JP6539969B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
建材、家具、家電製品等において、使用する部材を加飾したい場合には、化粧シートが一般的に用いられている。
これら化粧シートは、意匠性を高めるために、エンボス版で所定のパターン(例えば木質絵柄の導管パターン)の凹部が形成される場合がある。
しかし、エンボス版で所定のパターンの凹部を形成した化粧シートは、凹部の底部で反射する光が強く見える場合があり、この反射光が意匠性を低下させる原因となっている。
そこで、凹部の底部を低艶化した化粧シートが求められている。
一方、化粧シートの表面で外光が正反射することによる眩しさを低減するために、化粧シート全体を低艶化することも求められている。
上記要求を満足し得る化粧シートとして、サンドブラスト処理したエンボス版を用いて凹部を形成した化粧シートが提案されている(特許文献1)。
特開2010−100030号公報
特許文献1の技術によれば、化粧シートの表面及び凹部の底部を低艶化することができる。しかし、特許文献1のようなサンドブラスト処理したエンボス版を用いて凹部を形成した化粧シートは、凹部と凹部以外の箇所の区別がつきにくく、全体的にメリハリがなくのっぺりとした外観となってしまい、凹部の形成による意匠性を高める効果が得られないという問題があった。
本発明は、凹部の底部の反射光を目立ちにくくするとともに、化粧シート表面の凹部と凹部以外の箇所とを識別でき、意匠性に優れる化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、以下の[1]〜[16]の化粧シート及び化粧材を提供する。
[1]少なくとも一方の表面に複数の凹部を有する化粧シートであって、該凹部の少なくとも一部は底部に凹凸形状を有してなり、
該凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した算術平均粗さRaDEPと、該化粧シートの表面の該凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した算術平均粗さRaSURとが下記条件(1)を満たす、化粧シート。
0.60≦RaDEP/RaSUR≦0.96 (1)
[2]前記RaDEPが下記条件(1’)を満たす上記[1]に記載の化粧シート。
3.5μm≦RaDEP≦10.0μm (1’)
[3]前記凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータから算出した平均傾斜角θaDEPと、前記化粧シートの表面の前記凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータから算出した平均傾斜角θaSURとが下記条件(2)を満たす、上記[1]又は[2]に記載の化粧シート。
θaDEP/θaSUR≦0.80 (2)
[4]前記θaDEPが下記条件(2’)を満たす上記[3]に記載の化粧シート。
17.0度≦θaDEP≦27.0度 (2’)
[5]前記凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した粗さ曲線要素の平均長さRSmDEPと、前記化粧シートの表面の前記凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した粗さ曲線要素の平均長さRSmSURとが下記条件(3)を満たす、上記[1]〜[4]の何れかに化粧シート。
1.20≦RSmDEP/RSmSUR (3)
[6]前記RSmDEPが下記条件(3’)を満たす上記[5]に記載の化粧シート。
80.0μm≦RSmDEP (3’)
[7]前記凹部は短径及び長径を有してなり、該長径と平行な方向を前記任意の方向とする上記[1]〜[6]の何れかに記載の化粧シート。
[8]前記凹部の長径の平均長さが2〜50mmである上記[7]に記載の化粧シート。
[9]前記凹部の短径の平均長さが0.1〜10mmである上記[7]又は[8]に記載の化粧シート。
[10]前記複数の凹部は、互いの長径が略平行となるように配列されてなる上記[7]〜[9]の何れかに記載の化粧シート。
[11]前記凹部の最大深さの平均が40〜200μmである上記[1]〜[10]の何れかに記載の化粧シート。
[12]基材上に表面保護層を有してなり、該表面保護層側の面に前記凹部を有する上記[1]〜[11]の何れかに記載の化粧シート。
[13]前記基材と前記表面保護層との間に意匠層を有してなる上記[12]に記載の化粧シート。
[14]前記意匠層が木目模様を含む上記[13]に記載の化粧シート。
[15]被着材と、上記[1]〜[14]の何れかに記載の化粧シートの前記凹部を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなる化粧材。
[16]床用の化粧材として用いる上記[15]に記載の化粧材。
本発明の化粧シート及び化粧材は、凹部の底部の反射光を目立ちにくくするとともに、化粧シート表面の凹部と凹部以外の箇所とを識別でき、意匠性を極めて良好にすることができる。
本発明の化粧シートの一実施形態を示す断面図である。 凹部底部の凹凸形状の断面曲線の高さデータの測定方向を説明する図である。 凹部底部の凸部の形状、配列パターンの実施形態を示す平面図である。 高さデータ処理装置の機能ブロック図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、少なくとも一方の表面に複数の凹部を有する化粧シートであって、該凹部の少なくとも一部は底部に凹凸形状を有してなり、
該凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した算術平均粗さRaDEPと、該化粧シートの表面の該凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した算術平均粗さRaSURとが下記条件(1)を満たすものである。
0.60≦RaDEP/RaSUR≦0.96 (1)
図1は、本発明の化粧シート10の一実施形態を示す断面図である。図1の化粧シート10は、基材1の一方の面に、意匠層2、接着剤層3、熱可塑性樹脂層4及び表面保護層5を有してなり、表面保護層5側の面に凹部6が形成され、凹部6の底部には凹凸形状が形成されている。
なお、本発明の化粧シートは、少なくとも一方の表面に複数の凹部を有し、該凹部の少なくとも一部が底部に凹凸形状を有するものであって、かつ上記条件(1)の条件を満たすものであればよく、図1に示す各層は任意の構成要件である。
条件(1)
条件(1)は、凹部の底部の凹凸の算術平均粗さRaDEPと、化粧シート表面の凹部以外の箇所の算術平均粗さRaSURとの比(RaDEP/RaSUR)が、0.60以上であり、0.96以下である。
算術平均粗さRaは、反射光の角度分布(拡散反射強度分布)の広さに関わる要素である。Raの比が0.96を超えると、凹部の底部の拡散反射強度分布と、凹部以外の箇所の拡散反射強度分布とが類似する分布状態となり、凹部と凹部以外の箇所との艶感が類似し、両箇所の区別がつきにくくなり、意匠性が低下してしまう。また、Raの比が0.96を超えると、凹部以外の箇所に対して凹部が沈み込んで見える度合いが低下してしまう。逆に、Raの比が0.96以下であると、凹部以外の箇所に比べて凹部の拡散が小さくなるため凹部の白味が減少し、凹部が沈み込むように認識しやすくなる。当該作用は、例えば凹部が木目導管模様の場合に極めて効果的である。
一方、Raの比が0.60未満となると、凹部以外の箇所の正反射方向の反射強度に比べて、凹部の底部の正反射方向の反射強度が大きくなり、凹部の底部の反射光が目立ち、視認者に不快感を与えてしまう。
条件(1)は、0.65≦RaDEP/RaSUR≦0.95を満たすことが好ましく、0.70≦RaDEP/RaSUR≦0.94を満たすことがより好ましく、0.75≦RaDEP/RaSUR≦0.93を満たすことがさらに好ましい。
なお、従来技術として例示したサンドブラスト処理したエンボス版では、凹部の底部と、化粧シート表面の凹部以外の箇所とは略同一形状となることから、条件(1)及び後述する条件(2)、(3)、(4)、(5)を満足することはできない。
本発明において、条件(1)及び後述するその他の条件は、任意の方向において満たしていれば良い。例えば化粧シートを床材として用いる場合、窓に対して垂直な方向(窓から太陽光が差し込む方向)は拡散反射強度が強く、反射光を認識しやすい点で重要であり、また、扉に対して垂直な方向(扉に向って人間が歩く方向)は人間の視野に入りやすい点で重要である。したがって、化粧シートの任意の方向において、条件(1)及び後述するその他の条件を満たしていれば、該方向において各条件による効果を十分に発揮できる。
また、条件(1)は、本発明の化粧シートに存在する凹部の全てがこれを満たす必要はないが、80%以上の凹部が満たしていることが好ましく、90%以上の凹部が満たしていることがより好ましく、95%以上の凹部が満たしていることがさらに好ましい。後述するその他の条件についても、80%以上の凹部が満たしていることが好ましく、90%以上の凹部が満たしていることがより好ましく、95%以上の凹部が満たしていることがさらに好ましい。
なお、本発明において、条件(1)及び後述するその他の条件を確定する要素となる、凹部の凹凸形状のRa等の表面性状は、20個の凹部の測定値の平均値とする。また、測定の際は、個々の凹部の測定方向が互いに平行になるようにして測定する(全ての測定方向を合わせる)。例えば、図2の2つ凹部の測定方向は、何れも図2中に記載した測定方向で統一させる。
なお、化粧シートの表面で、複数の凹部が略平行に配列されている場合において、凹部が長径及び短径を有する形状の場合には、凹部の長径の方向において測定することが好ましい(凹部の長径方向において、条件(1)及び後述するその他の条件を満たすことが好ましい)。
個々の凹部のRa等の表面性状の測定値は、以下の(A)〜(C)のように算出するものとする。なお、以下の説明はRaを例としているが、平均傾斜角θa等のその他の表面性状についても同様である。
(A)測定方向と直交する方向(幅方向)に凹部を4分割する平行線を引く。(例えば、図2の3本の点線が凹部を幅方向に4分割する平行線になる。)
(B)3本の平行線と垂直に凹部を切断した際の凹凸形状の断面曲線の高さデータをそれぞれ測定する。
(C)個々の断面曲線の高さデータからRaを算出し、3つの断面曲線の算出値の平均値を、該凹部のRaの測定値とする。
また、本発明において、条件(1)及び後述するその他の条件を確定する要素となる、化粧シート表面の凹部以外の箇所のRa等の表面性状は、20箇所の測定値の平均値とする。
また、本発明において、断面曲線の高さデータは、例えば三次元形状分析機により測定することができる。測定長さは1mmとする。具体的な測定方法は後述する。
条件(1’)
本発明の化粧シートは、RaDEPが下記条件(1’)を満たすことが好ましい。
3.5μm≦RaDEP≦10.0μm (1’)
RaDEPを3.5μm以上とすることにより、凹部の底部で反射される光の角度分布(拡散反射強度分布)の範囲を広げることができ、正反射方向の反射強度が強くなり過ぎることにより視認者が不快感を受けることをより防止しやすくできる。
また、RaDEPを10.0μm以下とすることにより、傾斜角の大きい凹凸により拡散反射強度分布が広がって白化が生じることを抑制しやすくできる。さらに、RaDEPを10.0μm以下とすることにより、非常に大きな拡散角度の存在により凹部が浮かび上がるような白さとして認識されることを原因として、凹部が沈み込むように見えなくなることを防止しやすくできる。
条件(1’)は、4.0μm≦RaDEP≦9.5μmを満たすことが好ましく、5.0μm≦RaDEP≦9.0μmを満たすことがより好ましく、6.0μm≦RaDEP≦8.0μmを満たすことがさらに好ましい。
条件(2)
また、本発明の化粧シートは、前記凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータから算出した平均傾斜角θaDEPと、前記化粧シートの表面の前記凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータから算出した平均傾斜角θaSURとが下記条件(2)を満たすことが好ましい。
θaDEP/θaSUR≦0.80 (2)
θaDEP/θaSURを0.80以下とすることにより、凹部の底部の拡散反射強度分布と、凹部以外の箇所の拡散反射強度分布とがより明確に区別され、凹部と凹部以外の箇所との区別をよりつきやすくすることができる。また、θaDEP/θaSURを0.80以下とすることにより、凹部以外の箇所に比べて凹部がより沈み込んで見え、例えば木目導管模様の凹部の意匠性を極めて良好にすることができる。なお、条件(1)を満たすものの、凹部の底部の凹凸が、山の間隔が短く個々の山が切り立った形状のような場合、条件(2)を満たしにくくなる。
条件(2)は、θaDEP/θaSUR≦0.70を満たすことがより好ましく、θaDEP/θaSUR≦0.65を満たすことがさらに好ましい。
なお、θaDEP/θaSURの値が小さすぎる場合、条件(1)を満たしにくくなることから、θaDEP/θaSURは0.40以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましい。
θaDEP及びθaSURは、高さデータの各測定区間の間隔と、各測定区間の標高差とから、各測定区間の傾斜角を算出し、全測定区間の値を平均することにより算出できる。
条件(2’)
また、上記θaDEPは、以下の条件(2’)を満たすことが好ましい。
17.0度≦θaDEP≦27.0度 (2’)
条件(2’)を満たすことにより、凹部の底部の反射光をより抑制することができ、さらに凹部をより沈み込んだ外観とすることができる。
条件(2’)は、17.5度≦θaDEP≦25.0度を満たすことがより好ましく、18.0度≦θaDEP≦23.0度を満たすことがさらに好ましい。
条件(3)
また、本発明の化粧シートは、前記凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した粗さ曲線要素の平均長さRSmDEPと、前記化粧シートの表面の前記凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した粗さ曲線要素の平均長さRSmSURとが下記条件(3)を満たすことが好ましい。
1.20≦RSmDEP/RSmSUR (3)
RSmは凹凸のピッチを表しており、RSmが小さくなる(凹凸のピッチが小さくなる)と、凹凸の傾斜角が大きくなり、拡散反射強度分布が広がる傾向にある。つまり、条件(1)を満たす場合であっても、RSmDEPがRSmSURよりも十分に大きくないほど、凹部の拡散反射強度分布が広がり、凹部と凹部以外の箇所との外観が徐々に区別しにくくなる。
このため、RSmDEP/RSmSURを1.20以上とすることは、凹部と凹部以外の箇所との外観をより区別しやすくする点で好適である。また、RSmDEP/RSmSURを1.20以上とすることにより、凹部がより沈み込んで見え、例えば木目導管模様の凹部の意匠性を極めて良好にすることができる。
RSmDEP/RSmSURが大きすぎる場合、凹部の凹凸の一つ一つが認識されやすくなるため、RSmDEP/RSmSURは必要以上に大きくしないことが好ましい。
このため、条件(3)は、1.20≦RSmDEP/RSmSUR≦3.00を満たすことが好ましく、1.30≦RSmDEP/RSmSUR≦2.50を満たすことがより好ましく、1.50≦RSmDEP/RSmSUR≦2.30を満たすことがさらに好ましい。
条件(3’)
本発明の化粧シートは、RSmDEPが下記条件(3’)を満たすことが好ましい。
80μm≦RSmDEP (3’)
RSmDEPが80μm以上であると、凹部の底部の凹凸のピッチが大きくなり、凹凸の傾斜角が小さくなることによって、凹部の底部の拡散反射強度分布が広がることをより防止でき、凹部が浮かび上がるような白さとして認識されることを原因として、凹部が沈み込むように見えなくなることをより防止できる。
なお、凹凸を付与する代表的な手法として、サンドブラスト、マット剤を含有するコーティング剤の塗布が挙げられる。これらの手法で凹凸形状を形成する場合、RSmDEPを条件(3’)のように大きくすることは困難である。本発明では、例えば、後述するような特殊なエンボス版を用いることにより、条件(3)を満たすことを可能としている。
また、RSmDEPが大きすぎる場合、凹部の凹凸の一つ一つが認識されやすくなるため、RSmDEPは必要以上に大きくしないことが好ましい。
このため、条件(3’)は、85μm≦RSmDEP≦200μmを満たすことがより好ましく、90μm≦RSmDEP≦180μmを満たすことがさらに好ましく、90μm≦RSmDEP≦150μmを満たすことがよりさらに好ましい。
その他の条件
また、本発明の化粧シートは、前記凹部の凹凸形状の任意の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した十点平均粗さRzjisDEPが、下記条件(4)を満たすことが好ましい。
RzjisDEP≦50.0μm (4)
十点平均粗さ(Rzjis)は、粗さ曲線で最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均の和である。このように、Rzjisは、粗さ曲線のうち、標高の高い箇所及び低い箇所に注目した値である。一方、算術平均粗さ(Ra)は、粗さ曲線全体の標高の平均値である。つまり、RzはRaと同様に、粗さ曲線の粗さの程度を示すものの、粗さ曲線の凹凸のランダム性を表していると言える。
RzjisDEPを50.0μm以下とすることにより、凹凸のランダム性を抑え、凹部の外観にムラを生じさせにくくできる。また、凹凸形状の規則性が強い場合、人工物のように見える傾向にあるが、RzjisDEPを所定の値以上とした場合、凹凸のランダム性によって、凹部の外観に自然感を付与できる。また、RzjisDEPを所定の値以上とした場合、化粧シートの欠陥を目立ちにくくできる点で好適である。
このため、条件(4)は、20.0μm≦RzjisDEP≦45.0μmを満たすことがより好ましく、30.0μm≦RzjisDEP≦40.0μmを満たすことがさらに好ましい。
また、条件(4)の効果をより発揮しやすくする観点から、上記RzjisDEPとRaDEPとの比が、以下の条件(5)を満たすことが好ましい。
RzjisDEP/RaDEP≦7.0 (5)
条件(5)は、3.0≦RzjisDEP/RaDEP≦6.0を満たすことがより好ましく、4.0≦RzjisDEP/RaDEP≦5.5を満たすことがさらに好ましい。
なお、化粧シートの表面の凹部以外の箇所について、前記任意の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した十点平均粗さRzjisSURは、凹部と凹部以外の箇所の区別容易性の観点から、RzjisDEPをよりも大きいことが好ましい。
また、凹部と凹部以外の箇所の区別容易性の観点から、また、RzjisDEPとRzjisSURとは、以下の条件(6)を満たすことが好ましい。
0.68≦RzjisDEP/RzjisSUR≦0.95 (6)
条件(6)は、0.70≦RzjisDEP/RzjisSUR≦0.93を満たすことがより好ましく、0.75≦RzjisDEP/RzjisSUR≦0.92を満たすことがさらに好ましい。
凹部の形状
凹部の形状は、例えば、木目導管模様、ヘアライン、梨地等が挙げられる。凹部の大きさ、ピッチ等は、凹部の形状等により異なるため一概には言えないが、木目導管模様の場合、凹部の幅の平均(短径の平均)が0.1〜10mm、凹部の長さの平均(長径の平均)が2〜50mm、凹部の最大深さの平均が40〜200μm、隣り合う凹部の間隔の平均(ピッチの平均)が0.2〜2mmであることが好ましい。凹部の幅の平均(短径の平均)は0.2〜5mm、凹部の長さの平均(長径の平均)が3〜30mm、凹部の最大深さの平均が50〜150μm、隣り合う凹部の間隔の平均(ピッチの平均)が0.3〜1.5mmであることがより好ましい。なお、これら平均値は、10cm2の範囲で任意に選択した20個の凹部の平均値とする。
また、凹部は化粧シートの表面に、凹部の長径が略平行となるように配列することが好ましい。略平行とは、長径の軸の差が30度以内を意味し、好ましくは15度以内、より好ましくは5度以内を意味する。
上述した凹部を表面に有する化粧シートは、基材または基材上に形成した層に対して、エンボス版によるエンボス処理を行うこと、又は型による成型すること等により形成できる。型による成型の場合、微細凹凸形状を型から取り出すことが難しい場合があることから、エンボス版によるエンボス処理が好ましい。
エンボス版
従来のエンボス版は、銅基材に現像、腐食、レジスト剥離することにより、木目導管模様、ヘアライン、梨地等の凹凸模様を形成したものや、このように形成した凹凸模様にさらにサンドブラスト処理したもの等を用いていた。
しかし、サンドブラスト処理がされていない未処理のエンボス版を用いた場合、凹部の底部に凹凸形状を付与することができず、凹部の底部の正反射方向の反射強度が強くなり過ぎてしまい、視認者に不快感を与えてしまう。なお、表面凹凸を有する層に未処理のエンボス版を用いてエンボス加工すると、凹部に若干の凹凸は残るが、エンボス加工時の圧力によって凹凸が押しつぶされて、正反射方向の反射強度を抑制することができない。また、サンドブラスト処理されたエンボス版を用いた場合、凹部と凹部以外の箇所の形状が同程度(艶が同程度)となり、凹部が認識しにくく意匠性を良好にすることができない。また、サンドブラスト処理されたエンボス版を用いた場合、凹部の白化を招きやすく、凹部が沈み込んで見えなくなってしまう。
上述した条件(1)及びその他の条件を満たすために、エンボス版の凸部(化粧シートの凹部に対応する部分)に微細な凹凸パターンが形成されたエンボス版を用いることが好ましい。このようなエンボス版は、例えば、(A)CAMソフトにプログラミングしたレーザー照射パターンを組み込み、ラッカー等でマスキングされたエンボス版のマスキングを部分的に除去した後、エンボス版の表面の銅メッキをエッチングする一連の工程を数回繰り返すこと、あるいは、(B)CAMソフトにプログラミングした彫刻パターンを組み込み、大型CNC複合旋盤機を用いてエンボス版に直接彫刻すること、などにより作製することができる。
なお、マスキングを利用してエンボス版の凸部と平坦部とを異なった条件でサンドブラスト処理して、凸部の凹凸と平坦部の凹凸とが相違するエンボス版を用いても、上述した条件(1)及びその他の条件を満たし得る。ただし、サンドブラスト処理では凹凸の間隔の制御が困難であり、上述した条件のうち(3)及び(3’)の制御が難しいことから、前述したエンボス版の凸部(化粧シートの凹部に対応する部分)に微細な凹凸パターンが形成されたエンボス版がより好適である。
エンボス版の凸部のパターンとしては、木目導管模様、ヘアライン、梨地等を反転した形状が挙げられる。凸部の大きさ、ピッチ等は、目的とする凹部の大きさ等に応じて決定すればよい。なお、エンボス加工の際、エンボス版の凹凸形状はそのまま化粧シートに反映されないため(エンボス版の凹凸形状に対して、化粧シートの凹凸形状は、高さが低くなったり傾斜角が小さくなる傾向がある。)、この点を考慮する必要がある。
エンボス版の凸部に設ける微細な凹凸パターンとしては、例えば、図3の(a)〜(d)に示すような斜線、十字線、半球、多面体が挙げられる。
微細な凹凸パターンの高さ、幅、ピッチ(凸部の山頂間隔)は、上述した条件(1)及び(2)を満たすような範囲とすればよく、必要に応じて上述したその他の条件を満たすような範囲とすればよい。微細な凹凸パターンは、高さが5μm以上で凹部の深さ以下、幅が15〜390μm、ピッチ(凸部の山頂間隔)が20〜400μmであることが好ましい。微細な凹凸パターンは、高さが10〜100μm、幅が20〜290μm、ピッチ(凸部の山頂間隔)が30〜300μmであることが好ましい。
基材
基材は特に制限されないが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム、紙類、あるいはこれらの複合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂シートが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン/プロピレン共重合体樹脂、エチレン/プロピレン/ブテン共重合体樹脂、オレフィン熱可塑性エラストマー等が挙げられる。耐候性や、耐擦傷性等の表面保護特性の観点から、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これら基材は、意匠性の観点から着色されていてもよい。
また、基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、機械的強度の観点から、二軸延伸されたものが好適である。
基材の厚さは、機械的強度及び取り扱い性の観点から、20〜200μmが好ましく、40〜160μmがより好ましく、40〜100μmがさらに好ましい。
なお、化粧シートの総厚みは40〜1000μmが好ましく、80〜750μmがより好ましく、100〜500μmがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、あるいはポリプロピレン結晶部を有し、かつプロピレン以外の炭素素2〜20のα−オレフィン共重合体等が好ましく挙げられる。その他、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等を15モル%以上含むプロピレン−α−オレフィン共重合体、例えばエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブテン共重合体等も挙げられる。
基材に用いる紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等が挙げられる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装等に用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維等の合成樹脂繊維が挙げられる。
表面保護層
表面保護層は、化粧シートの耐擦傷性を向上すること、及び化粧シートが意匠層を有する場合には意匠層を保護すること等を目的として、基材上に設けられる。
表面保護層は樹脂成分を含むことが好ましい。また、上述した各条件を満たしやすくする観点から、表面保護層はさらに粒子を含むことが好ましい。
表面保護層の総厚みは、凹部の形状や、表面保護層よりも基材側に位置する層(熱可塑性樹脂層等)の構成により異なるため一概には言えないが、0.1〜50μmが好ましく、1〜45μmがより好ましく、3〜35μmがさらに好ましい。
表面保護層の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、TEM又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1〜10kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は10〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。後述する意匠層及び隠蔽層等の厚みも同様にして算出できる。
表面保護層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物を含むことが好ましく、機械的強度をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物を含むことがより好ましく、その中でも電子線硬化性樹脂組成物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物である。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であることが好ましく、優れた表面保護特性を得る観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜6である。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において化粧シートの収縮を抑制できるためである。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、表面保護特性及び製造時の収縮抑制の観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂としては、硬度や電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度を調整するために、単官能(メタ)アクリレートを用いてもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、光重合用開始剤を0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系等の光重合用開始剤が好ましく挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂としては、電子線硬化性であることが好ましい。電子線硬化性の場合は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
粒子は表面凹凸をし得るものであれば、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、優れた低艶感が得られ、また容易に調達できて安価であるとの観点から無機粒子が好適であり、無機粒子の中でもシリカが好適である。
表面保護層中の粒子の含有量は、上述した各条件を満たす観点から、該層を形成する全固形分中の0.1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
表面保護層中の粒子の平均粒子径は、上述した各条件を満たす観点、及び化粧シートの凹部以外の箇所を低艶化する観点から、1〜60μmが好ましく、1〜40μmがより好ましく、1〜30μmがさらに好ましい。
本発明において粒子の平均粒子径は、粒子の長径及び短径の平均から個々の粒子(凝集している場合は凝集粒子)の粒子径を算出し、これを平均することにより算出できる。具体的には、SEM、TEM又はSTEMによる化粧シートの表面像又は断面像から任意の2個の粒子を抽出し(表面像の場合、無作為に2個選択できるが、断面の場合、粒子のどこで切られているか不明であるため、可能な限り大きい粒子を2個選択する)、個々の粒子の長径及び短径を測定して、個々の粒子の粒子径を算出し、同じサンプルの別画面の撮像において同様の作業を9回行って、合計20個分の粒子の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とした。なお、長径は、粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
粒子の平均粒子径を算出する際において、算出する平均粒子径がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、TEM又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1〜10kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は10〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
意匠層
意匠層は、化粧シートの意匠性を高めることを目的として、必要に応じて設けられる。意匠層は、例えば基材と表面保護層との間に設けられる。
意匠層としては、着色層、絵柄層等が挙げられる。これらの層は、同一種または異種の層を積層する等して、適宜組み合わせて用いてもよい。
着色層は、全面ベタの層であり、主として隠蔽性を付与する目的を有する。着色層は、印刷等で形成することができる。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
着色剤としては、化粧シートの用途や絵柄層との色の相性等から適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
絵柄層は印刷等で形成される。絵柄層の模様(絵柄パターン)としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。本発明においては、凹凸面による作用との相乗効果の観点から、木目模様が好ましい。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。絵柄層を用いるインキは、着色層と同様のものを用いることができる。
意匠層の厚みは、意匠層の形態と、目的とする意匠性とを考慮して、0.1〜20μm程度の範囲で適宜調整することができる。意匠層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。
熱可塑性樹脂層
熱可塑性樹脂層は、基材や意匠層の保護のために、必要に応じて、基材と表面保護層との間、あるいは意匠層と表面保護層との間に設けられる。
熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、各種熱可塑性樹脂を用いることができるが、ポリオレフィン樹脂が好適である。
ポリオレフィン樹脂としては、基材を構成する材料として例示したポリオレフィン樹脂を好ましく採用することができる。これらのポリオレフィン樹脂のうち、ポリプロピレン樹脂が好ましく、ランダムポリプロピレン樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、必要に応じて、着色剤を含んだ熱可塑性樹脂組成物により構成されていてもよく、意匠層の視認性が確保されていれば半透明であってもよい。また、熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂層の厚さは、基材や意匠層の保護、機械的強度、取り扱い性等の観点から、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。
接着剤層
接着剤層は、熱可塑性樹脂層の密着性を向上させるために、必要に応じて、基材と熱可塑性樹脂層との間、あるいは意匠層と熱可塑性樹脂層との間に設けられる。
接着剤層で使用する接着剤は、基材、意匠層、及び熱可塑性樹脂層を構成する材料に応じて適宜選択することができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレンエラストマー等のα-ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、密着性や耐熱性等の観点から、ポリエステル樹脂が好適であり、そのなかでも2液硬化性ポリウレタン樹脂が好適である。
接着剤層の厚さは、使用する接着剤の種類等により異なるが、通常は0.1〜30μm程度とすることが好ましく、1〜15μmとすることがより好ましい。
プライマー層
プライマー層は、表面保護層の密着性を向上させるために、必要に応じて、熱可塑性樹脂層と表面保護層との間、あるいは基材と表面保護層との間等に設けられる。
プライマー層は樹脂を主成分とすることが好ましい。プライマー層の樹脂としては、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、プライマー層の樹脂は2液硬化性樹脂でもよい。これらの樹脂のうち、密着性の観点から2液硬化性樹脂が好ましい。
2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はなく、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
プライマー層中には、紫外線吸収剤及び光安定剤等の耐候性改善剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、及び硬化剤等を含有してもよい。
プライマー層の厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
裏面プライマー層
裏面プライマー層は、基材と各種の被着材との接着性を向上させる目的で好ましく設けられる層であり、化粧シートの凹部を有する面とは反対側の面に設けられる。
裏面プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等が挙げられ、被着材の材質によって、適宜選択すればよい。
また、裏面プライマー層の厚さは、1〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。
高さデータの測定方法
凹部の底部の高さデータ、及び化粧シートの表面の凹部以外の箇所の高さデータは、例えば三次元形状分析機により測定することができる。
三次元表面形状分析機は、レーザーや白色光を用いて対象物の高さ方向(深度)の測定を行うセンサー部分と、対象物を水平方向に移動させるステージ部分を有するものである。
三次元表面形状分析機のステージ部分に、測定対象とする化粧シートをセットした後、測定を行うと、三次元表面形状分析機は、測定結果として測定データを出力する。測定データは、x座標、y座標により特定される各位置についての高さデータ(深度)を記録した形式となっている。高さデータ(深度)は、0.01μmの精度で測定される。
表面形状の分析の結果、測定データとしての高さデータが得られたら、次に、高さデータ処理装置を用いて、高さデータの補正を行う。ここで、高さデータ処理装置の機能ブロック図を図4に示す。
高さデータ入力手段は、表面形状分析装置により得られた高さデータ(深度)を入力する機能を有しており、高さデータの形式に適合した入力機器により実現される。例えば、高さデータが、FDやMOに記録されている場合は、対応する読み取り装置で実現される。また、表面形状分析装置と高さデータ処理装置とを通信回線を介して接続し、高さデータを通信回線を介して入力する形態となっていても良い。
ハイパス処理手段は、化粧シートに存在する不均一な厚み、たわみを除去するために、高さデータの低周波成分を除去し、高周波成分のみを抽出する機能を有している。本実施形態では、高さデータから低周波成分のみを抽出し、抽出した低周波成分を元の高さデータから減算することにより、高周波成分のみを抽出する。
ライン縞除去手段は、高周波成分のみが抽出された高さデータ上に生じるライン状の縞であるライン縞を除去する機能を有している。このライン縞は、表面形状分析装置における表面形状の分析の際、ステージ部分が水平方向に動作する際に上下し、対象物に高低差が生じるのが原因でできるものと考えられている。
高さデータ処理装置の具体的な処理について説明すると、高さデータが高さデータ入力手段から入力されると、ハイパス処理手段が、高さデータから低周波成分のみを抽出する。このような低周波成分を抽出する技術としては、「ビジュアル情報処理−CG・画像処理入門−P66−67(発行:CG−ARTS協会)」に開示されているように公知のものを採用することができる。この低周波成分の抽出には、所定のサイズの平滑化フィルタを利用する。平滑化フィルタとは、近傍の値を利用して、各座標の値を平滑化するためのものであり、そのサイズは、平均値を得るための元となる座標の数で定義される。本実施形態では、3×3の平滑化フィルタを用い、ある座標の値として、その座標の元の値および近傍8座標の値の計9座標の値の平均値を与えることにより平滑化を行う。この平滑化処理を測定データ上の各座標に対して実行することにより、低周波成分データが得られる。なお、平滑化フィルタのサイズは、任意に設定することが可能であり、フィルタサイズが大きいほど、低周波の成分が抽出されることになる。
続いて、ハイパス処理手段は、抽出された低周波成分データを、元の高さデータから減算する処理を実行する。低周波成分データと元の高さデータのサイズは同一であるため、対応する各座標ごとに、低周波成分データの値を高さデータの値から減算することになる。元の高さデータから低周波成分のみを除去することになるので、この結果、高周波成分のみが残った高周波成分データが、補正後の高さデータとして得られることになる。
次に、ライン縞除去手段が、高さデータの各ラインについて、そのラインにおける各座標の値の平均値を算出し、この平均値を、そのラインの各座標の値から減算する処理を行う。本実施形態では、表面形状分析装置の主走査方向、すなわちライン方向をx、表面形状分析装置の副走査方向、すなわち上記ラインが並ぶ方向をyとして座標を特定して高さデータを得ている。このため、ライン縞除去手段は、測定データ中の各ラインについて、そのラインの測定データの平均値を算出し、そのライン上の各測定データからそのラインの平均値を減算する処理を行う。これにより、あるラインの値が全体に小さくまたは大きくなっていても、その分を除去することができ、結果としてライン縞が発生するのを防ぐことができる。
[化粧材]
本発明の化粧材は、被着材と、上述した本発明の化粧シートの凹凸面とは反対側の面とを積層し、一体化してなるものである。
被着材は、例えば、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板;石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板;珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板;パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板;陶器、磁器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板;鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板;ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板;フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板;フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、これらの2種以上を積層した複合基板として用いてもよい。
化粧シートの各種被着材への積層方法としては特に限定されるものではなく、例えば接着剤によりシートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すれば良い。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
化粧材は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;窓枠、扉、手すり等の建具;家具;家電製品、OA機器等の筐体;玄関ドア等の外装材として好ましく用いることができる。なかでも建築物の内装材として用いることが好ましく、そのなかでも床用に用いることが好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」は特に断りのない限り質量基準である。
1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製した化粧シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(1)凹部の高さデータの測定、及び表面性状の算出
20箇所の凹部について、明細書本文の(A)〜(C)の手順により、個々の凹部のRaDEP、平均傾斜角θaDEP、RSmDEP、RzjisDEP等の表面性状を算出し、20箇所の平均値を、凹部の凹凸形状の断面曲線の高さデータから算出した表面性状とした。
また、凹部の凹凸形状の断面曲線の高さデータは、明細書本文に記載されたハイパス処理手段、及びライン縞除去手段を備えた三次元形状分析機を用いて測定した。三次元形状分析機は、センサー部分としてキーエンス社製の商品名「LK−G30」を用い、ステージ部分として神津精機社製の商品名「K2−300」を用いた。測定方向は、木目導管模様の配列方向と平行な方向とし、高さデータの測定間隔は10μm、測定長さは1mmとした。
なお、RaDEP、RSmDEP、RzjisDEPは、高さデータをJIS B0601:2001の計算式にあてはめて算出した。また、平均傾斜角は、高さデータの各測定区間の間隔(10μm)と、各測定区間の標高差とから、各測定区間の傾斜角を算出し、全測定区間(100個)の値を平均して算出した。
(2)化粧シート表面の凹部以外の箇所の高さデータの測定、及び表面性状の算出
化粧シート表面の凹部以外の箇所の断面曲線の高さデータを、明細書本文に記載されたハイパス処理手段、及びライン縞除去手段を備えた三次元形状分析機を用いて測定した。測定方向は、(1)の測定方向と平行とし、高さデータの測定間隔は10μm、測定長さは1mmとした。20箇所のRaSUR、平均傾斜角θaSUR、RSmSUR、RzjisSUR等の表面性状を算出し、20箇所の平均値を、凹部以外の箇所の断面曲線の高さデータから算出した表面性状とした。
(3)凹部の外観(艶、凹部の沈み込み)
化粧シートを凹凸面が上を向くように水平な台に置き、15〜35度の角度から蛍光灯で化粧シートの凹凸面を照射した。蛍光灯の光の正反射方向となる位置から凹部の艶、凹部と凹部以外の箇所の区別容易性、及び凹部の沈み込みの度合いを観察した。結果を表1に示す。
2.化粧シートの作製
[実施例1]
基材として着色ポリプロピレンシート(厚さ:60μm,ランダムポリプロピレン樹脂)を用意して、該シートの一方の面に、プライマー剤(アクリルウレタン樹脂系)を用いてグラビアコート法により裏面プライマー層(厚さ:2μm)を設けた。次いで、該裏面プライマー層を設けた面とは反対側の面に、グラビアコート法により、木目模様の絵柄層(厚さ:3μm)、接着剤層(ポリエステル樹脂,厚さ:5μm)を順次形成した。 次いで、接着剤層上に、熱可塑性樹脂層(透明ポリプロピレン樹脂シート、厚さ:80μm)を押出しラミネート方式で積層した。
次いで、透明ポリオレフィン樹脂シートの表面に、コロナ放電処理を施した後、2液硬化性ウレタン樹脂組成物を塗布してプライマー層(厚さ:2μm)を形成し、裏面プライマー層、着色ポリプロピレンシート、絵柄層、接着剤層、透明ポリプロピレン樹脂シート/プライマー層を順に有する積層体Aを得た。
次いで、積層体Aのプライマー層上に、下記処方の表面保護層塗布液1をグラビアダイレクトコート法で塗布し、電子線照射装置を用いて、酸素濃度:200ppm、加速電圧:175keV、照射量:5Mradの条件で電子線を照射して電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層(厚さ:5μm)を形成した。次いで、木目導管模様上に微細凹凸パターンを有する下記エンボス版1を用いてエンボス加工を行い(シート温度:120〜160℃、圧力:10〜40kg/cm2)、化粧シートを得た。
なお、実施例及び比較例で用いるエンボス版の木目導管模様は、各パターンが平行に配列されている。
<表面保護層塗布液1>
・2官能エステル系ウレタンアクリレートオリゴマー 65部
(重量平均分子量:1300)
・6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー 35部
(重量平均分子量:1500)
・無機粒子 10部
(未処理シリカ、平均粒子径:3.5μm,細孔容量:5ml/g以上)
<エンボス版1>
(木目導管模様)
幅の平均:0.45mm、長さの平均:4mm、ピッチの平均:1mm、最大深さの平均:70μm
(微細凹凸パターン)
パターンの形状:斜線、高さの平均:20μm、幅(線幅)の平均:90μm、ピッチの平均:100μm
[実施例2]
エンボス版を下記のエンボス版2に変更した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
<エンボス版2>
(木目導管模様:エンボス版1と同一)
(微細凹凸パターン)
パターンの形状:十字線、高さの平均:25μm、幅(線幅)の平均:130μm、ピッチの平均:140μm
[実施例3]
エンボス版を下記のエンボス版3に変更した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
<エンボス版3>
(木目導管模様:エンボス版1と同一)
(微細凹凸パターン)
パターンの形状:半球、高さの平均:30μm、幅(半球の底部の直径)の平均:110μm、ピッチの平均:120μm
[比較例1]
エンボス版をエンボス版4(エンボス版1から微細凹凸パターンを除いたもの)に変更した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
Figure 0006539969
表1に示すように、実施例1〜3の化粧シートは、凹部の底部の反射光を目立たなくできるとともに、化粧シート表面の凹部と凹部以外の箇所とを識別でき、意匠性が極めて良好なものであった。さらに、実施例1〜3の化粧シートは、凹部が沈み込むように認識することができ、意匠性が極めて良好なものであった。
一方、比較例1の化粧シートは、正反射方向の反射強度が強すぎて不快感を受けるものであった。なお、全面がサンドブラスト処理されたエンボス版を用いてエンボス処理した化粧シートは、凹部の艶感が完全に消失し、凹部と凹部以外の箇所の区別も困難であり、さらには凹部が沈み込んで見えないものであった。
本発明の化粧シートは、化粧シートの凹部の底部の反射光を目立たなくできるとともに、化粧シート表面の凹部と凹部以外の箇所とを識別でき、意匠性を極めて良好にすることができる点で有用である。
1:基材
2:意匠層
3:接着剤層
4:熱可塑性樹脂層
5:表面保護層
6:凹部
10:化粧シート

Claims (16)

  1. 少なくとも一方の表面に複数の凹部を有する化粧シートであって、該凹部の少なくとも一部は底部に凹凸形状を有してなり、
    該凹部の凹凸形状の所定の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した算術平均粗さRaDEPと、該化粧シートの表面の該凹部以外の箇所について、前記所定の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した算術平均粗さRaSURとが下記条件(1)及び条件(1’)を満たす、化粧シート。
    0.65≦RaDEP/RaSUR≦0.95 (1)
    6.94μm≦RaDEP≦9.0μm (1’)
  2. 前記RaDEPが下記条件(1’)を満たす請求項1に記載の化粧シート。
    6.94μm≦RaDEP≦8.0μm (1’)
  3. 前記凹部の凹凸形状の所定の方向の断面曲線の高さデータから算出した平均傾斜角θaDEPと、前記化粧シートの表面の前記凹部以外の箇所について、前記所定の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータから算出した平均傾斜角θaSURとが下記条件(2)を満たす、請求項1又は2に記載の化粧シート。
    θaDEP/θaSUR≦0.80 (2)
  4. 前記θaDEPが下記条件(2’)を満たす請求項3に記載の化粧シート。
    17.0度≦θaDEP≦27.0度 (2’)
  5. 前記凹部の凹凸形状の所定の方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した粗さ曲線要素の平均長さRSmDEPと、前記化粧シートの表面の前記凹部以外の箇所について、前記所定の方向と平行な方向の断面曲線の高さデータからJIS B0601:2001の計算式に準じて算出した粗さ曲線要素の平均長さRSmSURとが下記条件(3)を満たす、請求項1〜4の何れか1項に記載の化粧シート。
    1.20≦RSmDEP/RSmSUR (3)
  6. 前記RSmDEPが下記条件(3’)を満たす請求項5に記載の化粧シート。
    80.0μm≦RSmDEP (3’)
  7. 前記凹部は短径及び長径を有してなり、該長径と平行な方向を前記所定の方向とする請求項1〜6の何れか1項に記載の化粧シート。
  8. 前記凹部の長径の平均長さが2〜50mmである請求項7に記載の化粧シート。
  9. 前記凹部の短径の平均長さが0.1〜10mmである請求項7又は8に記載の化粧シート。
  10. 前記複数の凹部は、互いの長径が略平行となるように配列されてなる請求項7〜9の何れか1項に記載の化粧シート。
  11. 前記凹部の最大深さの平均が40〜200μmである請求項1〜10の何れか1項に記載の化粧シート。
  12. 基材上に表面保護層を有してなり、該表面保護層側の面に前記凹部を有する請求項1〜11の何れか1項に記載の化粧シート。
  13. 前記基材と前記表面保護層との間に意匠層を有してなる請求項12に記載の化粧シート。
  14. 前記意匠層が木目模様を含む請求項13に記載の化粧シート。
  15. 被着材と、請求項1〜14の何れか1項に記載の化粧シートの前記凹部を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなる化粧材。
  16. 床用の化粧材として用いる請求項15に記載の化粧材。
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