以下、この発明を実施するための形態(単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る搬送装置及び冷却装置を適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に被搬送部材(記録媒体)の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。
画像形成装置1は、第1の筐体1aと、第2の筐体1bとを備え、この第1及び第2の筐体1a,1bは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の二点鎖線は、第1及び第2の筐体1a,1bの内部において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像と特別色S1,S2の2種類のトナー像とをそれぞれ専用に形成する6つの作像装置10Y,10M,10C,10K,10S1,10S2で構成されている。これら6つの作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)は、第1の筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。上記特別色(S1,S2)の現像剤4(S1,S2)としては、例えば、上記4色では表現が困難又は不可能であった色材等で構成されるものが使用され、具体的には、上記4色以外の色のトナー、上記4色のトナーと同一の色であって彩度が異なるトナー、ゴールドやシルバー等の金属色トナー、記録用紙5の白色度を向上させる白色トナー、光沢を向上させる透明トナー、点字用の発泡性トナー、蛍光色トナー等である。また、各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)は、扱う現像剤の種類が異なる点を除けば、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)は、図1や図2に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(S1,S2,Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像手段としての現像装置14(S1,S2,Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16と、感光体ドラム11の清掃後における像保持面を除電する除電器17等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触しない状態で配置されるコロナ放電器等の非接触型の帯電装置で構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き実線)LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。
現像装置14(S1,S2,Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する図示しないスクリューオーガー等の攪拌搬送部材と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する図示しない層厚規制部材などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や図示しない攪拌搬送部材は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記4色の現像剤4(Y,M,C,K)と前記2つの特別色の現像剤4(S1,S2)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。なお、図1中、符号142は、現像装置14(S1,S2,Y,M,C,K)に供給する対応する色のトナーを少なくとも含む現像剤を収容したトナーカートリッジをそれぞれ示している。
一次転写装置15は、一次転写位置T1において感光体ドラム11の周面に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、図2に示されるように、図示しない容器状の本体の内部に配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して回収システムに送り出すよう搬送する図示しないスクリューオーガー等の送出部材等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置T1を通過しながら矢印Bで示す方向に循環移動する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して循環移動自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜28と、ベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置29とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23,25,27,28は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール26は二次転写のバックアップロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置T2において回転する二次転写ロールで構成されている。また、二次転写装置30又は中間転写装置20の支持ロール26には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
この実施の形態では、作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)と、中間転写装置20と、二次転写装置30によって画像形成部が構成されている。
定着手段の一例としての定着装置40は、筐体41の内部に配置されて矢印で示す方向に駆動ロール42により回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段の一例としての内部加熱ロール43及び外部加熱ロール44によって加熱される定着ベルト45と、駆動ロール42に掛け回された定着ベルト45に所要の圧力で接触して従動回転する加圧ロール46などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、定着ベルト45と加圧ロール46が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部になる。
給紙装置50は、中間転写装置20及び二次転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51,51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、第1の筐体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置T2まで搬送する複数の用紙搬送ロール対53,54や図示しない搬送ガイド材で構成される給紙搬送路55,56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置T2の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対54は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。給紙搬送路56の中間位置には、第1の筐体1aに隣接して配置される図示しない大容量の給紙装置等から供給される記録用紙5を受け入れて搬送する給紙搬送路57が合流されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するため、図示例では4連のベルト形態等の用紙搬送装置58a〜58dが第2の筐体1bの内部に渡り設けられている。
定着装置40の下流側には、ベルト形態等の用紙搬送装置59により搬送され、定着装置40によってトナー像が定着された記録用紙5を冷却する本実施の形態1に係る搬送装置の一例としての冷却装置70が配置されている。また、冷却装置70の下流側には、記録用紙5を複数のロールやベルト等によって挟んだ状態で搬送することにより、記録用紙5の湾曲(カール)を矯正するカール矯正装置80と、記録用紙5に定着されたトナー像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する検出装置90が順次設けられている。検出装置90は、光源から記録用紙5へ光を照射し、記録用紙5によって上方に反射された反射光をCCDイメージセンサ等の画像読取素子で読み取ることにより、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する。
さらに、第2の筐体1bに形成される用紙の排出口に近い部分には、検出装置90を通過した後の記録用紙5を第2の筐体1bの外部に配置された用紙排出部60に排出するための用紙排出ロール対61を備えた用紙排出経路62が設けられている。用紙排出ロール対61の下方には、記録用紙5の両面に画像を形成する際、記録用紙5の表裏を反転させて搬送する反転経路63が配置されている。反転経路63は、記録用紙5の搬送方向を下方へ切り替える両面用搬送経路64と、両面用搬送経路64に沿って搬送される記録用紙5を一時的に収容し、記録用紙5の搬送方向を反転させて給紙搬送経路56へと給紙する反転給紙用経路65とを備えている。
図1中、符号101は第2の筐体1bの上部に設けられたコンピュータ等の外部装置から送られてくる画像データに画像処理を施す画像処理部を、102は画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御部を、103は画像形成装置1をユーザが操作するためのユーザインターフェイス部をそれぞれ示している。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、最初に、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を代表して説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置T1まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃し、最後に、除電器17が清掃後の感光体ドラム11の表面を除電する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置T2まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路55,56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置T2に送り出して供給する。
二次転写位置T2においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置29が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写装置30から剥離された後に搬送装置58a〜58dにより定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する定着ベルト45と加圧ロール46との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、冷却装置70によって冷却され、矯正装置80により湾曲(カール)が矯正されて平面状とされた後、検出装置90により画像欠陥等が検出され、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出経路62を介して用紙排出ロール対61により、例えば第2の筐体1bの外部に設置された排出収容部60に排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、記録用紙5を両面用搬送経路64を介して反転経路63へと導入し、反転経路63の途中に設けられた反転給紙用経路65により記録用紙5の進行方向を反転させた(表裏を反転させた)状態で、記録用紙5を給紙搬送路56を通過させて再度二次転写位置T2へと搬送する。そして、二次転写位置T2において裏面に画像が転写された記録用紙5は、上述したように、定着装置40によりトナー像が定着された後、冷却装置70により冷却されて、矯正装置80及び検出装置90を介して用紙排出ロール対61により排出収容部60へと排出される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
次に、画像形成装置1において、例えば上記した通常の画像形成を行う際に、前記特別色S1,S2の現像剤で構成される特別色トナー像を併せて形成するときの動作について説明する。
この場合は、まず、作像装置10S1,10S2において前述した作像装置10(Y,M,C,K)の場合と同様の作像動作が行われ、これにより作像装置10S1,10S2における各感光体ドラム11に特別色トナー像(S1,S2)がそれぞれ形成される。続いて、作像装置10S1,10S2で形成された各特別色トナー像は、前述した4色のトナー像に関する画像形成動作の場合と同様に、中間転写装置20の中間転写ベルト21に一次転写された後に、二次転写装置30により中間転写ベルト21から記録用紙5に(他の色のトナー像と併せて)二次転写される。最後に、特別色トナー像と他の色のトナー像が二次転写された記録用紙5は、定着装置40において定着処理がなされた後、所要の装置70,80,90を経て第2の筐体1bの外部に排出される。
以上の動作により、前述した4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像の全面又は一部に対して2つの特別色トナー像が重なり合って存在するように形成された記録用紙5が出力される。
なお、上記画像形成装置1としては、各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)で形成されたトナー像を中間転写装置20の中間転写ベルト21を介さずに直接記録用紙5上に転写するように構成したものであっても良い。この場合、画像形成部は、単一又は複数の作像装置10で作像されたトナー像を記録用紙に直接転写することにより画像を形成するものとして構成される。
<冷却装置の構成>
図3はこの実施の形態1に係る搬送装置の一例としての冷却装置を示す構成図である。
冷却装置70は、図3に示されるように、大別して、上方に配置される上部ユニット71と、下方に配置される下部ユニット72とを備える。上部ユニット71は、循環移動する無端状の第1ベルトの一例としての第1の搬送ベルト73と、第1の搬送ベルト73の内周側に配置された接触部材の一例としてのヒートシンク(冷却部材)74とを有している。また、下部ユニット72は、循環移動する無端状の第2ベルトの一例としての第2の搬送ベルト75と、第2の搬送ベルト75の内周側に配置され、第2の搬送ベルト75を第1の搬送ベルト73を介在させてヒートシンク74に押し当てる押当部材の一例としての押当ロール76とを有している。
第1の搬送ベルト73としては、例えば、ポリイミド等の合成樹脂材料で製作される無端状のベルトが使用される。第1の搬送ベルト73は、所要の張力が付与された状態で複数のベルト支持ロール731〜735により循環移動するように支持されている。複数のベルト支持ロールのうち、ヒートシンク74のベルト移動方向に沿った下流側に近接して配置されたベルト支持ロール731は、第1の搬送ベルト73を循環移動させるための駆動ロールとして構成され、図示しない駆動モータによって回転駆動される。ベルト支持ロール732,734,735は第1の搬送ベルト73の走行位置などを保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール733は第1の搬送ベルト73に所要の張力を付与する張力付与ロールとして構成されている。ベルト支持ロール731〜735は、第1の搬送ベルト73の移動方向と交差する方向(軸方向)に沿って第1の搬送ベルト73のベルト幅よりも長く形成されている。なお、ベルト支持ロール733は、第1の搬送ベルト73の蛇行を矯正するステアリングロールとして構成しても良い。
また、第1の搬送ベルト73は、図4に示されるように、画像形成装置1により画像が形成される記録用紙5のうち、ベルトの移動方向と交差する方向に沿った最大サイズの記録用紙5の幅W1より大きな幅W2を有している。そのため、記録用紙5は、最大サイズの記録用紙5であってもその全面が第1の搬送ベルト73に接触した状態で搬送される。なお、図中、符号Cは記録用紙5の搬送基準となる中心線を示している。
第1の搬送ベルト73の内周側には、図3に示されるように、当該第1の搬送ベルト73の内周面一部に接触するように配置された接触部材の一例としてのヒートシンク74が設けられている。ヒートシンク74は、駆動ロール731と第3の従動ロール735との間の張架領域において第1の搬送ベルト73の内周面と接触する。駆動ロール731及び第3の従動ロール735は、ヒートシンク74の下端面より上方に配置されており、第1の搬送ベルト73は、その張力によってヒートシンク74の下端面に接触するよう配置されている。ヒートシンク74は、第1の搬送ベルト73よりも熱伝導率が高い材料から構成されており、例えば、アルミニウム等の金属材料により形成されている。なお、ヒートシンク74は、他の材料から構成されるものであっても勿論良い。ヒートシンク74は、その下端部に第1の搬送ベルト73と接触する基板741を備えている。この基板741の第1の搬送ベルト73と接触する下端面741aは、平面状又は下方に向けて凸形状となるように大きな曲率半径を有する湾曲形状に形成されている。また、基板741のベルト移動方向に沿った上流側及び下流側の端部は、曲率半径が小さく設定された湾曲形状を有している。
また、基板741は、第1の搬送ベルト73の移動方向と交差する方向(以下、「ベルトの幅方向」という。)に沿って第1の搬送ベルト71と同等か又はそれより大きな幅を有している。また、基板741の第1の搬送ベルト71の移動方向に沿った長さは、記録用紙5の冷却効率を考慮して設定される。この実施の形態では、冷却装置70が従来装置と比較して大幅に小型化されており、基板741のベルト移動方向に沿った長さは、例えば、約75mm程度に設定されている。
基板741の上端面には、薄い平板状に形成された放熱板742が、ベルトの幅方向に沿って配置されているとともに、ベルトの移動方向に沿って互いに所要の間隔を隔てて基板741と接触するよう複数配置されている。また、複数の放熱板742のベルト移動方向に沿った上流側及び下流側の端部には、複数の放熱板742が配置された空間を仕切る側板743,744がそれぞれ設けられている。さらに、複数の放熱板742の上端部には、上流側の側板743から下流側の側板744にわたって天井板745が配置されている。ヒートシンク74は、複数の放熱板742の底面及び上面、並びに上流側及び下流側の側面が、基板741、両側板743,744及び天井板745によって囲まれた閉空間を形成している。また、ヒートシンク74のベルト幅方向に沿った両側面(図面に垂直な方向の手前側及び奥側)は、それぞれ全面的に開口されている。ヒートシンク74は、基板741や側板743,744等の構成部材が互いに接触して構成されることにより電気的に接続された一つの導体を構成している。
ヒートシンク74は、その背面側(図面に垂直な方向の奥側)に冷却手段としての冷却ファン746を備えている。冷却ファン746は、冷却装置70の動作時に回転駆動され、画像形成装置1の前面側(図面に垂直な方向手前側)から吸引した空気を背面側(図面に垂直な方向奥側)に排出することにより、各放熱板742に空気の流れを接触させて各放熱板742から放熱させる。なお、この実施の形態では、ヒートシンク74の大幅な小型化が図られており、ヒートシンク74の断面形状が冷却ファン746の外径より小さく設定されている。
第2の搬送ベルト75としては、第1の搬送ベルト73と同様、例えば、ポリイミド等の合成樹脂材料で製作される無端状のベルトが使用される。第2の搬送ベルト75は、所要の張力で張り渡された状態で複数のベルト支持ロール751〜754によって循環移動するように支持されている。複数のベルト支持ロールのうち、ベルト支持ロール751は、第2の搬送ベルト75を循環移動させるための駆動ロールとして構成され、図示しない駆動モータによって回転駆動される。駆動ロール751は、第1の搬送ベルト73の駆動ロール731と対向するように配置されており、当該駆動ロール731に圧接されている。ベルト支持ロール752,754は第2の搬送ベルト75の走行位置などを保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール753は第2の搬送ベルト75に所要の張力を付与する張力付与ロールとして構成されている。ベルト支持ロール751〜754は、第2の搬送ベルト75の移動方向と交差する方向(軸方向)に沿った長さが、第2の搬送ベルト75の幅よりも長く設定されている。
また、第2の搬送ベルト75は、図4に示されるように、画像形成装置1により画像が形成される記録用紙5のうち、ベルトの幅方向に沿った最大サイズの記録用紙5より大きな幅W2を有している。
第2の搬送ベルト75の内周側には、第1の搬送ベルト73がヒートシンク74と接触を開始する当該ヒートシンク74の端部側に、第2の搬送ベルト75を第1の搬送ベルト73を介してヒートシンク74に押し当てる押当部材の一例としての押当ロール76が配置されている。この実施の形態では、ヒートシンク74の第1の搬送ベルト73の移動方向に沿った上流側の端部に押当ロール76が配置されている。
押当ロール76は、図4に示されるように、例えば、金属製の芯金761の外周に所要のゴム硬度を有する弾性体層762を軸方向に沿って所要の厚さにわたり被覆して構成されている。押圧ロール76の弾性体層762の軸方向に沿った長さは、例えば、最大サイズの記録用紙5の幅と同等か又は記録用紙5の幅より長く且つ第1及び第2の搬送ベルト73,75の幅より短く設定されている。
押当ロール76は、その芯金761の両端部に配置された圧縮バネ等からなる弾性部材763によりヒートシンク74に対して所要の押圧荷重Fでそれぞれ押圧されている。なお、押当部材76としては、回転するロール形状のものに限定されるものではなく、固定されたロール体や、フィルム状部材あるいはパッド状部材等からなるものを採用しても良い。
この実施の形態1では、図3に示されるように、接触部材の一例としてのヒートシンク74に設けられ、第1の搬送ベルト73がヒートシンク74と接触を開始する当該ヒートシンク74の端部側に電荷が誘導されるのを抑制する抑制手段の一例としての予め定められた高い抵抗値を有する抵抗Rを備えている。
ヒートシンク74は、画像形成装置1の第2の筐体1bを構成するフレーム等の支持構造部材に対し図示しない絶縁部材を介して絶縁されて取り付けられており、電気的にフローティング状態となっている。ここで、フローティング状態とは、ヒートシンク74がアース電位や所要の電源などに直接接続されておらず、電位が独立していることを意味している。
ヒートシンク74は、図3に示されるように、抵抗値が107〜109Ω、例えば、200MΩ程度の相対的に高い抵抗値を有する抵抗Rを介してアースに接続されている(接地されている)。
<冷却装置の動作>
次に、画像形成装置1の冷却装置の動作について説明する。
冷却装置70は、画像形成装置1が画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、第1の搬送ベルト73、第2の搬送ベルト75、冷却ファン746が始動する。
定着装置40によって各色のトナー像が加熱及び加圧され定着された記録用紙5は、図1に示されるように、ベルト形態等の搬送装置59により冷却装置70へと搬送される。冷却装置70では、図3に示されるように、搬送されてくる記録用紙5を第1の搬送ベルト73及び第2の搬送ベルト75で挟んだ状態で、第1及び第2の搬送ベルト73,75の移動方向に沿った下流側に搬送する。
その間、記録用紙5は、第2の搬送ベルト75の内周側に配置された押当ロール76によって第1及び第2の搬送ベルト73,75に挟まれた状態で、第1の搬送ベルト73を介してヒートシンク74の表面741aに押し当てられる。そして、記録用紙5及びその表面に定着されたトナー像が有する熱は、第1の搬送ベルト73を介してヒートシンク74へと熱伝導により伝達され、記録用紙5及びトナー像が冷却される。
ヒートシンク74に伝達された熱は、冷却ファン746を動作させることによって放熱板742の間を通過するように流れる空気によって、放熱板742から空気中に放出され、ヒートシンク74が冷却される。
ところで、定着装置40によって定着される記録用紙5は、図1に示されるように、二次転写位置T2において中間転写ベルト21上のトナー像が一括して二次転写された後に中間転写ベルト21から分離され、定着装置40による定着処理を受けて用紙搬送装置59によって冷却装置70へと搬送される。その際、記録用紙5は、図5に示されるように、マイナス極性に帯電したトナー像を保持しているとともに、二次転写装置30又は中間転写装置20の支持ロール26に供給されるトナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧による帯電を受け、その表面がトナーの帯電極性と同極性のマイナス極性に帯電している。特に、記録用紙5上にフルカラーの画像などを形成する場合には、記録用紙5上に転写されるトナー像の量がモノクロの画像に比較して相対的に多く、記録用紙5が有するマイナス極性の電荷量も多くなる傾向がある。
そのため、従来の冷却装置70では、図5(a)に示されるように、マイナス極性に帯電した記録用紙5が第1及び第2の搬送ベルト73,75により挟持された状態でヒートシンク74を通過する際に、記録用紙5が有するマイナス極性の電荷による静電誘導作用によりヒートシンク74の第1の搬送ベルト73側の面741a、特に第1の搬送ベルト73がヒートシンク74に接触を開始する端部側に、記録用紙5の帯電極性と逆極性のプラスの電荷が図示しない接地されたフレーム等を介して引き寄せられる。
このように、従来の冷却装置70では、ヒートシンク74の第1の搬送ベルト73側の面に記録用紙5の帯電極性と逆極性のプラスの電荷が引き寄せられると、第1及び第2の搬送ベルト73,75により搬送される記録用紙5とヒートシンク74との間に相対的に大きな静電吸着力(クーロン力)が作用する。そのため、記録用紙5は、第1の搬送ベルト73を介してヒートシンク74に吸着され、第1の搬送ベルト73とヒートシンク74との密着力が増加して第1の搬送ベルト73の搬送負荷が増大する。
そこで、この実施の形態1では、図3及び図5(b)に示されるように、ヒートシンク74を200MΩ程度の高抵抗Rを介してアース電位に接続することで、マイナス極性に帯電した記録用紙5を第1及び第2の搬送ベルト73,75により搬送する際に、ヒートシンク74にプラスの電荷がアース電位を介して誘導されるのを抑制している。そのため、第1及び第2の搬送ベルト73,75により搬送される記録用紙5とヒートシンク74との間に作用する静電吸着力(クーロン力)を低減することができ、第1の搬送ベルト73とヒートシンク74との密着力が増加して第1の搬送ベルト73の搬送負荷が増大することが抑制される。
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2に係る搬送装置の一例としての冷却装置を示すものである。
冷却装置70は、図6に示されるように、抑制手段が接触部材の一例としてのヒートシンク74を電気的にフローティング状態に保持する手段から構成されている。この実施の形態2は、ヒートシンク74を高抵抗Rを介してアース電位に接続するのでなく、ヒートシンク74を絶縁状態、ヒートシンク74を画像形成装置1の第2の筐体1bに対して図示しない絶縁部材を介して装着することで、電気的にフローティング状態に保持するように構成したものである。
この実施の形態2では、実施の形態1と比較して高抵抗Rが不要となるため、部品点数を低減することが可能となる。ただし、ヒートシンク74は、画像形成装置1の第2の筐体1aを構成するフレーム等の支持構成部材から電荷の流入を阻止するように絶縁状態に保持する必要がある。
[実施の形態3]
図7は、実施の形態3に係る搬送装置の一例としての冷却装置を示すものである。
冷却装置70は、図7に示されるように、抑制手段が、ヒートシンク74と第1の搬送ベルト73との間に介在される絶縁部材又は予め定められた高抵抗部材からなるよう構成したものである。
更に説明すると、冷却装置70は、第1の搬送ベルト73が接触を開始するヒートシンク74の端部側の表面に、絶縁材料からなる薄いシートを接着等の手段により設けるか、又は絶縁材料からなるコーティングを施してなる帯電抑制部材77を備えるように構成されている。絶縁部材からなる薄いシート又は絶縁部材からなるコーティングとしては、例えば、ポリイミドやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる厚さ10〜100μm程度のシート又はコーティングが用いられる。なお、ポリイミド樹脂の体積抵抗率は、1015〜1017(Ω・cm)程度、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の体積抵抗率は、1018(Ω・cm)以上であり、いずれも非常に高い抵抗値を有する絶縁材料である。また、予め定められた高抵抗部材としては、実施の形態1と同程度の高い抵抗値を有する部材が挙げられる。
帯電抑制部材77は、ヒートシンク74が第1の搬送ベルト73と接触する下端面のうち、第1の搬送ベルト73がヒートシンク74と接触を開始する端部側(入口側)に予め定められた長さにわたり配置することで、より大きな帯電抑制効果が得られる。
この実施の形態3では、ヒートシンク74の基板741のベルト移動方向に沿った長さを約75mm程度とした場合、ヒートシンク74が第1の搬送ベルト73と接触を開始する端部側に、ヒートシンク74の全長に対する1/4〜1/8程度の10〜20mmの長さにわたって帯電抑制部材を設けることで、十分な帯電抑制効果を得ることができる。
[実施の形態4]
図8は、実施の形態4に係る搬送装置の一例としての冷却装置を示すものである。
この実施の形態4では、図8に示されるように、上記の構成に加えて、押圧ロール76が第2の搬送ベルト75をヒートシンク74に押し当てる押当力を部分的に低減させる押当力低減部としての溝部747,748を、押圧ロール76の位置に対応させて当該押圧ロール76が配置される方向(軸方向)に沿って設けている。
更に説明すると、ヒートシンク74の基板741の表面(下面)741aには、図8(a)に示されるように、押当ロール76と非接触状態とすることにより押当ロール76の押当力を部分的に低減させる押当力低減部の一例としての溝部747,748が、押当ロール76の軸方向に沿った両端部にそれぞれ設けられている。また、溝部747,748は、第1の搬送ベルト73の幅方向に沿った中央を通る中心線Cに対して対称な位置に配置されている。溝部747,748は、押圧ロール76の軸方向に沿って所要の幅W3、及びベルト移動方向に沿って所要の長さLを有する矩形状に形成されている。また、溝部747,748は、押当ロール76の弾性体層762と接触せず、押当ロール76をヒートシンク74に押し当てる押当力を部分的に低減させることが可能であればよく、その深さDは、例えば、1mm程度に設定される。
また、押当ロール76をヒートシンク74に向けて押し当てる押当力を作用させる弾性部材763は、その押当荷重Fがヒートシンク74の基板741に設けられた2つの溝部747,748の幅W3を合計した長さ(W3の2倍)に対応した分だけ小さく設定されている。即ち、押当ロール76は、その両端部に弾性部材761によって作用する荷重Fがそのまま押当力となってヒートシンク74の表面に作用する。押当ロール76に作用する荷重Fを一定とすると、ヒートシンク74の表面に作用する押当ロール76の単位長さ当たりの押当力は、溝部747,748を設けない場合に比較して、溝部747,748を設けた場合の方が大きくなる。
そこで、この実施の形態4では、押当ロール76をヒートシンク74に向けて押し当てる押当力を作用させる弾性部材761の荷重Fを、溝部746,747を設けた分だけ小さく設定している。いま、溝部746,747の押圧ロール76の軸方向に沿った幅を合計した長さを、押圧ロール76の弾性体層762の全長の1/2とした場合、弾性部材763の荷重Fを溝部747,748を設けない場合の1/2に設定している。なお、弾性部材763の荷重Fは、溝部747,748を設けない場合と同様に設定しても良い。
<冷却装置の動作>
次に、この実施の形態4に係る画像形成装置1の冷却装置の動作について説明する。
冷却装置70は、画像形成装置1が画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、第1の搬送ベルト73、第2の搬送ベルト75、冷却ファン746が始動する。
定着装置40によって各色のトナー像が加熱及び加圧されて定着された記録用紙5は、図1に示されるように、ベルト形態等の搬送装置59により冷却装置70へと搬送される。冷却装置70では、搬送されてくる記録用紙5を第1の搬送ベルト73及び第2の搬送ベルト75で挟んだ状態で、第1及び第2の搬送ベルト73,75の移動方向に沿った下流側に搬送する。
ところで、この実施の形態4に係るヒートシンク74には、図8に示されるように、押当ロール76の軸方向に沿った両端部に対応した位置に溝部747,748がそれぞれ設けられている。そのため、残留電荷を有する記録用紙5が冷却装置70に導入された場合であっても、ヒートシンク74の表面と第1の搬送ベルト73との間には、図9(b)に示されるように、溝部747,748が設けられた領域において間隙が生じるため、ヒートシンク74の表面と記録用紙5との間に静電的な吸引力が作用するのをより一層抑制することができ、第1の搬送ベルト73の搬送負荷が低減される。
また、押当ロール76をヒートシンク74に押し当てる弾性部材763の押当荷重Fは、溝部747,748を設けない場合と比較して小さく設定されている。そのため、記録用紙5を第1及び第2の搬送ベルト73,75によって挟んだ状態で、第2の搬送ベルト75の内周側から押当ロール76によって第1及び第2の搬送ベルト73,75、及び記録用紙5をヒートシンク74に押し当てる際に、押当ロール76がヒートシンク74に及ぼす押当力が減少する。
第1の搬送ベルト73とヒートシンク74の表面741aとの間に作用する静電吸引力を含む摩擦抵抗は、記録用紙5とヒートシンク表面741aとの距離に依存し、押当ロール76の押当力に比例するため、押当ロール76の押当力が減少する分だけ小さくなる。したがって、第1の搬送ベルト73を循環移動するように搬送する際の搬送負荷を低減することが可能となる。そのため、第1の搬送ベルト73を駆動する駆動モータの小型化や駆動電流を減少させることが可能となる。また、第1の搬送ベルト73の搬送負荷を低減することにより、第1の搬送ベルト73と直接又は記録用紙5を介して圧接する第2の搬送ベルト75の搬送負荷をも低減することができる。その結果、第2の搬送ベルト75を駆動する駆動モータの小型化や駆動電流を減少させることが可能となる。
また、冷却装置70へと搬送された記録用紙5は、第1の搬送ベルト73と第2の搬送ベルト75とによって挟まれた状態で、第2の搬送ベルト75の内周側から押当ロール76によってヒートシンク74に押し当てられるため、第1及び第2の搬送ベルト73,75によって確実に且つ安定して搬送することが可能となる。
[実施の形態5]
図10はこの発明の実施の形態5に係る搬送装置の一例としての冷却装置を示す構成図である。
この実施の形態5では、図10に示されるように、前記実施の形態4と同様に、ヒートシンク74の基板741の表面741aに溝部747,748が設けられている。
また、この実施の形態5では、押当ロール76の弾性体層762の軸方向に沿った長さW3が、実施の形態4に比較して約1/3程度となるように短く設定されている。押当ロール76は、弾性体層762が設けられていない芯金761の部分が押当力低減部を構成している。弾性体層762は、ヒートシンク74の溝部747,748よりも内側に位置し、押当ロール76の軸方向に沿った中央部に配置されている。
さらに、この実施の形態5では、押当ロール76をヒートシンク74に向けて押し当てる押当力を作用させる弾性部材763の荷重Fを、押当ロール76の弾性体層762の軸方向に沿った長さに応じて、弾性体層762を最大サイズの記録用紙5の全幅W1にわたり設けた場合に比較して約1/3に設定している。
このように、実施の形態5では、押当ロール76のヒートシンク74に押し当てられる弾性体層762の軸方向に沿った長さを、記録用紙5の全幅にわたって設けた場合に比較して短く設定することにより、溝部747,748の領域に加えて押当ロール76の弾性体層762以外の領域において、記録用紙5とヒートシンク74の表面741とが近接するのを回避することができ、記録用紙5とヒートシンク表面741との間に作用する静電吸引力を減少させることが可能となる。そのため、押当ロール76がヒートシンク74に押し当てられる荷重を低減することができ、第1及び第2の搬送ベルト73,75の搬送負荷を低減することが可能となる。
また、実施の形態5では、押当ロール76の弾性体層762の軸方向に沿った長さを短く設定するのみで良く、押当ロール76の構成を簡略化することができる。
[実施の形態6]
図11はこの発明の実施の形態6に係る搬送装置としての冷却装置を示す構成図である。
この実施の形態6では、図11に示すように、押当ロール76の弾性体層762が軸方向に沿って2つに分割されているとともに、2つの弾性体層762を合わせた軸方向の長さが実施の形態4に係る押当ロール76の弾性体層762の約1/2となるように設定されている。また、2つの弾性体層762の間隔は、ベルトの幅方向に沿った長さが最小サイズの記録用紙5の幅よりも小さく設定されている。
また、この実施の形態6では、押圧ロール76をヒートシンク74に向けて押し当てる押当力を作用させる弾性部材763の荷重Fを、押当ロール76の弾性体層762の軸方向に沿った長さに応じて、弾性体層762を軸方向に沿って全長にわたり設けた場合に比較して約1/2に設定している。なお、ヒートシンク74の基板741には、溝部747,748が設けられていない。
このように、実施の形態6では、押当ロール76のヒートシンク74に押し当てられる弾性体層762の軸方向に沿った長さを、記録用紙5の全幅にわたって設けた場合に比較して短く設定することにより、記録用紙5とヒートシンク74の表面741とが近接するのを回避することができ、記録用紙5とヒートシンク表面741との間に作用する静電吸引力を減少させることが可能となる。そのため、第1及び第2の搬送ベルト73,75の搬送負荷を低減することが可能となる。
また、実施の形態6では、押当ロール76の弾性体層762を軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置しているため、ベルトの幅方向に沿ったサイズが大きい記録用紙5であっても、押当ロール76の2つの弾性体層762によってその両端部に渡り押当力を作用させることができ、確実に搬送することが可能となる。
図12は実施の形態6に係る冷却装置の変形例を示す構成図である。
この実施の形態6の変形例では、押当ロール76の弾性体層762を軸方向に沿った両端部にそれぞれ分割して設けるのではなく、押当ロール76の軸方向に沿った中央部に相対的に長さが短く設定された弾性体層762を1つのみ配置するように構成されている。また、押圧ロール76をヒートシンク74に向けて押し当てる押当力を作用させる弾性部材761の荷重Fは、押当ロール76の弾性体層762の軸方向に沿った長さを考慮して設定されている。
第1の搬送ベルト73の搬送負荷を低減する観点からは、弾性体層762の軸方向に沿った長さが短い方が望ましい。弾性体層762の軸方向に沿った長さは、例えば、実施の形態1に係る押当ロール76に対して約1/4〜1/3程度に設定される。
[実施の形態7]
図13はこの発明の実施の形態7に係る搬送装置の冷却装置を示す構成図である。
この搬送装置の一例としての冷却装置70は、ヒートシンク74が実施の形態1等と比較して大型に形成されている。それに伴って、第1及び第2の搬送ベルト73,75の周長も実施の形態1と比較して長尺に設定されている。
また、この実施の形態7では、第2の搬送ベルト75の内周側に配置される押当ロール761〜764が複数(図示の例では、4つ)設けられている。また、押当ロール761〜764をヒートシンク74に向けて押し当てる押当力を作用させる弾性部材7631〜7634は、最も上流側に位置する弾性部材7631が他の弾性部材7632〜7634に比較して荷重が小さくなるように設定されている。
なお、最も上流側に位置する押当ロール761は、その形状を前記実施の形態4乃至6のいずれかに示した押当ロール76と同様に形成しても良い。
このように、実施の形態7では、第2の搬送ベルト75の内周側に配置される複数の押当ロール761〜764のうち、最も上流側に位置する押当ロール761をヒートシンク74に押し当てる弾性部材7631の荷重を他の押当ロール7632〜7634に比較して小さくなるように設定したので、記録用紙5とヒートシンク74の表面741aとが近接するのを回避することができ、記録用紙5とヒートシンク74の表面741aとの間に作用する静電吸引力を減少させることが可能となる。そのため、第1及び第2の搬送ベルト73,75に与える搬送負荷を低減することが可能となる。
本発明者等の研究によれば、第2の搬送ベルト75をヒートシンク74側に押し当てる押当ロール76を、第2の搬送ベルト75の移動方向に沿って複数配置した場合、図14及び図15に示されるように、ベルトの移動方向に沿った最上流側に位置する押当ロール76の搬送負荷が最も大きいことが判っている。そのため、最も上流側に位置する押当ロール761の押当荷重を他の押当ロール761〜764に比較して小さくなるように設定することで第1及び第2の搬送ベルト73,75に与える搬送負荷を低減させることができる。
なお、図14及び図15は、複数の押当ロール761〜764を同一の荷重でヒートシンク74に押し当てた場合における第1の搬送ベルト73を駆動する駆動モータの電流を、押当ロール761〜764の数を変化させて測定したものである。
[実施の形態8]
図16はこの発明の実施の形態8に係る搬送装置を定着装置に適用した実施形態を示す構成図である。
この搬送装置の一例としての定着装置40は、加熱手段として、加熱ベルト45を備えている。加熱ベルト45は、駆動ロールを兼ねる内部加熱ロール451、外部加熱ロール452、従動ロール453〜455及び固定パッド456にわたり循環移動するように張り渡されている。固定パッド456は、金属製のブロックから構成されている。また、加圧手段としては、加圧ベルト46を備えている。加圧ベルト46は、従動ロール461〜463と、押当ロール464と、加圧パッド465との間に張り渡されている。なお、加圧ベルト46は、加熱ベルト45に対して従動回転するように構成されている。
この実施の形態8では、押当ロール464が前記実施の形態4乃至7の押当ロール76と同様に構成されている。
そのため、この実施の形態8においても、加熱ベルト45の搬送負荷を低減することが可能となっている。
なお、前記実施の形態においては、ヒートシンク74の基板741の表面に溝部747,748を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ヒートシンク74のアルミニウム等の金属からなる基板741を引抜加工等によって製造する際に、引抜加工の加工速度等を制御することにより、図17に示されるように、ヒートシンク74の基板741の表面741aにベルトの移動方向と交差する方向に沿った微少(約50μm程度)な波形状の凹凸を形成するように構成しても良い。