JP6331568B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シートに関する。
従来、様々な物品の表面には、意匠性を付与するために、化粧シートが積層されている。例えば、建築物の壁面に用いられる壁装材や、床面に用いられる床用化粧材には、表面に化粧シートが積層され、用いられている。
上述のような物品の表面に積層される化粧シートは、意匠性を向上させるために、表面の艶を抑制することが要求される。表面の艶が高いと蛍光灯等の照明器具の光が反射して質感が低下し、また、反射した光により白濁したように見える、いわゆる白濁感を生じてしまうからである。
このような問題を解消した化粧シートとして、最表面層が艶消しフィラーを含有する電離放射線硬化型樹脂により形成された化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。上記化粧シートは低艶感に優れ、白濁感の抑制にも優れた化粧シートである。
特開2012-091487号公報 特開2013-031995号公報
しかしながら、上記化粧シートを床材等の水平面に使用する場合、化粧シート表面を斜めから様々な角度から見ると照明器具等の光を反射して白く見えてしまい、絵柄等の化粧シートを表現する意匠が視認し難くなり、意匠性が低下するという問題がある。このような問題から、化粧シートには、(a)化粧シート表面を斜めからどの角度で見ても光の反射が抑制されて当該表面が白く見えずに表現する意匠が一様に良く見え、さらには、(b)当該表面を360°どの方向(方角)から見ても光の反射が抑制されて当該表面が白く見えずに表現する意匠が一様に良く見えて、意匠性に優れることが要求される。
従って、角度や方向にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れた化粧シートの開発が望まれている。
本発明は、角度や方向にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れた化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率と、当該凸部の短辺長さと長辺長さの比の平均値とをそれぞれ特定の範囲とする場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに関する。
1. 基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を有する化粧シートであって、
(1) 化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上であり、
(2) 前記凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値が0.5以上である、
ことを特徴とする、化粧シート。
2. 前記表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含む、上記項1に記載の化粧シート。
3. 前記透明性樹脂層がオレフィン系樹脂を含む、上記項1又は2に記載の化粧シート。
≪1.本発明の化粧シート≫
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を有する化粧シートであって、
(1) 化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上であり、
(2) 前記凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値が0.5以上である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する化粧シートは、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れている。言い換えれば、上記特徴を有する化粧シートは、化粧シート表面を斜めからどのような角度から見ても当該化粧シート表面が白光りしにくく一様に絵柄が良く見えるとともに、化粧シート表面を360°どの方向(方角)から見ても当該化粧シート表面が白光りしにくく一様に絵柄が良く見えるので、意匠性に優れる。さらには、本発明の化粧シートを木質基材等の表面に凹凸形状が存在する被着材の上に積層して化粧板(化粧材)とした場合に、上記凹凸形状が目立たない(「貼りムラが目立たない」ともいう)という効果も奏される。なお、「360°どの方向(方角)から見ても」とは、化粧シート表面を、例えば、(a)化粧シートの流れ方向、(b)化粧シートの巾方向、(c)化粧シートの流れ方向から45°の方向、等のどの方向から見ても、という意味である。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートにおいて、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートが被着材等に積層して用いられる際に、被着材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。
凸部の面積占有率
本発明の化粧シートは、当該化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上である。上記面積占有率が上記範囲内であることにより、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れている。上記面積占有率が60%未満である場合、化粧シート表面を見る角度によっては当該表面の光の反射が抑制されずに白光りし、結果として表現する意匠の見え方に差が生じる虞がある。
本明細書において、化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率(以下、単に「本発明における面積占有率」ともいう)は、以下の(i)〜(v)の手順で測定及び算出している。
(i) 100mm×100mmの化粧シートを用意する。
(ii) 上記(i)の化粧シートを、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)の測定台に載置する。
(iii) 上記(i)の化粧シートのうち、0.7mm×0.9mm部分を真上から撮影する。この撮影によって得られた領域を、撮影領域という。なお、倍率は300 倍とする。
(iv) 上記(iii)の撮影領域内に存在する、化粧シート表面の平面部に対して凸部となっている領域、又は、凸部を形成しているものが例えば艶消し剤のような添加剤である場合は、その艶消し剤が表面保護層を構成する樹脂から突出している(凸部の)領域を判別し、当該凸部の領域の面積の合計値を測定及び算出する。
(v) 上記(iii)の撮影領域の面積をP、上記凸部の領域の面積の合計値Cをとし、(C/P)×100 (=C÷P×100)を計算する。
本発明における面積占有率は、70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。上記面積占有率が上記範囲内であることによって、化粧シート表面を見る角度にかかわらず化粧シート表面の光の反射がさらに抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認がより可能であり、さらに意匠性に優れている。なお、本発明における面積占有率の上限値は、100%である。
本発明における面積占有率は、例えば、後述する表面保護層の厚さ、表面保護層が艶消し剤等の添加剤を含む場合に当該添加剤の含有量や平均粒径、化粧シート表面に凹凸形状のエンボス版による賦型をする場合に当該エンボス版の形状、等によって適宜調整することができる。
凸部のアスペクト比(S/L)の平均値
本発明の化粧シートは、当該化粧シート表面の平面部における凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/L (=S÷L)の平均値が0.5以上である。上記比S/L(凸部のアスペクト比)の平均値が上記範囲内であることにより、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れている。上記凸部のアスペクト比の平均値が0.5未満である場合、化粧シート表面を見る方向によっては当該表面の光の反射が抑制されずに白光りし、結果として表現する意匠の見え方に差が生じる虞がある。
本明細書において、化粧シート表面の平面部における凸部のアスペクト比の平均値(以下、単に「凸部アスペクト比平均値」ともいう)は、以下の(i)〜(vi)の手順で測定及び算出している。
(i) 100mm×100mmの化粧シートを用意する。
(ii) 上記(i)の化粧シートを、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)の測定台に載置する。
(iii) 上記(i)の化粧シートのうち、0.7mm×0.9mm部分を真上から撮影する。この撮影によって得られた領域を、撮影領域という。なお、倍率は300 倍とする。
(iv) 上記(iii)の撮影領域内に存在する、化粧シート表面の平面部に対して凸部となっている領域、又は、凸部を形成しているものが例えば艶消し剤のような添加剤である場合は、その艶消し剤が表面保護層を構成する樹脂から突出している(凸部の)領域を判別し、当該凸部をランダムに100個選別する。
(v) 上記100個の凸部の各寸法((a)短辺長さS、(b)長辺長さL、及び(c)凸部アスペクト比S/L)を測定する。
(vi) 上記100個の凸部アスペクト比の平均値を計算する。
本発明における凸部の長辺長さは、顕微鏡から見える各凸部において、最も遠い2点を結ぶ線の長さを意味する。また、本発明における凸部の短辺長さは、顕微鏡から見える各凸部において、最も近い2点を結ぶ線の長さを意味する。上記凸部の長辺及び短辺の長さは、それぞれ、顕微鏡(例えば、光学顕微鏡等)を用いて測定することができる。なお、本発明では、上記凸部の長辺及び短辺の長さは、(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープ VHX-100(観察倍率300倍)で測定したものである。
本発明におけるアスペクト比S/Lの平均値は、0.6以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。上記アスペクト比平均値が上記範囲内であることによって、化粧シート表面を見る方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射がさらに抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認がより可能であり、さらに意匠性に優れている。なお、本発明におけるアスペクト比平均値の上限値は、1.0である(この場合、上記選別された凸部の長辺長さと短辺長さが全て等しい状態である)。
本発明におけるアスペクト比平均値は、例えば、後述する表面保護層が艶消し剤等の添加剤を含む場合に当該添加剤の形状、化粧シート表面に凹凸形状のエンボス版による賦型をする場合に当該エンボス版の形状、等によって適宜調整することができる。
本発明の化粧シートは、本発明の効果を妨げない範囲であれば、図1のように木目板導管溝等の他のエンボス形状が賦型されていてもよい。図1は、本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。図1に例示する本発明の化粧シート1は、上記(1)面積占有率及び(2)上記アスペクト比平均値がそれぞれ上記特定の範囲内である平面部9を備えており、平面部9の間に木目板導管溝10が賦型されている。上記他のエンボス形状としては、木目板導管溝に限定されず、例えば、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。なお、上記エンボス形状は、形成された表面保護層に対して賦型してもよく、また、透明性樹脂層に対して賦型した後に表面保護層を形成してもよい。
本発明の化粧シートは、厚み(厚さ)が50〜600μmであることが好ましく、100〜250μmであることがより好ましい。厚みを上述の範囲とすることにより、本発明の化粧シートの意匠性はより優れる。
[化粧シートの層構成]
本発明の化粧シートは、上記(1)面積占有率及び(2)上記アスペクト比平均値がそれぞれ上記特定の範囲内であれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートが挙げられる。
以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として、各層について具体的に説明する。
基材シート
本発明の化粧シートは、基材シートを有する。
基材シートは、その表面(おもて面)に絵柄模様層等が順次積層される層である。基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)が好適である。具体的には、ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物,エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。前記基材シートは、これら樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせ用いることにより形成される。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20〜300μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄模様層等を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、後述する裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、絵柄模様層を有していてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
なお、本発明の化粧シートが絵柄模様層を備えない構成である場合、本発明の化粧シートを構成する層を透明とすれば、木質基材等の被着材の模様を上記化粧シートを通して視認可能とすることにより、被着材の模様をそのまま意匠とすることができる。当該構成とすることにより、被着材の模様により表現される意匠が本発明の化粧シートにより低艶感に優れ、且つ、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制され、上記意匠が視認可能であり、優れた意匠性を示すことができる。しかも、上記被着材の表面に凹凸形状が存在しても、化粧シート表面において上記凹凸形状が目立たない。
接着剤層
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、透明性樹脂層を有する。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。前記透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物,エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。これら樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の透明性樹脂層は、ポリプロピレン樹脂を代表とするオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、透明性樹脂層を構成する樹脂が上記オレフィン系樹脂であることがより好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明性樹脂層の厚みは、通常は20〜200μm程度であるが、シートの用途等に応じて上記範囲を超えてもよい。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m2、好ましくは0.1〜50 g/m2程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
表面保護層
表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に、高い表面高度による耐傷性や凸形状保持性、生産性等の観点から、表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましく、表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることがより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。
例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法は、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂を含む溶液(樹脂組成物)をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。
表面保護層の厚さは、上記(1)の面積占有率及び上記(2)のアスペクト比平均値がそれぞれ上記特定の範囲内であれば特に限定されないが、0.1〜50μm程度が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、艶消し剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。特に、表面保護層に艶消し剤を含有する場合、本発明の化粧シートに対して低艶感を付与し、且つ、上記凸部の面積占有率を60%以上にするとともに上記凸部アスペクト比平均値を0.5以上にすることをより容易にできるため、好ましい態様である。
表面保護層に含まれる艶消し剤としては、本発明の化粧シートが表現する意匠性を損ねないものであれば特に限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、シリカ、シリコーン樹脂等の無機粒子;架橋アルキル、架橋スチレン、インゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ナイロン等の有機物粒子等が挙げられる。
表面保護層に艶消し剤を含有する場合、その含有量は、表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して10〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。艶消し剤の含有量を上述の範囲とすることにより、表面保護層の表面が低艶感を示し、且つ、上記凸部の面積占有率を60%以上にするとともに上記凸部アスペクト比平均値を0.5以上にすることをより容易に可能にする。
艶消し剤の平均粒径は3〜20μmが好ましく、4〜14μmがより好ましい。艶消し剤の平均粒径をかかる範囲とすることにより、表面保護層の表面が低艶感を示し、且つ、上記凸部の面積占有率を60%以上にするとともに上記凸部アスペクト比平均値を0.5以上にすることをより容易に可能にする。なお、本明細書において、艶消し剤の平均粒径は、体積基準による平均粒径であり、例えば、マイクロトラック粒度分析(レーザー回析・散乱法)によって測定することができる。
艶消し剤の形状は、特に限定されない。例えば、球状、立方体状、ロッド状、板状、針状等が挙げられる。中でも艶消し剤の形状が球状である場合、上記凸部アスペクト比平均値を0.5以上にすることをより容易に可能にするため、好ましい。
表面保護層が艶消し剤を含有しない構成である場合には、化粧シート表面にエンボス版により凹凸形状を賦型する方法によって、上記(1)の面積占有率及び上記(2)のアスペクト比平均値をそれぞれ上記特定の範囲内にすることも可能である。なお、上記エンボス版による賦型は、形成された表面保護層に対して賦型してもよく、また、透明性樹脂層に対して賦型した後に表面保護層を形成してもよい。
裏面プライマー層
基材シートの裏面(絵柄模様層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、当該化粧シートと被着材とを積層して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100 g/m2、好ましくは0.1〜50 g/m2程度である。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
本発明の化粧シートは、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れているので、化粧シートとして好適に用いることができる。このような化粧シートの用途としては特に限定されず、意匠性が求められる様々な用途に用いることが可能であるが、例えば、床材に用いる床材用化粧シートや、壁装材に用いる壁装材用化粧シートとして有用である。
≪2.本発明の化粧板≫
上記化粧シートを被着材上に積層することにより、化粧板とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧板に用いられるものと同様のものを用いることができる。上記被着材としては、例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、上記化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
化粧シートと被着材とを積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。特に、上記化粧板は床用化粧材として好適に用いることができる。
本発明の化粧シートは、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れている。さらには、本発明の化粧シートを木質基材等の表面に凹凸形状が存在する被着材の上に積層して化粧板とした場合に、上記凹凸形状が目立たないという効果も奏される。
本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
実施例1
60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層(裏面プライマー層)を設けた。次に、基材シートの表面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄印刷層上に接着剤層を形成した。次に、当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。次に、透明ポリプロピレン系樹脂シートの表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することによりプライマー層を形成した。次に、当該プライマー層の表面に、電子線硬化型樹脂及び艶消し剤(シリカ)を含む表面保護層形成用樹脂組成物をグラビアコート方式で塗工して塗膜(15μm)を形成した後、酸素濃度200ppm以下の環境下において電子線照射装置を用いて加速電圧175keV、5Mradの条件で電子線を照射することにより上記塗膜を硬化させて表面保護層を形成した。さらに、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を軟らかくした後、熱圧によるエンボス加工を行うことにより、木目導管模様の凹凸模様を賦形した。これにより、化粧シートを作製した。
後述する測定1の方法に従って化粧シート表面の平面部における凸部を撮影し、当該凸部の面積占有率(凹凸面積占有率)を測定したところ、当該面積占有率は92%であった。また、後述する測定2の方法に従って化粧シート表面の平面部における凸部を撮影し、凸部のアスペクト比S/L(凹凸のアスペクト比)を測定したところ、0.69〜1.00であり、当該アスペクト比平均値は0.88であった。
実施例2〜4及び比較例1〜2
(i)凸部の面積占有率(%)、及び/又は、(ii)凸部のアスペクト比(S/L)(及びその平均値)を適宜変更する以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜2の化粧シートを作製した。なお、上記(i)及び/又は(ii)の変更については、(a)艶消し剤(シリカ)の含有量、(b)艶消し剤(シリカ)の平均粒径、及び/又は(c)エンボス加工を行うためのエンボス版、を適宜変更することによって変更している。上記(a)及び(b)の各変更点については、表1に記載している。また、上記(c)に関しては、比較例2のみエンボス版の点で実施例1〜4及び比較例1とは異なる。上記比較例2におけるエンボス加工では、実施例1〜4及び比較例1で得られた凸部と類似した凸部が得られるようなエンボス凹凸模様を賦型している。
測定1(化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率)
各化粧シート表面及び当該表面の平面部全体に占める凸部を撮影し、当該凸部の面積及びその占有率を測定した。撮影及び測定にはデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)を使用した。撮影領域は0.7mm×0.9mmとし、測定倍率は300倍とした。
測定2(化粧シート表面の平面部における凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値)
各化粧シート表面及び当該表面に存在する凸部を撮影した上で当該凸部をランダムに100個選別し、当該100個の凸部の寸法((i)短辺長さS、(ii)長辺長さL、並びに(iii)短辺長さと長辺長さの比S/L(凸部アスペクト比)及びその平均値)を測定した。撮影及び測定にはデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)を使用した。撮影領域は0.7mm×0.9mmとし、測定倍率は300倍とした。
評価1(方向性評価:反射率による上下角度方向の標準偏差)
各化粧シートの反射率を測定し、反射率による上下角度方向の標準偏差を算出した。反射率測定では、変角光度計GC5000L(日本電色工業株式会社製)を使用した。
まず、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、化粧シートの流れ方向(化粧シートがロールで巻かれている場合に、当該化粧シートをロールから引き出す方向であり、木目導管模様の長辺方向ともいえる)とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シート表面に対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°である場合の反射率(%)を測定した。
次いで、受光角度が45°の場合、及び75°の場合についても同様にして、反射率を測定した。
最後に、上記(i)受光角度が15°の場合、(ii)受光角度が45°の場合、(iii)受光角度が75°の場合、の3つの反射率の標準偏差を算出した。この標準偏差は、小さい値であればあるほど、白光りしにくく一様に絵柄がよく見えることを意味する。評価基準は以下の通りである。
◎:標準偏差が10未満
○:標準偏差が10以上20未満
△:標準偏差が20以上40未満
×:標準偏差が40以上。
評価2(方向性評価:反射率による水平回転方向の標準偏差)
各化粧シートの反射率を測定し、反射率による水平回転方向の標準偏差を算出した。反射率測定では、変角光度計GC5000L(日本電色工業株式会社製)を使用した。
まず、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シート表面に対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°であるときの反射率(%)を測定した(この測定を(a)流れ方向の反射率測定ともいう)。
次いで、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが45°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シートに対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°であるときの反射率(%)を測定した(この測定を(b)斜め45°(度)方向の反射率測定ともいう)。
次いで、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが90°(つまり、上記結ぶ線と上記流れ方向が直角)となるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シートに対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°であるときの反射率(%)を測定した(この測定を(c)巾方向の反射率測定ともいう)。
最後に、上記(a)〜(c)の反射率測定で得られた3つの反射率の標準偏差を算出した。
なお、この上記(a)〜(c)の反射率測定、及び当該反射率測定で得られた3つの反射率の標準偏差の算出については、(i)上述の受光角度が15°の場合だけでなく、(ii)上記受光角度が45°の場合、(iii)上記受光角度が75°の場合でも同様に行った。この標準偏差は、小さい値であればあるほど、一様に絵柄がよく見えることを意味し、(ii)受光角度が45°の場合については上記一様に絵柄がよく見えることに加えて白光りしにくいことも意味する。評価基準は以下の通りである。
○:標準偏差が2未満
×:標準偏差が2以上。
評価3(方向性評価:上下角度方向の官能評価)
各化粧シートの上下角度方向の官能評価を行った。
まず、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、斜めから様々な上下角度から絵柄の見え具合を評価した。なお、評価した人間(被験者)の人数は15名(年齢:20〜40代)とした。評価基準は以下の通りである。
◎:15名が見え方に差がないと評価した。
○:8〜14名が見え方に差がないと評価した。
△:1〜7名が見え方に差がないと評価した。
×:0名が見え方に差がないと評価した。
評価4(方向性評価:水平回転方向の官能評価)
各化粧シートの水平回転方向の官能評価を行った。
まず、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(a)流れ方向での見え具合ともいう)。
次に、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが45°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(b)斜め45°方向での見え具合ともいう)。
次に、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが90°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(c)巾方向での見え具合ともいう)。
次に、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが360°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(d)再度流れ方向での見え具合ともいう)。
最後に、上記(a)〜(d)の見え具合の違いを評価した。なお、評価した人間(被験者)の人数は15名(年齢:20〜40代)とした。評価基準は以下の通りである。
◎:15名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
○:8〜14名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
△:1〜7名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
×:0名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
評価5(木質基材の表面形状に起因する貼りムラ)
木質基材(パーティクルボード)の上に接着剤(中央理化工業株式会社製、BA-10L/BA-11B、8g/尺(=0.303m)の2乗)を塗布した。次いで、当該塗布された接着剤の上に、各化粧シートの裏面プライマー層と当該接着剤が接するように、各化粧シートをラミネートし、各化粧板を得た。各化粧板の化粧シート表面を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:貼りムラが目立たない
○:貼りムラがあまり目立たない
△:貼りムラが若干目立つ
×:貼りムラが目立つ。
それぞれの各化粧シート又は各化粧板の評価結果について、以下の表1に示す。
Figure 0006331568
1. 化粧シート
2. 裏面プライマー
3. 基材シート
4. 絵柄模様層
5. 接着剤層
6. 透明性樹脂層
7. プライマー層
8. 表面保護層
9. 化粧シート表面の平面部及び当該平面部における凸部
10. 木目板導管溝

Claims (3)

  1. 基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を有する化粧シートであって、
    (1) 化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上であり、
    (2) 前記凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値が0.5以上0.88以下である、
    ことを特徴とする、化粧シート。
  2. 前記表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含む、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記透明性樹脂層がオレフィン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の化粧シート。
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