しかしながら,一般的な使い捨ておむつの製造方法のように,レッグ開口部を形成する際にレッグ開口部に相当する部位を切り取ることとすると,シート部材の本体から切り離されたトリムが発生することとなる。使い捨ておむつの製造過程においてはトリムが大量に発生することとなるが,このトリムは廃棄の対象になるため,資材の無駄が生じるという問題があった。
また,特許文献2のテープ型使い捨ておむつのように,吸収性本体の前身頃と前身頃のそれぞれにサイドフラップ部材を別体で取り付けることで,使い捨ておむつの製造過程においてレッグ開口部に相当する部位を切り取る必要がなくなる。このため,このような構造の使い捨ておむつによれば,トリムの発生を回避できると考えられる。しかしながら,サイドフラップ部材が前身頃と後身頃に個別で取り付けられている場合,このサイドフラップ部材と吸収性本体の接合面積が少ないため,サイドフラップ部材に大きな引張力が掛かったときに外れてしまうという問題があった。また,サイドフラップ部材が前身頃と後身頃に個別で取り付けた構造では,着用者の股下部において,着用者の両脚部周りを適切に覆うことができず,レッグ開口部から尿漏れが発生するという問題もあった。
そこで,本発明は,その製造過程においてトリムが発生することを回避でき,さらに,吸収性本体から外れにくく,適切に着用者の両脚部周りを被覆することのできるサイドフラップ部材を備えた,使い捨ておむつを提供することを解決課題とする。
本発明の発明者は,上記課題の解決手段について鋭意検討した結果,長尺のシート部材に蛇行した切断線を形成して二分割し,この二分割したものを,吸収性本体の左右両側に取り付けるサイドフラップ部材として利用することとした。これにより,使い捨ておむつの製造過程において,レッグ開口部に相当する部位を切り取る必要がなくなり,トリムの発生を回避できる。さらに,本発明者は,左右のサイドフラップ部材を,股下部を中心として前身頃及び後身頃に亘って吸収性本体に取り付けることとした。これにより,サイドフラップ部材は,吸収性本体から外れにくいものになるとともに,適切に着用者の両脚部周りを被覆することが可能となる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば上記課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成・工程を有する。
本発明の第1の側面は,使い捨ておむつに関する。
本発明の使い捨ておむつは,長手方向と幅方向を有する。これらの長手方向と幅方向は,平面的に直交する方向である。また,使い捨ておむつは,その長手方向に,着用者の腹側に位置する前身頃1と,着用者の背側に位置する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3とに区分されている。
本発明の使い捨ておむつは,吸収性本体10と,左右のサイドフラップ部材20と,を備える。吸収性本体10は,股下部3を中心として前身頃1から後身頃2に亘って設けられている。また,サイドフラップ部材20は,吸収性本体10とは別体の部材であり,吸収性本体10の幅方向の左右両側に配置されている。
左右のサイドフラップ部材20は,それぞれ,基端部21と,延出部22と,を有する。基端部21は,前身頃1から後身頃2に亘って長手方向に延びる部位である。また,延出部22とは,前身頃1及び後身頃2において,幅方向外側に向かって基端部21から延出した部位である。このため,サイドフラップ部材20は,延出部22が形成された前身頃1及び後身頃2において幅広となり,股下部において幅狭となっている。
サイドフラップ部材20の基端部21は,吸収性本体10の幅方向の側部と厚み方向に重なる重畳領域21aを有している。そして,この基端部21は,重畳領域21aにおいて吸収性本体10に接合されている。
上記構成のように,吸収性本体10の幅方向両側に,これとは別体のサイドフラップ部材20を取り付けることで,脚周り開口部に相当する部位を切り取る工程を行わなくても使い捨ておむつを製造することが可能となる。これにより,無駄なトリムが発生することを回避できる。また,サイドフラップ部材20が,吸収性本体10の股下部3を含む長手方向全体に亘って取り付けられていることで,このサイドフラップ部材20によって適切に着用者の両脚部周りを被覆することができる。さらに,サイドフラップ部材20を吸収性本体10の長手方向全体に亘って取り付けることで,このサイドフラップ部材20が吸収性本体10から外れにくくなり,使い捨ておむつの構造強度を上げることができる。
本発明の使い捨ておむつは,一又は複数のレッグ伸縮部材30をさらに備えることが好ましい。レッグ伸縮部材30は,吸収性本体10の幅方向の左右両側のうち,少なくとも股下部3に配置されており,使い捨ておむつの長手方向に伸縮可能な状態で固定される。レッグ伸縮部材30は,吸収性本体10の左右両側に,それぞれ一又は複数本ずつ設けることができる。
特に,レッグ伸縮部材30は,サイドフラップ部材20の基端部21の前記重畳領域21aに固定されていることが好ましい。すなわち,レッグ伸縮部材30は,吸収性本体10とサイドフラップ部材20との両方に重なることとなる。特に,レッグ伸縮部材30は,吸収性本体10とサイドフラップ部材20の間に固定されていることが好ましい。
上記構成のように,サイドフラップ部材20のうち,吸収性本体10と重なる重畳領域21aにレッグ伸縮部材30を配置して長手方向の伸縮性を付与する。これにより,サイドフラップ部材20と吸収性本体10とを連動させて収縮させることができ,レッグ伸縮部材30によって形成されるギャザーの肌触りを良化することができる。また,サイドフラップ部材20のうち,吸収性本体10と重ならない領域(非重畳領域21b)に伸縮性が付与されていると,サイドフラップ部材20と吸収性本体10の継ぎ目にヨレやシワが発生する。この場合,両者の接合強度が弱まってサイドフラップ部材20が外れやすくなったり,着用者に不快感を与えるおそれがある。これに対して,サイドフラップ部材20のうち,吸収性本体10と重なる重畳領域21aにのみレッグ伸縮部材30を配置しておくことで,サイドフラップ部材20と吸収性本体10とを一体的に収縮させることができる。このため,サイドフラップ部材20と吸収性本体10の間にヨレやシワが発生することを防止でき,両者の接合強度が高まり,また着用者に不快感を与えることを防止できる。
本発明の使い捨ておむつにおいて,各サイドフラップ部材20は,前身頃1側の延出部22と後身頃2側の延出部22の面積の総和が,延出部22同士の間に形成された切欠き部23の面積に等しいことが好ましい。
上記構成のように,前身頃1側と後身頃2側の延出部22の面積の総和を切欠き部23の面積一致させることで,このサイドフラップ部材20を製造する際に,無駄なトリムを発生させないようにすることができる。
本発明の第2の側面は,使い捨ておむつの製造方法に関する。
本発明の製造方法では,まず,長尺の吸収性本体の連続体110を得る(第1工程)。また,長尺のサイドフラップ部材の原体115を得る(第2工程)
その後,サイドフラップ部材の原体115の幅方向中央部に,所定周期で蛇行しながらその長手方向に沿って延びる中央切断線C1を形成し,サイドフラップ部材の原体115を左右に分断して,左右のサイドフラップ部材の連続体120を得る(第3工程)。
その後,左右のサイドフラップ部材の連続体120を,吸収性本体の連続体110の幅方向左右両側に取り付ける(第4工程)。
最後に,吸収性本体の連続体110と左右のサイドフラップ部材の連続体120とを同時にそれらの幅方向に沿って切断して,個別の吸収性本体10と左右のサイドフラップ部材20を備える使い捨ておむつ100を得る(第5工程)。
ここで,左右のサイドフラップ部材の連続体120は,中央切断線C1が形成されていない基端部121と,中央切断線C1が形成されることにより基端部121から幅方向に延出する状態となった延出部122と,を有している。
そして,第4工程においては,左右のサイドフラップ部材の連続体120の基端部121を,吸収性本体の連続体110の幅方向の側部に重ねて重畳領域121aを形成する。さらに,この重畳領域121aにおいて,吸収性本体の連続体110と左右のサイドフラップ部材の連続体120とを接合する。
上記工程のように,一つの長尺のサイドフラップ部材の原体115を左右2つに分断して,サイドフラップ部材20を形成することで,無駄なトリムを発生させずにレッグ開口部を有する使い捨ておむつを製造することが可能となる。
本発明の製造方法は,第5工程よりも前に,重畳領域121aとなる部位に,一又は複数のレッグ伸縮部材の連続体130を,左右のサイドフラップ部材の連続体120の長手方向に沿った伸長状態で固定する工程を,さらに含むことが好ましい。
この場合,第5工程においては,吸収性本体の連続体110,左右のサイドフラップ部材の連続体120,及びレッグ伸縮部材の連続体130を同時にそれらの幅方向に沿って切断する。これにより,個別の吸収性本体10,左右のサイドフラップ部材20,及びレッグ伸縮部材30を備える使い捨ておむつ100を得ることができる。
上記構成のように,一又は複数のレッグ伸縮部材の連続体130を,サイドフラップ部材の連続体120と吸収性本体の連続体110の重畳領域121aとなる部位に配置することで,レッグ伸縮部材の連続体130の固定強度を向上させることができる。また,レッグ伸縮部材の連続体130とサイドフラップ部材の連続体120の継ぎ目にシワやヨレが発生することを防止できるため,これら両連続体が互いに分離することを防止できる。
本発明の製造方法は,第3工程よりも前に,長尺の機能性シート部材の原体155を得る工程と,この機能性シート部材の原体155をサイドフラップ部材の原体115の幅方向中央部に取り付ける工程と,をさらに含むことが好ましい。
この場合,第3工程においては,機能性シート部材の原体155を所定周期で横断するように,中央切断線C1を形成する。
上記構成のように,機能性シート部材の原体155をサイドフラップ部材の原体115の幅方向中央部に取り付け,中央切断線C1によって,機能性シート部材の原体155とサイドフラップ部材の原体115とを同時に切断する。これにより,サイドフラップ部材20の延出部22に,個別の機能性シート部材60が取り付けられた使い捨ておむつを,効率的に製造することが可能となる。また,機能性シート部材60によって,サイドフラップ部材20の延出部22に,クッション性や,吸水性,防水性,伸縮性など,種々の機能を付与することができる。
本発明によれば,使い捨ておむつの製造過程においてレッグ開口部を形成する際に,無駄なトリムが発生することを回避できる。また,本発明よれば,左右のサイドフラップ部材が吸収性本体から外れにくく,且つ,このサイドフラップ部材によって適切に着用者の両脚部周りを被覆することが可能となる。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
図1から図3は,本発明に係る使い捨ておむつ100の第1の実施形態を示している。本実施形態に係る使い捨ておむつ100は,テープ型の使い捨ておむつである。図1に示されるように,テープ型の使い捨ておむつは,後身頃の両側部に取り付けられたファスニングテープを前身頃に止め付けることにより装着されるタイプの使い捨ておむつである。以下では,テープ型の使い捨ておむつを例に挙げて,本発明の使い捨ておむつについて詳しく説明する。ただし,本発明の使い捨ておむつの構造を,パンツ型の使い捨ておむつに応用することも可能である。
図1に示されるように,使い捨ておむつ100は,その長手方向において,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置し着用者の股下に接する股下部3とに区分される。使い捨ておむつ100は,吸収性本体10と,左右一対のサイドフラップ部材20とを基本構成として備えている。なお,図1において,サイドフラップ部材20は,概念的に斜線を施して示している。
吸収性本体10は,股下部3を中心として,前身頃1から後身頃2に亘って設けられた部材である。吸収性本体10は,着用者が排泄した尿などの液体を吸収して保持する機能を持つ。本実施形態において吸収性本体10は,略矩形状に形成されている。また,左右一対のサイドフラップ部材20は,吸収性本体10の幅方向の左右両側にそれぞれ配置された部材である。各サイドフラップ部材20は,股下部3を中心として,前身頃1から後身頃2に亘って設けられており,吸収性本体10の幅方向の両側に接合されている。図1に示した例において,各サイドフラップ部材20は,長手方向の長さが,吸収性本体10とほぼ同じ長さとなっている。サイドフラップ部材20は,着用者の両脚を通すためのレッグ開口部を形成し,着用者の脚周りと横腹を被覆する部材である。また,各サイドフラップ部材20の後身頃2側には,それぞれファスニングテープ40が取り付けられている。ファスニングテープ40は,吸収性本体10の肌非対向面(装着時に着用者の肌に対向しない面)側に取り付けられているランディングテープ50と係合する。このため,ファスニングテープ40をランディングテープ50に止め付けることで,テープ型の使い捨ておむつ100を着用者の身体に装着することができる。
また,図2に示されるように,本発明の使い捨ておむつにおいて,吸収性本体10と左右のサイドフラップ部材20とは,別体の構成物品である。このため,吸収性本体10とサイドフラップ部材20は,基本的には,別々の工程で製造され最終的に接合して組み合わされることとなる。
まず,吸収性本体10の構成について説明する。図3に示されるように,吸収性本体10は,トップシート11と,バックシート12と,これらのシート11,12の間に介在する吸収体13とを含む。また,吸収性本体10は,幅方向の左右両側に,一対のサイドシート14を備えている。この一対のサイドシート14により,吸収性本体10の幅方向左右両側に,一対の立体ギャザーが形成される。なお,図3では,使い捨ておむつの構造を分り易く示すために各シート部材に厚みを持たせているが,実際の各シート部材は極めて薄い部材である。
吸収性本体10を構成するトップシート11は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体13へ透過させるための部材である。このため,トップシート11は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また,トップシート11は,吸収体13の肌対向面(装着時に着用者の肌に対向する面)を被覆するように配置される。トップシート11を構成する液透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,トップシート11としては,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
バックシート12は,トップシート11を透過して吸収体13に吸収された液体が,おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート12は,液不透過性材料によって構成される。また,バックシート12は,吸収体13の底面からの液漏れを防止するため,吸収体13の肌非対向面を被覆している。また,図3に示されるように,バックシート12は,トップシート11よりも幅広に形成されており,バックシート12の左右両端部は,トップシート11の左右両側縁よりも外側に延出していることが好ましい。バックシート12を構成する液不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,バックシート12としては,液不透過性を維持しつつ通気性を確保するために,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
吸収体13は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体13は,液透過性のトップシート11と,液不透過性のバックシート12の間に配置される。吸収体13は,公知の吸収性材料により構成することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしてもよい。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成して用いられる。図3に示されるように,吸収体13の周囲においては,トップシート11とバックシート12が互いに接合されている。これにより,吸収体13は,トップシート11とバックシート12の接合部によって周囲を囲われたものとなる。
一対のサイドシート14は,吸収体13の両側縁に沿って起立して,尿の横漏れを防止する立体ギャザーを形成するためのシート部材である。例えば,サイドシート14を構成するシート部材としては,撥水性と通気性を有するシート部材を採用することが好ましい。サイドシート14としては,例えば,カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ,特に防水性及び通気性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。サイドシート14は,幅方向の外側部分がトップシート11又はバックシート12の肌対向面に接合されており,幅方向の内側部分には他のシートと接合しない自由部分が含まれている。この自由部分には,使い捨ておむつの長手方向に沿って一又は複数の立体ギャザー伸縮部材15が伸長状態で固定されている。このため,立体ギャザー伸縮部材15が収縮したときに,サイドシート14の自由部分が着用者の肌の方向に向かって立ち上がるとともに,シワが生じる。その結果,立体ギャザーが形成される。
続いて,左右一対のサイドフラップ部材20の構成について説明する。図1から図3に示されるように,各サイドフラップ部材20は,吸収性本体10の幅方向の左右両側に取り付けられる,吸収性本体10とは別体の部材である。図1に示されるように,各サイドフラップ部材20は,前身頃1から股下部3を通り後身頃2に至るまで一体となったシート部材により構成されている。このため,各サイドフラップ部材20は,吸収性本体10と同様に,前身頃1,後身頃2,及び股下部3に相当する部位を有しているといえる。各サイドフラップ部材20は,吸収性本体10の肌非対向面(着用時に着用者の肌に対向しない面)側に取り付けられていることが好ましいが,吸収性本体10の肌対向面側(着用時に着用者の肌に対向する面)に取り付けられていてもよい。
サイドフラップ部材20は,一又は複数のシート部材によって構成されている。サイドフラップ部材20を構成するシート部材としては,例えば,織布,不織布,又は多孔性フィルムを用いることができる。また,このシート部材としては,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
図1に示されるように,各サイドフラップ部材20は,幅方向内側に位置する基端部21と,前身頃1及び後身頃2においてこの基端部21から幅方向外側に向かって延出する延出部22とによって構成されている。基端部21は,股下部3を中心として,前身頃1から後身頃2に至るまで,吸収性本体10の長手方向全域に延びている。他方で,延出部22は,前身頃1と後身頃2とにのみ形成されており,股下部3には存在しない。このため,前身頃1側の延出部22と後身頃2の延出部22との間には,股下部3に相当する部位において,切欠き部23が形成されている。このように,各サイドフラップ部材20は,延出部22が形成された前身頃1と後身頃2において幅方向に広がり,切欠き部23が形成された股下部3において幅方向に狭くなった形状であるといえる。なお,サイドフラップ部材20の切欠き部23は,テープ型の使い捨ておむつ100を装着するときに,着用者の両脚部を通すためのレッグ開口部に相当する。
図1及び図3に示されるように,各サイドフラップ部材20の基端部21は,少なくとも部分的に,吸収性本体10と厚み方向に重なった重畳領域21aを有している。そして,この重畳領域21aにおいて,各サイドフラップ部材20と吸収性本体10とは,ホットメルト接着剤等によって互いに接合されている。本実施形態において,サイドフラップ部材20と吸収性本体10は,長手方向の長さが略同じになっている。このため,サイドフラップ部材20と吸収性本体10の重畳領域21aは,サイドフラップ部材20の長手方向全域に亘っている。なお,サイドフラップ部材20は,その基端部21全体が吸収性本体10と重なっていてもよい。ただし,図1に示した実施形態のように,サイドフラップ部材20の基端部21には,重畳領域21aの幅方向外側に,吸収性本体10と厚み方向に重ならない非重畳領域21bが存在していることが好ましい。基端部21の非重畳領域21bは,着用者の脚周りに接触することとなるが,この非重畳領域21bはシート部材の積層数が少ないため,着用者に対して柔らかい印象を与えることができる。本発明において,重畳領域21aの横幅(幅方向の長さ)は,10mm以上,又は20mm以上であることが好ましく,10mm〜60mm,又は20mm〜50mmとすればよい。これにより,各サイドフラップ部材20と吸収性本体10との接合強度を確保できる。また,非重畳領域21bの横幅(幅方向の長さ)は,2mm〜15mmとすればよい。このように,非重畳領域21bの横幅をある程度の幅以上とすることで,脚周り部分の肌触りが良化することができる。
また,図1及び図3に示されるように,各サイドフラップ部材20の基端部21には,使い捨ておむつの長手方向に沿って延びるレッグ伸縮部材30が,一又は複数本ずつ取り付けられている。レッグ伸縮部材30は,糸ゴムなどの弾性伸縮部材であり,使い捨ておむつの長手方向に沿った伸長状態で,各サイドフラップ部材20に対して固定されている。レッグ伸縮部材30は,少なくとも股下部3内に位置しており,股下部3を超えて前身頃1や後身頃2に至るように配置されていてもよい。レッグ伸縮部材30は,各サイドフラップ部材20のレッグ開口部(切欠き部23)の周囲に位置している。このため,レッグ伸縮部材30が収縮したときに,このレッグ開口部の周囲にレッグギャザー(皺)が形成される。着用者の脚周りにレッグギャザーを形成することで,レッグ開口部からの尿漏れを効果的に防止できる。
また,図1及び図3に示されるように,各レッグ伸縮部材30は,サイドフラップ部材20の基端部21のうち,吸収性本体10と重なる重畳領域21aに取り付けられている。具体的には,図3に示されるように,レッグ伸縮部材30は,各レッグ伸縮部材30と吸収性本体10の間に挟み込むようにして固定されていることが好ましい。このように,サイドフラップ部材20の重畳領域21aにレッグ伸縮部材30を配置して長手方向の伸縮性を付与する。これにより,サイドフラップ部材20と吸収性本体10とを連動させて収縮させることができ,レッグ伸縮部材30によって形成されるレッグギャザーの肌触りを良化することができる。
また,本実施形態において,各レッグ伸縮部材30は,サイドフラップ部材20の基端部21のうち,吸収性本体10と重ならない非重畳領域21bには配置されていない。このように,レッグ伸縮部材30は,重畳領域21aにのみ取り付けられていることが好ましい。サイドフラップ部材20のうち,吸収性本体10と重ならない非重畳領域21bに伸縮性が付与されていると,サイドフラップ部材20と吸収性本体10の継ぎ目にヨレやシワが発生する。この場合,両者の接合強度が弱まってサイドフラップ部材20が外れやすくなったり,着用者に不快感を与えるおそれがある。これに対して,サイドフラップ部材20のうち,吸収性本体10と重なる重畳領域21aにのみレッグ伸縮部材30を配置しておくことで,サイドフラップ部材20と吸収性本体10とを一体的に収縮させることができる。このため,サイドフラップ部材20と吸収性本体10の間にヨレやシワが発生することを防止でき,両者の接合強度が高まり,また着用者に不快感を与えることを防止できる。
図3に示された実施形態において,各サイドフラップ部材20は,例えば不織布などの一枚のシート部材によって構成されている。ただし,各サイドフラップ部材20は,複数のシート部材を重ねて接合した多層構造とすることも可能である。例えば,各サイドフラップ部材20は,2層,又は3層のシート部材を重ねた構成であってもよい。
続いて,図4を参照して,上述した第1の実施形態に係る使い捨ておむつ100の製造方法について説明する。図4に示されるように,公知の方法に従って,長尺の吸収性本体の連続体110が製造される。この吸収性本体の連続体110は,上述した吸収性本体10が,使い捨ておむつの長手方向に連なった構造体である。長尺の吸収性本体の連続体110の長手方向は,使い捨ておむつを製造する際の搬送方向に一致している。
また,図4に示されるように,長尺のサイドフラップ部材の原体115が用意される。長尺のサイドフラップ部材の原体115は,個別に切断することで,上述したサイドフラップ部材20となる材料である。サイドフラップ部材の原体115体の長手方向は,使い捨ておむつを製造する際の搬送方向に一致している。
次に,サイドフラップ部材の原体115に対して,中央切断線C1を形成する。中央切断線C1は,サイドフラップ部材の原体115の幅方向中央部に形成される切断線であり,サイドフラップ部材の原体115を2分割し,左右のサイドフラップ部材の連続体120を得るためのものである。中央切断線C1は,図4に示されるように,サイドフラップ部材の原体115の幅方向に所定周期で蛇行(屈曲又は湾曲)する波状に形成されている。また,左右のサイドフラップ部材の連続体120は,それぞれ,基端部121と延出部122とに区分される。基端部121は,サイドフラップ部材の連続体120の長手方向全域に亘って中央切断線C1が形成されていない部位である。また,延出部122は,左右に蛇行した中央切断線C1が形成されることにより,基端部121から幅方向に延出する状態となった部位である。
また,レッグ伸縮部材の連続体130を,サイドフラップ部材の連続体120の基端部121に取り付ける。レッグ伸縮部材の連続体130は,後に個別に切断されることで,レッグ伸縮部材30となる材料である。図4に示されるように,レッグ伸縮部材の連続体130は,サイドフラップ部材の連続体120の流れ方向に沿って延びるように配置されており,一定の張力が付加された状態で,この連続体120の基端部121に固定される。また,レッグ伸縮部材の連続体130を固定する際には,レッグ伸縮部材の連続体130に対して長手方向に間欠的に接着剤を塗布する。つまり,レッグ伸縮部材の連続体130の長手方向に接着剤塗布部と接着剤非塗布部が交互に連続するように,接着剤を塗布しておく。このとき,接着剤は,最終的な使い捨ておむつの股下部3に相当する部位に塗布され(接着剤塗布部),使い捨ておむつの前身頃1側及び後身頃2側に相当する部位において塗布されない(接着剤非塗布部)。
次に,左右のサイドフラップ部材の連続体120の位置を入れ替える。つまり,中央切断線C1を形成した最初の段階では,左右のサイドフラップ部材の連続体120は,延出部122が内側に位置し,基端部121が外側に位置している状態となっている。そこで,これらの位置関係を入れ替えて,基端部121が内側に位置し,延出部122が外側に位置する状態とする。
次に,吸収性本体の連続体110の幅方向左右両側に,位置を入れ替えた左右のサイドフラップ部材の連続体120を固定する。このとき,サイドフラップ部材の連続体120の延出部122が,吸収性本体の連続体110のうち,個別の吸収性本体10となったときの前身頃1及び後身頃2に相当する部位に位置するように固定する。これにより,サイドフラップ部材の連続体120のうち,延出部122のない幅狭の部位が,個別の吸収性本体10になったときの股下部3に位置するようになる。また,吸収性本体の連続体110の基端部121を,サイドフラップ部材の連続体120の側部に重畳させて固定する。これにより,吸収性本体の連続体110とサイドフラップ部材の連続体120の重畳領域121aが形成される。さらに,吸収性本体の連続体110とサイドフラップ部材の連続体120とを固定するときには,これらの重畳領域121aに,レッグ伸縮部材の連続体130を位置させることが好ましい。特に,吸収性本体の連続体110とサイドフラップ部材の連続体120の間に,レッグ伸縮部材の連続体130を挟み込むことが好ましい。
最後に,互いに固定された吸収性本体の連続体110と左右のサイドフラップ部材の連続体120の延出部122を,それらの幅方向に沿った個別切断線C2において切断する。このとき,個別切断線C2は,吸収性本体の連続体110に配置された吸収体11同士の間に形成する。また,個別切断線C2は,吸収性本体の連続体110と左右のサイドフラップ部材の連続体120と同時に,レッグ伸縮部材の連続体130をも切断することとなる。レッグ伸縮部材の連続体130は,接着剤が塗布されていない接着剤非塗布部において切断されることとなる。このため,レッグ伸縮部材の連続体130の張力が解除されて,接着剤が塗布されている接着剤塗布部にのみ個別のレッグ伸縮部材30が残ることとなる。このようにして,個別の吸収性本体10,左右のサイドフラップ部材20,及びレッグ伸縮部材30を備えた使い捨ておむつ100が得られる。この使い捨ておむつ100は,図1〜図3を参照して説明した使い捨ておむつと,基本的に同一の構造となる。
上記図4に示した工程に従って使い捨ておむつ100を製造することで,使い捨ておむつ100のレッグ開口部を形成するために切り取られていたトリムが発生しない。つまり,吸収性本体10の幅方向両側に,これとは別体のサイドフラップ部材20を取り付けることで,脚周り開口部に相当する部位を切り取る工程を行わなくても,使い捨ておむつを製造することが可能となる。これにより,無駄なトリムが発生することを回避できる。
続いて,図5及び図6を参照して,本発明の第2の実施形態に係る使い捨ておむつ及びその製造方法について説明する。第2の実施形態については,上述した第1の実施形態との異なる点を中心に説明を行い,第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図5は,第2の実施形態に係る使い捨ておむつ100を示した平面図である。図5に示されるように,第2の実施形態において,使い捨ておむつ100は,左右のサイドフラップ部材20の延出部22に,機能性シート部材60を備えている。機能性シート部材60は,延出部22の肌対向面側に配置されていていることが好ましいが,肌非対向面側に配置されていてもよい。また,機能性シート部材60は,延出部22の範囲に収まって取り付けられているものであることが好ましい。言い換えると,機能性シート部材60は,延出部22から突出しない形状及び配置となっている。また,図5に示されるように,機能性シート部材60は,延出部22のうち,使い捨ておむつの長手方向の全域に亘って配置されていることが好ましい。つまり,使い捨ておむつの長手方向において,機能性シート部材60の両端と延出部22の両端は一致している。
機能性シート部材60としては,このサイドフラップ部材20の延出部22に,例えば,クッション性や,液吸収性,防水性,伸縮性など,種々の機能を付与するシート部材を採用することができる。例えば,延出部22にクッション性を付与するためには,機能性シート部材60として,厚手の不織布などを採用すればよい。また,延出部22に液吸収性を付与するためには,機能性シート部材60として,液吸収性の不織布などを採用すればよい。また,延出部22に防水性を付与するためには,機能性シート部材60として,液不透過性の不織布などを採用すればよい。さらに,延出部22に伸縮性を付与するためには,機能性シート部材60として,使い捨ておむつの長手方向又は幅方向に伸縮する伸縮シートなどを採用すればよい。その他にも,機能性シート部材60としては,種々のシート部材を採用することができる。このように,このサイドフラップ部材20の延出部22に機能性シート部材60を設けることで,着用者の要望に適した使い捨ておむつを提供することができる
図6は,第2の実施形態に係る使い捨ておむつ100の製造工程を示したフロー図である。第2の実施形態の製造工程は,基本的には,第1の実施形態の製造工程(図4参照)と同じである。ただし,第2の実施形態の製造工程には,左右のサイドフラップ部材20に,機能性シート部材60を取り付ける工程が加わる。
図6に示されるように,まず,長尺のサイドフラップ部材の原体115を用意する。その後,このサイドフラップ部材の原体115の幅方向中央部に,長尺の機能性シート部材の原体155を固定する。機能性シート部材の原体155は,個別に切断することで,最終的に図5に示した機能性シート部材60となる部材である。機能性シート部材の原体155は,サイドフラップ部材の原体115の肌対向面側に取り付けることが好ましいが,肌非対向面側に取り付けてもよい。
その後,サイドフラップ部材の原体115に対して中央切断線C1を形成するときに,この中央切断線C1によって,機能性シート部材の原体155を切断する。図6に示されるように,中央切断線C1は,機能性シート部材の原体155を所定周期で横断するように蛇行している。つまり,機能性シート部材の原体155は,蛇行する中央切断線C1によって,その幅方向に分断されて,機能性シート部材の連続体160となる。この機能性シート部材の連続体160は,図5に示した個別の機能性シート部材60が長手方向に2個繋がったものである。その後,機能性シート部材の連続体160が設けられたサイドフラップ部材の連続体120を,吸収性本体の連続体110に取り付ける。そして,最後に,各連続体の幅方向に沿って延びる個別切断線C2によって,吸収性本体の連続体110とサイドフラップ部材の連続体120と共に,機能性シート部材の連続体160とを切断する。これにより,個別の吸収性本体10,左右のサイドフラップ部材20,及び機能性シート部材60を含む,使い捨ておむつ100を得ることができる。
このように,第2の実施形態では,サイドフラップ部材の原体115に機能性シート部材の原体155を取り付けた後に,中央切断線C1を形成する。これにより,サイドフラップ部材の原体115を幅方向左右に二分割するのと同時に,機能性シート部材の原体155を分離することが可能となる。従って,個別の機能性シート部材60を,一つ一つ,使い捨ておむつ100のサイドフラップ部材20の延出部22に取り付ける手間が省ける。その結果,機能性シート部材60を備える使い捨ておむつ100を効率良く製造することが可能となる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。