JP6538617B2 - パラジウムおよびスズの分離回収方法 - Google Patents

パラジウムおよびスズの分離回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、パラジウムおよびスズの分離回収方法に関する。
電子工業の分野において、パラジウム(Pd)は、例えば、プラスチック材料のような非導電性のメッキ対象物品の下地に触媒作用を付加するために使用されている。このような触媒付加工程は、一般的にパラジウムおよびスズを含有する強酸性の混合触媒液と、メッキ対象物品との接触により行われ、該触媒付加工程後は、メッキ対象物品に付着した混合触媒液を除去するため水洗水による洗浄工程が行われる。
図1は、前記触媒付加工程および洗浄工程の一例を説明するための概略工程図である。パラジウムおよびスズを含有する強酸性の混合触媒液は、触媒槽12に貯留され、ここにプラスチック材料のような非導電性のメッキ対象物品(図示せず)が投入され、その下地表面に触媒としてのパラジウムが付加される。
続いて、メッキ対象物品は矢印に示すように水洗水槽14に投入され、ここで余剰に付着した混合触媒液が除去される。なお水洗水槽を複数設け、メッキ対象物品を順次該水洗水槽に移動させ洗浄工程を行うこともできる。
上記各工程では、メッキ対象物品に余剰に付着した混合触媒液が水洗水槽14に持ち込まれることになり、水洗水槽14は弱酸性を呈する。すると、強酸性の混合触媒液に溶解していたパラジウムおよびスズは、水洗水槽14中でその一部が水酸化物としてコロイド化し、あるいは沈殿物として沈殿し、水洗水槽14中の水洗水は微白濁化する。
このようなコロイドまたは沈殿物は、続くメッキ工程で均一電着性に影響を及ぼし、メッキむら、ピンホール、異物付着等の不具合を生じる。したがって、水洗水槽14中の水洗水のコロイドまたは沈殿物の量を如何に低い状態で管理するかが、メッキ製品の品質を安定化する上で重要となる。
そのため従来は、例えば、水洗水槽14中の水洗水量を増加させたり、頻繁に交換したりする等の対策が取られていた。しかしこのような対策では、手間やコストがかかり、生産効率を低下させる為、改善が求められていた。
一方、パラジウムは貴金属であり、資源的に希少で高価であるため、上記のような水洗水から効率よく回収することが、パラジウムの再利用および安定供給の点から極めて重要である。そこで、一般的には、使用済の水洗水を排水処理施設に導入し、他の重金属とともに共沈し、これら金属を回収する方策が取られている。
しかし、水洗水中に含まれる約半量のパラジウムはイオンとして存在し、上記のような方策ではパラジウムを十分に分離回収することができなかった。パラジウムの回収率を向上させるためには排水処理施設で繰り返し処理を行う必要があり、回収コストが増大するという問題もあった。また、地球環境保全の観点から、使用済みの水洗水からスズも取り除き、得られた水洗水を再利用することも望まれている。
その他のパラジウムの分離回収方法としては、例えば(1)イオン交換樹脂を用いる方法;(2)キレート樹脂を用いる方法(例えば、特許文献1参照);(3)活性炭を用いる方法(例えば、特許文献2参照)等が挙げられる。
しかし上記の各方法では、大量の水洗水を処理する場合、水洗水中のスズの水酸化物が樹脂や活性炭にケーキ状に堆積してしまい、パラジウムの分離回収を困難にしているという問題点があった。また上記の各方法ではパラジウムの抽出効率が悪く、また作業性や経済性にも改善の余地があるという問題点もある。
さらに、水洗水中に含まれるパラジウムの濃度は数mg/L〜数十mg/L程度と低濃度なものであり、従来の方法では極微量のパラジウムが回収されずに廃棄されていた。
特開2004−83926号公報 特開2000−157984号公報
したがって本発明の目的は、低濃度のパラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液からパラジウムおよびスズを簡便に、選択的に、かつ効率良く分離回収することのできる方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上とした後に、特定の添加剤を加えてpHを6〜10とし、得られた沈殿物を固液分離することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
1.以下の工程(1)〜(3)を含む、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液からパラジウムおよびスズを分離回収する方法。
(1)パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上とする工程
(2)工程(1)で得られたpH3以上の水溶液に、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを添加してpH6〜10とし、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を形成させる工程
(3)工程(2)で得られたパラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を固液分離して回収する工程
2.酸性水溶液のパラジウム濃度が0.01〜100mg/Lである、前記1に記載の方法。
3.アルカリが水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である、前記1又は2に記載の方法。
4.工程(2)における還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方の添加量が、パラジウム1モルに対して、0.2〜50モルである、前記1〜3のいずれか1に記載の方法。
5.還元剤が、ヒドラジン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸カリウムから選ばれる少なくとも1種である、前記1〜4のいずれか1に記載の方法。
6.金属捕集剤が、硫化アルカリ塩およびアルキルジチオカルバミン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、前記1〜5のいずれか1に記載の方法。
7.工程(3)において、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を膜ろ過法により固液分離する、前記1〜6のいずれか1に記載の方法。
本発明のパラジウムおよびスズの分離回収方法において、工程(1)では、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上としている。工程(2)では、工程(1)で得られたpH3以上の水溶液に、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを添加してpH6〜10の水溶液としている。この工程(2)によって、パラジウムイオンおよびスズイオンが沈殿物となり沈殿する。
また工程(3)では、前記工程(2)で得られた沈殿物を固液分離して回収する。これら各工程により、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液からパラジウムおよびスズを簡便に、選択的に、かつ効率良く分離回収することが可能となる。
本発明の方法によれば、従来の方法では分離回収が困難であった、水洗水中に含まれるイオンとして存在する低濃度のパラジウムを効率よく分離回収することができる。また、本発明の方法によれば、得られた水洗水を再利用することも可能であり、地球環境保全の観点においても優れている。
図1は、触媒付加工程および洗浄工程の一例を説明するための概略工程図である。 図2(a)〜(d)は、実施例で調製された各種pHを有する水溶液に含まれる沈殿物の粒度分布を示す図である。
以下、本発明の方法の各工程について、さらに詳細に説明する。
工程(1)
本発明における工程(1)は、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上とする工程である。
パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液としては、特に制限されないが、本発明においては、メッキ対象物品をパラジウムおよびスズを含有する酸性の混合触媒液で処理し、その下地表面に触媒作用を付加した後、メッキ対象物品に余剰に付着した混合触媒液を除去するために用いた水洗水が好ましいものとして挙げられる。
前記水洗水のパラジウム濃度は、特に限定されるものではないが、0.01〜100mg/Lであることが好ましく、より好ましくは0.01〜50mg/L、さらに好ましくは0.01〜10mg/Lである。またスズ濃度は、1〜80mg/Lであることが好ましく、より好ましくは1〜50mg/L、さらに好ましくは1〜10mg/Lである。
なお本発明で使用される酸性水溶液は、上記形態に制限されるものではなく、例えば混合触媒液そのものでもよく、この場合、パラジウム濃度は、例えば、50〜200mg/Lであることができる。また、スズ濃度は、例えば、200〜1000mg/Lであることができる。
なお酸性水溶液に存在し得るパラジウムの化合物としては、具体的には、例えば、塩化パラジウムおよび硫酸パラジウム等が挙げられる。また、スズの化合物としては、具体的には、例えば、塩化第一スズ、塩化第二スズ、硫酸第一スズおよび硫酸第二スズ等が挙げられる。
工程(1)においては、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上に調整し、好ましくは6以上に調整する。酸性水溶液のpHを3以上とするには、アルカリを添加することが好ましい。一般的に酸性水溶液は、pHが1〜2.5であるが、このような酸性水溶液に後述する工程(2)において還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方を直接添加すると、これらの還元剤、金属捕集剤が分解し、還元剤、金属捕集剤の種類によっては硫化水素等の有毒ガスが発生するおそれがある。本発明においては、酸性水溶液のpHを3以上とすることにより、このようなデメリットを緩和することが可能である。なお、pHの上限値は、特に限定されるものではないが、pH8以下、好ましくはpH6以下とすることで、後述する工程(2)のpH調整を容易に行うことができる。
工程(1)で使用されるアルカリは、アンモニア水以外のアルカリであることが好ましい。アンモニア水を用いると、水溶液中に沈殿しない、パラジウムのアンミン錯体が形成されるため好ましくない。工程(1)で使用されるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、本発明においては、これらのアルカリを必要に応じて水等の溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。
工程(2)
本発明における工程(2)は、工程(1)で得られたpH3以上の水溶液に、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを添加してpH6〜10の水溶液とし、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を形成させる工程である。
工程(2)において、工程(1)で得られた水溶液のpHを、6〜10に調整し、好ましくは6〜9に調整する。工程(2)においてpHが6未満では、イオンとして残存するパラジウムおよびスズがあり、酸性水溶液中に存在するパラジウムイオンをすべて分離回収することが困難である。また、pHが10を超えると、再溶解したパラジウムイオンが分離膜を透過するおそれや、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物の一部が溶解することで生じる粒径の小さい粒子が分離膜を透過するおそれや分離膜の目詰まりを引き起こすおそれがある。
アルカリ、還元剤および金属捕集剤の添加順序に限定はなく、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを同時に添加してもよいし、またはアルカリを添加した後に還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方を添加するか、若しくは還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方を添加した後にアルカリを添加してもよいが、作業効率を向上する観点から、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを同時に添加することが好ましい。尚、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを同時に添加する場合においては、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とアルカリとをそれぞれ用意して同時に添加してもよく、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とが予め混合された溶液を添加してもよい。
工程(2)で使用されるアルカリは、工程(1)において上記したアルカリと同様である。
pHの上昇により、スズはSn(OH)やSn(OH)、パラジウムも同様にPd(OH)のような水酸化物となり沈殿し、これらの分離回収が容易となる。スズおよびパラジウムの沈殿は、酸性水溶液が微白濁化することにより、目視で確認できる。
還元剤としては、例えば、ヒドラジン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸カリウムから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。ヒドラジン化合物とは、ヒドラジン又はその誘導体であり、例えば、ヒドラジン一水和物、ヒドラジン一塩酸塩、ヒドラジン二塩酸塩、硫酸ヒドラジン、3−クロロベンゾヒドラジド、ヒドラジン二臭化水素酸塩水和物およびヒドラジン一臭化水素酸塩等が挙げられる。本発明においては、これらの還元剤の中でもパラジウム金属への還元のしやすさという理由から、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
金属捕集剤としては、例えば、硫化アルカリ塩およびアルキルジチオカルバミン酸塩から選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、中でも有害な硫化水素を発生しないという理由から、アルキルジチオカルバミン酸塩が好ましい。
硫化アルカリ塩としては、例えば、硫化ナトリウムおよび硫化カリウムが挙げられる。アルキルジチオカルバミン酸塩としては、水溶性の観点から、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルジチオカルバミン酸塩が好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルジチオカルバミン酸塩としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸塩、ジエチルジチオカルバミン酸塩、ジプロピルジチオカルバミン酸塩、ジブチルジチオカルバミン酸塩、エチレンビスジチオカルバミン酸塩、メチルジチオカルバミン酸塩、エチルジチオカルバミン酸塩、n−プロピルジチオカルバミン酸塩、n−ブチルジチオカルバミン酸塩、エチルメチルジチオカルバミン酸塩、n−ブチルメチルジチオカルバミン酸塩、n−ブチルエチルジチオカルバミン酸塩、エチル−n−プロピルジチオカルバミン酸塩およびn−ヘキシルメチルジチオカルバミン酸塩等が挙げられる。また、アルキルジチオカルバミン酸塩の形態としては、例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩等が挙げられる。
このような還元剤および金属捕集剤の各添加量は、パラジウム1モルに対して、0.2〜50モルとすることが好ましく、より好ましくは1〜50モルであり、さらに好ましくは10〜50モルである。還元剤および金属捕集剤の各添加量をパラジウム1モルに対して、10〜50モルとすることによりパラジウムイオンを効率良く沈殿させることができる。
パラジウムイオンは、このような添加剤によって、金属パラジウム、硫化物塩またはアルキルジチオカルバミン酸塩等のパラジウム含有沈殿物となり、その分離回収が容易となる。
工程(3)
本発明における工程(3)は、上記工程(2)で得られたパラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を固液分離して回収する工程である。このような固液分離としては、公知の技術を適宜利用すればよく、特に制限されない。例えば、常圧ろ過、減圧ろ過及び加圧ろ過等の膜ろ過法、デカンテーション、遠心分離または浮上分離等により沈殿物を分離回収する方法等が挙げられる。
本発明では、膜ろ過法により沈殿物を分離回収する形態が好ましい。膜ろ過法において用いられる、ろ材の材質としては、例えば、紙、ガラス繊維およびポリマー等が挙げられ、これらは混合して合繊としてもよい。
ろ材の厚さは0.1〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1〜1mmであり、さらに好ましくは0.1〜0.3mmである。これらの膜ろ過法により、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物がろ材の孔径を通り抜ける事なく、ろ材上に捕集できるという理由から、パラジウムおよびスズの分離回収がより容易となる。
回収したパラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を、塩酸または王水液等の無機酸に溶解し、塩化アンモニウム塩またはアンモニア等を加えて塩化パラジウム酸アンモニウム塩を生成し、分離後、水素中で還元することにより、パラジウムをパラジウムメタルとして回収することができる。
上記工程(1)〜(3)により、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液からパラジウムおよびスズを簡便に、選択的に、かつ効率良く分離回収することが可能となる。
本発明の方法によれば、酸性水溶液からパラジウムおよびスズがほぼ全て分離回収できるため、水洗水を再利用することが可能となる。例えば、上記膜ろ過法で透過した透過水を、工業用の洗浄用水として、好適に再利用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
pH変化実験
パラジウム濃度が1.6mg/L、スズ濃度が234mg/L、pHが2.47である酸性水溶液(原液)の100mlをビーカーに入れ、そこに、2%の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、表1に示す各種pHの水溶液を調製した。pHは東亜ディーケーケー社製HM−31Pによって測定した。
各水溶液の温度、白濁状態および沈殿物の粒径を調べた。その結果を併せて表1に示す。なおORP(Oxidation−Reduction Potential)とは酸化還元電位を意味し、東亜ディーケーケー社製RM−30Pによって測定した。表1において「−」は未測定であることを示す。また、各水溶液に含まれる沈殿物の粒度分布を図2(a)〜(d)に示す。
表1および図2(a)〜(d)の結果から、水溶液のpHを上昇させると白色の沈殿物が多くなり、沈殿物の沈降が確認できた。また、沈殿物は数分で沈降し沈殿性も良く、上澄み液は無色透明であった。
当該沈殿物を分析用ろ紙[ADVANTEC東洋(株)社製No.5C]にてろ過したところ、固液分離性が良く、容易にろ別が可能であった。また、沈殿物は、水溶液のpHが中性近くになるにつれ粒径が増大するが、中性を超えてアルカリ側にシフトすると、粒径が小さくなることが分かった。水溶液のpHが12.5では水溶液が無色透明となり、沈殿物の再溶解が確認された。
実施例1〜9および比較例1〜5
実施例1〜9および比較例2〜5については、表2に示す酸性水溶液を用意し、表3に示すアルカリを用いて工程(1)を行った。続いて工程(2)により得た水溶液に対し、表4に示す各種アルカリ、還元剤、金属捕集剤を用いて工程(2)を行った。表4において、「−」は添加しなかったことを示す。
続いて工程(2)により得た水溶液に対し、工程(3)として分析用ろ紙[ADVANTEC東洋(株)社製、直径φ600mm、型番NO.5C]でろ過を行った。比較例1については、表2に示す酸性水溶液を用意し、工程(3)でのろ過のみを行った。
ろ過後のろ過液のPd濃度、Pd量、Pd回収率、Sn濃度、Sn量、沈殿物濃度(SS濃度)を調べた。その結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例1〜9では比較例1〜5に比べてろ過液中のPd濃度が低かった。特に、実施例2〜9は、透過液中のPd濃度が0.03mg/L以下と低く、パラジウムの分離回収性に優れるものであった。
一方、工程(2)を行わず、工程(3)のみを行った場合である比較例1、工程(2)において水溶液に還元剤・金属捕集剤を添加した後のpHが6〜10の範囲外であった場合である比較例2〜5は、パラジウムがろ紙を透過し、パラジウムの分離回収性に劣るものであった。
この結果から、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上とした後に、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを添加してpH6〜10とし、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を形成させ、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を固液分離して回収することにより、パラジウムおよびスズを簡便に、選択的に、かつ効率良く分離回収できることが分かった。
12 触媒槽
14 水洗水槽

Claims (7)

  1. 以下の工程(1)〜(3)を含む、パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液からパラジウムおよびスズを分離回収する方法。
    (1)パラジウムおよびスズ並びにこれらの化合物を含有する酸性水溶液のpHを3以上とする工程
    (2)工程(1)で得られたpH3以上の水溶液に、アルカリと、還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方とを添加してpH6〜10とし、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を形成させる工程
    (3)工程(2)で得られたパラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を固液分離して回収する工程
  2. 酸性水溶液のパラジウム濃度が0.01〜100mg/Lである、請求項1に記載の方法。
  3. アルカリが水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(2)における還元剤および金属捕集剤の少なくとも一方の添加量が、パラジウム1モルに対して、0.2〜50モルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 還元剤が、ヒドラジン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸カリウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 金属捕集剤が、硫化アルカリ塩およびアルキルジチオカルバミン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(3)において、パラジウム含有沈殿物およびスズ含有沈殿物を膜ろ過法により固液分離する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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