JP6547190B2 - 汚泥掻寄装置 - Google Patents

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Description

この発明は、汚泥掻寄装置に関する。
矩形沈澱池は、矩形の短辺を前後の端壁とし長辺を幅方向に対向する左右の側壁とするとともに底壁を備えこの底壁の汚泥掻寄方向である前側の端壁側に汚泥ピットを備えて立体構造を構成したものでなる。沈澱池のピットの上方に対応する前側の端壁が上流側とされてその上側には沈澱池外から導かれてきた汚水が導入される流入渠が設けられるとともに同流入渠の池内への出口に横断状に設けた多孔状の整流壁(板)の整流孔を通じて汚水を整流化しながらごく緩徐な流れにして沈澱池内に送り込みそのまま下流側へゆっくりと流すことにより沈降を促進して底壁上に汚泥を沈澱させるようにしてある。底壁上に沈澱した汚泥は、汚泥掻寄装置により汚泥ピットまで掻き寄せられ回収されピット外に排出されるようにしてある。
前記汚泥掻寄装置には種々のものがあるが、ここではその一例として特許文献1を示す。
特開2005−131627
特許文献1に開示された汚泥掻寄装置は、池幅中央を通るように池底に固定されたガイドレールを備え、このガイドレールには、同レールに対し平行を保ったまま前後に進退する長尺状の機体を備え、この機体は前後複数枚の汚泥スクレーパを備えて走行輪を介して走行案内される構造とされている。そして、汚泥スクレーパは、後退したのちに垂直な汚泥掻寄姿勢に切り換えられて例えば、ワイヤやリンクチェーン駆動方式あるいは水シリンダ駆動方式などにより機体が前進されることで前方のピット方向に汚泥を掻き寄せてピット内に落とし込むようにするものであり、前進して掻き寄せを終えると汚泥スクレーパは掻き戻しをしない持上状態に切り換えられてそのままの姿勢を保ったまま機体が後退することにより後方の元の位置まで復帰運動をするようになっている。
上記汚泥掻寄装置は、H形鋼や溝型鋼などの一様断面の長い部材の一対を左右に隔てた形で備えて本体としその長手数か所に左右間をつなぐ連結座板を一体配備してなるものを1つのレールユニットとしそれら複数のユニットを長手方向に長くなるように直列に配して前端が汚泥ピット上にくるようにまた後端が後側の端壁下端にくるように単一本状にして池底の左右幅間中央を通るように池底のアンカーボルトを介してガイドレールが敷設構成されることでその上を走行輪が転動しながら機体が進退されるように構成されてきた。
こうした左右一対の型鋼を配して単一本型で長く形成した従来のガイドレールは、単一本型とは称されるものの可成り大型構造体をユニットとするものでしかも沈澱池の長手略全長(数十m)に亘るように8本ないし20本のように多くのユニット数を必要としていたため、装置のコストダウンを図る上でのネックとなっていたものでありまた敷設するにも手間と時間が掛って工期短縮を図るにも一定の限界があった。また、前記タイプのガイドレールは左右一対の型鋼製本体を備えその間に機体を進退させるためのリンクチェーンとそれを案内するチェーンガイドなどが装備される関係でそれらの一帯に汚泥が溜まってもそれらをスクレーパで効果的に除去することができず、腐敗が進んで浮上し水質悪化の要因にもなっていた。
この発明は、上記問題を解決しようとするもので、装置のコストダウン化と製作から敷設設置までの工期短縮が可能であるとともに滞留していた汚泥の排除を可能にして腐敗防止と水質悪化防止とが図れるようにした汚泥掻寄装置を提供することを目的とする。
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、矩形の短辺に対応する前後の端壁と矩形の長辺に対応する左右の側壁および汚泥掻寄方向である前側の端壁側に 汚泥ピットを備える底壁とを備えた矩形沈澱池内の前記底壁上の池幅中央に沿った位置には、池の底壁前後のうち一方側に左右一対のレール本体を1組とする直進・転動受用ガイドレールがまた底壁前後のうち他方側に単一本でなる直進規定用ガイドレールが敷設されるとともに、機体は、長尺状をしていて、一定のストロークをもって前後に進退駆動可能とされ、その少なくとも前後位置に左右一対ずつの走行輪が設けられてその前後一方の走行輪は前記直進・転動受用ガイドレールの上に転動自在に乗り掛り前後他方の走行輪は前記直進規定用ガイドレールの左右に相当する底壁あるいは底壁上の帯ライン軌道上で転動自在なものとされ、機体は、その少なくとも前後位置に直進・転動受ガイドレールおよび直進規定用ガイドレールに添って機体を直進可能に案内する進退ガイド片が設けられ、機体の前後には、掻寄姿勢と非掻寄姿勢に切り換え可能な前後の汚泥スクレーパが設けられている。
上述したように、請求項1に記載の発明は、矩形の短辺に対応する前後の端壁と矩形の長辺に対応する左右の側壁および汚泥掻寄方向である前側の端壁側に汚泥ピットを備える底壁とを備えた矩形沈澱池内の前記底壁上の池幅中央に沿った位置には、池の底壁前後のうち一方側に左右一対のレール本体を1組とする直進・転動受用ガイドレールがまた底壁前後のうち他方側に単一本でなる直進規定用ガイドレールが敷設されるとともに、機体は、長尺状をしていて、一定のストロークをもって前後に進退駆動可能とされ、その少なくとも前後位置に左右一対ずつの走行輪が設けられてその前後一方の走行輪は前記直進・転動受用ガイドレールの上に転動自在に乗り掛り前後他方の走行輪は前記直進規定用ガイドレールの左右に相当する底壁あるいは底壁上の帯ライン軌道上で転動自在なものとされ、機体は、その少なくとも前後位置に直進・転動受ガイドレールおよび直進規定用ガイドレールに添って機体を直進可能に案内する進退ガイド片が設けられ、機体の前後には、掻寄姿勢と非掻寄姿勢に切り換え可能な前後の汚泥スクレーパが設けられているので、装置のコストダウン化と製作から敷設設置までの工期短縮が可能であるとともに滞留していた汚泥の排除を可能にして腐敗防止と水質悪化防止とが図れるようにした汚泥掻寄装置を提供することができる。
この発明の一実施形態を図2のI−I線に対応して示す横断平面図。 図1のII−II線断面図。 図1のIII−III線に対応する横断面図。 図2のIV−IV線拡大断面図。 図2のV−V線拡大断面図。 3枚羽根型汚泥掻寄装置についての実施形態を図7のI−I線に対応して示す横断平面図。 図6のII−II線断面図。 図7のIII−III線断面図。 図6のIV−IV線拡大断面図 中間走行輪なしの他の実施形態を示す横断平面図。 前方2本レール組ユニットなしとした他の実施形態を図12のI−I線に対応して示す横断面図。 図11のII−II線断面図。 図12のIII部拡大図。 図13のIV−IV線断面図。 図13のV−V線拡大断面図 シリンダ駆動タイプの3枚羽根型汚泥掻寄装置を示す図17のI−I線断面図。 図16のII−II線断面図。 図17のIII−III線断面図。
以下、この発明の一実施形態を汚泥掻寄が前進の行程にあり残り数m先で掻寄行程が終わるタイミングの状況を示す図1ないし図5に従って説明する。
これらの図における1は矩形をした沈澱池で図1ないし図3における左側が上流側で右側が下流側であり、2が前側端壁、3が後側端壁で、これら端壁2,3は、上からみて矩形の短辺に対応し、矩形の長辺は池幅方向に対面する左右の側壁4が対応する。前側端壁2の上部には図示しない整流孔付きの整流板(壁)が設けられてそれより左側の流入渠(図示省略)に導入される汚水を多数の整流孔を通じて沈澱池1内に極く緩徐に導入し汚泥の沈降を促進するようになっている。
5は底壁(池底)で、その前側端壁2側である汚泥掻寄方向側には汚泥ピット6が凹設されている。このピット6には回収した汚泥の吸揚ポンプが設けられる。
尚、ここで、汚泥ピット6の池長手方向に対応するところのピット長さaは3m、底壁5の長手長さAは30mに設定するが、これは説明の都合による設定であり実際には幅・長さなど様々な仕様の沈澱池1がある。
沈澱池1内の底壁5上には、池幅間中央ラインに同芯状をなすようにして直進・転動受用ガイドレール7が敷設されている。この直進・転動受用ガイドレール7は、図4に示すように、垂直辺と上端の水平辺からなるアングル鋼の長いもの(5m程度)をレール本体として有し、このレール本体の左右一対が400mm前後の間隔を置いて平行状に設けられているとともに、左右のレール本体はレール長手方向に複数個所設けられた連結座板8で互いに連結されている。左右各レール本体の上面には別途保護レール(フラットバー)が一体化されることもある。尚、レール本体と底つなぎ材8の形成するコの字形部分内にはリブが設けられている。
この直進・転動受用ガイドレール7は、左右2本組のレール本体を連結座板8でつないでなるユニット体を例えば、3ユニット程池幅中央に沿って直列に並べて適宜池底からのアンカーボルトを使って直線状に固定してなるものである。同ガイドレール7は、底壁5の全長Aの1/2よりも多少長い(1ないし2m程度)程度で短くしてその一端がピット6側に少し突出する形にまた他端は底壁5の長手方向中間よりも少し下流寄りとなるように設定されている。
前記直進・転動受用ガイドレール7のレール本体間に相当する内部には、溝を上向きにしたアングル型のチェーンガイド11が連結座板8上を利用してそれに直交する形で長く固定されている。チェーンガイド11の一端はピット6側に臨むところまで伸び他端は底壁5の長手中間よりもやや上流寄りに短く位置するようになっている。そして、池上には1水路1駆動としての減速機付きモーターである正逆回転切換可能な駆動源13が駆動ホイール14を備えて設置される一方、その下方であるピット6上にはヘッド側ホイール15が互いに逆方向に回転する関係で同心軸回りに取り付けられている。16は中間ホイールで、底壁5の長手方向中間よりやや上流側中央に位置している。
これらのホイール14,15,16間を介してリンクチェーンである伝導条材18が無端状に掛けられ、中間ホイール16とヘッド側ホイール15,15間に掛けられたチェーンの図1における下側(破線)部分は、掻寄時に左方向Xにその逆である非掻寄時(復帰時)に右方向Yに駆動されるものである。これらレール本体間で進退する伝導条材18の往復運動は底壁5上で直接受け止めるのでなく、図4に示すように、各V形のチェーンガイド11,11によって受け止められるようになっている。図4の下欄のように、チェーンガイド部20aと走行輪ガイド部20bとを折り曲げにより一体成形した一体ガイドレール20にしてもよい。連結座板8とレール受21は長尺なものでなく短寸状のものであり、レール受21と一体ガイドレール20とは図示しない止着具によって連結される。一体ガイドレール20は図4においては一側のみを示してあるが同図の右側にも対称的に配される。
25は機体で、底壁5の前後長さの1/2よりは少し短い程度の長尺状丸パイプでなり、その外径は85mm前後で、その前端は丸板型の前蓋で密閉状とされる一方後端はアングル型をした後取付台26が密閉状に溶接固定されている。機体25は角パイプやH形鋼などにしてもよい。特に横断面が◇形(あるいは△形)のパイプとするとその上部2面が傾斜面になるのでそこに沈降してきて溜まろうとする汚泥は流れ落ちて底壁5上に辿り着き掻き寄せやすい状態となる。このことは以下の他の実施形態においても適用される。この機体25は、直進・転動受用ガイドレール7の左右一対のレール本体間のやや上側に位置するようになっている。レール本体の左右外側端の幅は約1mである。
機体25の前部両側には前車軸28が左右一対張り出し、これら前車軸28の端部には、直進・転動受用ガイドレール7のレール本体上を転動する前走行輪29が回転自在に設けられている。機体25の前端には、溝を下向きにした溝型鋼でなる前取付台30が左右張り出し状をなして水平面状に一体溶接されている。
前取付台30の前垂直壁には機体25の前端部が差し込まれた形で溶接一体化されている。前取付台30の後端には水平な舌片が設けられ、そこには直進・転動受用ガイドレール7の外側に接触しながら直進を規定する前サイドローラー(進退ガイド片の一つ)31が取り付けられている。この前サイドローラー31は、直進を規定する以外にそのローラー下部に設けられた突出フランジがレール本体の上フランジに下から当たりながら回転するようになることでこれで機体25が浮き上がるのを防止するようになっている。
また、前取付台30の上面には、図4のように、左右一対をなして上下合わせ型の軸受33が設けられて上下に向く複数本の止着具34により丸パイプ製前スクレーパ軸35が回転自在に挿通されることで前汚泥スクレーパ36が垂直な掻寄姿勢と前上がりの非掻寄姿勢の間で上下運動可能に構成されている。前スクレーパ軸35は、左右の軸受33よりも更に各外側方に伸びており、その各外側方にはスクレーパ本体38が一体に設けられている。スクレーパ本体38の内側には仕切板が設けられているとともに、スクレーパ本体38の下部前面にはゴム掻き板39が設けられている。
前記前スクレーパ軸35の幅方向中央には、前レバー41が突設され、その先端に斜め向きのリンク型タイロッド42の前端がピン連結されている。このタイロッド42の後端には、下端が連結ロッド44に連結され2枚の板間に案内ローラー45を備えて機体25上を進退するようになった案内ブラケット46の上部にピン結合されている。案内ブラケット46は、伝導条材18から連結ロッド44に加わるX方向の力を機体25の前進力や前汚泥スクレーパ36の垂直への掻寄切換力として伝える伝達役を担うもので、このブラケット46は、X方向への前進後には図示しないストッパに当たって止まるようになっている。
尚、機体25の前部に固定した台座50には、左右一対の支柱51が立設され、その支柱51上部には、X方向の掻寄姿勢において水面下になりY方向の非掻寄姿勢において水面を境に上下にあるように浮き水面の浮遊スカムをスカム除去装置53側に掻き寄せるスカムスクレーパ54が連動により昇降自在に設けられている。スカム除去装置53は、堰を備えていて汚泥掻寄装置が図2のように復帰する時点で連動機構により引き下げられてスカムを呑み込む態勢になり掻寄姿勢になることで堰が水面上に上がってスカム呑み込みを停止するようになっている。
機体25の底側には前記連結ロッド44が通されている。連結ロッド44は、機体25よりも長く前方突出状に機体25と平行に配置されるとともに前・後の案内ブラケット46を介して前後2個の案内ローラー45を機体25上において転動自在とすることにより進退可能とされ、その前端は機体25から大きく前方に伸びて伝導条材18の一方に応動自在に連結されている。伝導条材18の一方がX方向に牽かれることで前方へまたY方向に牽かれることで後方へ応動することで進退する。
機体25の後端に設けた前記後取付台26の左右には、図5のように、後サイドローラー(進退ガイド片)56が設けられて直進規定用ガイドレール57に左右から接触するとともにフランジが係合することで上に抜けず機体25の浮き上がりを後部において規制するようになっている。
直進規定用ガイドレール57は、その前端が直進・転動受用ガイドレール7のレール本体間に入り込む関係に伸び、後端は後側の端壁3側手前位置まで伸び、池幅中央を通るように対応位置している。直進規定用ガイドレール57は、アングル材を本体として備えその溝を下向きにし汚泥が流れ落ちやすい屋根型としたもので、その内部中央から伸びた内部突片58が、底壁5上に固定される基部ブラケット59に連結されることで底壁5上に平行に固定されている。
尚、上側の機体25も円筒形や屋根型にしてあると汚泥が流れ落ちやすい。直進規定用ガイドレール57は図では1本ものになっているが直進・転動受用ガイドレール7と同様に長手方向に数本直列配置して1本化するタイプにしてもよい。直進規定用ガイドレール57は、図5の右欄のように、同じく汚泥が流れ落ちやすい半円筒あるいは半円よりも短い円周部分をもつ部分円筒状をしたものあるいは丸筒型にしてもよい。後サイドローラー56は図示のように下フランジ付き半鼓形あるいは鼓形とすることができる。また、図5の右下欄のように直進規定用ガイドレール57は、T字形の本体に水平な基部ブラケット59を一体化したものにしてもよい。
後取付台26の前方には、前車軸28よりも2倍以上長い後車軸61が突設されて左右一対の後走行輪62が取り付けられている。後走行輪62は、図5のように軸受を介して回転自在な車輪本体62aと、その外周に結合用突条62bを介して嵌め込まれた合成ゴム製の外輪(ライナー)62cとでなっている。この後走行輪61に対応する底壁5上には左右一対の帯ライン軌道64,64が施着されている。
帯ライン軌道64,64は各一定幅(20乃至30cm)のもので、その幅中心相互間の寸法は約2mであり、その前端は直進・転動受用ガイドレール7の後端から4m程度前方に位置し後端は後側端壁3の手前に位置している。そして、各帯ライン軌道64は、底壁5上に5mm乃至10mmの厚みをもって施着された溶融式ライン塗料である。帯ライン軌道は、一体幅(図1程度の幅)をもつSUS製のフラットバーを底壁5上にアンカー固定あるいは接着固定したものにしてもよく、また底壁5の面自体で形成してもよい。
後取付台26の後側には、図5に示すように、左右の軸受66,66を介して後スクレーパ軸67が回転自在に装備され、その軸67には後汚泥スクレーパ68が設けられている。後汚泥スクレーパ68は、その内端が直進・転動受用ガイドレール7の外端より少し幅広状となるように形成してある。
後スクレーパ軸67の軸受間に相当する外周には、連結ロッド44に連動して前後に揺動する後レバー69が長孔型遊びを介して連結されるように突設されている。後汚泥スクレーパ68は、後斜め下がりの板面と垂直な板面とをくの字形にして有する曲がり板状をしており、図2に実線で示すように垂直な板面が垂直になるようにして掻寄状態とされ、前進端では前側の前汚泥スクレーパ36とは逆向きとなる破線のように後向きに持ち上げられて復帰状態とされる。
ここで、前・後汚泥スクレーパ36,68の前後間隔L1は底壁5の長さを30mとした場合14.5mで、進退するストロークS1はそれにα=0.5mをプラスした15mとされている。尚、池幅は7.3mになっている。これらの数値は本装置設置対象池に応じて変更になることは当然である。
尚、汚泥スクレーパは図1に示すように中間汚泥スクレーパ71を配して前後3枚(あるいはそれ以上の枚数)羽根式にしてもよい。
図1ないし図5は、機体25が池の最も後端に戻り前・後汚泥スクレーパ36,68を縦向き(垂直)な掻寄姿勢に切り換えたあとこれから汚泥ピット6のある方向へと前進しようとする直前状態を示す。前走行輪29は直進・転動受用ガイドレール7の後端部上に乗っており後走行輪62は帯ライン軌道64の後端よりやや前寄りの位置に乗り掛かっている。前サイドローラー31は直進・転動受用ガイドレール7の両側に直進を規定し浮き上がりを防止するように接触可能とされ、後サイドローラー56は直進規定用ガイドレール57に同じく直進を規定し浮き上がりを防止するように接触可能な態勢とされる。
装置が後端に戻った状態から、駆動ホイール14が前進方向(一方向)に回転駆動されると、図1および図3に上下の平行な伝導条材18のうちの下側の破線で示す部分tがX方向に牽かれ、それに応動して連結ロッド44が前方に牽かれることにより図2のようにタイロッド42が前レバー41を前向きに押し出して前汚泥スクレーパ36を垂直な掻寄姿勢とし、また装置後部においては後汚泥スクレーパ68もその下部が垂直な掻寄姿勢になるようにされる。スカムスクレーパ54は水面よりも下げられスカムをスカム除去装置53とは逆の方向に掻き戻さないようにする。
その状態でさらに伝導条材18のt部分が前進方向に牽かれると、連結ロッド44を介して図2のまま機体25が前進し、前後の汚泥スクレーパ36,68により底壁5上の汚泥が汚泥ピット6の方向に掻き寄せられるようになる。掻き寄せ当初段階では、図1、図3の後汚泥スクレーパ68が前段階において掻き寄せておいた汚泥bをも含めて掻き寄せることになる。前進が進んでストロークS1分進んで前汚泥スクレーパ36がピット6上にくると掻き寄せた汚泥はピット6内に落とし込まれ、後汚泥スクレーパ68はbのように底壁5上の途中まで汚泥を掻き寄せた状態となる。この掻き寄せ汚泥bは、復帰してきた前汚泥スクレーパ36の前方に対応してくることから次回掻き寄せ態勢となる同スクレーパ36によってピット6まで掻き寄せられる。
汚泥掻寄装置が最も前進した時点で図示しない前進限検知手段が作動して駆動源13および駆動ホイール14が逆向きに回転され、これにより、伝導条材18のtの部分はY方向に駆動されることになって同じく連結ロッド44を図1ないし図3の右方向Yに応動させ、前汚泥スクレーパ36は前上がりにまた後汚泥スクレーパ68は後上がりにそれぞれ持ち上がった状態に切り換えられたのち機体25が連動してY方向に非掻寄姿勢のまま復帰動作を受ける。復帰を終えて再び掻寄姿勢になった状態が図1ないし図3に示す通りである。復帰時スカムスクレーパ54は浮力を得て水面のスカムをスカム除去装置53の方向に掻き寄せるようにする。スカム除去装置53の堰は汚泥掻寄装置が復帰を終える前の一定のタイミングで下げられスカムを呑み込むようにする。非掻寄姿勢で復帰する際、前走行輪29は直進・転動受用ガイドレール7上を転動する一方後走行輪62は帯ライン軌道64上を転動して元に戻る。
尚、前記実施形態では直進・転動受用ガイドレール7がピット6側で直進規定用ガイドレール57が反ピット側に設けられていたが、直進規定用ガイドレール57をピット6側とし直進・転動受用ガイドレール7を反ピット6側とすることもある。
図6ないし図9は汚泥スクレーパを前後3枚配備したタイプの汚泥掻寄装置の実施形態を示す。74は中間取付台、75は左右の軸受、76は中間スクレーパ軸、77は中間汚泥スクレーパ、78は中間走行輪である。その他は長さなどの寸法は多少異なるが図1ないし図5に示す実施形態と略同様の構成であることから同じ符号を付すものとする。この実施形態では、汚泥スクレーパ36,77,68が3枚であることから図1ないし図3の実施形態の場合よりも短いストロークS(L+α)であれば最終的に汚泥をピット6まで掻き寄せることができる(さらに4枚の汚泥スクレーパであれば一層短いストロークであっても汚泥をピット6まで掻き寄せることができる)ことから、直進・転動受用ガイドレール7も前記実施形態のものよりも短くすることができるようにしたものである。帯ライン軌道64は逆に長くしてあるが、図10のように中間走行輪78を省略することにより短い軌道にすることができるものである。
尚、後汚泥スクレーパ68は、図9に拡大して示すように、前進したときに直進・転動受用ガイドレール7と干渉しないことから内側スクレーパ68aを内向き張り出し状に設けてより広い範囲の汚泥を掻き寄せることができるようになっている。その場合、機体25および直進規定用ガイドレール57への沈降汚泥はそれぞれ左右に流れ落ちるようになっているので、その分も含めて掻き寄せることができる。また、図10に示すように、直進・転動受用ガイドレール7はピット6側で直進規定用ガイドレール57は反ピット6側に配置してあったが、直進規定用ガイドレール57をピット6側とし直進・転動受用ガイドレール7を反ピット6側にすることもでき、この場合、直進規定用ガイドレール57が幅狭状で汚泥スクレーパを図9のように左右間隔の狭いものにすることができるので池中央寄りを含むより広い範囲の汚泥を掻き寄せることができることになる。
図11ないし図15は直進・転動受用ガイドレール7を省略した簡易構造の汚泥掻寄装置の一例を示す。底壁5の池幅中央位置には、その長手略全長に亘るように直進規定用ガイドレール81がアンカー固定されている。この直進規定用ガイドレール81は、図14のようなH形で上端フランジ部分のみが三角屋根形になった一定の長手寸法をしたもので、その複数本(例えば、3本)が前後隙間を微小にして同心直列に配置されて全体として長い単一本レールを構成している。複数本の直進規定用ガイドレール81のうちのピット6側のものは、図13および図14に示すように、その下流側一端のみが一端開放型でコの字形の切り溝82として形成され、その切り溝82内にあるようにして中間ホイール84が縦軸回りに回転自在に装備されている。縦軸は追加で形成した上下の切り溝内に固定した軸受83に挿通固定されて回転自在になっている。直進規定用ガイドレール81の図14の右欄のようにH形をしたものにしたりその上端フランジの部分が部分円弧形をしたものでもよい。中間ホイール84には、伝導条材85が掛け回され、この伝導条材85は、前方のヘッド側ホイール86と駆動ホイール87を介して駆動源88により正逆に回転切換可能とされている。直進規定用ガイドレール81は幅が20cm前後であり、その左右には帯ライン軌道90,90が中心間寸法が2m程度にして底壁5全長に亘るようにして施着されている。
丸パイプあるいは角パイプなどでなる機体91の前後には、前、中間、後の走行輪92が配備されていて帯ライン軌道90,90上を進退走行できるようになっている。93は前後のスクレーパ軸、94は汚泥スクレーパであり、これらはリンク機構95を介して上下に切り換え制御されるようになっている。リンク機構95は、機体91の下側には、ローラー97により機体91とは相対的に進退可能な連結ロッド98が設けられており、この連結ロッド98の先端が曲がった伝達アーム99を介してリンクチェーンである前記伝導条材85に連動自在に連結されていることにより、汚泥スクレーパ94…が上下に切り換え制御されるとともに切換後の進退駆動をさせるようになっている。100はサイドローラーで機体91の前後数か所に設けられ、図14に示すように、直進を案内するとともに抜け止め機能も果たすようになっている。尚、直進規定用ガイドレール81は図14のように上部フランジが屋根型をしていると、機体91から流下してきた汚泥をこの屋根傾斜面を介して流下させることができるものである。汚泥スクレーパ94の前後の全ては、図15に示すように、内側張り出し状の突き出し部94aを備えてできるだけ底壁5上における直進規定用ガイドレール81に近い域の汚泥までをも含めて掻き寄せることができるようにすることができる。尚、突き出し部94aは、スクレーパ本体平板部側を基部として先端が掻寄方向に曲がった形状にしておけば掻寄物を反直進規定用ガイドレール81側に寄せ付けながら掻寄することができるようになる。101は前後および中間の取付台、102は軸受である。
図11ないし図15は、復帰状態から切換られて掻寄状態になった直後の状態を示す。伝導条材84はそのt部分がX方向に牽かれることにより連結ロッド98も同じ方向に牽かれてリンク機構95を介して汚泥スクレーパ94が垂直な掻寄姿勢に切り換えられる。その後、機体91はX方向に掻き寄せのため微速で前進する。その場合、走行輪92は帯ライン軌道90上を回転走行するとともにサイドローラー100は機体91を直進させかつ浮抜を防止させる。前汚泥スクレーパ94はS程前進してピット6上にさしかかるとそこで駆動源88が逆回転されることで汚泥スクレーパ94は持ち上げて復帰姿勢に切り換えられるとともに機体91を元の方向に応動させて掻き寄せせず復帰するように作動する。帯ライン軌道90は、道路舗装作業で使用されるようなものであるが、こうした帯ライン軌道90によらず直接底壁5を軌道とすることもできる。
尚、図11ないし図15に示す実施形態において、中間走行輪92は省略することもある。また、汚泥スクレーパは2枚あるいは4枚以上のタイプとすることもできる。
図16ないし図18は他の実施形態を示す。同実施形態は、駆動手段として水圧あるいは油圧、空圧などの流体圧シリンダ105を構成したものである。その配管は図示省略してある。この実施形態では、底壁5上に左右一対の帯ライン軌道107を施着(塗着)するとともに、内蔵ピストンがストロークS分進退し得るようにした前半部aと同じく円筒形の後半部bとで単一本のシリンダ体にした流体圧シリンダ105を池中央を通るようにブラケット108によって固定したものである。前半部aと後半部bとは別体シリンダを結合一体化したものにしてもよい。110は機体でシリンダ105と略同じ長さをした長い円筒体でなり前後は蓋設されるとともに、その前後には左右一対の走行輪111が装備されて帯ライン軌道107上を転動により走行可能とされるとともに、前後および中間には上下運動可能な汚泥スクレーパ112が装備されている。113は取付台、114は軸受、115はスクレーパ軸であり、116は機体110の底側を通りローラーブラケット117を介して進退自在に支持された連結ロッドであり、連結ロッド116の先端はシリンダロッド119の先端に接続されている。121はリンク機構で、ロッド119が前向きに伸びることで連結ロッド116が同じく前向きに移動しリンク機構121を介して汚泥スクレーパ112が垂直な掻寄姿勢とされる。そのあと、リンク機構121を介して機体110に前進力が付加されることで走行輪111は帯ライン軌道107上を転動しながら機体110は前進駆動される。
機体110がS程前進するとロッド119は逆の元の方向に縮小運動をし、これにより、連結ロッド116が後向きに応動されることでリンク機構121を介して汚泥スクレーパ112は持ち上げ状態となり非掻寄状態で機体110は復帰運動を開始する。
流体圧シリンダ105は、ピストン105aがストロークS分のみ進退するに足りるだけの長さをもつものでなくさらに後側の端壁3手前まで至る程の長いものにしてあるので、その円筒全体を直進規定用ガイドレールとして兼用してあるものである。このシリンダ105の円筒面に対してはその左右から挟むように鼓形をしたサイドローラー123…が配備されて直進を案内するとともに機体110の浮き上がりを防止するようにしてある。
前記流体圧シリンダ105は円筒状でありしかもその上方の機体110および連結ロッド116も外周が円形であるので、沈降してくる汚泥が流れ落ちやすく滞留するおそれが少なくなる。
1…沈澱池 2…前側端壁 3…後側端壁 4…側壁 5…底壁 6…汚泥ピット 7…直進・転動受用ガイドレール 18…伝導条材 25…機体 29,62…走行輪 36、68…汚泥スクレーパ 57…直進規定用ガイドレール

Claims (1)

  1. 矩形の短辺に対応する前後の端壁と矩形の長辺に対応する左右の側壁および汚泥掻寄方向である前側の端壁側に汚泥ピットを備える底壁とを備えた矩形沈澱池内の前記底壁上の池幅中央に沿った位置には、池の底壁前後のうち一方側に左右一対のレール本体を1組とする直進・転動受用ガイドレールがまた底壁前後のうち他方側に単一本でなる直進規定用ガイドレールが敷設されるとともに、機体は、長尺状をしていて、一定のストロークをもって前後に進退駆動可能とされ、その少なくとも前後位置に左右一対ずつの走行輪が設けられてその前後一方の走行輪は前記直進・転動受用ガイドレールの上に転動自在に乗り掛り前後他方の走行輪は前記直進規定用ガイドレールの左右に相当する底壁あるいは底壁上の帯ライン軌道上で転動自在なものとされ、機体は、その少なくとも前後位置に直進・転動受ガイドレールおよび直進規定用ガイドレールに添って機体を直進可能に案内する進退ガイド片が設けられ、機体の前後には、掻寄姿勢と非掻寄姿勢に切り換え可能な前後の汚泥スクレーパが設けられている汚泥掻寄装置。
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