JP6539077B2 - ワモンゴキブリ誘引製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒノキチオール類含有ワモンゴキブリ誘引製剤およびその製造方法、さらには、ヒノキチオール類含有ワモンゴキブリ誘引製剤の使用に関するものである。
ゴキブリ類は代表的な衛生害虫であり、一般家庭はもちろん産業上の様々な場所に侵入して大きな被害を与えている。そのため、多くの駆除方法が用いられているが、棲息場所が人間生活と密着しているため、殺虫剤の使用は制限され、また狭い隙間等に隠れる習性を持ち、繁殖力が強いことから従来の捕虫器や食毒剤では効果的な駆除が得られていないのが現状である。
ゴキブリ類のうち、特にワモンゴキブリは、熱帯及び亜熱帯地域を中心に世界的に広く生息しており、食中毒腸炎(サルモネラ菌)や赤痢、レプラ等の病原菌を有することが報告されている。日本では、関西以南の温暖な地域及び市街地の地下街やビルを中心に存在が確認されている。ワモンゴキブリは、国内で多く見られる他のチャバネゴキブリ、クロゴキブリ等に比べ、体長が大きい、産卵回数が多い、成虫寿命が長い等の好ましくない特徴も多く有しているため、特に効果的な駆除が望まれていた(非特許文献1)。
ところで、ヒノキチオール(β-Thujaplicin)は、台湾ヒノキ精油の中から発見されたトロポロン骨格を有するモノテルペノイド系化合物である。近年、その有用性から注目が高まっており、国内においても、青森ヒバ、岐阜県産ヒノキなどから抽出されている(非特許文献2他)。ヒノキチオールはチャバネゴキブリ等のゴキブリ類や塵性ダニなどに対し、忌避作用を奏することが知られている(特許文献1、2)。他にも、抗菌作用、防腐作用、美白作用、発毛促進作用、植物生長促進作用、抗酸化作用等、多くの効能をもつことが知られ、化粧品、医薬品、食品、入浴剤等の生活雑貨等にも多く利用されている。
特開2002−68906号公報 特開2012−80848号公報
日本家庭用殺虫剤工業会編『家庭用殺虫剤概論III』 鈴木昭憲、荒井綜一編『農芸化学の事典』朝倉書店
本発明はワモンゴキブリの効果的な駆除に有用な、誘引製剤およびそれを用いた駆除製剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、これまでチャバネゴキブリ等のゴキブリ類や塵性ダニなどの害虫に対し、忌避効果を有するものとして知られていたヒノキチオール類が、驚くべきことに、ワモンゴキブリに対しては全く正反対の誘引効果を有することを見出し、さらに研究を続け、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1) ヒノキチオールおよび/またはその塩であるヒノキチオール類を含有することを特徴とするワモンゴキブリ誘引製剤。
(2) さらに、殺虫成分を含有することを特徴とする前記(1)に記載の誘引製剤。
(3) エアゾール剤又は固形剤であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の誘引製剤。
(4) 固形剤が粒剤又は粉剤であることを特徴とする前記(3)に記載の誘引製剤。
(5) 固形剤が毒餌剤であることを特徴とする前記(3)または(4)に記載の誘引製剤。
(6) 捕獲器に使用されることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の誘引製剤。
(7) 前記ヒノキチオール類がヒノキチオールである前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の誘引製剤。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の誘引製剤のワモンゴキブリ駆除または捕獲のための使用。
(9) 前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のワモンゴキブリ誘引製剤を製造するための請求項1に記載のヒノキチオール類またはヒノキチオール含有精油の使用。
本発明によれば、優れたワモンゴキブリ誘引効果を有するワモンゴキブリ誘引製剤及びその誘引製剤の使用方法を提供することができる。
ゴキブリ誘引活性を確認する生物試験に用いるリニアトラックオルファクトメーター(線形通路付き嗅覚計)の概略図である。 試験例1において、リニアトラックオルファクトメーターを用いた生物試験によりゴキブリ誘引活性を確認した結果を示す。図中、EPIはゴキブリ誘引活性の度合を示す指標であり、Doseは試験に供した化合物量を示す。 試験例2において、粘着式ゴキブリ捕獲器を用いた準実地試験により、ゴキブリ誘引活性を確認した結果を示す。
本発明において「ゴキブリ」とは、分類学上の昆虫網ゴキブリ目に属する種類のうち、シロアリを除く昆虫を意味し、例えば、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)等が含まれるが、これらには限定されない。
本発明のひとつの態様は、ワモンゴキブリ誘引物質に関する。本発明において、「ワモンゴキブリ誘引」とは、ワモンゴキブリの成虫/幼虫又はオス/メスの区別に関わらずに前記ワモンゴキブリを寄り集めることを包含する。また、本発明において、「ワモンゴキブリ誘引物質」とは、ワモンゴキブリ誘引活性を有する物質を意味し、以後「ワモンゴキブリ誘引化合物」ともいう。
本発明において、「ヒノキチオール類」とは、ヒノキチオールおよび/またはその塩のことをいう。
以下、本発明のワモンゴキブリ誘引製剤の製造方法について詳しく説明する。
本発明で用いるヒノキチオールは、下記の一般式(I)で表される構造を有する。例えば、アスナロ、ヒノキアスナロ(ヒバ)等の樹木から抽出し、あるいはその精油から得ても良いし、他の天然物または市販の化合物から合成で誘導しても良い。あるいは、市販品を用いても良い。また、ヒノキチオールはそのまま結晶形で使用しても良いし、各種溶剤により溶融して液体とした後、使用しても良い。さらに、ヒノキチオール含有精油についてもそのまま、あるいは溶剤により希釈し使用しても良い。
さらに、下記の一般式(II)で表されるヒノキチオールと共鳴構造にあるケト−エノール互変異性体およびその塩も本発明の範囲に含まれる。
本発明で使用するヒノキチオールの塩としては、特に限定されないが、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。前記金属塩としては、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。前記有機アミン付加塩としては、特に限定されず、例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、モルホリン塩、ピペリジン塩等の付加塩が挙げられる。前記アミノ酸付加塩としては、特に限定されず、例えば、リジン塩、グリシン塩、フェニルアラニン塩等の付加塩等が挙げられる。
本発明において、ヒノキチオール類のワモンゴキブリ誘引活性を確認する方法としては、特に限定されないが、例えば、リニアトラックオルファクトメーター(線形通路付き嗅覚計、図1)を用いた生物試験が挙げられる。
オルファクトメーター(線形通路付き嗅覚計)とは、一般的に、昆虫の揮発性成分への反応を観察するために用いられる生物検定装置をいい、装置分岐部で誘引成分を含む気流に被験昆虫が誘引されるようにした装置である(日林誌、89(2)2007『揮発性成分のニホンキバチ成虫に対する誘引活性試験を行うオルファクトメーターの作成』p135-137、農業環境研究叢書 第17号『農業生態系の保全に向けた生物機能の活用』p108-134等を参照)。
前記リニアトラックオルファクトメーターを用いた生物試験を具体的に説明する。図1の中央の筒の上部の1から吸引すると、左右の筒の上部(2a及び2b)から空気が入り、横筒を通ってそれぞれ中央の筒上部へと流れる気流が発生する仕組みとなっている。左筒がコントロール側、右筒がサンプル側である。図1の筒に吊下げた金属製のディスクである3にサンプルを塗布し、中央の筒下部の4に供試虫(7〜10日齢の幼虫)を入れ、中央の筒上部からポンプでゆっくり吸引する(2.5L/分)。25±1℃、相対湿度40〜60%、全暗の条件で、供試虫を5分間自由に行動させ、その後コントロール側及びサンプル側に移動した供試虫を数える。その後、下記式から余剰比係数(EPI値)を算出する。
(式中、NSはサンプル側に移動した供試虫の数、NCはコントロール側に移動した供試虫の数である。)
EPI値が1に近いほど、ゴキブリ誘引活性が高いことを示す。
本発明の別の態様は、前記ヒノキチオール類またはヒノキチオール含有精油を含むワモンゴキブリ誘引製剤又はワモンゴキブリ駆除製剤に関する。
本発明のワモンゴキブリ誘引製剤におけるヒノキチオール類の配合量は、ゴキブリ誘引効果が発揮されれば特に限定されず、剤形や適用方法、使用場所に応じて適宜選択することができる。ワモンゴキブリ誘引製剤の総量に対し、ヒノキチオール類を、例えば(0.001ppm〜10000ppm(1×10−7〜1.0重量%)、好ましくは0.01ppm〜5000ppm(1×10−6〜5×10−1重量%)の濃度で配合してよい。
本発明の好ましい態様では、例えば、本発明のワモンゴキブリ誘引製剤を、殺虫剤を含む食毒剤に混合したり、捕獲器用の餌に混合して使用したりしてもよく、固形剤(例えば、粉剤、粒剤等)、エアゾール剤、液剤、シート、燻煙剤、燻蒸剤などの各種ゴキブリ駆除製剤に適宜適用して駆除効果の増強を図ることができる。所望により、本発明のワモンゴキブリ誘引製剤に対して、種々の添加剤が当分野における技術常識に従って使用される。
本発明に使用される前記殺虫剤としては、特に限定されないが、例えば、ピレトリン、アレスリン、フラメトリン、レスメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、フタルトリン、イミプロトリン、シフェノトリン、フェンバレレート、エトフェンプロクス、シラフルオフェン、プラレトリン、フェンフルトリン、トランスフルトリン等のピレスロイド剤;フェニトロチオン、トリクロルホン、ジクロルボス、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、フェンチオン等の有機リン剤;カルバリル、メチルカルバミン酸−2−(1−メチルプロピル)フェニル(BPMC)、プロポクスル、セビン等のカーバメート剤;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系殺虫剤;ヒドラメチルノン等のヒドラゾン系殺虫剤;フィプロニル等のフェニルピラゾール系殺虫薬;イミダクロプリド、ジノテフラン等のネオニコチノイド系化合物;ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられ、これらは、マイクロカプセル化されてもよく、又はサイクロデキストリンで包接化されてもよい。
共力剤としては、特に限定されないが、例えば、ピペロニルブトキドやN−(2―エチルヘキシル)−ビシクロ−[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
捕獲器に使用される基材としては、特に限定されないが、粘着剤として、天然ゴム系、又は、ポリブテン、ポリイソブテンを主体とし、ロジン、パラフィンワックス等で粘着力を高めた合成ゴム系粘着物を例示できる。その他、必須ではないが、芳香剤、防臭剤、殺菌剤、安定剤、溶剤等の補助成分を適宜配合することによって、効力の優れた多目的組成物が得られる。捕獲器の形態は特に限定されないが、器具内に本発明のワモンゴキブリ集合誘引物質を含浸させた各種の担体を設置し、担体に誘引されたワモンゴキブリを粘着剤により捕獲する形態や、閉鎖空間に誘い込み脱出できないようにして封鎖するなどして捕獲する形態などがある。
こうして得られた本発明のワモンゴキブリ誘引製剤は、台所、倉庫、冷蔵庫の裏等、ワモンゴキブリが排廻する場所に適用すれば、ワモンゴキブリ等に対し高い誘引効果及び/又は高い駆除効果を奏するものである。本発明のワモンゴキブリ誘引製剤の形態は特に限定されず、液剤又は固形剤とすることができる。
前記液剤は水性でも油性でもよく、また液剤の調製において用いられる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ヘキサン、ケロシン、パラフィン、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素類;キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。前記液剤は、さらに、通常の塗膜形成剤、乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、安定剤、噴射剤等の添加剤を配合することができ、スプレー形態、塗布形態、接着剤形態、乳剤、分散剤、懸濁剤、エアゾール、ローション、ペースト、クリーム、マイクロエマルジョン等の形態で利用することができる。
液剤は、トリガー式やポンプ式のスプレー容器に充填し、噴射剤を要しないスプレー形態や、耐圧製容器に充填し噴射剤を配合してなるエアゾール形態が好ましい。後者は、エアゾール容器にエアゾール原液を入れ、噴射剤としては、特に限定されないが、ジメチルエーテル、液化石油ガス(LPG)、圧縮ガス(窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等)、フルオロカーボン等が挙げられ、これらを加圧充填することで、本発明のエアゾールを提供することができる。エアゾールの種類としては、水性エアゾール、油性エアゾールのいずれでも製剤可能である。
固形剤としては、特に限定されないが、例えば、粉剤、粒剤、毒餌剤の形態をとることが出来、さらには、顆粒型、錠剤型、不織布等による袋詰め状態に加工されてもよい。また、固形剤の調製において用いられる担体としては、例えば、増量や賦形等を目的として、ケイ酸、カオリン、活性炭、ベントナイト、ゼオライト、珪藻土、タルク、クレー、炭酸カルシウム、陶磁器粉等の鉱物質粉末;木粉、大豆粉、小麦粉、澱粉等の植物質粉末;シクロデキストリン等の包接化合物等、又はパルプ、リンター、レーヨン等の繊維質担体;セルロール又は再生セルロール製のビーズ及び発泡体を挙げることができる。さらに、該固形剤の調製において、例えばトリシクロデカン、シクロドデカン、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、トリメチレンノルボルネン等の昇華性担体;又はパラジクロロベンゼン、ナフタレン、樟脳等の昇華性防虫剤等を用い、上記誘引活性物質を溶融混合または擂潰混合後に成型して昇華性固形剤とすることもできる。
ここで、固形剤の粒径は、その粒径が10〜500μmであることが好ましい。担体の粒径が10μm未満の場合、散布時に風の影響を受けやすく、狙った場所に散布できないことがある。一方、500μmを越えると、散布してもまばらな状態となり、粒剤の隙間を縫ってワモンゴキブリが侵入する懸念が避けられない。
固形剤の散布量は、1m2当り5〜80g、好ましくは、1m2当り10〜50g散布することによって所定の防除効果を奏し得る。散布量が1m2当り1g未満では、薬剤を均等に散布することができず偏ってしまい、十分な揮散性能が望めない。一方、1m2当り50gを超えると、散布量が過多となり薬剤が重なってしまう。
毒餌剤を調製するために用いられる担体としては、特に限定されないが、例えば、ケイ酸、カオリン、タルク等の各種鉱物質粉末;木粉、とうもろこし粉、小麦粉、でんぷん等の各種植物質粉末;糖蜜、脱脂粉乳、魚粉等の成分;又は、アビオン等の賦形剤、固着剤、その他、ふすま、米糠、グルコース、フラクトース等の糖類、パン、ジャガイモ、酵母粉末、コーンスターチその他飼料等を挙げることができる。
固形剤としての毒餌剤において、固形とは、ベンジリデン−D−ソルビトール、カラギーナン、ポリビニルアルコール、アルギン酸等のゲル化剤を用いてゲル状やグミ状、ペースト状といった半固形の形態に調製することも含まれる。
上記の液剤又は固形剤に用いられる、その他の添加剤としては、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、アセチルブチリルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニル樹脂等のビニル系樹脂;アルキッド系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ゴム、ポリビニルアルコール等の塗膜形成剤;石鹸類;ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアルキルアリールスルホン酸塩等の界面活性剤;カゼイン、ゼラチン、アルギン酸等、その他、気泡剤、補助剤、増量剤等を挙げることができる。
本発明の好ましい態様では、本発明のワモンゴキブリ誘引製剤の施用箇所は、ワモンゴキブリ誘引物質が配合されていることから、必ずしも害虫の通り道でなくても良く、屋外でも屋内でも良い。例えば、好ましい箇所として、台所、居間、玄関、窓サッシ、壁、倉庫、ベランダ等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明のワモンゴキブリ誘引製剤は、例えばポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース等を用いたスプレードライ法;ゼラチン、ポリビニルアルコール、アルギン酸等を用いた液中硬化法;コアセルベーション法等に従いマイクロカプセル化した形態、あるいはサイクロデキストリン包接した形態として、前記液剤、固形剤に添加することができる。さらに、本発明のワモンゴキブリ誘引製剤に犬猫忌避剤、鳥の忌避剤、蛇の忌避剤、殺虫及び殺ダニ剤、効力増強剤、酸化防止剤、齧歯類動物駆除及び忌避剤、昆虫成長制御物質、摂餌物質、他の誘引活性成分であるアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミンなどのアルキルアミン類、2−ジメチルアミノエタノール、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアミノアルコール類、ペリプラノン類、ボルニルアセテート、テルペノイド類、クミン、ローレル、バジル、オレガノ、精油、エキストラクト等の香料、さらには殺菌剤、防黴剤、防腐剤、着香料、着色料、誤食防止剤等をさらに配合することもできる。
次に、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
本発明に使用するヒノキチオールは市販されたものを容易に入手することができ、それを使用することができる。またヒノキチオール含有精油を用いることも可能である。ヒノキチオール含有精油は、ヒノキチオール含有木材から水蒸気蒸留を含む公知の方法にて抽出し得られた精油のことである。こうしたヒノキチオール含有木材としては、アスナロ、ヒノキアスナロ(ヒバ)、イブキ、ハイネズ、クロベ、ウエスタンレッドシーダー、インセンスシーダー、タイワンヒノキがある。このなかで、ヒバが最も好ましい。また本発明に用いられるヒノキチオール塩は、各種文献(例えばJournal of Inorganic Biochemistry 98(1),46-60(2004))に記載された方法により容易に調整することができる。
本実施例において、ゴキブリ誘引活性の評価は、上記したリニアトラックオルファクトメーター(線形通路付き嗅覚計、図1)を用いた生物試験により行った。
<<試験例1>>生物試験
本発明の誘引物質であるヒノキチオール(和光純薬工業株式会社製、結晶〜結晶性粉末)と、対照物質としてゴキブリの誘引活性化合物として知られるソトロン(3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、和光純薬工業株式会社製)(日本農芸化学会誌 Vol.57、655−658頁、1983年)および、フラネオール(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、和光純薬工業株式会社製、米国特許4945107号)について、各10-3ピコグラム(pg)〜10pgを、ワモンゴキブリ若齢幼虫について、リニアトラックオルファクトメーターを用いた生物試験に供し、そのワモンゴキブリ誘引活性を確認した。
試験例1の生物試験の結果を図2に示した。
試験の結果、いずれの化合物も10〜10pgにおいては同等の誘引活性を示したが、より低濃度である10〜10pgにおいて、ヒノキチオールは、対照物質であるソトロン、フラネオールに比べて顕著に優れたワモンゴキブリ誘引活性を示した。
<<試験例2>>生物試験(準実地試験)
供試化合物及び対照化合物の0.5μg/0.5mLエタノール溶液を1.2cm四方のカット綿に含浸させた後、30分間風乾させたものを、粘着式ゴキブリ捕獲器(商品名「ゴキブリキャッチャー」、大日本除蟲菊株式会社製)の粘着面中央に置き、供試サンプル及び対照サンプルとした。
供試化合物として前述のヒノキチオールを用い、対照化合物として、前述のソトロンを用いた。
ワモンゴキブリの場合、2m98cm×1m70cm×高さ20cmの試験区を設けた。30cm四方のひだ折にした濾紙を3段重ねて、試験区の中央に設置し潜伏シェルターとし、その両側に給水器を2個置いた。クロゴキブリ及びチャバネゴキブリの場合、55cm×38cm×高さ30cmの衣装ケースを試験区とした。15cm四方のひだ折にした濾紙を3段重ねて、試験区の中央に設置し潜伏シェルターとし、その両側に給水器を1個置いた。
その後、ワモンゴキブリ及びクロゴキブリの場合雌雄成虫各5匹及び中老齢幼虫10匹、若齢幼虫20匹を同時に放ち、チャバネゴキブリの場合雌雄成虫各10匹及び中老齢幼虫20匹、若齢幼虫20匹を同時に放ち、一晩静置した。翌日、供試サンプル及び対照サンプルを試験区の四隅にそれぞれが対角線上に位置するように2個ずつ配置し一晩静置した。
翌日、各サンプルの捕獲数を計数し、対照サンプルであるソトロンの捕獲数を1とした場合の相値を算出した。
結果を図3に示した。
ヒノキチオールは、ゴキブリの誘引活性化合物として知られるソトロンよりも捕獲数が高まることから誘引効果に優れていることがわかった。またその効果については、ワモンゴキブリのみで優れた誘引効果が認められた。
次に、本発明のワモンゴキブリ誘引物質を用いた各種製剤化の具体例を示すが、これらには限定されない。なお、「部」は「重量部」を示す。
<実施例1>食毒剤の製造
ヒドラメチルノン5部、ホウ酸15部、脱脂粉乳10部、ゴマ油5部、グリセリン15部、でんぷん25部、米ぬか20部、精製水5部からなる混合物に、前述のヒノキチオールを0.2ppmの含有量になるように加えてよく混練したものをそれぞれ約10gずつ搾り出して成形し、本発明の食毒剤を調製した。
<実施例2>捕獲器の製造
米ぬか30部、魚粉15部及びでんぷん糊剤50部を精製水5部で練ったものに、前述のヒノキチオールが1つの錠剤あたり80ppmとなるよう添加含有させたものを、直径15mmで2mm厚の円盤状に打ち抜き、錠剤(重さ1g)を作製した。
次にポリブテン(分子量900)95部、ポリイソブチレン(分子量120万)5部からなる粘着組成物を調製し、この組成物を8×15cmの広さ、厚さ1mmのボール紙に厚さ0.5mmに塗着して粘着板を得た。この粘着板の中央に、先に作製した錠剤を置き、本発明の捕獲器を得た。
<実施例3>水性エアゾール剤の製造
イミプロトリン0.3g(エアゾール組成物全体量に対して、0.1w/v%)、フェノトリン0.9g(エアゾール組成物全体量に対して、0.3w/v%)、誘引物質として、前述のヒノキチオールを0.03g(エアゾール組成物全体量に対して、0.01w/v%)、ソルビタンモノラウレート系非イオン界面活性剤4.8g(エアゾール原液中、4.0w/v%)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル系非イオン界面活性剤3.0g(エアゾール原液中、2.5w/v%)、ポリエチレングリコールモノラウレート系非イオン界面活性剤6.0g(エアゾール原液中、5.0w/v%)に、炭素数が12〜16個のイソパラフィン系脂肪族飽和炭化水素(商品名:IPソルベント2028)を加え油相として98mLとし、さらに水22mL(エアゾール原液中、18.0w/v%)を加えたエアゾール原液120mLを耐圧エアゾール容器に充填し、噴射バルブを装填した後、噴射ガスであるLPG(液化石油ガス)180mL(エアゾール組成物全体量に対して、60.0w/v%)を加圧充填して、本発明の水性エアゾール剤300mLを得た。
<実施例4>油性エアゾール剤の製造
殺虫成分としてのシフェノトリン0.2gとd−T80−フタルスリン0.8g、誘引物質として、前述のヒノキチオールを0.03gと、及びステアリン酸ブチル4.0gに無臭ケロセン67.7gを加え、全量90mL(72.2g)の殺虫原液を調製した。
この殺虫原液90mL(72.2g)を耐圧エアゾール容器に充填し、噴射バルブを装填した後、噴射ガスであるLPG(液化石油ガス)210mL(117.6g)を加圧充填して、本発明の油性エアゾール剤300mLを得た。
<実施例5>炭酸ガスエアゾール剤の製造
イミプロトリンを0.45g(0.5w/v%)、フェノトリンを0.45g(0.5w/v%)、誘引物質として、ヒノキチオール含有精油(ヒバ油;ヒノキチオール2重量%含有、液体状)を2.0gと、誘引効果持続成分としてミリスチン酸イソプロピルを1.35g(15.0w/v%)、及びエタノールを含有する原液90mLを150mL容量の耐圧エアゾール容器に充填し、これに噴射剤として炭酸ガス4.0gを加圧充填して、本発明の炭酸ガスエアゾール剤を得た。
<実施例6>粉剤の製造
n−パラフィン5.0重量%にタルク91.3重量%を十分混合したのち、誘引物質として、前述のヒノキチオールを0.5重量%と、殺虫成分としてのシフルトリン0.2重量%及びジプロピレングリコール3.0重量%の混合溶液を添加し、ハンマーミルで粉砕混合して、本発明の粉剤を得た。
<実施例7>粉剤の製造
n−パラフィン5.0重量%にタルク90.0重量%を十分混合したのち、誘引物質として、ヒノキチオール亜鉛塩(特開2009−274971号公報記載の製造例に従い作製)を0.5重量%、殺虫成分としてd−フェノトリン0.3重量%、共力剤としてN−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド1.5重量%及びトリプロピレングリコール2.7重量%の混合溶液を添加し、ハンマーミルで粉砕混合して、本発明の粉剤を得た。
本発明により得られるワモンゴキブリ誘引製剤は、ワモンゴキブリに対して、優れたゴキブリ誘引活性を有した。また、該誘引製剤を用いることにより、ワモンゴキブリ駆除製剤を提供することができる。
1 吸引口
2a 吸入口(コントロール側)
2b 吸入口(サンプル側)
3 サンプルを塗布した金属製ディスク
4 供試虫設置場所

Claims (9)

  1. ヒノキチオールおよび/またはその塩であるヒノキチオール類を有効成分として含有することを特徴とするワモンゴキブリ誘引製剤。
  2. さらに、殺虫成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の誘引製剤。
  3. エアゾール剤又は固形剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の誘引製剤。
  4. 固形剤が粒剤又は粉剤であることを特徴とする請求項3に記載の誘引製剤。
  5. 固形剤が毒餌剤であることを特徴とする請求項3または4に記載の誘引製剤。
  6. 捕獲器に使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘引製剤。
  7. 前記ヒノキチオール類がヒノキチオールである請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘引製剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘引製剤のワモンゴキブリ駆除または捕獲のための使用。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のワモンゴキブリ誘引製剤を製造するための請求項1に記載のヒノキチオール類またはヒノキチオール含有精油の使用。
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