JP5155827B2 - 使い捨ておむつ及びその製造方法 - Google Patents
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脚回りに伸縮性を付与する技術として、股下部の両側部に、おむつの長手方向及び幅方向の両方向に伸縮する伸縮部を形成することでフィット性を向上させる技術が知られてる(特許文献1参照)。
また、着用者の体へのフィット性を向上させるために、背側部の両側部に、おむつ長手方向と幅方向の両方に伸縮する部材を用いる技術が開示されているが(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の使い捨ておむつにおいても、レッグ伸縮部と、背側部の両側部に設けた伸縮部との連動が十分ではなく、着用者の体に対するフィットが充分ではない。
本発明の使い捨ておむつの製造方法によれば、そのような使い捨ておむつを効率的に製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態である使い捨ておむつSを表面シート11側から見た状態を一部破断して示す平面図である。
この使い捨ておむつSは、液透過性の表面シート11、液不透過性又は撥水性の防漏シート12及びこれら両シート間に介在された吸収体13を具備する吸収性本体1と、該吸収性本体1の両側に設けられたサイド部2,2とを備えている。
使い捨ておむつSは、その長手方向に、着用時に着用者の背側に配される背側部Aと腹側に配される腹側部Bとその間に位置する股下部Cとを有している。
使い捨ておむつSは、いわゆる展開型の使い捨ておむつであり、背側部Aの両側縁部にファスニングテープ14,14を有する一方、腹側部Bの外表面に、該ファスニングテープ14,14を止着するランディングテープ15を有し、おむつを着用者に装着する際には、ファスニングテープ14,14を、それぞれ手で引っ張りながら、ランディングテープ15に止着させて固定する。
ッグ伸縮部2aは、股下部Cに、10〜60mmの幅(より好ましくは25〜40mmの幅)で、おむつ長手方向に150mm以上の長さに亘って存在していることが好ましい。成人用のおむつの場合、レッグ伸縮部2aは、股下部Cに、20〜80mmの幅(より好ましくは30〜50mmの幅)で、おむつ長手方向に300mm以上の長さに亘って存在していることが好ましい。
レッグ伸縮部2aは、おむつの長手方向(図1の上下方向)と同方向の最大伸度が100%以上であり且つ該方向に伸度100%まで伸長させた後、収縮させたときの伸長回復率(100%伸長時の伸長回復率)が70%以上であることが好ましい。また、レッグ伸縮部2aは、おむつの幅方向(図1の左右方向)と同方向の最大伸度が20%以下、特に10%以下である(長さが1.1倍までしか伸びない)ことが好ましい。
他方、サイドフラップ伸縮部2bは、おむつの幅方向(図1の左右方向)と同方向の最大伸度が100%以上であり且つ該方向に伸度100%まで伸長させた後、収縮させたときの伸長回復率(100%伸長時の伸長回復率)が70%以上であることが好ましい。また、サイドフラップ伸縮部2bは、おむつの長手方向(図1の上下方向)と同方向の最大伸度が20%以下、特に10%以下である(長さが1.1倍までしか伸びない)ことが好ましい。
長さ75mm、幅25mmの試験片を用意し、テンシロン装置を用いて、チャック間隔L0に試験片を固定し、該試験片をその長さ方向に300mm/minの速度で100%伸長時の長さL2(L2=L0×2)まで伸長させた後、伸長時の速度と同じ速度でチャック間隔を狭める。そして、引張荷重が0になった時における試験片の長さを伸長回復後の長さL1とする。次式から100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(L2−L1)/(L2−L0)〕×100
伸長回復率の測定方法に用いたサンプル片と同じ寸法のサンプル片を同様の条件で伸長させ、破断したときの伸度を破断伸度とする。
なお、試験片は、おむつの長手方向の最大伸度や伸長回復率を測定するときには、おむつ長手方向を試験片の長手方向に一致させ、おむつの幅方向の最大伸度や伸長回復率を測定するときには、おむつ幅方向を試験片の長手方向に一致させる。
伸縮性シートは、非伸長性のシートに糸又は帯状の複数の弾性部材を伸長状態で固定てなる従来のギャザータイプの伸縮部とは異なり、自然状態においても、非伸長性のシートによるループ状のひだが形成されない。
伸縮性シートとしては、例えば、(1)弾性繊維の集合体からなる弾性繊維シートの両面又は片面に、伸長可能な繊維集合体が一体化されてなるシートや、(2)ネット状(網目状)若しくはフィルム状の弾性シートの両面又は片面に、伸長可能な繊維集合体が自然状態で一体化されてなるシート、(3)弾性繊維と伸長可能な繊維の混合集合体を不織布化して得られるシート等が好ましく用いられる。
弾性繊維の集合体からなる弾性繊維シートの原料としては、例えば、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の弾性原料を、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。弾性繊維の集合体からなる弾性繊維シートとしては、例えば、これらの弾性原料を溶融してスパンボンド法、メルトブローン法、スピニングブローン法により不織布化したものが用いられる。伸長可能な繊維集合体としては、例えば、各種製法による繊維ウエブや不織布に、特定方向に延びるスリットを分散させて多数形成して、前記特定方向に直交する方向に伸長可能としたものが挙げられる。
弾性繊維シートと伸長可能な繊維集合体との一体化方法としては、例えば、これらを積層して水流交絡等により繊維を交絡させる方法、接着剤や熱ロール等を用いてパターンを有して部分接合させる方法、非弾性繊維層の構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態で繊維交点の熱融着によって接合させる方法が挙げられる。
ネット状の弾性シートとしては、例えば、弾性糸を少なくとも緯糸に用いてなる基盤目状のシート、弾性フィルムをスリットしてなる多数の弾性体を基盤目状に配してなる基盤目状のシートが挙げられる。フィルム状の弾性シートとしては、弾性原料を各種公知の方法によりフィルム状にしたもの等を用いることができる。弾性原料としては、記(1)のシートの説明中で前述したもの等を用いることができる。伸長可能な繊維集合体としては、前記(1)のシートにおける伸長可能な繊維集合体と同様のものを用いることができる。ネット状の弾性シートと伸長可能な繊維集合体との一体化方法としては、前記(1)のシートにおける一体化方法と同様の方法を用いることができる。
レッグ伸縮部2aを構成する伸縮性シートと、サイドフラップ伸縮部2bを構成する伸縮性シートとを別々に製造し、それらを接着剤や熱融着で接合してサイド部形成用シートとすることもできるが、その場合には、レッグ伸縮部2aとサイドフラップ伸縮部2bとがそれぞれ独立に変形する傾向が高くなる。
なお、延伸により伸縮性が向上する原反シートには、延伸前には伸縮性を有さず歯溝加工による延伸により伸縮性を発現するものと、延伸前にも多少の伸縮性を有し延伸により伸縮性が向上するものとの両者が含まれるが、延伸前には実質的に伸縮性を有さず延伸により伸縮性を発現するものが好ましい。延伸により伸縮性が向上する原反シートとしては、特開2008−61691号公報に記載のもの等を用いることができる。
なお、本発明においては、レッグ伸縮部2aを構成する伸縮性シートと、サイドフラップ伸縮部2bを構成する伸縮性シートとを別々に製造し、それらを接着剤や熱融着で接合してサイド部形成用シートとすることもできるが、その場合には、レッグ伸縮部2aとサイドフラップ伸縮部2bとがそれぞれ独立に変形する傾向が高くなる。
この縦延延伸加工により、帯状シート21の一部が縦方向に延伸されて形成された伸縮部2a’,2a’は、シート長手方向に伸縮性を有し、かつシート幅方向に実質的に伸縮性を有しない。
この横延伸加工部R3では、帯状シート21の幅方向中央部に、一対の歯溝ロールにより歯溝加工が施され、それにより、帯状シート21の幅方向中央部にシート幅方向の伸縮性が付与される(横延伸加工工程)。この横延伸加工部R3における一対の歯溝ロールそれぞれには、それぞれロール周方向に沿って延びる環状の凸条部R3aが複数本形成されており、各ロールの軸方向における凸条部R3a間が溝となっている。凸条部R3aは、ロール軸方向の中央付近に形成されている。この横延伸加工は、シートを幅方向に延伸させる横延伸加工であり、該加工により、帯状シート21の幅方向中央部に、シートの幅方向に伸縮する伸縮部2b’が形成される。この伸縮部2b’は、シート幅方向に伸縮性を有し、かつシート長手方向に実質的に伸縮性を有しない。
横延伸加工部R3で横延伸加工を施された帯状シート21は、分割部R4に送られる。
このようにして、図1に示される使い捨ておむつSが得られる。
使い捨ておむつSにおいては、おむつ一個分の長さに切断された半シートS1,S2が、サイド部形成シート20を構成している。また、半シートS1,S2の伸縮部2a’によってレッグ伸縮部2aが形成され、半シートS1,S2の伸縮部2b’によって、サイドフラップ伸縮部2b,2bが形成されている。
例えば、レッグ伸縮部2aは、股下部の両側部のみに存在していても良い。また、レッグ伸縮部2aを、おむつの全長に亘って形成する場合、レッグ伸縮部2aの股下部に位置する部分のみを、吸収性本体1に伸長状態で固定することもできるし、レッグ伸縮部2aの、おむつの全長に亘る全長を長手方向に伸長状態として吸収性本体1に固定することもできる。
また、使い捨ておむつの製造方法において、半シートS1,S2を、吸収性本体の連続体1’に代えて切断後の吸収性本体1に接合することもできる。
2 サイド部
2a レッグ伸縮部
2b サイドフラップ伸縮部
21 帯状シート(延伸により伸縮性が向上するシート)
R2 縦延伸加工部
R3 横延伸加工部
R4 分割部
R5 位置・位相調整部
R6 一体化部
S 使い捨ておむつ
S1,S2 半シート
1’ 吸収性本体の連続体
Claims (6)
- 液透過性の表面シート、防漏シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の両側に設けられた一対のサイド部とを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイド部は、前記吸収性本体の両側縁に沿っておむつ長手方向に延びるように形成されたレッグ伸縮部と、おむつの背側部及び腹側部それぞれに、股下部の前記レッグ伸縮部よりもおむつ幅方向外方に延出するように形成されたサイドフラップ伸縮部とを有し、
前記レッグ伸縮部及びサイドフラップ伸縮部は何れも伸縮性シートからなり、
前記レッグ伸縮部は、おむつ長手方向に伸縮性を有し、かつおむつ幅方向に実質的に伸縮性を有さず、
前記サイドフラップ伸縮部は、おむつ幅方向に伸縮性を有し、かつおむつ長手方向に実質的に伸縮性を有さず、
前記サイド部それぞれにおける、前記レッグ伸縮部及び一対の前記サイドフラップ伸縮部が、該サイド部を構成する連続する一枚のシートに形成されている、使い捨ておむつ。 - 前記レッグ伸縮部は、全体又は一部をおむつ長手方向に伸長させた状態下に前記吸収性本体に固定されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 前記レッグ伸縮部及び前記サイドフラップ伸縮部は、歯溝加工によって伸縮性が付与されている請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 前記サイドフラップ伸縮部のおむつ幅方向の長さが、前記レッグ伸縮部のおむつ幅方向の長さよりも広い請求項1〜3の何れか1項記載の使い捨ておむつ。
- おむつ背側部及び腹側部の前記サイドフラップ伸縮部は、それぞれの外縁部のおむつ長手方向の長さの合計(L1+L2)が、前記外縁部間のおむつ長手方向の距離(L3)より短い、請求項1〜4の何れか1項記載の使い捨ておむつ。
- 液透過性の表面シート、防漏シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の両側に設けられた一対のサイド部とを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイド部は、前記吸収性本体の両側縁に沿っておむつ長手方向に延びるように形成されたレッグ伸縮部と、おむつの背側部及び腹側部それぞれに、股下部の前記レッグ伸縮部よりもおむつ幅方向外方に延出するように形成されたサイドフラップ伸縮部とを有し、
前記レッグ伸縮部及びサイドフラップ伸縮部は何れも伸縮性シートからなり、
前記レッグ伸縮部は、おむつ長手方向に伸縮性を有し、かつおむつ幅方向に実質的に伸縮性を有さず、
前記サイドフラップ伸縮部は、おむつ幅方向に伸縮性を有し、かつおむつ長手方向に実質的に伸縮性を有さない使い捨ておむつの製造方法であって、
連続搬送されている帯状シートの幅方向中央部に、歯溝加工を施してシート幅方向の伸縮性を付与する横延伸加工工程と、
連続搬送されている帯状シートの幅方向両端部に、歯溝加工を施してシート長手方向の伸縮性を付与する縦延伸加工工程と、
縦延伸加工工程及び横延伸加工工程後の帯状シートを、切断点を左右に往復させながら、シート長手方向に沿って切断する分割工程と、
前記分割工程により得られる2本のシートを、それぞれ、前記吸収性本体又は該吸収性本体の連続体に接合させるサイド部形成工程と、
を有する使い捨ておむつの製造方法。
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