JP6551981B2 - 回転電機制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばモータ、ジェネレータ等の回転電機の駆動電力を生成するPWM(Pulse Width Modulation)インバータを備えた回転電機制御装置についての技術分野に関する。
特開2007−020320号公報 特開2011−172306号公報
モータやジェネレータ等の回転電機の駆動電力を生成する手段としてPWMインバータが知られている(例えば上記特許文献1、2を参照)。
PWMインバータが生成した電力により回転電機を駆動するシステムにおいては、PWMインバータにおけるキャリア周波数に基づく電磁騒音が回転電機において発生する。具体的には、回転電機の固定子巻線にキャリア周波数やその整数倍の周波数による高周波成分(リップル電流)が発生し、これが回転電機の振動成分となり騒音を発生させるものである。
ここで、PWMインバータとしては、回転電機における回転子の回転数や回転電機の駆動電流値(回転電機のトルク)に応じてキャリア周波数を切り替えるものがある。例えば、回転子の回転数が或る閾値未満である場合にはキャリア周波数を第1の周波数とし、回転子の回転数が該閾値以上である場合にはキャリア周波数を第1の周波数よりも高い第2の周波数に切り替えるものである。
このような回転数や駆動電流値に応じたキャリア周波数の切り替えを行うことで、回転電機とPWMインバータとで成る回転電機システムの電力効率向上を図ることができる。
但し、上記のようなキャリア周波数の切り替えを行う場合には、周波数の切り替えタイミングにおいて電磁騒音の音色が変化し、ユーザに不快感を与える虞がある。
このような電磁騒音の変化に伴うユーザの不快感を低減するにあたっては、電磁騒音の音圧を低減するということが考えられる。電磁騒音の音圧を低減するための手法として、上記特許文献1、2には、キャリア周波数を所要の周波数範囲内で拡散(変動)させる手法が開示されている。
しかしながら、キャリア周波数を拡散させることは、キャリア周波数を本来設定されるべき周波数から変化させているということになるので、回転電機システムの電力効率低下を招いてしまう。
そこで、本発明では上記した問題点を克服し、回転電機における回転子の回転数や回転電機の駆動電流値に応じてキャリア周波数を切り替える回転電機制御装置において、キャリア周波数切り替えに伴う電磁騒音変化に起因したユーザの不快感の緩和を図りつつ、回転電機システムの電力効率低下の抑制を図ることを目的とする。
本発明に係る回転電機制御装置は、直流電圧をPWM信号に基づきスイッチングして回転電機の駆動電力を生成するPWMインバータと、前記PWMインバータにおけるキャリア周波数を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記回転電機における回転子の回転数又は前記回転電機の駆動電流値が所定の閾値未満である場合と前記閾値以上である場合とで前記キャリア周波数の基本周波数として異なる周波数を選択し、選択した前記基本周波数を中心とする周波数拡散範囲において前記キャリア周波数を拡散させる周波数拡散制御を行うと共に、前記周波数拡散制御において、前記周波数拡散範囲の幅を、前記回転数又は前記駆動電流値が前記閾値に近いほど拡大するものである。
これにより、回転電機における回転子の回転数や回転電機の駆動電流値に応じてキャリア周波数を切り替える回転電機制御装置において、電磁騒音の音圧抑制効果を確保しつつ、回転電機システムの電力損失を抑えることが可能とされる。
上記した本発明に係る回転電機制御装置においては、前記制御部は、前記周波数拡散制御において、前記選択した基本周波数よりも低い周波数領域における前記キャリア周波数の発生頻度と前記選択した基本周波数よりも高い周波数領域における前記キャリア周波数の発生頻度とを、前記PWMインバータにおける損失と前記回転電機における損失との関係に基づいて異ならせることが可能である。
これにより、回転電機システムの電力損失の低減を図ることが可能とされる。
上記した本発明に係る回転電機制御装置においては、前記制御部は、前記周波数拡散制御において、前記回転数又は前記駆動電流値の変化に対して前記周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、前記回転数又は前記駆動電流値と前記閾値との差に応じて変化させることが可能である。
上記した本発明に係る回転電機制御装置においては、前記制御部は、前記周波数拡散制御において、前記回転数又は前記駆動電流値の変化に対して前記周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、前記回転数又は前記駆動電流値と前記閾値との差に応じて変化させることが可能である。
これにより、回転電機システムの電力損失を調整することが可能とされる。
上記した本発明に係る回転電機制御装置においては、前記制御部は、前記キャリア周波数の拡散周期を、前記回転数又は前記駆動電流値と前記閾値との差が大きいほど短くすることが可能である。
本発明においては、周波数拡散範囲の幅は、回転数又は駆動電流値が閾値から遠いほど狭まる傾向とされる。これは、回転数又は駆動電流値と閾値との差が大きい領域ほど周波数拡散による音圧低減効果が弱まる傾向となることを意味する。この点に対応して、上記のように回転数又は駆動電流値と閾値との差が大きいほどキャリア周波数の拡散周期を短くすることで、周波数拡散範囲の幅の減少により音圧低減効果が弱まる領域での音圧低減効果の向上を図るものである。
本発明によれば、回転電機における回転子の回転数や回転電機の駆動電流値に応じてキャリア周波数を切り替える回転電機制御装置において、キャリア周波数切り替えに伴う電磁騒音変化に起因したユーザの不快感の緩和を図りつつ、回転電機システムの電力効率低下の抑制を図ることができる。
実施の形態の回転電機制御装置を備えた車両制御システムの構成概要を示した図である。 第1マップの内容を模式的に表した図である。 回転電機における回転子の回転数変化に対して電磁騒音成分が変化する様子を模式的に表した図である。 キャリア周波数の拡散のイメージ図である。 キャリア周波数の拡散により電磁騒音の音圧低減が図られることについて説明するためのイメージ図である。 第2マップの内容を模式的に表した図である。 実施の形態における周波数拡散の様子を模式的に表した図である。 実施の形態としてのキャリア周波数の制御手法を実現するために実行されるべき処理の手順を示したフローチャートである。 キャリア周波数と回転電機システムの電力損失との関係について説明するための図である。 回転電機の損失が支配的である場合における周波数拡散の様子を模式的に表した図である。 第二変形例における周波数拡散の様子の例を模式的に表した図である。 同じく、第二変形例における周波数拡散の様子の例を模式的に表した図である。 第二変形例で用いるべき第2マップの例を示した図である。 第三変形例における周波数拡散の様子の例を模式的に表した図である。
<1.車両制御システムの概要構成>
図1は、本発明に係る実施の形態としての回転電機制御装置を備えた車両制御システム1の構成概要を示した図である。なお、図1では、車両制御システム1の構成のうち主に本発明に係る要部の構成のみを抽出して示している。
本実施の形態の車両制御システム1は、エンジンと電動機(モータ)の双方により車輪を駆動可能に構成されたいわゆるハイブリッド車としての車両に設けられている。
なお、以下の説明では、回転電機がモータとしての機能とジェネレータ(発電機)としての機能とを有するモータジェネレータ(後述するモータジェネレータ8)とされる場合を例示するが、回転電機としてはモータ又はジェネレータの何れかであってもよい。
図1において、車両制御システム1は、ハイブリッドコントローラ2、エンジンコントローラ3、エンジン関連アクチュエータ4、インバータコントローラ5、メモリ6、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ7、モータジェネレータ8、アクセル開度センサ9、及びバス10を備えている。
ハイブリッドコントローラ2、エンジンコントローラ3、及びインバータコントローラ5は、車両における駆動系を制御するためのコントローラとして設けられている。これらのコントローラは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを備えて構成され、CAN(Controller Area Network)等の所定の車載ネットワーク通信規格に対応したバス10を介して相互にデータ通信可能に接続されている。
ハイブリッドコントローラ2には、車両に設けられた不図示のアクセルペダルの踏込み量からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ9が設けられている。
エンジンコントローラ3は、車両に設けられたエンジンについての燃料噴射制御、点火制御、吸入空気量調節制御などの各種運転制御を行う。エンジンコントローラ3は、エンジン関連アクチュエータ4として設けられた各種アクチュエータを制御することでエンジンについての各種運転制御を行う。エンジン関連アクチュエータ4としては、例えばスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが設けられている。
エンジンコントローラ3はハイブリッドコントローラ2と通信を行っており、ハイブリッドコントローラ2からの各種信号に基づいてエンジンを運転制御すると共に必要に応じてエンジンの運転状態に関するデータをハイブリッドコントローラに出力する。
モータジェネレータ8は、発電機として駆動できると共に電動機としても駆動できる周知の同期発電電動機により構成されている。本例の場合、モータジェネレータ8は励磁相を複数有する。具体的には、3相交流式のモータジェネレータが採用されている。
図示は省略しているが、モータジェネレータ8で発生した動力は、遊星歯車機構を介して車輪(駆動輪)に伝達可能とされている。
モータジェネレータ8には、該モータジェネレータ8における回転子の回転数(以下「回転数Dr」と表記する)、及びPWMインバータ7より供給される駆動信号(駆動電流)の電流値(以下「電流値Di」と表記する)をそれぞれ検出する不図示の検出部が設けられており、該検出部が検出した回転数Dr、電流値Diの情報はインバータコントローラ5に入力される。
なお、電流値Diは、モータジェネレータ8のトルク、或いはPWMインバータ7の負荷電流値とも換言できる)。
PWMインバータ7は、車両に設けられた不図示のバッテリーからの直流電圧DCを入力し、該直流電圧DCをPWM信号に基づきスイッチングしてモータジェネレータ8の各励磁相に対応する駆動信号を生成する。
PWMインバータ7は、直流電圧DCをスイッチングするスイッチング素子をモータジェネレータ8の各励磁相ごとに備えており、PWM信号に基づきそれらスイッチング素子をオン/オフ制御することでモータジェネレータ8の各励磁相ごとの駆動信号を生成する。
このとき、PWM信号のデューティ(オンデューティ又はオフデューティ)の調整により、モータジェネレータ7の出力調整が実現される。
インバータコントローラ5は、ハイブリッドコントローラ2からの指示に基づきPWMインバータ7の動作制御を行う。具体的には、ハイブリッドコントローラ2からの指示に基づき、少なくともPWMインバータ7におけるPWM信号の周波数(キャリア周波数)、及びPWM信号のデューティを制御する。
ハイブリッドコントローラ2は、車両に設けられた不図示の操作子を介した操作入力や各種センサの検出信号に基づきエンジンコントローラ3、インバータコントローラ5に対する指示を行って、車両における駆動系の動作をコントロールする。
例えばハイブリッドコントローラ2は、アクセル開度センサ9の検出信号に基づき求まるアクセル開度値等に基づき、運転者によるアクセル操作量に応じた要求トルクT(駆動輪に出力すべきトルク)を計算し、要求トルクTに対応する要求駆動力により車両を走行させるためのエンジン、モータジェネレータ8の運転制御をエンジンコントローラ3、インバータコントローラ5に実行させる。
例えば、車両の発進時や低速走行時等であって仮にエンジンを駆動した際にその運転効率が低いと判定された場合には、モータジェネレータ8の発生動力のみによる走行(「EV走行」)が行われるように制御を行う。また、所定の操作入力により運転者よりEVモードが選択された場合にもEV走行が行われるように制御を行う。
EV走行時においてハイブリッドコントローラ2は、アクセル操作量に基づき計算した要求トルクTに基づきモータジェネレータ8のトルク(以下「要求トルクTb」と表記)を計算し、該要求トルクTbをインバータコントローラ5に指示してモータジェネレータ8を駆動させる。
また、ハイブリッドコントローラ2は、エンジンとモータジェネレータ8の双方の出力を利用した走行(「ハイブリッド走行」)が行われるように制御を行う。このときハイブリッドコントローラ2は、要求トルクTに基づきエンジンの要求トルク(以下「要求トルクTa」と表記)とモータジェネレータ8の要求トルクTbとを算出し、エンジンコントローラ3に要求トルクTaを、インバータコントローラ5に要求トルクTbをそれぞれ指示してエンジン、モータジェネレータ8を駆動させる。
また、ハイブリッドコントローラ2は、モータジェネレータ8による発電を行わせる場合には、モータジェネレータ8に対する要求トルクTeを算出し、インバータコントローラ5に指示する。
インバータコントローラ5は、上記のようにハイブリッドコントローラ2から指示される要求トルクTbや要求トルクTeに応じて、PWMインバータ7におけるPWM信号のデューティを調整してモータジェネレータ8の出力制御を実現する。
また、本例の場合、インバータコントローラ5は、モータジェネレータ8から入力される回転数Dr、及び電流値Diに基づいて、PWMインバータ7におけるキャリア周波数を制御する。
インバータコントローラ5は、例えば不揮発性メモリ等によるメモリ6に対する読み出しが可能とされ、該メモリ6に格納された第1マップ6a、第2マップ6bに基づいて上記のキャリア周波数の制御を行う。なお、第1マップ6a、第2マップ6bの詳細については以下で改めて説明する。
<2.実施の形態としてのキャリア周波数の制御手法>
以下、インバータコントローラ5により実現する実施の形態としてのキャリア周波数の制御手法について説明する。
先ず、インバータコントローラ5は、図2に示すような第1マップ6aに基づき、回転数Drと電流値Diとに基づくキャリア周波数の切り替え制御を行う。図示するように第1マップ6aでは、電流値Di(図中「MGトルク」と表記)、回転数Dr(図中「MG回転数」と表記)をそれぞれ縦軸、横軸にとった座標空間を回転数Drに対する閾値THr、電流値Diに対する閾値THiでそれぞれ区切ることで形成された4つの各領域(図中、領域A11、領域A12、領域A21、領域A22)ごとに、それぞれ対応する周波数が定められている。
具体的に、図示のように領域A11は回転数Drが閾値THr未満で且つ電流値Diが閾値THi未満である領域、領域A12は回転数Drが閾値THr未満で且つ電流値Diが閾値THi以上である領域、領域A21は回転数Drが閾値THr以上で且つ電流値Diが閾値THi未満である領域、領域A22は回転数Drが閾値THr以上で且つ電流値Diも閾値THi以上である領域とされている。そして、領域A11には、所定の第1の周波数(図中「○Hz」)が、領域A12には第1の周波数よりも高い第2の周波数(図中「×Hz」)が、領域A21には少なくとも第1の周波数よりも高く且つ第2の周波数とは異なる第3の周波数(図中「△Hz」)が、領域A22には第2及び第3の周波数よりも高い第4の周波数(図中「□Hz」)がそれぞれ定められている。
インバータコントローラ5は、第1マップ6aを参照し、回転数Drと電流値Diの組合せが領域A11に該当すればPWMインバータ7におけるキャリア周波数(本例の場合は後述する「基本周波数」となる)を第1の周波数に設定する。また、回転数Drと電流値Diの組合せが領域A12に該当すれば第2の周波数を、領域A21に該当すれば第3の周波数を、領域A22に該当すれば第4の周波数をそれぞれPWMインバータ7におけるキャリア周波数として設定する。
これにより、キャリア周波数が回転数Drと電流値Diの大きさに応じて適切とされる周波数に切り替えられる。
PWMインバータ7とモータジェネレータ8とで成る回転電機システムの電力効率は、回転数Dr、電流値Di、及びPWMインバータ7のキャリア周波数の関係により変化するものであり、回転数Dr、電流値Diの大きさに対しキャリア周波数が適切でないと、モータシステムの電力効率低下を招く。このため、上記のように回転数Drや電流値Diの大きさに応じてキャリア周波数の切り替えを行うことは、回転電機システムの電力効率の向上に資するものである。
ここで、上記のようなキャリア周波数の切り替えを行うと、キャリア周波数の切り替わりタイミングにおいてモータジェネレータ8で発生する電磁騒音の音色が変化し、該変化が車両の乗員に知覚されて不快感を与える虞がある。
図3は、図2における矢印Xで表すように電流値Diが一定の下で回転数Drのみが変化した場合における電磁騒音成分の変化の様子を模式的に表している。
矢印Xで表す回転数Drの変化に応じては、キャリア周波数は、回転数Drが閾値THr以上となったタイミングに応じて「×Hz」から「□Hz」へと切り替えられる。これに伴い、電磁騒音の音色がこれら「×Hz」と「□Hz」との差分に応じて変化し、該変化が乗員(ユーザ)に不快感を与えてしまう虞がある。
このような乗員の不快感を低減するための手法としては、前述のように、キャリア周波数を所定の周波数範囲で拡散させる手法を挙げることができる。
図4は、このようなキャリア周波数の拡散のイメージ図である。例えば、図2に示したような第1マップ6aを用いて選択した周波数をキャリア周波数の基本周波数として、該基本周波数を中心とする所定の周波数拡散範囲においてキャリア周波数を拡散させる。このとき、キャリア周波数の拡散は、例えば所定の拡散周期で、順次、周波数拡散範囲内の周波数をランダムに選択することで行う。
上記のようにキャリア周波数を拡散させることで、図5のイメージ図が示すように電磁騒音の音圧レベルを低減させることができる。つまり、電磁騒音の音圧レベル自体を低減することでキャリア周波数の切り替えに伴う電磁騒音の変化が乗員に知覚され難くできるため、該電磁騒音の変化に起因した乗員の不快感の低減を図ることができるものである。
しかしながら、キャリア周波数を拡散させることは、キャリア周波数を本来設定されるべき周波数から変化させているということになるので、回転電機システムの電力効率低下を招いてしまう。
そこで、本実施の形態では、周波数拡散制御において、周波数拡散範囲の幅を回転数Dr、電流値Diがそれぞれ閾値THr、閾値THiに近いほど拡大する。
図6は、このような周波数拡散範囲の幅の制御に用いる第2マップ6bの内容を模式的に表している。
図示のように第2マップ6bにおいては、先の第1マップ6aと同様の閾値THrと閾値THtとで区切られた4つの各領域(A11、A12、A21、A22)が、それぞれ複数の副領域に分割されている。図6の例では、領域A11、A12、A21、A22はそれぞれ4つの副領域(それぞれ末尾にa〜dの符号を付している)に分割されている。具体的に、これら領域A11、A12、A21、A22における各副領域としては、末尾の符号a、b、c、dの順で、閾値THrと閾値THiとで形成される十字のラインに近い領域とされている。
なお、図6の例では、各副領域における回転数Dr方向の幅、電流値Di方向の幅はそれぞれ均等とされている。
第2マップ6bにおいては、領域A11、A12、A21、A22それぞれの各副領域ごとに、周波数拡散範囲の幅の情報が対応づけられている。具体的には、末尾の符号d、c、b、aの順で徐々に周波数拡散範囲の幅が大きくなるように各副領域に対する周波数拡散範囲の幅の対応づけが為されている。
図7は、上記の第2マップ6bを用いて実現される実施の形態における周波数拡散の様子を模式的に表している。なお、図7では、図6に矢印Xで表すように電流値Diが一定の下で回転数Drのみが変化した場合を例に、実施の形態における周波数拡散の様子を表している。
図中の時点t1は、矢印Xで表す挙動において回転数Drが閾値THr以上となったタイミングを表す。なおこの場合、横軸の「時間」は「回転数Dr」と読み替えることができる。また図7では、比較として図4で説明した単純な拡散制御(拡散範囲幅一定の拡散制御)を行った場合の周波数拡散範囲を細実線により表し、実施の形態の拡散制御による周波数拡散範囲を太実線により表している。
先ず前提として、本実施の形態では、図2に示した第1マップ6aに従ったキャリア周波数切り替えを行うため、周波数拡散の範囲を定める上で基準とするキャリア周波数、すなわち基本周波数は、時点t1を境に切り替えられる(本例では×Hz→□Hz)。
上記した第2マップ6bに従って周波数拡散制御における周波数拡散範囲の幅を回転数Dr(及び電流値Di)に応じて変化させることで、図示のように、時点t1までの期間では時間経過と共に(回転数Drの上昇と共に)周波数拡散範囲の幅は徐々に拡大していき、時点t1を過ぎると(回転数Dr≧閾値THrとなると)、時間経過と共に周波数拡散範囲の幅は徐々に縮小していく。
なお、図6に示す第2マップ6bに従うと、周波数拡散範囲の幅は時間経過と共に階段状に変化することになるが、図7では図示の都合から周波数拡散範囲の幅が時間経過と共にリニアに変化するものとして表している。
本例では、上述した副領域の分割態様により、周波数拡散範囲の幅は4段階に制御されるが、該段階の数については「4」に限定されるものでなく「2」以上の任意の数とできることは言うまでもない。
上記のような拡散範囲幅の可変制御により、拡散幅一定とする手法(図4)との比較で、図7中の梨地で表す部分において回転電機システムの電力効率の向上が図られる。
また、上記のような拡散範囲幅の可変制御によると、回転数Dr(電流値Di)が閾値THr(閾値THi)に近いほど拡散範囲の幅が拡大される傾向となる、換言すれば、基本周波数の切り替えタイミングに近づくほど拡散範囲の幅が拡大される傾向となるが、このことで、電磁騒音の音圧抑制効果が確保され、乗員等のユーザの不快感緩和が図られる。
<3.処理手順>
図8のフローチャートを参照して、上記した実施の形態としてのキャリア周波数制御手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を説明する。
なお、図8に示す処理は、図1に示したインバータコントローラ5が例えばメモリ6等の所定の記憶装置に格納されたプログラムに従って実行するものである。インバータコントローラ5は、図8に示す処理を所定の周期で繰り返し実行する。
図8において、インバータコントローラ5はステップS101で、モータジェネレータ8からの回転数Dr及び電流値Diを取得し、続くステップS102で第1マップ6aから回転数Dr及び電流値Diに応じたキャリア周波数(基本周波数)を取得する。
さらに、続くステップS103でインバータコントローラ5は、第2マップ6bから回転数Dr及び電流値Diに応じた拡散範囲(周波数拡散範囲)を取得する。
その上でインバータコントローラ5は、ステップS104で基本周波数を中心とした拡散範囲内における周波数をランダム選択する。
さらに、インバータコントローラ5は次のステップS105で、選択した周波数をPWMインバータ7のキャリア周波数として設定し、図8に示す処理を終える。
<4.第一変形例>
ここで、キャリア周波数の拡散制御を行う場合には、キャリア周波数と回転電機システムの電力損失との関係が考慮されるべきである。
回転電機システムの電力損失は、PWMインバータ7の損失とモータジェネレータ8の損失とで決定づけられる。
キャリア周波数がPWMインバータ7の損失、モータジェネレータ8の損失に与える影響はそれぞれ異なるもので、この点に起因して、キャリア周波数と回転電機システムの電力損失との関係は、PWMインバータ7における損失が支配的な場合とモータジェネレータ8における損失が支配的である場合とで図9A、図9Bに示す通り異なるものとなる。
キャリア周波数に対する回転電機システムの電力損失は二次曲線により表されるものとなるが、図9Aに示すPWMインバータ7の損失が支配的な場合、回転電機システムの電力損失はキャリア周波数の上昇に応じて増大する傾向となる。一方、図9Bに示すモータジェネレータ8の損失が支配的な場合、回転電機システムの電力損失はキャリア周波数の上昇に応じて減少する傾向となる。
図9Aのケースにおいて、キャリア周波数=基本周波数に設定された場合のシステム電力損失を基準とすると、基本周波数を中心とした拡散範囲α内での周波数拡散制御において、基本周波数より低いキャリア周波数が設定される場合にはシステム電力損失の低減が図られることが分かる(図中の梨地部分)。
一方、図9Bのケースにおいては、基本周波数を中心とした拡散範囲α内での周波数拡散制御において、システム電力損失の低減が図られるのは、逆に基本周波数より高いキャリア周波数が設定される場合となる。
これら図9Aと図9Bの対比より、システム電力損失の低減を考慮すると、キャリア周波数の拡散は、基本周波数よりも低い周波数領域のキャリア周波数がより多く選択されるか、或いは基本周波数よりも高い周波数領域のキャリア周波数がより多く選択されるかを、PWMインバータ7又はモータジェネレータ8の何れの損失が支配的であるかに応じて定めるべきであることが分かる。
そこで、第一変形例では、キャリア周波数の拡散制御において、選択した基本周波数よりも高い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度と、選択した基本周波数よりも低い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度とを、PWMインバータ7における損失とモータジェネレータ8における損失との関係に基づいて異ならせる。
具体的に、PWMインバータ7の損失が支配的である場合には、選択した基本周波数よりも低い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度を高くし、モータジェネレータ8の損失が支配的である場合には選択した基本周波数よりも高い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度を高くする。
図10では、選択した基本周波数よりも高い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度を高くした場合、すなわちモータジェネレータ8の損失が支配的である場合における周波数拡散の様子を模式的に表している。
上記のような頻度調整により、キャリア周波数の拡散を基本周波数を中心とした周波数範囲内でランダムに行う場合と比較して、回転電機システムの電力損失の低減を図ることができる。
なお、回転電機システムの電力損失としてPWMインバータ7の損失、モータジェネレータ8の損失の何れが支配的であるかは、モータジェネレータ8の回転数Drにより知ることができる。具体的に、回転数Drが所定値未満である場合はPWMインバータ7の損失が支配的となり、回転数Drが所定値以上である場合はモータジェネレータ8の損失が支配的となる。
上記のような頻度調整を実現するにあたっては、インバータコントローラ5は、回転数Drが上記の所定値未満であるか否かの判定(損失判定)を行い、回転数Drが所定値未満であれば、ステップS104のキャリア周波数のランダム選択として、第2マップ6bから取得した周波数拡散範囲内における基本周波数未満のキャリア周波数の選択頻度が基本周波数以上のキャリア周波数の選択頻度よりも高くなるような選択を行う。一方、回転数Drが所定値未満でなければ、同キャリア周波数のランダム選択として、第2マップ6bから取得した周波数拡散範囲内における基本周波数以上のキャリア周波数の選択頻度が基本周波数未満のキャリア周波数の選択頻度よりも高くなるような選択を行う。
具体的な頻度調整の手法としては、例えば、基本周波数未満の周波数領域を対象としたキャリア周波数のランダム選択(第一ランダム選択)と基本周波数以上の周波数領域を対象としたキャリア周波数のランダム選択(第二ランダム選択)とを実行可能としておき、上記の損失判定の結果に応じて、第一ランダム選択を第二ランダム選択よりも多く行うか、或いは第二ランダム選択を第一ランダム選択よりも多く行うかを定める等の手法を挙げることができる。
<5.第二変形例>
上記では、第2マップ6bにおける領域A11、A12、A21、A22内の各副領域を等間隔に区切った場合、すなわち回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度が一定とされた場合を例示したが、回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度は、回転数Drと閾値THrとの差、電流値Diと閾値THiとの差に応じて変化させてもよい。
図11は、回転数Drに対する領域A11、A12、A21、A22内の各領域の幅を、閾値THrに近い領域ほど狭めるようにした場合の周波数拡散の様子を模式的に表している。なお、図11においても、前述した矢印Xで表す回転数Drの変化を前提とした周波数拡散の様子を例示している。図中の「Ls」と示した直線は、領域A11、A12、A21、A22内の各副領域を等間隔に区切った場合(回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を一定とした場合)の周波数拡散範囲を模式的に表している。なお、「Ls」は実際には階段状となるが、ここでは便宜的に直線により表現している。
図11の場合、回転数Drの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度は、回転数Drが閾値THrに近いほど(閾値THrとの差が小さいほど)高くなる。
一方、図12は、回転数Drに対する領域A11、A12、A21、A22内の各領域の幅を、閾値THrから遠い領域ほど狭めるようにした場合の周波数拡散の様子を模式的に表している(図12においても前述した矢印Xで表す回転数Drの変化を前提とした周波数拡散の様子を例示している)。
図12の場合、回転数Drの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度は、回転数Drが閾値THrから遠いほど(閾値THrとの差が大きいほど)高くなる。
図示は省略したが、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度についても、電流値Diと閾値THiとの差に応じて同様に変化させることもできる。
ここで、上記のように回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を回転数Drと閾値THrとの差、電流値Diと閾値THiとの差に応じて変化させることにより、回転電機システムにおける電力損失(発熱量)の調整を行うことが可能となる。
例えば、車両が氷点下等の低温環境下に置かれる等、直流電圧DCの安定供給のため車載バッテリーを暖めたい場合には、図12で例示したように、回転数Dr(又は電流値Di)の変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、回転数Drと閾値THrとの差(又は電流値Diと閾値THiとの差)が小さいほど高くなるようにする。換言すれば、回転数Drの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、回転数Drと閾値THrとの差が大きいほど低くなるようにする。これによると、図中の直線Lsとの比較、換言すれば回転数Dr(電流値Di)の変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を一定とした場合との比較で、図中の梨地で表した分の電力損失が生じる。すなわち、回転電機システムの電力損失が増大する傾向となるようにできる。このため、PWMインバータ7の発熱量を増大させて車載バッテリーを暖気することが可能となる。
一方で、回転数Dr(電流値Di)の変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、回転数Drと閾値THrとの差(電流値Diと閾値THiとの差)が大きいほど高くなるようにすると、図11に梨地で表した分の損失低減効果が得られ、システム電力効率を高めることが可能となる。
図13は、上記のような回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度についての調整を実現する場合に用いるべき第2マップ6bの例を示している。
なお、図13では回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、それぞれ回転数Drと閾値THrとの差、電流値Diと閾値THiとの差が小さいほど高くする場合の第2マップ6bの例を示している。
図13の例では、領域A11、A12、A21、A22をそれぞれ8つの副領域に分割した例を示している(それぞれ末尾にa〜hの符号を付している)。なお、ここでの副領域の分割数はあくまで一例であり、図11の場合に対応した分割数を述べている訳ではない。
これら8つの各副領域は、閾値THrと閾値THiとで形成される十字ラインに近い副領域ほど回転数Dr方向の幅、電流値Di方向の幅が狭くなるようにされている。この場合も、各副領域には、上記の十字ラインに近い領域ほどより大きな周波数拡散範囲の値が対応づけられている。
なお、図12の例、すなわち回転数Dr、電流値Diの変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を回転数Drと閾値THrとの差、電流値Diと閾値THiとの差が大きいほど高くする場合、副領域の回転数Dr方向の幅、電流値Di方向の幅は、上記の十字ラインに近い副領域ほどが広くなるようにすればよい。
<6.第三変形例>
上記では、キャリア周波数の拡散周期は一定の周期とすることを前提としたが、キャリア周波数の拡散周期は、回転数Drと閾値THrとの差や、電流値Diと閾値THiとの差に応じて変化させることができる。
図14は、キャリア周波数の拡散周期を、回転数Drと閾値THrとの差が大きいほど短くした場合における周波数拡散の様子を模式的に示している。なお、図14においても前述した矢印Xによる回転数Drの変化を前提としている。
この場合、キャリア周波数の拡散周期は、回転数Drが閾値THrに遠いほど短くされる傾向となる。
図示は省略したが、キャリア周波数の拡散周期は、電流値Di側についても同様の設定を行うことができる。すなわち、電流値Diと閾値THiの差が大きいほど拡散周期を短くするものである。
ここで、実施の形態の周波数拡散制御によっては、周波数拡散範囲の幅は、回転数Dr、電流値Diが閾値THr、閾値THiから遠いほど狭まる傾向とされる。これは、閾値THとの差が大きい領域ほど周波数拡散による音圧低減効果が弱まる傾向となることを意味する。
上記のようにキャリア周波数の拡散周期を回転数Drと閾値THrとの差や電流値Diと閾値THiとの差が大きい領域ほど短くなるようにすると、該領域においては回転数Dr、電流値Diの変化に対してキャリア周波数が拡散する頻度が高まるため(図14中「Y」で表す部分を参照)、電磁騒音の音圧低減効果が高まる。すなわち、周波数拡散範囲の幅の減少により音圧低減効果が低下する領域において、音圧低減効果を高めることができるものであり、この結果、回転数Drや電流値Diに依らず電磁騒音が知覚され難くなるように図ることができる。
上記のようなキャリア周波数の拡散周期の調整を実現するにあたっては、第3マップを用いる。第3マップとしては、例えば、図6に示した第2マップ6bと同様に領域A11、A12、A21、A22内をそれぞれ複数の副領域に分割し、それら副領域ごとに、対応する拡散周期の値を対応づけたマップとする。具体的には、上述した十字ラインから遠い副領域ほど短い拡散周期の値を対応づけたマップとする。
第三変形例において、インバータコントローラ5は、このような第3マップに従って、回転数Drや電流値Diに応じたキャリア周波数の拡散周期の調整を行う。
<7.実施の形態のまとめ>
上記のように実施の形態の回転電機制御装置は、直流電圧をPWM信号に基づきスイッチングして回転電機の駆動電力を生成するPWMインバータ(同7)と、PWMインバータにおけるキャリア周波数を制御する制御部(インバータコントローラ5)と、を備えるものであり、制御部は、回転電機における回転子の回転数又は回転電機の駆動電流値が所定の閾値未満である場合と閾値以上である場合とでキャリア周波数の基本周波数として異なる周波数を選択し、選択した基本周波数を中心とする周波数拡散範囲においてキャリア周波数を拡散させる周波数拡散制御を行うと共に、周波数拡散制御において、周波数拡散範囲の幅を、回転数又は駆動電流値が閾値に近いほど拡大するようにしている。
これにより、回転電機における回転子の回転数や回転電機の駆動電流値に応じてキャリア周波数を切り替える回転電機制御装置において、電磁騒音の音圧抑制効果を確保しつつ、回転電機システムの電力損失を抑えることが可能とされる。
従って、キャリア周波数切り替えに伴う電磁騒音変化に起因したユーザの不快感の緩和を図りつつ、回転電機システムの電力効率低下の抑制を図ることができる。
また、実施の形態の回転電機制御装置においては、制御部は、周波数拡散制御において、選択した基本周波数よりも低い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度と選択した基本周波数よりも高い周波数領域におけるキャリア周波数の発生頻度とを、PWMインバータにおける損失と回転電機における損失との関係に基づいて異ならせている。
これにより、回転電機システムの電力損失の低減を図ることができる。
さらに、実施の形態の回転電機制御装置においては、制御部は、周波数拡散制御において、回転数又は駆動電流値の変化に対して周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、回転数又は駆動電流値と閾値との差に応じて変化させている。
これにより、回転電機システムの電力損失を調整することが可能とされ、例えば車両の走行環境等に応じて直流電圧の供給源としてのバッテリーを暖気したり、或いは暖気はせずに回転電機システムの電力効率の高めるといった調整を実現することができる。
さらにまた、実施の形態の回転電機制御装置においては、制御部は、キャリア周波数の拡散周期を、回転数又は駆動電流値と閾値との差大きいほど短くしている。
実施の形態の周波数拡散制御によると、周波数拡散範囲の幅は、回転数又は駆動電流値が閾値から遠いほど狭まる傾向とされる。これは、回転数又は駆動電流値と閾値との差が大きい領域ほど周波数拡散による音圧低減効果が弱まる傾向となることを意味する。この点に対応して、上記のように回転数又は駆動電流値と閾値との差が大きいほどキャリア周波数の拡散周期を短くすることで、周波数拡散範囲の幅の減少により音圧低減効果が弱まる領域での音圧低減効果の向上を図ることが可能となる。
従って、回転数や駆動電流値に依らず電磁騒音が知覚され難くすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記で説明した具体例に限定されず、多様な変形例が考えられる。
例えば、上記では、本発明がハイブリッド車両に適用される場合を例示したが、本発明は、EV(電気自動車)車両等、車輪の駆動力の少なくとも一部を電動機により賄う電動車両に対して好適に適用できる。
また、上記では車輪の駆動力を賄うモータが一つのみとされた1モータの電動車両を例示したが、本発明は複数のモータを具備する車両にも好適に適用できる。
さらに、本発明は、車両のみでなく、回転電機を用いる装置一般に広く好適に適用できるものである。
1…車両制御システム、2…ハイブリッドコントローラ、3…エンジンコントローラ3、4…エンジン関連アクチュエータ、5…インバータコントローラ、6…メモリ、6a…第1マップ、6b…第2マップ、7…PWMインバータ、8…モータジェネレータ、9…アクセル開度センサ、10…バス

Claims (4)

  1. 直流電圧をPWM信号に基づきスイッチングして回転電機の駆動電力を生成するPWMインバータと、
    前記PWMインバータにおけるキャリア周波数を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記回転電機における回転子の回転数又は前記回転電機の駆動電流値が所定の閾値未満である場合と前記閾値以上である場合とで前記キャリア周波数の基本周波数として異なる周波数を選択し、選択した前記基本周波数を中心とする周波数拡散範囲において前記キャリア周波数を拡散させる周波数拡散制御を行うと共に、前記周波数拡散制御において、前記周波数拡散範囲の幅を、前記回転数又は前記駆動電流値が前記閾値に近いほど拡大する
    回転電機制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記周波数拡散制御において、前記選択した基本周波数よりも低い周波数領域における前記キャリア周波数の発生頻度と前記選択した基本周波数よりも高い周波数領域における前記キャリア周波数の発生頻度とを、前記PWMインバータにおける損失と前記回転電機における損失との関係に基づいて異ならせる
    請求項1に記載の回転電機制御装置。
  3. 前記制御部は、
    前記周波数拡散制御において、前記回転数又は前記駆動電流値の変化に対して前記周波数拡散範囲の幅を切り替える頻度を、前記回転数又は前記駆動電流値と前記閾値との差に応じて変化させる
    請求項1又は請求項2に記載の回転電機制御装置。
  4. 前記制御部は、
    前記キャリア周波数の拡散周期を、前記回転数又は前記駆動電流値と前記閾値との差が大きいほど短くする
    請求項1乃至請求項3の何れかに記載の回転電機制御装置。
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