図面を参照して説明する。なお、複数の実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、フィルタの厚さ方向をZ方向、Z方向に直交する特定の方向をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向と示す。X方向及びY方向により規定される平面をXY平面と示す。XY平面に沿う形状を平面形状と示す。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図7に基づき、電子装置100の概略構成について説明する。なお、図2では、通気部材40における各要素の構造を明確にするために、便宜上、各要素をZ方向に離して示している。また、図3では、筐体20に配置されていない状態の通気部材40について示している。
図1に示すように、電子装置100は、回路基板10と、筐体20と、通気部材40と、を備えている。本実施形態において電子装置100は、車両に配置されている。すなわち電子装置100は、車両用のECUである。電子装置100は、電子制御装置と称することもできる。
回路基板10は、基板12と、基板12に実装された電子部品14と、を有している。基板12は、厚さ方向がZ方向に沿う略平板形状をなしている。電子部品14は、基板12の両面に配置されている。しかしながら、電子部品14が基板12の片面にのみ配置された例を採用することもできる。
筐体20は、収容空間22に回路基板10を収容するものである。筐体20は、例えば、樹脂材料や、金属材料を用いて形成されている。筐体20は、第1ケース24と第2ケース26とを有している。第1ケース24及び第2ケース26は、一面が開口する箱状をなしている。第1ケース24及び第2ケース26は、互いの開口を閉塞するように、配置されている。第1ケース24及び第2ケース26は、ねじ締結等により、互いに固定されている。回路基板10は、第1ケース24及び第2ケース26の少なくとも一方に対し、ねじ締結等により固定されている。なお、筐体20は、第1ケース24及び第2ケース26を有する形状に限定するものではない。筐体20は、少なくとも、回路基板10を収容するものであればよい。
第1ケース24は、底部28と側壁部30とを有している。底部28は、厚さ方向がZ方向に沿う略平板形状をなしている。底部28は、収容空間22を規定する表面28aと、表面28aと反対側の裏面28bと、を有している。表面28a及び裏面28bは、Z方向と直交する平面である。側壁部30は、底部28におけるXY平面の外周部分からZ方向に延設されている。側壁部30は、第1ケース24の開口をなしている。
第1ケース24には、収容空間22と外部空間200とを連通する連通孔32が形成されている。外部空間200とは、筐体20の外側の空間であって、筐体20周辺の空間である。言い換えると、外部空間200は、電子装置100が配置された空間である。裏面28bは、外部空間200と接触している。連通孔32は、表面28aから裏面28bにわたって底部28を貫通する貫通孔である。連通孔32の平面形状は、略真円形状をなしている。なお、連通孔32の平面形状が、多角形状とされた例を採用することもできる。
回路基板10が動作していない場合、収容空間22と外部空間200との温度は、互いにほぼ等しい。回路基板10が動作すると、収容空間22の温度は上昇する。よって、回路基板10が動作している場合、収容空間22の温度は、外部空間200の温度よりも高くなる。これにより、収容空間22の気圧は外部空間200の気圧よりも高くなり、収容空間22から外部空間200へ空気が出る。
一方、回路基板10が動作を停止した場合、収容空間22の温度は低下する。これに伴い、収容空間22の気圧も減少する。これにより、外部空間200から収容空間22へ空気が入る。
連通孔32は、外部空間200と収容空間22との間で空気が流れるのを可能にするために設けられている。言い換えると、連通孔32は、収容空間22の気圧を外部空間200の気圧と均等に保つために設けられている。連通孔32は、通気孔と称することもできる。筐体20において連通孔32が形成された部分には、通気部材40が配置されている。
通気部材40は、液体が外部空間200から連通孔32を通って収容空間22に入るのを抑制するものである。この液体としては、雨水、洗車に用いられる水、及び、車両が走行時に巻き上げた水等が想定される。通気部材40は、収容空間22に液体が入って、回路基板10と液体が接触するのを抑制している。よって、通気部材40は、防水部材と称することもできる。また、通気部材40は、通気フィルタと称することもできる。水等が外部空間200から収容空間22に入ることを、被水する、と言い換えることもできる。
また、通気部材40は、連通孔32を介する収容空間22と外部空間200との通気を可能にするものである。回路基板10では、外部空間200の空気の情報、すなわち大気圧情報を用いて処理を行っている。
図2〜図5に示すように、通気部材40は、フィルタ42と、フィルタケース44と、シールリング46と、を有している。なお、Z方向の投影視において、連通孔32、フィルタ42、フィルタケース44、及び、シールリング46の中心は、互いにほぼ一致している。図2では、連通孔32、フィルタ42、フィルタケース44、及び、シールリング46の中心を通る線を破線で示している。
フィルタ42は、防水性及び通気性を有し、フィルタケース44とともに連通孔32を閉塞するものである。すなわち、フィルタ42は、気体を通すとともに、液体が通るのを抑制するものである。また、フィルタ42は、撥水性及び撥油性を有している。すなわち、フィルタ42には、撥水処理及び撥油処理が施されている。そのため、フィルタ42を撥水フィルタ又は撥油フィルタと称することもできる。また、フィルタ42は、通気膜と称することもできる。
図6に示すように、フィルタ42には、複数の孔が形成されている。フィルタ42としては、例えば、フッ素樹脂又はポリオレフィンを用いて形成された多孔質膜を採用することができる。フィルタ42における孔の径rは、例えば、0.01〜10μmとされている。気体は、フィルタ42の孔を通ることができる。一方、液体は、フィルタ42の孔を通らない。
フィルタケース44は、フィルタ42が配置されるものである。フィルタケース44は、筐体20に配置されている。フィルタケース44は、例えば、樹脂材料を用いて形成されている。フィルタケース44は、本体部48と蓋部50とを有している。
本体部48は、筐体20に固定されている。詳しく言うと、本体部48は、底部28における連通孔32が形成された部分の付近に固定されている。フィルタ42は、本体部48に配置されている。本体部48は、Z方向における両端が開口する略筒形状をなしている。本体部48は、円筒部48aと、配置部48bと、爪部48cと、を有している。円筒部48a、配置部48b、及び、爪部48cは、互いに連結されている。
円筒部48aは、Z方向に沿って延設された略円筒形状をなしている。円筒部48aの内周端及び外周端の平面形状は、略真円形状をなしている。円筒部48aの一部は、連通孔32が囲む空間に配置されている。Z方向において、円筒部48aにおける一端は、底部28に対して収容空間22側に位置している。一方、Z方向において、円筒部48aにおける他端は、底部28に対して外部空間200側に配置されている。
円筒部48aは、連通孔32を挿通している。Z方向の投影視において、円筒部48aの外周端は、連通孔32を規定する面とほぼ重なっている。円筒部48aの外周面48dは、Z方向において底部28と同じ高さに位置する部分が、底部28における連通孔32を規定する面と接触している。円筒部48aにおいて外周面48dと反対側の内周面48eは、外部空間200と収容空間22の間の空気のやり取りを可能とするための通気経路を形成している。
配置部48bは、本体部48においてフィルタ42が配置される部分である。配置部48bは、円筒部48aにおける外部空間200側の一端から、Z方向と直交する方向であって、円筒部48aにおける内周から外周へ向かう方向に延設されている。配置部48bは、厚さ方向がZ方向に沿う略ディスク形状をなしている。配置部48bの平面形状は、略円環形状をなしている。配置部48bの内周端及び外周端の平面形状は、略真円形状をなしている。配置部48bは、Z方向において、底部28に対して外部空間200側に配置されている。配置部48bは、本体部48における外部空間200側の開口をなしている。
配置部48bにおける底部28側の面は、裏面28bとともに、シールリング46を挟持している。すなわち、配置部48bは、シールリング46に対して裏面28bと反対側に配置されている。配置部48bにおける底部28と反対側の面には、図示しない接着材等によりフィルタ42が固定されている。フィルタ42は、本体部48における開口の一方を閉塞している。これにより、フィルタ42は、本体部48とともに、連通孔32を閉塞している。
配置部48bにおいて底部28と反対側の面は、フィルタ42が配置された部分と、フィルタ42が配置されていない部分と、を有している。Z方向の投影視において、配置部48bの外周端は、フィルタ42を囲っている。
爪部48cは、本体部48を底部28に固定するために設けられたものである。爪部48cは、本体部48における収容空間22側の開口をなしている。爪部48cは、円筒部48aにおける収容空間22側の一端から、Z方向と直交する方向であって、円筒部48aにおける内周から外周へ向かう方向に延設されている。
本体部48は、4つの爪部48cを有している。Z方向の投影視において、連通孔32は、4つの爪部48cにより囲まれている。爪部48cにおける底部28側の面は、表面28aと接触している。Z方向において、爪部48cは、配置部48bとともに、底部28及びシールリング46を挟持している。なお、本体部48は、上記した形状に限定されない。本体部48は、筐体20における連通孔32が形成された部分付近に固定されるとともに、フィルタ42が固定されていればよい。
また、円筒部48aには、爪部48cが設けられた箇所と異なる箇所に切り欠き48fが形成されている。本体部48を筐体20に配置する際、円筒部48aを連通孔32に挿入する。このとき、切り欠き48fが形成されていることで、円筒部48aを小さくすることができる。本体部48を筐体20に配置した後、円筒部48aは、連通孔32に挿入される前の大きさに戻る。以上により、本体部48を筐体20に配置することができる。
蓋部50は、フィルタ42を覆う部分である。蓋部50は、カバーと称することもできる。蓋部50は、本体部48に固定されている。Z方向において、蓋部50全体は、底部28に対して外部空間200側に配置されている。Z方向において、蓋部50は、本体部48に対して収容空間22と反対側に配置されている。言い換えると、Z方向において、蓋部50は、本体部48に対して外部空間200側に配置されている。すなわち、蓋部50及び本体部48は、Z方向に並んで配置されている。
また、蓋部50は、フィルタ42とともに内部空間52を形成している。蓋部50は、天井部50aと、壁部50bと、爪部50cと、突出部50dと、を有している。天井部50a、壁部50b、爪部50c、及び、突出部50dは、互いに連結されている。
天井部50aは、Z方向において、フィルタ42に対して配置部48bの反対側に配置されている。Z方向において、天井部50aは、フィルタ42及び配置部48bに対して、所定距離を有して対向している。天井部50aは、厚さ方向がZ方向に沿う略平板形状をなしている。天井部50aの平面形状は、略真円形状をなしている。Z方向の投影視において、配置部48bの外周端は、天井部50aの外周端によって囲まれている。
壁部50bは、XY平面における天井部50aの外周端から、Z方向における底部28側へ向かって延設されている。図7に示すように、蓋部50は、4つの壁部50bを有している。そのため、天井部50aの外周端では、壁部50bが延設される部分と、壁部50bが延設されない部分と、が形成されている。Z方向の投影視において、配置部48bは、4つの壁部50bにより囲まれている。Z方向において、壁部50bにおける裏面28b側の一端は、配置部48bよりも裏面28b側に位置している。
爪部50cは、壁部50bにおける底部28側の一端から、Z方向と直交する方向であって、連通孔32へ向かって延設されている。言い換えると、爪部50cは、壁部50bにおける底部28側の一端から、Z方向と直交する方向であって、シールリング46へ向かって延設されている。なお、爪部50cは、シールリング46と接触していない。爪部50cでは、Z方向において底部28と反対側の面は、Z方向と直交する平面とされている。
突出部50dは、天井部50aにおける配置部48bとの対向部分から配置部48bに向かってZ方向に突出している。蓋部50は、複数の突出部50dを有している。Z方向の投影視において、フィルタ42は、複数の突出部50dにより囲まれている。なお、蓋部50は、上記した形状に限定されない。蓋部50は、本体部48に固定され、フィルタ42を覆う形状であればよい。
内部空間52は、フィルタ42、本体部48、及び、蓋部50によって囲まれた空間である。詳しく言うと、内部空間52は、フィルタ42、配置部48b、天井部50a、及び、壁部50bによって囲まれた空間である。蓋部50は、本体部48との間において、外部空間200からの気体を内部空間52へ導入するための隙間54を形成している。
天井部50aの外周端において壁部50bの延設されない部分が設けられることによって、隙間54が形成されている。隙間54により、Z方向と直交する方向において外部空間200側から通気部材40を見ると、フィルタ42が露出している。すなわち、内部空間52は、密閉された空間ではない。内部空間52には、外部空間200から隙間54を介して液体が入る場合がある。以下、内部空間52に水210が入る場合について説明する。
内部空間52に水210が入った状態で、回路基板10の動作の停止や、外部空間200の温度低下によって、内部空間52の水210が凍ることがある。すなわち、内部空間52の水210が凝固し、氷212になることがある。氷212は、特許請求の範囲に記載の固体に相当する。水210が凝固することを、氷結する、と言い換えることもできる。水210は、凝固により、体積が10パーセント程度増加する。
内部空間52の水210が凍った状態において、フィルタケース44は、内部空間52に水210が配置された状態に較べて、内部空間52の容量を大きくする。すなわち、フィルタケース44は、内部空間52の容量を変化させる容量調節機能を有している。言い換えると、フィルタケース44は、内部空間52の容量を変化させる容量調節機構を有している。フィルタケース44における内部空間52の容量調節機能については、下記で詳細に説明する。
シールリング46は、フィルタケース44と底部28との間を液体が通るのを抑制するものである。すなわち、シールリング46は、防水のために設けられている。シールリング46は、ゴム材料を用いて形成されている。シールリング46は、Oリングと称することもできる。
シールリング46を貫通する貫通孔は、Z方向に延びている。シールリング46は、裏面28bと接触するように配置されている。Z方向の投影視において、シールリング46の内周端は、連通孔32の内周端とほぼ一致している。シールリング46は、フィルタケース44と筐体20との間に配置され、フィルタケース44及び筐体20と接触している。詳しく言うと、裏面28bと配置部48bとの間に配置され、裏面28b及び配置部48bと接触している。
筐体20に組み付けた後において、シールリング46は、筐体20に組み付ける前に較べて変形している。詳しく言うと、筐体20に組み付けた後においてシールリング46は、Z方向の幅が小さくなるように変形している。これにより、シールリング46は、裏面28bとの間、及び、配置部48bとの間に、隙間が形成されるのを抑制している。
次に、図4及び図5に基づき、フィルタケース44における容量調整機能について説明する。なお、図4は、内部空間52に水210が配置された構成を示している。図5は、内部空間52の水210が凍って氷212になった構成を示している。
本実施形態では、Z方向と重力方向とがほぼ一致するように、電子装置100が配置されている。詳しく言うと、Z方向のうちの蓋部50から本体部48へ向かう方向が、Z方向とほぼ一致している。しかしながら、これに限定するものではない。蓋部50から本体部48へ向かう方向は、重力方向と異なっていてもよい。
なお、本体部48は、従来の通気部材の本体部と同じ構造とされている。これに対し、蓋部50は、フィルタケース44が容量調整機能を有するための形状をなしている。言い換えると、蓋部50は、容量調整機能を有する形状とされている。
蓋部50は、本体部48に対して動くように固定されている。言い換えると、蓋部50は、本体部48に対して変位可能に固定されている。すなわち、蓋部50は、本体部48に対してスライド可能に固定されている。蓋部50は、本体部48に固定された状態で、Z方向に動くことができる。詳しく言うと、蓋部50は、本体部48に固定された状態で、天井部50aがフィルタ42に近づく方向、及び、天井部50aがフィルタ42と離れる方向に動くことができる。
回路基板10の動作が停止することにより、収容空間22の温度が低下し、収容空間22の気圧が低くなる。これにより、フィルタ42には、Z方向において収容空間22側へ向かうような力が作用する。この力は、負圧と称することができる。この負圧により、外部空間200から内部空間52に水210が入ることがある。
また、負圧により、内部空間52の空気がフィルタ42の孔を介して収容空間22に導入される。これにより、回路基板10の動作が停止した後において、回路基板10の動作が停止する前に内部空間52に配置されていた水210や、負圧により外部空間200から内部空間52に入った水210が、フィルタ42に吸着する。この吸着によって、水210は、フィルタ42に接触し易く、天井部50aと接触し難い。そして、回路基板10の動作が停止した後において時間が経過すると、電子装置100全体の温度が低下し、内部空間52の水210が凍ることがある。
内部空間52に氷212が配置されていない状態では、負圧や蓋部50の重みによって、天井部50aがフィルタ42に最も近づいている。言い換えると、内部空間52に水210及び氷212が配置されていない状態、及び、図4に示すように内部空間52に水210のみが配置された状態では、天井部50aがフィルタ42に最も近づいている。
この状態では、突出部50dが配置部48bと接触している。詳しく言うと、突出部50dにおける突出先端は、配置部48bにおける底部28と反対側の面と接触している。これに対し、爪部50cは、配置部48bと接触していない。詳しく言うと、爪部50cにおける底部28と反対側の面は、配置部48bにおける底部28側の面と接触していない。内部空間52に水210及び氷212が配置されていない状態、及び、内部空間52に水210のみが配置された状態において、フィルタ42に対する天井部50aのZ方向の距離を距離Lと示す。
水210が凍って体積が増えると、Z方向における氷212の幅が、距離Lよりも大きくなることが考えられる。これにより、氷212は、天井部50aと接触する。氷212は、天井部50aと接触した後も体積を大きくし、蓋部50に応力を作用させる。氷212は、蓋部50に対して、Z方向において天井部50aがフィルタ42と離れる方向に応力を作用させる。
蓋部50は、氷212からの応力によりZ方向に移動する。蓋部50が移動することによって、距離Lが長くなり、内部空間52の容量が大きくなる。言い換えると、内部空間52の容積が大きくなる。本実施形態において、本体部48及び蓋部50は、特許請求の範囲に記載の容量調整部に相当する。また、本体部48は、特許請求の範囲に記載の固定部に相当する。蓋部50は、特許請求の範囲に記載の可動部に相当する。図5では、蓋部50が移動する方向を白抜き矢印で示している。蓋部50が移動すると、突出部50dは、配置部48bから離れる。すなわち、蓋部50が移動すると、突出部50dは、配置部48bと接触しない。
蓋部50がZ方向に所定距離移動すると、爪部50cが配置部48bと接触する。詳しく言うと、爪部50cにおける底部28と反対側の面が、配置部48bにおける底部28側の面と接触する。これにより、蓋部50の移動が抑制される。爪部50cが配置部48bと接触する状態において氷212の体積が増加した場合であっても、蓋部50は移動しない。
回路基板10の動作等により電子装置100の温度が上昇すると、内部空間52に配置されていた氷212が融解する。氷212が融解することを、氷212がとける、又は、氷212が溶融する、と言い換えることもできる。氷212は、水210になると、体積が小さくなる。これにより、水210におけるZ方向の幅は小さくなる。よって、氷212がとけると、天井部50aがフィルタ42と近づく方向に蓋部50が移動する。すなわち、氷212がとけると、蓋部50は、水210が凍る前の位置に戻る。以上により、内部空間52の容量は、小さくなり、水210が凍る前の容量に戻る。
次に、上記した電子装置100の効果について説明する。
本実施形態では、内部空間52の水210が凍った場合、フィルタケース44の容量調整機能によって、水210が凍る前よりも内部空間52の容量が大きくなる。これによれば、水210が凝固した場合であっても、電子装置100では、内部空間52の容量に対する氷212の体積の割合が大きくなることが抑制される。
そのため、氷212からフィルタケース44に大きな応力が作用するのを抑制することができる。言い換えると、フィルタケース44から氷212への反作用による応力が大きくなるのを抑制することができる。したがって、氷212からフィルタ42に大きな応力が作用するのを抑制することができる。
これにより、フィルタ42が内部空間52と反対側に大きく変形するのを抑制することができる。すなわち、フィルタ42における径rが大きくなるのを抑制することができる。言い換えると、フィルタ42における劣化を抑制することができる。よって、内部空間52に配置された水210がフィルタ42を通るのを抑制することができる。以上によれば、内部空間52に配置された水210が凝固して氷212になった場合であっても、収容空間22に水210が入るのを抑制することができる。
ところで、従来構造をなす通気部材を、容量調整機能を有する本実施形態の通気部材40に取り替える場合がある。本実施形態において、本体部48は従来構造と同じであって、蓋部50が容量調整機能を有する形状とされている。そのため、従来構造とされた蓋部を、本実施形態の蓋部50に取り替えることで、通気部材が容量調整機能を有するものとなる。これによれば、従来の通気部材が筐体に固定されている場合、蓋部50のみを取り替えればよく、従来構造をなす本体部を筐体から取り外す必要がない。よって、取り替える工程を簡略化することができる。
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
本実施形態において、蓋部50は、本体部48に対して動かないように固定されている。そのため、内部空間52の水210が凍った場合であっても、蓋部50は、本体部48に対して動かない。詳しく言うと、図8及び図9に示すように、内部空間52の水210が凍ったか否かにかかわらず、突出部50dは、配置部48bと接触している。また、内部空間52の水210が凍ったか否かにかかわらず、爪部50cは、配置部48bと接触している。
天井部50aには、底部28側の面から凹む凹部56が形成されている。すなわち、蓋部50には、フィルタ42との対向部分に凹部56が形成されている。蓋部50は、特許請求の範囲に記載の基部に相当する。天井部50aにおける底部28側の面は、特許請求の範囲に記載の壁面に相当する。凹部56は、天井部50aにおける底部28側の面から、Z方向に凹んでいる。Z方向の投影視において、凹部56は、連通孔32と重なっている。凹部56は、溝、又は、有底孔と称することもできる。
フィルタケース44は、凹部56を閉塞する網58をさらに有している。網58は、ネットと称することもできる。網58は、例えば、樹脂材料を用いて形成されている。網58には、Z方向に網58を貫通する複数の網目60が形成されている。網目60は、貫通孔と称することもできる。網58は、接着材等により、天井部50a又は凹部56の壁面に固定されている。
網58は、凹部56とともに、内部空間52の容量を調整するための調整空間62を形成している。調整空間62は、網58及び凹部56によって囲まれた空間である。本実施形態において、蓋部50及び網58は、特許請求の範囲に記載の容量調節部に相当する。
図8では、内部空間52の水210が網58と接触する構成を示している。水210は、網58と接触する場合であっても、表面張力が作用することによって網目60を通り難い。言い換えると、網58は、水210が網目60を通り難くなるように形成されている。なお、表面張力とは、水210における空気との界面に作用する力であって、界面からバルク側へ作用する。バルクとは、水210において空気と接触していない部分である。
網目60が小さいほど、水210に作用する表面張力が大きい。そのため、水210は、網目60が小さいほど、網目60を通り難い。言い換えると、網目60は、水210が通り難い大きさとされている。
これにより、網58は、内部空間52に配置された水210が調整空間62に入るのを抑制している。言い換えると、調整空間62は、網58によって、水210が入り難い空間とされている。すなわち、調整空間62は、網58によって内部空間52と仕切られており、内部空間52と連通していない。
図9では、内部空間52に入った水210が凍って氷212になった構成を示している。氷212は、体積が増加する過程で網目60を通る。すなわち、網目60は、水210を通し難く、氷212を通す大きさとされている。これによれば、調整空間62に氷212の一部が配置される。網目60は、内部空間52の氷212を調整空間62に通すための経路として機能している。これによれば、調整空間62は、内部空間52と連通し、内部空間52の一部となっている。すなわち、内部空間52は、調整空間62を含む空間となっている。したがって、内部空間52の水210が凍った後では、水210が凍る前に較べて、内部空間52の容量が大きくなっている。
本実施形態では、上記実施形態と同等の効果を奏することができる。また、本実施形態では、蓋部50に凹部56が形成されるとともに、蓋部50に網58が固定されている。これによれば、従来構造をなす通気部材を、容量調整機能を有する本実施形態の通気部材40に取り替える場合、従来構造をなす蓋部を本実施形態の蓋部50に取り替えればよい。よって、従来構造をなす本体部を筐体から取り外す必要がなく、取り替える工程を簡略化することができる。
なお、本実施形態において、蓋部50は、本体部48に対して動かないように固定された例を示したが、これに限定するものではない。第1実施形態と同様に、蓋部50が本体部48に対して動くように固定された例を採用することもできる。
(第3実施形態)
本実施形態において、第2実施形態に示した電子装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
図10及び図11に示すように、本実施形態において、フィルタケース44は、網58に代えて、弾性部材64を有している。弾性部材64は、膜と称することもできる。弾性部材64は、凹部56の開口を閉塞している。弾性部材64及び凹部56により、調整空間62が形成されている。
弾性部材64は、接着材等により、天井部50a又は凹部56の壁面に固定されている。弾性部材64の厚さ方向は、Z方向に沿っている。図10では、内部空間52に水210が入っているが、水210は弾性部材64と接触していない構成を示している。水210及び氷212と接触していない状態において、弾性部材64は、全体の厚さ方向がほぼ均一とされている。
図11では、内部空間52の水210が凍った構成を示している。水210が凍って体積が増えると、Z方向における氷212の幅が大きくなり、氷212は弾性部材64と接触する。氷212は、天井部50aと接触した後も体積を大きくし、弾性部材64に応力を作用させる。氷212は、弾性部材64に対して、Z方向において弾性部材64が凹部56の底面へ向かう方向に応力を作用させる。
本実施形態において、弾性部材64は、フィルタ42よりも変形し易い材料を用いて形成されている。フィルタ42よりも変形し易い材料としては、例えば、ゴム材料を採用することができる。これにより、氷212からの応力によってフィルタ42が収容空間22側へ変形する前に、弾性部材64が凹部56の底面側へ変形する。弾性部材64の変形により、内部空間52の容量が大きくなり、調整空間62の容量が小さくなる。
内部空間52の氷212がとけて水210になると、弾性部材64には、弾性力が作用する。この弾性力により、弾性部材64は、水210が氷212になる前の形状に戻る。言い換えると、内部空間52の氷212がとけて水210になると、弾性部材64は、全体の厚さ方向がZ方向に沿うように変形する。これにより、内部空間52の容量は、弾性部材64が氷212と接触する前の容量に戻る。本実施形態において、蓋部50及び弾性部材64は、特許請求の範囲に記載の容量調整部に相当する。
本実施形態では、上記実施形態と同等の効果を奏することができる。また、本実施形態では、弾性部材64によって調整空間62に水210が入るのを抑制することができる。調整空間62に水210が入らない構成では、内部空間52の水210が凍る前に調整空間62に水210が入っている構成に較べて、フィルタケース44が内部空間52の容量を大きくし易い。すなわち、本実施形態において、フィルタケース44は内部空間52の容量を大きくし易い。
また、本実施形態において、弾性部材64は、フィルタ42よりも変形し易い材料を用いて形成された例を示したが、これに限定するものではない。弾性部材64が、フィルタ42と同程度の変形し易さとされた例を作用することもできる。すなわち、弾性部材64は、フィルタ42と同じ材料を用いて形成されていてもよい。さらに、弾性部材64は、フィルタ42よりも変形し難い材料を用いて形成されていてもよい。
なお、本実施形態では、凹部56の開口が弾性部材64によって閉塞される例を示したが、これに限定するものではない。図12及び図13の第1変形例に示すように、凹部56の開口が弾性部材66と板68とによって閉塞されていてもよい。第1変形例において、フィルタケース44は、弾性部材64に代えて、弾性部材66と板68とを有している。
弾性部材66は、Z方向に貫通する貫通孔が形成された略リング形状をなしている。弾性部材66は、例えば、ゴム材料を用いて形成されている。弾性部材66は、凹部56が囲む空間に配置されている。弾性部材66におけるZ方向における底部28と反対側の面は、接着材等により、凹部56の底面に固定されている。Z方向の投影視において、弾性部材66の外周端は、凹部56の外周端とほぼ一致している。弾性部材66における凹部56に固定された面と反対側の面には、板68が固定されている。
板68は、厚さ方向がZ方向に沿う略平板形状をなしている。板68は、弾性部材66よりも変形し難い材料を用いて形成されている。板68は、例えば、樹脂材料を用いて形成されている。板68は、Z方向における底部28と反対側の面が、接着材等により、弾性部材66に固定されている。これにより、弾性部材66及び板68は、凹部56を閉塞し、調整空間62を形成している。
図12では、板68が、水210と接触していない構成を示している。これに対し、図13では、水210が凍って、氷212が板68と接触する構成を示している。氷212は、板68及び弾性部材66に対して凹部56の底面側に応力を作用させる。弾性部材66は、この応力により、Z方向の幅を小さくするように縮む。よって、板68は、Z方向において底部28から凹部56の底面へ向かう方向に動く。これにより、内部空間52の容量が大きくなる。
氷212がとけると、弾性部材66におけるZ方向の幅は、弾性力により、板68が氷212と接触する前の幅に戻る。これにより、板68は、氷212と接触する前の位置に移動する。よって、内部空間52の容量は、板68が氷212と接触する前の容量に戻る。第1変形例において、蓋部50、弾性部材66、及び、板68は、特許請求の範囲に記載の容量調整部に相当する。
また、本実施形態では、蓋部50に凹部56が形成された例を示したが、これに限定するものではない。図14及び図15の第2変形例に示すように、本体部48に凹部70が形成された例を採用することもできる。第2変形例において、フィルタケース44は、弾性部材64に代えて、弾性部材72を有している。
凹部70は、配置部48bの内周端をなす部分からZ方向において底部28へ向かう方向へ凹んで形成されている。Z方向の投影視において、凹部70の外周端は、底部28において連通孔32を規定する面に囲まれている。凹部70の底面は、Z方向において、裏面28bよりも外部空間200側に形成されている。
弾性部材72は、Z方向に貫通する貫通孔が形成された略リング形状をなしている。弾性部材72における底部28側の面は、接着材等により、凹部70の底面に固定されている。Z方向の投影視において、弾性部材72の内周端は、円筒部48aの内周面48eとほぼ一致している。Z方向の投影視において、弾性部材72の外周端は、凹部70の外周端とほぼ一致している。弾性部材72においてZ方向における凹部70と反対側の面には、接着材等により、フィルタ42が固定されている。すなわち、フィルタ42は、弾性部材72を介して本体部48に固定されている。弾性部材72は、フィルタ42とともに、凹部70を閉塞している。
図14では、内部空間52の水210が、フィルタ42と接触し、天井部50aと接触しない構成を示している。図15では、氷212が天井部50aに接触する構成について示している。氷212は、天井部50aに対して、Z方向のうちの底部28から蓋部50へ向かう方向の応力を作用させる。しかしながら、蓋部50は、本体部48に対して動かないように固定されており、氷212から応力が作用しても動かない。
氷212には、天井部50aへ作用させる応力の反作用として、Z方向のうちの蓋部50から底部28へ向かう方向の応力が作用する。これにより、氷212からフィルタ42へ応力が作用する。そして、フィルタ42から弾性部材72へ応力が作用する。この応力により、弾性部材72は、Z方向の幅を小さくするように縮む。よって、フィルタ42は、Z方向において底部28に向かう方向へ移動する。フィルタ42の移動により、内部空間52の容量が大きくなる。
氷212がとけると、弾性部材72におけるZ方向の幅は、弾性力により、水210が凍る前の幅に戻る。これにより、フィルタ42は、水210が凍る前の位置に移動する。よって、内部空間52の容量は、水210が凍る前の容量に戻る。第2変形例において本体部48は、基部に相当する。また、本体部48及び弾性部材72は、特許請求の範囲に記載の容量調整部に相当する。
また、本実施形態において、蓋部50は、本体部48に対して動かないように固定された例を示したが、これに限定するものではない。図16及び図17の第3変形例に示すように、蓋部50が本体部48に対して動くように固定された例を採用することもできる。
図16では、内部空間52の水210が弾性部材64と接触していない構成を示している。図17では、氷212が弾性部材64と接触する構成を示している。氷212は、弾性部材64に対してZ方向のうちの底部28から蓋部50へ向かう方向に応力を作用させている。これにより、弾性部材64が凹部56の底面側へ変形するとともに、蓋部50が底部28と離れる方向へ移動する。
(第4実施形態)
本実施形態において、第3実施形態に示した電子装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
本実施形態において、図18及び図19に示すように、本体部48は、フィルタ42を支持する支持部48gをさらに有している。すなわち、フィルタケース44は、支持部48gを有している。支持部48gは、土台、又は、上げ底ケージと称することもできる。
支持部48gは、フィルタ42に対して内部空間52と反対側に配置されている。すなわち、支持部48gは、フィルタ42に対して収容空間22側に配置されている。支持部48gは、フィルタ42と接触している。言い換えると、支持部48gにフィルタ42が配置されている。支持部48gは、円筒部48aの内周面48eが囲む空間に配置されるとともに、円筒部48aと連結されている。
支持部48gは、延設方向がZ方向とされた略円筒形状の部材に、Z方向に貫通する複数の貫通孔74が形成されてなる。なお、貫通孔74の数は、1つであってもよい。貫通孔74は、Z方向のうちのフィルタ42側の一端がフィルタ42によって閉塞されている。貫通孔74は、内部空間52の空気を収容空間22へ通すための通気経路を形成している。
図20に示すように、複数の貫通孔74は、X方向及びY方向に並んで形成されている。複数の貫通孔74におけるX方向の間隔は、互いに均一とされている。また、複数の貫通孔74におけるY方向の間隔は、互いに均一とされている。なおXY平面における貫通孔74が形成される位置は、これに限定するものではない。貫通孔74は、Z方向の投影視において、フィルタ42と重なる位置に形成されていればよい。各貫通孔74の平面形状は、略矩形状とされている。しかしながら、これに限定するものではない。各貫通孔74の平面形状は、例えば、略真円形状であってもよい。
図18では、内部空間52の水が、フィルタ42と接触し、弾性部材64と接触しない構成を示している。図19では、弾性部材64が氷212によって変形している構成を示している。氷212におけるZ方向の幅が大きくなり、弾性部材64が氷212と接触すると、氷212からフィルタ42へ作用する応力が大きくなる。これにより、フィルタ42から支持部48gに作用する応力が大きくなる。
本実施形態では、支持部48gがフィルタ42を支持しているため、フィルタ42が内部空間52と反対側に変形するのを効果的に抑制することができる。そのため、フィルタ42の孔の径rが大きくなるのを効果的に抑制することができる。したがって、内部空間52の水210がフィルタ42を通るのを効果的に抑制することができる。よって、収容空間22に水210が入るのを効果的に抑制することができる。
ところで、天井部50aに凹部56が形成されず、フィルタケース44が弾性部材64を有さない構成であって、本体部48が支持部48gを有する構成が考えられる。すなわち、フィルタケース44が容量調整機能を有さない構成であって、本体部48が支持部48gを有する構成が考えられる。この構成では、内部空間52の水210が凍った場合であっても、内部空間52の容量は変化しない。一方、氷212からフィルタ42に大きな応力が作用する場合、支持部48gによってフィルタ42の変形が抑制される。内部空間52の容量が変化しない構成では、内部空間52の容量が大きくなる構成に較べて、氷212が蓋部50に大きな応力を作用させる。よって、氷212から蓋部50に作用する応力によって、蓋部50に亀裂等が生じる虞がある。
これに対して、本実施形態では、内部空間52の水210が凍った場合、内部空間52の容量が大きくなる。詳しく言うと、内部空間52の水210が凍った場合、氷212の体積増加により弾性部材64が変形する。これによれば、氷212からフィルタケース44へ大きな応力が作用するのを抑制することができる。よって、蓋部50に亀裂等が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態において、蓋部50は、本体部48に対して動かないように固定されている。しかしながら、これに限定するものではない。第1実施形態と同様に、蓋部50が本体部48に対して動くように固定された例を採用することもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態において、蓋部50は、本体部48と別部材により構成された例を示したが、これに限定するものではない。蓋部50が本体部48と同じ部材を用いて構成された例を採用することもできる。
また、上記実施形態において、外部空間200から内部空間52に水210が入る例を示したが、これに限定するものではない。外部空間200から内部空間52に塩水が入った場合であっても、フィルタケース44は内部空間52の容量を調整する。