JP6550763B2 - 油圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機に供給する油圧を制御する油圧制御装置に係るものである。
従来から、車両用自動変速機の複数の摩擦要素のそれぞれに供給する油圧である供給圧を制御するものであって、複数の摩擦要素のそれぞれは、所定の油圧発生源が発生する元圧を調圧して摩擦要素に出力する電磁弁、供給圧を検出する供給圧検出手段、および、電磁弁と供給圧検出手段との間に配され油路断面積を絞るオリフィスが設けられている油圧制御装置が周知となっている。
ここで、オリフィスは油路断面積を絞り、摩擦要素に供給される供給圧の急激な変化を抑制することで、いわゆる変速ショックを緩和するために導入されている。
それぞれの摩擦要素は、供給圧によって移動可能なピストンと、このピストンを供給圧に抗して押圧するリターンスプリングと、このピストンの移動により係合されたり係合が解かれたりする第1係合板および第2係合板とを具備している。
そして、油圧制御装置は、それぞれの摩擦要素に対して、第1係合板と第2係合板とを係合させた係合状態としたときに第1係合板と第2係合板との間にトルクの伝達を生じさせ、第1係合板と第2係合板の係合を解いた開放状態としたときに第1係合板と前記第2係合板との間のトルクの伝達を遮断し、供給圧を制御することで第1係合板と第2係合板との間の伝達されるトルク量を制御している。
そして、それぞれの摩擦要素は、開放状態から、供給圧の増加に応じて、先ずピストンが駆動され第1係合板に接触し、さらにピストンが第1係合板を押圧することにより、第1係合板と第2係合板とが係合する係合状態に移行する。
ところで、油圧制御装置は、変速動作において摩擦要素を開放状態から係合状態に移行させる際に、いわゆるガタ詰め期間を設けている。
ここで、ガタ詰め期間とは、ピストンと第1係合板とが接触するまでの期間であって、第1係合板と第2係合板とが係合する直前までの期間である。
従来の油圧制御装置においては、ガタ詰め完了に要する作動油の摩擦要素への総供給量は予め分かっていたとしても、実際にどれだけの作動油が摩擦要素に供給されたかを推測する手段を有していなかったため、安全性を考慮して期間的に余裕をもたせガタ詰めを行っていた。具体的には、いわゆる充填相での供給圧の指令値を低く設定するとともに充填相の期間を長く設定する、いわゆる待機相での期間を設けて比較的低い供給圧でガタ詰めを完了させる等の対策が行われていた。
しかし、このガタ詰め期間は、第1係合板と第2係合板とを係合させる変速動作に直接に関与する期間ではないため、変速動作において無駄な期間となっており、変速動作全体の時間短縮のためにも、このガタ詰め期間を短縮することが従来から望まれていた。
そこで、作動油の摩擦要素への供給量を推測し、ガタ詰め完了を予測し、必要最小限の期間でガタ詰めを完了させることで、ガタ詰め期間を短縮させるという手段が考えられている。
作動油の摩擦要素への供給量を推測できる構成として、電磁弁とオリフィスの間に第1油圧検出手段を、オリフィスと摩擦要素の間に第2油圧検出手段を設ける構成が公知となっている(特許文献1参照)。この油圧制御装置においては、第1油圧検出手段における油圧の検出値と第2検出手段における油圧の検出値との差圧から、作動油の摩擦要素への供給量の推測が可能となっている。
しかし、このような油圧制御装置の構成では、複数の摩擦要素のそれぞれに、第1油圧検出手段および第2油圧検出手段の複数の油圧検出手段を設けることになり、油圧制御装置の体格アップ、重量アップ、コストアップ等を招いてしまうという問題があった。
米国特許出願公開第20110208396 A1号明細書
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、油圧検出手段の数を減らしても、作動油の摩擦要素への供給量を推測することができる油圧制御装置を提供することにある。
本願第1発明によれば、油圧制御装置は、車両用自動変速機の複数の摩擦要素のそれぞれに供給する油圧である供給圧を制御するものである。
そして、複数の摩擦要素のそれぞれは、所定の油圧発生源が発生する元圧を調圧して摩擦要素に出力する電磁弁、供給圧を検出する供給圧検出手段、および、電磁弁と供給圧検出手段との間に配され油路断面積を絞るオリフィスが設けられている。
そして、油圧制御装置は、元圧を検出する元圧検出手段と、元圧検出手段により取得される元圧の検出値、解放状態から係合状態に移行する摩擦要素の油路に配されたオリフィスの流量係数と開口面積、解放状態から係合状態に移行する摩擦要素の油路に配された電磁弁の流量係数と開口面積、および、解放状態から係合状態に移行する摩擦要素の供給圧検出手段による供給圧の検出値から、解放状態から係合状態に移行する摩擦要素の電磁弁とオリフィスの間の油圧の推定値を算出して、この油圧の推定値と解放状態から係合状態に移行する摩擦要素の供給圧検出手段による供給圧の検出値と、オリフィスの流量係数と開口面積から解放状態から係合状態に移行する摩擦要素に供給される油量を推定する油量推定手段とを備える。
これにより、それぞれの摩擦要素は、それぞれ1つの油圧検出手段である供給圧検出手段を備えるだけで、それぞれの摩擦要素に供給される作動油の供給量を推定することができる。
このため、油圧検出手段の数を減らしても、作動油の摩擦要素への供給量を推測することができる。
本願第2発明によれば、元圧検出手段は、元圧の供給されている係合状態の変化しない摩擦要素の供給圧検出手段である。
これにより、元圧の供給されている係合状態の変化しない摩擦要素の供給圧検出手段が元圧検出手段を兼ねているため、油圧検出手段の数をさらに減らすことができる。
油圧制御装置を用いた車両用自動変速機の構成図である(実施例)。 摩擦要素の係合表である(実施例)。 油圧制御装置の要部の説明図である(実施例)。 摩擦要素への作動油の供給量の推定についての説明図である(実施例)。 油圧制御装置を用いた車両用自動変速機の構成図である(変形例)。
以下、発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
本発明の実施例による油圧制御装置1を用いた車両用自動変速機2を図1に示す。
油圧制御装置1は、車両用自動変速機2の複数の摩擦要素5a〜5eに供給する供給圧を制御するものである。
なお、この車両用自動変速機2を搭載する車両には、アイドリングストップシステムが採用されている。
アイドリングストップシステムとは、シフトレンジが前進走行レンジにあり、且つ、車速が所定値以下のときに内燃機関(図示せず。)を停止するように制御するものである。
車両用自動変速機2は、内燃機関のクランク軸(図示せず。)に連結されるトルクコンバータ(図示せず。)、遊星歯車式の変速機構(図示せず。)、変速機構を変速するための油圧式の摩擦要素5a〜5e、および、油圧制御装置1を備えた有段変速機である。
変速機構は、複数の遊星歯車(図示せず。)を有し、摩擦要素5a〜5eは、その遊星歯車の有するサンギア、キャリア、リングギア等の回転要素のトルクを他の遊星歯車の回転要素またはトランスミッションケース等に伝達する。
摩擦要素5a〜5eは、第1係合板6aおよび第2係合板6bを具備する湿式多板クラッチまたは湿式多板ブレーキからなる。車両用自動変速機2は、摩擦要素5a〜5eの係合および開放を、第1係合板6aと第2係合板6bとを係合させたり、第1係合板6aと第2係合板6bとの係合を解いたりすることによって制御し、トルクコンバータのタービン軸(図示せず。)と出力軸(図示せず。)との間の動力伝達経路を切り換えることにより複数の変速段のうちのいずれか1つを成立させる。
ここで、摩擦要素5a〜5eは、供給圧によって移動可能なピストン7と、このピストン7を供給圧に抗して押圧するリターンスプリング8とを具備し、このピストン7の移動により第1係合板6aと第2係合板6bとは、係合したり係合が解かれたりする。
そして、第1係合板6aと第2係合板6bとが係合した係合状態のときに第1係合板6aと第2係合板6bとの間にトルクの伝達が生じ、第1係合板6aと第2係合板6bとの係合が解かれた開放状態のときに第1係合板6aと前記第2係合板6bの間のトルクの伝達が遮断される。
油圧制御装置1は、車両用自動変速機2を構成する各部材に油圧を供給するための「油圧発生源」としての油圧供給装置1aを具備する。
油圧供給装置1aは、オイルパン9から汲み上げた作動油を、摩擦要素5a〜5eのそれぞれのピストン7、およびトルクコンバータに供給する。
油圧供給装置1aは、機械ポンプ10、電動ポンプ11、ライン圧制御弁12、および、マニュアルバルブ13等を備える。
機械ポンプ10は内燃機関の回転とともに駆動される。機械ポンプ10はオイルパン9に貯留された作動油を、油路14を通じて吸入する。機械ポンプ10は油路14に接続された吸入口から吸入した作動油を機械ポンプ10内で加圧し吐出口から油路15に吐出する。
油路15は、機械ポンプ10の吐出口とマニュアルバルブ13の導入口13aとを接続する。機械ポンプ10から吐出された作動油は、油路15を通り、マニュアルバルブ13の導入口13aに供給される。
なお、油路15に設けられた逆止弁16は、機械ポンプ10からマニュアルバルブ13への作動油の流れを許容し、マニュアルバルブ13から機械ポンプ10への作動油の流れを禁止する。
電動ポンプ11は、内燃機関によらずに油圧を発生させ、通電により回転するモータによって駆動される。電動ポンプ11は、オイルパン9に貯留された作動油を、油路18を通じて吸入する。電動ポンプ11は油路18に接続された吸入口から吸入した作動油を電動ポンプ11内で加圧し、吐出口から油路19に吐出する。
油路19は、電動ポンプ11の吐出口と、油路15の逆止弁16よりマニュアルバルブ13側の油路15とを接続する。電動ポンプ11から吐出された作動油は油路19から油路15を経由して、マニュアルバルブ13の導入口13aに供給される。
なお、油路19に設けられた逆止弁20は、電動ポンプ11からマニュアルバルブ13へ流れる作動油の流れを許容し、マニュアルバルブ13から電動ポンプ11への作動油の流れを禁止する。
なお、機械ポンプ10および電動ポンプ11はともに回転数検出手段を有しており、これらの回転数はTCU等により監視されている。
ライン圧制御弁12は、パイロット式の圧力調整弁であり、油路15の逆止弁16より機械ポンプ10側から分岐した分路22に接続される。ライン圧制御弁12は、マニュアルバルブ13に供給される油圧である「元圧」としてのライン圧を調整する。
ライン圧制御弁12のスプールは、スプリングの付勢力と分路22の作動油から受ける力と、車両用自動変速機2の負荷に応じて制御される電磁弁23が制御する油圧から受ける力とのつり合いにより移動し、リリーフ口12aを開閉する。
そして、機械ポンプ10または電動ポンプ11から吐出された油圧がライン圧より高いとき、余剰となる作動油がリリーフ口12aから油路25を通じてオイルパン9へと戻される。
また、ライン圧制御弁12のリリーフ口12bから排出された作動油は、トルクコンバータのロックアップ回路に供給される。
なお、作動油の油温は温度センサ27によって取得される。
また、分路22からさらに分岐する分路28が設けられており、この分路28は各部材に作動油を潤滑油として供給する潤滑部に接続されている。なお、分路28には逆止弁29が設けられている。
車両の運転者により、セレクトバー30は、例えば、5つの操作位置に操作される。
ここで、5つの操作位置とは、エンジンブレーキの付与される前進走行のためのLレンジ、前進走行するためのDレンジ、駐車のためのPレンジ、後進走行するためのRレンジ、動力伝達を遮断するためのNレンジである。マニュアルバルブ13の有するスプール13bは、セレクトバー30に機械的または電気的に接続されており、セレクトバー30の操作位置に応じて作動する。
セレクトバー30の操作位置がDレンジにある時、マニュアルバルブ13は、油路15と前進油路32とを連通させ、油路15と後進油路33とを遮断する。この時、油路15および油路19の作動油が、前進油路32を通じて前進用摩擦要素5b、5c、5dに対応した電磁弁35b、35c、35dに供給可能となる。
なお、前進用摩擦要素5b、5c、5dとは、前進油路32を通じて油圧が供給され、前進変速段の成立に関与する摩擦要素である。
また、セレクトバー30の操作位置がRレンジにある時、マニュアルバルブ13は、油路15と後進油路33とを連通し、油路15と前進油路32とを遮断する。この時、油路15および油路19の作動油が、後進油路33を通じて後進用摩擦要素5eに対応した電磁弁35eに供給可能となる。
なお、後進用摩擦要素5eとは、後進油路33を通じて油圧が供給される摩擦要素である。
そして、セレクトバー30の操作位置がPレンジまたはNレンジにある時、マニュアルバルブ13は、前進油路32および後進油路33と油路15とを遮断する。
なお、マニュアルバルブ13を介さず直接に油路15から作動油が供給される摩擦要素5aがあるが、この摩擦要素5aは湿式多板ブレーキであり、セレクトバー30の操作位置がLレンジにある場合に前進用摩擦要素の一部である摩擦要素5dと協働して動作してエンジンブレーキを付与する。そして、セレクトバー30の操作位置がRレンジにある場合に後進用摩擦要素5eと協働して動作して後進を形成する(以下、この摩擦要素5aをブレーキ用摩擦要素と呼ぶことがある。)。
前進用摩擦要素5b、5c、5dに対応して、電磁弁35b、35c、35dが設けられる。前進用摩擦要素5b、5c、5dのいずれを係合させるかは複数の前進変速段毎に決められている。そして、後進用摩擦要素5eに対応して電磁弁35eが設けられ、ブレーキ用摩擦要素5aに対応して電磁弁35aが設けられる。
すなわち、複数の摩擦要素5a〜5eそれぞれに対して、電磁弁35a〜35eがそれぞれ油路40a〜40eを介して設けられている。
電磁弁35a〜35eは、出力油圧を連続して変更可能なスプールバルブ式の油圧制御弁である。電磁弁35a〜35eは、コイルへの通電に伴い発生する磁束によって駆動される磁性体からなる可動体と、この可動体によって駆動される弁体とを有し、油圧供給装置1aが発生する油圧である元圧を弁体の移動により供給圧に調圧して摩擦要素5a〜5eに出力する。
電磁弁35a〜35eは、TCU50から与えられた電流の指令値に応じた電磁推力と出力油圧から導入される静油圧とのつり合いにより、出力油圧である供給圧を制御している。
電磁弁35a〜35eは、油路15から直接、または、マニュアルバルブ13から前進油路32または後進油路33を経由して供給された作動油の圧力を調整し、ピストン7に供給可能である。
そして、電磁弁35a〜35eからの供給圧を制御することで第1係合板6aと第2係合板6bとの間の伝達されるトルク量を制御している。
TCU50は、供給圧指令手段50a、電流指令手段50bおよび電磁弁35a〜35eを駆動するドライバ50c等から構成される。
車両用自動変速機2においては、摩擦要素5a〜5eを変速動作させるときに所定のパターンである油圧パターンに従って変化させている。
そこで、供給圧指令手段50aは、この油圧パターンに基づき摩擦要素5a〜5eに与える供給圧の指令値を算出している。
そして、電流指令手段50bは、電流指令特性に供給圧の指令値を当てはめ、コイルに流す電流の指令値を算出するとともに、この電流の指令値を示す制御信号を出力する。
ドライバ50cは、制御信号の入力によりコイルに電流を流すものであり、スイッチング素子等を含む電気回路を有しており、電流指令手段50bからの電流の指令値に対応する実電流を電磁弁35a〜35eに与える。
なお、ドライバ50cは、電磁弁35a〜35eのそれぞれに対応しており、TCU50は、ドライバ50cのそれぞれに異なる電流の指令値、つまり、電磁弁35a〜35eそれぞれに対して異なる電流値を与えることができる。
ここで、電流指令特性とは、それぞれのドライバ50cに与える電流の指令値と油圧の指令値との相関であり、それぞれの摩擦要素5a〜5eに対して求められている。
なお、初期状態における電流指令特性は、複数のドライバ50cに与える電流の指令値と摩擦要素に与えられる供給圧を検出することで、その検出される供給圧の平均値を用いて作製されている。
それぞれの油路40a〜40eには、供給圧を検出する「供給圧検出手段」である油圧センサ53a〜53eが設けられている。
また、それぞれの油路40a〜40eには、電磁弁35a〜35eと油圧センサ53a〜53eとの間に油路断面積を絞るオリフィス56a〜56eが配されている。
また、油圧センサ53a〜53eによって取得された供給圧の検出値は、TCU50に送られている。
なお、TCU50には供給圧の検出値のみではなく、温度センサ27によって取得された油温の検出値等の値も送られている。
そして、TCU50は、電磁弁35a〜35eに電流の指令値を与えるだけでなく、取得する各種データから車両用自動変速機2を構成する各種部材に制御信号を送ったり、各種データから様々な判断を行ったりする。
ここで、本願発明の特徴的な構成について図2、図3を用いて説明する。
図2は、セレクトバー30の5つの操作位置に対応する係合表である。
この係合表より、例えば、現変速段が2速であって次変速段は3速である場合を仮定する。
なお、図2において、L/Cは摩擦要素5dに、2−4/Bは摩擦要素5cに、H/Cは摩擦要素5bに、LR/Bは摩擦要素5aに、R/Cは摩擦要素5eにそれぞれ対応している。
ここで、図2の係合表より、2速から3速に変速段が変更される際に、係合状態が変化しない摩擦要素は、摩擦要素5dとなっている。
なお、摩擦要素5dは、第1摩擦要素6aと第2摩擦要素6bとが相対回転をしない係合状態となっており、摩擦要素5dに対応する電磁弁35dは全開となっており、摩擦要素5dには、マニュアルバルブ13を介して「元圧」であるライン圧が供給されている。
さらに、図2の係合表より、2速から3速に変速段が変更される際に、開放状態から係合状態に移行する摩擦要素は、摩擦要素5bとなっている。
ここで、図3に示すように、油圧センサ53dは、元圧の供給される摩擦要素5dの供給圧検出手段であるため、この油圧センサ53dによって検出される供給圧の検出値は元圧であるライン圧の検出値となっている。
よってライン圧の検出値が分かっているため、電磁弁35bとオリフィス56bとの間の油圧の推定値が算出できる。
そして、この油圧の推定値と油圧センサ53bによる供給圧の検出値から摩擦要素5bに供給される油量を「油量推定手段」であるTCU50によって推定している。
摩擦要素5bに供給される油量の推定の具体例について図4を用いて説明する。
摩擦要素5bへの作動油の供給量は、オリフィス56bの通過油量Qと等しくなっている。
ここで、オリフィス56bの通過油量Qは、式(1)に示す通りとなっている。
また、オリフィス56bの開口面積Aおよびオリフィス56bの流量係数Cは予め分かっている。
また、作動油の密度の温度変化が予め分かっていれば、温度センサ27によって検出される油温の検出値に基づいてその油温における作動油の密度ρも算出できる。
そして、オリフィス56bと摩擦要素5bとの間の油圧であるPは供給圧検出手段である油圧センサ53bによって取得される供給圧の検出値である。
よって、式(1)より電磁弁35bとオリフィス56bとの間の油圧であるPの値が分かれば、オリフィス56bの通過油量Q、すなわち、摩擦要素5bへの供給油量が分かることになる。
ここで、電磁弁35bの通過油量Qは、式(2)に示す通りとなっている。
また、電磁弁35bの開口面積Aおよび電磁弁35bの流量係数Cは予め分かっている。
なお、本実施例においては、摩擦要素5bに供給される油量の推定は、作動油の移動が生じる、いわゆるガタ詰め期間において行われており、その際に電磁弁35bは全開となっている。そして、電磁弁35bの開口面積Aおよび電磁弁35bの流量係数Cとして電磁弁35bが全開の際の値が予め取得され、用いられている。
また、ライン圧Pは、係合状態の変化しない摩擦要素5dの供給圧検出手段である油圧センサ53dによって検出される供給圧の検出値として分かっている。
ここで、流体の連続の式よりQ=Qであるため、Pの値は、式(3)に示す通りとなる。
ここで、C、A、C、Aの値は予め分かっており、P、Pの値は、それぞれ、油圧センサ53bおよび油圧センサ53dによって供給圧の検出値として取得されることにより分かっているため、電磁弁35bとオリフィス56bの間の油圧であるPを式(3)に従って算出することができる。
そして、この算出されたPの値を式(1)に代入することで、摩擦要素5bに供給される油量を推定することができる。
なお、Pの算出、摩擦要素5bに供給される油量の推定等はTCU50によって行われている。
なお、電磁弁35bの開口面積Aおよび電磁弁35bの流量係数Cとして全開の場合における例を示したが、ガタ詰め等における電磁弁の開口面積に合わせ、電磁弁の開口面積Aおよび電磁弁の流量係数Cは適宜設定してもよい。また、複数の開口面積Aに対する複数の流量係数Cをマッピングデータとして記憶していてもよい。
〔実施例の効果〕
実施例の油圧制御装置1は、車両用自動変速機2の複数の摩擦要素5a〜5eのそれぞれに供給する油圧である供給圧を制御するものである。
そして、複数の摩擦要素5a〜5eのそれぞれには、油圧供給装置1aが発生する元圧であるライン圧を調圧して摩擦要素5a〜5eに出力する電磁弁35a〜35e、供給圧を検出する油圧センサ53a〜53e、および、電磁弁35a〜35eと油圧センサ53a〜53eとの間に配され油路断面積を絞るオリフィス56a〜56eが設けられている。
そして、油圧制御装置1は、元圧を検出する元圧検出手段53dと、元圧検出手段により取得される元圧の検出値から電磁弁35bとオリフィス56bの間の油圧の推定値を算出して、この油圧の推定値と油圧センサ53bによる供給圧の検出値から摩擦要素5bに供給される油量を推定するTCU50とを備える。
これにより、それぞれの摩擦要素5a〜5eは、それぞれ1つの油圧検出手段である油圧センサ53a〜53eを備えるだけで、それぞれの摩擦要素5a〜5eに供給される作動油の供給量を推定することができる。
このため、油圧検出手段である油圧センサの数を減らしても、作動油の摩擦要素5a〜5eへの供給量を推測することができる。
なお、実施例の油圧制御装置1において、元圧検出手段53dは、元圧の供給される摩擦要素5dの油圧センサ53dとなっている。
これにより、元圧の供給される摩擦要素5dの供給圧検出手段である油圧センサ53dが元圧検出手段を兼ねているため、油圧検出手段である油圧センサの数をさらに減らすことができる。
[変形例]
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
実施例によれば、元圧の供給される摩擦要素5dの供給圧検出手段である油圧センサ53dが元圧検出手段となっていたが、図5に示すように元圧検出手段である油圧センサ58を別途設けてもよい。これにより、より直接的に元圧であるライン圧の値を取得することができる。
なお、たとえ油圧センサ58が増えたとしても、元圧であるライン圧は1箇所で検出できれば十分であるため、車両用自動変速機2における油圧センサの総数は6個であり、それぞれの油路40a〜40eに2つの油圧センサを配する(油圧センサの総数10個)ことに比して大きな、体格アップ、コストアップ等にはつながらない。
実施例によれば、作動油の密度ρを温度センサ27によって取得される油温の検出値に基づいて算出していたが、油温を検出せず、作動油の密度ρを使用最頻温度(例えば、80℃)の値としておいてもよい。
これにより、温度センサ27を排することができる。
1 油圧制御装置 1a 油圧供給装置(油圧発生源) 2 車両用自動変速機
5a〜5e 摩擦要素 35a〜35e 電磁弁 50 TCU(油量推定手段)
53a〜53e 油圧センサ(供給圧検出手段) 56a〜56e オリフィス
53d 油圧センサ(元圧検出手段)


Claims (2)

  1. 車両用自動変速機(2)の複数の摩擦要素(5a〜5e)のそれぞれに供給する油圧である供給圧を制御するものであって、
    前記複数の摩擦要素(5a〜5e)のそれぞれは、所定の油圧発生源(1a)が発生する元圧を調圧して前記摩擦要素(5a〜5e)に出力する電磁弁(35a〜35e)、前記供給圧を検出する供給圧検出手段(53a〜53e)、および、前記電磁弁(35a〜35e)と前記供給圧検出手段(53a〜53e)との間に配され油路断面積を絞るオリフィス(56a〜56e)が設けられている油圧制御装置(1)において、
    前記元圧を検出する元圧検出手段(53d)と、
    前記元圧検出手段(53d)により取得される元圧の検出値、解放状態から係合状態に移行する摩擦要素(5b)の油路に配されたオリフィス(56b)の流量係数と開口面積、前記解放状態から係合状態に移行する摩擦要素(5b)の油路に配された電磁弁(35b)の流量係数と開口面積、および、前記解放状態から係合状態に移行する摩擦要素(5b)の供給圧検出手段(53b)による供給圧の検出値から、前記解放状態から係合状態に移行する摩擦要素(5b)の電磁弁(35b)とオリフィス(56b)の間の油圧の推定値を算出して、この油圧の推定値と前記解放状態から係合状態に移行する摩擦要素(5b)の供給圧検出手段(53b)による供給圧の検出値と、前記オリフィス(56b)の流量係数と開口面積から前記解放状態から係合状態に移行する摩擦要素(5b)に供給される油量を推定する油量推定手段(50)とを備えることを特徴とする油圧制御装置(1)。
  2. 請求項1に記載の油圧制御装置(1)において、
    前記元圧検出手段(53d)は、前記元圧の供給されている係合状態の変化しない摩擦要素(5d)の供給圧検出手段(53d)であることを特徴とする油圧制御装置(1)。
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