JP6331568B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
1. 基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を有する化粧シートであって、
(1) 化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上であり、
(2) 前記凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値が0.5以上である、
ことを特徴とする、化粧シート。
2. 前記表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含む、上記項1に記載の化粧シート。
3. 前記透明性樹脂層がオレフィン系樹脂を含む、上記項1又は2に記載の化粧シート。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を有する化粧シートであって、
(1) 化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上であり、
(2) 前記凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値が0.5以上である、
ことを特徴とする。
本発明の化粧シートは、当該化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上である。上記面積占有率が上記範囲内であることにより、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れている。上記面積占有率が60%未満である場合、化粧シート表面を見る角度によっては当該表面の光の反射が抑制されずに白光りし、結果として表現する意匠の見え方に差が生じる虞がある。
(i) 100mm×100mmの化粧シートを用意する。
(ii) 上記(i)の化粧シートを、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)の測定台に載置する。
(iii) 上記(i)の化粧シートのうち、0.7mm×0.9mm部分を真上から撮影する。この撮影によって得られた領域を、撮影領域という。なお、倍率は300 倍とする。
(iv) 上記(iii)の撮影領域内に存在する、化粧シート表面の平面部に対して凸部となっている領域、又は、凸部を形成しているものが例えば艶消し剤のような添加剤である場合は、その艶消し剤が表面保護層を構成する樹脂から突出している(凸部の)領域を判別し、当該凸部の領域の面積の合計値を測定及び算出する。
(v) 上記(iii)の撮影領域の面積をP、上記凸部の領域の面積の合計値Cをとし、(C/P)×100 (=C÷P×100)を計算する。
本発明の化粧シートは、当該化粧シート表面の平面部における凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/L (=S÷L)の平均値が0.5以上である。上記比S/L(凸部のアスペクト比)の平均値が上記範囲内であることにより、角度や方向(方角)にかかわらず化粧シート表面の光の反射が抑制されているため化粧シートが表現する意匠の視認が可能であり、意匠性に優れている。上記凸部のアスペクト比の平均値が0.5未満である場合、化粧シート表面を見る方向によっては当該表面の光の反射が抑制されずに白光りし、結果として表現する意匠の見え方に差が生じる虞がある。
(i) 100mm×100mmの化粧シートを用意する。
(ii) 上記(i)の化粧シートを、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)の測定台に載置する。
(iii) 上記(i)の化粧シートのうち、0.7mm×0.9mm部分を真上から撮影する。この撮影によって得られた領域を、撮影領域という。なお、倍率は300 倍とする。
(iv) 上記(iii)の撮影領域内に存在する、化粧シート表面の平面部に対して凸部となっている領域、又は、凸部を形成しているものが例えば艶消し剤のような添加剤である場合は、その艶消し剤が表面保護層を構成する樹脂から突出している(凸部の)領域を判別し、当該凸部をランダムに100個選別する。
(v) 上記100個の凸部の各寸法((a)短辺長さS、(b)長辺長さL、及び(c)凸部アスペクト比S/L)を測定する。
(vi) 上記100個の凸部アスペクト比の平均値を計算する。
本発明の化粧シートは、上記(1)面積占有率及び(2)上記アスペクト比平均値がそれぞれ上記特定の範囲内であれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートが挙げられる。
本発明の化粧シートは、基材シートを有する。
本発明の化粧シートは、絵柄模様層を有していてもよい。
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
本発明の化粧シートは、透明性樹脂層を有する。
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に、高い表面高度による耐傷性や凸形状保持性、生産性等の観点から、表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましく、表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることがより好ましい。
例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
基材シートの裏面(絵柄模様層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、当該化粧シートと被着材とを積層して化粧板を作製する際に効果的である。
上記化粧シートを被着材上に積層することにより、化粧板とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧板に用いられるものと同様のものを用いることができる。上記被着材としては、例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、上記化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層(裏面プライマー層)を設けた。次に、基材シートの表面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄印刷層上に接着剤層を形成した。次に、当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。次に、透明ポリプロピレン系樹脂シートの表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することによりプライマー層を形成した。次に、当該プライマー層の表面に、電子線硬化型樹脂及び艶消し剤(シリカ)を含む表面保護層形成用樹脂組成物をグラビアコート方式で塗工して塗膜(15μm)を形成した後、酸素濃度200ppm以下の環境下において電子線照射装置を用いて加速電圧175keV、5Mradの条件で電子線を照射することにより上記塗膜を硬化させて表面保護層を形成した。さらに、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を軟らかくした後、熱圧によるエンボス加工を行うことにより、木目導管模様の凹凸模様を賦形した。これにより、化粧シートを作製した。
(i)凸部の面積占有率(%)、及び/又は、(ii)凸部のアスペクト比(S/L)(及びその平均値)を適宜変更する以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜2の化粧シートを作製した。なお、上記(i)及び/又は(ii)の変更については、(a)艶消し剤(シリカ)の含有量、(b)艶消し剤(シリカ)の平均粒径、及び/又は(c)エンボス加工を行うためのエンボス版、を適宜変更することによって変更している。上記(a)及び(b)の各変更点については、表1に記載している。また、上記(c)に関しては、比較例2のみエンボス版の点で実施例1〜4及び比較例1とは異なる。上記比較例2におけるエンボス加工では、実施例1〜4及び比較例1で得られた凸部と類似した凸部が得られるようなエンボス凹凸模様を賦型している。
各化粧シート表面及び当該表面の平面部全体に占める凸部を撮影し、当該凸部の面積及びその占有率を測定した。撮影及び測定にはデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)を使用した。撮影領域は0.7mm×0.9mmとし、測定倍率は300倍とした。
各化粧シート表面及び当該表面に存在する凸部を撮影した上で当該凸部をランダムに100個選別し、当該100個の凸部の寸法((i)短辺長さS、(ii)長辺長さL、並びに(iii)短辺長さと長辺長さの比S/L(凸部アスペクト比)及びその平均値)を測定した。撮影及び測定にはデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス VHX-100)を使用した。撮影領域は0.7mm×0.9mmとし、測定倍率は300倍とした。
各化粧シートの反射率を測定し、反射率による上下角度方向の標準偏差を算出した。反射率測定では、変角光度計GC5000L(日本電色工業株式会社製)を使用した。
まず、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、化粧シートの流れ方向(化粧シートがロールで巻かれている場合に、当該化粧シートをロールから引き出す方向であり、木目導管模様の長辺方向ともいえる)とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シート表面に対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°である場合の反射率(%)を測定した。
次いで、受光角度が45°の場合、及び75°の場合についても同様にして、反射率を測定した。
最後に、上記(i)受光角度が15°の場合、(ii)受光角度が45°の場合、(iii)受光角度が75°の場合、の3つの反射率の標準偏差を算出した。この標準偏差は、小さい値であればあるほど、白光りしにくく一様に絵柄がよく見えることを意味する。評価基準は以下の通りである。
◎:標準偏差が10未満
○:標準偏差が10以上20未満
△:標準偏差が20以上40未満
×:標準偏差が40以上。
各化粧シートの反射率を測定し、反射率による水平回転方向の標準偏差を算出した。反射率測定では、変角光度計GC5000L(日本電色工業株式会社製)を使用した。
まず、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シート表面に対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°であるときの反射率(%)を測定した(この測定を(a)流れ方向の反射率測定ともいう)。
次いで、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが45°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シートに対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°であるときの反射率(%)を測定した(この測定を(b)斜め45°(度)方向の反射率測定ともいう)。
次いで、変角光度計の光源と受光器を結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが90°(つまり、上記結ぶ線と上記流れ方向が直角)となるように、化粧シートを戴置した。次いで、当該化粧シートに対して入射角45°となるように光束を入射し、受光角が15°であるときの反射率(%)を測定した(この測定を(c)巾方向の反射率測定ともいう)。
最後に、上記(a)〜(c)の反射率測定で得られた3つの反射率の標準偏差を算出した。
なお、この上記(a)〜(c)の反射率測定、及び当該反射率測定で得られた3つの反射率の標準偏差の算出については、(i)上述の受光角度が15°の場合だけでなく、(ii)上記受光角度が45°の場合、(iii)上記受光角度が75°の場合でも同様に行った。この標準偏差は、小さい値であればあるほど、一様に絵柄がよく見えることを意味し、(ii)受光角度が45°の場合については上記一様に絵柄がよく見えることに加えて白光りしにくいことも意味する。評価基準は以下の通りである。
○:標準偏差が2未満
×:標準偏差が2以上。
各化粧シートの上下角度方向の官能評価を行った。
まず、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、斜めから様々な上下角度から絵柄の見え具合を評価した。なお、評価した人間(被験者)の人数は15名(年齢:20〜40代)とした。評価基準は以下の通りである。
◎:15名が見え方に差がないと評価した。
○:8〜14名が見え方に差がないと評価した。
△:1〜7名が見え方に差がないと評価した。
×:0名が見え方に差がないと評価した。
各化粧シートの水平回転方向の官能評価を行った。
まず、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが平行になるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(a)流れ方向での見え具合ともいう)。
次に、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが45°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(b)斜め45°方向での見え具合ともいう)。
次に、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが90°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(c)巾方向での見え具合ともいう)。
次に、光源と人間とを結ぶ線と、上記化粧シートの流れ方向とが360°となるように、化粧シートを戴置した。次いで、人間が化粧シート表面に対して、絵柄の見え具合を評価した(この見え具合を(d)再度流れ方向での見え具合ともいう)。
最後に、上記(a)〜(d)の見え具合の違いを評価した。なお、評価した人間(被験者)の人数は15名(年齢:20〜40代)とした。評価基準は以下の通りである。
◎:15名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
○:8〜14名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
△:1〜7名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
×:0名が(a)〜(d)の見え具合に差がないと評価した。
木質基材(パーティクルボード)の上に接着剤(中央理化工業株式会社製、BA-10L/BA-11B、8g/尺(=0.303m)の2乗)を塗布した。次いで、当該塗布された接着剤の上に、各化粧シートの裏面プライマー層と当該接着剤が接するように、各化粧シートをラミネートし、各化粧板を得た。各化粧板の化粧シート表面を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:貼りムラが目立たない
○:貼りムラがあまり目立たない
△:貼りムラが若干目立つ
×:貼りムラが目立つ。
2. 裏面プライマー
3. 基材シート
4. 絵柄模様層
5. 接着剤層
6. 透明性樹脂層
7. プライマー層
8. 表面保護層
9. 化粧シート表面の平面部及び当該平面部における凸部
10. 木目板導管溝
Claims (3)
- 基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を有する化粧シートであって、
(1) 化粧シート表面の平面部における凸部の面積占有率が60%以上であり、
(2) 前記凸部の短辺長さSと長辺長さLの比S/Lの平均値が0.5以上0.88以下である、
ことを特徴とする、化粧シート。 - 前記表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含む、請求項1に記載の化粧シート。
- 前記透明性樹脂層がオレフィン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の化粧シート。
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