JP6555641B2 - 超電導コイルおよび超電導線材 - Google Patents

超電導コイルおよび超電導線材 Download PDF

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Description

本発明は、超電導マグネットなどの超電導機器に広く用いられる超電導コイルおよび超電導線材に関する。
近年、薄膜超電導線材(以下、単に「超電導線材」ともいう)が巻回された超電導コイルが、優れた通電特性の面から注目されている。
このような超電導コイルは、図2に示すように、金属基板上に超電導層が形成された長尺の超電導線材1が巻枠に巻回されることにより作製される。そして、超電導線材1を巻回するに際して、隣り合った超電導線材1同士で短絡が発生しないように、カプトン(登録商標)など、ポリイミドフィルム製の図示しない絶縁テープを挟み込んで巻回している。
巻回された超電導線材1に乱れが生じると、磁場の均一性や磁場の分布の乱れなどを招く恐れがあり、特に、MRI(Magnetic Resonance Imaging)機器にこのような乱れが生じていると、正確な検査が困難となる。
そこで、通常は、巻回されて隣り合った超電導線材1の間にエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化させることによりエポキシ樹脂層5を形成させて、超電導線材1を固定することが行われている。
このような超電導コイルは、液体窒素などの冷媒に浸漬されて使用されるが、その際、超電導層が破損して超電導コイルのIcの低下を招くことがあった。
具体的には、図3(a)に示すように、エポキシ樹脂層5の熱収縮率(熱膨張率)は1%と、金属基板2(0.3%)や超電導層3(0.3%以下)に比べて大きいため、エポキシ樹脂層5が冷却時に図3(b)のように矢印方向に大きく収縮して、金属基板2や超電導層3に引張応力が掛かる。この結果、引張応力に対して最も弱い超電導層3のCの箇所に破損が生じて、超電導コイルのIcの低下を招く。なお、図3は、図2中の符号Xの部分を拡大して模式的に示す図である。
そこで、このような冷却時の超電導層の破損によるIcの低下を防止するため、従来より、絶縁テープの表面にフッ素樹脂などからなる離形剤の層を形成させることにより、冷却によりエポキシ樹脂が大きく収縮した際に絶縁テープとエポキシ樹脂層とを剥離させて引張応力が金属基板や超電導層に掛からないようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2008−244249号公報 特開2011−198469号公報
しかしながら、近年、超電導コイルの製造において、製造工程の簡素化と材料コストの削減に対する要求が益々強くなっている。このため、上記したような離形剤の層を新たに形成する技術は、製造工程の簡素化や材料コストの削減という観点から未だ充分な技術とは言えなかった。
そこで、本発明は、製造工程を簡素化すると共に材料コストを削減しながら、冷却時におけるエポキシ樹脂層の収縮による超電導層の破損を適切に防止することにより、Icが低下し難い超電導コイルを容易に低コストで得ることができる技術を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る超電導コイルは、
金属基板の表面に超電導層が形成されたテープ状の超電導線材を巻回した後、エポキシ樹脂組成物に含浸させることにより、巻回された前記超電導線材の間にエポキシ樹脂層が形成された超電導コイルであって、
前記超電導線材の面に、絶縁性を有する樹脂から構成された絶縁樹脂層が設けられており、
前記絶縁樹脂層が、前記超電導層の破壊強度よりも弱い力で破壊される絶縁樹脂層であり、
前記絶縁樹脂層が、
前記絶縁性を有する樹脂が着色された絶縁塗料層であり、
前記超電導線材の両面に形成されて、前記超電導層側の面と前記金属基板側の面とで色が異なっている超電導コイルである。
本発明によれば、製造工程を簡素化すると共に材料コストを削減しながら、冷却時におけるエポキシ樹脂層の収縮による超電導層の破損を適切に防止することにより、Icが低下し難い超電導コイルを容易に低コストで得ることができる技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る超電導コイルの断面構造を模式的に示す図であり、(a)は冷却前の状態、(b)は冷却後の状態を示す図である。 従来の超電導コイルの巻回構造を概念的に示す側面図である。 図2中の符号Xの部分を拡大して模式的に示す図であり、(a)は冷却前の状態、(b)は冷却後の状態を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る超電導線材を模式的に示す断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導コイルは、
金属基板の表面に超電導層が形成されたテープ状の超電導線材を巻回した後、エポキシ樹脂組成物に含浸させることにより、巻回された前記超電導線材の間にエポキシ樹脂層が形成された超電導コイルであって、
前記超電導線材の少なくとも一方の面に、絶縁性を有する樹脂から構成された絶縁樹脂層が設けられており、
前記絶縁樹脂層が、前記超電導層の破壊強度よりも弱い力で破壊される絶縁樹脂層である超電導コイルである。
本態様に係る超電導コイルでは、超電導層の破壊強度よりも弱い力で破壊される絶縁樹脂層が、超電導線材の少なくとも一方の面に形成されている。これにより、冷却によりエポキシ樹脂層が大きく収縮した場合、超電導層が破損するよりも先に絶縁樹脂層が破壊されるため、冷却時のエポキシ樹脂層の収縮により引張応力が発生しても、この引張応力が金属基板や超電導層に掛かることがなく、超電導層の破損を適切に防止することができ、超電導コイルのIcの低下を招くことが防止される。
そして、このような絶縁樹脂層は絶縁性も有しているため、絶縁テープを挟み込んで巻回しなくても、隣り合った超電導線材同士を適切に絶縁することができる。この結果、絶縁テープの挟み込みと離形剤層の形成という2つの工程を必要としていた従来技術と異なり、絶縁樹脂層を形成するだけで超電導層の破損と超電導線材同士の短絡の両方を防止することができる。
このため、本態様によれば、製造工程を簡素化すると共に材料コストを削減しながら、冷却時におけるエポキシ樹脂層の収縮による超電導層の破損を適切に防止することにより、Icが低下し難い超電導コイルを容易に低コストで得ることができる。
なお、本明細書における「絶縁樹脂層の破壊」とは、超電導線材に沿って絶縁樹脂層の内部で破壊が生じる破断や、超電導線材と絶縁樹脂層との界面もしくはエポキシ樹脂層と絶縁樹脂層との界面で絶縁樹脂層が破壊される剥離、さらには剥離や破断が混在した状態を含むものである。
(2)また、(1)の態様において、
前記絶縁樹脂層は、前記絶縁性を有する樹脂が着色された絶縁塗料層であることが好ましい。
絶縁樹脂層として樹脂が着色された絶縁塗料層を用い、使用する超電導線材の等級などに応じて絶縁塗料層の色を異ならせることにより、超電導コイルの製造工程において、使用する超電導線材を判別することが容易になるため、作業効率の向上などに貢献することができる。
(3)また、(1)または(2)の態様において、
前記絶縁樹脂層は、前記超電導線材の両面に形成されていることが好ましい。
超電導線材の両面に絶縁樹脂層を形成することにより、エポキシ樹脂層の収縮時に破壊される絶縁樹脂層が増えるため、超電導層の破損をより確実に防止することができる。
(4)また、(1)の態様において、
前記絶縁樹脂層は、
前記絶縁性を有する樹脂が着色された絶縁塗料層であり、
前記超電導線材の両面に形成されて、前記超電導層側の面と前記金属基板側の面とで色が異なっていることが好ましい。
色が異なる絶縁塗料層が超電導線材の超電導層側の面と金属基板側の面のそれぞれに形成されていると、前記した超電導層の破損をより確実に防止することができることに加えて、さらに、巻枠への巻回などの超電導線材の表裏を確認する必要がある工程において、線材の表裏の識別を容易に行うことができる。
(5)また、(1)の態様において、
前記絶縁樹脂層は、
前記超電導線材の両面に形成されており、前記超電導層側の面に形成された前記絶縁樹脂層が前記絶縁性を有する樹脂が着色された絶縁塗料層であることが好ましい。
絶縁樹脂層を超電導線材の両面に形成する場合に、超電導層側の絶縁樹脂層を着色して絶縁塗料層とすることにより、上記した(4)の態様と同様に、超電導線材の表裏を確認する必要がある工程において線材の表裏の識別を容易に行うことができる。
(6)また、(1)の態様において、
前記絶縁樹脂層は、
前記超電導線材の両面に形成されており、前記金属基板側の面に形成された前記絶縁樹脂層が前記絶縁性を有する樹脂が着色された絶縁塗料層であることが好ましい。
上記した(5)の態様と同様の趣旨により、絶縁樹脂層を超電導線材の両面に形成する場合に、金属基板側の絶縁樹脂層を着色して絶縁塗料層とすることによっても、線材の表裏の識別を容易に行うことができる。
(7)また、(1)または(2)の態様において、
前記絶縁樹脂層は、前記超電導線材の前記超電導層側の面に形成されていることが好ましい。
上記した態様においては、冷却によりエポキシ樹脂層が大きく収縮した場合でも、超電導線材の超電導層側の面に直接形成されている絶縁樹脂層が破壊されるため、超電導層に引っ張り応力が掛かることをより適切に防止でき、超電導層の破損を適切に防止することができる。
(8)本発明の一態様に係る超電導線材は、
テープ状の超電導線材であって、
金属基板の表面に超電導層が形成されており、
表面および裏面の少なくとも一方の面に、絶縁性を有する樹脂から構成された絶縁樹脂層が設けられており、
前記絶縁樹脂層が、前記超電導層の破壊強度よりも弱い力で破壊される絶縁樹脂層である超電導線材。
このような超電導線材を巻回し、間にエポキシ樹脂組成物を含浸させて超電導コイルを形成した場合、冷却時のエポキシ樹脂層の収縮により引張応力が発生しても、この引張応力が金属基板や超電導層に掛かることがなく、超電導層の破損が適切に防止されて、Icの低下を防止することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る超電導コイルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1.超電導コイル
図1は本実施形態に係る超電導コイルを模式的に示す断面図であって、図1(a)は冷却前の状態を示す図、図1(b)は冷却後の状態を示す図である。
(1)超電導線材
本実施形態に係る超電導コイルは、従来の超電導コイルと同様に、長尺の超電導線材を巻枠に巻回させることにより形成されており、巻回された超電導線材の外周がC型リングなどの外枠に固定されている。
本実施形態における超電導線材1は、図1に示すように、金属基板2と、金属基板2上に形成された超電導層3とを備えている。なお、図示は省略しているが、超電導線材1の周囲には銅などの良導電性金属材料からなる安定化層が形成されている。
金属基板2としては、例えば、SUS上にCu層、Ni層が形成されたクラッド材のような2軸配向性の金属基材の上に、CeO、YSZ、CeOを中間層として設けた配向金属基板などが用いられる。
超電導層3は、レア・アース系の酸化物超電導体により構成されている。レア・アース系の酸化物超電導体としては、REBCO(REBaCu7−δ:REはレア・アース)で示される酸化物超電導体を挙げることができ、REとしては、イットリウム(Y)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)などを挙げることができる。
(2)絶縁樹脂層
本実施形態に係る超電導コイルにおいては、顔料などにより着色された絶縁樹脂から構成された絶縁塗料層4a、4bが絶縁樹脂層として形成されており、超電導線材1の表裏両面に形成されている。この絶縁塗料層4a、4bは、厚み1〜50μmの層であり、従来の絶縁テープと同程度の絶縁性を有している。また、本実施形態においては、超電導線材1の表面と裏面とで、異なる絶縁塗料からなる絶縁塗料層4a、4bが形成されている。
超電導層3側(表面側)に形成された絶縁塗料層4aは、超電導層3の破壊強度よりも弱い力で破断するように構成されている。これにより、図1(b)の符号Aに示すように、エポキシ樹脂層5が収縮した際に、表面側の絶縁塗料層4aの内部で破断して超電導層3とエポキシ樹脂層5とが引き離され、超電導層3に引張応力が掛かることを防止することができる。
一方、金属基板2側(裏面側)に形成された絶縁塗料層4bは、超電導層3の破壊強度よりも弱い力で金属基板2との界面で剥離するように構成されている。これにより、エポキシ樹脂層5が収縮した際に、図1(b)の符号Bに示すように、裏面側の絶縁塗料層4bが金属基板2との界面で剥離して、超電導線材1とエポキシ樹脂層5とが引き離され、超電導層3に引張応力が掛かることを防止することができる。
なお、図1(b)中の符号Bにおいては、金属基板2と絶縁樹脂層4bとの界面で剥離が生じた場合を示しているが、超電導層との界面やエポキシ樹脂層との界面において剥離するような絶縁樹脂層を設けてもよい。この場合でも、超電導線材1とエポキシ樹脂層5とが引き離され、超電導層3に引張応力が掛かることを防止することができる。
このような絶縁塗料層に用いられる絶縁性塗料としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂やシリコーン変性アクリル樹脂等のアクリル系絶縁性塗料、ポリアミド等のアミド系絶縁性塗料、ポリウレタン等のウレタン系絶縁性塗料、メタクリル樹脂等のメタクリル系絶縁性塗料、テルペンフェノール等のフェノール系絶縁性塗料、塩化ビニルやポリビニル等のビニル系絶縁性塗料、アルコール系絶縁性塗料などを含んだ市販の油性ペン、金属用塗装スプレーなどを使用することができる。また、絶縁性塗料に替えて、顔料によって着色されたシリコン樹脂やフッ素樹脂を塗布してもよい。
また、絶縁塗料層4a、4bは、表面側と裏面側とで異なる色になるように、それぞれ異なる色の顔料が添加されていることが好ましい。これにより、巻枠への巻回などの超電導線材1の表裏を確認する必要がある工程において、線材の表裏の識別を容易に行うことができる。
(3)エポキシ樹脂層
本実施形態に係る超電導コイルにおけるエポキシ樹脂層5は、従来と同様に、コイル状に巻回された超電導線材1をエポキシ樹脂組成物に含浸させることにより、層状に巻き重ねられた超電導線材1の間に形成される。
2.超電導コイルの製造
本実施形態に係る超電導コイルは、例えば、以下のように製造することができる。
本実施形態に係る超電導コイルは、テープ状の金属基板を巻出リールから巻き出した後、巻取リールに巻き取られる迄の間に超電導層や安定化層を形成する、所謂リールtoリール方式を用いて超電導線材を作製した後、作製された超電導線材を巻枠に巻回してエポキシ樹脂組成物に含浸させて、エポキシ樹脂層により超電導線材を固定することにより製造される点においては従来と同様である。
しかし、本実施形態における超電導コイルの製造は、上記のような超電導コイルの製造工程において、超電導線材を巻回してエポキシ樹脂組成物に含浸させる前に、超電導線材の両面に絶縁樹脂層として絶縁塗料層を形成させる点で従来とは異なる。
絶縁塗料層は、例えば、上記したリールtoリール方式の超電導線材の製造において、超電導層や安定化層が形成された後、巻取リールに巻き取られる前の超電導線材の両面に、ペンやスプレーなどを用いて絶縁性塗料を塗布した後、乾燥させることにより形成する。
なお、超電導層の形成方法としては、気相法(蒸着法、スパッタ法、PLD法など)や液相法(MOD法)を採用することができる。また、エポキシ樹脂層の形成方法としては、真空含浸を採用することができる。
3.本実施形態の効果
上記したように、本実施形態に係る超電導コイルによれば、超電導層の破壊強度よりも弱い力で破壊される絶縁樹脂層が形成されているため、冷却によりエポキシ樹脂層が大きく収縮した場合、超電導層が破損するよりも先に絶縁樹脂層が破壊される。この結果、超電導層や金属基板がエポキシ樹脂層から引き離されるため、金属基板に引張応力が掛かることがなく、超電導層の破損を適切に防止できる。
また、本実施形態においては、超電導層の破損を防止するために設けた絶縁樹脂層が絶縁性も有しているため、従来のように絶縁テープを挟み込んで巻回しなくても、隣り合った超電導線材同士を適切に絶縁することができる。このため、絶縁樹脂層を形成するだけで超電導層の破損と超電導線材同士の短絡の両方を防止することができる。
以上のように、本実施形態によれば、製造工程を簡素化すると共に材料コストを削減しながら、冷却時におけるエポキシ樹脂層の収縮による超電導層の破損を適切に防止することにより、Icが低下し難い超電導コイルを容易に得ることができる。
また、本実施形態においては、超電導線材の両面に絶縁樹脂層が形成されているため、超電導層の破損によるIc低下をより確実に防止することができる。なお、超電導線材の少なくとも一方の面に絶縁樹脂層が形成されていても、超電導層の破損を充分に防止することができる。
また、本実施形態では、表面側の絶縁樹脂層に破断し易い絶縁性塗料を用い、裏面側の絶縁樹脂層に剥離し易い絶縁性塗料を用いているが、表面側と裏面側とで用いられる絶縁塗料を逆にしても良いし、超電導線材の両面で同じ種類の絶縁性塗料を用いても良い。
なお、本実施の形態においては、超電導線材1の表裏両面に絶縁塗料層4a、4bを設けているが、絶縁塗料層は超電導線材の表裏のどちらか一方にのみ選択的に設けてもよい。これにより、エポキシ樹脂層から離れる超電導線材の面を制御することができる。
また、上記した実施の形態においては、着色された樹脂から構成された絶縁塗料層を絶縁樹脂層として形成しているが、これに限定されず、着色されていない絶縁樹脂によって絶縁樹脂層を形成してもよい。
この絶縁樹脂層に用いられる絶縁樹脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂やシリコーン変性アクリル樹脂等のアクリル系絶縁性樹脂、ポリアミド等のアミド系絶縁性樹脂、ポリウレタン等のウレタン系絶縁性樹脂、メタクリル樹脂等のメタクリル系絶縁性樹脂、テルペンフェノール等のフェノール系絶縁性樹脂、塩化ビニルやポリビニル等のビニル系絶縁性樹脂、アルコール系絶縁性樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
具体的には、図4(a)に示すように、超電導線材1の超電導層3側の面に絶縁塗料層4aを形成し、金属基板2側の面に無色の絶縁樹脂層4dを形成してもよい。また、図4(b)に示すように、超電導層3側の面に無色の絶縁樹脂層4cを形成し、金属基板2側の面に絶縁塗料層4bを形成してもよい。また、図4(c)に示すように超電導線材1の両側の面に無色の絶縁樹脂層4c、4dを形成してもよい。また、図4(d)および(e)に示すように超電導層3側の面のみに絶縁塗料層4a若しくは無色の絶縁樹脂層4cを形成してもよい。なお、図4は本発明の他の実施形態に係る超電導線材を模式的に示す断面図である。
[実験例]
以下、実験例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
1.実験例1〜4
(1)実験例1
幅10mm、厚さ100μmのテープ状の金属基板の表面にYBCOからなる超電導層を形成して超電導線材(幅4mm、長さ200m)を作製した。そして、作製した超電導線材の裏面にペンを用いて絶縁塗料を塗布した後、乾燥させることにより厚さ8μmの絶縁塗料層を形成した。なお、シリコン樹脂からなる絶縁樹脂に顔料を添加したものを用いて絶縁塗料層を形成した。
次に、裏面に絶縁塗料層が形成された超電導線材を、巻枠(金属製ボビン)のまわりに巻回して、内径80mm、外径約270mm、高さ約4.3mmのシングルパンケーキ状のコイルを作製した。
次に、巻回された超電導線材の間に、エポキシ樹脂と硬化剤とが混ぜ合わされたエポキシ樹脂組成物を真空含浸により含浸させた後、室温で保持してエポキシ樹脂組成物を硬化させることによりエポキシ樹脂層を形成し、実験例1の超電導コイルを作製した。
(2)実験例2
絶縁塗料層が形成されていない超電導線材を用いたことを除いて、実験例1と同じ手順で超電導コイルを作製した(実験例2)。
(3)実験例3
超電導線材を巻回させる際に、表面に離形剤層が形成された絶縁テープを介在させたことを除いて、実験例1と同じ手順で超電導コイルを作製した(実験例3)。
(4)実験例4
絶縁塗料層に替えて、厚さ8μmのシリコン樹脂からなる着色されていない絶縁樹脂層を形成したこと以外は実験例1と同じ方法でシングルパンケーキ状のコイルを作製した(実験例4)。
2.評価
作製した超電導コイルを液体窒素に浸漬させて冷却(77K)した状態で、臨界電流(Ic)の測定を行った。測定後、液体窒素から超電導コイルを引き上げ、常温に戻るまで室温で放置して自然に温度を上昇させた。
実験例1〜4のそれぞれの超電導コイルに対して、上記した操作(液体窒素への浸漬、液体窒素からの引き上げ、温度上昇)を9回行い、10回目の液体窒素への浸漬時にIcを再度測定した。1回目と10回目のIcの測定結果を表1に示す。
Figure 0006555641
表1より、絶縁塗料層が形成されていない実験例2では、他の実験例と比べて、1回目のIc測定においてIcが著しく低かった。また、10回目のIc測定においてIcが更に低下していた。そして、10回目のIc測定後に超電導コイルを分解して、超電導層を光学顕微鏡で観察したところ多数の破損が観察された。
一方、実験例1、実験例3および実験例4では、1回目のIc測定と10回目のIc測定との間でのIcの低下がほとんど見られず、Icの低下が充分に抑制されていることが確認された。そして、10回目のIc測定後の分解による観察では超電導層の破損は確認されなかった。
さらに、実験例1、実験例3および実験例4とでは、Ic低下の抑制の程度に殆ど差がなかったことから、超電導層3の破壊強度よりも弱い力で破壊されるように構成されている絶縁樹脂層を設けることにより、製造工程を簡素化すると共に材料コストを削減しながら、冷却時におけるエポキシ樹脂層の収縮による超電導層の破損を適切に防止できることが確認できた。
本発明によれば、Icが低下し難い超電導コイルを容易に低コストで得ることができ、超電導コイルの製造において、近年、益々強くなっている製造工程の簡素化と材料コストの削減に対する要求を満たすことができる。
1 超電導線材
2 金属基板
3 超電導層
4a、4b 絶縁塗料層
4c、4d 絶縁樹脂層
5 エポキシ樹脂層

Claims (1)

  1. 金属基板の表面に超電導層が形成されたテープ状の超電導線材を巻回した後、エポキシ樹脂組成物に含浸させることにより、巻回された前記超電導線材の間にエポキシ樹脂層が形成された超電導コイルであって、
    前記超電導線材の面に、絶縁性を有する樹脂から構成された絶縁樹脂層が設けられており、
    前記絶縁樹脂層が、前記超電導層の破壊強度よりも弱い力で破壊される絶縁樹脂層であり、
    前記絶縁樹脂層が、
    前記絶縁性を有する樹脂が着色された絶縁塗料層であり、
    前記超電導線材の両面に形成されて、前記超電導層側の面と前記金属基板側の面とで色が異なっている超電導コイル。
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