JP3511481B2 - 浸透性吸水防止材含有組成物及び浸透性吸水防止層の形成方法 - Google Patents

浸透性吸水防止材含有組成物及び浸透性吸水防止層の形成方法

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JP3511481B2 JP12648599A JP12648599A JP3511481B2 JP 3511481 B2 JP3511481 B2 JP 3511481B2 JP 12648599 A JP12648599 A JP 12648599A JP 12648599 A JP12648599 A JP 12648599A JP 3511481 B2 JP3511481 B2 JP 3511481B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート、セ
メントモルタル、セメント系二次製品等のセメント系基
材を保護するために使用する水性の浸透性吸水防止材含
有組成物を用いた浸透性吸水防止層の形成方法に関する
ものである。 【0002】 【従来技術】従来、建築物や土木構造物等の躯体として
用いられているコンクリート、セメントモルタル、セメ
ント系二次製品等のセメント系基材に、吸水防止性を付
与し、耐久性を向上させる方法として、シラン系化合物
を主成分とする溶剤系の浸透性吸水防止材を塗付する方
法が広く用いられている。 【0003】浸透性吸水防止材は、コンクリート、セメ
ントモルタル、セメント系二次製品等のセメント系基材
の中に深く浸透して撥水層を形成し、外部からの水や炭
酸ガス等の浸入を遮断することで基材の中性化による強
度低下を防止し、さらに駆体内部に存在する鉄骨あるい
は鉄筋の腐食を抑制する効果を発揮する。また、基材内
部のカルシウム成分の移行による基材表層でのエフロレ
ッセンス発生を防止することもできる。このような浸透
性吸水防止材を基材に塗付した後、塗膜形成性を有する
溶剤系樹脂塗料を塗付することで、さらに耐久性を向上
させることも行われている。 【0004】しかし近年、周辺環境や作業衛生への配慮
から、このような材料においても水性化の要望が高まり
つつあり、水性の浸透性吸水防止材が種々提案されてい
る。さらには、工程短縮化を図ることを目的として、吸
水防止性と皮膜形成性の両方を有する水性系の組成物が
提案されている。このような水性系の組成物としては、
特開平05−97542号公報における発明が挙げられ
る。該発明は、固形分比で、塗料50〜80重量%にシ
ラン系浸透性吸水防止成分20〜50重量%を含有させ
た組成物であり、塗料としてアクリルエマルション樹脂
塗料、エポキシ樹脂エマルション塗料等の水系塗料が挙
げられている。 【0005】該発明はコンクリート構造物に対し適用す
るものであり、該発明組成物をコンクリート表面に塗付
すると、コンクリート表面での塗膜形成とともに、シラ
ン系浸透性吸水防止成分がコンクリート内部に入り込む
ことで、耐久性、美装性、防蝕性等を同時に付与できる
とされている。 【0006】しかしながら、実際、該発明組成物を塗装
する際には、重ね塗り部において、シラン成分の作用に
よってハジキを生じてしまい、均一な塗膜を形成するこ
とができず、作業上の支障をきたすだけでなく、仕上り
外観性も不良なものとなってしまう。 【0007】このような重ね塗り部でのハジキの問題
は、一度塗装を行った部分が乾燥硬化してしまった後に
補修等の目的で再度塗装を行う場合は勿論、通常の塗装
作業を行う場合においても発生しやすいものである。例
えば、ローラー塗装を行う場合は、帯状に塗料を塗付し
ていくが、仕上り外観性を良好なものとするために、通
常は、ローラー塗装による帯の端部を重ね合せるように
して塗装を行う。この重ね合せにおいて、下層となる塗
料の乾燥がある程度進行してしまうと、上層となる塗料
がハジキを生じてしまう。特に、浸透性吸水防止材を含
有した塗料は、セメント系基材内部に浸透する性質が強
いために、基材表面に形成される層は薄膜となる。この
ため、塗料の乾燥速度が速くなる傾向となり、ハジキ現
象も発生しやすい。 【0008】一方、前記発明組成物を塗装した後に、さ
らに該組成物とは異なる組成の上塗材を塗装する際に
も、乾燥条件、基材の種類等によっては、上塗材がハジ
キを生じてしまう場合がある。特に、該組成物中のシラ
ン成分の含有量が増加するほどハジキが発生しやすくな
り、均一な塗膜を形成することは困難である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、コンクリート、セメントモル
タル、セメント系二次製品等のセメント系基材に対して
適用することで、基材内部での撥水層形成と、基材表面
での皮膜形成とを同時に行い、吸水防止性、中性化防止
性、腐食防止性、エフロレッセンス発生防止性、耐候
性、耐久性等を兼ね備えることができるとともに、塗装
を行う際の重ね塗り部のハジキを防止し、作業性が良好
で、優れた仕上り性を有し、美麗な外観を得ることがで
きる吸水防止層の形成方法を得ることである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、アクリル系合成樹脂エマルション、シラン系浸
透性吸水防止材、特定有機溶剤を特定比率で含有する組
成物によって、このような課題がすべて解決できること
を見出し、本発明を完成した。 【0011】すなわち、本発明の浸透性吸水防止層の形
成方法は、以下の特徴を有するものである。 1.第1の工程として、アクリル系合成樹脂エマルショ
ンを固形分換算で100重量部に対し、シラン系浸透性
吸水防止材を固形分換算で30〜400重量部、溶解性
パラメータ(SP値)8.5以上、かつ水に対する溶解
度20wt%以上の有機溶剤を5〜50重量部含有する
浸透性吸水防止材含有組成物を塗付し、第2の工程とし
て、シラン系浸透性吸水防止材を含まず、溶解性パラメ
ータ(SP値)8.5以上、かつ水に対する溶解度20
wt%以上の有機溶剤を、合成樹脂エマルションの固形
分に対し5〜50重量部含有する合成樹脂エマルション
系塗料を塗付することを特徴とする浸透性吸水防止層の
形成方法。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態に
基づき詳細に説明する。 【0013】本発明組成物におけるアクリル系合成樹脂
エマルションは、セメント系基材表面に皮膜を形成する
成分であり、防水性を付与し、耐候性、耐久性等を向上
させる役割を果たすものである。 【0014】アクリル系合成樹脂エマルションとして
は、アクリル系単量体、および必要に応じて、アクリル
系単量体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合
により得られるものが使用できる。 【0015】アクリル系単量体は、特に限定されない
が、例えば、メチル(メタ)アクリレート(メチルアク
リレートまたはメチルメタアクリレートのいずれかであ
ることを示す。以下において同じ。)、エチル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−
ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
トなどのアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基
含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸な
どのエチレン性不飽和カルボン酸;ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル
系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)ア
クリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系単量
体;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)ア
クリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなど
のエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体等を例示で
きる。 【0016】アクリル系単量体と共重合可能な他の単量
体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量
体;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、
シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスル
ホン酸含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸などの酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ク
ロロプレンなどの塩素含有単量体;ヒドロキシエチルビ
ニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなど
の水酸基含有アルキルビニルエーテル;エチレングリコ
ールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノア
リルエーテルジエチレングリコールモノアリルエーテル
などのアルキレングリコールモノアリルエーテル;エチ
レン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィ
ン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテルなど
のアリルエーテル;γ−(メタ)アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルメチルジエトキシシランなどの加水分解性シ
リル基含有ビニル系単量体;フッ化ビニリデン、トリフ
ルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフル
オロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのフルオ
ロオレフィン;トリフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パ
ーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの
フッ素含有(メタ)アクリレート等を例示できる。 【0017】アクリル系合成樹脂エマルションの平均粒
径は80〜300nm(さらには150〜250nm)
であることが好ましい。平均粒径がこのような範囲内で
あることにより、重ね塗りを行った際のハジキ防止性を
高めることができる。これは、平均粒径をこのような範
囲とすることにより、皮膜に適当な空隙が形成され、シ
ラン系浸透性吸水防止材が透過しやすくなるためと考え
られる。80nmより小さい場合は、皮膜に空隙が形成
されにくく、重ね塗り部でのハジキが発生しやすい傾向
となる。300nmより大きい場合は、防水性、耐水白
化性等が低下しやすくなるため好ましくない。 【0018】なお、エマルションの平均粒径は、レーザ
ー回折散乱法により測定され、測定した粒度分布から求
められるメジアン径で表されるものである。 【0019】本発明組成物におけるシラン系浸透性吸水
防止材は、セメント系基材に浸透して撥水層を形成し、
吸水防止性、中性化防止性、腐食防止性、エフロレッセ
ンス発生防止性等を付与する成分である。 【0020】シラン系浸透性吸水防止材としては、加水
分解性シラン化合物を各種界面活性剤で水性エマルショ
ン化したものが挙げられる。 【0021】加水分解性シラン化合物としては、例え
ば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキ
シシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリ
ブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピ
ルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラ
ン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシ
ラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキ
シシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプ
ロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチル
ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル
ジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラ
ン、ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメト
キシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルト
リプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデ
シルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシランなどが挙げられる。これらは単独もしくは複数
の種類を混合して使用することができる。 【0022】このような加水分解性シラン化合物を水性
エマルション化するための界面活性剤としては、ノニオ
ン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界
面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種、または2
種以上を適宜使用することが可能である。例えば、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアミノエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノ
ニオン性界面活性剤;高級アルコール硫酸ナトリウム、
ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノー
ルアミン、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、
アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキ
ルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性
剤;アルキルアミンアセテート、アルキルアミン塩酸
塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;
アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキ
シメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の
両性界面活性剤があげられる。このうち、ノニオン性界
面活性剤が加水分解性シラン化合物の安定性を向上させ
ることができ、好ましい。 【0023】溶解性パラメータ(以下、SP値という)
8.5以上、かつ水に対する溶解度20wt%以上の有
機溶剤は、本発明組成物において、塗装時のハジキを防
止するために必須の成分である。本発明では、この成分
を含むことによって、塗装を行う際の重ね塗り部のハジ
キを防止することができ、作業性が良好で、優れた仕上
り性を有し、美麗な外観を得ることができる。さらに
は、シラン系浸透性吸水防止材のセメント系基材への浸
透性を高める効果も有する。 【0024】本発明においては、特に、SP値9.0〜
11.5、かつ水に対する溶解度20wt%以上の有機
溶剤を用いると、ハジキ防止性や浸透性をより高めるこ
とができ好ましい。 【0025】このような有機溶剤としては、例えば、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロ
ピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレン
グリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレング
リコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、1−3ブタンジオール、1
−5ペンタンジオール、ジアセトンアルコール、Nメチ
ルピロリドン等が挙げられる。 【0026】本発明組成物における各成分の重量比は、
アクリル系合成樹脂エマルションを固形分換算で100
重量部に対し、シラン系浸透性吸水防止材を固形分換算
で30〜400重量部(好ましくは120〜200重量
部)、SP値8.5以上、かつ水に対する溶解度20w
t%以上の有機溶剤を5〜50重量部(好ましくは10
〜30重量部)とする。各成分がこのような範囲内で混
合されることにより、撥水層形成性、皮膜形成性、ハジ
キ防止性等のバランスが良好となる。 【0027】シラン系浸透性吸水防止材が30重量部よ
り少ない場合は、撥水層が十分に形成されず、吸水防止
性、中性化防止性、腐食防止性、エフロレッセンス発生
防止性等が低下する。400重量部より多い場合は、皮
膜形成性が低下し、塗装時のハジキも発生しやすくな
る。 【0028】SP値8.5以上、かつ水に対する溶解度
20wt%以上の有機溶剤が5重量部より少ない場合
は、塗装時のハジキを抑制することができない。50重
量部より多い場合は、組成物の貯蔵安定性が低下するお
それがある。 【0029】この他、本発明の浸透性吸水防止材組成物
には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて
通常塗料に用いられる無機系着色顔料、有機系着色顔
料、造膜助剤、体質顔料、防腐剤、防黴剤、消泡剤、レ
ベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、p
H緩衝剤、艶消し剤などの添加剤を単独あるいは併用し
て配合することができる。 【0030】本発明の浸透性吸水防止材含有組成物をセ
メント系基材に塗付することにより、吸水防止性、耐久
性等を有する浸透性吸水防止層を形成することが可能で
あるが、さらに上塗材を積層することで、耐水性、耐候
性、耐汚染性等を一段と向上させることができる。この
場合、上塗材としては、溶解性パラメータ(SP値)
8.5以上、かつ水に対する溶解度20wt%以上の有
機溶剤を、合成樹脂エマルションの固形分に対し5〜5
0重量部含有する合成樹脂エマルション系塗料を用い
る。このような上塗材を用いることにより、塗装時のハ
ジキを防止することができ、さらに密着性を高め、長期
にわたり耐久性に優れた吸水防止層を得ることができ
る。 【0031】上塗材における合成樹脂エマルションとし
ては、特に限定されず、例えば、浸透性吸水防止材組成
物と同様のものも使用できる。本発明では、耐水性、耐
候性、耐汚染性等向上の点から、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなど
の加水分解性シリル基含有ビニル系単量体を共重合した
アクリル系合成樹脂エマルションを用いることが好まし
い。 【0032】さらに、上塗材に、アルコキシシランの変
性縮合物、好ましくは、少なくとも1つ以上のポリオキ
シアルキレン基(好ましくは、繰り返し単位の炭素数が
1〜4)およびアルコキシル基(好ましくは、炭素数が
1〜4)を有するアルコキシシランの変性縮合物を含有
させると、耐汚染性を飛躍的に向上させることができ
る。 【0033】上塗材における有機溶剤は、浸透性吸水防
止材組成物と同様のものを使用できる。本発明では、浸
透性吸水防止材組成物と上塗材において同一の溶剤を用
いると、より安定した密着性を得ることができ、好まし
い。 【0034】この他、上塗材には、本発明の効果を阻害
しない範囲で、必要に応じて通常塗料に用いられる無機
系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料、造膜助剤、防
腐剤、防黴剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈
降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤などの添加剤を単独あ
るいは併用して配合することができる。 【0035】本発明の浸透性吸水防止材含有組成物及び
上塗材を塗装する際の施工手段としては特に限定され
ず、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装、ロールコ
ーター、フローコーター等、公知の塗装方法を用いるこ
とができる。浸透性吸水防止材含有組成物の塗付量は、
塗装する材料や基材の種類等により適宜設定すればよい
が、通常、アクリル系合成樹脂エマルションとシラン系
浸透性吸水防止材の合計固形分で、25g/m〜25
0g/m程度の塗付量にて塗装を行う。このような塗
付量で塗装することにより、十分な吸水防止性や耐久性
等を有する吸水防止層を得ることができる。上塗材の塗
付量は、通常、合成樹脂エマルションの固形分で、20
g/m〜300g/m程度の塗付量にて塗装を行
う。このような塗付量で塗装することにより、耐水性、
耐候性、耐汚染性等が良好な塗膜を得ることができる。 【0036】また、セメント系基材が元来有する質感を
維持しようとする場合は、クリヤー性を有する浸透性吸
水防止材含有組成物および上塗材を塗装すればよい。 【0037】 【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴をより明確にする。 【0038】[I]浸透性吸水防止材含有組成物の評価 表1及び表2に示すアクリル系樹脂エマルション、シラ
ン系浸透性吸収防止材、有機溶剤を用い、表3に示す配
合にて浸透性吸水防止材含有組成物を作製し、試験を行
った。 【0039】 【表1】 【0040】 【表2】 【0041】 【表3】【0042】(試験方法) (1)浸透深さ 標準モルタル(寸法:75×75×20mm)上面に各
浸透性吸水防止材含有組成物を塗付量200g/m
塗装し、室温にて7日間養生した。その後、試験体を割
裂し、浸透深さを測定した。 (2)耐エフロレッセンス性 セメント、5号珪砂、酸化鉄顔料を1:3:0.01の
比率にて混合した粉粒体と水を用いて、モルタル(寸
法:75×75×20mm)を作製した。作製したモル
タル上面に各浸透性吸水防止材含有組成物を塗付量30
0g/mで塗装し、側面を無溶剤2液エポキシ樹脂に
よりシールを行ったものを試験体とした。室温にて3日
間養生した後、試験体を水に半没させ、2週間放置後の
エフロレッセンス発生状態を目視にて評価した。評価は
以下の通りとした。 ○:ほとんどエフロレッセンスが発生しない △:一部エフロレッセンスが発生 ×:著しくエフロレッセンスが発生 (3)重ね塗り性 各浸透性吸水防止材含有組成物をスレート板(寸法:3
00×150×3mm)に塗付量150g/mで刷毛
塗りした。次に、室温2時間放置後に同一塗料を塗付量
150g/mで刷毛塗りした。さらに、室温7日間放
置後に同一塗料を塗付量150g/mで刷毛塗りし
た。2時間放置後、及び室温7日間放置後に刷毛塗りを
行った際のハジキの状態を目視にて評価した。評価は以
下の通りとした。 ◎:全くハジキを生じない ○:ほとんどハジキを生じない △:一部ハジキが発生 ×:著しいハジキが発生 【0043】試験結果を表4に示す。 (実施例1〜5)本発明の浸透性吸水防止材含有組成物
であり、基材への浸透性も高く、耐エフロレッセンス性
も良好で、重ね塗り性に優れる結果であった。 【0044】(比較例1〜3)SP値8.5以上の有機
溶剤を含有させなかったところ、重ね塗り性試験におい
て、ハジキを発生してしまった。また浸透深さも十分で
はなかった。 【0045】(比較例4)SP値が8.5より小さい有
機溶剤を用いたところ、重ね塗り性試験において、ハジ
キを発生してしまった。また浸透深さも十分ではなかっ
た。 【0046】 【表4】【0047】[II]上塗材適性 次に、上塗材を下記の通り作製し、浸透性吸水防止材含
有組成物に対する上塗材適性を検討した。 【0048】上塗材P:表1に示すアクリル系合成樹脂
エマルション1の固形分100重量部に対し、2,2,
4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブ
チレートを20重量部、表2に示す有機溶剤1を15重
量部混合。 上塗材Q:表1に示すアクリル系合成樹脂エマルション
1の固形分100重量部に対し、2,2,4−トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを2
0重量部混合。 【0049】(試験方法)各浸透性吸水防止材含有組成
物をスレート板(寸法:300×150×3mm)に塗
付量150g/mで刷毛塗りした。その後室温7日間
放置後、各上塗材を150g/m刷毛塗りし,ハジキ
の状態を目視にて評価するとともに、上塗材との密着性
をJIS K 5400碁盤目テープ法により確認し
た。ハジキ評価は以下の通りとした。 ◎:全くハジキを生じない ○:ほとんどハジキを生じない △:一部ハジキが発生 ×:著しいハジキが発生 また、上塗材との密着性の評価は以下の通りとした。 ◎:欠損部面積が5%以内 ○:欠損部面積が10%以内 △:欠損部面積が10〜35% ×:欠損部面積が35%以上 【0050】浸透性吸水防止材含有組成物と上塗材との
組み合わせ、及び上塗材適性の試験結果を表5に示す。 【0051】(実施例6、7)本発明における浸透性吸
水防止材含有組成物と上塗材との組み合わせであり、ハ
ジキ発生がなく、密着性にも優れていた。 【0052】(比較例5、6)浸透性吸水防止材含有組
成物及び上塗材に、SP値8.5以上の有機溶剤を含有
させなかったところ、著しいハジキが発生してしまい、
密着性も十分ではなかった。 【0053】 【表5】 【0054】 【発明の効果】本発明の浸透性吸水防止材含有組成物
を、コンクリート、セメントモルタル、セメント系二次
製品等のセメント系基材に塗付することによって、基材
内部での撥水層形成と、基材表面での皮膜形成とを同時
に行い、吸水防止性、中性化防止性、腐食防止性、エフ
ロレッセンス発生防止性、耐候性、耐久性等を兼ね備え
ることができるとともに、塗装を行う際の重ね塗り部の
ハジキを防止し、作業性が良好で、優れた仕上り性を有
し、美麗な外観を得ることができる。本発明組成物の塗
装においては、組成物がどのような乾燥状態であっても
塗装作業に支障を生じることがない。即ち、本発明組成
物によって形成される層が乾燥硬化してしまっていて
も、あるいは、最表面のみが乾燥した程度であっても、
重ね塗りが可能で、ハジキを生じることがない。また、
本発明の浸透性吸水防止材含有組成物を塗装した後、さ
らに上塗材を塗装する場合は、上塗材として特定溶剤を
含有する合成樹脂エマルション系塗料を用いると、ハジ
キ発生を防止でき、密着性が良好となり、耐水性、耐候
性、耐汚染性等が一段と向上した吸水防止層を得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B05D 7/24 B05D 7/24 302Y C04B 41/71 C04B 41/71 C08K 5/5415 C08K 5/5415 C09D 5/02 C09D 5/02 7/12 7/12 Z 133/00 133/00 C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 (56)参考文献 特開 平8−259892(JP,A) 特開 昭58−180563(JP,A) 特開 平5−97542(JP,A) 特開 平5−287234(JP,A) 特開 昭61−9463(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 33/00 - 33/26 C09D 133/00 - 133/26 C09K 3/18 B05D 5/00 B05D 7/00 B05D 7/24

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】第1の工程として、アクリル系合成樹脂エ
    マルションを固形分換算で100重量部に対し、シラン
    系浸透性吸水防止材を固形分換算で30〜400重量
    部、溶解性パラメータ(SP値)8.5以上、かつ水に
    対する溶解度20wt%以上の有機溶剤を5〜50重量
    部含有する浸透性吸水防止材含有組成物を塗付し、 第2の工程として、シラン系浸透性吸水防止材を含ま
    ず、溶解性パラメータ(SP値)8.5以上、かつ水に
    対する溶解度20wt%以上の有機溶剤を、合成樹脂エ
    マルションの固形分に対し5〜50重量部含有する合成
    樹脂エマルション系塗料を塗付することを特徴とする浸
    透性吸水防止層の形成方法。
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