定段階又は予熱段階、幅方向への延伸段階、幅方向への熱固定段階をこの順に含むことがより好ましく、長手方向への延伸段階、予熱段階、幅方向への延伸段階、幅方向への熱固定段階をこの順に含むことがより好ましい。
上記予熱段階は、延伸段階の前に設けられ、延伸をかけるフィルムを加熱して予め所定の温度状態にする段階である。当該段階を設けることにより、延伸段階において高倍率で延伸しても破断しにくくなる。上記予熱段階におけるフィルムへの加熱温度は、特に限定されないが、65℃以上115℃未満が好ましい。長手方向に延伸した後、幅方向に主延伸を行う逐次延伸の場合(幅方向が主延伸方向、長手方向が上記直交方向となる)の、長手方向への延伸段階前の予熱段階における加熱温度は、中でも、65〜90℃が好ましく、より好ましくは67〜85℃である。また、この場合の、幅方向への延伸段階前の予熱段階における加熱温度は、中でも、80〜110℃が好ましく、より好ましくは85〜110℃である。
上記延伸段階は、長手方向(フィルムの製造ライン方向。MD方向とも称する)及び幅方向(長手方向と直交する方向。TD方向とも称する)の2軸延伸、長手方向又は幅方向の1軸延伸等を用いることができる。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式の何れの方式を用いてもよい。2軸延伸する場合には、同時に2軸に延伸してもよく、逐次に2軸に延伸してもよい。中でも、シュリンクフィルムの主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)、及び直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)を本発明で規定する範囲内に調整しやすくする観点から、逐次延伸が好ましい。例えば、長手方向に延伸する場合はロール方式、幅方向に延伸する場合はテンター方式が好ましい。
具体的には、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)が60〜75%であり、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)が−10%以上0%未満であり、且つ直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)が上記直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)よりも大きく20%以下であるシュリンクフィルムをより得やすくする観点から、特に、高い熱収縮性を有するシュリンクフィルムを得る場合、比較的低温で、長手方向にわずかに延伸しながら幅方向に高倍率に延伸することが好ましい。より具体的には、長手方向に延伸温度65〜80℃(好ましくは67〜75℃)、延伸倍率1.03〜1.10倍(好ましくは1.05〜1.09倍)で延伸した後、幅方向に延伸温度70℃以上85℃未満(好ましくは72℃以上85℃未満、より好ましくは75℃以上82℃未満)、延伸倍率5.5倍以上(好ましくは5.5〜7倍)で延伸する。このような延伸条件で延伸することにより、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルは熱収縮後のデザインのゆがみや位置ずれが起こりにくく、またシワが発生しにくく、さらに、高い熱収縮性を有するシュリンクフィルムをより得やすくなる。
上記熱固定段階は、延伸段階の後に設けられ、延伸したフィルムを、長手方向及び/又は幅方向を固定しながら加熱する段階である。当該段階を設けることにより、収縮仕上がりを向上させ、冷却後のシュリンクフィルムの熱収縮率や保存安定性を維持しやすくなる。長手方向に延伸した後、幅方向に主延伸を行う逐次延伸の場合(幅方向が主延伸方向、長手方向が上記直交方向となる)の、長手方向への延伸段階後の熱固定段階における加熱温度は、80〜110℃が好ましく、より好ましくは85〜110℃である。幅方向への延伸段階後の熱固定段階における加熱温度は、延伸温度と同程度の温度が好ましい。幅方向への延伸段階後の熱固定段階における加熱温度は、特に限定されないが、70〜85℃が好ましく、より好ましくは72℃以上80℃未満である。また、上記熱固定段階において上記加熱温度でフィルムを加熱する時間は、特に限定されないが、2〜30秒間が好ましい。また、上記熱固定段階では、延伸段階における延伸後のフィルムに対して幅方向に0.90〜1.00倍(好ましくは0.95〜1.00倍)にリラックスさせて固定した状態で加熱することが好ましい。上記延伸段階の後に、このような固定条件及び加熱時間で熱固定段階を実施することにより、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベルは熱収縮後のデザインのゆがみや位置ずれが起こりにくく、また収縮ムラやシワが発生しにくく、さらに、高い熱収縮性を有するシュリンクフィルムをより得やすくなる。また、延伸後も白化せず透明性に優れる傾向がある。さらに、得られたシュリンクフィルムは自然収縮しにくい。
未延伸フィルムを逐次延伸する場合、本発明のシュリンクフィルムの製造方法は、特に、直交方向への延伸段階と、直交方向への熱固定段階及び主延伸方向への延伸段階前の予熱段階のうちの少なくとも一方の段階と、主延伸方向への延伸段階をこの順に少なくとも含むことが好ましい。上記熱固定段階又は予熱段階において80〜110℃(好ましくは、85〜110℃)の熱をかけることにより、得られる本発明のシュリンクフィルムは80℃では直交方向に熱収縮しにくく、且つ100℃では直交方向に熱収縮する傾向がある。
上記表面処理を行う段階としては、例えば、本発明のシュリンクフィルムの表面にコロナ放電処理やプライマー処理、フレーム処理等の慣用の表面処理を行う段階が挙げられる。
本発明のシュリンクフィルムは、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する層と、ポリスチレン系樹脂を50重量%以上含有する層とを少なくとも含む。そして、主収縮方向の熱収縮率(80℃、10秒)が60〜75%であり、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)が−10%以上0%未満であることにより、シュリンクフィルムが比較的大きく収縮した状態で直交方向(例えば、筒状ラベルの縦方向)にわずかに延びる。さらに、直交方向の熱収縮率(100℃、10秒)が、直交方向の熱収縮率(80℃、10秒)よりも大きく、且つ20%以下であることにより、さらに熱が加わったときに、一旦直交方向に延びたシュリンクフィルムが該直交方向に適度に縮む。このように、80℃で主収縮方向に比較的大きく収縮し、直交方向にわずかに延びるため、シュリンクフィルムが容器に追従する初期段階ではわずかに延びた状態で、そこから直交方向(筒状ラベルの縦方向)に収縮する。このため、縦収縮による位置ズレが起こりにくく、熱収縮時にシワができたとしてもさらに温度が上がった際に直交方向に収縮するので、シワが伸ばされて、ラベル装着後のシワの発生を抑制しやすい。これにより、本発明のシュリンクフィルムは、収縮仕上がりに優れる。したがって、シュリンクラベルがデザインを有する場合は、デザインのゆがみや位置ずれが生じにくく、また、シュリンク加工後にシワが発生しにくい。
本発明のシュリンクフィルムは、シュリンクラベルに用いられることが特に好ましい。なお、本明細書において、本発明のシュリンクフィルムを有するシュリンクラベルを、「本発明のシュリンクラベル」と称する場合がある。
[シュリンクラベル]
本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムを少なくとも有するシュリンクラベルである。本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルム以外の層を有していてもよい。
(本発明のシュリンクフィルム以外の層)
本発明のシュリンクラベルに含まれる、本発明のシュリンクフィルム以外の層としては、特に限定されないが、印刷層、不織布や発泡シート等の他のフィルム層、接着剤層(感圧性接着剤層、感熱性接着剤層等)、保護層、アンカーコート層、プライマーコート層、コーティング層、帯電防止層、アルミニウム蒸着層等が挙げられる。
(印刷層)
上記印刷層としては、特に限定されず、例えば、シュリンクラベルにおいて用いられる公知乃至慣用の印刷層等が挙げられる。上記印刷層としては、溶剤乾燥型の印刷インキによって形成される溶剤乾燥型の印刷層、活性エネルギー線硬化型の印刷インキによって形成される活性エネルギー線硬化型の印刷層等が挙げられる。また、上記印刷層としては、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等の図やデザイン等の意匠印刷層(カラー印刷層等)、白等の単一色で形成された背面印刷層、フィルムや印刷層を保護するために設けられる保護印刷層、フィルムと印刷層の密着性を高めるために設けられるプライマー印刷層等が挙げられる。上記印刷層は、特に限定されないが、本発明のシュリンクフィルムの片面側のみに設けられていてもよいし、本発明のシュリンクフィルムの両面側に設けられていてもよい。また、上記印刷層は、本発明のシュリンクフィルムの表面(印刷層が設けられる側の表面)の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。さらに、上記印刷層は、特に限定されないが、単層であってもよいし、複層であってもよい。また、上記印刷層は、周知乃至慣用の印刷方法により設けることができる。中でも、上記印刷層は、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法によって設けられることが好ましい。
上記印刷層は、特に限定されないが、バインダー樹脂を必須成分として含むことが好ましい。さらに、必要に応じて、青、赤、黄、黒、白等の着色顔料や滑剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記バインダー樹脂等は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、例えば、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキにおいてバインダー樹脂として用いられる樹脂を用いることができる。上記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース系樹脂を含む)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂等が挙げられる。上記着色顔料としては、特に限定されず、例えば、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキにおいて用いられる着色顔料を用いることができる。上記着色顔料は、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)、その他着色顔料等を用途に合わせて選択、使用できる。また、上記着色顔料として、その他にも、光沢調整等の目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。
上記溶剤乾燥型の印刷層は、例えば、上記バインダー樹脂、溶剤、必要に応じて、上記着色顔料及びその他添加剤等を混合することにより製造された印刷インキを、印刷機を用いて塗布した後、溶剤を揮発させて設けられる。一方、上記活性エネルギー線硬化型の印刷層は、例えば、上記バインダー樹脂を構成する単量体成分、必要に応じて、上記着色顔料、溶剤、及びその他添加剤等を混合することにより製造された印刷インキを、印刷機を用いて塗布した後、必要に応じて乾燥し、活性エネルギー線(例えば、紫外線)照射により上記単量体成分を重合し硬化させて設けられる。
上記印刷層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.3〜5μmである。
上記印刷層は、本発明のシュリンクフィルムの少なくとも一方の面上に、印刷インキを塗布し、乾燥や硬化によって固化させることにより形成することができる。上記印刷インキを塗布する方法としては、公知慣用の方法を用いることができ、中でも、グラビア印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷が好ましい。また、塗布された印刷インキを加熱等により、乾燥又は乾燥固化する際には、印刷装置上で加熱が可能な、一般的な加熱装置を好ましく用いることができる。安全性の観点から、好ましくは、熱風ヒーター等を用いることができる。例えば、意匠印刷層は、一般的に、上記印刷インキの塗布は、色ごとに、複数回行われ、複層である印刷層が形成される。
上記印刷インキが溶剤乾燥型の印刷インキである場合、上記印刷インキは、例えば、バインダー樹脂、溶媒及びその他添加剤(着色顔料等)等を、必要に応じて、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、ペイントシェイカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー等のミキサーや、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミル等のミル、ニーダー等の混合装置が用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10〜120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。上記各成分(バインダー樹脂、溶媒、その他の添加剤)は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記溶媒としては、グラビア印刷やフレキソ印刷等に使用される印刷インキに通常用いられる水や有機溶剤等を用いることができる。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル)等のエステル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル等が挙げられる。上記溶媒は、印刷インキを本発明のシュリンクフィルムに塗布した後、乾燥により除去することができる。なお、上記溶媒には、「分散媒」の意味も含む。
上記印刷インキが活性エネルギー線硬化型の印刷インキである場合、上記印刷インキは、バインダー樹脂を構成する単量体成分、溶媒、及びその他添加剤(着色顔料等)等を、必要に応じて、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、上述の溶剤乾燥型の印刷インキの混合装置として例示及び説明された混合装置等が使用できる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10〜120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。上記各成分(単量体成分、溶媒、その他の添加剤)は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
本発明のシュリンクラベルの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10〜110μmが好ましく、より好ましくは15〜90μm、さらに好ましくは20〜80μmである。
本発明のシュリンクラベルは、表印刷シュリンクラベルであってもよいし、裏印刷シュリンクラベルであってもよいし、両面印刷シュリンクラベルであってもよい。中でも、本発明のシュリンクフィルムは収縮仕上がりに優れる観点から、裏印刷シュリンクラベルとして用いることが特に有用である。なお、本明細書において、表印刷ラベルとは、シュリンクフィルムを通さず印刷を見せるラベルであり、ラベルを見る際に、シュリンクフィルムよりも手前に意匠印刷層があるラベルをいう。また、裏印刷ラベルとは、シュリンクフィルムを通して印刷を見せるラベルであり、ラベルを見る際に、シュリンクフィルムよりも奥側に意匠印刷層があるラベルをいう。また、両面印刷ラベルとは、シュリンクフィルムの両面側に意匠印刷層を有するラベルをいう。
本発明のシュリンクラベルは、例えば、ラベル両端を溶剤や接着剤でシールし筒状にして容器に装着されるタイプの筒状シュリンクラベルや、ラベルの一端を容器に貼り付け、ラベルを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式のシュリンクラベルとして用いることができる。本発明のシュリンクラベルは、上記の中でも、筒状シュリンクラベルに特に好ましく用いられる。即ち、本発明のシュリンクラベルは、筒状シュリンクラベルであることが好ましい。以下、本発明のシュリンクラベルを用いた筒状シュリンクラベルを、「本発明の筒状シュリンクラベル」と称する場合がある。
図3及び図4を用いて、本発明のシュリンクラベルの好ましい実施形態である筒状シュリンクラベルの一例について説明する。図3に記載の本発明の筒状シュリンクラベル3は、矩形状に形成された本発明のシュリンクラベルの一端部の外側に他端部を重ね合わせて筒状とし、他端部の内面と一端部の外面とを溶剤又は接着剤で接合しシール部31が形成された筒状体である。本発明の筒状シュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムを含み、本発明のシュリンクフィルムは、本発明の筒状シュリンクラベルの周方向Dに少なくとも配向し、当該方向に熱収縮可能である。なお、本発明の筒状シュリンクラベルは、周方向が主収縮方向となるように装着されていることが好ましい。また、巻き付け方式のシュリンクラベルであっても、周方向が主収縮方向(即ち、延伸方向)となるように筒状にされることが好ましい。
図4は、図3におけるA−A’の断面、即ち、本発明の筒状シュリンクラベル3の、シール部付近の要部拡大図であり、シール部31では、シュリンクラベルの両端部が溶剤又は接着剤43で接合されている。具体的には、本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルム1の一方の面(筒状の内面側の面)の他端部の端から所定幅の領域を除いた領域に意匠印刷層42が形成され、その意匠印刷層42を覆うように、本発明のシュリンクフィルム1の一方の面の他端部の端から所定幅の領域を除いた領域の略全域に背面印刷層41が形成されている。このため、本発明のシュリンクラベルには、他端部の端から所定幅の領域は、背面印刷層41及び意匠印刷層42が形成されておらず、本発明のシュリンクフィルム1が露出し、フィルム露出面が形成され、シール部31は、本発明のシュリンクラベルの他端部の内面側に形成されたフィルム露出面と、一端部の外面(フィルム露出面)とを、溶剤又は接着剤43によって接合されている。即ち、シール部31では、本発明のシュリンクフィルム1同士が溶剤又は接着剤43で接合されていることが好ましい。なお、上記両端部のうち、接合されない部分は、背面印刷層、意匠印刷層等の印刷層等を有していても接着性に影響はないため、印刷層を有していてもよい。
なお、図4における本発明の筒状シュリンクラベル3では、一端部は、その端が他端部の背面印刷層41と重なる位置まで延びてきており、一端部と他端部の背面印刷層41同士が本発明のシュリンクフィルム1を介して重なる領域が形成されている。このため、厚み方向に背面印刷層41が存在しない領域は存在しない。本発明の筒状シュリンクラベルは、図4に示すような、一端部の端と他端部側の背面印刷層と重なる(厚み方向に重なる、即ち面広がり方向において重なる)構造であってもよいし、一端部の端が他端部のフィルム露出面と重なる領域まで延び、一端部の端が他端部側の背面印刷層と重なる位置まで延びてきていない、一端部の端と他端部側の背面印刷層とが重ならない構造であってもよい。
上記シール部の幅は、特に限定されないが、0.2〜10mmが好ましく、より好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.4〜2mmである。
(筒状シュリンクラベルの製造方法)
本発明の筒状シュリンクラベルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記の通りである。長尺状の本発明のシュリンクラベルを、所定の幅にスリットして、本発明のシュリンクラベルが長尺方向(長手方向)に複数個連なったラベル長尺体を得る。このラベル長尺体を、熱収縮可能な方向(即ち、シュリンクフィルムの熱収縮方向)が周方向となるように、他端部が一端部の外側になるように重ね合わせて筒状に形成し、当該重ね合わせた部分を所定幅で帯状にシールして両端部を接合して、長尺筒状のラベル連続体(長尺筒状シュリンクラベル)を得ることができる。この長尺筒状シュリンクラベルを周方向に切断することで、高さ方向に所定の長さを有する1つの筒状シュリンクラベル(本発明の筒状シュリンクラベル)を得ることができる。なお、ラベル切除用のミシン目を設ける場合は、慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程は、印刷層を設けた後や、筒状に加工する工程の前後等、適宜選択できる。
[ラベル付き容器]
本発明のシュリンクラベルは、特に限定されないが、容器に装着して、ラベル付き容器として用いられる。なお、本発明のシュリンクラベルは、容器以外の被着体に用いられてもよい。例えば、本発明のシュリンクラベル(特に、筒状シュリンクラベル)を容器の周りに、本発明のシュリンクラベルが筒状となるように配置し、熱収縮させることによって容器に装着することにより、ラベル付き容器(本発明のシュリンクラベルを有するラベル付き容器)が得られる。上記容器には、例えば、PETボトル等のソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料等の食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレー等の化学製品の容器、トイレタリー用の容器、カップ麺容器等が含まれる。上記容器の形状としては、特に限定されないが、例えば、円筒状、角形等のボトルタイプや、カップタイプ等の様々な形状が挙げられる。また、上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、PET等のプラスチック、ガラス、金属等が挙げられる。なお、本発明のシュリンクラベルが装着された容器を、「本発明のラベル付き容器」と称する場合がある。
上記ラベル付き容器は、例えば、筒状シュリンクラベルを、所定の容器に外嵌した後、加熱処理によって筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、容器に追従密着させること(シュリンク加工)によって作製できる。上記加熱処理の方法としては、例えば、熱風トンネルやスチームトンネルを通過させる方法、赤外線等の輻射熱で加熱する方法等が挙げられる。特に、80〜100℃のスチームで処理する(スチーム及び湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)方法が好ましい。また、101〜140℃のドライスチームを用いることもできる。上記加熱処理は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの温度が85〜100℃(特に、90〜97℃)となる温度範囲で実施することが好ましい。本発明のシュリンクラベルは、高い熱収縮率を要する容器に対する使用が可能となる。また、加熱処理の処理時間は、生産性、経済性の観点から、4〜20秒が好ましい。
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、表1に、実施例及び比較例で用いた、表面層用原料(原料(c))、B層用原料(原料(a))、接着樹脂層用原料(原料(b))、実施例及び比較例で作製したシュリンクフィルム及びシュリンクラベルの構成及び評価結果等を示した。
実施例1
(原料)
表面層を構成する原料(表面層用原料)として、ポリエステル系樹脂B(Eastman Chemical社製、商品名「EMBRACE LV」、Tg:69℃)を100重量%用いた。
B層を構成する原料(B層用原料)として、ポリスチレン系樹脂A(スタイロルーション社製、商品名「スタイロルクス T」、ブタジエンに由来する構成単位の含有量:25重量%)を70重量%、ポリスチレン系樹脂B(スタイロルーション社製、商品名「スタイロルクス S」、ブタジエンに由来する構成単位の含有量:12重量%)を30重量%用いた。
接着樹脂層を構成する原料(接着樹脂層用原料)として、ポリエステル系樹脂Bを54重量%、ポリスチレン系樹脂Aを32重量%、ポリスチレン系樹脂Bを14重量%用いた。
(シュリンクフィルム)
220℃に加熱した押出機xに上記B層用原料、220℃に加熱した押出機yに上記接着樹脂層用原料、250℃に加熱した押出機zに上記表面層用原料を投入した。上記3台の押出機を用いて、溶融押出を行った。溶融したB層用原料及び溶融した接着樹脂層用原料を、合流方式が2種3層型のフィードブロックと4分割のマルチプライヤーとを組み合わせた積層装置を用いて、接着樹脂層用原料/B層用原料/接着樹脂層用原料の2種3層構成をひとつの繰り返し単位として分割・合流・積層させ、積層体(I)(前記2種3層構成が4つ積層(繰り返し数4)されたもの)とし、溶融した表面層用原料を、上記積層体(I)の両面側に、フィードブロックを用いて合流・積層させ、積層体(II)とした。さらに、上記積層体(II)を、Tダイより押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、基層部の両面側にそれぞれ表面層が設けられた積層未延伸フィルムを得た。
次に、上記積層未延伸フィルムを、70℃で予熱を行った後、70℃で長手方向に1.05倍ロール延伸を行い、その後95℃で予熱を行い、続いて幅方向に80℃で5.8倍テンター延伸し、その後、幅方向に0.99倍の倍率となるように幅方向を固定した状態で75℃で3秒間加熱することにより、幅方向に主に延伸され、当該方向に熱収縮性を有する延伸フィルム(シュリンクフィルム)の長尺体を得た。
(筒状シュリンクラベル)
上記で得られたシュリンクフィルムの長尺体に対して、グラビア印刷機によって意匠印刷層及び白色の背面印刷層を形成して、シュリンクラベルの長尺体を得た。次いで、上記シュリンクラベルの長尺体を、スリットして所定幅とした後、幅方向が周方向となるように一端部と他端部とを重ね合わせて筒状にし、当該一端部と他端部のシュリンクフィルム面同士を溶剤でシールし、シュリンクラベルの筒状長尺体を得た。さらに、上記シュリンクラベルの筒状長尺体(ラベル連続体)を、個々のラベルサイズにカットして、筒状シュリンクラベルを得た。
実施例2
表1に示すとおり、原料(a)、原料(b)、原料(c)の組成や成分比などを変更して、実施例1と同様にしてシュリンクフィルム及び筒状シュリンクラベルを得た。なお、ポリスチレン系樹脂Cとして、商品名「アサフレックス 860」(旭化成ケミカルズ(株)製、SBS)を用いた。
比較例1
(シュリンクフィルム)
表1に示すとおり、原料(a)、原料(b)、原料(c)の組成や成分比などを変更して、実施例1と同様にして積層未延伸フィルムを得た。
次に、上記積層未延伸フィルムを、70℃で予熱を行った後、70℃で長手方向に1.15倍ロール延伸を行い、その後95℃で予熱を行い、続いて幅方向に90℃で5.5倍テンター延伸し、その後、幅方向に0.98倍の倍率となるように幅方向を固定した状態で90℃で3秒間加熱することにより、幅方向に主に延伸され、当該方向に熱収縮性を有する延伸フィルム(シュリンクフィルム)の長尺体を得た。
(筒状シュリンクラベル)
上記で得られたシュリンクフィルムを用いて、実施例1と同様にして筒状シュリンクラベルを作製した。
比較例2
(シュリンクフィルム)
表1に示すとおり、原料(a)、原料(b)、原料(c)の組成や成分比などを変更して、実施例1と同様にして積層未延伸フィルムを得た。
次に、上記積層未延伸フィルムを、70℃で予熱を行った後、70℃で長手方向に1.05倍ロール延伸を行い、その後115℃で予熱を行い、続いて幅方向に85℃で5倍テンター延伸し、その後、幅方向に0.98倍の倍率となるように幅方向を固定した状態で85℃で3秒間加熱することにより、幅方向に主に延伸され、当該方向に熱収縮性を有する延伸フィルム(シュリンクフィルム)の長尺体を得た。
(筒状シュリンクラベル)
上記で得られたシュリンクフィルムを用いて、実施例1と同様にして筒状シュリンクラベルを作製した。
(評価)
実施例及び比較例で得られたシュリンクフィルム及び筒状シュリンクラベルについて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示した。
(1)熱収縮率(80℃、10秒)
実施例及び比較例で得られたシュリンクフィルム(シュリンク加工前)から、120mm(幅方向;主収縮方向、標線間隔10mm)×5mm(長手方向;主収縮方向に対して直交方向)の長方形のサンプル片を作製した。
上記サンプル片を80℃の温水中で、10秒熱処理(無荷重下)し、熱処理前後の標線間隔の差を読み取り、以下の計算式で、主収縮方向及び主収縮方向に対する直交方向のそれぞれについて、熱収縮率を算出した。
収縮率(%) = (L0−L1)/L0×100
L0 : 熱処理前のサンプル片の寸法(主収縮方向)
L1 : 熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
(2)熱収縮率(100℃、10秒)
温水の温度を100℃としたこと以外は熱収縮率(80℃、10秒)と同様にして、主収縮方向及び主収縮方向に対する直交方向のそれぞれについて、熱収縮率を算出した。
(3)ゆがみ
実施例及び比較例で得られた筒状シュリンクラベルを、容器(東洋製罐(株)製、500ml丸形PET製容器)に容器底面とラベル下端とが略一致するように位置合わせをして外嵌した後、90℃のスチームトンネルを通過させて筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、容器肩部から容器胴部にかけてラベルを装着し、ラベル付き容器(容器胴部での熱収縮率は5%)を得た。
得られたラベル付き容器について、容器底面とラベル下端との距離をボトルの周方向に沿って測定し、得られた値の最大値と最小値の差が3mm以上ある場合をゆがみ有りとした。なお、同一の10本のラベル付き容器を作製し、10本それぞれについて上記評価を行った(n=10)。そして、ゆがみを以下の基準で判断した。結果を表1に示す。
良好(○) : 10本、ゆがみの発生なし
不良(×) : 10本中、1本以上でゆがみが発生
(4)位置ずれ
ゆがみの評価で用いたラベル付き容器について、容器底面とラベル下端との距離をボトルの周方向に沿って測定し、得られた値が3mm以上ある場合を位置ずれ有りとした。なお、同一の10本のラベル付き容器を作製し、10本それぞれについて上記評価を行った(n=10)。そして、位置ずれを以下の基準で判断した。結果を表1に示す。
良好(○) : 10本中、位置ずれの発生なし
不良(×) : 10本中、1本以上で位置ずれが発生
(5)シワ
ゆがみの評価で用いたラベル付き容器について、ラベル付き容器のラベルのシワの発生の有無をn=10で確認した。そして、シワを以下の基準で評価した。
良好(○) : 10本中、シワの発生なし
不良(×) : 10本中、1本以上でシワが発生
表1からもわかるとおり、本発明のシュリンクフィルムを用いたシュリンクラベル(実施例1及び2)は、熱収縮後においてラベルに設けられたデザインのゆがみがなく、デザインの位置ずれがなく、またシワの発生もなく、収縮仕上がりに優れていた。一方、比較例1及び2のシュリンクラベルは、熱収縮後においてラベルに設けられたデザインのゆがみ及び位置ずれがあり、収縮仕上がりに比較的劣っていた。