JP2004173412A - 防水性ケース体、及び防水性ケース組立体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上面開口が上蓋体で密封された防水性ケース体10は、周壁部と底壁部とを有する略箱形状であって、内部に被収容物を収容する収容空間11と、前記周壁部及び/又は底壁部の内側に前記収容空間11に向けて突設されて、前記ケース体10に設けられた外部連通孔16と前記収容空間11とを連通する通気路Aを形成する通気路形成部Bとを備え、前記通気路形成部Bの下端面は、前記外部連通孔16に近い側が低くなるように傾斜して形成されて、気体の透過は許容するが液体の透過は阻止する通気膜Sが通気路Aを塞ぐようにして接合された傾斜接合面17となっている。傾斜接合面17に傾斜して接合された通気膜Sの上側部分は、前記外部連通孔16及び通気路Aの下面側の上向突出部24の位置よりも重力方向上側に位置する構成とする。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作動時に発熱する要素を内部に収容するための防水性を有するケース体、及び防水性ケース組立体に関するものである。作動時に発熱する要素としては、電気機器、電子機器、ランプのバルブ(電球)等が挙げられ、具体的なケース組立体としては、例えば自動車のエンジンルームや二輪車等に搭載されるコネクターケース等が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
上記した発熱性を有する要素又はその付属部(例えば電気接点)に水滴が付着すると、付着部を腐食させて機器の誤動作を生じさせたり、或いは故障の原因となる。このため、上記のような発熱要素を収容するケースは、防水性が要求される。この防水性を有するケース組立体としては、そのケース体に通気孔(貫通孔)を開けておき、気体の通過は許容するが液体の通過は阻止する通気膜により前記通気孔を覆ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−155814号公報
【0004】
上記特許文献1に記載の従来のコネクターケースC’は、図7に示されるように、電子部品の収容空間11を有する箱状をしたケース体10と、このケース体10の上面開口を覆う上蓋体30とで構成される。ケース体10は、樹脂成形品であって、その周壁部を構成するケース体本体14にコネクター部13が外方に向けて一体に形成され、その樹脂成形時(射出成形時)に、ケース体本体14におけるコネクター部13が設けられた部分にコネクター端子1が内外の両方向に突出した状態で、その中央部のみが部分的にインサート射出成形により一体に取付けられる。
【0005】
また、上蓋体30の裏面には、絶縁導熱シート2が一体に貼り付けられ、この絶縁導熱シート2にトランジスタ、ダイオード等の作動時に発熱する前記電子部品3,4が実装されている。また、ケース体10の収容空間11には、基板5が配置され、この基板5と前記電子部品3,4等とは、接続端子6を介して接続されている。また、前記コネクター端子1におけるケース体10内の端部は、基板5に接続されている。
【0006】
また、図7に示されるように、ケース体10の底壁部は、別体の下蓋体15が一体に接合されて形成され、この底壁部を構成する下蓋体15の内面には小段差部が形成されており、この小段差部を覆うように、気体の通過は許容するが液体の通過は阻止する通気膜S’ が一体的に接合されて、後述の貫通孔52を覆っており、通気膜S’の外側(ケースの内部側)には通気性を有する補強体51が一体的にラミネートされている。そして、ケース体10の底壁部を構成する下蓋体15には、貫通孔52が形成され、この貫通孔52が、通気膜保護栓53で部分的に覆われている。貫通孔52の外周部には、周方向に沿って所定間隔をおき、しかも下蓋体15の板厚方向に沿って貫通せずに途中で止まった複数の連通孔52aが設けられている。また、通気膜保護栓53の外周部には、周方向に沿って前記連通孔52aと同一間隔をおいて、厚さ方向に沿って途中で止まった状態で連通孔53aが設けられている。そして、自身の連通孔53aを底壁部の貫通孔52の連通孔52aと合致させ、しかも自身の連通孔53aを内側に配置して、ケース体10の底壁部を構成する下蓋体15に貫通された貫通孔52に、通気膜保護栓53が差し込まれている。これにより、通気膜保護栓53により通気膜S’ が保護された状態で、ケース体10の内外が連通された構造となる。ここで、この通気膜保護栓53は、下蓋体15と一体的に形成されているものである。なお、通気膜S’と通気栓補強体51との関係は、上記とは逆に補強体51の内側に通気膜S’が配置されることもあり、また補強体51が使用されないこともある。
【0007】
しかし、上記したコネクターケースC’は、通常の使用状態、即ち乾燥した環境下で使用される場合には、特に問題は生じないが、その周囲に水が付着する環境下で使用される場合には問題を生ずることがある。例えば、上記コネクターケースC’の場合には、雨天の中で自動車を走行し終わってエンジンを停止させると、ケース体10内の空気温度は低下し始める。ケース体10内の空気温度の低下によって、この空気は収縮するが、このとき通気膜の全面が雨水で覆われていると、空気の通過が妨げられるために、ケース体10内の気圧が外部の気圧(大気圧)よりも低くなって、ケース体10の内外において気圧差が生ずる。この気圧差が所定以上に大きくなると、通気膜の表面を覆っていた水滴は、その微細通気孔を通って内部に吸い込まれてケース体10内に水滴が浸入して、内部の機器又はその付属部に付着して、上記不具合を生ずる。
【0008】
また、通気膜S’を保持するために、上記構造のように、ケース体10における通気膜S’よりも外側の部分に、小さな連通孔52a,53aを有する前記通気膜保護栓53等の保護部を設けても、針金等の細い異物が侵入し通気膜が損傷される危険性は払拭しきれない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記した防水性ケース組立体又はケース体において、水滴等の液体が付着する恐れのある環境下で使用されても、ケース体の機器収容空間内に液体が浸入せず、しかも通気可能な状態を維持可能とすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、内部空間に被収容物を収容した状態で、上面開口が上蓋体で密封されて、前記上面開口を重力方向上側に配置して使用される防水性ケース組立体用のケース体であって、前記防水性ケース体は、周壁部と底壁部とを有する略箱形状であって、内部に被収容物を収容する収容空間と、前記周壁部及び/又は底壁部の内側に前記収容空間に向けて突設されて、前記ケース体に設けられた外部連通孔と前記収容空間とを連通する通気路を形成する通気路形成部とを備え、前記通気路形成部の下端面は、前記外部連通孔に近い側が低くなるように傾斜して形成されて、気体の透過は許容するが液体の透過は阻止する通気膜が通気路を塞ぐようにして接合された傾斜接合面となっていると共に、その上端面は、前記上蓋体が気密を保持して取付可能なようにケース体の上端面と同一平面に形成されており、しかも、前記傾斜接合面に傾斜して接合された通気膜の上側部分は、前記外部連通孔及び通気路の下面側の上向突出部の位置よりも重力方向上側に位置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項1の発明によれば、通常の使用状態では、通気膜は液体を透過させないので、雨水等が被収容物を収容するケース体の収容空間に流れ込むことはない。一方、通気膜はガスは透過させるので、被収容物の作動時に発熱して、これに伴って収容空間内の気体が膨張しても、膨張気体は通気膜を通して外部に排出されるので、収容空間内の気圧が上昇しない。逆に、作動が停止して、降温に伴い気体が収縮するときには外部から気体を取り入れて、収容空間内の気圧を大気圧と同一に保つ。また、仮に通気膜の部分に水が達しても、通気膜の上側部分は、前記外部連通孔及び通気路の下面側の上向突出部の位置よりも重力方向上側に位置されているため、通気膜に達した水の一部は外部連通孔から排水されると共に、通気膜の全体が浸入した水で覆われることはなく、通気膜の少なくとも上側部分は露出して、通気機能を発揮しているので、通気可能な状態が維持される。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記通気路形成部は、ケース体の周壁部に一体に形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の上記作用効果に加えて、通気路形成部がケース体の周壁部に一体に形成されているために、ケース体及び外部連通孔に対する通気路形成部の位置ずれがなくなって、ケース体の内外を確実に連通できる。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記通気路は、外部連通孔から収容空間に至る間において屈曲して形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明の上記作用効果に加えて、通気路が屈曲しているため、例えば、洗車時に水が吹き付けられたり、風雨時に雨水が吹き付けられても、これらの水が外部連通孔から内部の通気膜に達するのが抑制、或いは防止される。また、不測に、又はいたずらで外部から工具や針金等の異物が通気膜に直接に達するのが防止される。これらによって、通気膜が保護される。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記通気膜の傾斜角度は、水平方向に対して30°〜60°であることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明の上記作用効果に加えて、通気膜の傾斜角度が上記の程度であれば、接着、溶着等によって、通気路形成部の下端面である傾斜接合面に対して通気膜を接合させるのに支障がない。また、水が通気膜の部分に達した場合に、水で覆われない部分が確保し易い。
【0018】
また、請求項5の発明は、内部空間に被収容物が収容され、上面開口が密封されて、前記上面開口を重力方向上側に配置して使用される防水性ケース組立体であって、前記防水性ケース組立体は、周壁部と底壁部とを有する略箱形のケース体と、前記ケース体の上面開口を密封し、その周壁部の上端面に気密を保持して取付けられた上蓋体とを有し、前記ケース体は、内部に被収容物を収容する収容空間と、前記周壁部及び/又は底壁部の内側から前記収容空間に向けて突設されて、前記ケース体に設けられた外部連通孔と前記収容空間とを連通する通気路を形成する通気路形成部とを備え、前記通気路形成部の下端面は、前記外部連通孔に近い側が低くなるように傾斜して形成されて、気体の透過は許容するが液体の透過は阻止する通気膜が前記通気路を塞ぐように接合された傾斜接合面となっていると共に、その上端面は、前記上蓋体が気密を保持して取付可能なようにケース体の上端面と同一平面上に形成されており、しかも、前記傾斜接合面に傾斜して接合された通気膜の上側部分は、前記外部連通孔及び通気路の下面側の上向突出部の位置よりも重力方向上側に位置されていることを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1に記載の防水性ケース体と、その上面開口を覆う上蓋体との組み合わせに係る発明であって、その作用効果は、請求項1の発明と実質的に同一である。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記ケース体は、上下に開口した筒状のケース体本体と、このケース体本体の下端面に気密を保持して接合される下蓋体と、前記ケース体本体よりも熱伝導率の高い材料で形成されて、前記ケース体本体の上端面に気密を保持して固着される上蓋体とを有し、通気路形成部は、ケース体本体の周壁部に形成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の上記作用効果に加えて、被収容物の形状又は配置位置によっては、ケース体の上面開口からよりも、その下側から挿入配置する方が容易であったり、下側からでないと挿入不能な場合があるが、この場合において、ケース体は、上面のみならず下面も開口しているために、ケース体の下側からの被収容物の挿入が可能となる。また、上蓋体は、ケース体本体よりも熱伝導率の高い材料で形成されているため、ケース体内で発生した熱を外部に放出させる放熱性が高く、ケース体内の空気の熱膨張を抑えることができるため、通気膜の接合部や、ケース体と上蓋体との気密取付部に作用する力が小さくなって、当該部分における負担を軽減できる。更に、通気路形成部がケース体本体の周壁部に形成されているため、ケース体の外部と連通する排水口を兼用した外部連通孔をケース体本体に設けることにより、通気路形成部に形成された通気路と前記外部連通孔とを直接に連通させられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1は、本発明に係るコネクターケースCの上蓋体30の一部を破断した斜視図であり、図2は、ケース体10の平面図であり、図3は、ケース体10に一体に形成された通気路形成部Bの部分を下側から見た斜視図であり、図4は、同じく一部を破断した通気路形成部Bの部分の斜視図である。最初に、コネクターケースCの全体構成について説明し、その後に、ケース体10における本発明に係る通気路形成部Bの部分について詳細に説明する。なお、「従来の技術」の項目で説明した部分と同一部分には、同一符号を付し、重複説明を避けて、異なる部分についてのみ説明する。
【0023】
また、図5は、上蓋体30が取付けられた状態の図2のX−X線断面図であり、図6は、図5の通気路形成部Bの部分の拡大図である。コネクターケースCは、図1及び図5に示されるように、ケース体10と、その上面開口を覆う上蓋体30とで構成される。箱状をしたケース体10は、上下に開口した筒状のケース体本体14と、その底面に一体接合される下蓋体15とで構成され、ケース体本体14の内部に、電子部品3,4、基板5等の必要な部品又は機器を収容した後に、その底面部にシール材を兼用した接着剤等によって下蓋体15を気密に接合することにより、ケース体本体14の底面部に下蓋体15が気密及び水密を保持して、ケース体10が形成される。このため、ケース体10の底壁部は、その底面部に接合された別体の下蓋体15で構成される。このように、ケース体10の底壁部を別体の下蓋体15で構成すると、被収容物の形状又は配置位置によっては、ケース体10の上面開口からよりもその下側から挿入配置する方が容易であったり、下側からでないと挿入不能な場合において、ケース体10は、上面のみならず下面も開口しているために、ケース体10の下側からの被収容物の挿入が可能となる利点がある。しかし、ケース体10内に対する被収容物の収容が、その上側からのみであって、その下側からは行われない場合には、ケース体本体14と下蓋体15を一体に形成してもよい。
【0024】
また、ケース体10の上面開口は、上蓋体30によって同じく気密及び水密を保持して接合される。この一体接合の構造としては、粘着性を有しシール材を兼用した接着剤で固着する構造が好ましいが、Oリングやゴムパッキン等のシール材を介してビス止めする構造、或いは振動溶着、超音波溶着等で固着する構造等もある。また、上蓋体30は、その放熱機能を奏させるために、ケース体10の材料よりも熱伝導率の高いアルミニウム等の金属放熱体で構成することが好ましく、しかも図1に示されているように、その上面側の放熱面積を大きくして放熱性能を高めるための凹凸部30aを形成することが好ましい。また、上蓋体30を金属放熱体で構成すると、良好な放熱効果により温度差を小さくできケース体10内の空気の膨張又は収縮を抑えることができる。前記温度差の抑制によりケース体10の内外の圧力差を小さくできて、後述の通気膜Sを通ってケース体10内に水滴が浸入しにくくなる。また、ケース体10の内外の圧力差が小さくなることにより、後述の通気膜Sの接合部や、ケース体10と上蓋体30との気密接合部に作用する変形力が小さくなって、当該部分の負担も軽減できる。
【0025】
なお、本実施形態では、上蓋体30が金属材料からなり、下蓋体15が樹脂材料からなるケース体10を挙げているが、被収容物の発熱量やケース内での配置によっては、上蓋体30と下蓋体15がどちらも樹脂材料からなる場合や、上蓋体30が樹脂材料、下蓋体15が金属材料からなる場合もあり得る。
【0026】
また、本実施形態においては図1ないし図5にそれぞれ示されるように、ケース体本体14の前記コネクター部13と反対の側の部分には、ケース体10の内外を連通する外部連通孔16が設けられている。また、ケース体10の周壁部を構成するケース体本体14の内側におけるコネクター部13と反対の側の部分には、通気路形成部Bが内側(収容空間11の側)に突出して一体に設けられている。この通気路形成部Bは、その内部に、前記外部連通孔16とケース体10の内部の収容空間11とを連通する通気路Aを形成する部分である。即ち、通気路形成部Bの下端面は、ケース体10の周壁部の側が重力方向で低くなるように傾斜して形成されて、後述の通気膜Sを接合する円環状の傾斜接合面17となっていると共に、その上端面18は、前記上蓋体30が気密を保持して接合可能なようにケース体10の上端面10aと共通平面となっている。また、通気路形成部Bの内部に形成される通気路Aは、前記外部連通孔16と連通するように水平方向に形成された断面方形状の水平通気路19と、この水平通気路19とケース体10の収容空間11とを連通する断面円形の垂直通気路21とで構成される。水平通気路19は上方が開口され、垂直通気路21は、上下の双方が開口されている。
【0027】
また、通気路形成部Bの下端面である傾斜接合面17には、気体の透過は許容するが液体の透過は阻止する通気膜Sが接合されて、通気路形成部Bの内部に形成された通気路Aが塞がれている。この通気膜Sは、ミクロ的に見たときには、ほぼ海綿状で、その内部に、大きさが0.05μm〜20μm程度の不規則形状の無数の微細気孔を有している。よって、通気膜Sは、大きさが0.0004μmの大気中の水分、水蒸気及びこれよりも小さな大気ガス(窒素ガス、酸素ガス)は通過させるが、大きさが100 μm( ほぼ霧雨の大きさ)以上の水滴、油滴等の液体及び塵類等の固形の異物の通過は阻止する性能を有する。この通気膜Sとしては、米国W.L.ゴア社の商品名「ゴアテックス」、日東電工株式会社の商品名「ミクロテックス」等が市販されていて、好適に使用できる。上記の通気膜の材質は、いずれもポリテトラフルオロエチレン樹脂で、その厚さは使用目的に応じて、50μm〜200 μmのものが入手可能であって、これらのものを適宜選択して使用可能である。
【0028】
また、図6に示されるように、ケース体の周壁部を構成するケース体本体14に設けられた外部連通孔16は、前記水平通気路19の底面19aよりも重力方向下側に設けられて、断面視で略L字状に屈曲している。また、通気路形成部Bの下端面に形成された傾斜接合面17の斜上端部17aは、通気路Aを構成する水平通気路19の底面19aよりも重力方向上側に配置されている。換言すると、通気膜Sの略上半部である上側部分Saは、通気路形成部Bの外側(ケース体本体14の周壁部に近い側)に形成された上向突出部24よりも重力方向上側に配置され、前記上向突出部24に対して斜方向に沿って対向して位置している通気路形成部Bの内側の下向突出部25は、水平通気路19の底面19aよりも重力方向上側に位置している。このため、図6に示されるように、外部連通孔16及び通気路Aを通って通気膜Sの部分まで水Wが浸入しても、水平通気路19の底面19aを超える量の水Wが通気膜Sの内側の部分に達した場合には、通気路A及び外部連通孔16を通ってケース体10の外部に排水される。換言すれば、通気膜Sの外側の部分に水Wが達しても、通気膜Sは、その略下半部(下側部分)が水Wに接するのみである。このため、通気膜Sの部分には、水平通気路19の底面19aを超える量の水Wが貯水されることはなくなって、傾斜配置された通気膜Sの略上半部(上側部分)には、その内側が水で覆われていない部分(図6でGで示される半円状の部分)が存在するため、ケース体10の内外は、通気膜Sにおける水で覆われていない前記半円状の部分を通して常に通気可能な状態が保たれる。通気膜Sにおける通気可能な部分を確保する観点からは、通気膜Sの傾斜配置の角度は大きい程望ましいが、前記通気膜Sは、接着、溶着等により後工程で取付けられることもあり、この取付性の観点をも考慮すると、通気膜Sの傾斜配置の角度(θ)は、30°〜60°が好ましい。なお、図3及び図6に図示されているように、通気路形成部Bの下端面の傾斜接合面17の外周には、当該傾斜接合面17に接合される通気膜Sの外周縁と一致する環状溝22が形成されている。
【0029】
また、コネクターケースCは、図5に示されるように、上蓋体30が重力方向上側を向くように配置して使用される。そして、周囲に水滴等が付着することのない通常の乾燥した環境下においては、通気膜Sは、気体(ガス)は透過させるので、収容空間11内の被収容物である電子部品3,4等が作動時に発熱し、これに伴って収容空間11内の気体が膨張して内部圧力が高くなっても、膨張気体は、図5及び図6で2点鎖線で示されるように、通気路形成部Bの内部に形成された通気路A及び外部連通孔16を通って外部に排出されて、収容空間11内の圧力は、大気と同一を保つ。逆に、収容されている電子部品3,4等の発熱が停止して、降温の冷却時には、収容空間11内の圧力が低下するために、上記と逆経路を経て外部から気体(空気)が取り込まれて、収容空間11内の気体の圧力は、大気と同一に保持される。
【0030】
また、自動車の雨天走行等の周囲に水滴が付着する環境下においては、外部連通孔16及び通気路形成部Bの内部の通気路Aを通って、通気膜Sの内側の部分に水Wが達しても、この水Wは、水平通気路19の底面19aを超えて通気膜Sの内側に貯水されることはないため、通気膜Sには、水Wで覆われない部分Gが確保されて、この通気膜Sにおける水で覆われていない部分Gを通してケース体10の内外は通気可能となる。よって、図6に示されるように、仮に通気膜Sの内側に部分的に水Wが貯留したとしても、通気膜Sの機能は果たされるため、ケース体10の収容空間11に水Wが浸入するのを阻止した状態で、ケース体10の内部の収容空間11内の圧力は大気圧と同一に維持される。このため、ケース体10の収容空間11に収容された各種機器が保護される。
【0031】
また、外部連通孔16は、断面視で略L字状に屈曲されているため、この形状自体によって水の浸入(流入)を防止、或いは抑制できると共に、異物、特に細長い針状の異物の侵入を有効に防止できる利点がある。例えば、針金がケース体の外側から外部連通孔の開口部から侵入しようとしても、連通孔をL字状に形成している壁面に突き当たるため侵入は阻止される。
【0032】
また、上記実施形態では、通気路形成部Bは、ケース体10の周壁部を構成するケース体本体14に一体に設けてあるが、ケース体10の周壁部と底壁部とが一体の場合において、その底壁部に設けたり、或いは周壁部と底壁部の双方に亘って設けることも可能である。なお、本発明に係るケース組立体は、この上下が重力方向に対して傾いた状態で使用されることもある。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る防水性のケース体、或いはケース組立体は、ケース体に設けられた通気路形成部の下端面の傾斜接合面に接合された通気膜の部分に仮に水が達しても、傾斜接合面に傾斜して接合された通気膜の上側部分は、外部連通孔及び通気路の下面側の上向突出部の位置よりも重力方向上側に位置されているため、通気膜に達した水の一部は外部連通孔から排水されると共に、通気膜の全体が浸入した水で覆われることはなく、通気膜の少なくとも上端部は露出して、通気機能を発揮しているので、周辺の環境とは無関係に常に通気可能な状態が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコネクターケースCの上蓋体30の一部を破断した斜視図である。
【図2】ケース体10の平面図である。
【図3】ケース体10に一体に形成された通気路形成部Bの部分を下側から見た斜視図である。
【図4】同じく一部を破断した通気路形成部Bの部分の斜視図である。
【図5】上蓋体30が取付けられた状態の図2のX−X線断面図である。
【図6】図5の通気路形成部Aの部分の拡大図である。
【図7】従来のコネクターケースC’の断面図である。
【符号の説明】
A:通気路
B:通気路形成部
C:コネクターケース
S:通気膜
3,4:電子部品(被収容物)
5:基板(被収容物)
10:ケース体
11:収容空間
14:ケース体本体
15:下蓋体(ケース体の底壁部)
16:外部連通孔
17:傾斜接合面
17a:傾斜接合面の傾斜上端部
18:通気路形成部の上端面
19:水平通気路
21:垂直通気路
24:通気路形成部の上向突出部
Claims (6)
- 内部空間に被収容物を収容した状態で、上面開口が上蓋体で密封されて、前記上面開口を重力方向上側に配置して使用される防水性ケース組立体用のケース体であって、
前記防水性ケース体は、周壁部と底壁部とを有する略箱形状であって、内部に被収容物を収容する収容空間と、前記周壁部及び/又は底壁部の内側に前記収容空間に向けて突設されて、前記ケース体に設けられた外部連通孔と前記収容空間とを連通する通気路を形成する通気路形成部とを備え、
前記通気路形成部の下端面は、前記外部連通孔に近い側が低くなるように傾斜して形成されて、気体の透過は許容するが液体の透過は阻止する通気膜が通気路を塞ぐようにして接合された傾斜接合面となっていると共に、その上端面は、前記上蓋体が気密を保持して取付可能なようにケース体の上端面と同一平面に形成されており、
しかも、前記傾斜接合面に傾斜して接合された通気膜の上側部分は、前記外部連通孔及び通気路の下面側の上向突出部の位置よりも重力方向上側に位置されていることを特徴とする防水性ケース体。 - 前記通気路形成部は、ケース体の周壁部に一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水性ケース体。
- 前記通気路は、外部連通孔から収容空間に至る間において屈曲して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防水性ケース体。
- 前記通気膜の傾斜角度は、水平方向に対して30°〜60°であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防水性ケース体。
- 内部空間に被収容物が収容され、上面開口が密封されて、前記上面開口を重力方向上側に配置して使用される防水性ケース組立体であって、
前記防水性ケース組立体は、周壁部と底壁部とを有する略箱形のケース体と、前記ケース体の上面開口を密封し、その周壁部の上端面に気密を保持して取付けられた上蓋体とを有し、
前記ケース体は、内部に被収容物を収容する収容空間と、前記周壁部及び/又は底壁部の内側から前記収容空間に向けて突設されて、前記ケース体に設けられた外部連通孔と前記収容空間とを連通する通気路を形成する通気路形成部とを備え、
前記通気路形成部の下端面は、前記外部連通孔に近い側が低くなるように傾斜して形成されて、気体の透過は許容するが液体の透過は阻止する通気膜が前記通気路を塞ぐように接合された傾斜接合面となっていると共に、その上端面は、前記上蓋体が気密を保持して取付可能なようにケース体の上端面と同一平面上に形成されており、
しかも、前記傾斜接合面に傾斜して接合された通気膜の上側部分は、前記外部連通孔及び通気路の下面側の上向突出部の位置よりも重力方向上側に位置されていることを特徴とする防水性ケース組立体。 - 前記ケース体は、上下に開口した筒状のケース体本体と、このケース体本体の下端面に気密を保持して接合される下蓋体と、金属材料で形成されて、前記ケース体本体の上端面に気密を保持して固着される上蓋体とを有し、通気路形成部は、ケース体本体の周壁部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水性ケース組立体。
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