JP6544101B2 - エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、排気の一部を吸気系に導入するEGRシステムを備えたエンジンに関する。
従来、車両に搭載されるエンジンの排気ガスを排気系から吸気系へと再循環させることで、燃費や環境性能を改善するEGR(Exhaust Gas Recirculation)システムが知られている。すなわち、排気通路と吸気通路との間をEGR通路で接続し、排気ガスの一部をEGRガスとして、再び気筒内へと導入するものである。近年、このようなEGRシステムにおいて、EGR通路の出口を吸気ポートに設定したものが開発されている。気筒内に吸入される直前の吸気流にEGRガスを供給することで、新気及び燃料混合気とEGRガスとが層状に分離したまま気筒内へと導入されやすくなり、気筒内での燃焼状態が安定化しうる(特許文献1参照)。
特開2009-121366号公報
しかしながら、吸気ポート内には吸気弁の開閉による圧力脈動が生じているため、燃料噴射のタイミング及びEGRガスが導入されるタイミングによっては、EGRガスと燃料とを十分に分離しておくことが難しい。例えば、吸気弁が閉鎖されている排気行程に燃料噴射を実施した場合、気化燃料が吸気ポート内に滞留した状態となる。その後、吸気行程で吸気弁が開放されると、吸気ポート内の圧力が低下して新気及びEGRガスが吸気ポート内へと流入する。
このとき、吸気ポート内に滞留した気化燃料とEGRガスとが混合しながら気筒内へと導入されてしまう。これにより、燃料及び新気が混合した混合気とEGRガスとの成層状態を形成しにくくなり、気筒内での燃焼状態が不安定になる場合がある。一方、吸気行程で燃料噴射をしたとしても、新気はEGRガスよりも遅れて吸気ポート内へと流入するため、燃料噴霧とEGRガスとの混合を回避することは難しい。
本件の目的の一つは上記のような課題に鑑み創案されたものであり、気筒内での燃焼状態を改善したエンジンを提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示するエンジンは、吸気ポートの気筒側の開口部を開閉する吸気弁を備える。また、前記吸気ポート内において、開放された前記吸気弁と前記開口部との隙間のうち前記気筒の筒軸寄りの位置を通る方向、かつ、前記気筒のシリンダライナに突き当たる方向に向かって気体を噴射する気体噴射口を備える。さらに、前記気体の流れが形成されている前記吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射口を備える。前記吸気ポートは、一本の通路を二つの前記開口部に向かって分岐形成したサイアミーズ形状を有する。前記気体噴射口は、二つの前記開口部のそれぞれに対して一つずつ設けられ、各々の噴射方向の延長線の交点が前記シリンダライナの表面近傍に位置している。
なお、前記気体噴射口が、前記吸気ポート内の壁面に沿った方向に前記気体を噴射することが好ましい。
(2)前記気体噴射口が、前記吸気ポートの中心線よりも上方の壁面に配置されることが好ましい。
なお、前記気体噴射口が、前記吸気ポート内の屈曲箇所における外周側(旋回外側)の壁面に配置されることが好ましい。
(3)前記気体噴射口が、前記吸気弁のステム基端部と前記筒軸との間に向かって前記気体を噴射することが好ましい。
(4)前記燃料噴射口が、前記吸気ポートの中心線よりも上方の壁面かつ前記気体噴射口よりも上流側に配置されることが好ましい。
ここでいう「上流側」とは、前記吸気ポートの中心線を基準として、前記開口部から遠い側にあることを意味する。例えば、前記気体噴射口から前記中心線へ延ばした垂線の足の位置と、前記燃料噴射口から前記中心線へ延ばした垂線の足の位置とを比較し、前者が後者よりも前記開口部から近い側にある場合に、前記燃料噴射口が前記気体噴射口よりも上流側に配置されているものとする。
(5)前記燃料噴射口が、前記吸気ポートの中心線よりも下方の壁面に配置されることが好ましい。
(6)前記燃料噴射口が、前記吸気ポートの分岐箇所に向かって前記燃料を噴射することが好ましい。
(7)前記気体噴射口から噴射される前記気体が、前記エンジンの排気の一部であることが好ましい。すなわち、前記気体噴射口は、前記排気の一部を前記吸気ポート内で噴射する排気還流口であることが好ましい。前記排気還流口は、前記排気の一部を加圧せずに前記吸気ポート内へと導入する排気還流通路の端部開口であってもよい。あるいは、前記排気の一部を加圧して前記吸気ポート内へと導入する排気還流通路の端部開口であってもよい。
(8)前記燃料噴射口は、吸気行程において少なくとも前記吸気弁が開弁するまでは燃料噴射を停止し、前記気体が前記気筒内に流入する前記吸気弁の開弁後に前記燃料噴射を開始することが好ましい。この場合、前記燃料噴射口からの燃料噴射状態を制御するための制御装置を設けることが好ましい。
開示のエンジンによれば、気筒内壁面への燃料付着を抑制しつつ、燃焼状態を改善することができる。
実施形態としてのエンジンの構造を示す模式的な断面図である。 エンジンの気筒上面図である。 排気流の流通状態を模式的に示す斜視図である。 (A)はバルブリフト、(B)はバルブ開放加速度を示すグラフである。 エンジン(吸気行程初期)の模式的な断面図である。 エンジン(燃料噴射時)の模式的な断面図である。 エンジン(吸気行程中期)の模式的な断面図である。 変形例としてのエンジンの構造を示す模式的な断面図である。
図面を参照して、実施形態としてのエンジンについて説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。なお、以下の説明では、気筒の中心軸が鉛直となるようにエンジンを配置した状態(吸気ポート及び排気ポートが上方に位置する状態)を基準として各部の上下方向が定められるものとする。
[1.構成]
[1−1.エンジン]
本実施形態のエンジン20を図1に示す。このエンジン20は、排気の一部をシリンダヘッド21の吸気ポート1内に循環させるEGRシステム(排気再循環システム)を備えたガソリンエンジンである。エンジン20の気筒23の頂面形状は、吸気ポート1が接続される傾斜面と排気ポート3が接続される傾斜面とを三角屋根状に付き合わせてなるペントルーフ型(切妻屋根型)である。この頂面において、吸気ポート1に繋がる開口部2には吸気弁10が設けられ、排気ポート3に繋がる開口部4には排気弁15が設けられる。これらの開口部2,4,吸気弁10,排気弁15は、それぞれが一つの気筒23に二個ずつ設けられる。図2に示すように、吸気ポート1は、一本の通路を二つの開口部2に向かって分岐形成したサイアミーズ形状を有する。同様に、排気ポート3も、二つの開口部4に接続された通路を一本に合流させたサイアミーズ形状を有する。なお、開口部2,吸気弁10が各気筒23に一個ずつ設けられたものとしてもよく、吸気ポート1,排気ポート3がサイアミーズ形状を有していなくてもよい。
吸気ポート1には、EGR通路の一つである排気戻り通路5が接続されるとともに、インジェクタ7が設けられる。ここで、吸気ポート1に向かって開放されている排気戻り通路5の端部開口のことを、排気還流口6と呼ぶ。また、インジェクタ7の噴孔のことを燃料噴射口8と呼ぶ。排気戻り通路5の上流側は、エンジン20の排気通路に接続される。また、インジェクタ7の上流側は、燃料供給配管に接続される。
[1−2.排気還流口]
排気還流口6(気体噴射口)は、吸気ポート1内に気体を噴射するものであり、例えば排気戻り通路5内を通過した排気を、吸気ポート1内で開口部2に向かう排気流として噴射する機能を持つ。本実施形態の排気還流口6は、排気の一部を加圧せずに吸気ポート1内へと導入するEGR通路の端部開口である。なお、排気の一部を加圧して吸気ポート1内へと導入するEGRシステムが設けられている場合には、加圧された排気が流通するEGR通路の端部開口を排気還流口6として機能させてもよい。また、排気以外の気体を吸気ポート1内に噴射することとしてもよい。
排気還流口6から噴射される排気流の形状は、おおむね排気還流口6から開口部2へと至る経路に沿った棒状とされる。排気還流口6から噴射される排気流の流量は、排気圧や吸気圧(吸気ポート1の内部圧力)に応じて変動する。また、排気戻り通路5に流量制御弁(EGRバルブ)や加圧減圧装置が設けられている場合には、流量制御弁の開度や排気戻り通路5内の圧力に応じて変動する。
排気還流口6の位置は、エンジン20の縦断面で吸気ポート1の中心線よりも上側の内壁面に設定される。すなわち、排気還流口6は、吸気ポート1の屈曲箇所における外周側の壁面に設けられる。図1に示す例では、吸気ポート1の壁面近傍に排気還流口6が設けられているが、排気戻り通路5を吸気ポート1の内側まで延長し、吸気ポート1の壁面からやや離れた位置に排気還流口6を配置してもよい。また、図2に示すように、排気還流口6は各気筒23において二つの開口部2のそれぞれに対して一つずつ設けられる。
排気流の噴射方向は、少なくとも吸気ポート1の内壁面に沿った方向とされる。好ましくは、図1に示すように、吸気ポート1の屈曲箇所における外周側の壁面に沿って排気流が噴射される。これにより、排気流が噴射されている間は、吸気ポート1における旋回外側の表面が排気流によってカーテン状に被覆された状態となり、インジェクタ7から噴射された燃料の付着が抑制される。
排気還流口6から噴射される排気流の噴射方向(エンジン20の側面視における排気流の噴射方向)は、図1,図3に示すように、吸気ポート1内において、開放された吸気弁10と開口部2との隙間のうち筒軸C(気筒23の中心軸)寄りの位置Eを通る方向、かつ、気筒23のシリンダライナ24に突き当たる方向となるように設定される。つまり、排気流の噴射方向は、少なくとも筒軸Cに対して非平行とされる。排気流が通過する位置Eは、図3に示すように、ステム11の基端部から気筒23の筒軸Cへと向かう直線上に位置する。
また、エンジン20の上面視における排気流の噴射方向は、図2に示すように、吸気弁10のステム11の基端部と筒軸Cとの間を通る方向に設定される。ここで、一方の排気還流口6からの噴射方向と他方の排気還流口6からの噴射方向とを上面視で眺めると、各々の延長線の交点がシリンダライナ24の表面近傍に位置している。つまり、一方の排気還流口6から噴射された排気流は、他方の排気還流口6から噴射された排気流とシリンダライナ24の近傍で衝突し、内筒面に沿って下方へと拡散しながら流通する。これにより、シリンダライナ24の表面全体が排気流にカバーされた状態となり、気筒23内の壁面への燃料付着が抑制される。
[1−3.燃料噴射口]
燃料噴射口8は、エンジン20の吸気行程で燃料を吸気ポート1内に噴射する機能を持つ。燃料は、排気流が形成されている吸気ポート1内に噴射される。燃料噴射口8から噴射される燃料噴射量は、燃料噴射口8に供給される燃料の圧力(燃圧)や燃料噴射口8の開弁時間に応じて変動する。
燃料噴射口8の位置は、排気還流口6よりも上流側であって、縦断面で吸気ポート1の上側の内壁面に設定される。排気還流口6から噴射される排気流は、吸気ポート1の内壁面に沿って流通し、その表面をカバーする層流となる。一方、燃料は、表面が排気流によってカバーされた内壁面よりも上流側から噴射される。これにより、吸気ポート1の内壁面に対する燃料の付着が抑制される。
ここでいう上流側とは、吸気ポート1の中心線を基準として開口部2までの距離が長いことを意味する。例えば、図1に示すように、排気還流口6から吸気ポート1の中心線に垂線を下ろし、その垂線の足を点Aとする。一方、燃料噴射口8から吸気ポート1の中心線に垂線を下ろし、その垂線の足を点Bとする。点Bは、点Aよりも開口部2から離れた位置に配置される。また、エンジン20の上面視における燃料噴射口8の位置は、図2に示すように、吸気ポート1が二つの開口部2に向かって分岐するサイアミーズ部27よりも上流側であって、吸気ポート1のほぼ中心に配置される。
燃料の噴射方向は、図1に示すように、排気還流口6から噴射される排気流の噴射方向に沿った方向とされる。ここでいう「排気流の噴射方向に沿った方向」とは、排気流の流通方向とのなす角度がおよそ-45°〜45°の範囲内にある燃料の噴射方向である。この「排気流の噴射方向に沿った方向」には、排気流の流通方向に対して平行な方向が含まれる。また、エンジン20の上面視における燃料噴射方向は、図2に示すように、二つの開口部2の中間位置となるサイアミーズ部27に向かう方向に設定される。これにより、一方の開口部2に引き込まれる排気流と他方の開口部2に引き込まれる排気流とのそれぞれに対して燃料噴霧が供給される。また、サイアミーズ部27に付着した燃料はその近傍で気化し、二つの開口部2のそれぞれから排気流とともに導入される。
[1−4.制御装置]
制御装置9は、少なくともエンジン20の燃料噴射系を制御する電子制御装置であり、CPU,MPUなどのプロセッサやROM,RAM,不揮発メモリなどを集積した電子デバイスである。プロセッサは、制御回路や演算回路,キャッシュメモリなどを内蔵する演算処理装置である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。制御装置9での制御内容は、アプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
制御装置9には、吸気カム25や排気カム26を駆動するカム軸の回転角(カム回転角)を検出するカム角センサ31と、エンジン20のクランク角を検出するクランク角センサ32とが接続される。制御装置9は、カム回転角,クランク角に基づき、インジェクタ7の燃料噴射量,噴射タイミング,燃圧を制御する。
燃料噴射のタイミングは、少なくともエンジン20の吸気行程内であって、吸気弁10の開放中に設定される。好ましくは、吸気行程内において、吸気弁10の開放加速度に基づいて制御される。ここでは、吸気行程内(排気上死点以降)であって、少なくとも吸気弁10の開弁後に燃料噴射が実施される。つまり、排気還流口6から噴射された排気流が、開放された吸気弁10と吸気ポート1との隙間を通って気筒23内に導入されている状態で、燃料噴射が実施される。また、本実施形態では、エンジン20の吸気行程内であって、少なくとも吸気弁10が開弁してから所定時間が経過した後〔図4(A)中のθ2〜θ5区間内〕に燃料噴射が開始される。ここでいう所定時間は、吸気弁10の開放加速度に基づいて設定される。例えば、吸気行程で吸気弁10の開放加速度が正から負に変化するまでの時間が、所定時間として設定される。
図4(A)中のクランク角θ1,θ3,θ5のそれぞれは、吸気弁10の開弁時点,最大開放時点,閉弁時点に対応する。また、クランク角θ2,θ4は、バルブリフトのグラフに変曲点を与えるクランク角である。バルブ開放加速度は、図4(B)に示すように、θ1〜θ2区間が正、θ2〜θ4区間が負、θ4〜θ5区間が再び正となる。制御装置9は、少なくとも排気上死点以降であって、クランク角θがθ1である時刻以降に、燃料噴射を開始する。これにより、吸気ポート1内での燃料と排気流との混合が抑制される。なお、燃料と排気流との混合をより確実に抑制するには、燃料噴射の開始タイミングをより遅角方向に移動させることが好ましい。本実施形態の制御装置9は、吸気行程で開放加速度が正から負に変化するまで(所定時間が経過するまで)は、燃料噴射口8からの燃料噴射を停止させる。これにより、吸気ポート1内の排気流が気筒23へ導入されつつある状態で燃料噴射が実施されることになるため、吸気ポート1内での燃料と排気流との混合が抑制される可能性が大幅に上昇する。
燃料噴射が終了するタイミングは、トータルの燃料噴射量と燃圧とに応じて変化しうるが、吸気行程内で燃料噴射を終了させることが好ましい。このことから、燃圧はエンジン回転数又はエンジン負荷が高いほど上昇するように制御されることが好ましい。これにより、所望の燃料量を吸気行程内に噴射し尽くすことが容易となる。なお、吸気行程が開始されるタイミングや終了タイミングは任意に設定可能であり、θ1〜θ5区間に完全に一致させてもよいし、一致させなくてもよい。公知の可変バルブタイミング機構を用いることで、吸気行程をθ1〜θ5区間から進角方向又は遅角方向へとずらすことができる。
[2.作用]
吸気弁10が開放されると、吸気ポート1の内部圧力が低下して負圧となり、排気戻り通路5を介して排気が排気還流口6から噴射される。このとき、燃料噴射は停止しているため、おもに排気流が吸気ポート1から気筒23へと流入する。排気流は、図5中に黒矢印で示すように、吸気弁10の傘部12と開口部2との隙間のうち、筒軸C寄りの位置を通って気筒23の内部へと導入される。また、気筒23内では、排気流がシリンダブロック22のシリンダライナ24に向かって直進する。シリンダライナ24の近傍では、一方の開口部2から流入した排気流と他方の開口部2から流入した排気流とが衝突し、内筒面に沿って下方へと拡散しながら流通する。これにより、排気がシリンダライナ24の表面に沿って下降し、その後、ピストン頂面に沿って気筒23の筒軸Cに向かうように旋回する旋回流が形成される。
エンジン20の吸気行程で吸気弁10の開放加速度が正から負に変化すると、図6に示すように、燃料噴射口8から燃料が噴射される。燃料は、インテークマニホールド側から吸気ポート1内へと吸い込まれてくる外気流(図6中の白抜き矢印)に流されながら、排気流とともに気筒23内へと導入される。このとき、吸気ポート1の中心線よりも上方の壁面(旋回外側の表面)が排気流によってカーテン状に被覆されているため、燃料が吸気ポート1の内壁面に付着しにくくなる。また、燃料噴射方向が排気流に沿った方向であることから、燃料が排気流の内部に混入しにくくなり、燃料噴霧の一部が排気流の表層に乗って気筒23内へと導入される。また、燃料噴霧の他部は、吸気弁10と開口部2との隙間を通過して気筒23内へと導入される。
排気流の表層にまとわれた状態の燃料は、図7に示すように、気筒23内においても排気流とともに旋回流に沿って搬送される。これにより、気筒23内におけるシリンダライナ24への燃料付着が抑制される。また、吸気ポート1内や気筒23の内部で気化した燃料は、周りの空気やシリンダライナ24から気化潜熱を奪って筒内温度を低下させる。これにより、充填効率や体積効率が増大するとともに、エンジン20のノッキング耐性が向上する。
[3.効果]
(1)上記のエンジン20では、図1,図3に示すように、吸気弁10と開口部2との隙間のうち、筒軸C寄りの位置Eを通る方向に向かって排気流が噴射される。この排気流は、気筒23内においてシリンダライナ24に突き当たり、気筒23の内筒面に沿って下方へと流通する。これにより、シリンダライナ24の表面を排気流でカバー(被覆)することができ、気筒23内の壁面への燃料付着を抑制することができる。したがって、気筒23内における燃焼状態を改善することができる。
(2)上記のエンジン20では、排気還流口6が吸気ポート1の中心線よりも上方の壁面に設けられる。すなわち、排気還流口6は、吸気ポート1の屈曲箇所における外周側の壁面に設けられる。これにより、排気流が噴射されている間は、吸気ポート1における旋回外側の表面を排気流でカーテン状にカバー(被覆)することができる。したがって、燃料の気筒23内への輸送性を高めることができる。
(3)なお、開放中の吸気弁10と開口部2との隙間は、吸気弁10の傘部12の外周に沿った環形状をなす。一方、図3中に示す位置Eは、この環形状の隙間のうち、ステム11の基端部から筒軸Cへと向かう直線上に配置される。これにより、排気流をステム11の基端部に向かって噴射した場合と比較して、排気流の気筒23内での直進性を高めることができる。つまり、気筒23内でシリンダライナ24へと向かう排気の流れを形成しやすくすることができる。したがって、シリンダライナ24への燃料付着を効率的に抑制することができ、燃焼状態をさらに改善することができる。
(4)上記のエンジン20では、燃料噴射口8が排気還流口6よりも上流側に配置され、すなわち、排気還流口6が燃料噴射口8よりも下流側に配置される。これにより、排気流でカバーされた吸気ポート1の内壁面に向かって燃料を噴射することができる。したがって、燃料のポート付着量を減少させることができる。また、燃料の筒内直入率が上昇することから、気筒23内での吸気冷却効果を高めることができる。
(5)上記のエンジン20では、図2に示すように、吸気ポート1のサイアミーズ部27に向かって燃料が噴射される。これにより、燃料の一部をサイアミーズ部27の近傍に付着させて気化させることができる。したがって、燃料の気筒23内への輸送性を向上させることができる。また、ここで気化した燃料蒸気や燃料噴霧は、排気還流口6から噴射される排気流の噴射方向に沿って気筒23内へと導入される。このように、燃料の一部を排気流の表層にまとわせやすくする(乗せやすくする)ことができ、燃料と排気流との混合を効率的に抑制することができる。したがって、気筒23内における燃焼状態をさらに改善することができる。
(6)上記のエンジン20では、吸気行程であっても、吸気弁10が開弁するまでは燃料噴射が停止するため、吸気ポート1内及び吸気弁10の傘部裏面13への燃料の付着を抑制することができる。また、吸気弁10が開弁した後に燃料噴射が開始されるため、排気還流口6から噴射された排気流の流れに沿って燃料を気筒23内に搬送することができる。これにより、燃料が気筒23内のシリンダライナ24に付着しにくくなり、気筒23内における燃焼状態を改善することができる。
(7)上記のエンジン20では、吸気弁10が開弁してから所定時間が経過するまでの間は燃料噴射が停止するため、棒状の排気流を燃料に先行して気筒23内へと導入することができる。したがって、燃料と排気流との混合を抑制(又は回避)することができ、気筒23内における燃焼状態をより改善することができる。
さらに、所定時間が経過した吸気行程内に燃料を噴射することで、燃料を新気と混合させつつ、排気流の表層に乗せて気筒23内へと導入することができる。これにより、気筒23内における燃焼状態をさらに改善することができる。
(8)上記のエンジン20では、吸気弁10の開放加速度に基づいて燃料噴射の開始時刻が制御される。これにより、吸気ポート1内から気筒23内への排気流の引き込みのタイミングを考慮して燃料を噴射することができ、燃料と新気との混合状態を吸気ポート1内で適正化することができる。これにより、気筒23内における燃焼状態を改善することができる。
(9)上記のエンジン20では、吸気行程で開放加速度が正から負に変化するまでは燃料噴射が停止している。これにより、吸気弁10の傘部12による空気の引き込み作用が緩和されつつあるタイミングを精度よく把握することができる。つまり、開弁直後における吸気ポート1内の排気流が気筒23内に引き込まれ、新気が燃料噴射口8の近傍まで引き込まれた後に燃料を噴射することができ、排気流と燃料との混合を抑制することができるとともに、新気と燃料との混合を促進することができる。したがって、気筒23内における燃焼状態を改善することができる。
(10)上記のエンジン20では、エンジン回転数又はエンジン負荷が高いほど、燃料の圧力が昇圧される。これにより、所望の燃料量を吸気行程内に噴射し尽くすことが容易となり、エンジン20の出力を確保することができるとともに、気筒23内における燃焼状態を改善することができる。なお、これに加えて、エンジン回転数又はエンジン負荷が高いほど、燃料噴射の開始タイミングを遅らせることで、燃料と排気流との混合抑制効果を高めることができる。
[4.変形例]
図8に示すエンジン20は、上述の実施形態における燃料噴射口8の位置を変更し、吸気ポート1の中心線を挟んで排気還流口6に対向する壁面(すなわち、吸気ポート1の中心線よりも下方の壁面)に配置したものである。燃料噴射口8の位置は、排気還流口6よりも上流側であって、縦断面で吸気ポート1の下側の内壁面に設定される。一方、燃料の噴射方向は、上述の実施形態と同様に、排気還流口6から噴射される排気流の噴射方向に沿った方向とされる。このように、排気還流口6を燃料噴射口8とは反対側の壁面に配置することで、排気流でカーテン状にカバーされた吸気ポート1の壁面に向かって燃料を噴射することができる。これにより、燃料のポート付着量やシリンダライナ24への付着量を減少させることができ、燃料の気筒23内への輸送性を高めることができるとともに、気筒23内における燃焼状態を改善することができる。
また、上述の実施形態では、燃料をサイアミーズ部27に向かって噴射するインジェクタ7を例示したが、エンジン20の上面視における燃料噴射方向はこれに限定されない。例えば、二つの開口部2のそれぞれに対して、開口部2のほぼ中心に向かう二方向に向かって燃料を噴射してもよい。これにより、一方の開口部2に引き込まれる排気流と他方の開口部2に引き込まれる排気流とのそれぞれに対して燃料噴霧を供給することができ、燃料の気筒23内への輸送性をさらに高めることができる。
なお、上述の実施形態で説明したエンジン20の構造は、マルチポート形式のガソリンエンジンに限らず、単ポートのガソリンエンジンやディーゼルエンジンに適用することも可能である。少なくとも、吸気ポート1に排気還流口6と燃料噴射口8とを備えた内燃機関であれば、上述の実施形態と同様の構造を適用することが可能であり、上述の実施形態と同様の効果を獲得することができる。
1 吸気ポート
2 開口部
5 排気戻り通路
6 排気還流口(気体噴射口)
7 インジェクタ
8 燃料噴射口
9 制御装置
10 吸気弁
23 気筒
24 シリンダライナ

Claims (8)

  1. 吸気ポートの気筒側の開口部を開閉する吸気弁と、
    前記吸気ポート内において、開放された前記吸気弁と前記開口部との隙間のうち前記気筒の筒軸寄りの位置を通る方向、かつ、前記気筒のシリンダライナに突き当たる方向に向かって気体を噴射する気体噴射口と、
    前記気体の流れが形成されている前記吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射口とを備え、
    前記吸気ポートが、一本の通路を複数の前記開口部に向かって分岐形成したサイアミーズ形状を有し、
    前記気体噴射口は、二つの前記開口部のそれぞれに対して一つずつ設けられ、各々の噴射方向の延長線の交点が前記シリンダライナの表面近傍に位置している
    ことを特徴とするエンジン。
  2. 前記気体噴射口が、前記吸気ポートの中心線よりも上方の壁面に配置される
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジン。
  3. 前記気体噴射口が、前記吸気弁のステム基端部と前記筒軸との間に向かって前記気体を噴射する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン
  4. 前記燃料噴射口が、前記吸気ポートの中心線よりも上方の壁面かつ前記気体噴射口よりも上流側に配置される
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン。
  5. 前記燃料噴射口が、前記吸気ポートの中心線よりも下方の壁面に配置される
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン。
  6. 記燃料噴射口が、前記吸気ポートの分岐箇所に向かって前記燃料を噴射する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジン。
  7. 前記気体噴射口から噴射される前記気体が、前記エンジンの排気の一部である
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のエンジン。
  8. 前記燃料噴射口は、吸気行程において少なくとも前記吸気弁が開弁するまでは燃料噴射を停止し、前記気体が前記気筒内に流入する前記吸気弁の開弁後に前記燃料噴射を開始する
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のエンジン。
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