JP6546723B2 - 熱電対温度計 - Google Patents

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本発明は、例えば、電位のある微小部分の温度を正確に測定する熱電対温度計に用いる高周波フィルタおよび温度測定方法に関する。
携帯電話機等のポータブル機器に代表される電子機器の小型・軽量化の進展にともない、これらに使用される電子部品の小型化も要求されるが、同時に電子部品としての高性能、高信頼性が不可欠となる。例えば、電子機器の電子回路に使用される小型部品であるチップ抵抗器は、その抵抗体を流れる電流による電力によって集中的に発熱する部分、いわゆる「ホットスポット」が存在する。このホットスポットで発生した熱をいかに拡散させて、基板または周囲空間に逃がすかが、チップ抵抗器の電力定格の決定・信頼性・寿命等に大きく寄与する。
一般的にチップ抵抗器のホットスポットには保護コートが形成されているので、直接、その部分の温度を測定することができない。そのため、チップ抵抗器の端子部分、または、チップ抵抗器が搭載された基板パターン上で温度測定を行い、それをもとにホットスポット上の温度の推定と信頼性検討の根拠とすることが行われている。
また、チップ抵抗器の定格を求める際の基準とするために、端子部分の温度を正確に測定することが要求される一方で、上述のようにチップ抵抗器は小型化が進み、抵抗体の占める体積も小さくなっているため、それに対応して、ホットスポット、あるいは温度を測定したい箇所(測定点)も微小化してきている。そのため、微小エリアの温度を正確に測定することも同時に求められている。
対象物の温度測定方法には、大きく分けて熱電対等による接触型測定と、赤外線放射温度計による非接触型測定があるが、いずれの方法にも一長一短がある。赤外線放射温度計による測定では、測定対象の面部分の赤外線放射率の違いによる誤差や、赤外線放射温度計の分解能不足による測定温度の低下が懸念される。
一方、熱電対による接触型測定は、温度測定のために測定箇所に取り付ける熱電対自身から熱が逃げることにより、応答が悪くなったり、場合によっては測定温度が低く出るという問題がある。また、測定点が電気的に完全に絶縁されている場合には問題ないが、測定点に電位がある場合、さらには、その電位が変動する場合、測定値がシフトしたり、あるいは変動して正確な温度測定ができないという問題がある。
特開昭63−113622号公報
熱電対を使用した従来のデータ温度計は、例えば、図4に示すように、温度検知部としての熱電対101と、熱電対入力回路としての温度測定部107とを直結した構成となっている。温度測定部107は、熱電対101で発生した熱起電力をもとに測定箇所の温度を測定する。電位のある部分、あるいは電位の変動がある部分の温度を測定する場合、温度測定部107は、熱電対101で検知された電位差を温度に換算して出力する。その際、温度測定部107が絶縁型(フローティング入力型)であれば、導電体である熱電対101を直接、その測定部分に接続して温度を測定できる。
しかし、上記従来のデータ温度計では、測定箇所の電位が直流成分(Edcとする)のみであれば、温度測定の結果に誤差が生じなくても、測定箇所の電位に交流成分(Eacとする)が加わると、Eacそのもので発生するコモンモードノイズと、熱電対の(正負)両導体103a,103bとアース間の浮遊容量C1,C2、温度測定部107における浮遊容量C3,C4のアンバランスの影響で発生するノーマルモードノイズが、データ温度計100内の熱電対電位差検出回路としての温度測定部107に影響を及ぼし、温度測定値が安定しない等の不具合が生じるという問題があった。
さらに、従来のデータ温度計では、測定対象の微小エリアの温度を測定する場合、データ温度計に太線径の金属線からなる熱電対を使用すると、その熱電対からの熱逃げが生じるため微小エリアの温度を正確に測定することが困難であった。
なお、センサとして熱電対を使用した装置として、例えば、特許文献1には、熱電対の断線検出回路に、断線による信号切り替え時に切り替え誤差が少なくなるような時定数の小さなローパスフィルタを設けた構成が開示されている。特許文献1では、断線切り替え時の誤差縮小の対策について言及されているものの、測定箇所に電位変動がある場合の測定精度の向上については開示していない。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、測定箇所に電位があり、その電位に高周波成分が含まれていても、熱電対を使用して当該測定箇所の正確な温度を測定する熱電対温度計に用いる高周波フィルタおよび温度測定方法を提供することである。
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明の高周波フィルタは、熱電対と、該熱電対で発生した熱起電力をもとに被測定物の温度を測定する温度測定部との間に挿入され、前記熱電対の出力側に接続される一対の入力端と前記温度測定部の入力側に接続される一対の出力端とを有する4端子回路網からなり、あらかじめ設定された所定のカットオフ周波数をもとに該熱起電力から高周波ノイズ成分を除去し、前記4端子回路網を構成する受動素子は、前記一対の入力端を結ぶ線分の中点と、前記一対の出力端を結ぶ線分の中点とを通過する仮想的な中心線を引いた場合、該中心線に対して物理的に対称に配置されるとともに、前記4端子回路網の共通電位を基準電位として該基準電位に対して電気的に対称となるように配置され、かつ、当該高周波フィルタにおける前記一対の入力端から前記一対の出力端に至る導電経路の、前記中心線に対してそれぞれ相対する部分の温度を略同一にしたことを特徴とする。
例えば、前記熱電対の測温接点に、該測温接点を前記被測定物と電気的に絶縁した状態で接触させて該被測定物の微小部分の温度を測定する熱伝導性の均熱板を取り付けたことを特徴とする。
上述した課題を解決する他の手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明の温度測定方法は、熱電対と、該熱電対で発生した熱起電力が入力される温度測定部との間に、前記熱電対の出力側に接続される一対の入力端と前記温度測定部の入力側に接続される一対の出力端とを有する4端子回路網からなる、高周波ノイズ成分を除去する所定のカットオフ周波数を持つ高周波フィルタを挿入して、前記温度測定部において前記熱起電力をもとに被測定物の温度を測定し、前記4端子回路網を構成する受動素子は、前記一対の入力端を結ぶ線分の中点と、前記一対の出力端を結ぶ線分の中点とを通過する仮想的な中心線を引いた場合、該中心線に対して物理的に対称に配置されるとともに、前記熱電対、前記高周波フィルタ、および前記温度測定部に共通の電位を基準電位として該基準電位に対して電気的に対称となるように配置され、かつ、前記高周波フィルタにおける前記一対の入力端から前記一対の出力端に至る導電経路の、前記中心線に対してそれぞれ相対する部分の温度を略同一にしたことを特徴とする。
例えば、前記熱電対の測温接点に熱伝導性の均熱板を取り付け、該測温接点を前記被測定物と電気的に絶縁した状態で接触させて該被測定物の微小部分の温度を測定することを特徴とする。
また、上述した課題を解決する他の手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明は、熱電対で発生した熱起電力をもとに温度計本体部において被測定物の温度を測定する熱電対温度計であって、前記熱電対と前記温度計本体部との間に高周波ノイズ成分を除去する所定のカットオフ周波数を持つ高周波フィルタを挿入してなり、前記高周波フィルタは、前記熱電対の出力側に接続される一対の入力端と、前記温度計本体部の入力側に接続される一対の出力端とを有する4端子回路網からなり、該4端子回路網を構成する受動素子は、前記一対の入力端を結ぶ線分の中点と、前記一対の出力端を結ぶ線分の中点とを通過する仮想的な中心線を引いた場合、該中心線に対して物理的に対称に配置されるとともに、前記熱電対、前記高周波フィルタ、および前記温度計本体部に共通の電位を基準電位として該基準電位に対して電気的に対称となるように配置され、かつ、前記高周波フィルタにおける前記一対の入力端から前記一対の出力端に至る導電経路の、前記中心線に対してそれぞれ相対する部分の温度を略同一にしたことを特徴とする。
例えば、前記熱電対の測温接点に熱伝導性の均熱板を取り付け、該測温接点を前記被測定物と電気的に絶縁した状態で接触させて該被測定物の微小部分の温度を測定することを特徴とする。
本発明によれば、温度の測定箇所に電位がある場合、また、その電位が変動する場合であっても、高周波ノイズの影響による測定値のシフトや変動を排して正確な温度測定ができる。
本発明の実施の形態例に係る熱電対温度計を説明するための構成図である。 本実施の形態例に係る熱電対温度計で使用する均熱板付き熱電対の一例を示す図である。 均熱板付き熱電対を使用した熱電対によって絶縁物を介して温度を測定する場合を説明するための図である。 熱電対を使用した従来のデータ温度計の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る一実施の形態例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態例に係る熱電対温度計を説明するための構成図である。図1において、本実施の形態例に係る熱電対温度計10は、熱電対1と、温度計本体部5と、これら熱電対1と温度計本体部5との間に挿入したフィルタ部3とを備えた構成を有する。熱電対1は、二種類の異なる金属線(元線あるいは素線ともいう)1a,1bの一端を相互に接合して熱電対先端2が形成され、金属線1a,1bの他端は、フィルタ部3との接続点である端子3a,3bに接続されている。温度測定時には、熱電対先端2が測定対象(被測定物)の測定箇所に接続され、固定される。
熱電対温度計10の熱電対1には、例えば、線径がφ0.1mm、あるいはそれ以下の金属線を使用する。これは、熱電対1を用いた温度測定を精度良く行うためには、線径の細い金属線を使用して熱電対1からの熱逃げを防止する必要があり、熱電対の線径が細いほど熱抵抗が高いからである。熱電対1として、例えば、アンベエスエムティ社の熱電対が使用できる。また、熱電対1のタイプは特に限定しないが、加工性、コストの面からKタイプが望ましい。Kタイプには、熱伝導率が低く、熱抵抗が高いという利点もある。なお、金属製の保護管に包まれて耐久性を向上させたシースタイプの熱電対は、面積が広いシース部からの熱の逃げが多くなるため好ましくない。
金属線1a,1bの一端を相互に接合した熱電対先端2は測温接点とも呼ばれ、熱電対1による温度測定時に被測定物と接触する部位である。この測温接点は、例えば、金属線1a,1bの先端を溶接等により点状(玉状)に接続して形成するが、金属線1a,1bの両先端部を平らに潰してから接続してもよい。また、金属線1a,1bは、全長に渡ってその線径が0.1mm以下である場合に限定されず、例えば、先端部分の所定長のみ、線径が0.1mm以下であってもよい。さらには、金属線1a,1bの先端部分に至るにつれて、例えば、φ0.5〜1.0mm→φ0.3mm→φ0.1mm以下のように段階的に線径が細線化するようにしてもよい。
フィルタ部3は、熱電対1との接続点である2つ(一対)の端子3a,3bと、温度計本体部5との接続点である2つ(一対)の端子5a,5bとを有する4端子回路網である。また、フィルタ部3は、その他の端子として、熱電対温度計10の共通電位と接続するための端子(不図示)を有する。フィルタ部3は、インダクタL1,L2、コンデンサCa,Cb,Ccからなるローパスフィルタであり、これにより、温度測定誤差の原因となる高周波成分を除去する。
すなわち、フィルタ部3において、端子3a,5a間、端子3b,5b間それぞれにおいて直列にインダクタL1,L2が接続され、L1と5aとの接続端とL2と5bとの接続端とを跨ぐように、直列接続されたコンデンサCa,Cbが接続されている。さらに、コンデンサCaとCbの接続点と共通電位間に、コンデンサCcが接続され、受動素子である、これらのインダクタとコンデンサにより、ノーマルモード・ノイズフィルタとコモンモード・ノイズフィルタを構成している。
なお、図1では、フィルタ部3を構成するコンデンサCa,Cb,Ccがスター結線になっているが、これに限定されず、例えば、デルタ結線としてもよい。さらに、Ccのグランド側は、図1に示すように、熱電対温度計10の筐体の共通電位、または大地電位のいずれであってもよい。また、フィルタ部3における4端子回路網の入力端、出力端には、コンデンサで接地した中点を含まないものとする。
上記の構成を有するフィルタ部3は、図1に示すように温度測定箇所の電位に加わる交流成分(Eac)そのもので発生するコモンモードノイズと、熱電対1の両導体1a,1bと共通電位(アース)間の浮遊容量C1,C2、温度計本体部5の内部における信号線と共通電位間の浮遊容量C3,C4等のアンバランスが影響して発生するノーマルモードノイズの影響を排除する。そのため、フィルタ部3は、熱電対1の温度測定箇所近傍において加わる交流周波数成分Eacを除去し、浮遊容量C1〜C4等の影響を無視できる、例えば、数100KHz〜数MHzのカットオフ周波数を持っている。
さらに、フィルタ部3は、例えば、フィルタ内部で発生する熱起電力が熱電対両導体に対して打ち消すように作用させるため、(1)熱電対1の両導体1a,1bそれぞれに対応する導電経路の回路、およびその構成部品の材質と物理的寸法を対称の形で挿入する。また、(2)フィルタ部3を構成するすべての部分の温度を同一にするか、あるいは、後述するように、(3)熱電対1との接続部から温度計本体部5との接続部に至る、フィルタ回路のそれぞれ相対する部分の温度を同一にする。
上記の(1)は、例えば、図1において、端子3a,3bの中点と、端子5a,5bの中点とを通過する仮想的な中心線を引いた場合、インダクタL1,L2、コンデンサCa,Cb,Ccが、その中心線に対して物理的に対称に配置されるとともに、熱電対1、フィルタ部3、および温度計本体部5に共通の電位を基準電位として、その基準電位に対して電気的に対称となるように配置されている。具体的には、インダクタとコンデンサの回路定数を、L1=L2、かつ、Ca=Cbとする。
また、上記の(2)、(3)は、熱電対1の軸方向の温度分布を均一にすることを意味しており、例えば、(3)については、図1に示すように、フィルタ部3のうち端子3a,3bに近い部位A、端子3a,3bと端子5a,5bの中間に位置する部位B、端子5a,5bに近い部位Cそれぞれの温度は異なっていても、相対する部位の温度、すなわち、Aに対するA’の温度、Bに対するB’の温度、Cに対するC’の温度を同じ温度にする。ここで、相対する部位の温度が同一とは、例えば、フィルタ部3の全体を、温度計本体部5とは異なる一つの筐体内に封じ込める等により、その筐体内という同じ室温空間内に存在する程度に同一であることを意味する。しかし、熱電対入力部のフィルタに関するものであることから、導電経路の温度の差が熱起電力の差になるため、上記各部位の温度は同じであることが望ましい。フィルタ回路は可能な限り熱源となる部品から隔離し配置を行う。
本実施の形態例に係る熱電対温度計では、上述したフィルタ部3の導電経路の各部位の温度を同一に保つため、例えば、フィルタ部3全体を覆う筐体に放熱のための孔、フィン等(不図示)を設ける。また、フィルタ部3におけるインダクタL1,L2、コンデンサCa,Cb,Ccを配置(搭載)する回路基板として、熱伝導性の高いセラミックス基板、金属ベース基板等を使用し、さらに、フィルタ部3を覆う筐体と回路基板とを熱的に接合して、基板上で発生した熱を筐体から外部へ素早く逃がすようにしてもよい。
また、本実施の形態例に係る熱電対温度計では、熱起電力に起因するジュール熱の発生を阻止するため、フィルタ部3を構成する受動素子として、発熱源となる抵抗を用いず、インダクタとコンデンサのみでフィルタを構成している。
なお、上記の(2)、(3)の要件が満たされる限り、フィルタ部3は、温度計本体部5との接続点付近に設けられていても良いし、あるいは、温度計本体部5の内部に設けられていても良い。
熱電対温度計10の温度計本体部(ロガー)5は、熱電対1からの出力、すなわち、熱電対電位差を検出し、それを温度信号に変換して、測定対象物の温度測定箇所の温度を表示等する。より具体的には、温度センサとしての熱電対1から出力され、フィルタ部3のカットオフ周波数にしたがって所定周波数以上のノイズの影響が排除された熱起電力が、端子5a,5bを介して温度計本体部5へ入力される。そして、熱電対1の熱起電力は、温度計本体部5内の、例えば、演算増幅器等からなる高入力インピーダンスの増幅器6に入力され、その増幅器6で所定の信号増幅を受けた後、次段の測定部7において温度信号に変換される。
測定部7は、例えば、あらかじめ搭載したプログラムによる処理手順にしたがって動作するマイクロプロセッサからなり、その処理で得られた温度信号をもとに測定対象物の温度測定箇所の温度を求める。そして、測定部7で求められた温度は、例えば、液晶表示器等からなる表示部8に、温度の測定者が認識可能なように可視表示等される。
次に、本実施の形態例に係る熱電対温度計における熱電対の固定方法について説明する。熱電対による一般的な温度測定では、その熱電対が被測定物の測定箇所に接触していないことによる測定温度低下を防ぐため、例えば、熱電対を被測定物に接着剤、ねじ止め、その他の方法で固定する。しかし、本実施の形態例に係る熱電対温度計により、後述するような微小面積の温度を測定する場合、熱伝導による熱の逃げや測定の利便性の観点から、熱電対の固定方法として、ねじ止めは好ましくない。
そこで、例えば、断熱性のある治具(ジグ)を用いて熱電対を固定する方法、あるいは、珪酸ナトリウム(水ガラス)、導電性接着剤等で熱電対と被測定物と密着させる方法をとり得る。この場合、材質は特に限定されない。なお、接着剤の使用は、密着に使用する部材の熱伝導率が温度測定に影響するので、必要最低限の使用にとどめることが望ましい。
本実施の形態例に係る熱電対温度計は、例えば、直径が2mm程度の微小面積を温度測定対象(測定部位)としており、かかる微小部分における発熱量を測定する。温度測定の対象が、例えば、サイズ表記1608の角形チップ抵抗器(縦1.6mm×横0.8mm)の発熱部位である場合、測定部位の面積は、直径2mm以下となる。このように、熱電対による温度測定対象が小型電子部品(微小部品)の場合、熱電対を経由した放熱の影響で温度が実際の値よりも低く測定される可能性がある。
そこで、熱逃げを防止したり、あるいは応答性を上げるため、上述した細い線径(φ0.1mm、あるいはそれ以下)の素線からなる熱電対を使用することが考えられる。その一方で、このような細線を使用した熱電対の場合、その熱電対と熱伝導の悪い被測定物とが点に近い接触となるので、集中熱抵抗という現象が生じる。その結果、測定温度が低く出てしまうことが起きる。
上記の状況に鑑みて、本実施の形態例に係る熱電対温度計では、細い線径の熱電対線で作成された熱電対の先端に熱均等化のための金属板を固定した均熱板付き熱電対を使用する。例えば、図2(a)に示すように、熱電対1の先端部(測温接点)に円形の金属板からなる均熱板20を固定した均熱板付き熱電対21を使用する。図2(b)は、均熱板付き熱電対21を使用した本実施の形態例に係る熱電対温度計によって、基板23上に搭載された小型電子部品25の微小部分の温度を測定する様子を模式的に示している。また、図2(c)は、熱電対の先端部(測温接点)に矩形の金属板からなる均熱板22を固定した均熱板付き熱電対31を使用して、基板23上の小型電子部品25の微小部分の温度測定をしている様子を示している。
上述した均熱板20,22の材料として、熱伝導の良い、例えば、金、プラチナ、銅、アルミニウム、銀等を使用できるが、製造コストと加工性の観点から銅を使用する。均熱板20の寸法は、例えば、直径がφ1mm程度、厚さt=0.3mm程度とし、応答の観点から熱容量を極力小さくすることが好ましい。熱電対を取り付けるパッドとして機能する均熱板の面積が小さいと、熱流束の集中により、わずかな放熱であっても熱電対の測定部分での温度低下が生じる。そこで、上記寸法の均熱板20を使用することで、測定点における熱流束の集中が緩和されるので、測定結果が実際の温度よりも低下して熱集中抵抗による測定誤差が生じるのを回避することができる。
このように、集中熱抵抗の影響を避けるために均熱板付き熱電対を使用する場合は、被測定物の熱伝導の悪い場所の温度測定を行う状況であることが多く、そのほとんどの場合、熱伝導の悪い材料は電気伝導も悪く絶縁体である。したがって、均熱板付き熱電対を使用した熱電対の入力部は、絶縁物を介して測定対象と接続されることになる。その場合の熱電対温度計の構成を、図3に示す。
図3に示す熱電対温度計30の熱電対1’は、均熱板付き熱電対であり、熱電対’の入力部(熱電対先端2)において微小なコンデンサCiを介した測定となる。このように絶縁物を介した接続となる場合、測定部位から不要なノイズが入りやすくなるため、熱電対温度計30には、図3に示す回路構成のフィルタ部3’が必須となる。
すなわち、図2に例示したように、熱電対によって、絶縁物を介して温度を測定する場合には、導電部分である温度測定箇所と熱電対先端との間の静電容量が増加する。そのため、温度測定箇所の電位変動の影響がさらに大きくなり、熱電対1と温度計本体部5との間にフィルタ部3’の挿入が必要となる。なお、図3のフィルタ部3’は、図1に示す熱電対温度計10のフィルタ部3と同一の回路構成を有している。また、図3において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、ここでは、それらの説明を省略する。
このように、本実施の形態例に係る熱電対温度計では、熱電対を直接、被測定部分に金属接合せず、絶縁物を介して接続するので、高周波のノイズ成分は、上述した浮遊容量のみならず、この絶縁物を誘電体とし被測定部分と熱電対を電極とするコンデンサ(上記のCi)を介して熱電対温度計に侵入する。この場合、温度測定誤差を低減するために絶縁物の厚さを薄くするほど、高周波成分の測定誤差への影響は大きくなる。そのような影響を防止するため、本実施の形態例に係る熱電対温度計のように所定のカットオフ周波数を持つフィルタ部が必須となる。熱電対温度計の入力回路は、チャンネル間が絶縁されている必要はない。
なお、本実施の形態例に係る熱電対温度計は、上述した(1)〜(3)の特徴を有する限り、図1に示す熱電対温度計のように、温度計本体部5がフィルタ部3を入力フィルタ回路として備える形態であっても、あるいは、図3に示す熱電対温度計のように、熱電対1’がフィルタ部3’を出力フィルタとして備える形態であってもよい。なお、フィルタ部3,3’そのものを、一般的な熱電対と一般的な温度計との間に挿入して使用する、上記(1)〜(3)の特徴を持つ独立した高周波除去フィルタ装置としてもよい。
以上説明したように、本実施の形態例に係る熱電対温度計は、熱電対と温度計本体部との間に、高周波数ノイズを除去するための所定のカットオフ周波数を持つフィルタ部を挿入することで、測定点に電位があったり、その電位が変動する場合でも測定値のシフトや変動を防止して、測定点の温度を安定かつ正確に測定できる。
また、本実施の形態例に係る熱電対温度計では、熱電対に線径がφ0.1mm、あるいはそれ以下の金属線を使用し、熱電対の先端部に均熱板を固定した構成とすることで、熱集中抵抗による測定誤差が生じるのを回避しながら微小領域の温度を正確に測定できるので、例えば、チップ抵抗器、半導体チップ等の小型電子部品における発熱に起因する故障モードの解析が容易になる。
1,1’,21,31 熱電対
2 熱電対先端
3,3’ フィルタ部
5 温度計本体部
6 増幅器
7 測定部
8 表示部
10,30 熱電対温度計
20,22 均熱板
1a,1b 金属線
3a,3b,5a,5b 端子
L1,L2 インダクタ
Ca,Cb,Cc コンデンサ

Claims (2)

  1. 熱電対で発生した熱起電力をもとに温度計本体部において電子機器に搭載された電位変動を生じている電子部品の温度を測定する熱電対温度計であって、
    前記熱電対と前記温度計本体部との間に高周波ノイズ成分を除去する所定のカットオフ周波数を持つ高周波フィルタを挿入してなり、
    前記高周波フィルタは、前記熱電対の出力側に接続される一対の入力端と、前記温度計本体部の入力側に接続される一対の出力端とを有する4端子回路網からなり、該4端子回路網を構成する受動素子は、前記一対の入力端を結ぶ線分の中点と、前記一対の出力端を結ぶ線分の中点とを通過する仮想的な中心線を引いた場合、該中心線に対して物理的に対称に配置されるとともに、前記熱電対、前記高周波フィルタ、および前記温度計本体部に共通の電位を基準電位として該基準電位に対して電気的に対称となるように配置され、かつ、前記高周波フィルタにおける前記一対の入力端から前記一対の出力端に至る導電経路の、前記中心線に対してそれぞれ相対する部分の温度を略同一にしたことを特徴とする熱電対温度計。
  2. 前記熱電対の測温接点に熱伝導性の均熱板を取り付け、該測温接点を被測定物と電気的に絶縁した状態で接触させて該被測定物の微小部分の温度を測定することを特徴とする請求項に記載の熱電対温度計。
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