JP6548195B2 - 透過型捕捉構造物 - Google Patents
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Description
捕捉ネットの取付手段としては、アンカーを使って捕捉ネットの周囲を渓岸や渓床に固定することや(特許文献2)、捕捉ネットの両側を渓床に立設した支柱に取り付けることが知られている(特許文献3)。
<1>アンカーを使って捕捉ネットの周囲を渓岸や渓床に固定する特許文献2に記載の透過型捕捉構造物では、耐力の大きなアンカーが求められることから、アンカーが大型化して工費及び工期の両面で大きな負担を強いられる。
<2>更に捕捉ネットを構成する各水平ロープの両端部を渓岸に張設する場合、各水平ロープの緊張作業に多大の労力と時間を要して作業効率が低い。
<3>捕捉ネットの両側を渓床に立設した支柱に取り付ける特許文献3に記載の透過型捕捉構造物にあっても、捕捉ネットを構成する各横ロープの両端部を支柱に取り付けて横架する場合、各横ロープの緊張作業に多大の労力と時間を要して捕捉ネットの取付け作業の作業効率が低い。
<4>透過型捕捉構造物に用いられていた従来の捕捉ネットは、受撃時に捕捉ネットの交点がずれ動いて網目が拡縮変形し易いこと、捕捉ネットの交点のずれに伴う衝撃荷重の伝達ロスが大きいこと、衝撃力の拡散範囲が狭く受撃範囲に位置する横ロープに応力が集中して破断し易いこと等の問題点を有する。
<1>組付作業性を改善して工費と工期の大幅削減が可能なこと。
<2>衝撃力の分散性能を高め、捕捉ネットの強度を最大限に発揮できて緩衝性能が向上すること。
本発明の他の形態において、前記剛構造体の周面に、該剛構造体の長手方向に沿って複数のストッパが突設されていて、該ストッパに外装された前記端末取付ロープの端輪の可動域がストッパにより一定範囲に規制される。
本発明の他の形態において、前記ネット本体が前記ネット本体は両端部に端輪を有する複数の単索と、前記単索の交点に配置し、該単索の端輪とピン式連結が可能な複数の中継連結具とを組み合せてネット状に構成されている。
本発明の他の形態において、横方向に配列した複数の単索が中継連結具を介して連続した横索を構成し、前記横索、端末取付ロープ、及び捕捉ネットによりループ構造を呈する。
本発明の他の形態において、前記端末取付ロープが中継連結具を介してネット本体の左右両側辺に接続した前記単索で構成されている。
本発明の他の形態において、前記ネット本体の網目が円形を除いた幾何学形状を呈するように、前記複数の単索と複数の中継連結具とを組み合せて構成されている。
本発明の他の形態において、前記ネット本体が縦列方向及び横列方向に交差して配置した複数の単索と、各単索の交点に介装した複数の中継連結具とからなり、網目が方形を呈する。
本発明の他の形態において、前記ネット本体が斜めに交差して配置した複数の単索と、各単索の交点に介装した複数の中継連結具とからなり、網目が菱形を呈する。
本発明の他の形態において、前記ネット本体が縦列方向又は横列方向の何れか一方向に配置すると共に、斜めに交差して配置した複数の単索と、各単索の交点に介装した複数の中継連結具とからなり、網目が三角形を呈する。
本発明の他の形態において、前記中継連結具が着脱可能な複数の係留ピンを具備し、該係留ピンを介して単索の端輪と回動自在に連結してある。
本発明の他の形態において、前記中継連結具が相対向して配置した一対の単板と、該単板間に貫挿させて着脱可能な複数の係留ピンとを具備する。
<1>各端末取付ロープの端輪が動滑車として機能するため、背面ループ材用のロープ材を小さな力で引っ張る作業を繰り返すだけの簡単な作業で複数の剛構造体の間に捕捉ネットをすることが張設できる。
したがって、透過型捕捉構造物の組付作業性を改善して工費と工期を大幅に削減できる。
<2>本発明の透過型捕捉構造物では、捕捉ネットと背面ループ材が連続性を有することで、捕捉ネットによる弾性変形、及び背面ループ材によるロープ材の伸びにより衝撃力を緩衝することが可能であることと、ネット本体の網目の拡張変形を阻止して捕捉ネット全体への衝撃荷重の伝達性能が高まることに伴い、透過型捕捉構造物による衝撃力の分散性能が高まり、緩衝性能が向上する。
<3>捕捉ネットに作用した衝撃荷重が背面ループ材に伝達されるが、背面ループ材を構成するロープ材が二重になっているため、背面ループ材を構成するロープ材の荷重負担を半減できる。
したがって、背面ループ材を構成するロープ材として、捕捉ネットを構成する単索の強度より小さいロープ材を使用できる。
<4>捕捉ネットに作用した衝撃荷重を捕捉ネット及び背面ループ材の両部材に分散して支持する構造であるため、捕捉ネットの強度(耐力)を従来の捕捉ネットと比べて小さくすることができる。
<5>中継連結具を介して複数の単索を連結するだけの簡単な作業で捕捉ネットを製作できるので、捕捉ネットの製作加工性に優れ、低コストに製作できる。
しかも共通構造の単索がネット本体と端末取付ロープを兼用できるので、捕捉ネットの構成部品点数が少なくなる。
<6>複数の単索と複数の中継連結具を用いるだけで設置現場に合せてネット本体を製作できると共に、単索の配置方向や全長を変更するだけで網目サイズや網目形状を任意に選択できる。
<7>単索の端輪と中継連結具の間が着脱可能な係留ピンで連結してあるため、損傷した単索や中継連結具の部分交換が簡単に行えるので、捕捉ネットの補修性がよくなる。
<8>ロープの交点を結節せずにネット状に形成できるので、単索に大径で高強度の鋼製ロープ材を使用することができる。
したがって、土石流等の巨大衝撃に対抗し得る高強度の捕捉ネットを提供できる。
<1>透過型捕捉構造物の概要
図1〜5を参照しながら本実施例に係る透過型捕捉構造物10について説明する。
透過型捕捉構造物10はネット本体25の両側部に複数の端末取付ロープ26を有する捕捉ネット20と、渓床に間隔を隔てて立設し、捕捉ネット20を河川等の断面積を覆うように取り付けるための複数の剛構造体30,30と、捕捉ネット20の左右両側辺から延出した一対の端末取付ロープ26,26の間を緊張してネット本体25を剛構造体30,30の間に取り付ける背面ループ材60とを具備する。
捕捉ネット20は剛構造体30,30の渓谷山側に配設され、背面ループ材60は剛構造体30,30の渓谷谷側に配設される。
捕捉ネット20は透過型捕捉構造物に用いられる格子ネット状物である。
捕捉ネット20は帯状のネット本体25と、ネット本体25の左右両側辺から水平に延出した複数の端末取付ロープ26とにより構成する。
ネット本体25及び端末取付ロープ26は、両端部に無端の端輪21,21を有する複数の単索22と、これら複数の単索22の端部と連結可能な複数の中継連結具50とを組み合せて構成されている。
図3〜6を参照しながら本例のネット本体25について説明すると、ネット本体25は複数の単索22を縦列方向及び横列方向に配置し、各単索22の交点に中継連結具50を介装して組み立てたネット状物である。
横方向に配列した複数の単索22は中継連結具50を介して同一線上に位置していて、連続した横索23を構成する。
縦方向に配列した複数の単索22は中継連結具50を介して同一線上に位置していて、連続した縦索24を構成する。
これら複数の横索23と複数の縦索24とが交差して格子状に組み立てられている。
捕捉ネット20には縦横方向に配索した4本の単索22と4つの中継連結具50に囲繞された方形の網目Aが画成されている。
網目Aの目合寸法(縦辺の長さと横辺の長さ)は各単索22の全長により求められる。
受撃時において、網目Aの平面形状は拡縮変化するが、網目Aを画成する各単索22の全長が変化しないので、網目Aの目合寸法は変わらない。
単索22はネット本体25及び端末取付ロープ26を構成する兼用ロープ材である。
図4に示すように、単索22は1本又は複数本を撚り合せた鋼製又は繊維製のロープからなり、その両端に無端の端輪21を有している。
透過型捕捉構造物用の捕捉ネット20としては、単索22に高強度の鋼製ロープ材を用い、鋼製ロープ材の両端部を折返してアイスプライス又は圧縮加工を施して端輪21を形成する。
単索22の全長により網目A寸法やネットの取付長が求められる。
中継連結具50は複数の単索22の間を着脱可能に連結するための連結具である。
図5,6に例示した中継連結具50について説明すると、中継連結具50は相対向して配置した一対の単板51,51と、単板51,51間に貫挿させた複数の係留ピン52とからなる。
各単板31の周縁には係留ピン52を貫挿可能な複数のピン孔53が開設されている。
本例では等間隔に4つのピン孔53を形成した形態を示すが、ピン孔53の形成数は適宜選択可能である。
係留ピン52には図示したボルト及びナットの他に連結ピンを使用することも可能である。
係留ピン52は一対の単板51,51と共に端輪21に貫挿することで単索22と中継連結具50との間をピン構造で連結可能であり、単索22は中継連結具50の係留ピン52を中心に回動可能である。
図3に示すように、複数の単索22を縦横方向に配置し、各単索22の交点に中継連結具50を介装して帯状のネット本体25を組み立てる。
中継連結具50を介してネット本体25の左右両側辺に複数の単索22の一端を連結して端末取付ロープ26を多段的に組み付けるだけの作業で捕捉ネット20を組み立てることができる。
捕捉ネット20は工場で組立てできることの他に、現場で組み立てることも可能である。
又、ネット本体25を複数の分割体として予め製作しておき、現場へ小分けして搬入した複数の分割体の間に単索22を継足して捕捉ネット20を完成させてもよい。
完成した捕捉ネット20は左右の両側辺から水平に延出した端末取付ロープ26の端輪21を介して、剛構造体30に取り付けることで透過型捕捉構造物を完成させる。
捕捉ネット20は連続した一本もののロープを用いないので、複数の単索22と中継連結具50とを組み合せて現場の形状に合せて任意の形状に組み立てできる。
しかも各単索22の交点がずれないために、中継連結具50に連結された複数の単索22の相互間における荷重が可能であるだけでなく、荷重の伝達ロスも大幅に縮小できる。
端末取付ロープ26はネット本体25の左右側辺に設けた単索22製のロープ材であり、ネット本体25を剛構造体30に取り付けるために機能する。
複数の端末取付ロープ26は中継連結具50を介してネット本体25を構成する横索23の延長線上に位置する。
端末取付ロープ26とネット本体25間の連結構造は図6に示した中継連結具50を用いた連結構造と同じである。
図2に示すように、背面ループ材60は端末取付ロープ26を介してネット本体25を剛構造体30,30の間に横架するためのロープ材であり、剛構造体30,30のスパンの2倍以上の長さを有する。
背面ループ材60は1本のロープ材を左右両側の各端末取付ロープ26の端輪21に跨って挿通して架け渡し、このロープ材の端部近くの重合部を固定具61で摺動不能に固定してループ状に形成したものである。
捕捉ネット20を構成する横索23は横方向に配列した複数の単索22と中継連結具50を介して同一線上に位置していて、その両端に端末取付ロープ26が延出している。
背面ループ材60は端末取付ロープ26,26の間に掛け渡されていることから、横索23、端末取付ロープ26、及び捕捉ネット20を通じて全体が連続性を有するループ構造を呈する。
背面ループ材60を捕捉ネット20の左右両側から延出した端末取付ロープ26,26の端輪21,21に係留させて架け渡したのは、各端末取付ロープ26の自由端側の端輪21を動滑車として機能させて、背面ループ材60を小さな力で収縮方向に引っ張ることで、隣り合う剛構造体30,30の間に捕捉ネット20を張設するためと、受撃時に捕捉ネット20と協働して衝撃荷重を分散して支持するためである。
剛構造体30は捕捉ネット20を支持する高剛性の構造物であり、2本以上を有していればよい。
本例では剛構造体30が断面円形を呈する支柱である場合について説明する。
剛構造体30は例えば鋼管、コンクリート充填鋼管、コンクリート柱等の高剛性の柱体であり、渓床に所定の間隔を隔てて立設されている。
剛構造体30の外周には端末取付ロープ26の取り付け高さに合せて複数のストッパ31が突設されていて、図8に示すように、各端末取付ロープ26の自由端側の端輪21をストッパ31に外装して使用する。
端輪21をストッパ31に外装したのは、端輪21の可動域(端末取付ロープ26の移動量)を一定範囲に規制するためである。
図9は端末取付ロープ26の端輪21の基端側がストッパ31に当接して位置決めされた状態を示し、図10は端末取付ロープ26の端輪21の先端側がストッパ31に当接して位置決めされた状態を示している。
つぎに透過型捕捉構造物10の施工方法について説明する。
図1,2に示すように、所定の間隔を隔てて渓床等に剛構造体30,30を立設する。
剛構造体30,30の渓谷山側に捕捉ネット20を搬入し、剛構造体30,30の渓谷谷側に背面ループ材60用の複数のロープ材を搬入する。
各端末取付ロープ26を単独で引張りながら端輪21をストッパ31に掛止させて捕捉ネット20を隣り合う剛構造体30,30間に張設することも可能であるが、捕捉ネット20の重量が加わるために各端末取付ロープ26を個別に緊張するには大きな緊張力を必要とする。
この際、各端末取付ロープ26の端輪21を対応する各ストッパ31に外装する。
この状態で、剛構造体30の背面側に折り返した背面ループ材60用のロープ材の両端部を収縮方向に締め付けることに伴い、左右一対の端末取付ロープ26が剛構造体30の周面に巻き付きながら背面ループ材60側へ引っ張られる。
各端末取付ロープ26の自由端側の端輪21が動滑車として機能するため、背面ループ材60を小さな力で収縮方向に引っ張ることで、隣り合う剛構造体30,30の間に捕捉ネット20を弛みのない状態で張設することができる。
背面ループ材60用のロープ材の端部近くの重合部を固定具61で摺動不能に固定することで背面ループ材60が形成される。
隣り合う剛構造体30,30の背面側に上記した作業工程で複数の背面ループ材60を張設することで所定の高さの透過型捕捉構造物10が完成する。
各端末取付ロープ26の端輪21が動滑車として機能するため、背面ループ材用のロープ材を引っ張る力が小さな力でよく、大型チェーンブロック等の牽引機材が不要である。
したがって、透過型捕捉構造物10の組付作業性を改善して工費と工期を大幅に削減できる。
つぎに透過型捕捉構造物10の砂防機能について説明する。
図7は河川等の断面積を覆うように配設された捕捉ネット20を示していて、捕捉ネット20は渓床に対して起立状態で張設されている。
中小規模の洪水の場合は、捕捉ネット20の下段の網目Aを通じて、災害を及ぼさない程度の大きさの礫や泥水等が流下する。
土石流等が発生すると、捕捉ネット20は網目Aより大きな流木や土石等の流下物を捕捉し、通過させてもよい網目Aより小さな土石等の流下物を流出させることができる。
従来の捕捉ネットでは鋼製ロープの交点がずれ動いて網目が拡張変形していたが、ネット本体25を構成する各単索22の交点が滑動不能に固定されているために網目Aが拡張変形することがなく、不用意に過大な流下物を流出させず、流下物の捕捉機能を保証できる。
又、従来の捕捉ネットでは鋼製ロープの交点がずれ動くために、衝撃力の拡散範囲が狭く、受撃範囲に位置する横ロープに応力が集中して破断し易いものであった。
これに対し本例の捕捉ネット20では、ネット本体25を構成する各単索22の交点がずれ動かないことと、中継連結具50を介して各単索22の交点における単索22の自由回動が可能な構造になっている。
そのために、中継連結具50に連結されたすべての単索22に対して衝撃荷重を分散して伝達できるので伝達ロスを極めて小さくできると共に、捕捉ネット20の一部に作用した衝撃力をネット全体へ伝達できて、捕捉ネット20が本来有する強度を最大限に発揮できる。
例えば図5に示したネット本体25の中央部に衝撃力が作用した場合、矢印目で示すようにネット本体25の中央部の周囲に位置する各単索22へ衝撃力が連鎖的に伝達していく。
本例では捕捉ネット20に作用する衝撃力は以下に詳述する捕捉ネット20、背面ループ材60、及び剛構造体30により支持される。
捕捉ネット20と背面ループ材60は一対の剛構造体30,30の間に連続性を有した状態で摺動可能に巻き掛けてある。
土石流等が渓谷山側の捕捉ネット20に衝突すると、その衝撃力が端末取付ロープ26,30を介して渓谷谷側の背面ループ材60に伝達する。
捕捉ネット20が渓谷山側へ撓み変形することで背面ループ材60の引張力が増していく。
これに対して、本発明の透過型捕捉構造物10では、捕捉ネット20による弾性変形、及び背面ループ材60の伸縮により衝撃力を緩衝することが可能である。
このように捕捉ネット20に作用した衝撃力は捕捉ネット20及び二重ロープ構造の背面ループ材60に分散して支持され、最終的に剛構造体30の曲げ耐力によって支持される。
そのため、背面ループ材60は低強度の小径ロープ材で対応でき、固定具61も小型のもので対応できる。
捕捉ネット20に巨大な衝撃力が作用すると背面ループ材60の伸びにより剛構造体30に巻き掛けた端末取付ロープ26が僅かに摺動する。
端末取付ロープ26の摺動に伴い、図10に示すように端末取付ロープ26の端輪21の先端部がストッパ31に当接すると、端末取付ロープ26の摺動が規制される。
そのため、捕捉ネット20に作用した衝撃力はストッパ31を通じて剛構造体30に対して曲げ力と回転力として伝わる。
最終的に捕捉ネット20に作用した衝撃力は剛構造体30の曲げ耐力と回転耐力により支持される。
衝撃力の支持部材に剛構造体30が加わることで、背面ループ材60の荷重負担が軽減される。
このように本例では捕捉ネット20に作用した衝撃力を最初に背面ループ材60で支持した後に、最終的に剛構造体30で支持することができる。
仮に背面ループ材60が破断しても、捕捉ネット20と剛構造体30とが継続して衝撃力を支持できるので、従来と比べて透過型捕捉構造物10の安全性が格段に高まる。
前記したように、本発明の透過型捕捉構造物10では、捕捉ネット20と背面ループ材60が連続性を有することで、捕捉ネット20による弾性変形、及び背面ループ材60によるロープ材の伸びにより衝撃力を緩衝することが可能であることと、ネット本体25の網目Aの拡張変形を阻止して捕捉ネット20全体への衝撃荷重の伝達性能が高まることに伴い、透過型捕捉構造物10による衝撃力の分散性能が高まり、緩衝性能が向上する。
透過型捕捉構造物10の渓谷山側の捕捉ネット20には土石流や流木等の流下物が捕捉される。捕捉された流下物は公知の手段で撤去する。
流下物を撤去して外力をなくすと、捕捉ネット20と背面ループ材60は自己復元力により受撃前の元の形状に復元するので、背面ループ材60を締め直す必要がない。
捕捉ネット20を構成する単索22は中継連結具50に着脱可能に組み立てられている。
そのため、一部の単索22が損傷した場合には、捕捉ネット20全体を交換せずに、損傷した単索22のみを中継連結具50から取り外して新たな単索22に簡単に交換でき、又、中継連結具50が損傷した場合も同様に中継連結具50を簡単に付け替えて補修することができる。
図11,12に他の捕捉ネット20について説明する。
先の実施例では、複数の単索22を縦横方向に交差して配置し、その交点に中継連結具50を介装してネット本体25を構成した形態について説明したが、複数の単索22を斜め方向に交差させて組み立ててもよい。
図11はネット本体25の上下辺、左右辺を除き、複数の単索22を斜め方向に交差させて、菱形の網目Aを形成した形態を示す。
図12は複数の横方向に配置した単索22と、交差斜め方向に配置した単索22とを交差させ、三角形の網目Aを形成した形態を示す。
図12に示したネット本体25を90度回転させた形態であってもよい。
また図7,11,12に示した複数のネット本体25の形態を階層的に組み合わせて捕捉ネット20を組み立ててもよい。
図示を省略するが、何れの形態もネット本体25の左右側辺に複数の端末取付ロープ26が取り付けられていることと、端末取付ロープ26を介して捕捉ネット20と背面ループ材60が連続性を有するように接続されていることは、既述した実施例1と同じ構造である。
更に複数の単索22と複数の中継連結具50の組み合わせることでネット本体25の輪郭形状も任意の形状に組み立てることが可能である。
既述した実施例では背面ループ材60が二重ロープ構造である場合について説明したが、ネット本体25の両側から延出した各端末取付ロープ26の自由端の端輪21の間に1本のロープ材を三重以上の多重に巻き掛けることも可能である。
背面ループ材60を三重以上の多重に巻き掛けることで、背面ループ材60を構成するロープ材の荷重負担を更に低減できると共に、経済的で取扱い易い小径ロープ材を使用できる。
20・・・・・捕捉ネット
21・・・・・端輪
22・・・・・単索
23・・・・・横索
24・・・・・縦索
25・・・・・ネット本体
26・・・・・端末取付ロープ
30・・・・・剛構造体(支柱)
31・・・・・ストッパ
50・・・・・中継連結具
51・・・・・単板
52・・・・・係留ピン
60・・・・・背面ループ材
61・・・・・固定具
Claims (11)
- 渓床に間隔を隔てて設置した複数の剛構造体と、該剛構造体の間であって、剛構造体の渓谷山側に横架した網状の捕捉ネットとを具備した透過型捕捉構造物であって、
前記捕捉ネットは複数の網目を有するネット本体と、
前記ネット本体の左右両側辺から延出した複数の端末取付ロープとを具備し、
前記端末取付ロープは端部に端輪を有し、
前記剛構造体のスパンの2倍以上の長さを有するロープ材の両端部を摺動不能に固定してループ状に形成した二重ロープ構造の背面ループ材を使用し、
前記剛構造体の渓谷谷側に横架した背面ループ材を前記端末取付ロープの端輪に係留させて前記捕捉ネットと背面ループ材との間に連続性を持たせ、
前記捕捉ネットへ作用した衝撃力を、端末取付ロープを経由して背面ループ材へ分散して伝達可能なように、端末取付ロープと背面ループ材との連続体が前記複数の剛構造体の周面間に掛け渡されていることを特徴とする、
透過型捕捉構造物。 - 前記剛構造体の周面に、該剛構造体の長手方向に沿って複数のストッパが突設されていて、該ストッパに外装された前記端末取付ロープの端輪の可動域がストッパにより一定範囲に規制されることを特徴とする、請求項1に記載の透過型捕捉構造物。
- 前記ネット本体が前記ネット本体は両端部に端輪を有する複数の単索と、前記単索の交点に配置し、該単索の端輪とピン式連結が可能な複数の中継連結具とを組み合せてネット状に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の透過型捕捉構造物。
- 横方向に配列した複数の単索が中継連結具を介して連続した横索を構成し、前記横索、端末取付ロープ、及び捕捉ネットによりループ構造を呈することを特徴とする、請求項3に記載の透過型捕捉構造物。
- 前記端末取付ロープが中継連結具を介してネット本体の左右両側辺に接続した前記単索で構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の透過型捕捉構造物。
- 前記ネット本体の網目が円形を除いた幾何学形状を呈するように、前記複数の単索と複数の中継連結具とを組み合せて構成したことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の捕捉ネット。
- 前記ネット本体が縦列方向及び横列方向に交差して配置した複数の単索と、各単索の交点に介装した複数の中継連結具とからなり、網目が方形を呈することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の捕捉ネット。
- 前記ネット本体が斜めに交差して配置した複数の単索と、各単索の交点に介装した複数の中継連結具とからなり、網目が菱形を呈することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の捕捉ネット。
- 前記ネット本体が縦列方向又は横列方向の何れか一方向に配置すると共に、斜めに交差して配置した複数の単索と、各単索の交点に介装した複数の中継連結具とからなり、網目が三角形を呈することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の捕捉ネット。
- 前記中継連結具が着脱可能な複数の係留ピンを具備し、該係留ピンを介して単索の端輪と回動自在に連結してあることを特徴とする、請求項3乃至9の何れか一項に記載の捕捉ネット。
- 前記中継連結具が相対向して配置した一対の単板と、該単板間に貫挿させて着脱可能な複数の係留ピンとを具備することを特徴とする、請求項3乃至9の何れか一項に記載の捕捉ネット。
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