JP5145474B1 - 木材保存剤、並びにこれを用いた処理木材の製造方法及び処理木材 - Google Patents

木材保存剤、並びにこれを用いた処理木材の製造方法及び処理木材 Download PDF

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Abstract

【課題】長期にわたって木材の防腐及び防蟻性能を持続させることができるとともに、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができる木材保存剤を提供する。
【解決手段】ヒノキチオール成分含有油と、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルまたはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを少なくとも含む乳化剤と、ポリエチレングリコール系ビニルモノマー、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーから選択される少なくとも1種のビニルモノマーと、水と、を含む、木材保存剤としたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、木材保存剤、並びにこれを用いた処理木材の製造方法及び処理木材の技術に関する。
従来、防腐及び防蟻のために木材に塗布または注入される木材保存剤の技術は公知となっている(特許文献1参照)。
また、JIS K1570:2004には、水溶性木材保存剤として、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド又はN,N―ジデシル−N−メチル−ポリオキシエチル−アンモニウムプロピオネートの第四級アンモニウム化合物系木材保存剤(以下AACと記載)、銅化合物とN−アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド又はジデシルジメチルアンモニウムクロリドの混合物からなる銅・第四級アンモニウム化合物系木材保存剤(以下ACQと記載)、銅化合物とホウ素化合物とテプコナゾール又はシプロコナゾールの混合物からなる銅・アゾール化合物系木材保存剤(以下CUAZと記載)が規定されており、木材保存剤としてこれらが広く用いられている。
特開2010−173969号公報
しかしながら、AACは耐水性に劣るため、AACによって処理された木材が、例えば、屋外に配置されていると、雨水等によって当該木材から木材保存剤の成分が容易に溶脱する。このため、AACでは、長期にわたって防腐及び防蟻性能を持続させることが困難である。
また、ACQ及びCUAZによって処理された木材の色調は淡緑色になる。このため、ACQ及びCUAZでは、これによって処理された木材が木材本来の色調を損なったものとなり、仕上性に問題があった。
そこで、これらの課題を解決するために、本願発明者を含む発明者は種々の検討を行い、所定のビニルモノマーと水からなる木材保存剤を発明し、本願の出願人を含む出願人がすでに出願した(特願2011−27510)。当該出願の発明により、上記のような従来の木材保存剤よりも防腐・防蟻性能及び仕上性について改善ができたが、なお、防腐及び防蟻性能に影響する木材保存剤の成分の溶脱率について、さらに改善すべき余地があった。
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、長期にわたって木材の防腐及び防蟻性能を持続させることができるとともに、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができる木材保存剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、長期にわたって防腐及び防蟻性能を持続させるとともに、木材本来の色調を損なわないように処理された処理木材の製造方法及び処理木材を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するため種々の検討を重ねた結果、木材保存剤に防腐及び防蟻性能を付与するためにヒノキチオール成分含有油(例えば、ヒバ油)を配合し、該ヒノキチオール成分含有油の揮発を防ぐために、該ヒノキチオール成分含有油を水に乳化させることができる乳化剤を見出した。これにより、ヒバ油、乳化剤、所定のビニルモノマー、及び水を配合して得られる木材保存剤が水と油とに分離せず均一に混合分散されたエマルジョン(乳化液)となり、該エマルジョンに水溶性重合開始剤を添加したものを木材表面に塗布し紫外線によって硬化させたり、木材に注入して熱硬化させる処理をすることで、長期にわたって木材の防腐及び防蟻性能を持続させることができるとともに、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、請求項1においては、
ヒノキチオール成分含有油と、
ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルまたはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを少なくとも含む乳化剤と、
ポリエチレングリコール系ビニルモノマー、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーから選択される少なくとも1種のビニルモノマーと、
水と、を含む、木材保存剤である。
請求項2においては、
前記ヒノキチオール成分含有油を前記乳化剤で前記水に乳化させてなる木材保存剤である。
請求項3においては、
前記ヒノキチオール成分含有油の配合割合が、4重量%以上90重量%以下である木材保存剤である。
請求項4においては、
前記ヒノキチオール成分含有油が、ヒバ油である木材保存剤である。
請求項5においては、
前記ポリエチレングリコール系ビニルモノマーが、エチレングリコール鎖20〜30個のジアクリル酸ポリエチレングリコールモノマーである木材保存剤である。
請求項6においては、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の木材保存剤は、さらに水溶性重合開始剤を含む、木材保存剤である。
請求項7においては、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程と、
前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを木材に塗布する工程と、
前記木材に塗布した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを紫外線硬化させる工程と、を有する、前記木材保存剤が塗布された処理木材の製造方法である。
請求項8においては、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程と、
前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを木材に注入する工程と、
前記木材に注入した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを熱硬化させる工程と、を有する、前記木材保存剤が注入された処理木材の製造方法である。
請求項9においては、
請求項6に記載の木材保存剤が塗布または注入され、紫外線硬化または熱硬化された処理木材である。
本発明によれば、長期にわたって木材の防腐及び防蟻性能を維持させることができるとともに、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができる。
ヒバ油の乳化試験における24時間放置後の分散状態を示す写真。 本発明の一実施形態に係る木材保存剤の製造方法(塗布処理後紫外線硬化)を示したフロー図。 本発明の一実施形態に係る木材保存剤の製造方法(注入処理後熱硬化)を示したフロー図。
次に、本発明の実施形態に係る木材保存剤について説明する。
本発明の木材保存剤は、木材の防腐処理および防蟻処理に用いられるものである。
本発明の木材保存剤による木材の防腐処理および防蟻処理は、該木材保存剤が木材に塗布または注入され、紫外線硬化及び熱硬化されることによって行われる。
本発明の木材保存剤は、ヒノキチオール成分含有油と、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルまたはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを少なくとも含む乳化剤と、ポリエチレングリコール系ビニルモノマー、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーよりなる群から選択される少なくとも1種のビニルモノマーと、
水と、を含むものである。
本発明の木材保存剤に配合されるヒノキチオール成分含有油は、ヒノキチオールを含有する植物由来の植物油であり、例えば、青森ヒバから抽出される精油であるヒバ油等が挙げられる。本発明の木材保存剤の配合成分として、ヒノキチオール成分含有油を使用することで、木材保存剤に良好な防腐及び防蟻性能を付与し、本発明の木材保存剤によって処理された処理木材に防腐及び防蟻性能を発揮させることができる。
なお、ヒノキチオール成分含有油は、特にヒバ油に限定するものではなく、台湾ヒノキから抽出された精油や化学合成されたヒノキチオールを含有する油等であってもかまわない。
本発明の木材保存剤に配合される、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルを主成分とする乳化剤は、リン酸エステル系のアニオン系界面活性剤であって、前記ヒノキチオール成分含有油を水に乳化するのに好適な乳化剤である。ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルを主成分とする乳化剤としては、例えば、プライサーフA212C(第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
また、本発明の木材保存剤には、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを主成分とする乳化剤を配合し、ヒノキチオール成分含有油を水に乳化することも可能である。ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを主成分とする乳化剤としては、例えば、ハイテノールNF−08(第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
また、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルを主成分とする乳化剤とポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを主成分とする乳化剤を適宜併用することも可能である。
本発明の木材保存剤は、前記ヒノキチオール成分含有油を前記乳化剤で前記水に乳化させてなるものである。より具体的には、本発明の木材保存剤は、ヒノキチオール成分含有油を前記乳化剤で前記水に乳化させたエマルジョンである。ヒノキチオール成分含有油単独では揮発性が高いため木材保存剤として長期間防腐及び防蟻性能を発揮することは不可能であるが、上記のように、ヒノキチオール成分含有油を乳化させることで、ヒノキチオール成分含有油の揮発性を抑制し、ヒノキチオール成分含有油を防腐及び防蟻性能を付与するための有効成分として配合した木材保存剤は、長期にわたって防腐及び防蟻性能を持続することができる。
本発明の木材保存剤によって処理された処理木材に防腐及び防蟻性能を充分に発揮させるためには、本発明の木材保存剤における、上記ヒノキチオール成分含有油の配合割合が4重量%以上90重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、配合割合が10重量%以上60重量%以下である。上記ヒノキチオール成分含有油の配合割合が10重量%以上60重量%以下とすることにより、JIS K 1571−2010に規定する防腐・防蟻性能試験後の処理木材試験片の質量減少率(重量減少率)の性能基準3%以下をより確実に満たすことができる。
前記ポリエチレングリコール系ビニルモノマーは、エチレングリコール鎖20〜30個のジアクリル酸ポリエチレングリコールモノマーであることが好ましい。ポリエチレングリコール系ビニルモノマーが、エチレングリコール鎖20〜30個のジアクリル酸ポリエチレングリコールモノマーであるとすることにより、本発明に係る木材保存剤によって処理された処理木材から当該木材保存剤の成分の溶脱を低減させることができる。
また、紫外線硬化速度を速めるためには、ポリエチレングリコール系ビニルモノマーが5重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
本発明の木材保存剤のビニルモノマーとして、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーから選択される1種類又はそれ等の混合物5重量%以上90重量%以下のものを有することにより、本発明の木材保存剤によって処理された処理木材に防腐及び防蟻性能をさらに発揮させることができる。すなわち、本発明の木材保存剤のビニルモノマーとして、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーから選択される1種類又はそれ等の混合物5重量%以上90重量%以下のものを有する場合、これらによる防腐及び防蟻効果と前記ヒノキチオール成分含有油による防腐及び防蟻効果との相乗効果を発揮して、より効果的な防腐及び防蟻性能を奏するものとなる。
前記スルホン酸亜鉛系ビニルモノマーは、ビニルスルホン酸亜鉛、スチレンスルホン酸亜鉛、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸亜鉛から選択される1種類又はそれ等の混合物であることが好ましい。
前記アミン系ビニルモノマーは、アクリル酸ジメチルアミノエチルであることが好ましい。
前記第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーは、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロリドであることが好ましい。
本発明の木材保存剤には、ポリエチレングリコール系ビニルモノマー、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーから選択される1種類又はそれ等の混合物の他に、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸等のカルボン酸系モノマー及びそれ等の金属塩系モノマー、アクリルアミドモノマー、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキプロピル等の水溶性モノマー、非イオン系浸透剤(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル)、染料、着色顔料、撥水剤等を配合することができ、その配合量等の配合条件は本発明の効果を奏する範囲であれば、使用目的等に応じて適宜選択できる。
なお、このように、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸等のカルボン酸系モノマー及びそれ等の金属塩系モノマー、アクリルアミドモノマー等を、本発明の木材保存剤に配合することにより、本発明の木材保存剤の防腐及び防蟻性能をより向上させることができる。
また、このように、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキプロピル等の水溶性モノマー等を、本発明の木材保存剤に配合することにより、本発明の木材保存剤によって処理された処理木材から雨水等による当該木材保存剤の成分の溶脱をより低減させることができる。
また、このように、非イオン系浸透剤(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル)を、本発明の木材保存剤に配合することにより、本発明の木材保存剤の木材への浸透性を向上させることができる。
また、このように、染料、着色顔料、撥水剤等を、本発明の木材保存剤に配合することにより、本発明の木材保存剤の処理木材への着色性や、本発明の木材保存剤によって処理された処理木材の撥水性を向上させることができる。
本発明の木材保存剤は、さらに水溶性重合開始剤を配合とすることができる。当該水溶性重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。前記水溶性重合開始剤の添加は、例えば、ビニルモノマー100重量部に対し0.1重量部以上20重量部以下のものによって行われる。
本発明の木材保存剤は、木材に塗布されて、紫外線により硬化される処理がおこなわれる。また、本発明の木材保存剤は、木材に注入されて、熱により硬化される処理がおこなわれる。このような処理がおこなわれた木材は、処理木材となる。
また、この際、本発明の木材保存剤は、木材に塗布されて紫外線により硬化され、または、木材に注入されて熱により硬化されて、水不溶性となる。
このため、本発明の木材保存剤によれば、これによって処理された処理木材が屋外に配置されても、雨水等によって当該処理木材から当該木材保存剤の成分の溶脱を低減させることができる。
したがって、本発明の木材保存剤によれば、これによって処理木材とすることにより、長期にわたって防腐及び防蟻性能を持続させることができる。
また、本発明の木材保存剤によって処理された処理木材の色調は、これによって処理されていない木材の色調とほとんど変わらない。
したがって、本発明の木材保存剤によれば、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができる。
さらに、本発明の木材保存剤は紫外線によっても硬化するため、屋外の既存の木造構造物の防腐及び防虫現場補修の場合には、工数をかけずに本発明の木材保存剤を硬化させることができる。
本発明の木材保存剤によって紫外線硬化された処理木材又は熱硬化された処理木材には、スプレーや刷毛等により該処理木材表面にシリコーン系木材保護剤(本実施形態では、シリコン−アクリルエマルジョンという)を塗布し、乾燥させることで、防水性能や撥水性能を付与することも可能である。該シリコン−アクリルエマルジョンとしては、例えば、油性シリコーンオイル、硬化剤としてコロネートHL(商品名、日本ポリウレタン工業社製)及び希釈剤としてウレタンラッカーを主成分として含むものが挙げられる。
[乳化(分散性)試験:ヒバ油の乳化剤(水分散剤)の検討]
ヒノキチオール成分含有油の一例であるヒバ油は、木材保存剤として使用した場合、揮発性であるため、長期の性能保持が困難であるとともに、成分組成比が振れるため、性能を一定に保てないという課題がある。
そこで、本願発明者は、ヒバ油の揮発性を防ぐためにヒバ油を水に乳化(分散)させることを検討した。具体的には、第一工業製薬(株)の各種界面活性剤(乳化剤)を入手し、下記の配合及び分散方法で、ヒバ油の分散性を評価した。
1)配合: ヒバ油 10重量部
界面活性剤 1重量部
水 90重量部
(合計 111重量部)
ヒバ油濃度 10%
界面活性剤/ヒバ油 10/100
2)供試界面活性剤
ネオゲンS−20F(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アニオン系)
モノゲンY−100(ラウリル硫酸ナトリウム、アニオン系)
ハイテノール08E(ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウム、アニオン系)
ハイテノールNF−08(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、アニオン系)
ハイテノール330T(ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、アニオン系)
ハイテノールLA−10(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、アニオン系)
ハイテノール325SM(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アニオン系)
プラサーフA212C(ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、アニオン系)
プラサーフA208B(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、アニオン系)
3)分散方法
上記配合割合でヒバ油、界面活性剤、水を試験管に入れ、撹拌棒で5分間撹拌する。
[乳化試験結果]
上記の配合条件で作製した各配合品の乳化試験結果(24時間放置後の分散状態)を図1及び表1に示す。
Figure 0005145474
表1に示すように、乳化試験の結果、乳化剤A212C(ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、アニオン系)が乳化性(分散性)良好と判明し(図1における2番の試験管)、これがヒバ油の乳化剤として好適なものであることがわかった。また、乳化剤NF−08(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、アニオン系)は乳化性(分散性)がやや良であり(図1における4番の試験管)、A212Cより乳化性が劣るが、ヒバ油の乳化剤として使用可能であることがわかった。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。
先ず、実施例及び比較例に係る処理木材の防蟻性能を比較評価するための防蟻の試験方法について説明する。
[各種表面処理木材の防蟻性能の試験方法について]
実施例及び比較例に係る処理木材(試験体)の比較評価に際し、基材としては、JIS K 1571−2010「木材保存剤−性能基準及びその試験方法」に定められた表面処理(塗布処理)用スギ辺材試験体(10mm(R)×10mm(T)×20mm(L))を用いた。防蟻性能試験には室内飼育コロニーより採取したイエシロアリ職蟻と兵儀を使用した。
防蟻性能試験は、JIS K 1571−2010「木材保存剤−性能基準及びその試験方法」に準じて行った。防蟻性能試験の試験期間は3週間、試験体の個数は3個である。なお、一部の試験体については、JISによる耐候操作前後の試験体の質量変化、つまり溶脱量の測定を実施した。
(実施例1)
ヒバ油(市販品「天然青森ひば油」)15重量部とポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルを主成分とする乳化剤(プライサーフA212C、第一工業製薬社製)3重量部を配合し、撹拌後、この中に撹拌しながら、予め準備した、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(NKエステル23G、新中村化学工業社製)85重量部と水(イオン交換水)233重量部を配合して調製したNGエステル23G水溶液を少しずつ入れ、撹拌下でヒバ油を乳化して濃度30重量%(不揮発分の濃度:(ヒバ油+NKエステル23G)/水×100)の木材保存剤を調製し、この中に、水溶性重合開始剤としてのアゾ系重合開始剤(V50、和光純薬工業社製)2重量部を添加した。次に、この木材保存剤にアゾ系重合開始剤を添加したもの(木材保存剤)を、重量既知の杉材(寸法:木口面10×10mm、高さ:20mm、含水率17重量%)に刷毛で所定の塗布量を塗布し、これを実験用紫外線照射装置(波長360nm)によって、紫外線を照射距離10cmで20分間照射して、木材保存剤が表面に塗布され、紫外線硬化された杉材(以下、塗布処理杉材という)を調製した。
本実施例(実施例1)の塗布処理杉材は、後述する防蟻試験を実施していないが、実際の家屋等に使用して試験した結果として、木材本来の色調を損なわずに良好な仕上性を有するものであった。
(実施例2)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油33重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりにポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを主成分とする乳化剤(ハイテノールNF−08、第一工業製薬社製)7重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール67重量部に変えた以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後乾燥させ、被膜を形成した。次に、この塗布処理杉材を、乾燥器中で温度70℃で72時間加熱した後、室温下に7日間放置し、更に温度60℃で48時間、乾燥器中で乾燥し、重量を測定し、木材保存剤塗布杉材中の保存剤硬化物の塗布処理量(木材表面の塗膜重量)を計算した。次に、この乾燥済の塗布処理杉材を、JIS K 1571−2010(表面処理用)に準じて耐候操作を行った後、再び、温度60℃で48時間乾燥器中で乾燥し、これの重量を測定し、耐候操作による保存剤硬化物の溶脱率を計算した。次に、耐候操作済の塗布処理杉材のJIS K 1571−2010の防蟻性能試験に準じて防蟻性能を試験した。耐候操作により溶脱した木材保存剤の成分の溶脱率を表2に、防蟻性能の試験結果を表3に示した。
なお、前記紫外線照射時間を15分以上とすることにより、本発明の木材保存剤の硬化反応をより確実に完結させることができ、本発明の木材処理剤によって処理された処理木材の防蟻性能を、より確実に維持させることができる。
(実施例3)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油66重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりに乳化剤ハイテノールNF−08(第一工業製薬社製)13重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール34重量部に変えた以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後硬化させ、被膜を形成した。また、実施例2と同様に溶脱率を計算するとともに防蟻試験を行った。耐候操作により溶脱した木材保存剤の成分の溶脱率を表2に、防蟻性能の試験結果を表3に示した。
(実施例4)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油60重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりに乳化剤ハイテノールNF−08(第一工業製薬社製)12重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール40重量部、水100重量部に変えた以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後硬化させ、被膜を形成した。また、実施例2と同様に溶脱率を計算するとともに防蟻試験を行った。耐候操作により溶脱した木材保存剤の成分の溶脱率を表2に、防蟻性能の試験結果を表3に示した。
(実施例5)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油33重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりに乳化剤ハイテノールNF−08(第一工業製薬社製)7重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール57重量部に変え、実施例1では添加しなかったメタクリル酸(MAA、三菱レイヨン社製)10重量部を添加した以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後硬化させ、被膜を形成した。また、実施例2と同様に溶脱率を計算するとともに防蟻試験を行った。耐候操作により溶脱した木材保存剤の成分の溶脱率を表2に、防蟻性能の試験結果を表3に示した。
(実施例6)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油66重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりに乳化剤ハイテノールNF−08(第一工業製薬社製)13重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール24重量部に変え、実施例1では添加しなかったメタクリル酸(MAA)10重量部を添加した以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後硬化させ、被膜を形成した。また、実施例2と同様に溶脱率を計算するとともに防蟻試験を行った。耐候操作により溶脱した木材保存剤の成分の溶脱率を表2に、防蟻性能の試験結果を表3に示した。
(実施例7)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油60重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりに乳化剤ハイテノールNF−08(第一工業製薬社製)12重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール30重量部、水100重量部に変え、実施例1では添加しなかったメタクリル酸(MAA)10重量部を添加した以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後硬化させ、被膜を形成した。また、実施例2と同様に溶脱率を計算するとともに防蟻試験を行った。耐候操作により溶脱した木材保存剤の成分の溶脱率を表2に、防蟻性能の試験結果を表3に示した。
(比較例1)
実施例1の木材保存剤を、表3に示すようにヒバ油10重量部、乳化剤プライサーフA212Cの代わりに乳化剤ハイテノールNF−08(第一工業製薬社製)2重量部、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール90重量部に変えた以外は実施例1と同じ条件で塗布処理杉材を調製した。さらに、この塗布処理杉材の表面に、前述したシリコン−アクリルエマルジョン(油性シリコンオイルとウレタンラッカーを主成分として含むエマルジョン)を塗布後硬化させ、被膜を形成した。また、実施例2と同様に溶脱率を計算するとともに防蟻試験を行った。耐候操作により溶脱した試験を行った。防蟻性能の試験結果を表3に示した。
(比較例2)
未処理杉材の防蟻性能を実施例2と同様に試験し、その結果を表3に示した。
[耐候操作の影響(溶脱量の測定)]
表2に、実施例2〜7の各塗布処理杉材(試験体)について実施したJIS K 1571−2010「木材保存剤−性能基準及びその試験方法」による耐候操作前後の試験体の質量変化と試験体の様子を示す。
Figure 0005145474
表2に示すように、耐候操作によって、実施例2〜実施例7の塗布処理杉材では溶脱量が約32mg以下と少ない量となった。また、実施例2〜7の塗布処理杉材は、木材保存剤の成分の溶脱率が約4%以下と低く、良好な結果が得られた。実施例2〜実施例7の塗布処理杉材では、耐候操作による外観の変化は特に観察されなかった。すなわち、実施例2〜実施例7の塗布処理杉材では、色調の変化がなく仕上性が良好であった。本願発明者が発明者の一人である先行出願(特願2011−27510)に記載した実施例1〜3では、溶脱率が12〜15%であったが、本発明では溶脱率が約4%以下に低減し、本発明が溶脱率を改善する十分な効果を奏することが確認できた。
表3に実施例1〜7及び比較例1の配合割合(表面処理用(塗布処理用))とJISの試験方法による防蟻性能試験の評価結果をまとめて示す。防蟻試験結果はイエシロアリによる3週間後のものである。
なお、防蟻性能試験における未処理杉材(比較例2)の平均質量減少率は、39.9%と、JISに定める試験の成立要件を満たしていた。
Figure 0005145474
表3に示すように、防蟻性能については、実施例2〜7の7種の塗布処理杉材においてJISの定める性能基準(3%以下)を満たしている(実施例1は防蟻試験未実施)。比較例1の塗布処理杉材については、ヒバ油の配合割合が3%と少ないため、平均質量減少率が5.0%となってJISの性能基準を満たしていないが、比較例1の塗布処理杉材を比較例2の未処理杉材と比較した場合、比較例1の塗布処理杉材でもかなりの防蟻性能を有していることがわかる。実施例2〜7の7種の塗布処理杉材における防腐性能については、防蟻性能がJISの性能基準を満たしていることから、当然ながら十分な防腐性能も有しているものと考えられる。このように、実施例2〜7では、防蟻試験の重量減少率が2.5%以下の優れた防蟻性能を示す塗布処理杉材が得られた。また、実施例1〜7においては、無垢材の色調を損なわない仕上性の良い塗布処理杉材を得えることができた。
なお、実施例1の塗布処理杉材については、防蟻試験は実施していないが、比較例1の塗布処理杉材のヒバ油3%品が一定の効果(防蟻試験:平均質量減少率5.0%)を示したことから考えて、実施例1の塗布処理杉材(ヒバ油4.5%品)は防蟻性能がJISの性能基準近傍ではないかと推定される。このことを考慮して、ヒバ油の配合割合は、少なくとも4%以上であることが好ましい。
また、表3は、表面処理(塗布処理)した処理木材についての試験結果であるが、実施例と同様の配合割合の木材保存剤を注入処理した処理木材についても実施例と同様の効果を得ることが可能である。
次に、本発明の実施形態に係る木材保存剤が塗布された処理木材の製造方法おける一連の動作について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、前記本発明の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程(ステップS11)を行う。
前記本発明の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程(ステップS11)を行った後、ステップS12に移行する。
次に、前記ステップS11において前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したもの(木材保存剤)を木材に塗布する工程(ステップS12)を行う。
この際、例えば、木材保存剤の硬化物換算で15g/m2以上200g/m2以下(木材保存剤の塗布不良をより確実に回避するためには、30g/m2以上150g/m2以下)の、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを木材に塗布する。
また、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものの木材への塗布は、例えば、スプレー、刷毛塗り、ローラー塗り、ナチュラルロールコーター、ナチュラルリバ−スロールコーター、リバースロールコーター、カーテンフローコーター、エアースプレー、エアレススプレー等によって行われる。好ましい塗布方法は、カーテンフローコータースプレー、エアレススプレー、刷毛塗りであり、カーテンフローコーターは、効率のよい塗装が可能であるため、工場での塗布用に適しており、スプレー、エアレススプレー、ローラー塗り、刷毛塗りは、既存建造物の防腐や防虫補修の用途に適している。なお、注入と塗布を組み合わせてもよい。
前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを木材に塗布する工程(ステップS12)を行なった後、ステップS13に移行する。
次に、ステップS12において前記木材に塗布した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを紫外線硬化させる工程(ステップS13)を行う。
この際、例えば、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものが塗布された木材の塗布面を15分から30分間、好ましくは20分から30分間、所定の紫外線照射装置で紫外線を照射することによって行う。
なお、前記紫外線照射時間を15分以上とすることにより、本発明の木材保存剤の硬化反応をより確実に完結させることができ、本発明の木材処理剤によって処理された処理木材の防腐及び防蟻性能を、より確実に維持させることができる。
またこの際、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを既存の木造構造物(木材)に塗布した場合(例えば、既存の木造構造物の防腐及び防虫現場補修の場合)には、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを塗布した後、前記木造構造物を屋外で3日から7日間暴露、または、前記木造構造物に所定の紫外線照射装置によって15分から30分間紫外線を照射することによって行ってもよい。
このようにして本発明の木材保存剤が塗布され、紫外線硬化された処理木材を製造する。
以上のように、本発明の木材保存剤が塗布された木材の製造方法は、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程(ステップS11)と、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したもの(木材保存剤)を木材に塗布する工程(ステップS12)と、前記木材に塗布した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを紫外線硬化させる工程(ステップS13)と、を具備する。
このように、本発明の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加し、これを木材に塗布し、紫外線硬化させることにより、長期にわたって防腐及び防蟻性能を持続させることができるとともに、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができる、処理木材を得ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る木材保存剤が注入された処理木材の製造方法における一連の動作について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、前記本発明の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程(ステップS21)をおこなう。
前記本発明の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程(ステップS21)を行った後、ステップS22に移行する。
次に、前記ステップS21において前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したもの(木材保存剤)を木材に注入する工程(ステップS22)を行う。
この際、例えば、所定の加圧注入装置によっておこなう。この際、木材保存剤の硬化物換算で通常50kg/m3以上400kg/m3以下のもの、好ましくは100kg/m3以上300kg/m3以下のもの、を木材に注入する。このように木材保存剤の硬化物換算で50kg/m3以上のものとすることにより、本発明の木材処理剤によって処理された処理木材の防腐及び防蟻性能をより確実に発揮させることができる。さらに、このように木材保存剤の硬化物換算で100kg/m3以上のものとすることにより、本発明の木材処理剤によって処理された処理木材の防腐及び防蟻性能をさらにより確実に発揮させることができる。
また、このように木材保存剤の硬化物換算で400kg/m3以下のものとすることにより、木材保存剤の硬化収縮の影響を小さくして、処理木材の反りが発生することを抑制することができる。さらに、このように木材保存剤の硬化物換算で300kg/m3以下のものとすることにより、木材保存剤の硬化収縮の影響をより小さくして、処理木材の反りが発生することをより抑制することができる。
本発明の処理木材を確実に木材に注入するためには、前記木材処理材の木材への注入操作は、最初に0.05MPa以上0.1MPa以下で1分乃至5分間減圧した後、0.1MPa以上0.6MPa以下で5分乃至30分間加圧するのが好ましい。
前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したもの(木材保存剤)を木材に注入する工程(ステップS22)を行った後、ステップS23に移行する。
次に、ステップS22において前記木材に注入した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを熱硬化させる工程(ステップS23)を行う。
この際、温度40℃以上100℃以下、湿度50%RH以上90%RH以下で、1日から7日間、好ましくは、温度50℃以上80℃以下、湿度80%RH以上90%RH以下で2から5日間、前記木材に注入した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを、加熱および加湿する。前記熱硬化させる温度50℃以上とすることにより、前記木材に注入した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したもの硬化反応をより確実に完結させることができ、処理木材の防腐及び防蟻性能をより確実に維持させることができる。また、前記熱硬化させる温度80℃以下とすることにより、処理木材の含水率低下による処理木材の割れの発生をより確実に抑制することができる。
このようにして、本発明の木材保存剤が注入され、熱硬化された処理木材を製造する。
以上のように、本発明の木材保存剤が注入された処理木材の製造方法は、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程(ステップS21)と、前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したもの(木材保存剤)を木材に注入する工程(ステップS22)と、前記木材に注入した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを熱硬化させる工程(ステップS23)と、を具備する。
このように、本発明の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加し、これを木材に注入し、熱硬化させることにより、長期にわたって防腐及び防蟻性能を持続させることができるとともに、木材本来の色調を損なわずに仕上性を良好なものとすることができる、処理木材を得ることができる。

Claims (9)

  1. ヒノキチオール成分含有油と、
    ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルまたはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムを少なくとも含む乳化剤と、
    ポリエチレングリコール系ビニルモノマー、スルホン酸亜鉛系ビニルモノマー、アミン系ビニルモノマー、第4級アンモニウムクロリド系ビニルモノマーから選択される少なくとも1種のビニルモノマーと、
    水と、を含む、木材保存剤。
  2. 前記ヒノキチオール成分含有油を前記乳化剤で前記水に乳化させてなる請求項1に記載の木材保存剤。
  3. 前記ヒノキチオール成分含有油の配合割合が、4重量%以上90重量%以下である請求項1または請求項2に記載の木材保存剤。
  4. 前記ヒノキチオール成分含有油が、ヒバ油である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の木材保存剤。
  5. 前記ポリエチレングリコール系ビニルモノマーが、エチレングリコール鎖20〜30個のジアクリル酸ポリエチレングリコールモノマーである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の木材保存剤。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の木材保存剤は、さらに水溶性重合開始剤を含む、木材保存剤。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程と、
    前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを木材に塗布する工程と、
    前記木材に塗布した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを紫外線硬化させる工程と、を有する、前記木材保存剤が塗布された処理木材の製造方法。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加する工程と、
    前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを木材に注入する工程と、
    前記木材に注入した前記木材保存剤に水溶性重合開始剤を添加したものを熱硬化させる工程と、を有する、前記木材保存剤が注入された処理木材の製造方法。
  9. 請求項6に記載の木材保存剤が塗布または注入され、紫外線硬化または熱硬化された処理木材。
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