JP6546045B2 - 金属錯体および該金属錯体を含む発光素子 - Google Patents
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Description
[1] 下記式(1)で表される金属錯体。
n1は、1、2または3を表す。n2は、0または1を表す。n2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R1とR2、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R7とR8、および、R10とR11は、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。但し、R4およびR5からなる群から選ばれる少なくとも1つは、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルコキシ基、フッ素原子を置換基として有するアリール基、フッ素原子を置換基として有するアリールオキシ基、フッ素原子を置換基として有する1価の複素環基、フッ素原子またはシアノ基であり、且つ、R4、R8、R9およびR10からなる群から選ばれる少なくとも1つは、下記式(D−A)または式(D−B)で表される基である。
A1−G1−A2は、アニオン性の2座配位子を表し、G1は、単結合、または、A1およびA2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A1およびA2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。A1−G1−A2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
mDA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
GDAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
TDAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
GDAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
TDAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
[2] 前記R4およびR5のいずれか一方がフッ素原子を置換基として有するアルキル基である、[1]に記載の金属錯体。
[3] 前記R4およびR9からなる群から選ばれる少なくとも1つが、前記式(D−A)で表される基である、[1]または[2]に記載の金属錯体。
[4] 前記式(D−A)で表される基が、下記式(D−A1)、(D−A2)または(D−A3)で表される基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の金属錯体。
Rp1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は、1〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
[5] 前記式(D−A)で表される基が、前記式(D−A1)で表される基である、[4]に記載の金属錯体。
[6] 前記n2が1である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の金属錯体。
[7] 前記n1が3である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の金属錯体。
[8] [1]〜[7]のいずれか1つに記載の金属錯体と、
下記式(H−1)で表される化合物とを含有する組成物。
ArH1およびArH2は、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
nH1およびnH2は、それぞれ独立に、0または1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nH3は、0以上の整数を表す。
LH1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、−[C(RH11)2]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nH11は、1以上10以下の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
LH2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
LH21は、単結合、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[9] [1]〜[7]のいずれか1つに記載の金属錯体と、
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料と
を含有する組成物。
[10] [1]〜[7]のいずれか1つに記載の金属錯体を含む発光素子。
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、ドデシル基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基、6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジニル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基およびシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基およびシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
mDA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
GDAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
TDAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
GDAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
TDAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
*は、式(D−A)におけるArDA1、式(D−B)におけるArDA1、式(D−B)におけるArDA2、または、式(D−B)におけるArDA3との結合を表す。
**は、式(D−A)におけるArDA2、式(D−B)におけるArDA2、式(D−B)におけるArDA4、または、式(D−B)におけるArDA6との結合を表す。
***は、式(D−A)におけるArDA3、式(D−B)におけるArDA3、式(D−B)におけるArDA5、または、式(D−B)におけるArDA7との結合を表す。
RDAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
RDAは前記と同じ意味を表す。
RDBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
Rp1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
Rp1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。np1およびnp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
次に、本発明の金属錯体について説明する。本発明の金属錯体は、式(1)で表される。
式(1)中、n2は、1であることが好ましい。
*は、イリジウム原子と結合する部位を表す。
RL1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRL1は、同一でも異なっていてもよい。
RL2は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
RL1およびRL2は、前記と同じ意味を表す。
RLは、水素原子、または、炭素原子数が4以下のアルキル基もしくは炭素原子数が4以下のシクロアルキル基を表す。複数存在するRLは、同一でも異なっていてもよい。
Z1は、前記式(D−A)または(D−B)で表される基である。Z1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
<群II>
・製造方法1
本発明の金属錯体は、例えば、配位子となる化合物と金属化合物とを反応させる製造方法により製造することができる。必要に応じて、金属錯体の配位子の官能基変換反応を行ってもよい。
n2およびZ1は、前記と同じ意味を表す。
R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、−B(ORW1)2で表される基、アルキルスルホニルオキシ基、シクロアルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ただし、R15、R19、R20およびR21のうちの少なくとも1つは、−B(ORW1)2で表される基、アルキルスルホニルオキシ基、シクロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R15およびR16のうちの少なくとも1つは、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルコキシ基、フッ素原子を置換基として有するアリール基、フッ素原子を置換基として有するアリールオキシ基、フッ素原子を置換基として有する1価の複素環基、フッ素原子またはシアノ基である。
W1は、−B(ORW1)2で表される基、アルキルスルホニルオキシ基、シクロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
RW1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRW1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する酸素原子とともに環構造を形成していてもよい。]
W1で表されるアリールスルホニルオキシ基としては、例えば、p−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
本発明の金属錯体(化合物)は、例えば、金属錯体の前駆体と金属錯体の配位子の前駆体とを反応させる製造方法によっても製造することができる。
式(1)で表される化合物は、n1が3の場合、例えば、下記のスキームに示される式(M−1)で表される化合物と、イリジウム化合物とを反応させる工程Gを含む製造方法により合成することができる。
工程Gにおいて、反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間であるが、100〜300℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。
カップリング反応において、反応を促進するために、パラジウム触媒等の触媒を用いてもよい。パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)等が挙げられる。
本発明の組成物は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料(本発明の金属錯体とは異なる。)、酸化防止剤および溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、本発明の金属錯体とを含有する。
本発明の金属錯体は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性および電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料との組成物とすることにより、かかる組成物を含む発光素子の外部量子効率が特に優れたものとなる。本発明の組成物において、ホスト材料は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
低分子ホストは、好ましくは、下記式(H−1)で表される化合物である。
ArH1およびArH2は、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
nH1およびnH2は、それぞれ独立に、0または1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nH2が複数存在する場合、それらは、同一でも異なっていてもよい。
nH3は、0以上の整数を表す。
LH1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、−[C(RH11)2]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nH11は、1以上10以下の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
LH2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
LH21は、単結合、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
ホスト材料として用いられる好ましい高分子化合物について説明する。
高分子ホストは、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、例えば、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応およびKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が挙げられる。
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
正孔注入材料または電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10−5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
発光材料(本発明の金属錯体とは異なる。)は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子または白金原子を表す。
n3は1以上の整数を表し、n4は0以上の整数を表し、n3+n4は2または3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n3+n4は3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n3+n4は2である。
E4は、炭素原子または窒素原子を表す。
環R3は、6員環の芳香族複素環を表し、この環R3は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環R4は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、環R4は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R4が6員環の芳香族複素環である場合、E4は炭素原子である。
環R3が有していてもよい置換基と環R4が有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
A1−G1−A2は、アニオン性の2座配位子を表す。A1およびA2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。G1は、単結合、または、A1およびA2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A1−G1−A2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
M1、A1−G1−A2、n3およびn4は前記と同じ意味を表す。
R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7CおよびR8Cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子またはデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7CおよびR8Cが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R1CとR2C、R2CとR3C、R3CとR4C、R4CとR5C、R5CとR6C、R6CとR7C、および、R7CとR8Cは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
M1、A1−G1−A2、n3およびn4は前記と同じ意味を表す。
R9C、R10C、R11C、R12C、R13C、R14C、R15C、R16C、R17CおよびR18Cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子またはデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R9C、R10C、R11C、R12C、R13C、R14C、R15C、R16C、R17CおよびR18Cが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R9CとR10C、R10CとR11C、R11CとR12C、R12CとR13C、R13CとR14C、R14CとR15C、R15CとR16C、R16CとR17C、および、R17CとR18Cは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
M1、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、R8C、R9C、R10C、R11C、R12C、R13C、R14C、R15C、R16C、R17CおよびR18Cは、前記と同じ意味を表す。
n3Aおよびn4Aは、それぞれ独立に、1以上の整数を表し、n3A+n4Aは2または3である。M1がイリジウム原子の場合、n3A+n4Aは3であり、M1が白金原子の場合、n3A+n4Aは2である。]
酸化防止剤は、本発明の金属錯体と同じ溶媒に可溶であり、発光および電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本発明の金属錯体を含有する組成物は、膜(層)の形態とすることができる。
本発明の発光素子は、本発明の金属錯体を含む発光素子である。発光素子に含有される本発明の金属錯体は、分子内または分子間で架橋されていてもよく、本発明の金属錯体が分子内および分子間で架橋されていてもよい。
本発明の発光素子の構成としては、例えば、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の金属錯体を含む層とを有する構成が挙げられる。
本発明の金属錯体を含む層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、および電子輸送層、電子注入層から選ばれる1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。
これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した溶媒に溶解させて調製されたインキを用い、上述した塗布法を用いて形成することができる。
発光素子は、通常、基板上に設けられる。発光素子が設けられる基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
陽極および陰極は、各々、2層以上を含む積層構造としてもよい。
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極とが重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、または、両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極とを共にストライプ状に形成してこれらの延在方向が互いに直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源および表示装置としても使用できる。
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でTHFに溶解させ、SECに10μL注入した。
SECの移動相としてTHFを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルムまたはTHFに溶解させ、LC−MS(アジレントテクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相としては、アセトニトリルおよびTHFをその比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。
カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl3−d1)、重テトラヒドロフラン(THF−d8)または重アセトン((CD3)2CO−d6)に溶解させ、NMR装置(バリアン(Varian,Inc)製、商品名:MERCURY 300)、NMR装置(JEOL製、商品名:JNM−ECX400)、または、NMR装置(ブルカー(Bruker corporation)製、商品名:Avance III 600)を用いて測定した。
まず、下記のスキームに従って、化合物L1−aおよび化合物L1−bを用いて化合物L1を得た。
下記のスキームに従って、化合物S1を得た。
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、4−tert−オクチルフェノール(250.00g、1.21mol、Aldrich製)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(177.64g、1.45mol)およびジクロロメタン(3100mL)を加え、これを5℃に氷冷した。その後、これに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(376.06g、1.33mol)を45分間かけて滴下した。滴下終了後、氷冷下で30分間攪拌し、次いで、室温に戻して更に1.5時間攪拌して反応混合物を得た。得られた反応混合物にヘキサン(3100mL)を加え、この反応混合物を、410gのシリカゲルを用いてろ過してろ液を得て、更に、ヘキサン/ジクロロメタン(1/1(体積基準))の混合溶媒(2.5L)でろ過に用いたシリカゲルを洗浄して洗浄液を得た。得られたろ液と洗浄液とを濃縮し、無色オイル状の化合物S1−a(410.94g、1.21mol、LC純度99.7%)を得た。
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、化合物S1−a(410.94g、1.21mol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(338.47g、1.33mol)、酢酸カリウム(237.83g、2.42mol)、1,4−ジオキサン(2600mL)、酢酸パラジウム(4.08g、0.018mol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(10.19g、0.036mol)を加え、2時間還流した。室温まで冷却後、得られた反応混合物をろ過してろ液を集め、さらにろ過物を1,4−ジオキサン(2.5L)で洗浄し、得られたろ液と洗浄液とを濃縮した。この濃縮により得られた残渣を、ヘキサン/ジクロロメタン(1/1(体積基準))の混合溶媒に溶解させ、770gのシリカゲルを用いてろ過してろ液を得て、更に、ヘキサン/ジクロロメタン(1/1(体積基準))の混合溶媒(2.5L)でろ過に用いたシリカゲルを洗浄して洗浄液を得た。得られたろ液と洗浄液とを濃縮し、得られた残渣にメタノール(1500mL)を加えて30分間超音波洗浄を行った。その後、得られた混合物をろ過することにより、化合物S1−b(274.27g)を得た。ろ液と洗浄液とを濃縮し、得られた残渣にメタノールを加え、超音波洗浄を行い、ろ過する操作を繰り返すことことにより、化合物S1−b(14.29g)を得た。得られた化合物S1−bの合計の収量は288.56gであった。
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、1,3−ジブロモベンゼン(102.48g、0.434mol)、化合物S1−b(288.56g、0.912mol)、トルエン(2100mL)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(962.38g、1.31mol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.04g、0.004mol)を加え、7時間還流した。室温に冷却後、水層と有機層を分離し、(第1)有機層を集めた。この水層にトルエン(1L)を加えて、(第2)有機層をさらに抽出した。得られた(第1および第2)有機層を合わせて、これを蒸留水/飽和食塩水(1.5L/1.5L)の混合水溶液で洗浄した。得られた有機層を400gのシリカゲルでろ過してろ液を得、更にトルエン(2L)でろ過に用いたシリカゲルを洗浄して洗浄液を得た。得られたろ液と洗浄液とを濃縮し、得られた残渣をヘキサンに溶解させて溶解液を得た。この溶解液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。展開溶媒であるヘキサンで不純物を溶出させた後に、ヘキサン/ジクロロメタン(10/1(体積基準))の混合溶媒で展開した。得られた各フラクションを減圧濃縮により溶媒を除去し、無色結晶の化合物S1−c(154.08g、LC純度99.1%)、および、粗製の化合物S1−c(38.64g、LC純度83%)を得た。この粗製の化合物S1−cを再び上記と同様の展開条件にてカラム精製し、溶媒を減圧留去し、化合物S1−c(28.4g、LC純度99.6%)を得た。得られた化合物S1−cの合計の収量は182.48g(0.40mol)であった。
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、化合物S1−c(182、48g、0.401mol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(112.09g、0.441mol)、4,4’−ジ-tert−ブチル−2,2’−ジピリジル(3.23g、0.012mol)、シクロヘキサン(2000mL)およびビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム(I)(3.99g、0.006mol)を加え、2時間還流した。室温まで空冷後、得られた反応混合物を攪拌しながらシリカゲル(220g)を20分間かけて加えた。得られた懸濁液を440gのシリカゲルでろ過し、さらにジクロロメタン(2L)でシリカゲルを洗浄し、溶液を濃縮した。得られた残渣に、メタノール(1100mL)およびジクロロメタン(110mL)を加え、1時間還流した。室温まで冷却後、これをろ過した。得られたろ過物をメタノール(500mL)で洗浄し、得られた固体を乾燥させて、化合物S1(220.85g、0.380mol)を得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
下記のスキームに従って、化合物G1−aから化合物G1を得た。
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、特開2008−179617号公報に記載の方法に従って合成した化合物G1−a(36.17g)、化合物S1(94.20g)、トルエン(1545mL)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(341.28g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(8.927g)を加え、80℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、得られた反応液に水(1545mL)を加え、有機層を抽出した。得られた有機層を、水(1545mL)で2回、食塩水(1545mL)で1回洗浄した。得られた有機層を、188gのシリカゲルを用いてろ過し、得られたろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に、トルエン(235g)およびメタノール(1174g)を加え、60℃で30分間加熱した。その後、これを氷浴で5℃に冷却し、固体を析出させた。得られた固体をろ過し、冷メタノールで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、上記式G1−bで表される化合物G1−b(82.0g)を得た。
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、塩化イリジウム三水和物(11.51g)およびイオン交換水(114mL)を加え、50℃に加温して溶解させた。容器内の雰囲気を窒素ガス雰囲気とした別の反応容器に、化合物G1−b(43.80g)、2−エトキシエタノール(792mL)およびイオン交換水(57mL)を加え、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、この溶液に、先に準備した塩化イリジウム水溶液(全量)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、120℃で15時間攪拌した。室温まで冷却後、得られた反応混合物にメタノール(207g)を加え、ろ過して固体を得た。得られた固体を、メタノール(207g)で4回、ヘキサン(115g)で1回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、化合物G1の中間体(42.88g)を得た。
下記式B1で表される化合物(B1)(フェイシャル体)を、下記の工程(1)から工程(6−1)を含むスキームに従って合成した(なお、後述する実施例2の化合物(
B2)(メリジオナル体)の合成のための工程(6−2)についても併せて示した。)。
3−ブロモ−4−フルオロベンゾイルクロリド13.4g(56.5mmol)とピリジン11.5g(154mmol)とを三口フラスコに入れ、三口フラスコ中に2,6−ジメチルアニリン6.20g(51.2mmol)を滴下し、アルゴンガス雰囲気下で16時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧留去し固体を得た。得られた固体を水中に投入した後、減圧濾過により回収し、化合物(B1−A)を14.8g、収率99%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=8.14(dd,1H),7.83−7.93(m,1H),7.30(s,1H),7.10−7.25(m,4H),2.27(s,6H).
化合物(B1−A)6.87g(21.3mmol)と五塩化リン4.39g(21.4mmol)を三口フラスコに入れた後、三口フラスコ中に塩化ホスホリル60mLを滴下し、アルゴンガス雰囲気下で16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、塩化ホスホリルを減圧留去した。ここへ2−プロパノール60mLを加え、さらにアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール44.0g(0.42mol)を滴下した。16時間撹拌した後、12Mの塩酸を滴下し16時間加熱還流した。反応終了後、析出してきた黒色固体をろ別してろ液を得た。得られたろ液に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9程度としてから、トルエンを加えて抽出し、黒色オイル状の生成物を回収した。この生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとジクロロメタンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B1−B)を4.73g、収率64%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.74(dd,1H),7.28−7.32(m,2H),7.17(d,2H),7.13−7.16(m,1H),6.88−6.93(m,2H),1.97(s.6H).
化合物(B1−B)4.93g(14.3mmol)、化合物(B1−G)8.04g(17.2mmol)、トリフェニルホスフィン0.76g(2.86mmol)、トルエン30mL、エタノール15mL、2Mの炭酸ナトリウム水溶液30mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを15分間通気した後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.52g(0.72mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下で16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、トルエンを加え抽出し、油層を回収した。油層を減圧濃縮し、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとジクロロメタンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B1−C)を8.68g、収率99%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/Acetone−d6):δ(ppm)=7.86(t,1H),7.74−7.80(m,1H),7.69(dt,4H),7.60(dt,4H),7.44(t,1H),7.36(dd,2H),7.28(d,1H),7.21−7.27(m,2H),7.14−7.20(m,2H),2.08(s,6H),1.37(s,18H).
塩化イリジウムn水和物400mg(1.14mmol)、化合物(B1−C)1.51g(2.49mmol)、2−エトキシエタノール36mL、および水18mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液を減圧濃縮した。ここへ水20mLを加えて、析出した黄色固体をろ別し、水とメタノールとで洗浄し、黄色粉末として化合物(B1−D)を1.66g得た。得られた化合物(B1−D)はこれ以上精製せず用いた。
化合物(B1−D)1.65g(0.573mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀309mg(1.20mmol)、ジクロロメタン60mL、およびメタノール60mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で21.5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへナトリウムアセチルアセトナート700mg(5.73mmol)、アセトニトリル100mLを加え、アルゴンガス雰囲気下で17時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへジクロロメタン100mLを加えろ過した。ろ液を減圧留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B1−E)を1.03g、収率60%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/Acetone−d6):δ(ppm)=7.70(s,2H),7.60(d,8H),7.55(d,8H),7.31−7.41(m,14H),6.44(d,2H),6.39(d,2H),5.33(s,1H),2.24(s,6H),2.13(s,6H),1.80(s,6H),1.36(s,36H).
化合物(B1−E)500mg(0.31mmol)、化合物(B1−C)300mg(0.49mmol)、グリセリン10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、225℃付近の温度で26時間加熱して反応させた。室温まで冷却し、メタノール50mLを加え、生成した固体をろ過することで回収した。引き続いて、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、フェイシャル体の化合物(B1)を92mg、収率15%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(Acetone−d6):δ(ppm)=7.69(s,3H),7.62(d,12H),7.57(d,12H),7.33−7.40(m,12H),7.25(s,3H),7.19(t,3H),6.95(s,3H),6.76(d,3H),6.59(d,3H),2.21(s,9H),1.99(s,9H),1.26(s,54H).
下記式B2で表される化合物(B2)(メリジオナル体)を、上記の工程(1)から工程(5)に引き続いて行われる下記の工程(6−2)により合成した。
実施例1の工程(5)で得られた化合物(B1−E)500mg(0.31mmol)、化合物(B1−C)300mg(0.49mmol)、エチレングリコール10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、3時間加熱還流した。室温まで冷却し、メタノール50mLを加え、生成した固体をろ過することで回収した。引き続いて、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)を用いて分離精製し、メリジオナル体の化合物(B2)を165mg、収率26%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(Acetone−d6):δ(ppm)=7.68−7.71(m,3H),7.55−7.64(m,24H),7.18−7.43(m,16H),7.11(s,2H),6.93−6.96(m,2H),6.84(d,1H),6.79(s,1H),6.65−6.72(m,3H),6.57(t,2H),2.22−2.25(m,9H),2.06(s,3H),1.97−1.99(m,6H),1.38(s,54H).
下記式B3で表される化合物(B3)(フェイシャル体)を、下記の工程(1)から工程(6)を含むスキームに従って合成した。
3−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド7.79g(37.4mmol)とピリジン3mL、クロロホルム20mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン6.76g(33.8mmol)を滴下し、室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧留去し淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体をジクロロメタンを用いて再結晶し、化合物(B3−A)を10.2g、収率81%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=8.16(s,1H),8.10(d,1H),7.84(d,1H),7.66(t,1H),7.29(s,2H),2.27(s,6H).
化合物(B3−A)4.28g(11.5mmol)と五塩化リン2.40g(11.5mmol)とを三口フラスコに入れた後、塩化ホスホリル5mLを滴下し、アルゴンガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、塩化ホスホリルを減圧留去した。ここへ2−プロパノール10mLを加え、さらにアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール10.5g(99.9mmol)を滴下した。5時間撹拌した後、12Mの塩酸を滴下して16時間加熱還流した。反応終了後、析出してきた黒色固体をろ別し水で洗浄した。この黒色固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により分離精製し、化合物(B3−B)を3.43g、収率75%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.83(s,1H),7.52(d,1H),7.35−7.43(m,5H),6.93(s,1H),1.94(s,6H).
塩化イリジウムn水和物1.11g(3.15mmol)、化合物(B3−B)2.60g(6.58mmol)、2−エトキシエタノール100mL、および水50mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液を減圧濃縮した。ここへ水50mLを加え、析出した黄色固体をろ別し、水とメタノールとで洗浄し、黄色粉末として化合物(B3−C)を3.20g得た。この化合物(B3−C)はこれ以上精製せず用いた。
化合物(B3−C)3.43g(1.69mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀920mg(3.58mmol)、ジクロロメタン80mL、およびメタノール80mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で17時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへナトリウムアセチルアセトナート791mg(6.48mmol)、アセトニトリル100mLを加え、アルゴンガス雰囲気下で18時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン200mLを加え、ろ過した。得られたろ液を減圧濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとトルエンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B3−D)を2.47g、収率82%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.48(s,4H),7.25(s,2H),6.97(s,2H),6.79(d,2H),6.59(d,2H),6.30(s,2H),5.26(s,1H),2.13(s,6H),2.05(s,6H),1.83(s,6H).
化合物(B3−D)1.51g(1.39mmol)、化合物(B3−B)818mg(2.07mmol)、エチレングリコール10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、160℃で15時間加熱反応した。室温まで冷却し、水50mLを加え、生成した固体をろ過することで回収した。引き続いて、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)を用いて分離精製した。フェイシャル体の化合物(B3−E)を1.18g、収率62%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.43(s,6H),6.82(d,6H),6.79(s,3H),6.72(d,3H),6.39(d,3H),2.08(s,9H),1.84(s,9H).
化合物(B3−E)1.83g(1.33mmol)、化合物(B3−G)2.83g(6.04mmol)、トルエン80mL、エタノール15mL、2Mの炭酸ナトリウム水溶液25mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを15分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.486g(0.42mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下で62時間加熱還流した。室温まで冷却した後、トルエンを加え抽出し、油層を回収した。油層を減圧濃縮して、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、フェイシャル体の化合物(B3)を0.851g、収率30%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/Acetone−d6):δ(ppm)=7.85(d,6H),7.80(dd,9H),7.66(t,12H),7.45(dt,12H),7.26(d,3H),6.82−6.86(m,6H),6.75(dd,3H),6.43(d,3H),2.17(s,9H),1.87(s,9H),1.26(s,54H).
下記式B4で表される化合物(B4)(フェイシャル体)を、下記の工程(1)から工程(6−1)を含むスキームに従って合成した(なお、後述する実施例5の化合物(B5)(メリジオナル体)の合成のための工程(6−2)についても併せて示した。)。
4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド5.08g(22.4mmol)とピリジン3mL、クロロホルム20mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン4.45g(22.2mmol)を滴下し、室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧留去し固体を得た。これをジクロロメタンとヘキサンとを用いて再結晶し、化合物(B4−A)を8.47g、収率98%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=8.18(d,1H),8.12−8.15(m,1H),7.35(t,1H),7.29(s,2H),2.25(s,6H).
化合物(B4−A)3.54g(9.07mmol)と五塩化リン1.71g(8.23mmol)を三口フラスコに入れた後、塩化ホスホリル10mLを滴下し、アルゴンガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、塩化ホスホリルを減圧留去した。ここへ2−プロパノール20mLを加え、さらにアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール9.37g(89.1mmol)を滴下した。5時間撹拌した後、12Mの塩酸15mLを滴下し、16時間加熱還流した。反応終了後、10%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを7に調整し、析出してきた固体をろ別して水で洗浄した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)により分離精製し、化合物(B4−B)を2.638g、収率78%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.79(d,1H),7.41(m,1H),7.35(m,3H),7.05(t,1H),6.91(s,1H),1.94(s,6H).
塩化イリジウムn水和物152mg(0.43mmol)、化合物(B4−B)349mg(0.84mmol)、2−エトキシエタノール14mL、および水7mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液を減圧濃縮した。ここへ水7mLを加え、析出した黄色固体をろ別し、水とメタノールとで洗浄し、黄色粉末として化合物(B4−C)を401mg得た。化合物(B4−C)はこれ以上精製せず用いた。
化合物(B4−C)401mg(0.19mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀106.8mg(0.42mmol)、ジクロロメタン30mL、およびメタノール10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で17時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへナトリウムアセチルアセトナート96.2mg(0.78mmol)、アセトニトリル30mLを加え、アルゴンガス雰囲気下で2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへジクロロメタン100mLを加えろ過した。ろ液を減圧留去し、得られた褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)を用いて分離精製した。黄色粉末として化合物(B4−D)を306mg、収率72%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.47(d,4H),7.20(d,2H),6.98(d,2H),6.26(d,2H),6.17(d,2H),5.28(s,1H),2.12(s,6H),2.04(s,6H),1.85(s,6H).
化合物(B4−D)280mg(0.25mmol)、化合物(B4−B)127mg(0.31mmol)、エチレングリコール15mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、150℃で15時間加熱反応した。室温まで冷却し、水50mLを加え、生成した固体をろ過することで回収した。引き続いて、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)を用いて分離精製したところ、フェイシャル体の化合物(B4−E)およびメリジオナル体の化合物(B4−E)がそれぞれ得られた。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.45(s,6H),6.80(d,3H),6.66(d,3H),6.48(d,3H),6.36(d,3H),2.08(s,9H),1.86(s,9H).
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.39−7.48(m,6H),6.81(s,1H),6.69−6.72(m,3H),6.59−6.64(m,3H),6.40−6.47(m,3H),6.37(t,2H),2.11(s,3H),2.07(d,6H),1.93(s,3H),1.84(d,6H).
フェイシャル体の化合物(B4−E)1.60g(1.12mmol)、化合物(B4−G)1.69g(3.62mmol)、トルエン40mL、エタノール15mL、2Mの炭酸ナトリウム水溶液20mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを15分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.2876g(0.249mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下で13時間加熱還流した。室温まで冷却した後、トルエンを加えて抽出し、油層を回収した。油層を減圧濃縮して、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製した。フェイシャル体の化合物(B4)を1.39g、収率56%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.83(s,3H),7.77(s,6H),7.64(d,12H),7.57(d,6H),7.53(d,12H),6.93(s,3H),6.75(s,3H),6.55(d,3H),6.45(d,3H),2.20(s,9H),1.99(s,9H),1.37(s,54H).
下記式B5で表される化合物(B5)(メリジオナル体)を、上記の工程(1)から工程(5)に引き続いて行われる下記の工程(6−2)により合成した。
実施例4の工程(5)で得られたメリジオナル体の化合物(B4−E)531mg(0.371mmol)、化合物(B4−G)548mg(1.17mmol)、トルエン20mL、2Mの炭酸ナトリウム水溶液10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを15分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)144mg(0.125mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下で15時間加熱還流した。室温まで冷却した後、トルエンを加えて抽出し、油層を回収した。油層を減圧濃縮して、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、メリジオナル体の化合物(B5)を237mg、収率29%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.82−7.84(m,3H),7.76−7.78(m,6H),7.63−7.68(m,12H),7.51−7.57(m,18H),6.94(s,1H),6.85(m,1H),6.77−6.81(m,2H),6.70−6.74(m,2H),6.66−6.67(m,1H),6.53−6.57(m,3H),6.45−6.50(m,2H),2.24(s,3H),2.19(s,6H),2.06(s,3H),1.97(s,6H),1.39(s,54H).
下記式(B6−F)で表される化合物(B6−F)を、下記の工程(1)から工程(6)を含むスキームに従って合成した。
4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン1.43g(7.15mmol)、化合物(B6−G)4.03g(8.60mmol)、トリフェニルホスフィン279mg(1.06mmol)、K3PO46.3991g(30.1mmol)、トルエン30mL、エタノール15mL、水15mL、2Mの炭酸ナトリウム水溶液10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを15分間通気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム508mg(0.55mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下で3時間加熱還流した。室温まで冷却した後、トルエンを加え抽出し、油層を回収した。油層を減圧濃縮して、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B6−A)を2.53g、収率76%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.69(m,3H),7.61(d,4H),7.50(d,4H),7.29(s,2H),3.67(s,2H),2.26(s,6H),1.38(s,18H).
3−ブロモベンゾイルクロリド2.00g(9.12mmol)とピリジン2mL、ジクロロメタン50mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で化合物(B6−A)3.31g(7.17mmol)を滴下し、室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧留去し固体を得た。これをジクロロメタンとヘキサンとを用いて再結晶し、化合物(B6−B)を3.91g、収率85%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=8.09(s,1H),7.86(d,1H),7.77(s,1H),7.73−7.76(m,3H),7.63(d,4H),7.51(s,4H),7.36−7.44(s,4H),2.37(s,6H),1.38(s,18H).
化合物(B6−B)2.49g(3.86mmol)と五塩化リン778mg(3.74mmol)とを三口フラスコに入れた後、塩化ホスホリル20mLを滴下し、アルゴンガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、塩化ホスホリルを減圧留去した。ここへ2−プロパノール40mLを加え、さらにアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール7.82g(74.4mmol)を滴下した。7時間撹拌した後、12Mの塩酸20mLを滴下して16時間加熱還流した。反応終了後、2−プロパノールを減圧留去したのち、10%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11に調整し、ジクロロメタンで抽出して生成物を回収した。この生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンと酢酸エチルとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B6−C)を2.29g、収率91%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/CDCl3):δ(ppm)=7.77−7.81(m,4H),7.64(d,4H),7.48−7.52(m,6H),7.36−7.38(m,2H),7.19(d,1H),7.05(t,1H),6.98(s,1H),2.04(s,6H),1.39(s,18H).
化合物(B6−C)1.60g(2.3mmol)、シアン化銅(I)433mg(4.9mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)30mLを、アルゴンガス雰囲気下、175℃で40時間加熱して反応させた。反応液を室温まで冷却後、シアン化ナトリウム1.02g(20.9mmol)を溶解させた水200mLに注いで、50℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後に反応液をジクロロメタンで抽出し、減圧濃縮して、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒)を用いて分離精製し、化合物(B6−D)を1.20g、収率85%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/Acetone−d6):δ(ppm)=7.82(d,2H),7.79(t,1H),7.69−7.71(m,3H),7.64(dd,4H),7.55(t,2H),7.43(dd,4H),7.35(t,1H),7.22(s,1H),7.19(s,1H),1.94(s,6H),1.25(s,18H).
塩化イリジウムn水和物80mg(0.022mmol)、化合物(B6−D)27.3mg(0.044mmol)、2−エトキシエタノール20mL、および水10mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液を減圧濃縮した。ここへ水10mLを加え、析出した固体をろ別し、水とメタノールとで洗浄し、化合物(B6−E)を32.1mg得た。この化合物(B6−E)はこれ以上精製せず用いた。
化合物(B6−E)804mg(0.28mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀161.6mg(0.63mmol)、ジクロロメタン40mL、およびメタノール20mLを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で17時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへナトリウムアセチルアセトナート138.1mg(1.13mmol)、アセトニトリル30mLを加え、アルゴンガス雰囲気下で3時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去し、ここへジクロロメタン100mLを加えろ過した。ろ液を減圧留去し、得られた褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて分離精製し、化合物(B6−F)を285mg、収率34%で得た。1H−NMRの結果は下記のとおりである。
1H−NMR(400MHz/Acetone−d6):δ(ppm)=7.97−8.03(m,8H),7.93(s,2H),7.78(d,8H),7.57(t,10H),7.37(d,2H),6.84(t,2H),6.76(d,2H),6.40(d,2H),5.34(s,1H),2.29(s,6H),2.20(s,6H),1.80(s,6H),1.38(s,36H).
PLスペクトルの測定は、下記の方法で行った。
測定試料を、キシレンに8.0×10−4重量%の濃度になるように溶解させて石英セルに封入し、励起光源にキセノンランプ(浜松ホトニクス社製、Model E7536)を用い、分光器(浜松ホトニクス社製、Model A10080−02)を介して励起波長300nmで測定試料を励起した。PLスペクトルの測定はマルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス社製、PMA12)を用いて行った。
金属錯体(化合物)CB1、B1、B2、B3、B4、B5、G1、G2、R1、R2、およびR3のPLスペクトル測定を行った。各金属錯体の発光ピーク波長(最大ピーク波長)およびCIE色度座標(CIE−x,CIE−y)を表11に示す。
本発明の金属錯体のPLスペクトル、および発光スペクトルの最大ピーク波長が495nm以上750nm未満の2種類の三重項発光錯体のPLスペクトルを、プランキアン軌跡上の色温度3500K、4000K、または5000Kの白色発光スペクトルになるように足し合わせて得られたスペクトルからJIS Z8726−1990に記載の方法により、平均演色評価数Raを算出して演色性を評価した。得られたRaの値が大きいほど、演色性がより高いことを示す。
金属錯体CB1のPLスペクトルと、金属錯体G1またはG2のPLスペクトルと、金属錯体R1、R2、およびR3から選ばれる1種類のPLスペクトルとを、、プランキアン軌跡上の色温度3500K、4000K、または5000Kの白色発光スペクトルになるように足し合わせて得られたPLスペクトルから既に説明したとおり平均演色評価数Raを算出した。結果を下記表12に示す。
金属錯体CB1の代わりに金属錯体B1を用いた以外は比較例1と同様にして、金属錯体B1を用いた時の平均演色評価数Raを算出した。結果を下記表13に示す。
金属錯体CB1の代わりに金属錯体B2を用いた以外は比較例1と同様にして、金属錯体B2を用いた時の平均演色評価数Raを算出した。結果を下記表14に示す。
金属錯体CB1の代わりに金属錯体B3を用いた以外は比較例1と同様にして、金属錯体B3を用いた時の平均演色評価数Raを算出した。結果を下記表15に示す。
金属錯体CB1の代わりに金属錯体B4を用いた以外は比較例1と同様にして、金属錯体B4を用いた時の平均演色評価数Raを算出した。結果を下記表16に示す。
金属錯体CB1の代わりに金属錯体B5を用いた以外は比較例1と同様にして、金属錯体B5を用いた時の平均演色評価数Raを算出した。結果を下記表17に示す。
Claims (7)
- 下記式(1)で表される金属錯体。
n1は、1、2または3を表す。n2は、0または1を表す。n2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R1とR2、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R7とR8、および、R10とR11は、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。但し、R 5 は、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルコキシ基、フッ素原子を置換基として有するアリール基、フッ素原子を置換基として有するアリールオキシ基、フッ素原子を置換基として有する1価の複素環基、フッ素原子またはシアノ基であり、且つ、R 4 は、下記式(D−A1)、(D−A2)または(D−A3)で表される基である。
A1−G1−A2は、アニオン性の2座配位子を表し、G1は、単結合、または、A1およびA2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A1およびA2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。A1−G1−A2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
R p1 、R p2 およびR p3 は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはハロゲン原子を表す。R p1 およびR p2 が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は、1〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。] - 前記R 4 が、前記式(D−A1)で表される基である、請求項1に記載の金属錯体。
- 前記n2が1である、請求項1または2に記載の金属錯体。
- 前記n1が3である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属錯体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属錯体と、
下記式(H−1)で表される化合物とを含有する組成物。
ArH1およびArH2は、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
nH1およびnH2は、それぞれ独立に、0または1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nH3は、0以上の整数を表す。
LH1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、−[C(RH11)2]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nH11は、1以上10以下の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
LH2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
LH21は、単結合、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。] - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属錯体と、
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料と
を含有する組成物。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属錯体を含む発光素子。
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