JP2005156501A - 液体及び気体から成る混相場の温度・流体相判別同時測定方法及び複合プローブ - Google Patents

液体及び気体から成る混相場の温度・流体相判別同時測定方法及び複合プローブ Download PDF

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豊 久木田
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Abstract

【課題】 液体及び気体を含む混相流場の流体相判別と温度測定を同時かつ同一点で行うことを可能にする。
【解決手段】 露出型熱電対10のホットジャンクション40をインピーダンス探子として用いる。混相流場の各相がホットジャンクション40に接触している状態において、信号発生器34から交流電圧が熱電対10にインピーダンス検出用抵抗32及び直流電流隔離用コンデンサ30を介して印加されることにより、各流体相の対地インピーダンスが抵抗32により検出され、その検出結果から相判別が行われる。ローパスフィルタ18を熱電対10と増幅器20との間に挿入して、増幅器の手前で同相電圧を十分除去することで、熱起電力信号との分離を達成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、熱電対を利用した、液体及び気体を含む混相流場の各相の温度測定方法及び複合プローブに関するものである。詳しくは、この発明は、このような混相流場の流体相判別と温度測定を同時かつ同一点で行うことを可能とした、熱電対の温度測定に関する新しい方法及び複合プローブに関するものである。この発明は、特に、水・蒸気・溶融金属の混相流場に適したものである。
従来は、溶融金属内部は不透明なため、内部混相流に対してどの流体の温度を測定しているのかを特定するのが難しかった。
温度計測に対して、異種金属の熱起電力の差を利用して温度を測定する熱電対は広く使用されている。一方、流体の持つ抵抗率の差を利用して、触針式による電気インピーダンス計測から局所の相(ないし流体組成)を判別する方法も広く用いられている。よって、電気インピーダンス計測と温度計測をごく接近して行えば、局所の流体相判別と温度測定を同時に行える可能性はある。
実際、例えば図14に示されるように、非接地型熱電対をインピーダンス探子として用いることは以前から行われている(例えば、非特許文献1参照。)。その構造について図14を参照して説明する。図14において、参照番号100は熱電対を、参照番号102はシース(金属製のさや)を、参照番号104は金属製の容器壁(コモン電極として機能)を、参照番号106は対地インピーダンス検出部を、参照番号108はシース102と容器壁104とを電気的に絶縁するための絶縁材をそれぞれ示す。対地インピーダンス検出部106は、インピーダンス検出用抵抗110、及びインピーダンス検出のためにシース102へ抵抗110を介して交流電圧を印加するための信号発生器112から成る。対地インピーダンス検出部106の一端はシース102に、他端はコモン電極に電気的にそれぞれ接続されている。シース102を片方の電極として、もう一方となる容器壁104をコモン電極として用いている。非接地型熱電対は、図14に示されているように、熱電対100の全てがシース102に覆われている。局所流体相判別のためには、容器内に挿入されたシース102はその先端を除いて全て絶縁材108で覆う必要がある。なお、シース102内には絶縁材118(例えば、マグネシアなど)が充填されている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
ROSA-IV Group, JAERI-M 90-176, 217-218(1990) Song, C.H., Chung, M.K., No, H.C., Nucl. Eng. Des., 184, 269-285 (1998) Sibamoto, Y., Kukita, Y., Nakamura, H., Nucl. Technol., 139, 205-220 (2002)
従来の非接地型熱電対は、図14に示されるように、熱電対100がシース102で機械的・電気的に保護されているため応答が遅く、時定数1秒程度の温度計測を目的としており、例えば、溶融金属表面での水の沸騰のように界面の位置及び流体温度が急速に変動する現象には対応できない。
また、熱電対100のホットジャンクション114とシース102の先端部116とを完全に一致させることは物理的にできないので、被測定対象の温度測定とインピーダンス検出による流体相の判別を同一点で行うことは出来なかった。
従って、本発明の課題は、液体及び気体を含む混相流場の流体相判別と温度測定を同時かつ同一点で行うことを可能にすることにある。
上記課題を解決するため、少なくとも1つの液体及び少なくとも1つの気体を含む混相流場における流体相判別と当該流体相の温度を測定する本発明の方法は、熱電対を電極として用いて各相の対地インピーダンスを検出することにより流体相を判別するステップと、前記対地インピーダンスを検出した点と同一点において、前記対地インピーダンスの検出と同時に、前記熱電対を用いて前記の判別された相の温度を測定するステップとを備えることを特徴とする。
本発明の一局面においては、前記混相流場が、不可視な溶融金属相の内部に水が取り込まれ、水相/蒸気相/溶融金属層から成る混相流場である。
また、前記溶融金属相が連続相であり得る。
好ましくは、前記熱電対が露出型であり、且つ当該露出型熱電対に交流電圧を印加し、当該露出型熱電対を電気インピーダンス探子として兼用する。
上記課題を解決するため、少なくとも1つの液体及び少なくとも1つの気体を含む混相流場における流体相判別と当該流体相の温度を測定する本発明の複合プローブは、ホットジャンクション部が露出構造である熱電対と、前記熱電対を一方の電極として各相の対地インピーダンスを検出する手段とを備えることを特徴とする。
ローパスフィルタを熱起電力検出信号増幅器の前段に設け、前記対地インピーダンスを検出する手段が、互いに直列接続されたインピーダンス検出用抵抗及び交流電源を含み、且つ前記熱電対と容量結合されていることが好ましい。
本発明の方法は、熱電対を電極として用いて各相の対地インピーダンスを検出することにより流体相を判別すると共に、対地インピーダンスを検出した点と同一点において、対地インピーダンスの検出と同時に、熱電対を用いて前記の判別された相の温度を測定することにより、液体及び気体を含む混相流場の流体相判別と温度測定を同時かつ同一点で行うことが可能となる。
本発明の複合プローブは、ホットジャンクション部が露出構造である熱電対を用い、当該熱電対を電極として各相の対地インピーダンスを検出することにより、液体及び気体を含む混相流場の流体相判別と温度測定を同時かつ同一点で行うことが可能となる。
例えば、本発明により溶融金属と水・蒸気の混相流場に対する温度と流体相判別の同一点・同時計測の測定が可能となる。この技術は、溶融金属を用いた直接接触型蒸気発生器内の温度検出などに応用することができる。
本発明の一局面においては、露出型熱電対の先端、すなわち熱電対ホットジャンクションそのものをインピーダンス探子として用い、更にローパスフィルタを用いて増幅器の手前で同相電圧を十分除去することで、熱起電力信号との分離を達成する。
始めに、上記課題を解決するための本発明の基本的アプローチについて説明する。
熱電対の計測の応答時間が実用上短い即応計測のためには熱電対がシースから剥き出しとなったいわゆる露出型熱電対を用いる必要がある。
また温度測定と同一点での流体相判別を同時に行うためには、熱電対そのものを電気インピーダンス探子として兼用する必要もある。この場合、熱電対先端と接地(一般に流路壁面など)との間に電圧を印加し、かつ印加電圧はノイズ等を考慮すると数百mV以上であることが望ましく、これは熱電対の起電力(mVオーダー)にくらべてはるかに大きい。印加電圧は下記に述べる理由で交流とする必要があり、この交流電圧は同相電圧として熱起電力(温度信号)に重畳された形で後段の増幅器へ入力される。このようにして、本来検出すべき温度信号(熱起電力)と同相電圧との干渉が問題となる。
電位差を検出するための通常市販されている増幅器では、同相電圧を除去する性能として同相成分除去比が仕様として与えられている。一般の増幅器では、直流の同相成分除去比はかなり良好ではあるが交流ではこの値が著しく劣化し、上記のような大きな同相電圧の除去には期待できない。また、本計測では流体相判別によって同相電圧が大きく変動するのが特徴である。この場合、同相電圧が後段に漏れ出すこと(同相成分除去比で対応)よりも、増幅器の非線形性による混変調のために非同相成分(ここでは温度信号)が影響を受けることの方が重大である。
この発明は、以上の事情に鑑みて、熱起電力に対する印加同相電圧の干渉防止の方法及び構成を提案し、温度測定と流体相判別の測定を同時に行う課題を解決している。この発明は、露出型熱電対の先端、すなわち熱電対のホットジャンクションそのものをインピーダンス探子として用い、以下で述べるようなローパスフィルタを用いて増幅器の手前で同相電圧を十分除去することで、熱起電力信号との分離を達成している。
以下、図面に沿って本発明の温度・流体相判別同時測定方法及び複合プローブの好適な実施形態について詳しく説明する。なお、図面を通して同一の参照番号は同一又は類似の構成要素を示す。
被測定対象として、液体が溶融金属及び水、気体が水蒸気である混相流場である例に対して本発明を適用した場合について説明する。水相・蒸気相と溶融金属相の相判別は、各相の抵抗率の差を利用して行う。
図1は本発明の好適な一実施形態に従ったプローブ及び信号処理回路の概略ブロック図を示す。図1において、参照番号10は熱電対を、参照番号12はシースをそれぞれ示す。熱電対10は、シース12の中を延在し、シース12を出た後でコールドジャンクション14へ熱電対補償導線16を介して接続される。熱電対補償導線16の中間にローパスフィルタ18が介挿されている。コールドジャンクション14の出力側は増幅器20に入力ケーブルを介して接続されている。増幅器20は、前置増幅器22、絶縁トランス24及び後置増幅器26を含み、後置増幅器26から増幅された熱起電力信号が出力される。なお、ローパスフィルタ18は、必ずしも熱電対補償導線16の中間に位置する必要はなく、本発明では、増幅器20の手前であればどの位置でもよい。
対地インピーダンス検出部28が直流電流隔離用コンデンサ30を介して熱電対補償導線16の1つの線に接続されている。なお、この実施形態では、熱電対10の素線はシース12内にあるので、電気インピーダンス検出部28が、熱電対補償導線16に接続されているが、本発明では、熱電対10の素線に接続されることになれば、それへの直接接続、あるいはいずれかの導体を介した間接接続のいずれでもよい。対地インピーダンス検出部28は、インピーダンス検出用抵抗32、及び交流電圧を発生する信号発生器34を含み、これらは互いに直列接続されている。インピーダンス検出用抵抗32の信号発生器34に接続されてない方の端部は、直流電流隔離用コンデンサ30の熱電対補償導線16に接続されていない端子側に接続されている。信号発生器34のインピーダンス検出用抵抗32に接続されてない出力端子は接地(当該分野では通常「コモン」と呼ばれている。)されている。シース12も接地されている。インピーダンス検出用抵抗32と直流電流隔離用コンデンサ30との接続点と接地との間に並列に整流器36が接続され、整流器36の出力側からインピーダンス信号が出力される。整流器36は既知のいずれの構成のものであってよい。
シース12の先端は、シース12の内部に液体、この例では溶融金属や水が染み込むのを防止、即ち侵入しないよう耐熱性シール材38で末端処理をする。インピーダンス計測のためには耐熱性シール材38を絶縁物質にする必要がある。また、溶融金属が高温であるので、耐熱性材料である必要もある。この例では、耐熱性シール材38として、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)を主成分とする耐熱性接着剤(耐熱温度2200℃)を用いている。
図2は、容器の中の被測定対象を測定する状態における、図1に示すプローブ及び対地インピーダンス検出部部分の構成を示す概略図である。図2において、図1と同一の参照番号は同一の構成要素を示す。図1においては、シース12と信号発生器34の一方の出力端子がそれぞれ別々に接地されているように示されている。測定状態を示す図2では、金属製の容器壁50が導電性であるので、シース12と接触することにより容器壁50と同電位で接地電位となり、従ってコモン電極となり、そしてその容器壁50に信号発生器34の一方の出力端子が接続され、即ち接地されているように示されている。図1及び図2に示されるように、熱電対10の先端、即ちホットジャンクション40がシース12の先端部に塗布された耐熱性シール材38の更に先に出て、剥き出しになっている。このタイプの熱電対は露出型と呼ばれている。本発明では熱電対10そのものをインピーダンス検出電極、シース12をコモン電極として用い、両者は、シース12内の絶縁材52(図2)で初めから絶縁されているので新たに絶縁を挿入する必要がない。図14に示す非接地型熱電対では、シース102と容器壁104との間に絶縁材108を設ける必要があったが、本発明では図2に示すようにシース12と容器壁50との間に絶縁材を設ける必要がない(むしろ電気的に導通状態である必要があり直接接触していることが望ましい。)。非接地型熱電対では容器の壁厚が厚い場合には絶縁材の長さも長くなりコストアップの要因になるが、本発明ではそのような絶縁材を全く用いないので安価である。
熱電対10とシース12(およびこれに接続された金属製の試験部壁、即ち図2における容器壁50)との間に、インピーダンス検出用抵抗32を介して信号発生器34により電圧Vcを印加する。熱電対先端、即ちホットジャンクション40が溶融金属(図示せず)に触れると熱電対10とシース12間の電位差は事実上ゼロとなり、蒸気の場合は印加電源電圧Vcがそのまま出力となり、水の場合は両者の中間的な値を示す。このように対地インピーダンスに応じた電圧をインピーダンス検出用抵抗32により検出し流体相判別に利用する。
シース先端部は溶融金属や水がシース12内に侵入しないよう耐熱性シール材38で末端処理をする。
測温部、即ちホットジャンクション40が例えば溶融金属に触れて接地に短絡されると、対地インピーダンス検出部28が熱起電力(直流)に対して負荷となり、かつ熱電対素線の直流抵抗は比較的大きいため、温度測定に影響が出る。これを避けるため、熱電対補償導線16のいずれか一方の線又は熱電対素線(熱電対10のいずれか一方の線)と対地インピーダンス検出部28との間にコンデンサ30を挿入し、直流的に隔離するとともに印加電圧には交流を用いる。これに伴い、流体相判別で検出される電圧(実質的にインピーダンス検出用抵抗32の両端間の電圧)は整流回路、即ち整流器36を用いて振幅の変化を直流信号(図1に示すインピーダンス信号)として取り出す。
印加交流電圧Vcはローパスフィルタ18を用いて直流の熱起電力信号と分離する。図1に示すように、熱電対補償導線16のプラス側とマイナス側それぞれを、ローパスフィルタ18を介して増幅器20の入力端子に接続し、交流電流を接地に逃がすことで同相成分を十分に除去する。ローパスフィルタ18の設計および交流搬送周波数の選定に際しては、温度計測の応答速度を劣化させない程度にローパスフィルタ18の時定数を小さくすること、ローパスフィルタ18によって熱電対10が常時地絡されるため、ローパスフィルタ18の対地インピーダンスを検出対象であるこの事例においては水の電気インピーダンス程度以上に大きくしておくこと、などの注意が必要である。つまり、ローパスフィルタ18の対地インピーダンスの大きさは具体的な検出対象物の液相あるいは気相状態における電気インピーダンスの大きさに応じて変わり得る。なお本回路では、ローパスフィルタ18を2段組として高周波成分の減衰を高めた。
ローパスフィルタ18を導入したことで接地との間にあるコンデンサC1及びC2の充放電によって温度信号にノイズが出ることがある。これを避けるために、参照番号42、44で示した抵抗R3を入力線即ち熱電対補償導線16の両方と接地との間に挿入し、この抵抗42、44によって、入力線即ち熱電対補償導線16の両方と接地間を短絡し、ノイズ原因であるコンデンサC1、C2の両端間の同相電位差の発生を防止することがより好ましい。このとき、熱起電力の測定に影響を与えないよう、抵抗42、44の抵抗値は熱電対素線抵抗よりも十分大きくする。
更に、ローパスフィルタ18の後段の素線間にコンデンサC4を挿入し、後で詳述する非同相の高周波ノイズ成分を吸収することがより好ましい。
以上により、露出型熱電対を電気インピーダンス探子と兼用することで、温度と測定対象の流体相判別の同時測定が可能となる。本計測方法の時空間分解能は熱電対の直径に依存し、線径が細いほど応答も速い。
もちろんこの発明は、以上の例によって限定されるものではない。熱電対径やローパスフィルタ、整流器の細部の構成については様々な態様が可能であるということは言うまでもない。
前述のように、水/溶融物混相流実験への適用を目的として、局所における流体相判別と温度計測を同時かつ高速で行う複合プローブを開発した。細径の露出型熱電対を用いて、温度測定と同時に、溶融金属・水・蒸気のいずれの相の温度を測定しているかを検出する。例えば100kHzの交流信号を熱電対に印加し、熱電対と接地間の電気インピーダンスを計測することで相判別を行うことができる。交流信号は、アンプで増幅される前にローパスフィルターによって温度信号から分離される。後述するように、水−溶融物−蒸気各々の相に対して、相界面の高速移動と温度変化の計測に成功した。
以下、本発明について、ニーズを含めてより詳細に記載する。
1.ニーズ
軽水炉シビアアクシデントや液体金属冷却炉技術に関連して、水/溶融金属混相流挙動の解明が重要な課題となっている。混相流の温度計測には、複雑で高速な混合現象に対応した計測技術が要求される。特に、金属容器内部や溶融金属中に水が取り込まれた場合などは内部が不可視なため、温度計測と同時に、水相/気相/金属相のいずれの相を測定しているかを知ることが重要となる。不透明であっても、ビデオプローブによる局所観測や放射線による透過観察(ラジオグラフィ)の方法が無くはないが、数百℃以上の高温液体金属を対象とする場合、前者の適用は困難であり、後者は高価でハンドリングが煩わしく、時間・空間分解能に限界がある。一方、電気インピーダンスを用いて局所の相(ないし流体組成)を判別する方法は広く用いられており、拡張性も高い。よって、インピーダンス計測と温度計測をごく接近して行えば、上記の課題が解決できる可能性がある。実際、シース型熱電対(即ち、非接地型熱電対)の先端をインピーダンス探子として用いることは以前から行われている(上記非特許文献1参照)。しかし、この例では時定数1秒程度の温度計測を目的としており、溶融金属表面での水の沸騰のように界面の位置及び流体温度が急速に変動する現象には対応できない。
本発明を好適に適用し得る一応用においては、高温の溶融金属と水、水蒸気が混在する現象への適用を目的として、露出型熱電対の先端、すなわち熱電対のホットジャンクションそのものをインピーダンス探子として用い、これによって高速で温度計測と相判別を行う方法を考え、実用化した。回路定数を適切に設定することによって水と溶融金属の抵抗率の差を検出することができ、蒸気相とあわせて3つの相を判別できる。また、素線径の細い熱電対を用いることで応答時間を速くすることができる。しかしながら、インピーダンス計測のためには熱電対に電圧を印加する必要があり、かつ印加電圧はノイズ等を考慮すると数百mV以上であることが望ましく、これは熱電対の起電力(mVオーダー)にくらべてはるかに大きい。このため、温度計測への干渉を防止するための工夫が必要となった。この観点から、計測原理を中心に、搬送信号と熱起電力信号の分離やノイズ対策について説明する。
2.露出型熱電対の応答特性と構造
露出型熱電対の応答時間は、熱電対素線と流体間の熱伝達率、熱電対の熱伝導率および熱容量で決定される。手元にある熱電対の応答特性を以下のような実験により評価した。比較のためシース型熱電対についても実験を行った。使用した熱電対の種類を表1にまとめる。
いずれも、線材はクロメル=アルメル、シースは長さ約1000mmのステンレス製、絶縁材は酸化マグネシウムである。一定温度の水(T1≒80℃)または鉛ビスマス合金溶融物(T1≒250℃)に熱電対を急速に投入し、得られた温度変化データT(t)に一次遅れ応答曲線;
を最小自乗フィッティングすることで時定数τを求めた。熱起電力は直流アンプにより増幅しているが、アンプによる信号の遅れは無視できる。図3に水中に挿入したときの温度変化例(熱水に迅速に浸した熱電対の熱応答)を、図4に時定数の評価結果をそれぞれ示す。熱電対は常温の大気中から液中に投入したが、水面付近では蒸気による温度上昇がみられ、特に露出型熱電対についてはその影響が大きかった。このため、温度変化の傾きが急激に変化するときを液接触の時点と判断し、時刻0秒とした。図3に示すように、温度変化は式の一次遅れ応答で近似でき、素線径0.2mm(接合部径0.4mm)の露出型熱電対は時定数5msと非常に速い応答を示した。ここでは、熱的・機械的耐久性や扱いやすさを考慮して、素線径が0.3mm(接合部径0.7mm)の熱電対を採用した。この場合の応答時定数は、水に対して約20ms、溶融鉛ビスマスに対して約30msであった。本来、液体金属のほうが水よりも、同じバルク流速に対して熱伝達率が大きくなるので時定数は短くなるはずだが、本実験では矛盾した結果となった。実験では、空気中から液中に熱電対を投入しているため、表面張力が水の6倍程度大きい鉛ビスマスでは濡れが悪く、気泡による熱伝達阻害によって時定数測定に影響がでたと考えられる。実際、このような試験時に次節に述べる方法で熱電対表面の相判別を行った結果も、鉛ビスマスの場合、熱電対の濡れが遅れることを示している。
素線とシース(接地)間のインピーダンスから相判別を行うので、シース内に液体金属や水が侵入しないようシールを施す必要がある。シール材としては、二酸化ジルコニウムを主成分とする耐熱性接着剤(Resbond904;耐熱温度2200℃)を使用した。
3.水/液体金属相判別の測定原理
水と液体金属の判別は、抵抗率の差を利用して行う。図1に信号処理回路を示す(なお、ここの記載から図10に関連する記載までについては、図1において抵抗42及び44、及びコンデンサ46を未だ備えていない回路構成を対象としている。)。熱電対素線10とシース12(およびこれに接続された金属製の試験部壁(図2の容器壁50)との間に、インピーダンス検出用抵抗32及び直流電流隔離用コンデンサ30を介して信号発生器34により交流電圧を印加する。素線先端、即ちホットジャンクション40が液体金属に触れると素線10とシース12間の交流電位差は事実上ゼロとなり、蒸気の場合は印加電源電圧Vcがそのまま出力となり、水の場合は中間的な値を示す。なお、今回の計測の対象として考えている実験では液体金属(鉛ビスマス合金の溶融物)が連続相であり、比重及び表面張力が大きいため、接合部(即ちホットジャンクション40)−シース12間距離(2mm程度)以下の液滴に分散するようなことは起こりにくい。
熱電対測温部(ホットジャンクション40)だけでなく、熱電対10の素線がある長さにわたって液体金属に接触している(電気的に短絡されている)ときの熱電対出力は、接触部分の平均的な温度となる。しかし、液体金属内の温度勾配は小さいため、このことはあまり問題とならない。
一方、ホットジャンクション40が接地に短絡されると、対地インピーダンス検出部28が熱起電力(直流)に対して負荷となり、かつ熱電対素線の直流抵抗は比較的大きいため、温度測定に影響が出る。これを避けるため、熱電対素線とインピーダンス検出部28の間にコンデンサ30(C3)を入れ、直流的に隔離する必要がある。インピーダンス検出用の印加電圧としては、電蝕を避けるためにも交流を用いることが一般的であり、整流回路36を用いて印加電圧の振幅の変化を直流信号(即ち、図1に記すインピーダンス信号)として取り出す。ノイズの影響を避けるためには同期整流回路を使うことが望ましいが、ここでは簡単な半波整流を用いている。
熱電対素線と接地との間に交流信号を印加しているため、増幅器20の初段の差動増幅器(即ち前置増幅器22)には、交流の同相電圧(CMV;ommon ode Voltage)が加わる。熱電対素線先端、即ちホットジャンクション40が流体によって地絡されるときには素線上の接地抵抗の分布によって非同相の交流成分が生じる可能性があるが、これについては増幅器内の前置ローパスフィルタによって除去することが可能である。しかし、CMVが大きいと増幅器内の混変調によって熱起電力の測定に影響を及ぼす可能性がある。増幅器20の同相成分除去比(CMRR:Common Mode ejection atio)は、
d:差動入力信号に対するゲイン
c:同相入力信号に対するゲイン(=ΔVC/VC
で定義される。熱起電力測定に用いられる一般的な増幅器は、CMRRが直流に対して120dB程度で、周波数の増加とともに低下する。CMRR特性は、前置増幅器のCMRR特性と、前置増幅器と後段の絶縁に依存している。直流を交流に変換しトランスで後段に結合するタイプ(即ち、図1に示す増幅器20のタイプ)では、定常な直流に対するCMRRは確保できても、浮動静電容量等による結合のため高周波数成分に対するCMRRが劣化する。一方、PWM変調を用いてフォトカプラにより光で後段に結合するタイプではこのような問題が少ないが、それでもキロヘルツオーダーの周波数帯域ではCMRRが100dB程度には低下してしまう。ただし、ここで対象としているような同相成分(印加交流電圧)が大きく変動するような場合、同相成分が後段に漏れ出すこと(これは出力側のローパスフィルタで対処できる)よりも、増幅器の非線形性による混変調のために非同相成分(温度信号)が影響を受けることの方が重大である。そこで、ここでは増幅器の手前で同相成分をできるだけ除去することにした。このため以下で述べるようなローパスフィルタを用いた。
3.1.ローパスフィルタの設計
図1に示されるように、熱電対補償導線16のプラス側とマイナス側それぞれを、ローパスフィルタ18を介して増幅器(前置増幅器22)の入力端子に接続する。つまり、交流電流を接地に逃がすことで同相成分を十分に除去する。
ローパスフィルタ18の設計に際しては、温度計測の応答速度を劣化させない程度にフィルタの時定数を小さくする必要がある。これは少なくとも熱電対の熱応答時定数の10分の1以下としたい。したがって、交流印加電圧が高周波数であるほどローパスフィルタ18の時定数を短くすることができて有利である。しかしながら、高周波になるほど熱電対素線−シース間の分布静電容量の影響が顕著になり、熱電対10の先端、即ちホットジャンクション40が乾いた状態であっても給電点のインピーダンスが低下し(非特許文献2参照)、さらに周波数を上げると分布インダクタンスによる共振が問題となって相判別が難しくなる。このような問題を避けるためには給電点と探子間の距離は短くすることが望ましい。
次に、ローパスフィルタ18を熱起電力の信号線に直列に入れるため、増幅器(前置増幅器22)からみた信号回路のインピーダンスが高くなり、ノイズをひろう可能性がある。このためローパスフィルタ18の抵抗は小さいほどよい。反面、ローパスフィルタ18により素線が
のインピーダンスで常時地絡されるため、検出対象である水のインピーダンス程度以上にZ(インピーダンス)を大きくしておく必要がある。後者に関しては、抵抗ではなくインダクタンスによってローパスフィルタ18を構成する方が有利であるが、十分に磁気シールドしないと誘導ノイズをひろう可能性があり、ここでは抵抗を用いている。
これらを総合的に判断して、印加電圧の周波数および信号処理系の定数を表2のように決定した。
ローパスフィルタ18の1段目(R1及びC1)カットオフ周波数は、
でキャリア周波数の100分の1以下、2段組として高周波成分の減衰を高めた。
3.2.地絡時のノイズ対策
図1に示すような回路を組んでテストしたところ、熱電対先端(ホットジャンクション40)が液体金属や水によって接地に短絡された瞬間、熱起電力出力にかなり大きなノイズが現れた。ノイズが出ると実験上重要な相界面付近の温度計測に支障を来すため、この原因を調べ、解決した。ここではノイズの原因とその対策について述べる。
地絡ノイズには次の2つの原因が考えられる。
(a)印加交流電圧の急峻な変化による直流成分の発生
(b)ローパスフィルタ18のコンデンサ(C1及びC2)の充放電
まず(a)について述べると、素線先端(ホットジャンクション40)が地絡するということは、ローパスフィルタ18(積分回路)への交流電圧入力の振幅がステップ状に変化することを意味している。これを時間積分したものには直流成分が含まれ、これがノイズの原因となりうる。例えば、交流信号の振幅が減衰率で変化する場合、時定数の積分回路の出力は、
の微分方程式を、y(t=0)=0の初期条件のもとに解いて、
と表される。周波数を100kHz、減衰率αをその10倍(=10-3msで地絡)としたときの結果を図5に示す。このように、入力正弦波の振幅の急変に対する積分回路の出力には直流成分が含まれ、その大きさはローパスフィルタの時定数τに依存する。また、ノイズの減衰時間もτに比例し、消滅するまでにはτの10倍ほどの時間を要することもわかる。
作成したローパスフィルタは、図1に示すように熱電対信号のプラス側とマイナス側に独立に設けられているので、差動増幅器(前置増幅器22)の入力は、それぞれのローパスフィルタの出力の差となる。各ローパスフィルタへの交流電圧入力は等しいと見なせるので、出力も等しく非同相成分ノイズは現れないはずであるが、市販の抵抗やコンデンサには公称値の数%〜100%の誤差があるためローパスフィルタ出力は非対称となり、熱起電力に重畳して非同相成分ノイズが差動増幅器(前置増幅器22)入力に加わることになる。例えば、片方のフィルタ時定数をτ1=0.1msとし、他方の時定数τ2がこれからずれているときの出力信号を式(7)から計算すると、図6のようになる。出力信号のレベルは地絡前の交流印加電圧VCの0.1%以下となるが、微小な熱起電力信号に対しては無視することができない。例えば、VC=2.5Vのときは温度換算で62.5Kにもなる。ただし、図6に示すようにこのノイズの減衰は速く、測定への影響は比較的小さい。
次に(b)ついて考察する。図1の回路では、増幅器(前置増幅器22)入力が接地から直流的に絶縁されているため、何らかの原因によってローパスフィルタ18のコンデンサC1及びC2に電荷がたまると接地との間に直流電位差が発生する。この電荷が熱電対10の素線の地絡によって放電されるとき非同相成分が生じる可能性がある。簡単のため、図7のように熱電対60と1段のローパスフィルタ62を組み合わせた回路を考える。十分時間が経過して両コンデンサC1及びC2が充電された後の初期の電位をVC1、VC2とする(図7の(a)参照)と、熱電対60の素線が地絡したときの非同相成分Vout(図7の(b)参照)の時間変化は電圧方程式を解いて以下のようになる。
これから、放電の際に回路素子のアンバランスによって非同相成分を生じることがわかる。初期の充電圧の差及び定数RCの差によってノイズの大きさが決まり、ローパスフィルタの時定数によって減衰の長さが決定される。ここでもし、初期の充電圧VCが熱起電力VTによるものとすれば、VC1とVC2は、
となり、熱起電力以上のノイズは出現しないことになる。しかし実際の実験では、図8に示すようにコンデンサ容量に10%の誤差がある場合、熱起電圧の10倍程度のノイズが観察されることがしばしばあった。しかもこのノイズは増幅器のゲインの設定によって変化し、ゲインが小さいほどノイズも小さい。つまり、コンデンサの充電は熱起電力によるものだけでなく、増幅器を含むループを流れる電流によって起こっていることがわかった。
用いた増幅器は、前置増幅器22が接地から絶縁されているが、入力と接地間のリーク電流はゼロではない。ノイズが増幅器20のゲインを下げると小さくなるという事実から、図9の矢印で示されるような電流パスが生じていると考えられる。通常のアンプの使い方では問題とならないが、本回路ではアンプ入力線と接地の間に容量の大きいコンデンサが挿入されているので、これが充電されると放電にかなりの時間がかかり、回路の非対称によって非同相電圧を生じる。このような現象は、前置増幅器22のコモン端子を接地しない場合(フローティング動作)、接地した場合(非フローティング動作)の両方について見られる。また、より入力リーク電流の少ない増幅器を用いたとしても、地絡から次の地絡までの時間(充電時間)が長ければ同様なことが起こりうる。
以上、熱電対の素線地絡時のノイズ原因について考察した。これらの解決策を以下にまとめ、改良後の回路を図10に示す。
(1)交流成分の除去に支障を来さない範囲でローパスフィルタの時定数を小さくし、同相成分を1ms以下で減衰させ、これによって非対称性による非同相成分(ノイズ)の減衰を速くする。
(2)微小なリーク電流等によって入力線と接地間に同相電位差が発生することがないよう、図10に示すように抵抗R3で短絡する。熱起電力の測定に影響を与えないよう、抵抗R3の抵抗値は熱電対素線抵抗よりも十分大きくする。
(3)ローパスフィルタの後段の素線間にコンデンサ(C4)を挿入し非同相の高周波ノイズ成分を吸収する(図10、表2参照)。
(4)いずれもローパスフィルタ回路素子のアンバランスが原因なので、静電容量精度が10%以下のポリエステルフィルムコンデンサを使用する。
コンデンサーC4(図1の参照番号46及び図10参照)の挿入により、非同相入力に対するローパスフィルタの時定数が増加する。表2に示される各回路素子を用いたときのローパスフィルタの遅れについて、オシロスコープで観察した結果を図11に示す。応答は時定数約1msの一次遅れで近似でき、これは熱電対の応答速度よりも十分速い。
3.3.その他のノイズ対策
ローパスフィルタ18の挿入(図1参照)により、熱電対10の素線に直列に抵抗が入るため信号回路が高インピーダンスとなる。この結果、前置増幅器22の入力部が電磁気的外乱に対して敏感になり、熱起電力のような微小信号を扱う上では十分なノイズ対策をする必要がある。ここでは、図1に示すように信号線に静電シールドつきの入力ケーブル48を使用し、また絶縁を高めるために回路基板にはガラスエポキシ(図1に図示せず)を使用する。熱電対のコールドジャンクション14は電気式のものを避け、アイスバスを使用する。
4.計測例
複合プローブを用いて溶融金属/水混相流の温度計測を行った。用いた実験装置を図12に示す。試験部は厚さ10mmの2次元扁平容器70で、大気に解放されている。実験は、高温に熱した溶融金属72(鉛ビスマス合金;比重10、融点120℃)を容器内に溜めておき、上部から水を噴流状(直径6.0mm)に注入し、その際の過渡変化を計測する。水噴流は容器70の中心に沿って垂直に注入され、その軸上に複合プローブ熱電対(図示せず)が20mm間隔で設置されている。液体金属の初期水位はch1とch2の間にあり、水ジェットノズル74の出口から約50mmである。実験の初期条件を以下にまとめる。
液体金属温度=530℃
水噴流温度 =80℃
噴流流速 =5.8m/s
注入時間 =約10sec
水噴流は表面で沸騰しながら液体金属72中に潜り込み、ある深さで貫入が持続する。貫入深さは両相の浮力バランスや蒸気流出による運動量増加などの要因で決定される(非特許文献3参照)。この実験条件では、貫入深さがch5付近で維持された。ch5の複合プローブの計測結果を図13に示す。横軸の時間は注水のための電磁弁を開けてからの経過時間で、ch4とch6の温度データも点線で示した。ch4は常に水の飽和温度、ch6は液体金属温度を示しており、ch5がその間の温度を上下している。図下部の矩形波形が複合プローブによる熱電対素線先端の地絡を示しており、値がゼロのときに熱電対先端が液体金属相に触れていることを表す。先端が気相(蒸気または空気)で覆われた場合は出力部の直列抵抗とローパスフィルタ対地インピーダンスの分圧で決まる最大出力となり、表2の条件では0.75Vである。先端部が水の場合はその中間値をとることになるが、これは水質によって決まり、混相流中では水の電気伝導度が逐次変化していくため一意には定まらない。図では、地絡していないときの電圧指示値が最大出力値より小さい約0.65Vであり、プローブ先端は水相に触れていると判断できる。
さて、図13から明らかなように、温度変化と相検知が同期しており、地絡時のノイズも現れず複合プローブがよく機能していることがわかる。特に水相に触れたときは温度変化が速く、これは、水が一定温度(飽和温度)なので熱応答時定数に応じたステップ応答を示していることがわかる。
5.結論
水/溶融金属混相流場において温度測定と水/溶融金属相判別を同一点で行う複合プローブを開発した。露出型熱電対の素線に交流電圧を印加し、対地インピーダンスの違いから熱電対先端の接触している流体が溶融金属、水、蒸気のいずれであるかを判別する。細い熱電対素線を用いることによって速い応答速度を確保し、熱電対先端の流体組成を同時に計測することによって、相界面の変動と相変化を伴う現象の局所計測が可能となった。本計測系の時空間分解能は露出型熱電対の時定数と大きさよって決まり、これは熱電対素線直径に依存する。このような複合プローブに固有なノイズや信号間の干渉の問題を解決し、水/溶融物混相流実験に適用した。
図1は、本発明の好適な一実施形態に従ったプローブ及び信号処理回路の概略ブロック図を示す。 図2は、容器の中の被測定対象を測定する状態における、図1に示すプローブ及び対地インピーダンス検出部部分の構成を示す概略図である。 図3は、熱水に急速に投入された熱電対の温度応答を示す。 図4は、熱電対(TC)素線径の関数としての熱電対の熱応答時定数を示す。 図5は、急速に減衰する正弦波入力信号に対するローパスフィルタ出力信号の時間変化を示す。 図6は、コモン・モードで急速に減衰する正弦波入力信号に対して、僅かに非平衡であるローパスフィルタ(τ1=0.1ms)から生じる差動出力信号の時間変化を示す。 図7は、ローパスフィルタから出力される差動出力信号を表し、(a)は、乾いた状態で且つ接地されてない熱電対の場合の出力信号を表し、(b)は、地絡された熱電対を介したコンデンサの放電による過渡出力を表す。 図8は、1.0mVの出力信号(室温の熱起電力に対応)に対し、地絡された熱電対を介してコンデンサから放電される際に僅かに非平衡なローパスフィルタから出力される差動出力信号の時間変化を示す。 図9は、熱電対が接地されていないとき、増幅器を介したリーク電流のパス(通り道)とリーク電流によるローパスフィルタ・コンデンサへの充電を示す。 図10は、地絡ノイズを考慮した最終ローパスフィルタの設計を示す。 図11は、矩形波入力信号に対するローパスフィルタ出力信号の応答特性を示す。 図12は、試験装置の概略図であり、(a)は正面図を、(b)は側面図を示す。 図13は、本発明の複合プローブを用いた典型的な温度測定例を示す。 図14は、非接地型熱電対をインピーダンス探子として用いたインピーダンス検出回路を示す。
符号の説明
10、60 熱電対
12 シース
18、62 ローパスフィルタ
20 増幅器
28 対地インピーダンス検出部
30 直流電流隔離用コンデンサ
32 インピーダンス検出用抵抗
34 信号発生器
36 整流器
38 耐熱性シール材
40 ホットジャンクション
42、44 抵抗
46 コンデンサ
48 入力ケーブル
50 容器壁
70 容器
72 溶融金属

Claims (6)

  1. 少なくとも1つの液体及び少なくとも1つの気体を含む混相流場における流体相判別と当該流体相の温度を測定する方法であって、
    熱電対を電極として用いて各相の対地インピーダンスを検出することにより流体相を判別するステップと、
    前記対地インピーダンスを検出した点と同一点において、前記対地インピーダンスの検出と同時に、前記熱電対を用いて前記の判別された相の温度を測定するステップと
    を備える方法。
  2. 前記混相流場が、不可視な溶融金属相の内部に水が取り込まれ、水相/蒸気相/溶融金属層から成る混相流場である請求項1記載の方法。
  3. 前記溶融金属相が連続相である請求項2記載の方法。
  4. 前記熱電対が露出型であり、且つ当該露出型熱電対に交流電圧を印加し、当該露出型熱電対を電気インピーダンス探子として兼用する請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 少なくとも1つの液体及び少なくとも1つの気体を含む混相流場における流体相判別と当該流体相の温度を測定する複合プローブであって、
    ホットジャンクション部が露出構造である熱電対と、
    前記熱電対を一方の電極として各相の対地インピーダンスを検出する手段と
    を備える複合プローブ。
  6. ローパスフィルタを前記熱電対の熱起電力検出のための増幅器の前段に設け、
    前記対地インピーダンスを検出する手段が、互いに直列接続されたインピーダンス検出用抵抗及び交流電源を含み、且つ前記熱電対と容量結合されている
    請求項5記載の複合プローブ。
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JP2015122203A (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 パナソニックIpマネジメント株式会社 遮断器
JP2016011880A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 Koa株式会社 高周波フィルタおよび温度測定方法
CN105371792A (zh) * 2014-08-25 2016-03-02 广西南宁西格汇居电子科技有限公司 一种盘车轴线数字鉴相测量方法

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