JP6551335B2 - サセプタサポートシャフト及びエピタキシャル成長装置 - Google Patents

サセプタサポートシャフト及びエピタキシャル成長装置 Download PDF

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Description

本発明は、エピタキシャル成長装置内でサセプタを下方から支持するサセプタサポートシャフト、及び該サセプタサポートシャフトを有するエピタキシャル成長装置に関する。
エピタキシャルウェーハは、半導体ウェーハの表面上にエピタキシャル膜を気相成長させたものである。例えば、結晶の完全性がより要求される場合や抵抗率の異なる多層構造を必要とする場合などには、シリコンウェーハ上に単結晶シリコン薄膜を気相成長(エピタキシャル成長)させてエピタキシャルシリコンウェーハを製造する。
エピタキシャルウェーハの製造には、例えば枚葉式エピタキシャル成長装置が用いられる。ここで、一般的な枚葉式エピタキシャル成長装置について、図9を参照して説明する。図9に示すように、エピタキシャル成長装置2000は、上部ドーム104、下部ドーム106及びドーム取付体108を含むプロセスチャンバ102を有し、該プロセスチャンバ102がエピタキシャル膜形成室を区画する。プロセスチャンバ102には、その側面の対向する位置に反応ガスの供給および排出を行うガス供給口112およびガス排出口114が設けられる。一方、プロセスチャンバ102内には、半導体ウェーハWが載置されるサセプタ120が配置される。サセプタ120は、下方からサセプタサポートシャフト500により支持される。サセプタサポートシャフト500は、主柱10と、この主柱10から放射状に等間隔に延びる3本のアーム30(1本は図示せず)とを含み、アーム30の先端の3つの支持ピン20(1つは図示せず)でサセプタ120の下面外周部を嵌合支持する。また、サセプタ120には3つの貫通孔(1つは図示せず)が形成され、3本のアーム30にも貫通孔が1つずつ形成されている。これらアーム30の貫通孔及びサセプタ120の貫通孔には、リフトピン130が挿通される。リフトピンの下端部136は昇降シャフト140に支持される。プロセスチャンバ102内に搬入された半導体ウェーハWの支持、この半導体ウェーハWのサセプタ120上への載置、および、気相成長後のエピタキシャルウェーハのプロセスチャンバ102外への搬出の際には、昇降シャフト140が昇降することで、リフトピン130がアーム30の貫通孔およびサセプタ120の貫通孔と摺動しながら昇降し、その上端部132で半導体ウェーハWの昇降を行う。
特許文献1では、このような枚葉式エピタキシャル成長装置において、リフトピン上に半導体ウェーハが存在する場合、半導体ウェーハの荷重等によりぐらつきが発生し、そのぐらつきにより半導体ウェーハのサセプタへの載置位置にバラつきが発生するという認識から、複数本のリフトピンを補助部材により相互接続することにより、補助部材が無い場合に比べて半導体ウェーハを昇降させる際のリフトピンのぐらつきを抑制し、半導体ウェーハの載置位置のずれを低減させる技術が記載されている。
特開2014−220427号公報
一般的に、エピタキシャル成長装置を構成するサセプタ、リフトピン、及びサセプタサポートシャフトの材料は、耐熱性、コスト、及び機能の観点から限られている。例えば、サセプタサポートシャフトに石英を用いる場合は、サセプタおよびリフトピンにはカーボングラファイト基材に炭化ケイ素を被覆した部材を用いることが一般的である。このとき、カーボングラファイトや炭化ケイ素の熱膨張係数は石英の熱膨張係数に比べて大きいので、エピタキシャル成長装置内では、エピタキシャル成長装置内の温度に依存して3つの状態が生じる。すなわち、リフトピンの取り付け及び後述する半導体ウェーハの搬送動作の調整を行う常温と、半導体ウェーハの搬送を行う600℃以上900℃の温度帯域と、エピタキシャル成長を行う1100℃以上1200℃以下の温度帯域とでは、サセプタサポートシャフト、サセプタ、及びリフトピンの位置関係が異なる。
ここで、エピタキシャル膜の膜厚を均一にすることにより高い平坦度を有するエピタキシャルウェーハを得るには、600℃以上900℃以下の温度帯域における半導体ウェーハWの搬送動作の際に、半導体ウェーハWの表面が水平面に対して平行となる状態を保つことが重要である。従って、一般的に、図10(B)に示すように、600℃以上900℃以下の温度帯域において、各リフトピン130の中心軸が鉛直方向に対して平行になるように、各部材の寸法が設計される。しかしながら、600℃以上900℃以下の温度帯域を基準として各部材の寸法を設計すると、上記熱膨張係数の差に起因して、常温下では、図10(A)に示すように、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向内側に傾く。一方、1100℃以上1200℃以下の温度帯域では、図10(C)に示すように、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向外側に傾く。
ここで、エピタキシャル成長の過程では、トリクロロシランガス等の原料ソースガス、ジボランガス等のドーパントガス、水素ガス等のキャリアガスを1100℃以上1200℃以下の温度帯域にて供給し、半導体ウェーハWの表面上にエピタキシャル膜を成長させる。この際、上記ガスはプロセスチャンバ102内に充満し、半導体ウェーハWの表面以外の場所にも回り込むため、プロセスチャンバ102内の各部材には、上記ガスを主成分とする副生成物が付着する。その中でも特に、リフトピンの部材は、カーボングラファイト基材に炭化ケイ素を被覆した部材であるので、図10(C)に示すように、各アームの貫通孔40の開口端周辺、すなわち、各リフトピンの直胴部134の側面と各アームの上面32Aとで挟まれる領域や各リフトピンの直胴部134の側面と各アームの下面32Bとで挟まれる領域には、プロセスチャンバ102内の他の部材に比べて上記副生成物が付着しやすい。さらに、この現象は、エピタキシャル成長温度が高温で、エピタキシャル膜が厚いほど顕著である。
これに対して、従来のサセプタサポートシャフトを用いたエピタキシャル成長装置を用いる場合、エピタキシャルウェーハの製造工程の全てが終了した後に、プロセスチャンバ102内を塩化水素ガス等でエッチングすることにより、上記副生成物を取り除いていた。しかしながら、600℃以上900℃以下の温度帯域におけるエピタキシャルウェーハの搬送動作は、エピタキシャル成長直後に行われる。すなわち、詳細は後述するが、図10(B)に示すように、各アームの貫通孔40の開口端周辺に副生成物が付着した状態で、各リフトピン130がサセプタの各貫通孔122および各アームの貫通孔40と摺動し、エピタキシャルウェーハが所定位置に移動する。その後、搬送ブレードによりエピタキシャルウェーハがプロセスチャンバ102外へ搬出される。上記摺動の際、各アームの貫通孔40の開口端周辺には、各リフトピンの直胴部134の側面と副生成物との接触に伴う応力が集中し、この応力の集中により上記副生成物が剥離する。そして、剥離した副生成物はプロセスチャンバ102内に飛散し、エピタキシャルウェーハの表面に付着することにより、エピタキシャルウェーハの表面にはLPD(Light Point Defect)が生じるという摺動発塵の問題が生じる。また、上記のように応力が集中すると、各リフトピン130が上下方向に円滑に昇降することが妨げられる。これにより、半導体ウェーハWの搬送動作の繰り返し精度が低下し、エピタキシャルウェーハの平坦度が低下するという問題も生じる。
また、詳細は後述するが、常温下での各リフトピン130の取り付けや半導体ウェーハWの搬送動作の調整の際にも、各リフトピン130が、サセプタの各貫通孔122および各アームの貫通孔40と摺動しながら昇降する工程が含まれる。その際、図10(A)に示すように、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向内側に傾いた状態で、各リフトピン130が上下方向に昇降すると、各アームの貫通孔40の開口端周辺でリフトピン130とアーム30とが擦れる。これにより各リフトピン130とアーム30とが摩耗し、摺動発塵が発生する。また、リフトピン130とアーム30とが擦れると、摺動抵抗が生じる。これにより、半導体ウェーハWの搬送確認の精度が低下し、エピタキシャルウェーハの平坦度が低下するという問題も生じる。
また、特許文献1では、リフトピンのぐらつきを抑制する観点から複数のリフトピンを補助部材により相互接続している。しかしながら、エピタキシャル成長装置を構成する各部材の設計に関して、常温、600℃以上900℃以下の温度帯域、および1100℃以上1200℃以下の温度帯域における各部材の熱膨張係数の差が何ら考慮されていない。それどころか、エピタキシャル成長に起因して生じる副生成物が、エピタキシャルウェーハの表面にLPDを生じさせることや、エピタキシャルウェーハの平坦度に悪影響を及ぼすことの認識すらされていない。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、エピタキシャル成長時に生じる副生成物に起因する摺動発塵や半導体ウェーハの搬送動作の調整時における摺動発塵の発生を抑制することにより、LPDが抑制され、かつ高い平坦度を有するエピタキシャルウェーハを製造することができるサセプタサポートシャフト及びエピタキシャル成長装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)サセプタに載置した半導体ウェーハの表面上にエピタキシャル膜を気相成長させるエピタキシャル成長装置内で、前記サセプタを下方から支持するサセプタサポートシャフトであって、
前記サセプタの中心と略同軸上に配置される主柱と、
前記主柱から前記サセプタの周縁部下方に放射状に延びる、3本以上のアームと、
前記アームの先端にそれぞれ設けられ、前記サセプタを直接支持する支持ピンと、
を有し、前記アームには、その上面から下面に向けて該アームを貫通した貫通孔が設けられ、
前記貫通孔の内壁は、
前記主柱の軸と平行な中心軸をもつ円筒形の第一空間を区画する第一内壁と、
前記第一内壁の上端から前記アームの上面の開口端まで延在し、前記第一空間と連通した第二空間を区画する第二内壁と、
前記第一内壁の下端から前記アームの下面の開口端まで延在し、前記第一空間と連通した第三空間を区画する第三内壁と、
を有し、
前記円筒形の中心軸方向で見て、前記アームの上面の開口端及び前記アームの下面の開口端が、前記第一内壁の上端及び下端を包囲しており、
前記第二内壁及び前記第三内壁は、前記円筒形の中心軸を通る全ての断面において直線となり、
前記円筒形の中心軸を通り、かつ前記アームの延在方向に平行な断面において、前記第二内壁の前記支持ピン側の直線と前記第三内壁の前記主柱側の直線とが、前記円筒形の中心軸に対して傾斜しており、及び/又は、前記第二内壁の前記主柱側の直線と前記第三内壁の前記支持ピン側の直線とが、前記円筒形の中心軸に対して傾斜していることを特徴とするサセプタサポートシャフト。
(2)前記円筒形の中心軸を通り、かつ前記アームの延在方向に平行な断面において、下記のとおり定義した角度が、D<45°、E<45°、F<45°及びG<45°を満たす、上記(1)に記載のサセプタサポートシャフト。

D:前記第二内壁の前記支持ピン側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
E:前記第二内壁の前記主柱側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
F:前記第三内壁の前記主柱側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
G:前記第三内壁の前記支持ピン側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
(3)0°<D<45°、0°<E<45°、0°<F<45°及び0°<G<45°を満たす、上記(2)に記載のサセプタサポートシャフト。
(4)0°<D<45°、E=0°、0°<F<45°及びG=0°を満たす、上記(2)に記載のサセプタサポートシャフト。
(5)D=0°、0°<E<45°、F=0°及び0°<G<45°を満たす、上記(2)に記載のサセプタサポートシャフト。
(6)0°<D+E<45°である、上記(2)〜(5)のいずれか一つに記載のサセプタサポートシャフト。
(7)0°<F+G<45°である、上記(2)〜(6)のいずれか一つに記載のサセプタサポートシャフト。
(8)D=F及び/又はE=Gである、上記(2)〜(7)のいずれか一つに記載のサセプタサポートシャフト。
(9)前記第一空間の高さCが8.00mm以上14.00mm以下である、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のサセプタサポートシャフト。
(10)前記アームの厚みは、その延在方向に沿って、前記貫通孔の周辺部でのみ、他の部分より厚くなっている、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載のサセプタサポートシャフト。
(11)前記貫通孔の周辺部の前記アームの厚みが11.00mm以上20.00mm以下である、上記(10)に記載のサセプタサポートシャフト。
(12)半導体ウェーハの表面上にエピタキシャル膜を気相成長させるエピタキシャル成長装置であって、
プロセスチャンバと、
該プロセスチャンバ内で前記半導体ウェーハを載置するサセプタと、
該サセプタを下方から支持する、上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載のサセプタサポートシャフトと、
前記3本以上のアームの、各々の貫通孔に挿通され、上下方向に昇降されることにより、前記半導体ウェーハの前記サセプタに対する着脱を行う、3本以上のリフトピンと、
を有することを特徴とするエピタキシャル成長装置。
本発明のサセプタサポートシャフト及びエピタキシャル成長装置によれば、エピタキシャル成長時に生じる副生成物に起因する摺動発塵や半導体ウェーハの搬送動作の調整時における摺動発塵の発生を抑制することにより、LPDが抑制され、かつ高い平坦度を有するエピタキシャルウェーハを製造することができる。
600℃以上900℃以下の温度帯域における、本発明の一実施形態によるエピタキシャル成長装置1000の模式図である。 1100℃以上1200℃以下の温度帯域における、本発明の一実施形態によるエピタキシャル成長装置1000の模式図である。 常温下で半導体ウェーハWをプロセスチャンバ102に搬送する工程を説明する、本発明の一実施形態によるエピタキシャル成長装置1000の模式図である。 (A)はサセプタ120、(B)はサセプタサポートシャフト100の分解斜視図である。 (A)はリフトピン130、(B)は昇降シャフト140の分解斜視図である。 本発明の第一の実施形態によるサセプタサポートシャフト100の部分斜視図である。 本発明の第一の実施形態によるサセプタサポートシャフト100を円筒形の中心軸Xの上方向から見た図である。 本発明の第一の実施形態によるサセプタサポートシャフト100の、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に平行な断面における、部分断面図である。 本発明の第一の実施形態によるサセプタサポートシャフト100を円筒形の中心軸Xの下方向から見た図である。 本発明の第一の実施形態によるサセプタサポートシャフト100の、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に垂直な断面図である。 (A)は1100℃以上1200℃以下の温度帯域における、(B)は常温における、本発明の第一の実施形態によるサセプタサポートシャフト100及びリフトピン130の位置関係を示した模式図である。 本発明の第二の実施形態によるサセプタサポートシャフト200の部分斜視図である。 本発明の第二の実施形態によるサセプタサポートシャフト200を円筒形の中心軸Xの上方向から見た図である。 本発明の第二の実施形態によるサセプタサポートシャフト200の、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に平行な断面における、部分断面図である。 本発明の第二の実施形態によるサセプタサポートシャフト200を円筒形の中心軸Xの下方向から見た図である。 本発明の第三の実施形態によるサセプタサポートシャフト300の部分斜視図である。 本発明の第三の実施形態によるサセプタサポートシャフト300を円筒形の中心軸Xの上方向から見た図である。 本発明の第三の実施形態によるサセプタサポートシャフト300の、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に平行な断面における、部分断面図である。 本発明の第三の実施形態によるサセプタサポートシャフト300を円筒形の中心軸Xの下方向から見た図である。 本発明の他の実施形態によるサセプタサポートシャフト400の、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に平行な断面における、その部分断面図である。 従来のエピタキシャル成長装置2000の模式図である。 (A)は室温における、(B)は600℃以上900℃以下の温度帯域における、(C)は1100℃以上1200℃以下の温度における、従来のエピタキシャル成長装置2000のサセプタ120、サセプタサポートシャフト500、リフトピン130、及び昇降シャフト140の位置関係を示した模式図である。
図1(A),(B),(C)を参照して、本発明の一実施形態によるエピタキシャル成長装置1000を説明する。また、図2(A),(B)及び図3(A),(B)を参照して、このエピタキシャル成長装置1000に含まれるサセプタ120、サセプタサポートシャフト100、リフトピン130、昇降シャフト140を説明する。さらに、図4〜図8を参照して、本発明の特徴的部分であるサセプタサポートシャフト100,200,300,400を構成する各アーム30に設けた貫通孔40を説明する。
(エピタキシャル成長装置)
図1(A)に示すエピタキシャル成長装置1000は、プロセスチャンバ102と、図2(A)にも示すサセプタ120と、図2(B)にも示すサセプタサポートシャフト100と、図3(A)に示す3本のリフトピン130と、図3(B)に示す昇降シャフト140とを有する。
(プロセスチャンバ)
図1(A)を参照して、プロセスチャンバ102は、上部ドーム104、下部ドーム106及びドーム取付体108を含み、このプロセスチャンバ102がエピタキシャル膜形成室を区画する。プロセスチャンバ102には、その側面の対向する位置に反応ガスの供給および排出を行うガス供給口112及びガス排出口114が設けられる。
(サセプタ)
サセプタ120は、プロセスチャンバ102の内部で半導体ウェーハWを載置する円盤状の部材である。ここで、サセプタ120の主表面のうち、半導体ウェーハWを載置する側の主表面をサセプタ120のおもて面、それとは反対側の主表面をサセプタ120の裏面とする。図2(A)も参照して、サセプタ120は、周方向に120°等間隔で、サセプタ120のおもて面から裏面に向けてサセプタを貫通した3つの貫通孔122を有する。これらサセプタの貫通孔122には、後述するリフトピン130がそれぞれ挿通される。サセプタの各貫通孔122は、半導体ウェーハWの半径50%以上の裏面部領域に同心円状に位置する。サセプタ120には、カーボングラファイト(黒鉛)を母材とし、その表面を炭化ケイ素(SiC:ビッカース硬度2,346kgf/mm2)でコーティングしたものを使用することができる。サセプタ120のおもて面には、半導体ウェーハWを収容し載置するザグリ部(図示せず)が形成されている。
(サセプタサポートシャフト)
サセプタサポートシャフト100は、プロセスチャンバ102内でサセプタ120を下方から支持するものであり、図2(B)に示すように、主柱10と、3本のアーム30と、3本の支持ピン20とを有する。主柱10は、サセプタ120の中心と略同軸上に配置される。
図2(B)を参照して、3本のアーム30は、主柱10からサセプタ120の周縁部下方に放射状に延びる。各アーム30は、その延在方向に垂直な断面の形状が矩形である。ここで、アーム30の4つの面のうち、サセプタ120側の面をアームの上面32Aとし、その反対側の面をアームの下面32Bとする。各アーム30は、それぞれアームの上面32Aから下面32Bに向けてアーム30を貫通した、アームの貫通孔40を有する。これらアームの貫通孔40には、後述するリフトピン130がそれぞれ挿通される。なお、本明細書において「サセプタの周縁部」とは、サセプタ中心からサセプタ半径の80%以上外側の領域を意味する。各支持ピン20は、各アーム30の先端においてサセプタ120を直接支持する。すなわち、各支持ピン20は、サセプタ120の裏面周縁部を支持する。サセプタサポートシャフト100は、石英(ビッカース硬度1,103kgf/mm2)で構成することが望ましく、特に合成石英で構成することが望ましい。ただし、各支持ピン20の先端部分は、サセプタ120と同じ炭化ケイ素で構成することが好ましい。
本発明の特徴的部分は、サセプタサポートシャフト100を構成する各アーム30に設けたアームの貫通孔40の形状であり、その技術的意義は後述する。
(リフトピン)
図3(A)に示すように、各リフトピン130は、サセプタの各貫通孔122及び各アームの貫通孔40にそれぞれ挿通される直胴部134と、該直胴部134及びサセプタ120の各貫通孔122よりも太径の上端部132と、下端部136とをそれぞれ有する。各リフトピン130は、サセプタの各貫通孔122及び各アームの貫通孔40内にそれぞれ挿通される。各リフトピン130は、後述の昇降シャフト140によって、上下方向に昇降されることにより、各上端部132で半導体ウェーハW(半径50%以上の裏面部領域)を支持しながら半導体ウェーハWをサセプタ120上に着脱させることができる。この動作についても詳細は後述する。各リフトピン130は、サセプタ120と同様に、カーボングラファイト基材に炭化ケイ素を被覆してなるのが一般的である。
(昇降シャフト)
図3(B)に示すように、昇降シャフト140は、サセプタサポートシャフト100の主柱10を収容する中空を区画し、この主柱10と回転軸を共有する昇降シャフトの主柱142と、この昇降シャフトの主柱142の先端で分岐する3本の支柱144とを有し、これら支柱144の先端部で各リフトピン130の下端部136をそれぞれ支持する。昇降シャフト140は石英で構成されることが好ましい。昇降シャフト140が、サセプタサポートシャフト100の主柱10に沿って上下動することにより、各リフトピン130を昇降させることができる。
(加熱ランプ)
加熱ランプ110は、プロセスチャンバ102の上側領域および下側領域に配置され、一般に、昇降温速度が速く、温度制御性に優れた、ハロゲンランプや赤外ランプが用いられる。
(上側パイロメータおよび下側パイロメータ)
プロセスチャンバ102の上側領域および下側領域には、上側パイロメータ116aおよび下側パイロメータ116bが配置され、上側パイロメータ116aは半導体ウェーハWの被処理面の温度を検出し、下側パイロメータ116bはサセプタ120の裏面の温度を検出する。両パイロメータの検出値に基づき、図示しない電力出力制御手段により目標温度設定値との温度差を補正するように加熱ランプ110の出力が調整される。また、下側パイロメータ116bとサセプタサポートシャフト100との位置関係は、サセプタサポートシャフト100の回転に伴い、下側パイロメータ116bとサセプタ120の裏面との間を、アーム30が通過する位置関係となっている。
(トランスファチャンバ)
図1(B),(C)を参照して、トランスファチャンバ103は、プロセスチャンバ102に隣接して配置される。詳細は後述するが、半導体ウェーハWの搬送時には、開閉弁119を開くことにより、プロセスチャンバ102とトランスファチャンバ103とが連通する。また、図1(B)に示すように、エピタキシャル成長時には、開閉弁119が閉じることにより、プロセスチャンバ102とトランスファチャンバ103とは隔離される。
(搬送ロボット、搬送アーム、および搬送ブレード)
図1(C)を参照して、搬送ロボット118aは、トランスファチャンバ103内に配置され、半導体ウェーハWの搬送動作を制御する。また、搬送ロボット118aには、搬送アーム118bが接続されている。さらに、搬送アーム118bの先端には、半導体ウェーハWを一時的に載置するための搬送ブレード118cが接続されている。ここで、搬送ロボット118aは、一般に円筒型の構造を有しており、搬送ロボット118aが円筒軸まわりに回転することにより、それに接続された搬送アーム118bは、水平面内を回転することができる。また、搬送アーム118bは、水平方向に伸縮することができる。なお、上記の回転および伸縮の動作は、搬送ロボット118aの一部を構成するステッピングモーター(図示せず)により制御され、具体的には、ステッピングモーターの回転および伸縮に関する動作ステップ数を適宜調整することで制御される。
(エピタキシャルウェーハの製造手順)
次に、プロセスチャンバ102内への半導体ウェーハWの搬入、半導体ウェーハWへのエピタキシャル膜の気相成長、および製造されたエピタキシャルウェーハのプロセスチャンバ102外への搬出の一連の動作を、図1(A),(B),(C)を適宜参照して説明する。
まず、リフトピン130を取り付け、600℃以上900℃以下の温度帯域における半導体ウェーハWの搬送動作の調整を常温下で行う。以下では、図1(C)を適宜参照して、半導体ウェーハWの搬送動作の調整を説明する。まず、加熱ランプ110などの加熱ユニットを取り外す。次に、開閉弁119を開き、プロセスチャンバ102とトランスファチャンバ103とを連通させる。次に、搬送ブレード118c上に半導体ウェーハWを載置し、図示しないステッピングモーターにより搬送アーム118bを回転および伸縮させながら、図1(C)に示すように、半導体ウェーハWをプロセスチャンバ102内に搬入する。次に、半導体ウェーハWを搬送ブレード118cから各リフトピン130に受け渡す。次に、搬送アーム118bを縮めて、搬送ブレード118cをプロセスチャンバ102内から退避させる。このとき、半導体ウェーハWは、各リフトピン130で一旦支持される。次に、サセプタサポートシャフト100を上昇させることで、サセプタ120を半導体ウェーハWの位置にまで移動させ、半導体ウェーハWをサセプタ120に載置する。その後、半導体ウェーハWの中心とサセプタ120の中心とが一致しているか否かを上部ドーム104の上方から目視により確認する。半導体ウェーハWの中心とサセプタ120の中心とが一致していない場合は、半導体ウェーハWをプロセスチャンバ102内から一旦取り出した後に、搬送動作の調整を行う。すなわち、サセプタサポートシャフト100を下降させることで、サセプタ120を下降させ、半導体ウェーハWを各リフトピン130で一旦支持する。次に、搬送アーム118bを伸ばして搬送ブレード118cをプロセスチャンバ102内に導入し、半導体ウェーハWを各リフトピン130から搬送ブレード118cに受け渡し、半導体ウェーハWをプロセスチャンバ102内から取り出す。その後、搬送アーム118bの回転および伸縮の動作ステップ数を変更する。この一連の操作を、半導体ウェーハWの中心とサセプタ120の中心とが一致するまで繰り返す。なお、上記の操作において、サセプタサポートシャフト100を昇降させるに伴い、各リフトピン130は、サセプタの各貫通孔122と各アームの貫通孔40とを摺動する。
次に、加熱ランプ110によりプロセスチャンバ102内を600℃以上900℃以下の温度に予め加熱する。その後、搬送ブレード118cにより、プロセスチャンバ102内に半導体ウェーハWを搬入し、開閉弁119を閉じる。図1(A)を参照して、各リフトピン130(1本は図示せず)がサセプタ120の上方に向けて移動し、各リフトピンの上端部132が半導体ウェーハWの裏面に当接することにより、半導体ウェーハWが各リフトピン130で一旦支持される。各リフトピン130の上昇移動は、これらの下端部136を支持する昇降シャフト140の上昇移動を介して行う。
次いで、サセプタサポートシャフト100を上昇させることで、サセプタ120を半導体ウェーハWの位置まで移動し、半導体ウェーハWをサセプタ120上に載置する。引き続き、半導体ウェーハWをサセプタ120上に載置した状態で、サセプタサポートシャフト100をさらに上昇させることで、図1(B)に示すように、半導体ウェーハWをガス供給口112の高さ位置にまで移動させる。図1(B)を参照して、この状態において、各リフトピンの上端部132(1つは図示せず)は、サセプタ120の各貫通孔122(1つは図示せず)内に収められる。その後、加熱ランプ110により半導体ウェーハWを1100℃以上1200℃以下の温度に加熱する一方、ガス供給口112からプロセスチャンバ102内に反応ガスを供給して、所定の厚さのエピタキシャル膜を気相成長させて、エピタキシャルウェーハを製造する。気相成長中は、主柱10を回転軸としてサセプタサポートシャフト100を回転させることで、サセプタ120及びその上の半導体ウェーハWを回転させる。
その後、600℃以上900℃以下の温度帯域において、サセプタサポートシャフト100を下降させることで、サセプタ120を下降させる。図1(A)を参照して、この下降は、各リフトピン130(1本は図示せず)が昇降シャフト140に支持されサセプタ120から突出する位置まで行い、製造後のエピタキシャルウェーハを各リフトピン130にて支持しておく。そして、開閉弁119を開き、プロセスチャンバ102内に搬送ブレード118cを導入し、各リフトピン130を下降させて搬送ブレード118c上にエピタキシャルウェーハを載置する。こうして、エピタキシャルウェーハを各リフトピン130から搬送ブレード118cに受け渡す。その後、搬送ブレード118cとともにエピタキシャルウェーハをプロセスチャンバ102外へ搬出する。
以下では、サセプタサポートシャフトを構成する各アームの貫通孔に本発明の特徴的構成を採用したことの技術的意義を説明する。まず、図4(A)〜(E)及び図5(A),(B)を適宜参照して、本発明の第一の実施形態のサセプタサポートシャフト100における各アームの貫通孔40について説明する。
(第一の実施形態におけるアームの貫通孔)
図4(A)を参照して、各アームの貫通孔40の内壁は、主柱の軸と平行な中心軸をもつ円筒形の第一空間を区画する第一内壁42と、第一内壁の上端42Aからアームの上面の開口端34Aまで延在し、第一空間と連通した第二空間を区画する第二内壁44と、第一内壁の下端42Bからアームの下面の開口端34Bまで延在し、第一空間と連通した第三空間を区画する第三内壁46とを有する。さらに、図4(B),(D)を参照して、円筒形の中心軸X方向で見て、アームの上面の開口端34A及びアームの下面の開口端34Bが、第一内壁の上端42A及び下端42Bを包囲する。さらに、図4(A)を参照して、第二内壁44及び第三内壁46は、円筒形の中心軸Xを通る全ての断面において直線となる。さらに、図4(C)を参照して、円筒形の中心軸Xを通り、かつ前記アームの延在方向に平行な断面において、第二内壁の支持ピン側の直線44Aと第三内壁の主柱側の直線46Bとが、円筒形の中心軸Xに対して傾斜しており、及び、第二内壁の主柱側の直線44Bと第三内壁の前記支持ピン側の直線46Aとが、円筒形の中心軸Xに対して傾斜していることを特徴とする。以下では、各アームの貫通孔40の形状に、本発明の特徴的な構成を採用した技術的意義を、図4及び図5を適宜参照しつつ説明する。
図5(A)を参照して、エピタキシャル成長は、1100℃以上1200℃以下の温度帯域で、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向外側に傾いた状態で行われる。この際、原料ガス等の回り込みにより、各アームの貫通孔40の開口端周辺には副生成物が付着する。そして、エピタキシャル成長の工程に引き続き、上記副生成物が付着した状態で600℃以上900℃以下の温度帯域にてサセプタサポートシャフト100を下降させることで、サセプタ120を下降させる。このとき、各リフトピン130は、各アームの貫通孔40およびサセプタの各貫通孔122と摺動する。その際、本発明のように第二内壁44および第三内壁46を円筒形の中心軸Xに対して傾斜させることにより、第二空間および第三空間は、各リフトピンの直胴部134の側面と副生成物との接触に伴う応力を分散するための逃がし部として機能する。そのため、各アームの貫通孔40の開口端周辺における応力の集中を緩和することができる。その結果、副生成物が剥離しにくくなり、摺動発塵の発生が抑制されるため、エピタキシャルウェーハの表面のLPDが抑制され、高い平坦度を有するエピタキシャルウェーハを得ることができる。
また、図5(B)を参照して、各リフトピン130の取り付けや、600℃以上900℃以下の温度帯域における半導体ウェーハWの搬送動作の目視による確認は、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向内側に傾いた状態で行われる。その際、本発明のように第二内壁44および第三内壁46を円筒形の中心軸Xに対して傾斜させることにより、第二空間および第三空間は、各リフトピンの直胴部134の側面と各アーム30との接触や擦れに伴う応力を分散するための逃がし部として機能する。そのため、各リフトピン130とアーム30とが擦れることに起因する摺動発塵が抑制されるため、エピタキシャルウェーハの表面のLPDが抑制される。また、上記のように応力が分散されるので、摺動抵抗が抑制される。これにより、半導体ウェーハWの搬送確認の精度が向上するので、高い平坦度を有するエピタキシャルウェーハを得ることができる。
また、図4(C)を参照して、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に平行な断面において、下記のとおり定義した角度が、D<45°、E<45°、F<45°及びG<45°を満たすことが好ましい。

D:前記第二内壁の前記支持ピン側の直線44Aと前記円筒形の中心軸Xとのなす角
E:前記第二内壁の前記主柱側の直線44Bと前記円筒形の中心軸Xとのなす角
F:前記第三内壁の前記主柱側の直線46Bと前記円筒形の中心軸Xとのなす角
G:前記第三内壁の前記支持ピン側46Aの直線と前記円筒形の中心軸Xとのなす角
このように、角度D,E,F,Gが、それぞれ45°未満を満たすことで、サセプタ120を保持するために必要なサセプタサポートシャフト100の強度を確保することができ、また、副生成物が付着しやすい空間の体積を抑えることができる。なお、上述した摺動抵抗をより緩和する観点から、角度D,E,F,Gは、それぞれ30°<D<40°、5°<E<15°、30°<F<40°、5°<G<15°を満たすことがより好ましい。
また、図4(E)を参照して、円筒形の中心軸Xを通り、かつアームの延在方向に垂直な断面において、下記の通り定義した角度が、H<10°、I<10°を満たすことが好ましい。

H:前記第二内壁44の直線と前記円筒形の中心軸Xとのなす角
I:前記第三内壁46の直線と前記円筒形の中心軸Xとのなす角
このように、角度H,Iがそれぞれ10°未満を満たすことで、各リフトピン130がサセプタ120の周方向にぐらつくのを抑制することができる。
また、図4(C)を参照して、サセプタ120を保持するのに必要とされるサセプタサポートシャフト100の強度を確保する観点から、0°<D+E<45°とすることが好ましい。さらに、同様の観点から、0°<F+G<45°とすることが好ましい。
また、図4(C)を参照して、D=F及び/又はE=Gとすることが好ましい。図5(A)を参照して、エピタキシャル成長時には、上述した熱膨張係数の差に起因して各リフトピン130の中心軸はサセプタの径方向外側に傾く。D=Fとすることで、プロセスチャンバ内の温度がエピタキシャル成長時の温度に上昇するにつれて、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向外側に向けて円滑に傾斜することが可能となる。これにより、エピタキシャル成長時において、半導体ウェーハWの表面が水平面に対してより精度よく平行となることができる。そのため、エピタキシャルウェーハの平坦度特性がより向上する。また、図5(B)を参照して、常温時には、上述した熱膨張係数の差に起因して各リフトピン130の中心軸はサセプタ120の径方向内側に傾く。E=Gとすることで、常温時に各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向内側に円滑に傾斜することが可能となる。これにより、各リフトピン130が上下方向に円滑に昇降できる。そのため、サセプタ120に半導体ウェーハWを載置する際のばらつきを低減させることができ、エピタキシャルウェーハの平坦度特性が向上する。
以上、図4(A)〜(E)及び図5(A),(B)に示す本発明の第一の実施形態100における各アームの貫通孔40では、第二内壁の支持ピン側の直線44A、第二内壁の主柱側の直線44B、第三内壁の支持ピン側の直線46A、及び第三内壁の主柱側の直線46Bのいずれもが、円筒形の中心軸Xに対して傾斜しているが、本発明におけるアームの貫通孔の形状はこれに限らず、図6(A)〜(D)及び図7(A)〜(D)に示すような貫通孔としてもよい。以下では、図6及び図7を適宜参照して、本発明の第二の実施形態のサセプタサポートシャフト200および第三の実施形態のサセプタサポートシャフト300におけるアームの貫通孔について説明する。なお、第二の実施形態および第三の実施形態において、第一の実施形態と同じ部材については、同じ符号を用いて説明する。
(第二の実施形態におけるアームの貫通孔)
図6(C)を参照して、本発明の第二の実施形態のサセプタサポートシャフト200における各アームの貫通孔40は、0°<D<45°、E=0°(図6(C)において、Eは図示せず)、0°<F<45°及びG=0°(図6(C)において、Gは図示せず)を満たすような貫通孔であってもよい。エピタキシャル成長は、1100℃以上1200℃以下の温度帯域で、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向外側に傾いた状態で行われる。従って、第二内壁の支持ピン側の直線44Aおよび第三内壁の主柱側の直線46Bを円筒形の中心軸Xに対して、0°<D<45°および0°<F<45°を満たすように傾斜させることにより、上述した応力の逃がし部を確保することができるため、従来のエピタキシャル成長装置用サセプタサポートシャフトに比べて摺動発塵の発生を抑制させることができる。角度D及びFを上記の範囲に設定することの技術的意義は既述の通りである。
なお、図6(C)を参照して、0°<D+E<45°とすることが好ましく、さらに0°<F+G<45°とすることが好ましい。また、D=F及び/又はE=Gとすることが好ましい。さらに、第二の実施形態におけるアームの貫通孔においても、H<10°、I<10°を満たすことが好ましい。これらの理由は、第一の実施形態にて説明した理由と同様である。
(第三の実施形態におけるアームの貫通孔)
次に、図7(C)を参照して、本発明の第三の実施形態のサセプタサポートシャフト300における各アームの貫通孔40は、D=0°(図7(C)において、Dは図示せず)、0°<E<45°、F=0°(図7(C)において、Fは図示せず)及び0°<G<45°を満たすような貫通孔であってもよい。各リフトピン130の取り付けや、半導体ウェーハWの搬送動作の目視による確認は、各リフトピン130の中心軸がサセプタ120の径方向内側に傾いた状態で行われる。従って、第二内壁の主柱側の直線44Bおよび第三内壁の支持ピン側の直線46Aを円筒形の中心軸Xに対して、0°<E<45°および0°<G<45°を満たすように傾斜させることにより、各リフトピンの直胴部134の側面と各アーム30との接触や擦れに伴う応力を分散するための逃がし部を確保することができるため、従来のエピタキシャル成長装置用サセプタサポートシャフトに比べて、常温時における摺動発塵の発生を抑制させることができる。角度E及びGを上記の範囲に設定することの技術的意義は既述の通りである。
なお、図7(C)を参照して、0°<D+E<45°とすることが好ましく、さらに0°<F+G<45°とすることが好ましい。また、D=F及び/又はE=Gとすることが好ましい。さらに、第三の実施形態におけるアームの貫通孔においても、H<10°、I<10°を満たすことが好ましい。これらの理由は、第一の実施形態にて説明した理由と同様である。
以上、本発明の第一から第三の実施形態におけるアームの貫通孔の形状のうち、特に、第二内壁および第三内壁の傾斜に関する技術的意義を説明したが、本発明では、以下に説明する構成を採用することで、さらなる付加的な効果が得られる。
まず、図4(C)、図6(C)、及び図7(C)を参照して、上記第一から第三の実施形態における第一空間の高さCは、8.00mm以上14.00mm以下とすることが好ましい。8.00mm以上であれば、各リフトピン130のぐらつきをより抑制することができるので、リフトピンのより円滑な昇降動作が可能となり、半導体ウェーハWの搬送動作の信頼性がより向上する。なお、上限値については、アーム30の厚みとの関係で適宜設定することが可能であるが、14.00mm以下とすることにより、プロセスチャンバ102の下側領域に位置する加熱ランプ110による赤外線等のサセプタ120への照射の妨げとならない。
また、図4(C)、図6(C)、及び図7(C)を参照して、第二内壁の支持ピン側の直線44Aおよび第三内壁の主柱側の直線46Bの長さL1は、10.0mm以上15.0mm以下とすることが好ましい。また、第二内壁の主柱側の直線44Bおよび第三内壁の支持ピン側の直線46Aの長さL2は、1.0mm以上3.0mm以下とすることが好ましい。このような長さにすることで、摺動発塵の発生を抑制することができる。
次に、高品質なエピタキシャル膜を形成するには、設定温度に近い状態でエピタキシャル成長を行うことが求められる。そのため、エピタキシャル成長時には、上側パイロメータ116aにより、半導体ウェーハWの被処理面の温度を検出しながら、温度を制御する。但し、半導体ウェーハWの搬送温度からエピタキシャル成長温度への昇温時には、上下それぞれのパイロメータ116a,116bの検出値の差に基づき、温度を制御する。次に、エピタキシャル成長に起因する副生成物を取り除くためのガスクリーニング時には、下側パイロメータ116bによってサセプタ120の裏面の温度を検出しながら、温度を制御する。このとき、温度検出および温度制御の精度を向上させるためには、アーム30が下側パイロメータ116bとサセプタ120の裏面との間を遮断しないように、アーム30の厚みは薄いほうが好ましい。しかしながら、摺動発塵の抑制や搬送動作の信頼性の向上の観点からは、図4(C)、図6(C)、及び図7(C)を参照して説明したように、C,L1,L2を所定の値とする必要がある。そこで、上記C,L1,L2を所定の値とするとともに、下側パイロメータ116bによる温度検出および温度制御の精度を維持する観点から、図8に示すように、各アーム30の厚みは、その延在方向に沿って貫通孔40の周辺部でのみ、他の部分より厚くなっていることが好ましい。具体的には、貫通孔40の周辺部のアームの厚みJを11.00mm以上20.00mm以下とすることが好ましい。20.00mm以下であれば、温度検出および温度制御の精度を維持することができる。11.00mm以上とすることで、上記Cの長さを確保することができ、なおかつ、サセプタ120を保持するために必要なサセプタサポートシャフト400の強度を得ることができる。つまり、この強度を確保することで、サセプタサポートシャフト400を継続的に使用しても、アーム30の捩れや撓みといった可塑変形が抑制される。なお、本明細書におけるアーム40の周辺部とは、円筒形の中心軸Xを通り、かつ、アームの延在方向に平行な断面において、円筒形の中心軸Xからの距離が15.0mm以内の領域、すなわち、図8に示すKが30.0mm以内の領域を意味する。
次に、図4(C)、図6(C)、及び図7(C)を参照して、上記第一から第三の実施形態における第一空間の直径Bは、リフトピンのぐらつきを抑制する観点から、各リフトピンの直胴部134の直径Aを考慮して適宜設定することができる。一般的に、リフトピンの直胴部の直径Aは、3.25mm以上3.45mm以下である。第一空間の直径Bは、Aよりも0.5mm大きくすることが好ましく、具体的には3.75mm<B<3.95mmとすることが好ましい。
次に、上記第一から第三の実施形態におけるアームの上面の開口端34Aおよびアームの下面の開口端34Bの形状は、楕円や長円に限られず、図4(B),(D)、図6(B),(D)、及び図7(B),(D)を参照して、円筒形の中心軸X方向で見て、アームの上面の開口端34A及びアームの下面の開口端34Bが、第一内壁の上端42A及び下端42Bを包囲していればよい。
なお、上記第一から第三の実施形態では、主柱10から分岐する方向には、等間隔に3本のアーム30を延在させる例を示したが、本発明はこれに限定されず、4本以上分岐させてもよい。
(発明例1)
まず、以下のサセプタサポートシャフトを用意した。すなわち、図4(C)を参照して、サセプタの貫通孔の形状は、B=3.89mm、C=10.99mm、D=35°、E=10°、F=D、G=Eとなるように設定した。次に、図4(B)を参照して、アームの上面の開口端の形状は、R1が9.50mm、R1’が5.70mmである楕円とした。次に、図4(D)を参照して、アームの下面の開口端の形状は、R2が9.50mm、R2’が5.70mmである楕円とした。次に、図4(E)を参照して、H=10.0°、I=10.0°となるように設定した。次に、図8を参照して、貫通孔の周辺部におけるアームの厚みJは17.30mm、Kは30.0mmとした。なお、サセプタサポートシャフトには石英を用いた。
続いて、上記のサセプタサポートシャフトを用いて、図1に示すエピタキシャル成長装置を構成した。なお、リフトピンの水平方向の断面形状は円とし、その直径Aが3.35mmとなるように設定した。また、サセプタには、カーボングラファイト基材に炭化ケイ素を被覆した部材を用いた。
続いて、常温において半導体ウェーハの搬送動作を上述した方法により調整した。次に、700℃にて半導体ウェーハの搬送動作を行った。その後、上述した手順に従ってシリコンエピタキシャルウェーハを製造した。シリコンエピタキシャルウェーハの基板としては、ボロンドープされた直径300mmのシリコンウェーハを用いた。
エピタキシャルウェーハの製造は、まず、原料ソースガスであるトリクロロシランガスを温度1150℃にて供給し、サセプタの表面に対してシリコンコートを施した。次いで、シリコンウェーハをプロセスチャンバ内に導入し、リフトピンを用いてサセプタ上に載置した。続いて、1150℃にて、水素ガスを供給し、水素ベークを行った後、1150℃にて、シリコンのエピタキシャル膜を4μm成長させてエピタキシャルシリコンウェーハを得た。ここで、原料ソースガスとしてはトリクロロシランガスを用い、また、ドーパントガスとしてジボランガス、キャリアガスとして水素ガスを用いた。
(発明例2)
図6(C)を参照して、D=F=35°、E=G=0°とし、図6(B)を参照して、アームの上面の開口端のR1を8.6mm、R1’を5.7mm、図6(D)を参照して、アームの下面の開口端のR2を8.6mm、R2’を5.7mmとした以外は、発明例1と同様の構成を有するエピタキシャル成長装置を用いて、エピタキシャルウェーハの製造を行った。
(発明例3)
図7(C)を参照して、E=G=10°、D=F=0°とし、図7(B)を参照して、アームの上面の開口端のR1を4.8mm、R1’を5.7mm、図7(D)を参照して、アームの下面の開口端のR2を4.8mm、R2’を5.7mmとした以外は、発明例1と同様の構成を有するエピタキシャル成長装置を用いて、エピタキシャルウェーハの製造を行った。
(比較例1)
図10(A)〜(C)に示す従来型のサセプタサポートシャフト、すなわち、D=E=F=G=0°であり、アームの厚さがアームの延在方向に一定となるサセプタサポートシャフトを用いた以外は、発明例1と同様の構成を有するエピタキシャル成長装置を用いて、エピタキシャルウェーハの製造を行った。
(評価方法)
各発明例および比較例において、シリコンウェーハの搬送動作およびエピタキシャル成長を含む、既述の一連の工程を経てエピタキシャルウェーハを製造し、以下の評価を行った。なお、既述の一連の工程を10回連続して実施しており、その間にプロセスチャンバ内のクリーニングを行っていない。また、常温下におけるシリコンウェーハの搬送動作の調整については、1回目の700℃におけるシリコンウェーハの搬送動作を行う前にのみ行った。
(LPD評価)
エピタキシャル膜の表面におけるLPD(輝点欠陥:Light point defect)の個数を以下の方法で評価した。表面欠陥検査装置(KLA-Tencor社製:Surfscan SP-2)を用いてDWOモード(Dark Field Wide Obliqueモード:暗視野・ワイド・斜め入射モード)でエピタキシャル膜の表面を観察評価し、サイズ(直径)が0.2μm以上のLPDの発生状況を調べた。測定結果を表1に示す。
(平坦度の評価)
エピタキシャル膜の平坦度を以下の方法で評価した。光干渉式変位測定計(KLA-Tencor社製、WaferSight)を用いて、エピタキシャルウェーハの表面外周部の平坦度(ESFQR値)を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006551335
(評価結果の説明)
まず、LPDについては、発明例1〜3は比較例1に比べて、サイズ(直径)が0.2μm以上のLPDの発生を抑制させることができた。また、平坦度についても、10回の平坦度の平均値は、比較例1では平均47.5nmであったのに対し、発明例1では平均35.5nm、発明例2では平均37.0nm、発明例3では平均37.9nmとなっており、発明例1〜3は比較例1に比べて、高い平坦度を有していた。
本発明のサセプタサポートシャフト及びエピタキシャル成長装置によれば、エピタキシャル成長時に生じる副生成物に起因する摺動発塵や半導体ウェーハの搬送動作の調整時における摺動発塵の発生を抑制することにより、LPDが抑制され、かつ高い平坦度を有するエピタキシャルウェーハを製造することができる。
1000 エピタキシャル成長装置
102 プロセスチャンバ
103 トランスファチャンバ
104 上部ドーム
106 下部ドーム
108 ドーム取付体
110 加熱ランプ
112 ガス供給口
114 ガス排出口
116a 上側パイロメータ―
116b 下側パイロメータ―
118a 搬送ロボット
118b 搬送アーム
118c 搬送ブレード
119 開閉弁
120 サセプタ
122 サセプタの貫通孔
100,200,300,400 サセプタサポートシャフト
10 主柱
20 支持ピン
30 アーム
32A アームの上面
32B アームの下面
34A アームの上面の開口端
34B アームの下面の開口端
40 アームの貫通孔
42 第一内壁
42A 第一内壁の上端
42B 第一内壁の下端
44 第二内壁
44A 第二内壁の支持ピン側の直線
44B 第二内壁の主柱側の直線
46 第三内壁
46A 第三内壁の支持ピン側の直線
46B 第三内壁の主柱側の直線
130 リフトピン
132 上端部(頭部)
134 直胴部
136 下端部
140 昇降シャフト
142 昇降シャフトの主柱
144 支柱
W 半導体ウェーハ

Claims (12)

  1. サセプタに載置した半導体ウェーハの表面上にエピタキシャル膜を気相成長させるエピタキシャル成長装置内で、前記サセプタを下方から支持するサセプタサポートシャフトであって、
    前記サセプタの中心と略同軸上に配置される主柱と、
    前記主柱から前記サセプタの周縁部下方に放射状に延びる、3本以上のアームと、
    前記アームの先端にそれぞれ設けられ、前記サセプタを直接支持する支持ピンと、
    を有し、前記アームには、その上面から下面に向けて該アームを貫通した貫通孔が設けられ、
    前記貫通孔の内壁は、
    前記主柱の軸と平行な中心軸をもつ円筒形の第一空間を区画する第一内壁と、
    前記第一内壁の上端から前記アームの上面の開口端まで延在し、前記第一空間と連通した第二空間を区画する第二内壁と、
    前記第一内壁の下端から前記アームの下面の開口端まで延在し、前記第一空間と連通した第三空間を区画する第三内壁と、
    を有し、
    前記円筒形の中心軸方向で見て、前記アームの上面の開口端及び前記アームの下面の開口端が、前記第一内壁の上端及び下端を包囲しており、
    前記第二内壁及び前記第三内壁は、前記円筒形の中心軸を通る全ての断面において直線となり、
    前記円筒形の中心軸を通り、かつ前記アームの延在方向に平行な断面において、前記第二内壁の前記支持ピン側の直線と前記第三内壁の前記主柱側の直線とが、前記円筒形の中心軸に対して傾斜しており、及び/又は、前記第二内壁の前記主柱側の直線と前記第三内壁の前記支持ピン側の直線とが、前記円筒形の中心軸に対して傾斜していることを特徴とするサセプタサポートシャフト。
  2. 前記円筒形の中心軸を通り、かつ前記アームの延在方向に平行な断面において、下記のとおり定義した角度が、D<45°、E<45°、F<45°及びG<45°を満たす、請求項1に記載のサセプタサポートシャフト。

    D:前記第二内壁の前記支持ピン側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
    E:前記第二内壁の前記主柱側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
    F:前記第三内壁の前記主柱側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
    G:前記第三内壁の前記支持ピン側の直線と前記円筒形の中心軸とのなす角
  3. 0°<D<45°、0°<E<45°、0°<F<45°及び0°<G<45°を満たす、請求項2に記載のサセプタサポートシャフト。
  4. 0°<D<45°、E=0°、0°<F<45°及びG=0°を満たす、請求項2に記載のサセプタサポートシャフト。
  5. D=0°、0°<E<45°、F=0°及び0°<G<45°を満たす、請求項2に記載のサセプタサポートシャフト。
  6. 0°<D+E<45°である、請求項2〜5のいずれか一項に記載のサセプタサポートシャフト。
  7. 0°<F+G<45°である、請求項2〜6のいずれか一項に記載のサセプタサポートシャフト。
  8. D=F及び/又はE=Gである、請求項2〜7のいずれか一項に記載のサセプタサポートシャフト。
  9. 前記第一空間の高さCが8.00mm以上14.00mm以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のサセプタサポートシャフト。
  10. 前記アームの厚みは、その延在方向に沿って、前記貫通孔の周辺部でのみ、他の部分より厚くなっている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のサセプタサポートシャフト。
  11. 前記貫通孔の周辺部の前記アームの厚みが11.00mm以上20.00mm以下である、請求項10に記載のサセプタサポートシャフト。
  12. 半導体ウェーハの表面上にエピタキシャル膜を気相成長させるエピタキシャル成長装置であって、
    プロセスチャンバと、
    該プロセスチャンバ内で前記半導体ウェーハを載置するサセプタと、
    該サセプタを下方から支持する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のサセプタサポートシャフトと、
    前記3本以上のアームの、各々の貫通孔に挿通され、上下方向に昇降されることにより、前記半導体ウェーハの前記サセプタに対する着脱を行う、3本以上のリフトピンと、
    を有することを特徴とするエピタキシャル成長装置。
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