JP6550771B2 - 電子部材用封止フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、透明性、加工特性、バリア性および粘着層との接着性に優れ、高度な水蒸気バリア性の求められる、量子ドット含有樹脂シート、電子ペーパー、有機ELなどの電子部材用封止フィルムに関するものである。
光学用途において、ポリエステルフィルムは、光学特性に優れるため、各種ディスプレイ用途を中心に広く使用されている。
一方、電子ペーパーや有機ELなどの表示ディスプレイが近年、急速に普及してきた結果、軽量化、フレキシブルという観点からガラス基材代替として、透明プラスチックフィルムへの代替検討が鋭意進められている。
しかしながら、ガラス基材を透明プラスチックフィルムに置き換えた場合、水分が透明プラスチックフィルムを透過するため、デバイスが劣化する。そのため、ガスバリア層を有する透明プラスチックフィルムが必要となるが、従来の食品包装用途に用いられるガスバリア性フィルムでは、水分の遮断性が不十分であり、電子デバイスの劣化を抑制することが困難である。
このような電子ペーパーや有機ELなどの表示ディスプレイに使用することを目的として、プラスチックフィルムの少なくとも片面にポリマーからなる硬化樹脂層と窒化酸化珪素からなるガスバリア層を設けた水蒸気透過度が0.02g/m/dayのガスバリア性フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載のガスバリアフィルムは、ガスバリア性向上効果はあるものの、粘着層との密着性については全く考慮されていない。また、窒化酸化珪素をガスバリア層として用いたガスバリアフィルムは、ガスバリア層の屈折率が高く、保護層との屈折率差が大きくなり、透過率が低下する場合がある。
また、基材フィルム上に大気圧プラズマCVD法により平坦化層、ガスバリア層、保護層を積層し、10−6g/m/dayレベルの水蒸気バリア性を有するガスバリアフィルムが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2の実施例1に記載のガスバリアフィルムは、ガスバリア性は良好である反面、TEOSを原料として大気圧CVD法で作製した無機ポリマーからなる保護層は、粘着層との密着性は必ずしも十分ではない。
また、ガスバリアフィルムの保護層としてポリビニルアルコールと無機層状化合物のコンポジット膜を積層したガスバリア性積層フィルム(特許文献3)が提案されているが、ディスプレイなどの表示体に用いた場合、外観が白っぽく、透明性に劣る傾向がある。
封止フィルムの透明性を改良するために、フィルム中に含有する滑剤粒子を減らす対策が講じられるが、滑剤粒子を減らしすぎると、例えば、バリア層を積層する加工時の巻き作業性の低下等、加工特性を損なう問題がある。
さらに、保護層としてゾルーゲル層を設けた構成を有するガスバリア性積層フィルム(特許文献4)が提案されているが、表面硬度は良好である反面、フレキシブル性や粘着層との密着性が劣る場合がある。
また、特許文献5には、有機層/無機層の交互積層によるガスバリア性の向上の対策が講じられているが、ガスバリア性は向上する反面、有機層/無機層界面での層間密着性が不十分である。
各種電子部材用として、透明性、加工特性、バリア性および粘着層に対する接着性に優れた封止フィルムが必要とされる状況にあるが、有用なものはまだ見いだされていない状況であった。
特開2009−190186号公報 特開2007−83644号公報 特開2003−231789号公報 特開2003−326634号公報 特許4254350号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、量子ドット含有樹脂シート、電子ペーパー、有機ELなどの電子部材用封止フィルムとして、透明性、加工特性、バリア性および粘着層に対する接着性良好な封止フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる封止フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの一方の面の粗さ(Rt)が100nm以上であり、もう一方の面に、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、およびアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1種類以上の樹脂とメラミン樹脂とを含む組成物から形成された塗布層を有する、フィルムヘイズが2.0%以下の塗布フィルムの塗布層上に、バリア層および保護層が順次積層された構成を有するフィルムであり、前記保護層が、アルミニウム、チタン、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を含む有機化合物及び下記一般式(1)で表される有機珪素化合物を含有し、当該フィルムの水蒸気透過度(JIS−K7129 B法に準じ、温度40℃、湿度90%RHの測定条件下で測定されたもの)が0.01g/m/day以下であることを特徴とする電子部材用封止フィルムに存する。
Si(X) (Y) (R ・・・(1)
(ただし、上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であり、R は一価炭化水素基であり、かつ、炭素数1〜10のものであり、Yは加水分解性基であり、dは1又は2の整数であり、eは2又は3の整数であり、fは0又は1の整数であり、d+e+f=4である。)
本発明の電子部材用封止フィルムは、透明性、加工特性、バリア性および粘着層との接着性に優れ、高度なバリア性が要求される量子ドット含有樹脂シート、電子ペーパー、有機ELなどの電子部材用封止フィルムとして好適であり、その工業的価値は高い。
本発明の電子部材用封止フィルムの模式的な断面図
本発明における、ポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常、0.01〜4μm、好ましくは1.0〜3.5μmの範囲である。平均粒径が1.0μm未満の場合には、滑り性が不十分のため、加工特性が不十分な場合があり、一方、3.5μmを超える場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常、0.001〜5重量%、好ましくは0.015〜0.080重量%の範囲である。粒子含有量が0.015重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、0.080重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の、蛍光増白剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の封止フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではない。フィルム基材の機械強度、可撓性、透明性等を考慮して、12〜125μmが好ましく、さらに好ましくは25〜100μmがよい。
本発明の封止フィルムを構成するポリエステルフィルムの塗布層、バリア層、および保護層が順次積層された面の反対側の面の表面粗さ(Rt)は、100nm以上であり、好ましくは300nm以上である。Rtが100nm未満の場合、量子ドット含有樹脂シート、電子ペーパー、有機ELなどに使用される封止フィルムに加工する際、巻き作業性の低下等、加工特性が損なわれる。
本発明の封止フィルムを構成するポリエステルフィルムに塗布層が積層されたフィルムのフィルムヘイズは、2.0%以下であり、好ましくは1.5%以下である。フィルムヘイズが2.0%を超える場合、量子ドット含有樹脂シート、電子ペーパー、有機ELなどの封止フィルムとして用いた場合、デバイスの透明性が低くなり、視認性に劣る。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明における封止フィルムを構成するポリエステルフィルムにおいては、バリア層との密着性向上のため、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、およびアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1種類以上の樹脂と、メラミン樹脂とを含む組成物から塗布層が形成されることを必須の要件とするものである。
本発明において、塗布層を構成するポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを構成成分とする線状ポリエステルと定義する。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ダイマー酸等を例示することができる。これらの成分は二種以上を用いることができる。さらに、これらの成分とともにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のような不飽和多塩基酸やp−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等のようなヒドロキシカルボン酸を少割合用いることができる。不飽和多塩基酸成分やヒドロキシカルボン酸成分の割合は高々10モル%、好ましくは5モル%以下である。
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等を例示することができる。これらは2種以上を用いることができる。
かかるポリオール成分の中でもエチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、1,4−ブタンジオールが好ましく、さらにエチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
また、本発明における封止フィルムを構成する塗布層中には、水分散化あるいは水溶性化を容易にするためにスルホン酸(塩)基を有するポリエステル樹脂を少なくとも1種類以上を含有することが好ましい。
スルホン酸(塩)基を有するポリエステル樹脂としては、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、4−カリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはスルホン酸アミン塩系化合物等が好ましく挙げられる。
本発明における塗布層を構成する前記ポリエステル樹脂において、ガラス転移温度(以下、Tgと略記する場合がある)は40℃以上であるのが好ましく、さらに好ましくは60℃以上がよい。Tgが40℃未満の場合、接着性向上を目的として、塗布層の塗布厚みを厚くした場合、ブロッキングし易くなる等の不具合を生じる場合がある。
本発明で用いるアクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。さらにポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、代表的な化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類。また、これらと併用して以下に示すような重合性モノマーを共重合することができる。すなわち、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メタクリロイルシリコンマクロマー等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類等が例示される。
本発明における塗布層を構成するアクリル樹脂において、ガラス転移温度は40℃以上であるのが好ましく、さらに好ましくは60℃以上がよい。Tgが40℃未満の場合、接着性向上を目的として、塗布層の塗布厚みを厚くした場合、ブロッキングし易くなる等の不具合を生じる場合がある。
本発明におけるバリア層に対する接着性を良好とするためにウレタン樹脂を含んでもよい。その中でも、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂が好ましい。
ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂とは、ウレタン樹脂の主要な構成成分であるポリオールの一つがポリカーボネートポリオール類であるウレタン樹脂を指す。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート類としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート
、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。また、上記イソシアネートの中でも、活性エネルギー線硬化性塗料との密着性の向上、および紫外線による黄変防止の点から、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1 ,8−オクタンジアミン、1 ,9−ノナンジアミン、1 ,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロビリチンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1 ,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
本発明で使用するウレタン樹脂は、溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の骨格中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性、密着性に優れており好ましい。
また、導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。
例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。
本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂は、ガラス転移点が好ましくは0℃以下、より好ましくは−15℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。Tgが0℃より高いものは、易接着性が不十分となることがある。ここで言うTgは、ウレタン樹脂の乾燥皮膜を作成し、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した温度を指す。
本発明で使用するメラミン樹脂としては、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全エーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
また、メラミン樹脂は、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。上記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを好ましく使用することができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型メチル化メラミンなどを用いることができる。その中でもメチロール化メラミンが最も好ましい。さらに、メラミン樹脂の熱硬化促進を目的として、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を併用することもできる。
本発明における封止フィルムを構成する塗布層中におけるアクリル樹脂の割合は、通常10〜80重量%、ウレタン樹脂および/またはポリエステル樹脂の割合は、通常10〜80重量%である。メラミン樹脂の割合は、通常6〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。
塗布層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量(乾燥後)が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には塗布層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明において、ポリエステルフィルムに塗布層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
本発明におけるポリエステルフィルムに関して、塗布層が設けられていないフィルム面には本発明の主旨を損なわない範囲において、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、ポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明における封止フィルムを構成するバリア層は、ポリエステルフィルムにバリア性を付与することを目的として積層される。バリア層の材料としては、バリア性を所望のレベル、本発明においては、JIS−K7129 B法に準じた測定による水蒸気透過度が温度40℃、湿度90%RHの測定条件下で0.01g/m/day以下にすることができるものであれば、特に限定されることはない。
バリア層の材料としては、例えば、ポリシラザン化合物、ポリカルボシラン化合物、ポリシラン化合物、ポリオルガノシロキサン化合物、テトラオルガノシラン化合物等のケイ素化合物、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物、酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物等、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、スズ等の金属などが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
バリア層の厚さは、1nm〜10μmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましく、20〜500nmであることがさらに好ましく、50〜200nmであることが特に好ましい。バリア層の厚みが1nm未満ではバリア効果が不十分となる場合がある。一方、10μmを超える場合、性能面では飽和状態にあり、それ以上バリア効果が期待し難い傾向にある。
本発明において、封止フィルムを構成するバリア層は、単層構成であってもよく、2層以上から構成される複数層であってもよい。
バリア層を形成する方法に関して、バリア層を構成する材料に応じて、従来公知の方法を用いることが可能であり、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、上記バリア層の材料を、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等によりポリエステルフィルム上に形成する方法、あるいは上記バリア層の材料を有機溶剤に溶解した溶液を、ポリエステルフィルムに塗布し、得られた塗膜に対してプラズマイオン注入する方法などが挙げられる。プラズマイオン注入にて注入されるイオンとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の金属のイオンなどが挙げられる。
本発明における封止フィルムには、バリア層上に保護層を設けることを必須の要件とするものである。保護層をバリア層上に塗設することにより、バリア層中に存在する微小な欠損部分に保護層形成用塗工液が均一に浸透し、熱硬化により、バリア層欠陥部分の修復が可能となる。また、バリア層を保護層が被覆することで、加工工程中における、搬送用ガイドロールとの接触による、擦れあるいは削れ、また、製造工程で使用される有機溶剤からバリア層を保護し、バリア性を維持することも可能となる。
本発明における保護層は、アルミニウム、チタン、ジルコニウムから選ばれる、少なくとも1種以上の金属元素を含む有機化合物を保護層中に含有するのが好ましい。
アルミニウム元素を有する有機化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が例示される。
チタン元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
ジルコニウム元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。
それらの中でも、特に接着性能が良好となる点でアルミニウム、ジルコニウムから選ばれる金属元素を含む有機化合物に関して、好ましくはキレート構造を有する有機化合物が好ましい。なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
本発明における保護層はバリア層の保護とともに粘着層に対する接着性を良好とするために下記一般式(1)で表される有機珪素化合物を併用するのが好ましい。
Si(X)(Y)(R …(1)
上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基、Rは一価炭化水素基であり、かつ炭素数1〜10のものであり、Yは加水分解性基であり、dは1または2の整数、eは2または3の整数、fは0または1の整数であり、d+e+f=4である。
上記一般式(1)で表される有機珪素化合物は、加水分解・縮合反応によりシロキサン結合を形成しうる加水分解性基Yを2個有するもの(D単位源)あるいは3個有するもの(T単位源)を使用することができる。
一般式(1)において、一価炭化水素基R1 は、炭素数が1〜10のもので、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(1)において、加水分解性基Yとしては、従来公知のものが使用可能で、以下のものを例示できる。メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基およびアミノ基等。これらの加水分解性基は、単独あるいは複数種を使用してもよい。メトキシ基あるいはエトキシ基を適用すると、コーティング材に良好な保存安定性を付与でき、また適当な加水分解性があるため、特に好ましい。
本発明において、保護層中に含有する有機珪素化合物としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3, 4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等を例示することができる。
本発明において、保護層には加水分解・縮合反応促進を目的として、触媒を併用してもよい。具体例としては、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸などの有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸などの無機酸類、トリエチルアミンなどの塩基性化合物類、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジオレート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジブチル錫ベンジルマレート等などの有機金属塩類、KF、NH4 Fなどのフッ素元素含有化合物などを挙げることができる。上記触媒は単独で使用しても良くあるいは2種類以上を併用しても良い。その中でも、特に塗膜耐久性が良好となる点で有機金属塩類が好ましく、さらに好ましくは触媒活性が長時間持続可能な点で錫触媒を用いるのが好ましい。
さらに保護層の固着性、滑り性改良を目的として、本発明の主旨を損なわない範囲において、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明の要旨を越えない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、使用する有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明における封止フィルムを構成するバリア層上に設けられる保護層の塗布量(乾燥後)は、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗布量(乾燥後)が0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、保護層としての保護機能が不十分となる場合がある。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
上記組成から構成される保護層により、耐久性良好であるとともに、粘着層との接着性にも優れる。
本発明における封止フィルムの水蒸気透過率は0.01g/m/day以下であることを必須の要件とするものである。好ましくは、0.005g/m/day以下がよい。特に電子部材用封止フィルムとして、0.005g/m/day以下が望まれ、当該範囲を超えた場合には、デバイスを長期使用中にデバイス中に徐々に水分が入り込み、デバイスの劣化が起こりやすくなる傾向にある。
次に本発明における封止フィルムを貼りあわせる相手方として、量子ドット含有樹脂シートについて説明する。
量子ドットを含有する樹脂シート層(量子ドット層と略記する場合がある)には複数の量子ドットおよび樹脂を含んでもよい。本発明において、量子ドットとは、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有する所定のサイズの半導体粒子をいう。量子ドットの直径は、一般的に1〜10nmの範囲にあるものを用いるのが好ましい。
量子ドットは、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。よって、量子ドットのサイズまたは物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。
例えば、量子ドットのサイズが55〜65Åの場合は赤色系の色を発し、量子ドットのサイズが40〜50Åの場合は緑色系の色を発し、量子ドットのサイズが20〜35Åの場合は青色系の色を発し、黄色は赤色を発する量子ドットと緑色を発する量子ドットの中間サイズを有する。光の波長によるスペクトルが赤色から青色に変化することによって量子ドットのサイズは約65Åから約20Åに次第に変化することを把握することができ、この数値には若干の差異があり得る。
よって、前記量子ドットから、量子サイズ効果(quantum size effect)による赤色、緑色、青色を含む様々な色を容易に得ることができる。従って、それぞれの波長で発光する色を作ることもでき、赤色、緑色、青色を混合して白色または様々な色を生成・実現することもできる。
例えば、光源から出射した光が青色光の場合、量子ドット層は、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットを含んでもよい。前記赤色量子ドットは、青色光の一部を620〜750nmの波長領域を有する赤色光に変換し、前記緑色量子ドットは、青色光の一部を495〜570nmの波長領域を有する緑色光に変換する。そして、赤色光と緑色光に変換されない青色光はそのまま量子ドット層を透過する。従って、量子ドット層では青色光、赤色光、緑色光が上面に出射し、これらの光は混合されて白色光が生成される。
前記量子ドットは、化学的湿式方法により合成してもよい。前記化学的湿式方法は、有機溶媒に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。前記量子ドットとしては、CdSe、CdTe、CdS、ZnSe、ZnTe、ZnS、HgTe、またはHgSなどのII−VI族化合物が挙げられる。
また、前記量子ドットは、コア・シェル構造を有するようにしてもよい。ここで、前記コアは、CdSe、CdTe、CdS、ZnSe、ZnTe、ZnS、HgTe、およびHgSからなる群から選択されるいずれか1つの物質を含み、前記シェルも、CdSe、CdTe、CdS、ZnSe、ZnTe、ZnS、HgTe、およびHgSからなる群から選択されるいずれか1つの物質を含む。さらに、InPなどのIII−V族化合物でもよい。
前記量子ドットの表面に置換されている有機リガンドは、ピリジン、メルカプトアルコール、チオール、ホスフィン、およびホスフィン酸化物などを含み、合成後に不安定な量子ドットを安定化させる役割を果たす。なお、市販品として、入手可能な量子ドットとして、例えば、SIGMA−ALDRICH社製の各種量子ドット等が例示される。
また、量子ドット含有する樹脂に関しては、主に光源から出射した光の波長を吸収しない物質を使用するのが好ましい。具体的には、エポキシ、シリコーン、アクリル系高分子、ガラス、カーボネート系高分子、またはそれらの混合物などを使用してもよい。当該樹脂が弾性を有する場合、外部衝撃に対する液晶表示装置の耐久性向上にも寄与することができる。
一方、量子ドット層を形成する方法は次のとおりである。
前記樹脂に複数の量子ドットを添加し、スピンコーティング方法またはプリント方法を用いて前記樹脂をカラーフィルタ層の上部に塗布することにより、量子ドット含有樹脂シートを形成してもよい。
また、量子ドットが添加された樹脂を成形加工して硬化することにより、量子ドット樹脂シートを形成してもよい。
さらに、有機溶液を注入してその中に複数の量子ドットを分散させて前記有機溶液を硬化することにより、量子ドット層を形成してもよい。有機溶液は、トルエン、クロロホルム、およびエタノールの少なくとも1つを含んでもよい。ここで、前記有機溶液は青色波長を吸収しない。この場合、量子ドットのリガンドと有機溶液との反応が起こらないので、量子ドット層の寿命と効率が増加するという利点がある。
本発明において得られた量子ドット含有樹脂シートは粘着層を介して封止フィルムを貼りあわせた積層体構成とする。
次に本発明における粘着層について、以下に説明する。本発明における粘着層とは粘着性を有する材料から構成される層を意味し、本発明における主旨を損なわない範囲において、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等、従来公知の材料を用いることができる。
また、貼りあわせにおいては従来公知の貼合わせ方式を採用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)測定
パーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で、昇温速度10℃/minで昇温し、ベースラインの偏起開始温度をTgとした。
(4)ポリエステルフィルム表面の粗さ(Rt)の測定
Rtは、小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE3500型)を用いて、JIS B0601−1994に準じて測定した。なお測定長は2.5mmとした。
(加工特性判定基準)
◎:Rt300nm以上(良好。特に問題ないレベル)
○:Rt101nm以上、300nm以下(問題ないレベル)
×:Rt100nm以下(実用上、問題あるレベル)
(5)ポリエステルフィルムに塗布層が積層されたフィルムのヘイズ測定
原反フィルムをJIS−K−7136に準じ、株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーター「HM−150」により、ポリエステルフィルムのヘイズを測定した。
(透明性判定基準)
◎:ヘイズ1.5%以下(良好。特に問題ないレベル)
○:ヘイズ1.6以上、2.0%以下(問題ないレベルではあるが、ハイエンド機種の表示装置向けには適用困難な場合がある)
×:ヘイズ2.1%以上(実用上、問題あるレベル)
(6)バリア層の膜厚
バリア層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(7)バリア層の屈折率測定
シリコンウエハーまたは石英ガラス上にコーターにて形成されたバリア層について、高速分光メーターM−2000(J.A.Woollam 社製)を用い、バリア層の反射光の偏光状態変化を入射角度60度、65度、70度で測定し、解析ソフトWVASE32にて、波長550nmにおける屈折率を算出した。
(8)水蒸気透過率
温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000年版)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。
1つのサンプルから2枚の試験片を切り出し、各々の試験片について測定を1回ずつ行い、2つの測定値の平均値をそのサンプルの水蒸気透過率の値とした。
<量子ドット樹脂シート形成用塗布液作製>
容積300mlのポリエチレン製容器を用いて、シリコーン樹脂として“OE−6630A/B”(東レ・ダウコーニング社製、屈折率1.53)を40重量%、量子ドットとして“CdSe/ZnS 480”(SIGMA-ALDRICH社製:Blue480nm)、“CdSe/ZnS 530”(SIGMA-ALDRICH社製:Green53
0nm)、“CdSe/ZnS 560”(SIGMA-ALDRICH社製:Yellow560nm)を各20重量%ずつの比率で混合した。その後、遊星式撹拌・脱泡装置“
マゼルスター(登録商標)”KK−400(クラボウ製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して量子ドット含有樹脂シート作製液を得た。
<量子ドット樹脂シート形成>
スリットダイコーターを用いてシート作製用樹脂液をポリエステルフィルム上(三菱樹脂社製ダイアホイルT100タイプ:100μm)に塗布し、130℃で5分加熱、乾燥して、膜厚み(乾燥後)が50μmの量子ドット樹脂シートを得た。得られた量子ドット樹脂シートが基材フィルム上に均一に塗布され、ピンホールは見られず、膜厚均一性も良好であった。
<積層体の形成>
量子ドット樹脂シートの両面に、“SD4580”(東レダウ・コーニング社製シリコーン粘着剤)を塗布し、100℃で5分加熱乾燥して、厚み25μmの粘着層を得た。さ
らに粘着層上に、カバーフィルムとして、前記封止フィルムを保護層表面が粘着層表面と貼り合わされるように、100℃で3分、加熱ラミネートした。
(9)総合評価
実施例および比較例において各々製造した封止フィルムを用いて、透明性、加工特性、バリア性の各評価項目につき、下記判定基準により総合評価を行った。
《判定基準》
○:透明性、加工特性、バリア性の全てが○(実用上、問題ないレベル)
×:透明性、加工特性、バリア性の少なくとも一つが×(実用上、問題あるレベル)
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエステルA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。
4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61(dl/g)のポリエステルA1を得た。
製造例2(ポリエステルA2)
ポリエステル(A1)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒径が2.7μmのシリカ粒子をポリエステルに対する含有量が0.3重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A1)の製造方法と同様の方法を用いて固有粘度は0.62(dl/g)のポリエステルA2を得た。
製造例3(ポリエステルA3)
ポリエステル(A1)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒径が3.6μmのシリカ粒子をポリエステルに対する含有量が0.6重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A1)の製造方法と同様の方法を用いて固有粘度は0.62(dl/g)のポリエステルA3を得た。
製造例4(ポリエステルA4)
ポリエステル(A1)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒径が1.0μmの合成炭酸カルシウム粒子をポリエステルに対する含有量が1.0重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A1)の製造方法と同様の方法を用いて固有粘度は0.63(dl/g)のポリエステルA4を得た。
製造例5(ポリエステルA5)
ポリエステル(A1)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒径が4.4μmのジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合架橋粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が0.5重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A1)の製造方法と同様の方法を用いて固有粘度は0.63(dl/g)のポリエステルA5を得た。なお、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合架橋粒子の製法は以下のとおりである。メタクリル酸メチル100部、ジビニルベンゼン25部、エチルビニルベンゼン22部、過酸化ベンゾイル1部、トルエン100部の均一溶液を水700部に分散させ、次に窒素雰囲気下80℃で6時間攪拌しながら加熱しながら重合を行った。得られたエステル基を有する架橋高分子粒状体の平均粒径は約0.1mmであった。生成ポリマーを脱塩水で水洗し500部のトルエンで2回抽出し、少量の未反応モノマー線状ポリマーを除去した。次に、この架橋高分子粒状体をアトライターおよびサンドグラインダーで粉砕することで粒径の異なる平均粒子径4.4μmのジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合架橋粒子を得た。
実施例1:
ポリエステルA1、A2をそれぞれ88%、12%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエステルA1を100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1500μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.5倍延伸した。その後、下記塗布層組成からなる塗布液を塗布厚み(乾燥後)が0.05g/m2になるように片面に塗布した後、フィルムをテンターに導き、100℃で横方向に3.8倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ100μm(厚み構成比=2.5μm/95μm/2.5μm)の塗布層が設けられたポリエステルフィルムF1を得た。
また、塗布液に含有する組成物としては以下を用いた。
<水性ポリエステル樹脂B>
Tg=63℃
酸成分:テレフタル酸 50モル%、イソフタル酸 48モル%、5−Naスルホイソフタル酸 2モル%
ジオール成分:エチレングリコール 50モル%、ネオペンチルグリコール 50モル%
<(水性ポリウレタン樹脂C)の製造条件>
まず、テレフタル酸664重量部、イソフタル酸631重量部、1,4−ブタンジオール472重量部、ネオペンチルグリコール447重量部から成るポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸321重量部、ジメチロールプロピオン酸268重量部を加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。さらに、該ポリエステルポリオールA1880重量部にヘキサメチレンジイソシアネート160重量部を加えて水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を得た。
(塗布層組成)
メラミン樹脂A 40重量%
(アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂 DIC社製ベッカミン「J101」」)
水性ポリエステル樹脂B 25重量%、
水性ウレタン樹脂C 30重量%
コロイダルシリカ(平均粒径70nm) 5重量%
上記塗布液をイオン交換水で希釈し、固型分濃度2重量%の塗布液を作製した。
<バリア層1の形成>
前記塗布層上に、下記バリア層1を積層した。具体的には、スパッタリング前の真空チャンバーの水圧力が1×10−4Paであることを確認後、実施した。スパッタリングの条件は、ターゲットにAl−Si(組成比Al:Si=5:5、高純度化学製)を用い、3W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを流し、0.4Paの雰囲気下とし、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。この際、磁場強度は600ガウスであった。また、センターロール温度は0℃として、Gencoa社製のSpeedfloを用いてスパッタリング時の放電電圧が一定になるように酸素流量を制御しながら行った。この際、Arガスのみを流した場合の放電電圧を100%、ArガスとO2ガスを50sccm流した場合の放電電圧を0%とした時、50%の値の放電電圧になるように設定した。以上のようにして、膜厚40nm、屈折率1.52のバリア層1を堆積させた。
<保護層形成>
アルミニウム元素を有する有機化合物(A1):19.5重量%
アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)
有機珪素化合物(B1):80重量%
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
触媒(C1):0.5重量%
ジブチル錫ジラウレート
上記塗布剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1)にて希釈し、4重量%とした。
その後、バリア層上に上記塗布剤組成からなる保護層を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗設し、120℃、30秒間熱処理した後に封止フィルムを得た。その後、粘着層を介して、封止フィルムと量子ドット含有樹脂シートとを貼り合わせて、積層体を得た。
実施例2〜5:
実施例1において、ポリエステルを下記表1に示すとおり変更する以外は実施例1と同様にして製造し、封止フィルムを得た。その後、粘着層を介して、封止フィルムと量子ドット含有樹脂シートとを貼り合わせて、積層体を得た。
実施例6:
実施例1において、バリア層の構成を下記バリア層2に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、封止フィルムを得た。その後、粘着層を介して、封止フィルムと量子ドット含有樹脂シートとを貼り合わせて、積層体を得た。
<バリア層2の形成>
酸化アルミニウムからなるガスバリア層を成膜した。このときスパッタリング前の真空チャンバーの水圧力が1×10−4Paであることを確認後、実施した。スパッタリングの条件は、ターゲットにAl(テクノファイン社製)を用い、3W/cm2のDC電力を印加した。また、Arガスを流し、0.4Paの雰囲気下とし、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。この際、磁場強度は600ガウスであった。また、センターロール温度は0℃として、Gencoa社製のSpeedfloを用いてスパッタリング時の放電電圧が一定になるように酸素流量を制御しながら行った。この際、Arガスのみを流した場合の放電電圧を100%、ArガスとO2ガスを50sccm流した場合の放電電圧を0%とした時、50%の値の放電電圧になるように設定した。以上のようにして、膜厚32nm、屈折率1.61のバリア層2を塗布層上に形成した。
比較例1〜4:
実施例1において、ポリエステルを下記表2に示すとおり変更する以外は実施例1と同様にして製造し、封止フィルムを得た。その後、粘着層を介して、封止フィルムと量子ドット含有樹脂シートとを貼り合わせて、積層体を得た。
比較例5:
実施例1において、塗布層を設けない以外は実施例1と同様にして製造し、封止フィルムを得た。その後、粘着層を介して、封止フィルムと量子ドット含有樹脂シートとを貼り合わせて、積層体を得た。
上記実施例および比較例で得られた各封止フィルムの特性を下記表3に示す。
本発明の電子部材用封止フィルムは、特に透明性、加工特性および水蒸気バリア性に優れ、高度な水蒸気バリア性の求められる量子ドット含有樹脂シート、電子ペーパー、有機ELなどの電子部材用封止フィルムとして好適にしようすることができる。
10 積層体
11 量子ドット含有樹脂シート
12 第1ポリエステルフィルム
13 第1塗布層
14 第1バリア層
15 第1保護層
22 第2ポリエステルフィルム
23 第2塗布層
24 第2バリア層
25 第2保護層
31 第1封止フィルム
32 第2封止フィルム
41 第1粘着層
42 第2粘着層

Claims (5)

  1. ポリエステルフィルムの一方の面の粗さ(Rt)が100nm以上であり、もう一方の面に、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、およびアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1種類以上の樹脂とメラミン樹脂とを含む組成物から形成された塗布層を有する、フィルムヘイズが2.0%以下の塗布フィルムの塗布層上に、
    バリア層および保護層が順次積層された構成を有するフィルムであり、
    前記保護層が、アルミニウム、チタン、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を含む有機化合物及び下記一般式(1)で表される有機珪素化合物を含有し
    当該フィルムの水蒸気透過度(JIS−K7129 B法に準じ、温度40℃、湿度90%RHの測定条件下で測定されたもの)が0.01g/m/day以下であることを特徴とする電子部材用封止フィルム。
    Si(X) (Y) (R ・・・(1)
    (ただし、上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であり、R は一価炭化水素基であり、かつ、炭素数1〜10のものであり、Yは加水分解性基であり、dは1又は2の整数であり、eは2又は3の整数であり、fは0又は1の整数であり、d+e+f=4である。)
  2. 前記有機化合物が、アルミニウム及びジルコニウムから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含むキレート構造を有する、請求項1に記載の電子部材用封止フィルム。
  3. 前記バリア層が、ケイ素化合物、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物及び金属からなる群から選択される何れか1種又は2種以上の材料から形成される、請求項1又は2に記載の電子部材用封止フィルム。
  4. 電子部材が量子ドット含有樹脂シートである請求項1〜3の何れか一項に記載の電子部材用封止フィルム。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の電子部材用封止フィルムと、量子ドット含有樹脂シートとが粘着層を介して積層されて成る構成を備えた積層体
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