JP6543895B2 - 効果付加装置、方法、およびプログラム、電子楽器 - Google Patents

効果付加装置、方法、およびプログラム、電子楽器 Download PDF

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Description

本発明は、楽音信号に効果を付加する装置、方法、およびプログラム、ならびに電子楽器に関する。
アコースティックピアノにおいて、ダンパーペダル装置を使って発音している状態から、ダンパーペダル装置の踏込みを緩めると、ダンパーが元の位置に戻っていく。この際、ダンパーが弦に触れることにより振動が抑制されるが、これに起因した歪み音成分が発生することが知られている。
従来の電子ピアノにおいて、ダンパーペダル装置の操作に応じて発音される楽音の振幅エンベロープを制御することにより、ダンパーペダルの操作に応じた効果を楽音に付加する従来技術が知られている。
また、電子ピアノにおいて、離鍵時にキーオフタッチ情報を検知してキーオフ音を発生させることにより、アコースティックピアノの離鍵時のダンパー機構の動作に応じて発生する歪み音成分を再現する技術も知られている(例えば特許文献1に記載の技術)。
特許第3587167号公報
しかし、ダンパーペダル装置の操作に応じて発音される楽音の振幅エンベロープを制御する従来技術では、楽音の振幅エンベロープを制御できるだけであり、歪み音成分を忠実に再現することはできなかった。
ダンパー動作に応じてキーオフ音を発生させる従来技術では、キーオフ音を発生させるために楽音発生チャネルを割り当てなければならず、チャネルを消費してしまう。また、単純にキーオフ音を波形メモリから読み出して発生させる従来方式では、歪み音成分が短調であり、ダンパーペダル装置の細かい操作の違いに応じて様々に変化する歪み音成分を忠実に再現することができなかった。
本発明は、操作子の操作に応じて様々に変化する歪み音成分を楽音に付加することを目的とする。
態様の一例では、効果付加装置であって、原音信号を入力して周波数シフト処理を実行する周波数シフタと、前記周波数シフト処理を実行した後の音信号に対して、ダンパーペダル装置の操作状態を表す状態信号に応じたゲインでレベルを変化させるレベル制御処理を実行するレベルコントローラと、前記レベル制御処理を実行した後の音信号を前記原音信号に混合して出力するミキサと、を備え、前記レベル制御処理は、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには、前記ゲインをゼロにし、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに、前記ゲインを増加させ、前記ゲインを増加させた後の所定時間内に前記ゲインをゼロにする処理である、ことを特徴とする。
本発明によれば、操作子の操作に応じて様々に変化する歪み音成分を楽音に付加することが可能となる。
電子鍵盤楽器の実施形態のハードウェア構成例を示す図である。 効果付与部の構成例を示すブロック図である。 周波数シフタの構成例を示すブロック図である。 フィードバックの効果を説明する図である。 FIRフィルタで実現されるヒルベルト変換を用いた解析信号化処理部の構成例を示すブロック図である。 操作子がオフされたときのウエット音信号の振幅エンベロープ特性の例を示す図である。 操作子の踏込量とウエット音信号の振幅エンベロープ特性との関係を説明する図である。 操作子がオフされた直後に新たな発音指示に基づく楽音信号が発生したときのウエット音信号の振幅エンベロープ特性の例を示す図である。 周波数シフタの他の構成例を示すブロック図である。 本実施形態による電子鍵盤楽器の全体制御処理の例を示すフローチャートである。 操作子オフ処理の詳細例を示すフローチャートである。 発音処理の詳細例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、電子鍵盤楽器の実施形態のハードウェア構成例を示す図である。本実施形態は、CPU(中央演算処理装置)101、RAM(ランダムアクセスメモリ)102、ROM(リードオンリーメモリ)103、操作子104、鍵盤105、およびDSP(デジタル信号処理プロセッサ)106が、バス110によって相互に接続された構成を有する。DSP106は、音源部107および効果付与部108を備える。DSP106内の効果付与部108から出力される出力楽音信号は、D/A(デジタル−アナログ変換器)、増幅器、およびスピーカなどを備えるサウンドシステム109から放音される。
CPU101は、読出し専用記憶装置であるROM103に格納されたソフトウェアプログラムに従って、読み書き可能記憶装置であるRAM102とデ−タの授受を行いながら楽音信号生成のための演算を実行し、演算結果をRAM102に書き込むことができる。
CPU101は、鍵盤105の押鍵状態やダンパーペダル装置である操作子104の操作状態をスキャンし、必要に応じてDSP106内の音源部107に発音指示を出すことができる。音源部107は、CPU101からの発音指示に基づいて、楽音波形デ−タを内部の特には図示しない波形ROMから読み込み、その楽音波形デ−タに対して演算処理を実行する。
音源部107での演算結果として得られる楽音信号は、DSP106内の効果付与部108に入力楽音信号として入力する。効果付与部108は、入力楽音信号に対して、操作子104のペダルオフ操作に応じたウエット音信号の生成および混合処理を実行することにより、出力楽音信号を生成しサウンドシステム109に出力する。
図2は、図1の効果付与部108の構成例を示すブロック図である。図2に示される効果付与部108は、周波数シフタ201、混合部202、状態信号203、フィルタ部204、アンプ205、206、入力楽音信号207、出力楽音信号208、ウエット音信号209を含む。この効果付与部108は、ドライ側211を通過する入力楽音信号207に対して、破線枠で示されるウエット側210で効果音成分であるウエット音信号209を生成し、混合部202が両者を混合できる構成を有する。
図1の音源部107から出力された入力楽音信号207は、ウエット側210のフィルタ部204に入力する。ウエット側210は、フィルタ部204、周波数シフタ201、およびアンプ205を備える。フィルタ部204は、入力楽音信号207から所定の周波数帯域成分を選択する例えばバンドパスフィルタであり、図1のDSP106の機能により実現される。フィルタ部204は、図1の操作子104の操作状態に応じて生成される状態信号203に基づいてフィルタ特性fc を制御する。
フィルタ部204から出力される所定の周波数帯域成分からなる楽音信号は、周波数シフタ201に入力する。周波数シフタ201は、フィルタ部204が出力する楽音信号を入力して周波数シフト処理を実行する。周波数シフト処理については、後述する。
周波数シフタ201が出力する楽音信号は、アンプ205に入力する。アンプ205は、状態信号203に応じたレベル制御処理を実行する。このアンプは、図1のDSP106によって実現される、エンベロ−プ制御を行う係数乗算器で実現できる。
アンプ205が出力する楽音信号(以下これを「ウエット音信号」と呼ぶ)209は、混合部202に入力する。混合部202には、ドライ側211の経路上のアンプ206で振幅が調整された入力楽音信号207も入力する。混合部202は、アンプ205でレベル制御されたウエット音信号209を入力楽音信号207に混合して、その混合結果を出力楽音信号208として出力する。
図2には明示しないが、周波数シフタ201による周波数シフト処理で時間遅延が生じる場合は、アンプ206の手前に、入力楽音信号207を上記時間遅延に合わせて遅延させる遅延器を挿入してもよい。
図2の効果付与部108の構成により、入力楽音信号207に、その入力楽音信号207の特定の周波数帯域成分を周波数シフトして得られる高調波成分であるウエット音信号209を混合することができる。このとき、状態信号203が、例えばダンパーペダル装置である操作子104の操作状態に応じて決定され、この状態信号203によってアンプ205のゲインが制御されることにより、混合部202での入力楽音信号207に対する高調波成分を含むウエット音信号209の混合割合が制御される。これにより例えば、操作子104であるダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには、状態信号203を介してアンプ205のゲインをゼロにしてウエット音信号209を入力楽音信号207に混合する割合をゼロにし、ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに状態信号203を介してアンプ205のゲインが急峻に所定値に増加させ、その解除の時点以後所定時間内にアンプ205のゲインを所定値からゼロまで漸次減少させるという制御が行われる。これにより、ダンパーペダル装置の踏込みが解除された直後に、入力楽音信号207にその特定周波数帯域の高調波成分を多く含むウエット音信号209を混合することができ、アコースティックピアノの離鍵時のダンパー機構の動作に応じて発生する歪み音成分を再現することが可能となる。また、アンプ205のゲインだけでなく、フィルタ部204のフィルタ特性や周波数シフタ201の周波数シフト処理の特性も状態信号203で制御することにより、ダンパーペダル装置の操作に応じてより複雑に高調波成分が変化する出力楽音信号208を得ることが可能となる。
図3は、図2の周波数シフタ201の構成例を示すブロック図である。図3に示される周波数シフタ201は、解析信号化処理部301、実数部乗算器302、虚数部乗算器303、減算器304、フィードバック経路305、アンプ306、混合部307、入力楽音信号308、ウエット音信号309を含む。図3の周波数シフタ201は、図2のフィルタ部204から出力される入力楽音信号308を解析信号に変換して周波数シフト処理を実行する構成を有する。
ここで、解析信号とは、入力楽音信号308である原信号を実数部に、原信号に対して位相がπ/2(πは円周率)ラジアンだけ遅れた実信号を虚数部にもった複素信号をいう。いま、角周波数ω0 (ω0 >0)を有する振幅Aの実信号f1 [n]は、下記(1)式で示される。なお、nは、離散時間を示す。
1 [n]=Acos[ω0 n] ・・・(1)
(1)式の実信号に対して、位相がπ/2遅れた実信号f2 [n]は、下記(2)式で示される。
2 [n]=Acos[ω0 n−π/2]=Asin[ω0 n] ・・・(2)
この結果、(1)式の実信号f1 [n]および(2)式の実信号f2 [n]をそれぞれ実数部および虚数部に持つ複素信号f[n]は、下記(3)式で示される。
f[n]=f1 [n]+jf2 [n]
=Acos[ω0 n]+jAsin[ω0 n] ・・・(3)
(3)式をオイラーの公式を使って複素指数関数で表現すると、下記(4)式となる。
f[n]=A{exp[jω0 n]+exp[−jω0 n]}/2
+j[−jA{exp[jω0 n]−exp[−jω0 n]}/2]
=Aexp[jω0 n] ・・・(4)
この複素信号f[n]を、解析信号と定義する。これより、解析信号とは、複素信号の特別な場合で、正の周波数成分ω0 のみを含み負の周波数成分−ω0 をもたない信号として定義される。
このようにして得られた解析信号を用いると、以下のようにして周波数変換を行うことができる。いま説明の簡単のために、振幅Aを無視して、角周波数がω0 である解析信号をexp[jω0 n]とする。この角周波数をω0 +ω1 に周波数変換する場合、解析信号は、下記(5)式で示される。
exp[j(ω0 +ω1 )n]=exp[jω0 n]×exp[jω1 n]
・・・(5)
(5)式より、角周波数がω0 である解析信号exp[jω0 n]の周波数をω0 +ω1 に周波数変換するためには、角周波数がω0 である原信号の解析信号exp[jω0 n]に、角周波数がω1 である解析信号exp[jω1 n]を単純に乗算すればよいことがわかる。
楽音信号を周波数シフト処理する演算では、虚数部は不要であるため、(5)式の実数部のみの演算は、下記(6)式で示される演算になる。なお、次式において「Re{}」は実数部を抽出する演算を示し、「Im{}」は虚数部を抽出する演算を示す。
Re{exp[j(ω0 +ω1 )n]}
=Re{exp[jω0 n]×exp[jω1 n]}
=Re{exp[jω0 n]}×Re{exp[jω1 n]}
−Im{exp[jω0 n]}×Im{exp[jω1 n]}
・・・(6)
(6)式より、角周波数がω0 である原信号の解析信号exp[jω0 n]を角周波数ω1 だけ周波数シフト処理する演算は、原解析信号の実数部Re{exp[jω0 n]}に角周波数がω1 である参照側解析信号の実数部Re{exp[jω1 n]}を乗算した結果から、原解析信号の虚数部Im{exp[jω0 n]}に角周波数がω1 である参照側解析信号の虚数部Im{exp[jω1 n]}を除算した結果を減算する演算として実現できることがわかる。
原信号が入力楽音信号308である場合、その角周波数成分は、単一の角周波数ω0 の成分のみではなく、複数の角周波数の成分を含む。一方、参照側の解析信号は単一の角周波数ω1 を有する。従って、実際の周波数シフト処理では、入力楽音信号308に含まれる各角周波数成分ごとに(6)式の演算が実行されて、入力楽音信号308の周波数成分全体が角周波数ω1 だけ周波数シフト処理されることになる。
ここで、参照側解析信号の実数部Re{exp[jω1 n]}は、例えば余弦波信号cos(ω1 n)とすることができ、参照側解析信号の虚数部Im{exp[jω1 n]}は、例えば正弦波信号sin(ω1 n)とすることができる。
以上より、図3の破線枠310で囲まれた機能ブロックにより、周波数シフト処理を実行することができる。まず、解析信号化処理部301は、入力楽音信号308に対応する解析信号を算出する。
次に、実数部乗算器302は、解析信号化処理部301が出力する解析信号の実数部に対して、周波数シフト量に対応する角周波数ω1 を有する余弦波信号cos(ω1 n)を乗算する。
同様に、虚数部乗算器303は、解析信号化処理部301が出力する解析信号の虚数部に対して、周波数シフト量に対応する角周波数ω1 を有する正弦波信号sin(ω1 n)を乗算する。
余弦波信号cos(ω1 n)および正弦波信号sin(ω1 n)は、例えば1つの発振器の出力信号として得ることができる。
そして、減算器304は、実数部乗算器302の乗算結果から、虚数部乗算器303の乗算結果を減算し、その減算結果をウエット音信号309として出力する。
図2に示される周波数シフタ201は、破線枠310で示される上述の周波数シフト処理演算機能に加えて、アンプ306および混合部307を含むフィードバック経路305を備える。このフィードバック経路は、減算器304から出力されるウエット音信号309を、アンプ306および混合部307を介して入力楽音信号308が入力する入力側にフィードバックさせる。
このフィードバック経路305により、周波数シフト処理した楽音信号成分をさらに繰り返し周波数シフト処理することが可能となり、より複雑な高調波成分を生成することが可能となる。すなわち、周波数シフト処理したウエット音信号309に対しても周波数シフト効果が得られることになるため、アンプ306のゲインを調整することによりフィードバックゲインを大きくすると、設定された周波数シフト量の高調波成分を容易に増やすことができる。図4は、フィードバックの効果を説明する図である。図4(a)は、フィードバックなしの場合の出力楽音信号208(図2)の周波数特性の例を示す図である。この周波数特性には、原音の入力楽音信号308の周波数成分300Hz(ヘルツ)と、その成分に対して200Hzの周波数シフト処理を行って得られるウエット音信号309の周波数成分500Hzが含まれることがわかる。図4(b)は、フィードバックゲインが50%である場合の出力楽音信号208(図2)の周波数特性の例を示す図である。この周波数特性には、周波数700Hz、900Hz、1100Hzと、設定された周波数シフト量ずつ周波数が順次シフトして得られる各周波数成分が含まれることがわかる。図4(b)は、フィードバックゲインが約90%である場合の出力楽音信号208(図2)の周波数特性の例を示す図である。この周波数特性には、高調波成分がさらに多く含まれることがわかる。このようにして、フィードバック経路305を設けることにより、複雑な高調波成分を有するウエット音信号309を含む出力楽音信号208を得ることが可能となる。
図5は、FIRフィルタで実現されるヒルベルト変換を用いた図3の解析信号化処理部301の構成例を示すブロック図である。
前述した(3)式および(4)式の定義より、入力楽音信号308に対応する解析信号は、入力楽音信号308を実数部に持ち、その入力楽音信号308の位相をπ/2だけ遅延させて得られる楽音信号を虚数部に持つ信号である。入力楽音信号308の位相をπ/2遅延させる処理は、ヒルベルト変換器により実現できることが知られている。ヒルベルト変換器の周波数特性H(ω)は、標本化周波数をωs とすれば、下記(7)式の特性を有する。
H(ω)=−j, 0<ω<ωs /2
= j, −ωs /2<ω<0 ・・・(7)
これより、ヒルベルト変換器は、振幅特性が周波数によらず一定で、位相特性は正の周波数領域でπ/2遅れ、負の周波数領域ではπ/2進むようなフィルタとみなすことができる。そして、入力楽音信号308の周波数帯域を図2のフィルタ部204によって限定することで、(7)式の周波数特性を有するヒルベルト変換器のフィルタは例えば、FIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタで十分な精度で近似的に演算できる。
ここで、楽音信号に対するリアルタイム処理を考えた場合、M次のFIRフィルタではM/2の遅延が発生する。そのため、入力楽音信号308に対してM次のFIRフィルタ処理を実行した場合、そこから出力される入力楽音信号308に対応する解析信号の虚数部である入力楽音解析信号虚数部502は、同じく実数部である入力楽音解析信号実数部501(=入力楽音信号308)に対して、M/2の遅延を生じる。そこで、この位相のずれを補正するために、入力楽音信号308をM/2の遅延処理を行う遅延器に入力させ、その出力として入力楽音解析信号実数部501を出力する必要がある。
図5は、図3の解析信号化処理部301を実現するM次のFIRフィルタの構成例である。このFIRフィルタにおいて、入力楽音信号308であるx[n]は、z-1で示される離散時間単位遅延素子をM個従属接続された回路部分に入力される。そして、各遅延素子の出力に各乗算器でそれぞれフィルタ係数h0 、h1 、・・・hM/2 、・・・hM-1 、hM を乗算して得られる各乗算結果を加算した結果が、yIm[n]=入力楽音解析信号虚数部502として、図3の虚数部乗算器303に出力される。
図5の構成において、FIRフィルタのM/2段目の遅延素子の出力に現れる信号が、入力楽音信号308=x[n]をM/2だけ遅延させた信号x[n−M/2]に等しいことがわかり、別に遅延器を用意せずに、FIRフィルタのM/2段目の遅延素子の出力x[n−M/2]を、yRe[n]=入力楽音解析信号実数部501として、図3の実数部乗算器302に出力させることができる。
以上に示した図2から図5の構成例を有する図1の効果付与部108は、図1のDSP106のソフトウェア処理によって実現することができる。
次に、図1の操作子104の操作状態に基づいて、図1の状態信号203が制御される場合の動作について説明する。
まず、操作子104の操作状態が例えば、オンまたはオフの2値をとる場合について説明する。図6は、操作子104がオフされたときの図2のウエット音信号209の振幅エンベロープ特性の例を示す図である。図5のFIRフィルタの各フィルタ係数h0 〜hM 、図3の角周波数ω1 による定まる周波数シフト量、および図3のアンプ306に設定されるフィードバックゲインには、あらかじめ所定の値を設定しておく。操作子104のオフが検出されると、例えば図6に例示される所定のエンベロープに従って、図2の状態信号203が、ウエット音信号209の振幅エンベロープを制御するアンプ205のゲイン値として制御される。すなわち、操作子104であるダンパーペダル装置の踏込みが行われているときにはアンプ205のゲインとして与えられる状態信号203の値がゼロにされ、ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに状態信号203の値が急峻に所定値に増加させられた後、その解除の時点以後所定時間内に状態信号203の値が上記所定値からゼロまで漸次減少させられる。なお、図6の例は、エンベロープ特性は直線的な遷移を有するが、これに限定されるものではない。このようにして、操作子104のオフ処理に応じて、図2の入力楽音信号207に高調波成分を含むウエット音信号209を付与された出力楽音信号208を得ることができる。
次に、操作子104の操作状態が例えば、2値以上の値をとる場合について説明する。この場合、操作子104がオフする時の開始位置情報とオフ時の変位速度(ベロシティに相当する)に基づき、図2の状態信号203を制御することができる。この場合の操作子104の操作状態として、ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときのそのダンパーペダル装置の踏込量および踏込解除速度が検出される。図7は、操作子104の踏込量と図2のウエット音信号209の振幅エンベロープ特性との関係を説明する図である。振幅エンベロープ特性701は操作子104の踏込量が多い場合、振幅エンベロープ特性702は操作子104の踏込量が少ない場合である。このようにして、操作子104の踏込量に基づいて、アンプ205に供給される状態信号203の値の最大レベルが制御されることにより、操作子104の踏込量に応じて、操作子104のオフ時に図2のウエット音信号209が出力楽音信号208に含まれる割合すなわち高調波の割合を制御することが可能となる。
次に、操作子104の踏込解除速度は、鍵盤楽器における弦振動の抑制度合に対応させることができ、その速度が速いほど効果を大きくすることができる。ここでは、抑制度合いの効果を大きな状態を再現するために、次のような制御を実施することができる。すなわち、踏込解除速度が速い場合には、図2のフィルタ部204の選択帯域を広げるような状態信号203がフィルタ部204に供給され、また、図3のアンプ306のフィードバックゲインを上げるような状態信号203がアンプ306に供給される。踏込解除速度が遅い場合には、図2のフィルタ部204の選択帯域を狭めるような状態信号203がフィルタ部204に供給され、また、図3のアンプ306のフィードバックゲインを下げるような状態信号203がアンプ306に供給される。
以上のような操作子104の踏込量と踏込解除速度の制御により、例えば、操作子104の踏込みが大きな状態で速くダンパーペダルを離した場合には、ウエット音信号209が多くの高調波成分を含んだ状態で出力楽音信号208を出力させることができる。
ここで、周波数シフト量は固定としたが、周波数シフト量とフィードバックゲインを適宜調整して、高調波分の密度をより細かく調整するような構成にすることも可能である。
次に、図3および図5の解析信号化処理部301が出力する解析信号において、その包絡線は一般的に、下記(8)式により算出することができる。
(yRe[n]2 +yIm[n]2 1/2 ・・・(8)
(8)式の計算値または平方根を取る前の値などを用いると、解析信号の概略振幅(概レベル情報)を知ることができる。操作子104のオフ時に、状態信号203を決定するときに、この概略振幅情報も加味することができる。例えば、概略振幅の値が小さい場合は、そのタイミングでの制御対象への影響も小さくなるとみなし、状態信号203による各パラメータへの影響度合が小さくなるようにすればよく、対象となるパラメータの元々の効果があるとすれば、これに概略振幅の割合を乗じたものを用いるようにすればよい。これにより、実際に発音している楽音信号の振幅量に応じて、効果の付与具合を変えることが可能となる。例えば、効果付与する際に、入力楽音信号207が小さい振幅であった場合に、図2のウエット音信号209の割合が極端に大きくなるような不自然さを無くすことができる。
図8は、操作子104がオフされた直後に図1の音源部107から新たな発音指示に基づく入力楽音信号207が発生したときのウエット音信号209の振幅エンベロープ特性の例を示す図である。操作子104のオフに対するウエット音信号209の生成処理中の例えば図8の801のタイミングで新たな入力楽音信号207の発音が発生した場合、再度、鍵盤楽器の弦が振動状態になっているとみなせるので、ウエット音信号209の影響を低減する処理が実行される。具体的には、ウエット音信号209の生成処理中に新たな発音が検出された場合、図8に示されるように、ウエット音信号209の振幅エンベロープが、通常のエンベロープ802よりも速く消音するエンベロープ803に切り替えられる。
図9は、図2の周波数シフタ201の他の構成例を示すブロック図である。図9の構成が図3の構成と異なる点は、実数部乗算器302に供給される周波数シフト量に対応する角周波数ω1 を有する余弦波信号cos(ω1 n)と、虚数部乗算器303に供給される同じく角周波数ω1 を有する正弦波信号sin(ω1 n)が、発振器からではなく、図1の音源部107から供給される点である。音源部107は、一般的にこれらの信号を生成する機能を備えているため、発振器を別途用意する必要がなく、効果付与部108の構成を簡略化することが可能である。この構成をとった場合、既存リソースを活用しながら、効果付与部108における処理量を低減することができ、同時にシフト量などを音源部107の側でより細かく制御することが可能となる。
図10は、本実施形態による電子鍵盤楽器の全体制御処理の例を示すフローチャートである。この全体処理は、図1のCPU101が、RAM102を作業領域として使用しながら、ROM103に記憶された全体制御処理プログラムを実行する動作として実現される。
ユーザによって電子鍵盤楽器の電源スイッチ(特には図示しない)がオンされると、CPU101は、このプログラムをスタートさせ、電源スイッチがオフされるまで、ステップS1001の操作子オフ処理、ステップS1002の発音処理、およびステップS1003のその他の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS1003のその他の処理は、電子鍵盤楽器の特には図示しない各種設定スイッチをスキャン等する処理である。
図11は、図10のステップS1001の操作子オフ処理の詳細例を示すフローチャートである。
CPU101はまず、操作子104のオフ処理を開始したときの時間位置情報(踏込量)を取得し、RAM102上の変数xに格納する(ステップS1101)。
次に、CPU101は、図2の入力楽音信号207の入力振幅情報を前述した(8)式によって取得し、RAM102上の変数envに格納する(ステップS1102)。
次に、CPU101は、図2のウエット音信号209の振幅を決定するための状態信号203の値(アンプ205に供給するゲイン)であるWetレベルを取得する(ステップS1103)。具体的には、ステップS1101で変数xに取得したオフ処理開始の時間位置情報と、ステップS1102で変数envに取得した入力振幅情報をパラメータとして、Wetレベルを計算する関数LevelCurve(x,env)を呼び出し、その計算結果をRAM102上の変数wetに格納する。
次に、CPU101は、操作子104の踏込解除速度情報を取得してRAM102上の変数vに格納する(ステップS1104)。
次に、CPU101は、ステップS1104で変数vに取得した踏込解除速度情報とステップS1102で変数envに取得した入力振幅情報をパラメータとして、図2のフィルタ部204の中心周波数を算出する関数Coef(v,env)を呼び出し、その計算結果をRAM102上の変数fc に格納する。また、CPU101は、ステップS1104で変数vに取得した踏込解除速度情報とステップS1102で変数envに取得した入力振幅情報をパラメータとして、周波数シフト量(図3のω1 に対応)を算出する関数FreqShift(v,env)を呼び出し、その計算結果をRAM102上の変数shiftに格納する。さらに、CPU101は、ステップS1104で変数vに取得した踏込解除速度情報とステップS1102で変数envに取得した入力振幅情報をパラメータとして、図3のアンプ306にフィードバックゲインとして供給する状態信号203の値を算出する関数Feedback(v,env)を呼び出し、その計算結果をRAM102上の変数fbkに格納する(以上、ステップS1105)。
その後、CPU101は、ステップS1105で変数fc 、shift、およびfbkにそれぞれ取得したパラメータを図1のDSP106内の効果付与部108に通知する(ステップS1106)。これにより、DSP106は、図2のフィルタ部204の中心周波数と、図3の周波数シフト量ω1 と、図3のアンプ306のゲインを、上記変数fc 、shift、およびfbkの各値に基づいて制御する。
さらに、CPU101は、ステップS1103で変数wetに取得したパラメータを図1のDSP106内の効果付与部108に通知する(ステップS1107)。これにより、DSP106は、図2のアンプ205のゲインを、上記変数wetの値に基づいて制御する。
以上の一連の処理の後、CPU101は、図11のフローチャートで例示される図10のステップS1001の操作子オフ処理を終了する。
なお、図11のフローチャートにおいて、破線で囲んだステップS1102、ステップS1104、およびステップS1105の各処理は、操作子104の操作情報が図6で説明したようにオン、オフの2値をとる場合には、実行しなくてよい。この場合には、前述したように、図2のアンプ205のゲインのみが、操作子104のオフを起点として制御される。この場合、ステップS1103で参照される変数envの値は、固定値である。
図12は、図10のステップS1002の発音処理の詳細例を示すフローチャートである。
まず、CPU101は、鍵盤105の状態をスキャンして押鍵または離鍵を検出して、その検出結果に基づく押鍵(ノートオン)指示または離鍵(ノートオフ)指示を音源部107に通知する等の、通常の発音処理を実行する(ステップS1201)。
次に、CPU101は、図1のDSP106内の効果付与部108がエンベロープ制御を実行中であるか否かを判定する(ステップS1202)。
効果付与部108がエンベロープ制御を実行中ではない場合(ステップS1202の判定がNOの場合)には、CPU101は、そのまま図12のフローチャートで例示される図10のステップS1002の発音処理を終了する。
効果付与部108がエンベロープ制御を実行中の場合(ステップS1202の判定がYESの場合)には、CPU101は、図8の803として例示したように高速リリース用のエンベロープ値を設定する処理を実行し、その結果得られる値をRAM102上の変数wetに格納する(ステップS1203)。
そして、CPU101は、ステップS1203で変数wetに取得したパラメータを図1のDSP106内の効果付与部108に通知する(ステップS1204)。これにより、DSP106は、図2のアンプ205のゲインを、上記変数wetの値に基づいて図8の803で例示される特性で高速リリース処理する。
以上説明した実施形態は、図1の音源部107から出力される入力楽音信号207の全体に対して周波数シフト処理を実行するように構成されたが、音源部107が出力する個別のチャネルの入力楽音信号に対して周波数シフト処理が実行されてもよい。
以上説明した実施形態により、入力楽音信号207に応じて周波数シフト処理による倍音構成を違えることができるので、従来の波形再生による歪み音成分の付加のように効果が単調となることがなく、ダンパーペダル装置から足を離した場合の歪み感を出せる。
本実施形態では、図2のフィルタ部204を設けることで、特定帯域の音を元にした周波数シフト音を生成できるため、歪み音の特性を容易にコントロールできる。
本実施形態では、図2の周波数シフタ201内に図3のフィードバック経路305を設けたので、周波数シフト量の調節の他に、生成信号の周波数成分を調節することが可能となり、複雑な高調波成分を付加することが可能となる。
本実施形態では、入力楽音信号207の振幅情報に基づいて、周波数シフト処理を制御できるため、効果が単調にならず、自然な動きとなる。
本実施形態によるシステムは、図10から図12のフローチャートの処理で実現される機能を搭載したプログラムを図1のCPU101が実行することで実現される。そのプログラムは、例えば図1には特には図示しない外部記憶装置や可搬記録媒体に記録して配布してもよく、或いは図1には特には図示しない通信インタフェースによりネットワークから取得できるようにしてもよい。また、図1のDSP106が実行する制御プログラムも同様に取得することができる。
以上の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
原音信号を入力して周波数シフト処理を実行する周波数シフタと、
周波数シフト処理後の音信号に対して操作子の操作状態を表す状態信号に応じたレベル制御処理を実行するレベルコントローラと、
当該レベル制御処理後の音信号を前記原音信号に混合して出力するミキサと、
を備えることを特徴とする効果付加装置。
(付記2)
前記原音信号から所定の周波数帯域成分を選択するフィルタを更に備え、当該所定の周波数帯域成分の音信号を前記周波数シフタに入力させる、
ことを特徴とする付記1に記載の効果付加装置。
(付記3)
前記フィルタは、前記状態信号に応じて、フィルタ特性を制御する、
ことを特徴とする付記2に記載の効果付加装置。
(付記4)
前記周波数シフタは、当該周波数シフタから出力される音信号を当該周波数シフタの入力側にフィードバックさせるフィードバック経路を備える、
ことを特徴とする付記1ないし3のいずれかに記載の効果付加装置。
(付記5)
前記周波数シフタは、前記状態信号に応じて、前記フィードバック経路におけるフィードバック量を制御する、
ことを特徴とする付記4に記載の効果付加装置。
(付記6)
前記周波数シフタは、
前記原音信号を入力して解析信号を算出する解析信号化処理手段と、
当該解析信号の実数部および虚数部に対してそれぞれ、前記周波数シフト処理における周波数シフト量に対応する周波数を有する解析信号の実数部および虚数部をそれぞれ乗算する乗算手段と、
前記乗算手段が出力する実数部および虚数部を加算し、当該加算後の音信号を前記周波数シフト処理後の音信号として出力する加算手段と、
を備えることを特徴とする付記1ないし5のいずれかに記載の効果付加装置。
(付記7)
前記周波数シフト量に対応する周波数を有する解析信号を、電子楽器の音源部の出力に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記6に記載の効果付加装置。
(付記8)
前記解析信号化処理手段が出力する解析信号の概レベル情報を生成し、当該概レベル情報に基づいて前記状態信号を生成する、
ことを特徴とする付記6または7に記載の効果付加装置。
(付記9)
付記1ないし8のいずれかに記載の効果付加装置と、
楽音信号を生成する音源手段と、
を備え、
前記楽音信号を前記原音信号として前記効果付加装置に入力し、当該効果付加装置が出力する音信号を出力楽音信号として出力する、
ことを特徴とする電子楽器。
(付記10)
前記操作子はダンパーペダル装置であり、前記操作子の操作状態は当該ダンパーペダル装置の踏込みが解除される状態である、
ことを特徴とする付記9に記載の電子楽器。
(付記11)
前記操作子の状態を表す状態信号は前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときの当該ダンパーペダル装置の踏込量および踏込解除速度を表す信号である、
ことを特徴とする付記10に記載の電子楽器。
(付記12)
前記ミキサは、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには前記レベル制御処理後の音信号を前記原音信号に混合する割合をゼロにし、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに前記割合を急峻に所定割合に増加させた後、当該解除の時点以後所定時間内に前記割合を前記所定割合からゼロまで漸次減少させる、
ことを特徴とする付記9ないし11のいずれかに記載の電子楽器。
(付記13)
前記ミキサは、前記ダンパーペダル装置の踏込量に応じて前記所定割合を制御する、
ことを特徴とする付記12に記載の電子楽器。
(付記14)
前記ミキサは、前記所定時間内に前記割合を前記所定割合からゼロまで漸次減少させる制御を実行しているときに、前記音源手段から次の発音指示に基づく楽音信号が発生した場合に、前記所定時間よりも短い時間内に前記割合を前記所定割合からゼロまで漸次減少させる、
ことを特徴とする付記12または13に記載の電子楽器。
(付記15)
効果付加装置が、
原音信号を入力して周波数シフト処理を実行し、
周波数シフト処理後の音信号に対して操作子の操作状態を含む状態信号に応じたレベル制御処理を実行し、
当該レベル制御処理後の音信号を前記原音信号に混合して出力する、
ことを特徴とする効果付加方法。
(付記16)
原音信号を入力して周波数シフト処理を実行するステップと、
周波数シフト処理後の音信号に対して操作子の操作状態を含む状態信号に応じたレベル制御処理を実行するステップと、
当該レベル制御処理後の音信号を前記原音信号に混合して出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 操作子
105 鍵盤
106 DSP
107 音源部
108 効果付与部
109 サウンドシステム
110 バス
201 周波数シフタ
202、307 混合部
203 状態信号
204 フィルタ部
205、206、306 アンプ
207、308 入力楽音信号
208 出力楽音信号
209、309 ウエット音信号
210 ウエット側
211 ドライ側
301 解析信号化処理部
302 実数部乗算器
303 虚数部乗算器
304 減算器
305 フィードバック経路
310 破線枠
501 入力楽音解析信号実数部
502 入力楽音解析信号虚数部

Claims (16)

  1. 原音信号を入力して周波数シフト処理を実行する周波数シフタと、
    前記周波数シフト処理を実行した後の音信号に対して、ダンパーペダル装置の操作状態を表す状態信号に応じたゲインでレベルを変化させるレベル制御処理を実行するレベルコントローラと、
    前記レベル制御処理を実行した後の音信号を前記原音信号に混合して出力するミキサと、
    を備え、
    前記レベル制御処理は、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには、前記ゲインをゼロにし、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに、前記ゲインを増加させ、前記ゲインを増加させた後の所定時間内に前記ゲインをゼロにする処理である、効果付加装置。
  2. 前記レベル制御処理は、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには、前記ゲインをゼロにし、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに、前記ゲインを急峻に所定値に増加させ、前記解除の時点以降の所定時間内に前記ゲインを前記所定値からゼロまで漸次減少させる処理である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の効果付加装置。
  3. 前記原音信号から所定の周波数帯域成分を選択するフィルタを更に備え、当該所定の周波数帯域成分の音信号を前記周波数シフタに入力させる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の効果付加装置。
  4. 前記フィルタは、前記状態信号に応じて、フィルタ特性を制御する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の効果付加装置。
  5. 前記周波数シフタは、当該周波数シフタから出力される音信号を当該周波数シフタの入力側にフィードバックさせるフィードバック経路を備える、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の効果付加装置。
  6. 前記周波数シフタは、前記状態信号に応じて、前記フィードバック経路におけるフィードバック量を制御する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の効果付加装置。
  7. 前記周波数シフタは、
    前記原音信号を入力して解析信号を算出する解析信号化処理手段と、
    当該解析信号の実数部および虚数部に対してそれぞれ、前記周波数シフト処理における周波数シフト量に対応する周波数を有する解析信号の実数部および虚数部をそれぞれ乗算する乗算手段と、
    前記乗算手段が出力する実数部および虚数部を加算し、当該加算後の音信号を前記周波数シフト処理後の音信号として出力する加算手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の効果付加装置。
  8. 前記周波数シフト量に対応する周波数を有する解析信号を、電子楽器の音源部の出力に基づいて生成する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の効果付加装置。
  9. 前記解析信号化処理手段が出力する解析信号の概レベル情報を生成し、当該概レベル情報に基づいて前記状態信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の効果付加装置。
  10. 前記ダンパーペダル装置の操作状態を表す状態信号は、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときの当該ダンパーペダル装置の踏込量および踏込解除速度を表す信号である、
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の効果付加装置。
  11. 前記ミキサは、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには前記レベル制御処理後の音信号を前記原音信号に混合する割合をゼロにし、前記ダンパーペダル装置の
    踏込みが解除されたときに前記割合を急峻に所定割合に増加させた後、当該解除の時点以
    後所定時間内に前記割合を前記所定割合からゼロまで漸次減少させる、
    ことを特徴とする請求項10に記載の効果付加装置。
  12. 前記ミキサは、前記ダンパーペダル装置の踏込量に応じて前記所定割合を制御する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の効果付加装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の効果付加装置と、
    楽音信号を生成する音源手段と、
    を備え、
    前記楽音信号を前記原音信号として前記効果付加装置に入力し、当該効果付加装置が出力する音信号を出力楽音信号として出力する、
    ことを特徴とする電子楽器。
  14. 前記ミキサは、前記所定時間内に前記割合を前記所定割合からゼロまで漸次減少させる制御を実行しているときに、前記音源手段から次の発音指示に基づく楽音信号が発生した場合に、前記所定時間よりも短い時間内に前記割合を前記所定割合からゼロまで漸次減少させる、
    ことを特徴とする請求項11または12のいずれかを引用する請求項13に記載の電子楽器。
  15. 効果付加装置が、
    原音信号を入力して周波数シフト処理を実行し、
    前記周波数シフト処理を実行した後の音信号に対して、ダンパーペダル装置の操作状態を表す状態信号に応じたゲインでレベルを変化させるレベル制御処理を実行し、
    前記レベル制御処理を実行した後の音信号を前記原音信号に混合して出力し、
    前記レベル制御処理は、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには、前記ゲインをゼロにし、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに、前記ゲインを増加させ、前記ゲインを増加させた後の所定時間内に前記ゲインをゼロにする処理であ
    る、効果付加方法。
  16. 原音信号を入力して周波数シフト処理を実行するステップと、
    前記周波数シフト処理を実行した後の音信号に対して、ダンパーペダル装置の操作状態を表す状態信号に応じたゲインでレベルを変化させるレベル制御処理を実行するステップと、
    前記レベル制御処理を実行した後の音信号を前記原音信号に混合して出力するステップと、
    をコンピュータに実行させ、
    前記レベル制御処理は、前記ダンパーペダル装置の踏込みが行われているときには、前記ゲインをゼロにし、前記ダンパーペダル装置の踏込みが解除されたときに、前記ゲインを増加させ、前記ゲインを増加させた後の所定時間内に前記ゲインをゼロにする処理である、プログラム。
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