JP6540003B2 - 車両用ガラスアンテナ及び車両用窓ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、車両の窓ガラスに設けられるガラスアンテナ、及びガラスアンテナを備える窓ガラスに関する。
従来、車両用のガラスアンテナとして、ラジオ放送受信用のアンテナやテレビ放送用受信用のアンテナが搭載されている。近年はITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)において、車車間通信や路車間通信には垂直偏波が用いられており、車車間通信や路車間通信の送受信を効率よく行うためには、垂直偏波に対して高い受信感度を有する必要がある。
垂直偏波の電波を送受信するアンテナとして、例えば、第1の給電部と第2の給電部が縦方向に配置され、第1の給電部に接続され、左右方向に延在する第1のアンテナエレメントと、第2の給電部に接続され、ループ状に形成された第2のアンテナエレメントと、第2のアンテナエレメントに第3の接続エレメントを介して接続され且つ第2のアンテナエレメントに沿って延在する第3のアンテナエレメントと、第3のアンテナエレメントに接続され且つ第2のアンテナエレメントに対し第2の給電部とは反対側で延在する第4のアンテナエレメントを備えるガラスアンテナ(特許文献1)が開示されている。
特開2014−64141号公報
しかしながら、従来技術である特許文献1に開示されているガラスアンテナを車両のフロントガラスに配置する場合、第1の給電部と第2の給電部が車幅方向に略垂直な方向(縦方向)に配置しなければならないため、車両のルーフ側からの給電が困難になる。また、特許文献1に開示されているガラスアンテナの第1の給電部と第2の給電部を車幅方向に略平行な方向(横方向)に配置する場合、アンテナエレメントが車幅方向に略垂直な方向(縦方向)で、かつ車両のフロントガラスの下辺方向に延伸する距離が長くなるため、外観が損なれ、かつ乗員の視野の妨げになるという問題がある。
そこで本発明は、車両の窓ガラスに設けられるガラスアンテナにおいて、第1の給電部と第2の給電部を車幅方向に略平行な方向(横方向)に配置しても外観を損なわず、乗員の視野の妨げにもならず、かつ垂直偏波を良好に送受信することができるアンテナ装置を提供する。
上記目的を達成するため、本発明に係るガラスアンテナは、
車両の窓ガラスの角部近傍に設けられ、第1の給電部を有する第1のアンテナ導体と、第2の給電部を有する第2のアンテナ導体とを備えた車両用ガラスアンテナであって、
前記第1の給電部の、前記車両の窓ガラスの上辺部に最も近い端部から前記車両の窓ガラスの上辺部までの距離と、前記第2の給電部の、前記車両の窓ガラスの上辺部に最も近い端部から前記車両の窓ガラスの上辺部までの距離が略同じであり、かつ、前記第1の給電部と前記第2の給電部は、車幅方向に略平行な方向に並んで配置され、
前記第1のアンテナ導体が前記車両の窓ガラスの側辺部と前記第2のアンテナ導体の間に配置され、
前記第1のアンテナ導体は、前記第1の給電部を起点に、車幅方向に対し略平行で、かつ前記第2のアンテナ導体が配置されている方向とは反対方向に延伸する第1のエレメントと、
前記第1のエレメントの終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ前記車両の窓ガラスの下辺方向に延伸する第2のエレメントと、
前記第2のエレメントの終端を起点に、前記第2のアンテナ導体が配置されている方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第3のエレメントと、
前記第3のエレメントの終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ前記車両の窓ガラスの上辺方向または下辺方向に延伸する第4のエレメントと、
前記第4のエレメントの終端を起点に、前記第2のアンテナ導体が配置されている方向とは反対方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第5のエレメントとを備え
前記第1のアンテナ導体および前記第2のアンテナ導体は、垂直偏波を送受信することを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る窓ガラスは、該ガラスアンテナを備えるものである。
本発明によれば、車両の窓ガラスに設けられるガラスアンテナにおいて、そこで本発明は、車両の窓ガラスに設けられるガラスアンテナにおいて、第1の給電部と第2の給電部を車幅方向に略平行な方向(横方向)に配置しても外観を損なわず、乗員の視野の妨げにもならず、かつ垂直偏波を良好に送受信することができる。
第1のアンテナ導体、第2のアンテナ導体を備えるガラスアンテナ100の一実施形態の平面図である。 第1のアンテナ導体、第2のアンテナ導体を備えるガラスアンテナ100の別の実施形態の平面図である。 本発明のガラスアンテナの、第1の実施形態の平面図である。 図1とは別の、第1の実施形態のガラスアンテナの平面図である。 第1の実施形態のガラスアンテナの、別の実施形態のガラスアンテナの平面図である。 本発明のガラスアンテナの、第2の実施形態の平面図である。 図7とは別の、第2の実施形態のガラスアンテナの平面図である。 実施例1−1における、第1の給電部の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部に最も近い端部との距離と、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得を示す計算結果である。 実施例1−2における、第1の給電部の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部に最も近い端部との距離と、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得を示す計算結果である。 実施例1−3における、第1の給電部の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部に最も近い端部との距離と、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得を示す計算結果である。 実施例2における、第1のエレメントの終端と第3のエレメントの起点との距離と、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得を示す計算結果である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、形態を説明するための図面において、方向について特に記載しない場合には図面上での方向をいうものとし、各図面の向きは、記号、数字の方向に対応する。また、平行、直角などの方向は、本発明の効果を損なわない程度のズレを許容するものである。また、アンテナ導体の角部は、直角に限らず、弓状に丸みを帯びていてもよい。また、それらの図面は、窓ガラスの面を対向して見たときの図であり、窓ガラスが車両に取り付けられた状態での車内視の図であるが、車外視の図として参照してもよい。各図面上での上下方向が車両の上下方向に相当し、各図の下側が路面側に相当する。例えば、窓ガラスが車両の前部に取り付けられるフロントガラスである場合、図面上での左右方向が車幅方向に相当する。また、本発明は、フロントガラスに限定されず、車両の後部に取り付けられるリアガラスでもよい。
(第1の実施形態)
図1は、第1のアンテナ導体10、第2のアンテナ導体20を備える本発明のガラスアンテナ100の一実施形態の平面図である。ガラスアンテナ100は、車両の窓ガラス50の角部近傍に設けられ、第1の給電部11を有する第1のアンテナ導体10と、第1の給電部11と車幅方向に略平行な方向に並んで配置される第2の給電部21を有する第2のアンテナ導体20とを備える。
第1の給電部11と第2の給電部21は車両の窓ガラスの上辺部40に最も近い端部と車両の窓ガラスの上辺部40からの距離が略同じであり、かつ車幅方向に略平行な方向に並んで配置されるため、車両の窓ガラスの上辺部40、つまり車両のルーフ側から給電することが可能である。
図1に示すように、第1のアンテナ導体10が車両の窓ガラスの側辺部30、つまり車両のピラーと第2のアンテナ導体20の間に配置されていると垂直偏波を良好に送受信することができる。
第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20で受信された信号は、第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20に設けられた第1の給電部11と第2の給電部21より取り出し可能になっている。受信信号が車体に搭載された送受信機(不図示)に伝達される。
図1では、車両の窓ガラス50の左上の角部にガラスアンテナ100が配置されている例が図示されているが、図2に示すように、車両の窓ガラス50の右上の角部にガラスアンテナ100を配置してもよい。
図3は、本発明のガラスアンテナの、第1の実施形態の平面図である。図3に示すように、第1のアンテナ導体10は、第1の給電部11を起点に、車幅方向に対し略平行で、かつ第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向に延伸する第1のエレメント12と、第1のエレメント12の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の下辺方向に延伸する第2のエレメント13と、第2のエレメント13の終端を起点に、第2のアンテナ導体20が配置されている方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第3のエレメント14と、第3のエレメント14の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の上辺方向に延伸する第4のエレメント15と、第4のエレメント15の終端を起点に、第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第5のエレメント16とを備える。
第2のアンテナ導体20は、第2の給電部21を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の下辺方向に延伸する第6のエレメント22を備える。第6のエレメント22は、第2の給電部21を起点に、車幅方向に対し略平行な方向で、かつ第1のアンテナ導体10が配置されている方向とは反対方向に延伸してもよい。
なお、第1のアンテナ導体10や第2のアンテナ導体20の角は曲率を有して折れ曲がっていてもよい。また終端とは、エレメントの延伸する終点であってもよいし、その終点手前の導体部分である終点近傍であってもよい。
図3に示すように、第1の給電部11の車両の側辺部30に最も近い端部と、車両の側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離をAとすると、距離Aは90mm以下であると垂直偏波を良好に送受信することができる。好ましくは70mm以下であり、より好ましくは60mm以下である。
また、第1のエレメント12の終端と第3のエレメント14の起点との距離をB、第3のエレメント14の終端と第5のエレメント16の起点との距離をCとすると、距離Bは距離Cよりも長いとことが好ましい。また、距離Bが70mm以下であると、ガラスアンテナ100を低背化することができる。すなわち、第1のアンテナ導体10が車幅方向に略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス50の下辺方向の距離が短いため、外観を損なわず、かつ乗員の視野の妨げにもならず好適である。
図3では、第3のエレメント14は、第6のエレメント22の近傍まで延伸している例が図示されているが、図4に示すように、第3のエレメント14は、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部から車幅方向に対し、略垂直な方向に下ろした線の手前まで延伸し、第3のエレメント14の終端から第4のエレメント15が延伸してもよい。
図3では、第1のアンテナ導体10は、第1のエレメント12、第2のエレメント13、第3のエレメント14、第4のエレメント15、第5のエレメント16のみが例示されているが、例えば図5に示すように、各エレメントの終端、または各エレメントの途中より延伸する付加エレメントがあってもよい。
図5では、第1のエレメント12の終端を起点に、車幅方向に略平行な方向で、かつ第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向に延伸する付加エレメント17、第2のエレメント13の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の下辺方向に延伸する付加エレメント18、第2のエレメント13の途中から、車幅方向に略平行な方向で、かつ第2のアンテナ導体20が配置されている方向へ延伸する付加エレメント19を有している場合が図示されているが、ガラスアンテナ101が垂直偏波を良好に送受信することができれば、他のエレメントの終端や途中から延伸する付加エレメントがあってもよい。同様に、第2のアンテナ導体20は、第6のエレメント22の終端、または第6のエレメント22の途中より延伸する付加エレメントがあってもよい。
図3では、第1のアンテナ導体10は、第1のエレメント12、第2のエレメント13、第3のエレメント14、第4のエレメント15、第5のエレメント16はいずれも直線状のエレメントのみが例示されているが、ガラスアンテナ100が垂直偏波を良好に送受信することができれば、各エレメントは例えばメアンダパターンのような折り返し部を含んでいてもよい。
第1の実施形態のガラスアンテナ100において、ガラスアンテナ100が車両の窓ガラス50の角部近傍に設けられ、第1の給電部11の、車両の窓ガラスの上辺部40に最も近い端部から車両の窓ガラスの上辺部40までの距離と、第2の給電部21の、前記車両の窓ガラスの上辺部40に最も近い端部から車両の窓ガラスの上辺部40までの距離が略同じであり、かつ、第1の給電部11と第2の給電部21は、車幅方向に略平行な方向に並んで配置され、第1のアンテナ導体10は、第1の給電部11を起点に、車幅方向に対し略平行で、かつ第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向に延伸する第1のエレメント12と、第1のエレメント12の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の下辺方向に延伸する第2のエレメント13と、第2のエレメント13の終端を起点に、第2のアンテナ導体20が配置されている方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第3のエレメント14と、第3のエレメント14の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の上辺方向に延伸する第4のエレメント15と、第4のエレメント15の終端を起点に、第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第5のエレメント16とを備えると、垂直偏波を良好に送受信することができる。

また、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aが90mm以下であると垂直偏波を良好に送受信することができる。さらに、第1のエレメント12の終端と第3のエレメント14の起点との距離Bが70mm以下であると、ガラスアンテナ100を低背化することができ、外観を損なわず、かつ乗員の視野の妨げにもならず好適である。
第1の実施形態のガラスアンテナにおいて、第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20は、非対称のダイポールアンテナとして動作するため、例えばガラスアンテナに同軸ケーブルで給電する場合、同軸ケーブルの信号線(内部導体)を第1のアンテナ導体10の第1の給電部11に接続し、同軸ケーブルの接地線(外部導体)を第2のアンテナ導体20の第2の給電部21に接続してもよいし、同軸ケーブルの信号線(内部導体)を第2のアンテナ導体20の第2の給電部21に接続し、同軸ケーブルの接地線(外部導体)を第1のアンテナ導体10の第1の給電部11に接続してもよい。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態であるガラスアンテナ300の平面図である。ガラスアンテナ300は、車両の窓ガラス50の角部近傍に設けられ、第1の給電部11を有する第1のアンテナ導体10と、第1の給電部11と車幅方向に略平行な方向に並んで配置される第2の給電部21を有する第2のアンテナ導体20とを備える。
第1の実施形態と同様に、第1の給電部11と第2の給電部21は車両の窓ガラスの上辺部40に最も近い端部と車両の窓ガラスの上辺部40からの距離が略同じであり、かつ車幅方向に略平行な方向に並んで配置されるため、車両の窓ガラスの上辺部40、つまり車両のルーフ側から給電することが可能である。
図6に示すように、ガラスアンテナ300は、第1のアンテナ導体10が車両の窓ガラスの側辺部30、つまり車両のピラーと第2のアンテナ導体20の間に配置されていると垂直偏波を良好に送受信することができる。
第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20で受信された信号は、第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20に設けられた第1の給電部11と第2の給電部21より取り出し可能になっている。受信信号が車体に搭載された送受信機(不図示)に伝達される。
第2の実施形態のガラスアンテナ300は、第1の実施形態と同様に、車両の窓ガラス50の左上の角部に配置してもよいし、車両の窓ガラス50の右上の角部にガラスアンテナ100を配置してもよい。
第1のアンテナ導体10は、第1の給電部11を起点に、車幅方向に対し略平行で、かつ第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向に延伸する第1のエレメント12と、第1のエレメント12の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の下辺方向に延伸する第2のエレメント13と、第2のエレメント13の終端を起点に、第2のアンテナ導体20が配置されている方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第3のエレメント14と、第3のエレメント14の終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス40の下辺方向に延伸する第4のエレメント15と、第4のエレメント15の終端を起点に、第2のアンテナ導体20が配置されている方向とは反対方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第5のエレメント16とを備える。
第2の実施形態であるガラスアンテナ300において、第2のアンテナ導体20は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
また、第2の実施形態であるガラスアンテナ300は、第1の実施形態と同様に、第1のアンテナ導体10の角は曲率を有して折れ曲がっていてもよい。また終端とは、エレメントの延伸する終点であってもよいし、その終点手前の導体部分である終点近傍であってもよい。
図6に示すように、第1の給電部11の車両の側辺部30に最も近い端部と、車両の側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離をAとすると、距離Aは90mm以下であると垂直偏波を良好に送受信することができる。好ましくは70mm以下であり、より好ましくは60mm以下である。
また、第1のエレメント12の終端と第3のエレメント14の起点との距離をB、第3のエレメント14の終端と第5のエレメント16の起点との距離をCとすると、距離Bは距離Cよりも長いとことが好ましい。また、距離Bが70mm以下であると、ガラスアンテナ100を低背化することができる。すなわち、第1のアンテナ導体10が車幅方向に略垂直な方向で、かつ車両の窓ガラス50の下辺方向の距離が短いため、外観を損なわず、かつ乗員の視野の妨げにもならず好適である。
図6では、第3のエレメント14は、第6のエレメント22の近傍まで延伸している例が図示されているが、図7に示すように、第3のエレメント14は、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部から車幅方向に対し、略垂直な方向に下ろした線の手前まで延伸し、第3のエレメント14の終端から第4のエレメント15が延伸してもよい。
図6では、第1のアンテナ導体10は、第1のエレメント12、第2のエレメント13、第3のエレメント14、第4のエレメント15、第5のエレメント16のみが例示されているが、第1の実施形態と同様に、各エレメントの終端、または各エレメントの途中より延伸する付加エレメントがあってもよい。また、各エレメントは第1の実施形態と同様に、折り返し部を含んでいていてもよい。
図6では、第1のアンテナ導体10は、第1のエレメント12、第2のエレメント13、第3のエレメント14、第4のエレメント15、第5のエレメント16はいずれも直線状のエレメントのみが例示されているが、第1の実施形態と同様に、ガラスアンテナ300が垂直偏波を良好に送受信することができれば、各エレメントは例えばメアンダパターンのような折り返し部を含んでいてもよい。
第2の実施形態のガラスアンテナにおいて、第1の実施形態のガラスアンテナと同様に、第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20は、非対称のダイポールアンテナとして動作するため、例えばガラスアンテナに同軸ケーブルで給電する場合、同軸ケーブルの信号線(内部導体)を第1のアンテナ導体10の第1の給電部11に接続し、同軸ケーブルの接地線(外部導体)を第2のアンテナ導体20の第2の給電部21に接続してもよいし、同軸ケーブルの信号線(内部導体)を第2のアンテナ導体20の第2の給電部21に接続し、同軸ケーブルの接地線(外部導体)を第1のアンテナ導体10の第1の給電部11に接続してもよい。
ここで本願発明のガラスアンテナにおける、垂直偏波の電波の送受信原理について説明する。なお、アンテナを介した送信と受信の原理の可逆性から、ここでは車両の外部より飛来する垂直偏波の電波をアンテナで受信する立場で説明する。
車両の外部より飛来する垂直偏波の電波は、車両の窓ガラスの側辺部30に設けられている車両のピラーに到達する。車両のピラーは、水平線に対して所定の傾きを有しており、かつ送信電波の波長と比べ、車両のピラーは幅が狭く長さが長いため、逆位相の電流が約半波長間隔で発生するアンテナ導体とみなせる。車両正面方向から電波が到来する場合、受信した電波により車両のピラーに発生した電流は、複数生じている電流が強め合う関係になる。さらに、車両のピラーに発生した電流は、車両の窓ガラスの上辺部40に設けられている車両のルーフへ伝播する。本実施形態のように、車両の窓ガラスの角部近傍において、第1のアンテナ導体10を車両のピラーと第2のアンテナ導体20との間に配置すると、車両のピラーに発生した電流及び車両のルーフへ伝播した電流とも効率良く受信できるため、垂直偏波に対して高い受信感度を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。
(実施例1−1)
図3に示すガラスアンテナ100において、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aを45mmから200mmまで変化させたときの、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得(Fr利得)を有限積分法(FIT)にて解析した。計算には、電磁界シミュレータとして、Microwave Studio(登録商標)(CST社)を使用した。
図3に示すガラスアンテナ100において、各エレメントの寸法は以下とした。
第1のエレメント12:45mm
第2のエレメント13:25mm
第3のエレメント14:80mm
第4のエレメント15:5mm
第5のエレメント16:43mm
第6のエレメント22:50mm
第1の給電部11と第2の給電部21のサイズは17.5mm×15mm、第1の給電部11と第2の給電部21との間隔は5mm、第1の給電部11と第2の給電部21と車両の窓ガラスの上辺部40との距離は15mmとした。
なお、実施例1−1では、第1の給電部11に信号線を接続し、第2の給電部21を接地線に接続した。
図8および表1は、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aを45mmから200mmまで変化させたときの、Fr利得を示す。
Figure 0006540003
図8および表1より、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aが90mm以下の場合、Fr利得の低下は−3dBi以内であることが分かる。
(実施例1−2)
図3に示すガラスアンテナ100において、第1の給電部11に接地線を接続し、第2の給電部21を信号線に接続した以外は実施例1−1と同じ条件で、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得(Fr利得)を有限積分法(FIT)にて解析した。
図9および表2は、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aを45mmから200mmまで変化させたときの、Fr利得を示す。
Figure 0006540003
図9および表2より、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aが90mm以下の場合、Fr利得の低下は−3dBi以内であることが分かる。
(実施例1−3)
図7に示すガラスアンテナ400において、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aを45mmから200mmまで変化させたときの、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得(Fr利得)を有限積分法(FIT)にて解析した。
図7に示すガラスアンテナ100において、各エレメントの寸法は以下とした。
第1のエレメント12:42mm
第2のエレメント13:35mm
第3のエレメント14:77mm
第4のエレメント15:1mm
第5のエレメント16:43mm
第6のエレメント22:50mm
第1の給電部11と第2の給電部21のサイズは17.5mm×15mm、第1の給電部11と第2の給電部21との間隔は5mm、第1の給電部11と第2の給電部21と車両の窓ガラスの上辺部40との距離は15mmとした。
なお、実施例1−3では、実施例1−1と同様に第1の給電部11に信号線を接続し、第2の給電部21を接地線に接続した。
図10および表3は、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aを45mmから200mmまで変化させたときの、Fr利得を示す。
Figure 0006540003
図10および表3より、第1の給電部11の車両の窓ガラスの側辺部30に最も近い端部と、車両の窓ガラスの側辺部30の第1の給電部11に最も近い端部との距離Aが90mm以下の場合、Fr利得の低下は−3dBi以内であることが分かる。
(実施例2)
図3に示すガラスアンテナ100において、第1のエレメント12、第2のエレメント13、第3のエレメント14、第4のエレメント15、第5のエレメント16の長さの和を198mmとし、第1のエレメント12の終端と第3のエレメント14の起点との距離Bを17mmから92mmまで変化させたときの、指向性を4分割した際の前方向90°の平均利得(Fr利得)を有限積分法(FIT)にて解析した。
第1の給電部11と第2の給電部21のサイズは17.5mm×15mm、第1の給電部11と第2の給電部21との間隔は5mm、第1の給電部11と第2の給電部21と車両の窓ガラスの上辺部40との距離は15mm、第6のエレメント22の長さは50mmとした。
図11および表4は、第1のエレメント12の終端と第3のエレメント14の起点との距離Bを17mmから92mmまで変化させたときの、Fr利得を示す。
Figure 0006540003
図11および表4より、第1のエレメント12の終端と第3のエレメント14の起点との距離Bが17mm〜70mmの場合、Fr利得は−4.20dBi〜−2.65dBiであるのに対し、距離Bが70mm以上になるとFr利得は−5.00dBi以下まで低下することが分かる。
本発明は、垂直偏波に対して高い受信感度を有するアンテナ装置であり、例えば、車車間通信や路車間通信に好適に用いることができる。
100、101、102、200、300、400 ガラスアンテナ
10 第1のアンテナ導体
11 第1の給電部
12 第1のエレメント
13 第2のエレメント
14 第3のエレメント
15 第4のエレメント
16 第5のエレメント
17、18、19 付加エレメント
20 第2のアンテナ導体
21 第2の給電部
22 第6のエレメント
30 車両の窓ガラスの側辺部
40 車両の窓ガラスの上辺部
50 車両の窓ガラス

Claims (8)

  1. 車両の窓ガラスの角部近傍に設けられ、第1の給電部を有する第1のアンテナ導体と、第2の給電部を有する第2のアンテナ導体とを備えた車両用ガラスアンテナであって、
    前記第1の給電部の、前記車両の窓ガラスの上辺部に最も近い端部から前記車両の窓ガラスの上辺部までの距離と、前記第2の給電部の、前記車両の窓ガラスの上辺部に最も近い端部から前記車両の窓ガラスの上辺部までの距離が略同じであり、かつ、前記第1の給電部と前記第2の給電部は、車幅方向に略平行な方向に並んで配置され、
    前記第1のアンテナ導体が前記車両の窓ガラスの側辺部と前記第2のアンテナ導体の間に配置され、
    前記第1のアンテナ導体は、前記第1の給電部を起点に、車幅方向に対し略平行で、かつ前記第2のアンテナ導体が配置されている方向とは反対方向に延伸する第1のエレメントと、
    前記第1のエレメントの終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ前記車両の窓ガラスの下辺方向に延伸する第2のエレメントと、
    前記第2のエレメントの終端を起点に、前記第2のアンテナ導体が配置されている方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第3のエレメントと、
    前記第3のエレメントの終端を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ前記車両の窓ガラスの上辺方向または下辺方向に延伸する第4のエレメントと、
    前記第4のエレメントの終端を起点に、前記第2のアンテナ導体が配置されている方向とは反対方向で、かつ車幅方向に対し略平行に延伸する第5のエレメントとを備え
    前記第1のアンテナ導体および前記第2のアンテナ導体は、垂直偏波を送受信することを特徴とする、車両用ガラスアンテナ。
  2. 前記第1の給電部の前記車両の窓ガラスの側辺部に最も近い端部と、前記車両の窓ガラスの側辺部の前記第1の給電部に最も近い端部との距離が、90mm以下である請求項1に記載の車両用ガラスアンテナ。
  3. 前記第1のエレメントの終端と前記第3のエレメントの起点との距離が70mm以下である請求項1または2に記載の車両用ガラスアンテナ。
  4. 前記第1のエレメントの終端と前記第3のエレメントの起点との距離は、前記第3のエレメントの終端と前記第5のエレメントの起点との距離よりも長い請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
  5. 前記第2のアンテナ導体は、前記第2の給電を起点に、車幅方向に対し略垂直な方向で、かつ前記車両の窓ガラスの下辺方向に延伸する第6のエレメントを備える請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
  6. 前記車両の窓ガラスが、フロントガラスである請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
  7. 前記第1のアンテナ導体と前記第2のアンテナ導体とが送受信可能な周波数帯域が、760MHz帯である請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナを備える窓ガラス。
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