JP6543102B2 - 集音器 - Google Patents

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Description

この発明は、パラボラ形状の反射板の焦点位置にマイクを設置し、遠方の音をマイクを介し収音する集音器に関する。
遠方の音を収音する集音器として、パラボラ型反射板を用いたものがある。パラボラ型反射板とは、放物曲面をもった反射板であり、レンズ同様に焦点を有している。
図8(a)に従来からあるパラボラ型反射板を用いた集音器の例を示す。この集音器はパラボラ型反射板にマイク(パラボラマイク)を設置した集音器において、マイク3をパラボラ型反射板2の前面の凹面側の焦点に設置すると、遠方からの音は、図8(b)において矢印で示すようにパラボラ型反射板2によって反射され、焦点位置に設置されたマイク3に集められる。その結果、マイク単独で収音する場合と比較し、大きな利得を得ることができ、遠方の音を明瞭に収音することができる。
パラボラマイクにおいては収音対象以外の音は拾わないことが望ましい。しかしながら、集音器の背面側に、例えば人が立ち、会話をしているようなことがある。パラボラ反射板2の背面にこのような音源があると、その背面音が前面に回り込み、回り込んできた回折音がパラボラマイクを設置している焦点において重なり合ってしまい収音対象物からの音の明瞭度を低下させてしまう。
これを解決するために、パラボラ反射板に指向性の異なる2本のマイクを設置したものがある。一方はパラボラ反射板前面方向に向けたカーディオイド特性のマイク、他方はパラボラ反射板前面とは逆、すなわち音源方向に向けた超指向性マイクを設け、これら2つのマイクで収音した音声信号を、適切な比率で加算することで、目的とする遠方の音のみを有効に収音し、背面や側面からの不必要な音を拾わないようにしている(特許文献1)。
特開平10−224882号公報
しかしながら、この方法ではマイクを2つ使用しなければならず、そのうちひとつは、超指向性マイクという特殊なマイクを要するといった問題がある。さらに2つのマイクで収音した信号を加算するという処理も必要となり、構成が複雑で、かつその分、コスト高を招くという課題があった。
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、パラボラ反射板形状に工夫を加えることによりその背面方向からの音が前面に回り込むのを低減し得る集音器を提供することにある。
請求項1に係る発明は、前面の焦点位置にマイク3が設けられ、このマイク3を介し音を収音するパラボラ反射板を備えた集音器であって、前記パラボラ反射板2の外周部に、パラボラ反射板背面の音が前面に回り込むのを防止する背面音回折防止部4を設け、この背面音回折防止部4は前記パラボラ反射板2の外周部全体に亘って設けられ、かつ背面音回折防止部4は前方に向かって湾曲して突出断面半円状をなすことを特徴とする。請求項2に係る発明は、前面の焦点位置にマイク3が設けられ、このマイク3を介し音を収音するパラボラ反射板2を備えた集音器であって、前記パラボラ反射板2の外周部に、パラボラ反射板背面の音が前面に回り込むのを防止する背面音回折防止部4を設け、この背面音回折防止部4は前記パラボラ反射板2の外周部全体に亘って設けられ、かつ背面音回折防止部4は断面Y字状またはT字状をなすことを特徴とする。
請求項1、2記載の本発明によれば、パラボラ反射板2の外周に、背面音回折防止部4を設けたため、背面の音が前面に回り込むのを減衰させることができ、遠方の目的音を明瞭に収音することができる。
また、この集音器は背面音回折防止部4をパラボラ反射板2の外周に一体に設ける簡易構成のため、コスト高を防止し得、かつ背面音回折防止部4によってパラボラ反射板2の強度も向上するといった利点がある。
(a)は本発明の第1実施例にかかる集音器の概略正面図、(b)は同側面図を示す。 集音器に対する音圧分布の計算モデルの説明図である。 集音器のパラボラ反射板背面音の流れを示す動作説明図で、(a)は本発明、(b)は従来品を示す。 (a)、(b)は本発明の第1実施例の音圧分布の状態、(c)、(d)は本発明との対比での従来例の音圧分布の状態を示す説明図。 本発明の第1実施例にかかる集音器の斜視図。 (a)は本発明の第2実施例の概略正面図、(b)は側面図である。 本発明の一使用例を示す。 (a)は従来例の概略正面図、(b)は動作説明図を示す。
図1(a)は本発明の第1実施例の集音器1の概略正面図、同(b)は概略側面図で、2は前面が凹面上に湾曲したパラボラ反射板、3はその焦点位置に設けられたマイク、4はパラボラ反射板2の外周全体に亘って設けられた背面音回折防止部である。
本発明では、パラボラ反射板2に、前面が前方に向って弧状に突出した断面半円形の背面音回折防止部4を設けたことに特徴を有している。パラボラ反射板2の外周にフランジ状に設けられた背面音回折防止部4はパラボラ反射板2と一体に設けられているため、強度も向上するといった利点がある。
図2は直径が30cmの背面音回折防止部4がない従来のパラボラ反射板2を備えた集音器において、パラボラ反射板2の背面方向2mの距離に、音圧レベル90dBの点音源5が存在した場合のパラボラ反射板周辺部の音圧分布を測定する場合を示す。
パラボラ反射板2の背面側に音源が存在する場合、従来品では図3(b)に示すように、矢印で示すように、背面音aがパラボラ反射板2の前面側に回り込む。
しかしながら、図3(a)に示すように、本発明ではパラボラ反射板2の外周に背面音回折防止部4が設けられているため、背面音aは背面が凹状の湾曲部となって背面音回折防止部4に沿い、背面側に流れ易く、パラボラ反射板2の前面側への回折が防止ないし減衰される。
図4は、図2に示した計算方法を用い、計算したパラボラ反射板周辺の音圧分布を示す。
図4(a)、(b)は背面音回折防止部4を有する本発明品の音圧分布で、図4(a)は2kHzの周波数における音圧分布、図4(b)は4kHzの周波数における音圧分布を示す。
これに対し、図4(c)、(d)は背面音回折防止部4がない従来例の場合であって、図4(c)は2kHzの周波数における音圧分布、図4(d)は4kHzの周波数における音圧分布を示す。
各図(a)〜(d)の右側の長尺で示したスケールは、音圧を色と数値で示したものである。スケールの下部から上部に向って音圧が30dBから90dBへと変化し、それを濃淡の色で示している。
図4(a)、(b)に示す本発明では背面音の回り込みは少なく、パラボラ反射板2の前面のマイク設定位置はほぼ72dBないし70dBとなっている。
これに対し従来例では、図4(c)、(d)に示すように、マイク設置位置周辺ではほぼ84dBと音圧が強くなっている。
このように本発明では背面音回折防止部4を設けているため、前面に回り込んでくる音のエネルギーが減少し、マイク3が拾う背面からの音を減衰させることができるといえる。そのため、パラボラ反射板2の背面方向からの音を音響的に低減させることで、目的とする遠方の音源を明瞭に収音することができる。
これに対し図4(c)、(d)に示す従来例では、パラボラ周囲端において背面音の回折を生じ、その音波によりパラボラ前面において干渉波が生じていることが分かる。パラボラ前面方向中央のマイク3が設置される位置には、干渉波の重なりにより音圧が強い領域となり、ほぼ84dBとなっていることが分かる。
図5は本発明の第1実施例の斜視図を示す。マイク3は支持部3aによってパラボラ反射板2の焦点位置に設けられている。6はパラボラ反射板2の背面に設けられた把持部である。
図6は本発明の第2実施例で、断面Y字状に背面音回折防止部4’を形成した例を示す。この第2実施例の作用効果も第1実施例とほぼ同様である。また、断面T字状としても良い。
図7は本発明の一使用例を示す。例えばビル7の火災において、火8が出ている階より上層の階の居住者が逃げ場を失い、屋上9に避難し、助けを求めているような場合、地上において本発明の集音器1を救助者10が屋上の避難者11に向ければ避難者11の助けを求める叫びを収音することができ、それによって適切な救助活動を行うことができる。
また、大地震で倒壊した家屋の下にいる人のうめき声も収音可能であり、本発明は災害時の救命活動に役立ち、産業上の有用性は大である。
1 集音器
2 パラボラ反射板
3 マイク
4 背面音回折防止部
5 点音源
6 把持部
7 ビル
8 火
9 屋上
10 救助者

Claims (2)

  1. 前面の焦点位置にマイク(3)が設けられ、このマイク(3)を介し音を収音するパラボラ反射板(2)を備えた集音器であって、前記パラボラ反射板(2)の外周部に、パラボラ反射板背面の音が前面に回り込むのを防止する背面音回折防止部(4)を設け、この背面音回折防止部(4)は前記パラボラ反射板(2)の外周部全体に亘って設けられ、かつ背面音回折防止部(4)は前方に向かって湾曲して突出断面半円状をなすことを特徴とする集音器。
  2. 前面の焦点位置にマイク(3)が設けられ、このマイク(3)を介し音を収音するパラボラ反射板(2)を備えた集音器であって、前記パラボラ反射板(2)の外周部に、パラボラ反射板背面の音が前面に回り込むのを防止する背面音回折防止部(4)を設け、この背面音回折防止部(4)は前記パラボラ反射板(2)の外周部全体に亘って設けられ、かつ背面音回折防止部(4)は断面Y字状またはT字状をなすことを特徴とする集音器。
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