JP4273997B2 - ケース - Google Patents
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Description
ケースの筐体1には、呼吸穴パーツ4を装着するための取付穴1bが設けられている。取付穴1bの周囲にはパッキン溝が設けられており、そのパッキン溝にはリングパッキン1cが挿入されている。呼吸穴パーツ4はプラスチック製で、円盤部4aと脚部4bとからなっている。円盤部4aにはこれを貫通する複数個の呼吸穴4cが設けられている。円盤部4aの内面側には、空気は通過させるが水は通過させない性質のフィルタ4dが、各呼吸穴4cを塞ぐようにして取り付けられている。脚部4bは円盤部4aとの接続部分を支点として弾性変形可能であり、脚部4bの先端部には係止爪4eが設けられている。
そのため、筺体1に水がかかった場合、各呼吸穴4c内にも水が侵入し、その侵入した水は表面張力により水滴Wとなって各呼吸穴4c内に溜まるおそれがある。
このように、フィルタの前面側を水滴が覆って通気性が阻害されるという問題は、特許文献1および特許文献2の技術でも同様に起こりえる。
請求項1に記載の発明は、
ケースの内部と外部とを連通するように当該ケースの形成部材そのものに貫通形成された複数個の通気孔と、
前記複数個の通気孔を覆うようにケースの外側に直接貼着されて露出しているフィルタ膜とを備えたケースであって、
前記フィルタ膜は通気性および防水性を有し、
前記複数個の通気孔は前記フィルタ膜の全面に分散配置され、
前記ケースにおける前記フィルタ膜の貼着面とその周囲面において連続した平坦面を有し、前記ケースの外側に向かって突出した保護壁が前記フィルタ膜の周囲に設けられていることを技術的特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項2に記載のケースにおいて、前記保護壁は、前記フィルタ膜の周囲の平坦面に配置されていることを技術的特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のケースにおいて、前記保護壁は複数個設けられ、前記複数個の保護壁は隙間を空けて配置されていることを技術的特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のケースにおいて、前記複数個の保護壁は前記フィルタ膜の周囲に等間隔に配置されていることを技術的特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のケースにおいて、前記保護壁の横断面は円弧状をなし、その円弧状に膨らんだ部分が前記フィルタ膜側に向けて配置されていることを技術的特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のケースにおいて、ケースの外側に向かって突出した突起部材が前記フィルタ膜上に設けられていることを技術的特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のケースにおいて、前記突起部材は、前記複数個の保護壁に対して等距離に配置されていることを技術的特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のケースにおいて、ケースの内部には自動車の電子制御装置が収容され、当該ケースは自動車のエンジンルーム内に搭載されることを技術的特徴とする。
請求項1に記載の発明では、フィルタ膜はケースの外側に取付固定されており、フィルタ膜の周囲には水が溜まるような突起物が設けられていない。そのため、フィルタ膜に水がかかった場合、その水は防水性を有するフィルタ膜の表面を流れ落ち、フィルタ膜表面に水滴が溜まることはない。従って、請求項1に記載の発明によれば、水滴がフィルタ膜の前面側を覆ってフィルタ膜の通気性が阻害されるのを防止できる。
そして、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明における保護壁はフィルタ膜の周囲の平坦面に配置すればよい。
請求項3に記載の発明によれば、何らかの物体がフィルタ膜に接触するのをフィルタ膜の周囲に配置された複数個の保護壁が確実に遮るため、請求項1または請求項2に記載の発明の効果を更に高めることができる。
また、請求項3に記載の発明では、複数個の保護壁が隙間を空けて配置されているため、フィルタ膜に水がかかった場合、その水は、まず、防水性を有するフィルタ膜の表面から各保護壁側へ流れ、次に、各保護壁の隙間から流れ出すことから、フィルタ膜表面に水滴が溜まることはない。
請求項4に記載の発明では、各保護壁がフィルタ膜の周囲に等間隔に配置されているため、ケースをどのような向きにして使用する場合でも、各保護壁の隙間から確実に水を排出することが可能であり、フィルタ膜表面に水滴が溜まることはない。従って、請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果を更に高めることができる。
請求項5に記載の発明では、各保護壁の円弧状に膨らんだ部分がフィルタ膜側に向けて配置されているため、フィルタ膜に水がかかった場合、その水は、まず、防水性を有するフィルタ膜の表面から各保護壁側へ流れ、次に、各保護壁の円弧状に膨らんだ部分に沿ってスムーズに流れ、最後に、各保護壁の隙間から流れ出す。従って、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果を更に高めることができる。
請求項6に記載の発明では、突起部材が設けられているため、何らかの物体がケースに当接した場合、その物体の大きさが突起部材と各保護壁との間隔より大きければ、その物体は突起部材および各保護壁に遮られてフィルタ膜に接触せず、その物体からの外力によるフィルタ膜の破損を確実に防止できる。従って、請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載の発明の効果を更に高めることができる。
請求項7に記載の発明では、前記突起部材が前記複数個の保護壁に対して等距離に配置されているため、請求項6に記載の発明の効果を確実に得られる。
請求項8に記載の発明では、ケースの内部には自動車の電子制御装置が収容され、ケースは自動車のエンジンルーム内に搭載される。
雨天や雨上がり後に自動車を走行させた場合、エンジンルーム内に雨水やタイヤが跳ね上げた泥水が侵入し、その雨水や泥水がエンジンルーム内に搭載された電子制御装置にかかるおそれがある。また、自動車のエンジンルーム内は特に温度変化が激しい。そこで、エンジンルーム内に搭載された電子制御装置(車載電子制御装置)を被水から保護するため、電子制御装置を高い防水性を有する密閉構造のケースに収容し、ケース本体と蓋との間には防水密閉用のシール材を設けている。しかし、ケースが完全に密閉されていると、エンジンルーム内の温度変動によりケースの内部と外部とに圧力差が生じた場合、シール材が破れて防水性能が保持できなくなるおそれがある。
従って、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明のケースを用い、当該ケース内に電子制御装置を収容すれば、電子制御装置を被水から確実に保護すると共に、エンジンルーム内の温度変動によりケースの防水性能が低下するのを確実に防止できる。
図1(A)は、第1実施形態のケース10の要部断面図である。図1(B)は、ケース10の要部斜視図である。尚、図1(A)は、図1(B)のX−X線断面図である。
図2(A)は、ケース10の平面図である。図2(B)は、ケース10の正面図である
図2に示すように、ケース10は上部カバー(筺体、ケース本体)12と下部カバー(蓋)16とが互いの外周縁部で嵌合されて形成され、その外周縁部における各カバー12,16の間には防水密閉用のシール材(図示略)が設けられて外周縁部の液密化が図られている。
各カバー12,16はそれぞれ合成樹脂材料によって一体形成されている。
上部カバー12には、各通気孔12aを覆うように円形のフィルタ膜(呼吸膜)14が配置され、フィルタ膜14は上部カバー12に対して適宜な方法(例えば、熱溶着法、超音波溶着法、両面粘着テープや接着剤を用いる接着法など)によって取付固定されている。
第1実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
そのため、フィルタ膜14に水がかかった場合、その水は防水性を有するフィルタ膜14の表面を流れ落ち、フィルタ膜14表面に水滴が溜まることはない。従って、第1実施形態によれば、水滴がフィルタ膜14の前面側を覆ってフィルタ膜14の通気性が阻害されるのを防止できる。
つまり、第1実施形態によれば、フィルタ膜14によるケース10の内圧調整機能に不良が発生するのを防止できる。
また、フィルタ膜14は、通気孔12aからケース10内に塵埃が侵入するのを防止する。
そのため、各通気孔12aの径(開口面積)を十分に小さく(例えば、直径数mm以下)、各通気孔12aの配置間隔を十分に大きく、各通気孔12aの個数を十分に少なく設定しておくことにより、フィルタ膜14に外力が加わった場合に、その外力を各通気孔12a間の上部カバー12が受けることが可能になり、フィルタ膜14の破損を防止できる。
従って、フィルタ膜14の十分な通気性を確保した上で、外力によるフィルタ膜14の破損を防止できるように、各通気孔12aの径,配置間隔,個数については、カット・アンド・トライで実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
従って、ケースとは別部品を必要とする従来技術(特許文献1〜4)に対して、第1実施形態によれば、前記別部品を必要としない分だけ部品コストを低減でき、前記別部品をケースに組み付ける工数も必要としないため製造コストを低減できることから、ケース10を低コストに提供できる。
図3(A)は、第2実施形態のケース20の要部断面図である。図3(B)は、ケース20の要部斜視図である。尚、図3(A)は、図3(B)のX−X線断面図である。
ケース20の外形は、図2に示した第1実施形態のケース10と同じである。
同一寸法形状の各保護壁22a〜22cは、その横断面が円弧状をなし、その円弧状に膨らんだ部分をフィルタ膜14側に向けて、フィルタ膜14の外周に隣接した箇所に隙間を空けて等間隔に配置されている。つまり、各保護壁22a〜22cは、その横断面がフィルタ膜14に対して外側に開いた略三日月状をなす。
第2実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
そのため、ケース20が自動車のエンジンルーム内でどのような向きに取り付けられている場合でも、各保護壁22a〜22cの隙間から確実に水を排出することが可能であり、フィルタ膜14表面に水滴が溜まることはない。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の前記(1−1)と同様の作用・効果が得られる。
そこで、第2実施形態では、フィルタ膜14を挟んだ各保護壁22a〜22cの間隔を作業者の指先よりも大きく(例えば10mm程度)設定しておけば、作業者の指先は各保護壁22a〜22cに遮られてフィルタ膜14に接触しないため、指先からの外力によるフィルタ膜14の破損を、第1実施形態よりも更に確実に防止できる。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の前記(1−3)と同様の作用・効果が得られる。
図4(A)は、第3実施形態のケース30の要部断面図である。図4(B)は、ケース30の要部斜視図である。尚、図4(A)は、図4(B)のX−X線断面図である。
ケース30の外形は、図2に示した第1実施形態のケース10と同じである。
第3実施形態によれば、第2実施形態の前記(2−1)と同様の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を得ることができる。
そのため、第3実施形態によれば、突起部材32および各保護壁22a〜22cの高さを適宜設定することで、フィルタ膜14の径の多様なサイズに対してフレキシブルに対応できる。
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態の前記(1−3)と同様の作用・効果が得られる。
図5(A)は、第4実施形態のケース40の要部断面図である。図5(B)は、ケース40の要部斜視図である。尚、図5(A)は、図5(B)のX−X線断面図である。
ケース40の外形は、図2に示した第1実施形態のケース10と同じである。
つまり、上部カバー12の上面には、円形の孔が上部カバー12の内部と外部とを連通するように貫通形成され、その孔内を仕切るように十字型の補強桟12cが設けられ、その補強桟12cによって前記孔内は4個の扇形の通気孔12bに分割されている。
そして、上部カバー12には、各通気孔12bを覆うように円形のフィルタ膜14が配置されている。
第4実施形態によれば、第2実施形態の前記(2−1)と同様の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を得ることができる。
従って、第4実施形態では、開口面積の大きな各通気孔12bを設けることが可能になり、フィルタ膜14を通過する空気量を増大させて、第1実施形態の前記(1−1)に記載したフィルタ膜14によるケースの内圧調整機能を向上させることができる。
ちなみに、第2実施形態と第3実施形態のどちらを採用するかは、上部カバー12の形成材料および成形法を勘案して決定すればよい。
従って、第4実施形態によれば、第1実施形態の前記(1−3)と同様の作用・効果が得られる。
図6(A)は、第5実施形態のケース50の要部断面図である。図6(B)は、ケース50の要部斜視図である。尚、図6(A)は、図6(B)のX−X線断面図である。
ケース50の外形は、図2に示した第1実施形態のケース10と同じである。
従って、第5実施形態によれば、第3実施形態と第4実施形態の作用・効果を共に得ることができる。
ところで、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
また、第2〜第4実施形態では、円弧状の各保護壁22a〜22cの膨らんだ部分をフィルタ膜14側に向けて等間隔に配置している。しかし、ケース10,20,30,40が自動車のエンジンルーム内でどのような向きに取り付けられている場合でも、各保護壁の隙間から確実に水を排出することが可能であれば、各保護壁の形状および間隔はどのように設定してもよい。
12…上部カバー
12a,12b…通気孔
14…フィルタ膜
16…下部カバー
22a〜22c…保護壁
32…突起部材
Claims (8)
- ケースの内部と外部とを連通するように当該ケースの形成部材そのものに貫通形成された複数個の通気孔と、
前記複数個の通気孔を覆うようにケースの外側に直接貼着されて露出しているフィルタ膜と
を備えたケースであって、
前記フィルタ膜は通気性および防水性を有し、
前記複数個の通気孔は前記フィルタ膜の全面に分散配置され、
前記ケースにおける前記フィルタ膜の貼着面とその周囲面において連続した平坦面を有し、
前記ケースの外側に向かって突出した保護壁が前記フィルタ膜の周囲に設けられていることを特徴とするケース。 - 請求項1に記載のケースにおいて、
前記保護壁は、前記フィルタ膜の周囲の平坦面に配置されていることを特徴とするケース。 - 請求項1または請求項2に記載のケースにおいて、
前記保護壁は複数個設けられ、
前記複数個の保護壁は隙間を空けて配置されていることを特徴とするケース。 - 請求項3に記載のケースにおいて、
前記複数個の保護壁は前記フィルタ膜の周囲に等間隔に配置されていることを特徴とするケース。 - 請求項4に記載のケースにおいて、
前記保護壁の横断面は円弧状をなし、その円弧状に膨らんだ部分が前記フィルタ膜側に向けて配置されていることを特徴とするケース。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のケースにおいて、
ケースの外側に向かって突出した突起部材が前記フィルタ膜上に設けられていることを特徴とするケース。 - 請求項6に記載のケースにおいて、
前記突起部材は、前記複数個の保護壁に対して等距離に配置されていることを特徴とするケース。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のケースにおいて、
ケースの内部には自動車の電子制御装置が収容され、当該ケースは自動車のエンジンルーム内に搭載されることを特徴とするケース。
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