以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(水中電動ポンプの構成)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態による水中電動ポンプ100は、図1に示すように、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6と、環状体7と、浸水検知部8とを備えている。また、水中電動ポンプ100には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ100は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
ここで、第1実施形態では、浸水検知部8には、モータ1とオイル室5とを連通する第1流体返送路81(図2参照)が一体的に設けられている。詳細については後述する。また、水中電動ポンプ100は、第1流体返送路81に設けられ、オイル室5から流体が逆流するのを防止(抑制)する球部材9をさらに備えている。なお、球部材9は、特許請求の範囲の「逆流防止部材」および「弁部材」の一例である。
モータ1は、固定子11と、回転子12とを含んでいる。モータ1は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ1は、羽根車3(回転軸2)を回転駆動させるように構成されている。
固定子11は、コイルを有する。また、固定子11は、モータ1の外周部に配置されている。また、ケーブル13より固定子11のコイルに電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。回転子12は、固定子11と対向するようにモータ1の内側に配置されている。また、回転子12は、回転軸2に取り付けられている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。
また、モータ1の内部における下部には、流体貯留部14が設けられている。流体貯留部14は、オイルを含む流体が昇ってきた場合に、流体が貯留されるために設けられている。なお、流体貯留部14は、第1流体返送路81(図2参照)によりオイル室5と連通されている。
回転軸2は、モータ1の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸2は、モータ1の駆動を羽根車3に伝達するように構成されている。また、回転軸2は、平面視において(上方から見た場合に)、時計回り(右回り)に回転するように構成されている。また、回転軸2は、ベアリング21および22により回転可能に支持されている。ベアリング21は、モータ1の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)に設けられている。ベアリング22は、モータ1の負荷側(ポンプ室4側)に設けられている。また、回転軸2は、モータ1からオイル室5を貫通してポンプ室4まで延びるように配置されている。また、回転軸2のポンプ室4側端部には、羽根車3が取り付けられている。
羽根車3は、ポンプ室4内に配置されている。また、羽根車3は、回転駆動することにより、水に速度エネルギーを与える。そして、ポンプ室4内にて水の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換されることによって、水に圧力が作用されて送られるように構成されている。つまり、羽根車3の回転駆動により、ポンプ室4の吸水口41から水が吸い上げられて、吐出口42から吸い上げられた水が吐出される。
オイル室5は、モータ1およびポンプ室4の間に配置されており、オイル室5には、オイルが充填されている。オイル室5のモータ1側は、壁51が配置されている。また、オイル室5の回転軸2の周りには、オイルリフター52が設けられている。また、オイル室5内には、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6が設けられており、オイル室5に充填されたオイルによって摺動部6aおよび6bが潤滑されるとともに、摺動部6aおよび6bが焼きつかないように冷却されるように構成されている。具体的には、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)の摺動部6aは、オイル室5のポンプ室4側に設けられている。つまり、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)の摺動部6aは、ポンプ室4の圧力水がオイル室5に入らないように設けられている。また、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6bは、オイル室5のモータ1側に設けられている。つまり、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6bは、オイル室5のオイルを含む流体がモータ1側に入らないように設けられている。なお、少なくとも、オイル室5の内壁部5aは、金属材料から形成され、浸水検知部8の一方の電極となっている。詳細については、浸水検知部8の説明とともに述べる。
オイルリフター52は、オイル室5に配置され、回転軸2(メカニカルシール6)の周りに筒状に設けられている。オイルリフター52は、回転軸2の回転に伴い移動するオイル室5のオイルを上方向に持ち上げるように構成されている。つまり、オイルリフター52は、摺動部6bにオイルを供給するように構成されている。オイルリフター52の下部には、貫通孔521が設けられている。貫通孔521からオイルリフター52の内周側にオイルが導かれるように構成されている。
メカニカルシール6は、固定部材61と、回転部材62と、バネ63とを含んでいる。固定部材61は、摺動面611を有している。回転部材62は、摺動面621を有している。固定部材61は、オイル室5のハウジングに固定されている。また、固定部材61は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。回転部材62は、回転軸2に取り付けられている。つまり、回転部材62は、回転軸2とともに回転するように構成されている。また、回転部材62は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。また、回転部材62は、バネ63により、固定部材61側に付勢されている。
固定部材61および回転部材62は、回転軸2の軸方向に対向するように配置されている。摺動部6aおよび6bでは、固定部材61の摺動面611と、回転部材62の摺動面621とが、互いに摺動するように構成されている。また、摺動面611および621の間には、オイル室5内のオイルがわずかに入るように構成されている。これにより、摺動面611および621が潤滑されるとともに、摺動面611および621が焼きつかないようにオイルにより冷却され、摺動部6aおよび6b(オイル室5)がシールされるように構成されている。
環状体7は、オイル室5の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の壁51からモータ1側に突出するように設けられている。また、環状体7は、回転軸2と所定の間隔を隔てて回転軸2を取り囲むように円環状に設けられている。また、環状体7のモータ1側端には、シール71が設けられている。シール71は、たとえば、オイルシールやシールリップまたは回転軸2と摺動するリップ部に傾斜リブや溝などの負荷側に推力発生する機構を有したシールが用いられる。また、シール71は、環状体7と回転軸2との間に配置されている。
また、環状体7には、シール71に対してモータ1側に流体昇り流路72が形成されている。流体昇り流路72は、オイル室5とモータ1との間に配置され、環状体7の内部(環状体7と回転軸2との間の空間)とモータ1(流体貯留部14)とを連通するように設けられている。また、流体昇り流路72は、オイル室5側からメカニカルシール6の摺動部6bを介して流出するオイルを含む流体(オイル室5からモータ1側に昇る流体)を流体貯留部14に導くように構成されている。また、流体昇り流路72は、筐体に貫通孔を設けたり、溝状に造形した開口部により構成されることが望ましいが、パイプや、チューブなどの管部材により構成してもよい。また、流体昇り流路72は、流体貯留部14の上方位置に配置されている。
浸水検知部8は、絶縁性部材51aを介して壁51に固定的に設けられている。また、浸水検知部8は、流体貯留部14からオイル室5に延びる棒形状に形成されている。また、浸水検知部8の下方端は、オイル室5のオイル内に配置されている。また、浸水検知部8は、オイル室5内へのポンプ室4からの浸水を検知可能に構成されている。詳細には、浸水検知部8は、金属材料から形成され、オイル室5の内壁部5a(一方の電極)に対する他方の電極を含む。そして、浸水検知部8は、オイルに対する水の割合の増加に伴い、オイル室5の内壁部5a(一方の電極)と浸水検知部8(他方の電極)とが導通することによって、ポンプ室4からオイル室5への浸水を検知するように構成されている。また、浸水検知部8は、たとえば接続線(不図示)を介し、接続線をケーブル13の内部を挿通させて制御部10に接続されている。また、浸水検知部8は、接続線によって直接制御部10と接続されるように構成してもよい。また、浸水検知部8は、水中電動ポンプ100の運転を制御する制御部10に対して、オイル室5への浸水状態を示す所定の信号(検知結果)を送信するように構成されている。
制御部10は、浸水検知部8の検知結果に基づいて、モータ1の運転を停止させる、ユーザに警報を発するなどの各種制御を行うように構成されている。
浸水検知部8には、図2に示すように、上記の通り、モータ1とオイル室5とを連通する第1流体返送路81が一体的に設けられている。第1流体返送路81は、内部空間部82と、上側連通孔83と、下側連通孔84とを含んでいる。
内部空間部82は、浸水検知部8の内側に配置され、上下方向に延びる円柱状の空間に形成されている。また、内部空間部82の上方端部は、たとえば、上方に窪む略半球形状に形成されている。
上側連通孔83は、上下方向に延びる孔形状に形成されている。また、上側連通孔83は、内部空間部82の上方端部と流体貯留部14とを連通している。すなわち、上側連通孔83は、流体貯留部14からオイル室5に流体を返送する際における、第1流体返送路81への流入口である。
下側連通孔84は、上下方向に延びる孔形状に形成されている。また、下側連通孔84は、内部空間部82の下方端部とオイル室5とを連通している。すなわち、下側連通孔84は、流体貯留部14からオイル室5に流体を返送する際における、第1流体返送路81の流出口である。また、下側連通孔84は、オイル室5の浸水していない状態での液位よりも低い位置に設けられている。すなわち、下側連通孔84および内部空間82の一部は、常に、オイル(流体)に浸かっている。なお、上側連通孔83および下側連通孔84は、円柱状の内部空間部82よりも小さな直径を有する孔部である。
内部空間部82内には、球形状を有する球部材9が設けられている(配置されている)。球部材9は、浮力により、オイル(流体)に浮く材質により形成されている。たとえば、球部材9は、オイル(流体)よりも密度が小さい樹脂材料により形成されている。また、球部材9は、上側連通孔83および下側連通孔84よりも大きな直径を有し、円柱状の内部空間部82よりも小さな直径を有している。したがって、球部材9は、上側連通孔83および下側連通孔84を通り内部空間部82の外(流体貯留部14またはオイル室5)に移動することがない。また、球部材9は、オイル室5内の流体の液位の上昇に伴って、浮力により上方に移動するように構成されている。そして、球部材9は、上側連通孔83の位置(二点鎖線で示す閉状態の位置)まで移動することにより、上側連通孔83を下方側から封止するように構成されている。
また、上側連通孔83の上方端近傍には、球部材9を接着(吸着)するための接着テープ108が設けられている。球部材9は、接着テープ108に接着されることにより、第1流体返送路81を封止するように構成されている。なお、球部材9は、水中電動ポンプ100が製造されてから納品され、運転が開始されるまで(初回の使用時まで)の間は、少なくとも接着テープ108に接着された閉状態で維持される。また、球部材9は、水中電動ポンプ100の運転によってモータ1が高温となり、モータ1側がオイル5室より高圧になることで接着テープ108に対する接着が解除される。または、流体貯留部14に流体が溜まることにより、流体の重みによって、接着テープ108に対する接着が解除される。そして、球部材9は、内部空間部82内でオイル(流体)に浮いた状態(実線で示す開状態)で保持される。なお、接着テープ108は特許請求の範囲の「弁部材吸着部」の一例である。
ここで、第1実施形態では、浸水検知部8の先端(の外表面)で、オイル室5への浸水を検知することが可能なように構成されているとともに、オイル貯留部14からオイル室5に返送された流体を浸水検知部8(内部空間部82)の内表面でオイル室5への浸水を検知することも可能なように構成されている。詳細には、圧力水はオイルよりも比重が大きいので、オイル室5に浸水した場合には、低部に溜まるため、オイル室5への浸水後、すぐには浸水検知部8により浸水を検知することは困難である。しかしながら、オイル貯留部14から返送される流体を浸水検知部8(内部空間部82)の内表面で検知可能とすることにより、浸水検知部8は、オイルリフター52によって、オイル室5から持ち上げられた流体に圧力水が含まれているか否かを検知することが可能となる。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、モータ1とオイル室5とを連通する第1流体返送路81と一体的に構成され、オイル室5の浸水を検知する浸水検知部8を設ける。これにより、浸水検知部8と第1流体返送路81とが一体的に構成されるので、装置構成を簡素化することができる。また、第1流体返送路81によりモータ1側からオイル室5に流体を返送することができる。その結果、オイル室5よりもモータ1側に昇った流体が溜まったままにはならないので、ポンプケーシングやオイルケーシングなどを取り外して、メンテナンス作業を行う必要がない。また、流体昇りが発生した場合でもモータ1のベアリングにオイルが流れ込んでモータ1のベアリングのグリスを流してしまうことを抑制することができる。また、運転を継続するために、予備の水中ポンプを保有する必要もない。その結果、維持管理に多くの労力および費用を必要とせず、水中電動ポンプ100の維持管理を容易に行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1流体返送路81に、オイル室5から流体が逆流するのを防止する球部材9を設ける。これにより、球部材9により第1流体返送路81を容易に封止することができる。その結果、流体がオイル室5から第1流体返送路81を通りモータ1側に逆流することを防止することができる。また、オイル室5が流体により満たされたとしても、第1流体返送路81を通るモータ1側への逆流を防止することができる。なお、防止とは、完全に逆流させることがない、という意味だけではなく、逆流の程度を小さく抑える、という抑制の意味も含む。
また、第1実施形態では、上記のように、モータ1の内部における下部に、第1流体返送路81によりオイル室5と連通される流体貯留部14が設ける。これにより、オイル室5の上方に流体が流出する(漏れ出る)などした場合でも、流体を流体貯留部14に貯留させることができるので、流体が直接モータ1のベアリングや動力部に接触するのを効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、オイル室5とモータ1との間に、オイル室5からモータ1側に昇る流体を流体貯留部14に導く流体昇り流路72を設けられている。これにより、オイル室5の上方に流体が流出する(漏れ出る)などした場合でも、流体を流体昇り流路72に逃がすことができるので、流体が直接モータ1のベアリングや動力部に接触するのを効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1流体返送路81に、球部材9を吸着する接着テープ108を設け、球部材9を、接着テープ108に接着(吸着)されることにより、第1流体返送路81を封止するように構成する。これにより、接着テープ108に球部材9が接着(吸着)された状態で第1流体返送路81が封止されるので、第1流体返送路81の封止状態をより確実に維持し、たとえば水中電動ポンプ100の輸送中にモータ1側へオイルが逆流することを防ぐことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、オイル室5に、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6を設け、オイル室5に、オイル室5のオイルを上方向に持ち上げるオイルリフター52を設ける。これにより、オイル室5に充填されたオイルを上側の摺動部6bに容易に供給することができるので、回転軸2の回転に伴い上側の摺動部6bが焼きつかないように冷却させることができる。
(第1実施形態の変形例)
次に、図1および図3を参照して、本発明の第1実施形態の変形例の水中電動ポンプ100aについて説明する。
第1実施形態の変形例では、第1流体返送路81の下側連通孔84をオイル室5の浸水していない状態での液位よりも低い位置に設けた上記第1実施形態とは異なり、第1流体返送路81aの下側連通孔84aをオイル室5の浸水していない状態での液位よりも高い位置に設ける例について説明する。
図1に示すように、水中電動ポンプ100aは、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6と、環状体7と、第1流体返送路81a(図3参照)が一体的に設けられた浸水検知部8aと、球部材9(図3参照)とを備えている。また、図3に示すように、第1流体返送路81aは、内部空間部82aと、上側連通孔83と、下側連通孔84aとを含んでいる。
内部空間部82aの下方端部は、球部材9の下方側の形状に沿った形状に形成されている。すなわち、内部空間部82a下方端部は、下方に窪む略半球形状に形成されている。また、内部空間部82aの下方端部は、オイル室5の浸水していない状態での液位よりも高い位置に設けられている。
下側連通孔84aは、内部空間部82aの下方端部から横方向に延びるように一対設けられている。したがって、下側連通孔84aは、オイル室5の浸水していない状態での液位よりも高い位置に設けられている。また、下側連通孔84aは、内部空間部82aの下方端部に位置する球部材9により封止されている。また、下側連通孔84aは、流体貯留部14側から流入した流体により球部材9が浮かび上がることによって、封止が解除される。
なお、第1実施形態の変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第1実施形態の変形例の効果)
第1実施形態の変形例では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態の変形例では、上記第1実施形態と同様に、モータ1とオイル室5とを連通する第1流体返送路81と一体的に構成され、オイル室5の浸水を検知する浸水検知部8を設ける。これにより、水中電動ポンプ100aの維持管理を容易に行うことができる。
なお、第1実施形態の変形例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態)
次に、図1、図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態の水中電動ポンプ200について説明する。
第2実施形態では、第1流体返送路81に1つの球部材9を設けた上記第1実施形態とは異なり、第1流体返送路81bに2つの球部材9および9aを設ける例について説明する。
図1に示すように、水中電動ポンプ200は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6と、環状体7と、第1流体返送路81b(図4参照)が一体的に設けられた浸水検知部8bと、球部材9および9aとを備えている。また、図4に示すように、第1流体返送路81bは、内部空間部82と、上側連通孔83と、下側連通孔84と、流入側内部空間部85と、中間連通孔86とを含んでいる。
流入側内部空間部85は、内部空間部82の上方に設けられている。また、流入側内部空間部85内には、球部材9aが設けられている(配置されている)。また、流入側内部空間部85の上方端近傍には、内部空間部82と同様に、球部材9aを接着(吸着)するための接着テープ108が設けられている。また、流入側内部空間部85は、中間連通孔86を介して内部空間部82と連通されている。また、流入側内部空間部85は、上側連通孔83を介して流体貯留部14と連通されている。
球部材9aは、流体が流入側内部空間部85内に流入していない状態では、中間連通孔86を上方側から封止するように構成されている。また、球部材9aは、流入側内部空間部85内に流体が流入すると、流体により浮かび上がり、流入側内部空間部85の封止を解除するように構成されている。
また、図4に示すように、浸水検知部8bのモータ1側およびオイル室5側の両側には、温度センサ201(計2つ)が設けられている。温度センサ201は、たとえば、接続線(不図示)を介し、接続線をケーブル13(図1参照)の内部を挿通させて制御部10(図1参照)に接続されている。また、温度センサ201は、接続線によって直接制御部と接続されるように構成してもよい。
一方(上方側)の温度センサ201は、流体貯留部14内の温度を検知可能に構成されている。詳細には、一方の温度センサ201は、浸水検知部8bの上方端部から下方に延びる縦孔に、上方側から圧入されている。また、浸水検知部8bには、一方の温度センサ201の先端(下方端)が露出するように浸水検知部8bの外表面側から上側連通孔83に連通される横穴201aが設けられている。
他方(下方側)の温度センサ201は、オイル室5内の温度を検知可能に構成されている。詳細には、他方の温度センサ201は、浸水検知部8bの上方端部から下方に延びる縦孔に、上方側から圧入されている。また、浸水検知部8bには、他方の温度センサ201の先端(下方端)がオイル室5内に露出するように浸水検知部8bの外表面側から他方の温度センサ201の先端に通じる横穴201bが設けられている。なお、他方の温度センサ201が圧入された縦孔は、流体貯留部14内の温度を検知しないように、また流体貯留部14側から流体が侵入しないように、上方側から樹脂部材などで封止されている。
また、図5に示すように(図4に示した温度センサ201と同様に)、浸水検知部8bのモータ1側およびオイル室5側の両側には、圧力センサ202(計2つ)が設けられている。また、圧力センサ202は、たとえば接続線(不図示)を介し、接続線をケーブル13(図1参照)の内部を挿通させて制御部10に接続されている。また、圧力センサ202は、接続線によって直接制御部10と接続されるように構成してもよい。
一方(上方側)の圧力センサ202は、流体貯留部14内の圧力を検知可能に構成されている。詳細には、一方の圧力センサ202は、浸水検知部8bの上方端部から下方に延びる縦孔に、上方側から圧入されている。また、浸水検知部8bには、圧力センサ202の先端(下方端)が露出するように浸水検知部8bの外表面側から上側連通孔83に連通される横穴202aが設けられている。なお、一方の圧力センサ202および横穴202aは、図4に示す一方(上方側)の温度センサ201および横穴201aと同様の高さ位置に設けられている。
他方(下方側)の圧力センサ202は、オイル室5内の温度を検知可能に構成されている。詳細には、他方の圧力センサ202は、浸水検知部8bの上方端部から下方に延びる縦孔に、上方側から圧入されている。また、浸水検知部8bには、他方の圧力センサ202の先端(下方端)がオイル室5内に露出するように浸水検知部8bの外表面側から他方の圧力センサ202の先端に通じる横穴202bが設けられている。なお、他方の圧力センサ202および横穴202bは、図4に示す他方(下方側)の温度センサ201および横穴201bと同様の高さ位置に設けられている。また、他方の圧力センサ202が圧入された縦孔は、流体貯留部14側から流体が侵入しないように、上方側から樹脂部材などで封止されている。
制御部10は、2つの温度センサ201の検知結果に基づいて、各種制御を行うことが可能である。たとえば、制御部10は、2つの温度センサ201によりオイル室5側の温度がモータ1側の温度よりも高いと検知した場合には、オイル室5内の圧力がモータ1内の圧力よりも高くなる可能性があるため、モータ1側への流体昇りが発生する可能性が高いと判断して、モータ1の運転を停止させる、ユーザに警報を発するなどの各種制御を行うことが可能である。
また、制御部10は、2つの圧力センサ202の検知結果に基づいて、各種制御を行うことが可能である。たとえば、制御部10は、2つの圧力センサ202によりオイル室5側の圧力がモータ1側の圧力よりも高いと検知した場合には、モータ1側への流体昇りが発生する可能性が高いと判断して、モータ1の運転を停止させる、ユーザに警報を発するなどの各種制御を行うことが可能である。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、モータ1とオイル室5とを連通する第1流体返送路81と一体的に構成され、オイル室5の浸水を検知する浸水検知部8を設ける。これにより、水中電動ポンプ200の維持管理を容易に行うことができる。
また、第2実施形態では、上記のように、浸水検知部8のモータ1側およびオイル室5側の両側に、圧力センサ202および温度センサ201が設けられている。これにより、オイル室5側の圧力がモータ1室側の圧力よりも高く検知された場合や、オイル室5側の温度がモータ1室側の温度よりも高く検知された場合には、モータ1への流体昇りが発生する可能性が高いと判断してユーザに対して警告を発する、水中電動ポンプ200の運転を緊急停止させるなどの制御を行なうことができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図2および図6を参照して、本発明の第3実施形態の変形例の水中電動ポンプ300について説明する。
第3実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、水中電動ポンプ300が流体加圧部301および第2流体返送路302を備える例について説明する。
図6に示すように、水中電動ポンプ300は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6と、環状体7と、第1流体返送路81(図2参照)が一体的に設けられた浸水検知部8と、球部材9と、流体加圧部301と、第2流体返送路302とを備えている。
ここで、第3実施形態では、流体加圧部301は、環状体7の内側の空間に配置されている。また、流体加圧部301は、モータ1とオイル室5との間に配置されている。また、流体加圧部301は、流体をオイル室5側に加圧するように構成されている。また、流体加圧部301は、水平面に対して傾斜した溝部301aが外周部分に形成された環状の筒体により形成されている。
また、流体加圧部301は、モータ1とオイル室5との間に配置され、モータ1とオイル室5との間を封止している。また、流体加圧部301は、モータ1の駆動を羽根車3に伝達する回転軸2に取り付けられている。これにより、流体加圧部301は、回転軸2とともに回転されるように構成されている。流体加圧部301は、概略的には、円筒形に形成されている。また、流体加圧部301は、内周面の直径が回転軸2の外周面の直径と略等しくなるように形成されている。流体加圧部301は、耐腐食性が高い材料により形成されている。
流体加圧部301の溝部301aは、側面から見て、右下がりの傾斜を有するように形成されている。つまり、流体加圧部301は、右下がりの傾斜する溝部301aが、回転軸2の回転とともに上方から見て時計回りに回転することにより、下方向に圧力を加えるように構成されている。また、流体加圧部301は、水平面に対して、たとえば、傾斜した溝部301aを含んでいる。流体加圧部301の溝部301aは、複数(たとえば、2つ)設けられている。
第2流体返送路302は、環状体7の流体加圧部301よりもオイル室5側に形成されている。第2流体返送路302は、流体加圧部301(環状体7の内部)のオイル室5側の領域とオイル室5とを連通するように設けられている。つまり、第2流体返送路302は、環状体7の内部に昇ってきたオイルを含む流体をオイル室5に返送するように構成されている。また、第2流体返送路302は、筐体に貫通孔を設けたり、溝状に造形した開口部により構成されることが望ましいが、パイプや、チューブなどの管部材により構成してもよい。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、モータ1とオイル室5とを連通する第1流体返送路81と一体的に構成され、オイル室5の浸水を検知する浸水検知部8を設ける。これにより、水中電動ポンプ300の維持管理を容易に行うことができる。
また、第3実施形態では、上記のように、モータ1とオイル室5との間に配置され、流体をオイル室5側に加圧する流体加圧部301とを備える。これにより、オイル室5からモータ1側に流入しようとする流体に対して圧力を加えることができるので、オイル室5からの流体昇りを効果的に抑制することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、流体加圧部301のオイル室5側の領域とオイル室5とを連通する第2流体返送路302をさらに備える。これにより、オイル室5から流体加圧部301側に昇ってきた流体を第2流体返送路302を介してオイル室5に返送することができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、本発明の弁部材吸着部の一例として接着テープを用いて球部材を接着することにより、第1流体返送路を封止した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、球部材の中に磁石を埋め込む等、球部材の少なくとも一部を磁性体で構成し、弁部材吸着部に球部材を磁力によって吸着させることにより、第1流体返送路を封止してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、内部空間部の上方端部が、上方に窪む略半球形状に形成される例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、内部空間部の上方端部に窪みを設けず面一に構成してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、第1流体返送路を浸水検知部の内側に設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、第1流体返送路を浸水検知部の外側(外側面上)に溝状に設けてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、メカニカルシールが、負荷側(ポンプ室側)および反負荷側(ポンプ室に対して反対側)の両方に摺動部を有する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図7に示す変形例の水中電動ポンプ400のように、負荷側のみに摺動部6aを有するように構成してもよい。なお、この場合には、メカニカルシール6は、固定部材61と、回転部材62と、バネ63と、支持部材64とを含んでいる。回転部材62は、バネ63により、固定部材61側に付勢されている。バネ63は、ポンプ室4側が回転部材62に当接するとともに、モータ1側が支持部材64に当接している。支持部材64は、バネ63の上側を押さえて支持するように構成されている。このように構成することで、オイル室5内のオイルの液位を低くして、モータ1側へオイルが流出するリスクを低減させることができる。
また、上記第1〜第3実施形態の構成に加えて、図7に示す変形例の水中電動ポンプ400のように、モータ1を加圧する加圧装置401を備えていてもよい。このように、加圧装置401により、モータ1を加圧することによって、オイル室5からモータ1への流体昇りを効果的に抑制することができる。
また、上記第3実施形態では、流体加圧部および第2流体返送路を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、図7に示す変形例の水中電動ポンプ400のように、流体加圧部301を設けて、第2流体返送路を設けなくてもよい。
また、上記第2実施形態では、圧力センサおよび温度センサの両方が設けられた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、圧力センサおよび温度センサの一方が設けられていてもよい。
また、上記第1実施形態では、第1流体返送路に内部空間部から上下方向に抜ける貫通孔(上側連通孔および下側連通孔)を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図8に示す変形例のように、第1流体返送路81に内部空間部82から横方向に抜ける貫通孔87を設けてもよい。なお、貫通孔87は、オイル室5の浸水していない状態での液位よりも高い位置に一対設けられている。
また、上記第3実施形態では、水平面に対して、傾斜した溝部301aを含む流体加圧部301を備える例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、図9に示す変形例のように、流体加圧部301の溝部301bは、1周以上のらせん形状に形成されていてもよい。
また、上記第3実施形態では、流体加圧部に溝部が2つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、流体加圧部に、溝部が1つ設けられていてもよいし、溝部が3つ以上設けられていてもよい。