JP6550764B2 - プレスフィット端子の製造方法および電子装置 - Google Patents

プレスフィット端子の製造方法および電子装置 Download PDF

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Description

本発明は、プレスフィット端子の製造方法およびこの製造方法にて製造されたプレスフィット端子を用いた電子装置に関するものである。
プレスフィット端子は、ハンダを使用することなく基板に対してコネクタなどの電子部品を電気的に接続するための端子であり、基板に形成されるスルーホール径よりも大きな幅の弾性部をスルーホールに圧入することで、弾性部の弾性変形による圧力(接触荷重)によりプレスフィット端子と基板との電気的接続状態が維持される。ところで、プレスフィット端子は、板材(フープ材、条材ともいう)をプレス加工することで製造するだけでなく、材料歩留まりを容易に向上可能な線材からも製造することができる。
このように線材からプレスフィット端子を製造する技術として、下記特許文献1に開示されるプレスフィット端子の製造方法が知られている。このプレスフィット端子の製造方法では、弾性部を構成する拡幅部の幅部分確保のためにプレス加工で線材の一部を押し潰した後、その一部の中心部において切込みが形成されるとともに切り込まれた箇所を広げて孔を形成することで、拡幅部を形成している。
特開2012−174400号公報
しかしながら、上述のような製造方法では、弾性部の厚みが薄くなるため、弾性部に歪みが発生しやすくなるだけでなく、スルーホールへの挿入時にプレスフィット板厚方向の負荷に対して弱くなる。このため、振動や衝撃などがプレスフィット端子や基板に作用すると、弾性部とスルーホールとの電気的接触部がずれてしまう可能性があり、この場合には電気特性が悪化してしまうという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、弾性部の厚みを薄くすることなく線材からプレスフィット端子を製造し得るプレスフィット端子の製造方法および電子装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、基板(12,12a,12b,51,52)に形成されるスルーホール(13,13a〜13e,51a,51b,52a,52b)に弾性変形した弾性部(23,26a,26b,27,28a,28b,29a,29b)が圧入されることで電気的接続がなされるプレスフィット端子(20,20a〜20g)の製造方法であって、金属製の線材(30,30a)を用意する工程と、前記線材のうち前記弾性部を形成する部位を弾性部形成用部位(31)とするとき、当該弾性部形成用部位のうち前記線材の幅方向の中心部(32)を介して対向する方向から当該中心部を押し潰して残部(33)を外方へ拡げることで前記弾性部を形成する弾性部形成工程と、を備え 前記線材には複数の前記弾性部形成用部位が設けられ、前記弾性部形成工程では、前記複数の弾性部形成用部位のうちの一部における前記中心部を押し潰す方向を、他の一部における前記中心部を押し潰す方向と直交させることを特徴とする。
また、請求項に記載の電子装置(10)は、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたプレスフィット端子と、前記プレスフィット端子を挿入するスルーホール(13,13a〜13e,51a,51b,52a,52b)が形成された基板(12,12a,12b,51,52)と、を備えることを特徴とする。
なお、特許請求の範囲および上記手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
請求項1の発明では、金属製の線材のうち弾性部を形成する部位を弾性部形成用部位とするとき、弾性部形成工程において、弾性部形成用部位のうち線材の幅方向の中心部を介して対向する方向から当該中心部を押し潰して残部を外方へ拡げることで弾性部を形成する。
このように、幅方向の中心部を押し潰して残部を外方へ拡げるように弾性部を形成するため、中心部と異なる部位である残部は押し潰されないので、残部の厚さ、すなわち、弾性部の厚さが線材の厚さに対して薄くなることもない。したがって、弾性部の厚みを薄くすることなく線材からプレスフィット端子を製造することができる。
そして、請求項の発明では、上述のような製造方法により製造されたプレスフィット端子と、このプレスフィット端子を挿入するスルーホールが形成された基板と、を備えるように電子装置が構成される。これにより、弾性部の厚みを薄くすることなく線材から製造されたプレスフィット端子を備える電子装置を実現することができる。
第1実施形態に係るプレスフィット端子を採用した電子装置の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態に係る第1プレスフィット端子の説明図である。 第1実施形態に係る第2プレスフィット端子の説明図である。 図2(A)のA−A線相当の切断面を拡大して示す拡大断面図である。 把持部の機能を説明するための説明図である。 弾性部のスルーホールに対する圧入状態を示す説明図である。 第1実施形態においてプレスフィット端子の弾性部を製造する製造工程の一部を示す説明図である。 第1実施形態においてプレスフィット端子の弾性部を製造する製造工程の一部を示す説明図である。 プレスフィット端子の各抜け止め部を形成する抜け止め部形成工程を示す説明図である。 コネクタハウジングに対する抜け止め部の食い込み状態を説明する説明図である。 図6に対して第1プレスフィット端子と第2プレスフィット端子とを入れ替えた状態での弾性部のスルーホールに対する圧入状態を示す説明図である。 第2実施形態においてプレスフィット端子の弾性部を製造する製造工程の一部を示す説明図である。 第2実施形態の変形例においてプレスフィット端子の弾性部を製造する製造工程の一部を示す説明図である。 第3実施形態に係るプレスフィット端子の両弾性部をスルーホールに圧入した状態を示す説明図である。 第3実施形態の変形例に係る各プレスフィット端子の配置状態を示す説明図である。 図16(A)は、第1プリント配線板の平面図であり、図16(B)は第2プリント配線板の平面図である。 図17(A)は、図15の各プレスフィット端子が第1プリント配線板のスルーホールに圧入される直前の状態を示す説明図であり、図17(B)は、図15の各プレスフィット端子が第1プリント配線板のスルーホールと第2プリント配線板のスルーホールとの双方に圧入された状態を示す説明図である。 第1プリント配線板について図17(A)の状態での弾性部とスルーホールと位置関係を示す説明図である。 図19(A)は、第1プリント配線板について図17(B)の状態での弾性部とスルーホールと位置関係を示す説明図であり、図19(B)は、第2プリント配線板について図17(B)の状態での弾性部とスルーホールと位置関係を示す説明図である。 第4実施形態に係るプレスフィット端子の先端部の形状を示す説明図である。 比較例に係るプレスフィット端子の先端部の形状を示す説明図である。 図22(A)は、2つのプレスフィット端子の切断分離前の状態を示す説明図であり、図22(B)は、切断分離後の状態を示す説明図である。 プレスフィット端子の先端部をスルーホールに挿入する状態を示す説明である。 プレスフィット端子の先端部と接続用開口部を有する端子との接続時の状態を示す説明である。 第5実施形態に係るプレスフィット端子を備えるジャンパー線を示す説明図である。 ジャンパー線を異なるプリント配線板に再利用する状態を示す説明図である。 図27(A)は、図25(B)でのスルーホールに対する弾性部の圧入状態を示す説明図であり、図27(B)は、異なる弾性部を再圧入した圧入状態を示す説明図である。
[第1実施形態]
以下、本発明に係るプレスフィット端子の製造方法およびこの製造方法にて製造されたプレスフィット端子が用いられる電子装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る電子装置10は、例えば、車両に搭載されたエンジン等の車載機器を制御する電子制御装置(Electronic Control Unit)など、様々な電子部品がプリント配線板(基板)に実装される装置として構成されている。具体的には、この電子装置10は、図1に示すように、外郭を構成する筐体11と、この筐体11内に収容されるプリント配線板12等を備えている。プリント配線板12は、絶縁層と導電層とが交互に積層される多層基板である。このプリント配線板12の実装面には、スルーホール13やランド等の配線パターンが形成され、ICチップやコンデンサ等の電子部品14やコネクタ15等が実装されている。
本実施形態におけるコネクタ15では、プリント配線板12のスルーホール13に圧入されることでプリント配線板12と電気的接続がなされる端子として、プレスフィット端子20が採用されている。このため、コネクタ15は、複数の外部接続用端子(図示略)を筐体外に露出させるコネクタハウジング16を備えるとともに、各外部接続用端子に対してそれぞれ電気的に接続される複数のプレスフィット端子20を備えるように構成される。
ここで、本発明の特徴的構成であるプレスフィット端子20の詳細形状について、図2〜図6を参照して説明する。なお、図2は、第1実施形態に係る第1プレスフィット端子20aの説明図であり、図2(A)は正面図を示し、図2(B)は側面図を示す。図3は、第1実施形態に係る第2プレスフィット端子20bの説明図であり、図3(A)は正面図を示し、図3(B)は側面図を示す。図4は、図2(A)のA−A線相当の切断面を拡大して示す拡大断面図である。図5は、把持部24の機能を説明するための説明図であって、図5(A)は圧入前の状態を示し、図5(B)は圧入後の状態を示す。図6は、弾性部23のスルーホール13に対する圧入状態を示す説明図である。
本実施形態に係るプレスフィット端子20は、金属製の角線材(断面が方形状の線材)から後述するように製造される端子である。このプレスフィット端子20は、図2および図3に示すように、先端側21に弾性部23および把持部24が形成され、基端側22に複数の抜け止め部(くさび)25が形成されている。先端側21の先端部21aおよび基端側22の先端部22aは四角錐台状に形成されている。
弾性部23は、弾性変形した状態でスルーホール13に圧入される部位であって、図2〜図4に示すように、中央の貫通穴23aの周囲を囲むように枠状に拡がって形成されることで弾性変形可能に構成されている。弾性部23の拡幅方向(図4の左右方向)の幅は、スルーホール13の内径よりも僅かに大きくなるように設定されている。
把持部24は、弾性部23をスルーホール13に圧入する際に圧入用治具40(図5参照)にて押圧される部位であって、弾性部23よりも基端側に設けられて外方に拡がるように形成されている。
本実施形態では、複数のプレスフィット端子20は、図2(A)(B)に示すように弾性部23の拡幅方向と把持部24の拡幅方向とが直交する第1プレスフィット端子20aと、図3(A)(B)に示すように弾性部23の拡幅方向と把持部24の拡幅方向とが一致する第2プレスフィット端子20bと、に区分けされる。なお、板材からプレス加工で製造されるプレスフィット端子では、加圧方向との関係から、弾性部23の拡幅方向と把持部24の拡幅方向とが一致することとなり、特殊な加工方法を採用しない限り弾性部23の拡幅方向と把持部24の拡幅方向とを異ならせることができない。
そして、本実施形態では、コネクタ15は、4つの第1プレスフィット端子20aと4つの第2プレスフィット端子20bとの計8つのプレスフィット端子20を備えるように構成されている。各プレスフィット端子20(20a,20b)は、図6からわかるように、各把持部24の拡幅方向が同じ方向であって、弾性部23の拡幅方向が隣接するスルーホール13に圧入される弾性部23の拡幅方向に対して直交するように配置されている。すなわち、第1プレスフィット端子20aおよび第2プレスフィット端子20bは交互に配置されている。そして、各プレスフィット端子20は、圧入用治具40との関係から、各把持部24の拡幅方向が同じ方向(図6のX方向)となるように配置する必要がある。
プレスフィット端子20は、弾性部23に対してその拡幅方向に作用する力には強くその板厚方向(拡幅方向に直交する方向)には弱くなる。このため、各第1プレスフィット端子20aでは図6のX方向にて作用する力に対して強くなり、各第2プレスフィット端子20bでは図6のY方向にて作用する力に対して強くなる。これにより、コネクタ15とプリント配線板12との接続部では、ほぼ任意の方向にて作用する力に対して強くなるので、プレスフィット端子20とスルーホール13との電気的接触部がずれにくくなり、このずれに起因する電気特性の悪化を抑制することができる。
抜け止め部25は、コネクタハウジング16の挿入孔16aに挿入された基端側22を上記外部接続用端子に電気的に接続された状態で当該コネクタハウジング16に固定するための部位であって、外方に拡がるように形成されている。本実施形態では、図2および図3に示すように、基端側22に対して3か所抜け止め部25a〜25cが形成されており、長手方向中央の抜け止め部25aの拡幅方向と、長手方向端側の抜け止め部25b,25cの拡幅方向とが直交するように配置されている。なお、板材からプレス加工で製造されるプレスフィット端子では、加圧方向との関係から、複数の抜け止め部を形成する場合でもその拡幅方向が一致することとなり、特殊な加工方法を採用しない限り各抜け止め部の拡幅方向を異ならせることができない。
次に、プレス装置等を用いて、上述のように構成されるプレスフィット端子20の弾性部23を製造する製造工程について、図7および図8を参照して説明する。なお、図7および図8は、第1実施形態においてプレスフィット端子20の弾性部23を形成する製造工程を示す説明図である。
まず、プレスフィット端子20を形成するための金属製の角線材30を用意する。
次に、角線材30のうち弾性部23を形成する部位を弾性部形成用部位31とするとき、当該弾性部形成用部位31のうち角線材30の幅方向の中心部32がプレス装置の上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとの間に位置するように角線材30を配置する(図7(A))。なお、上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとは、形成すべき弾性部23の貫通穴23aの形状に応じてその寸法などが設定されている。
そして、弾性部形成用部位31の中心部32を介して対向する方向(上下方向)から上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとにより当該中心部32を押し潰す(図7(B))。これにより、中心部32が押し潰されて、押し潰されない弾性部形成用部位31の残部である側部33が外方へ押し拡げられる(図7(C))。このとき、中心部32を押し潰すことで形成される薄肉部34を除いて側部33は押し潰されないので、側部33の厚さtが加工前の角線材30の厚さに対して薄くなることもない。
そして、上型41および下型42を外した後(図7(D))、薄肉部34がパンチ43に対向するように、弾性部形成用部位31をダイス44上に配置する(図8(A))。この状態でパンチ43により薄肉部34を打ち抜くことで(図8(B))、図8(C)に示す弾性部23が完成する。なお、図7および図8にて示す工程は「弾性部形成工程」の一例に相当し得る。
次に、プレス装置等を用いて、上述のように構成されるプレスフィット端子20の抜け止め部25を複数箇所設ける抜け止め部形成工程について、図9および図10を参照して説明する。なお、図9は、プレスフィット端子20の各抜け止め部25を形成する抜け止め部形成工程を示す説明図であり、図9(A)は両抜け止め部25b,25cを形成する工程を示し、図9(B)は抜け止め部25aを形成する工程を示す。図10は、コネクタハウジング16に対する抜け止め部25の食い込み状態を説明する説明図である。
まず、プレスフィット端子20の基端側22のうち拡幅方向が同じとなる長手方向端側の両抜け止め部25b,25cを形成する部位に対して、上型45および下型46を用いて一部を押し潰して外方へ拡げるプレス加工を行うことで、両抜け止め部25b,25cを形成する(図9(A))。続いて、角線材30を90°回転させた後に、長手方向中央の抜け止め部25aを形成する部位に対して、上型45aおよび下型46aを用いて一部を押し潰して外方へ拡げるプレス加工を行うことで、長手方向中央の抜け止め部25aを形成する(図9(B))。すなわち、角線材30に対して、長手方向中央の抜け止め部25aの形成時の押し潰し方向と、長手方向端側の両抜け止め部25b,25cの形成時の押し潰し方向とを異ならせている。
これにより、角線材30に対して拡幅方向が異なる複数の抜け止め部25a〜25cを形成することができる。なお、長手方向中央の抜け止め部25aをプレス加工により形成して角線材30を90°回転させた後に長手方向端側の両抜け止め部25b,25cをプレス加工により形成してもよい。
通常のプレス加工では、線材から形成される抜け止め部の突出量を大きくすることは困難であり、コネクタハウジング16に対する抜け止めが不十分となる場合がある。これに対して、本願発明では、拡幅方向が異なる複数の抜け止め部25(25a〜25c)が形成されるので、図10に示すように、コネクタハウジング16の側面にて方形状に形成される挿入孔16aの内面に対して四面の全てで食い込むこととなる。このように、コネクタハウジング16に対する抜け止め機能を高めた抜け止め部25を形成することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るプレスフィット端子20の製造方法では、弾性部形成工程(図7および図8に示す工程)において、金属製の角線材30のうち弾性部23を形成する弾性部形成用部位31に対して角線材30の幅方向の中心部32を介して対向する方向から当該中心部32を押し潰して側部33を外方へ拡げることで弾性部23を形成する。
このように、幅方向の中心部32を押し潰して側部33を外方へ拡げるように弾性部23を形成するため、中心部32と異なる部位である側部33は押し潰されないので、側部33の厚さ、すなわち、弾性部23の厚さが角線材30の厚さに対して薄くなることもない。したがって、弾性部23の厚みを薄くすることなく線材からプレスフィット端子20を製造することができる。
また、本実施形態では、上記抜け止め部形成工程(図9に示す工程)により、プレスフィット端子20の基端側22に対して一部を押し潰して外方へ拡げることで形成される抜け止め部25(25a〜25c)が複数箇所設けられる。この抜け止め部形成工程では、長手方向中央の抜け止め部25aの形成時の押し潰し方向を、長手方向端側の両抜け止め部25b,25cの形成時の押し潰し方向と異ならせている。
これにより、プレスフィット端子20の基端側22には、拡幅方向が異なる複数の抜け止め部25が形成されるので、コネクタハウジング16等に対する抜け止めが十分に機能し、コネクタハウジング16等によるプレスフィット端子20の保持力を高めることができる。
そして、本実施形態に係る電子装置10は、上述のように製造されたプレスフィット端子20と、プレスフィット端子20を挿入するスルーホール13が形成されたプリント配線板12とを備えるように構成されている。特に、プリント配線板12に実装されるコネクタ15は、プレスフィット端子20を複数有するように構成され、弾性部23が対応するスルーホール13にそれぞれ圧入された状態でプリント配線板12に対して電気的に接続されている。これにより、弾性部23の厚みを薄くすることなく線材から製造されたプレスフィット端子20を用いて電子装置10を構成することができる。
図11は、図6に対して第1プレスフィット端子20aと第2プレスフィット端子20bとを入れ替えた状態での弾性部23のスルーホール13に対する圧入状態を示す説明図である。
スルーホール13の内壁は圧入された弾性部23によりその圧入部分(図11の符号13s参照)が削られてしまうため、1度でもスルーホール13に弾性部23が圧入されたプリント配線板12では、同じ形状のコネクタを実装することができなかった。すなわち、実装したコネクタを取り外したプリント配線板12は、再利用できずに廃却となっていた。
これに対して、本実施形態に係るコネクタ15は、図6に示すように、第1プレスフィット端子20aおよび第2プレスフィット端子20bは交互に配置されて構成されている。このため、図11に示すように、図6に対して第1プレスフィット端子20aと第2プレスフィット端子20bとを入れ替えるように構成されるコネクタ15であれば、スルーホール13の内壁が削られていない部分に弾性部23が接触するので、この削られていない部分を利用して弾性部23を圧入することができる。すなわち、本実施形態に係るプレスフィット端子20では各弾性部23の拡幅方向を変更したコネクタを容易に用意できるので、実装したコネクタを取り外したプリント配線板12であっても再利用でき、リワーク性を向上させることができる。
なお、第1プレスフィット端子20aおよび第2プレスフィット端子20bは、把持部24の拡幅方向を同じ方向とするように配置されるとき、弾性部23の拡幅方向が直交するように形成されることに限らず、弾性部23の拡幅方向が所定の角度で交差するように形成されてもよい。
また、抜け止め部25は、基端側22に対して3か所形成されることに限らず、基端側22に対してさらに多くの箇所にて形成されてもよい。その際、各抜け止め部25は、拡幅方向が直交するように形成されることに限らず、拡幅方向が所定の角度で交差するように形成されてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るプレスフィット端子の製造方法について、図12を用いて説明する。なお、図12は、第2実施形態においてプレスフィット端子20の弾性部23を製造する製造工程の一部を示す説明図である。
本第2実施形態では、上記弾性部形成工程において側部33に対して外方から接触する接触部が設けられる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
具体的には、弾性部23の形成用のプレス装置は、図12(A)に示すように、上型41および下型42に加えて、左右一対のガイド47,48を備えるように構成されている。両ガイド47,48は、上型41および下型42により弾性部形成用部位31の中心部32が押し潰される際に外方へ押し拡げられる側部33に対して接触面47a,48aにて接触する接触部として構成されている。特に、接触面47a,48aは、プレス時に押し付けられる側部33の曲率半径を小さくするように、曲面状に形成されている。
以下、上述のように構成されるプレス装置を用いて弾性部23を形成する工程を、図12を参照して説明する。
まず、弾性部形成用部位31の中心部32がプレス装置の上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとの間に位置するとともに弾性部形成用部位31が両ガイド47,48間に位置するように、角線材30を配置する(図12(A))。
そして、弾性部形成用部位31の中心部32を介して対向する方向(上下方向)から上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとにより当該中心部32を押し潰す(図12(B))。これにより、中心部32が押し潰されて、押し潰されずに外方へ押し拡げられた側部33がガイド47,48の接触面47a,48aに押し付けられる(図12(C))。この押し付けにより、弾性部23は、その側面23bの曲率半径が上記第1実施形態における弾性部の側面よりも小さくなるように形成される。そして、上型41および下型42、ガイド47,48を外した後(図12(D))、上述した図8に示す工程と同様に、薄肉部34を打ち抜くことで、弾性部23が完成する。
このように、弾性部形成工程では、弾性部形成用部位31の側部33に対して外方から接触するガイド47,48が設けられ、両ガイド47,48は、側部33に接触する接触面47a,48aが曲面状に形成されている。
これにより、弾性部23の側面23bの曲率半径が小さくなるので、圧入時の弾性部23の側面23bとスルーホール13との接触面積を大きくできる。このため、スルーホール13の設計や公差に関する制約等の緩和を図ることができる。
図13は、第2実施形態の変形例においてプレスフィット端子20の弾性部23を製造する製造工程の一部を示す説明図である。
なお、弾性部23の側面23bの曲率半径をさらに小さくするため、断面円形の丸線材30aを用いてプレスフィット端子20を形成してもよい。
具体的には、まず、弾性部形成用部位31の中心部32がプレス装置の上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとの間に位置するとともに弾性部形成用部位31が両ガイド47,48間に位置するように、丸線材30aを配置する(図13(A))。
そして、弾性部形成用部位31の中心部32を介して対向する方向(上下方向)から上型41の加圧面41aと下型42の加圧面42aとにより当該中心部32を押し潰す(図13(B))。これにより、中心部32が押し潰されて、押し潰されずに外方へ押し拡げられた側部33がガイド47,48の接触面47a,48aに押し付けられる(図13(C))。この押し付けにより、弾性部23は、その側面23bの曲率半径が上記第2実施形態における弾性部の側面よりも小さくなるように形成される。そして、上型41および下型42、ガイド47,48を外した後(図13(D))、上述した図8に示す工程と同様に、薄肉部34を打ち抜くことで、弾性部23が完成する。このようにしても、弾性部23の厚みを薄くすることなく丸線材30aからプレスフィット端子20を製造することができる。このように丸線材30aからプレスフィット端子20を製造できるので、例えば、アンテナ部材の端子を上述のようにプレスフィット端子20として形成することもできる。なお、丸線材30aから上述のように形成されるプレスフィット端子20における先端側21の先端部21aおよび基端側22の先端部22aは、円錐台状に形成することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るプレスフィット端子について、図14を用いて説明する。なお、図14は、第3実施形態に係るプレスフィット端子20cの両弾性部26a,26bをスルーホール13に圧入した状態を示す説明図であり、図14(A)は、断面図を示し、図14(B)は、図14(A)のB−B線相当の断面面を示す。
本第3実施形態では、1つのプレスフィット端子に対して拡幅方向が異なる2以上の弾性部を形成する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、線材からプレスフィット端子を形成することから、上記弾性部形成工程では、2以上の弾性部形成用部位31を設けることを前提に、2以上の弾性部形成用部位31のうちの一部における中心部32を押し潰す方向を、他の一部における中心部32を押し潰す方向と異ならせる。このような弾性部形成工程を行うことで、例えば、図14(A)に示すプレスフィット端子20cのように、先端側21に対して拡幅方向が直交する2つの弾性部26a,26bを形成することができる。特に、両弾性部26a,26bを近接するように形成することで、両弾性部26a,26bを同じ1つのスルーホール13に圧入することができる。
このように、拡幅方向が直交する2つの弾性部26a,26bが1つのスルーホール13に圧入されるので、図14(B)のX方向(弾性部26aの拡幅方向)にて作用する力とY方向(弾性部26bの拡幅方向)にて作用する力との双方に対して強くなる。これにより、プレスフィット端子20cとスルーホール13との電気的接触部がずれにくくなり、このずれに起因する電気特性の悪化を抑制することができる。
なお、弾性部26a,26bは、拡幅方向が直交するように形成されることに限らず、拡幅方向が所定の角度で交差するように形成されてもよい。1つのプレスフィット端子20cに対して3つ以上の弾性部が形成される場合でも、拡幅方向が直交するように形成されてもよいし、拡幅方向が所定の角度で交差するように形成されてもよい。
図15は、第3実施形態の変形例に係る各プレスフィット端子20d〜20fの配置状態を示す説明図である。図16(A)は、第1プリント配線板12aの平面図であり、図16(B)は第2プリント配線板12bの平面図である。図17(A)は、図15の各プレスフィット端子20d〜20fが第1プリント配線板12aのスルーホールに圧入される直前の状態を示す説明図であり、図17(B)は、図15の各プレスフィット端子20d〜20fが第1プリント配線板12aのスルーホールと第2プリント配線板12bのスルーホールとの双方に圧入された状態を示す説明図である。図18は、第1プリント配線板12aについて図17(A)の状態での弾性部とスルーホールと位置関係を示す説明図である。図19(A)は、第1プリント配線板12aについて図17(B)の状態での弾性部とスルーホールと位置関係を示す説明図であり、図19(B)は、第2プリント配線板12bについて図17(B)の状態での弾性部とスルーホールと位置関係を示す説明図である。
先端側21に形成される複数の弾性部は、同じ1つのスルーホール13に圧入されることに限らず、異なるプリント配線板のスルーホールに圧入されてもよい。例えば、図15に例示する3つのプレスフィット端子20d〜20fを、各弾性部が第1プリント配線板12aのスルーホール(図16(A)参照)や第2プリント配線板12bのスルーホール(図16(B)参照)に圧入されるように形成することができる。
図15に示すように、プレスフィット端子20dには弾性部27が形成され、プレスフィット端子20eには弾性部28a,28bが形成され、プレスフィット端子20fには弾性部29a,29bが形成されている。各プレスフィット端子20d〜20fは、弾性部27、弾性部28aおよび弾性部29aが同じ高さに位置し、弾性部28bおよび弾性部29bが同じ高さに位置するように配置されている。また、各弾性部は、弾性部27、弾性部28bおよび弾性部29aの拡幅方向が同じであり、弾性部28aおよび弾性部29bの拡幅方向が同じであって、弾性部27、弾性部28bおよび弾性部29aの拡幅方向と弾性部28aおよび弾性部29bの拡幅方向とが直交するように形成されている。
第1プリント配線板12aは、プレスフィット端子20dの弾性部27がスルーホール13aに圧入され、プレスフィット端子20eの弾性部28aがスルーホール13bに圧入され、プレスフィット端子20fの弾性部29aがスルーホール13cに圧入されるように形成されている。また、第2プリント配線板12bは、プレスフィット端子20eの弾性部28bがスルーホール13dに圧入され、プレスフィット端子20fの弾性部29bがスルーホール13eに圧入されるように形成されている。
特に、スルーホール13bは、スルーホールの配列方向(図16(A)の左右方向)の幅が長い長穴状であって、その長径が弾性部28bの拡幅方向の幅よりも長くなるように形成されている。また、スルーホール13cは、スルーホールの配列方向に対して直交する方向(図16(A)の上下方向)の幅が長い長穴状であって、その長径が弾性部29bの拡幅方向の幅よりも長くなるように形成されている。また、第1プリント配線板12aのスルーホール13aと第2プリント配線板12bのスルーホール13d,13eとは円形状に形成されている。
このように形成される各プレスフィット端子20d〜20fを第1プリント配線板12aおよび第2プリント配線板12bに電気的に接続する工程について、図17〜図19を参照して説明する。
まず、各プレスフィット端子20d〜20fに対して、図18に示すように、弾性部28bおよび弾性部29bがスルーホール13bおよびスルーホール13cを挿通するように、第1プリント配線板12aを移動させる(図17(A)参照)。
そして、図19(A)に示すように、弾性部27、弾性部28aおよび弾性部29aがスルーホール13a〜13cにそれぞれ圧入されることで、各プレスフィット端子20d〜20fと第1プリント配線板12aとの電気的接続が完了する(図17(B)参照)。そして、図19(B)に示すように、弾性部28bおよび弾性部29bがスルーホール13d,13eにそれぞれ圧入されることで、各プレスフィット端子20d〜20fと第2プリント配線板12bとの電気的接続が完了する(図17(B)参照)。
このように、プリント配線板のスルーホールを弾性部の拡幅方向に応じて長穴に形成することで、1つのプレスフィット端子に対して階層的に配置される2つのプリント配線板を電気的に接続することができる。なお、上記第3実施形態の変形例に係る構成は、1つのプレスフィット端子に対して階層的に配置される2つプリント配線板を電気的に接続する際に適用されることに限らず、所定のスルーホールを長穴形状にすることで、1つのプレスフィット端子に対して階層的に配置される3つ以上のプリント配線板を電気的に接続する際に適用されてもよい。
なお、本実施形態における特徴的構成は、他の実施形態および変形例にも適用することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るプレスフィット端子について、図20〜図24を用いて説明する。なお、図20は、第4実施形態に係るプレスフィット端子20の先端部21aの形状を示す説明図であり、図20(A)は挿入側からみた図を示し、図20(B)は側面図を示す。図21は、比較例に係るプレスフィット端子の先端部121aの形状を示す説明図であり、図21(A)は挿入側からみた図を示し、図21(B)は側面図を示す。図22(A)は、2つのプレスフィット端子の切断分離前の状態を示す説明図であり、図22(B)は切断分離後の状態を示す説明図である。図23は、プレスフィット端子の先端部21aをスルーホール13に挿入する状態を示す説明である。図24は、プレスフィット端子の先端部21aと嵌合用開口部49aを有する端子49との接続時の状態を示す説明である。
本第4実施形態では、プレスフィット端子の先端部が砲弾型状に形成される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、角線材30からプレスフィット端子20を製造する際に、図20(A)(B)に示すように、先端側21の先端部21aや基端側22の先端部22aに相当する部位を砲弾型状に形成する。すなわち、本実施形態によるプレスフィット端子の製造方法では、上記第1実施形態におけるプレスフィット端子の製造方法に対して、さらに、角線材30のうち端面を除く先端側21の先端部21aや基端側22の先端部22aに相当する部位を上下左右などの四方から押し潰してその断面形状が凸状に湾曲するように砲弾型状に形成する先端部形成工程が設けられている。この湾曲状の側面の曲率半径は、例えば、1.0mm〜2.5mm程度に設定することができる。この先端部形成工程では、先端部21aにおける湾曲状の側面と母材面との境界21bや先端部22aにおける湾曲状の側面と母材面との境界22bは、角部でなく丸みを有するように形成される。
この先端部形成工程では、例えば、図22(A)に示すように、1つの角線材30から複数のプレスフィット端子を製造する際に、一方のプレスフィット端子における先端側21の先端部21aに相当する部位と他方のプレスフィット端子における基端側22の先端部22aに相当する部位とを同時に押し潰して上記湾曲状の側面等を設ける。この押し潰し工程では、例えば、曲面状に形成された接触面を有する型(ガイド)を用いて上下左右などの四方から押し潰すことで上記湾曲状の側面等を設けることができる。そして、図22(B)に示すように、先端部21aと先端部22aとの間を切断分離することで、先端部21aおよび先端部22aを砲弾型状に形成することができる。このように角線材30から形成するので、板材から加工するよりも加工工程を簡略化しやすいので、低コストでの加工を実現することができる。
角線材30からプレスフィット端子20を製造する際、図21(A)(B)に示す比較例のように、先端部121aは四角錐台状に形成されることが一般的である。このように先端部121aが四角錐台状に形成されることから先端部121aにおけるテーパ面と母材面との境界が角部を有することとなり、このテーパ面や角部のためにスルーホール13への挿入性が悪く、コネクタハウジング16の挿入孔16aへの挿入時にもコネクタハウジング16の表面を損傷等させる可能性がある。
これに対して、図20(A)(B)に示すように、先端部21aが砲弾型状に形成され母材面との境界21bに丸みが形成されることで、スルーホール13への挿入時における挿入負荷が軽減するので、プレスフィット端子が座屈し難くなり、挿入性を向上させることができる。また、先端部22aが砲弾型状に形成され母材面との境界22bに丸みが形成されることで、コネクタハウジング16の挿入孔16aへの挿入時における挿入負荷が軽減するので、プレスフィット端子が座屈し難くなり、挿入性を向上させることができる。
また、例えば、図24に例示するようにプレスフィット端子の先端部21aの接続対象が矩形状の嵌合用開口部49aを有する端子49であっても、先端部21aが砲弾型状に形成され母材面との境界21bに丸みが形成されることで、挿入負荷が軽減する。このようにしても、プレスフィット端子が座屈し難くなるので、嵌合用開口部49a内への挿入性を向上させるとともに嵌合完成速度を向上させることができる。
また、先端面での角部をなくして、先端部の先端面の直径(図20(A)の符号L1参照)を上記比較例の形状の先端面の対角線の長さ(図21(A)の符号L2参照)よりも短くしやすくできる。例えば、図20(A)に示す先端部21a先端面は、略真円状に形成されている。また、先端部21aにおける先端面の直径L1は、先端部121aにおける先端面の対角線の長さL2よりも30%〜40%程度短くなる。
このように、先端面の角部がなくなりその先端面の面積が小さくなることで、図23における先端面の直径L1とスルーホール13の内径Dとの関係においてL1/Dが小さくなる。これにより、挿入時(電気的接続時)におけるスルーホール13に対する先端側21の相対位置精度が緩和されるので、スルーホール13への挿入性を向上させることができる。
なお、本実施形態における特徴的構成は、他の実施形態および変形例にも適用することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るプレスフィット端子について、図25〜図27を用いて説明する。なお、図25は、第5実施形態に係るプレスフィット端子20gを備えるジャンパー線50を示す説明図であり、図25(A)は、スルーホール51a,51b間を電気的に接続した状態を示し、図25(B)は、先端側の弾性部23および把持部24を切断した状態を示す。図26は、ジャンパー線50を異なるプリント配線板52に再利用する状態を示す説明図であり、図26(A)は、スルーホール52a,52b間を電気的に接続した状態を示し、図26(B)は、先端側の弾性部23および把持部24を切断した状態を示す。図27(A)は、図25(B)でのスルーホールに対する弾性部の圧入状態を示す説明図であり、図27(B)は、異なる弾性部を再圧入した圧入状態を示す説明図である。
本第5実施形態では、プリント配線板の所定のスルーホール間を電気的に接続するジャンパー線の端子としてプレスフィット端子を利用する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、ジャンパー線50の端子として採用されるプレスフィット端子20gを上述した弾性部形成工程にて角線材や丸線材等の金属製の線材から形成する。このジャンパー線50は、図25(A)に示すように、両端にそれぞれ形成されるプレスフィット端子20gを所定の2つのスルーホールに圧入して両スルーホール間を電気的に接続するためのものである。プレスフィット端子20gは、一対の弾性部23および把持部24が複数連なるように形成されている。特に、プレスフィット端子20gにおいて、各弾性部23は、拡幅方向が交互に入れ替わるように配置されており、各把持部24は、拡幅方向が同じ方向となるように配置されている。
上述のように形成されるジャンパー線50は、先端側の弾性部23を切断することで再利用可能であることを特徴とする。例えば、図25(A)に示すように、プリント配線板51のスルーホール51aとスルーホール51bとをジャンパー線50を用いて電気的に接続した状態から、図25(B)に示すように、両スルーホール51a,51bに圧入されている先端側の弾性部23と把持部24とを切断する。これにより、図26(A)に示すように、切断後に新たに先端側となった弾性部23を、今まで接続されていたプリント配線板51と異なるプリント配線板52のスルーホール52aとスルーホール52bとに圧入することで、両スルーホール52a、52b間を電気的に接続することができる。さらに、図26(B)に示すように、両スルーホール52a,52bに圧入されている弾性部23と把持部24とを切断することで、再びジャンパー線50が再利用可能な状態となる。
また、図25(B)および図27(A)に示すように、両スルーホール51a,51bに圧入されている先端側の弾性部23と把持部24とを切断した後、両スルーホール51a,51bから弾性部23および把持部24を取り除くと、両スルーホール51a,51bには、弾性部23による圧入部分(図27(B)の符号51s参照)が削られている。このため、図27(B)に示すように、スルーホール51a,51bの内壁が削られていない部分に弾性部23が接触するように圧入することで、弾性部23および把持部24を取り除いたプリント配線板51を再利用することができる。
なお、ジャンパー線50の端子として採用されるプレスフィット端子は、各弾性部23の拡幅方向が一致するように形成されてもよい。
なお、本実施形態における特徴的構成は、他の実施形態および変形例にも適用することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上述した弾性部形成工程では、図8に示すように薄肉部34を打ち抜いて除去することに限らず、薄肉部34を除去することなく弾性部を形成してもよい。
(2)本発明に係るプレスフィット端子20,20a〜20gは、コネクタ15の端子やジャンパー線50の端子に適用されることに限らず、所定の機能を有する他の電子装置においてそのプリント配線板(基板)のスルーホールや嵌合用開口部を有する端子等に電気的に接続される端子に適用されてもよい。
10…電子装置
12,12a,12b,51,52…プリント配線板(基板)
13,13a〜13e,51a,51b,52a,52b…スルーホール
15…コネクタ
20,20a〜20g…プレスフィット端子
23,26a,26b,27,28a,28b,29a,29b…弾性部
25…抜け止め部
30…角線材(線材) 30a…丸線材(線材)
31…弾性部形成用部位
32…中心部
33…側部(残部)

Claims (8)

  1. 基板(12,12a,12b,51,52)に形成されるスルーホール(13,13a〜13e,51a,51b,52a,52b)に弾性変形した弾性部(23,26a,26b,27,28a,28b,29a,29b)が圧入されることで電気的接続がなされるプレスフィット端子(20,20a〜20g)の製造方法であって、
    金属製の線材(30,30a)を用意する工程と、
    前記線材のうち前記弾性部を形成する部位を弾性部形成用部位(31)とするとき、当該弾性部形成用部位のうち前記線材の幅方向の中心部(32)を介して対向する方向から当該中心部を押し潰して残部(33)を外方へ拡げることで前記弾性部を形成する弾性部形成工程と、
    を備え
    前記線材には複数の前記弾性部形成用部位が設けられ、
    前記弾性部形成工程では、前記複数の弾性部形成用部位のうちの一部における前記中心部を押し潰す方向を、他の一部における前記中心部を押し潰す方向と直交させることを特徴とするプレスフィット端子の製造方法。
  2. 前記弾性部形成工程では、前記中心部を押し潰す方向が異なるように形成される2以上の前記弾性部が、同じ1つの前記スルーホールに圧入するように形成されることを特徴とする請求項に記載のプレスフィット端子の製造方法。
  3. 前記弾性部形成工程では、前記残部に対して外方から接触する接触部(47,48)が設けられ、
    前記接触部は前記残部に接触する接触面(47a,48a)が曲面状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレスフィット端子の製造方法。
  4. 前記線材のうち前記弾性部形成用部位と異なる部位に対して一部を押し潰して外方へ拡げることで形成される抜け止め部(25)を、複数箇所設ける抜け止め部形成工程をさらに備え、
    前記抜け止め部形成工程では、複数の前記抜け止め部のうちの一部(25a)における形成時の押し潰し方向を、他の一部(25b,25c)における形成時の押し潰し方向と異ならせることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のプレスフィット端子の製造方法。
  5. 前記線材のうち当該プレスフィット端子の先端部(21a,22a)を形成する部位を四方から押し潰してその断面形状が凸状に湾曲するように形成する先端部形成工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のプレスフィット端子の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたプレスフィット端子と、
    前記プレスフィット端子を挿入するスルーホール(13,13a〜13e,51a,51b,52a,52b)が形成された基板(12,12a,12b,51,52)と、
    を備えることを特徴とする電子装置(10)。
  7. 前記プレスフィット端子を複数有し、前記弾性部が対応する前記スルーホールにそれぞれ圧入された状態で前記基板に対して電気的に接続されて実装されるコネクタ(15)を備えることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
  8. 前記コネクタは、前記複数のプレスフィット端子のうちの一部における前記弾性部の拡幅方向が他の一部における前記弾性部の拡幅方向と異なるように形成されることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
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