JP5023809B2 - 塩化ナトリウム水溶液の電解方法 - Google Patents

塩化ナトリウム水溶液の電解方法 Download PDF

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本発明は、塩化ナトリウム水溶液の電解方法に関し、詳しくは、プロセス排水の有効利用を図った塩化ナトリウム水溶液の電解方法に関する。
塩化ナトリウム水溶液の電解方法において、硬度成分を除去するための塩水(ブライン)精製工程は重要であり、古くからキレート樹脂を使用した精製法が知られている(例えば特許文献1及び2)。
また、塩化ナトリウム水溶液の電解方法として各種の方法が提案され、原塩中に不純物として含まれる硫酸塩の蓄積を防止すべく改良された方法として、原塩溶解工程、濾過工程、キレート樹脂処理工程、イオン交換膜方式の電解工程、脱塩素工程および脱芒硝工程を含む方法が知られている(特許文献3)。
特開昭48−52698号公報 特開昭51−86100号公報 特開平7−3485号公報
ところで、塩化ナトリウム水溶液の電解方法では、電解工程で生成する水酸化ナトリウムの原料水、原塩溶解工程の原塩溶解水、キレート樹脂処理工程の樹脂再生用水などの水を必要とし、特に水資源の乏しい状況下では、プロセス内で使用する水の有効利用が重要であるが、斯かる観点から改良された技術は未だ提案されていないようである。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、プロセス内で使用する水の有効利用を図った工業的に有利な塩化ナトリウム水溶液の電解方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、原塩溶解工程、濾過工程、キレート樹脂処理工程、イオン交換膜方式の電解工程、脱塩素工程および脱芒硝工程を含む塩化ナトリウム水溶液の電解方法において、キレート樹脂処理工程から排出され且つ硬度成分を含むキレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加して硬度成分を析出させ、析出した硬度成分を固液分離して得た処理水を回収し且つ必要なpH調節を行って原塩溶解工程に循環し原塩の溶解水として使用する排水回収工程を設けたことを特徴とする塩化ナトリウム水溶液の電解方法に存する。
本発明によれば、キレート樹脂処理工程から排出される排水を適切に処理して原塩溶解工程の溶解水として再使用するために経済的に有利である。
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の電解方法の好ましい一例を示す工程説明図である。図示した電解方法は、原塩溶解工程(10)、濾過工程(20)、キレート樹脂処理工程(30)、イオン交換膜方式の電解工程(40)、脱塩素工程(50)、脱芒硝工程(60)、排水回収工程(70)を包含する。
<原塩溶解工程(10)>
原塩溶解工程(10)においては、溶解槽を使用して原塩を水に溶解する。具体的には、原塩と溶解水と、電解工程(40)からライン(41)及び(51)を経て循環される淡ブラインとを使用し、粗ブラインを調製する。溶解水としては、工業用水、濾過水、上水、軟水、純水などを使用することが出来る。粗ブライン中の塩化ナトリウム濃度は出来るだけ高濃度であることが好ましく、通常、飽和濃度の粗ブライン(飽和粗ブライン)が調製される。
<濾過工程(20)>
濾過工程(20)においては、好ましくは、上記で得られた粗ブラインに凝集剤を添加した後、必要に応じてpH調節を行い、次いで、粗ブラインを濾過し、粗ブライン中の凝集物を除去する。
凝集剤の添加は、具体的には、撹拌混合槽を使用し、ライン(11)から供給される粗ブラインに凝集剤の水溶液を添加して撹拌混合することにより行う。凝集剤としては、鉄系凝集剤、アルミニウム系凝集剤などが挙げられるが、特に鉄系凝集剤が好ましい。鉄系凝集剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリシリカ鉄などが挙げられるが、特に塩化第二鉄が好ましい。鉄系凝集剤の添加量は、粗ブラインに対し、通常Fe濃度として1〜30mg/Lである。因に、鉄系凝集剤を添加した後の粗ブラインのpHは3〜4に低下する。
pH調節は、具体的には、撹拌混合槽を使用し、凝集剤の添加された粗ブラインにアルカリ剤を添加して撹拌混合することにより行う。そして、粗ブラインのpHは通常7.5〜9.5、好ましくは8.0〜9.5の範囲に調節する。アルカリ剤としては、通常、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム系アルカリ剤が使用されるが、水酸化ナトリウムが好ましい。また、アルカリ剤の希釈剤としては精製ブライン又は脱塩素工程後の淡ブラインを使用することも出来る。
上記のpH値(7.5〜9.5)は、通常、後述のキレート樹脂処理工程(50)において採用されるpH値でもあるが、仮に、使用する凝集剤の種類によりpH値が変動したとしても、凝集剤添加工程(20)の後にpH調節工程(30)を配置したため(pH値の変動の後にpH調節を行うため)、一回のpH調節により、キレート樹脂処理の至適pH条件を達成し、そのまま濾過工程前においても維持することが出来る。
粗ブライン中の凝集物の除去は、例えば、サンドフィルター、セラミックフィルター、濾布フィルター、カートリッジフィルター、精密濾過膜、限外濾過膜などの公知の濾過器や濾過膜を使用して行うことが出来る。凝集剤を使用した場合、凝集物は、凝集剤によって捕捉された固形分であり、鉄系凝集剤を使用した場合は、固形分を取り込んだ水酸化第二鉄の凝集物である。鉄系凝集剤を使用した場合、濾過後の粗ブライン中のFe濃度は0.05mg/L以下とするのが好ましい。濾過後の粗ブライン中の固形分(SS)の濃度は、通常1.0mg/L以下、好ましくは0.5mg/L以下、硬度成分濃度は、通常、カルシウム(Ca):100mg/L以下、マグネシウム(Mg):10mg/L以下、ストロンチウム(Sr):10mg/L以下である。
なお、凝集剤の添加とpH調節の各操作は、夫々の撹拌槽を使用して行ってもよい。また、凝集剤の添加及びアルカリ剤の添加は、ライン中の粗ブラインに対して行なってもよい。
<キレート樹脂処理工程(30)>
キレート樹脂処理工程(30)においては、濾過した粗ブラインをキレート樹脂で処理して粗ブライン中の二価金属イオン(硬度成分)を除去し、能力の低下したキレート樹脂を再生する。
硬度成分の除去は、具体的には、キレート樹脂塔にライン(21)から粗ブラインを供給して処理することにより行う。キレート樹脂処理に供される粗ブラインのpHは、前記の濾過工程(20)におけるpHと同じである。従って、pHの変動による固形物(懸濁物)の新たな発生はなく、キレート樹脂処理に供される粗ブラインは清澄液である。キレート樹脂としては、特に限定されず、粗ブラインより硬度不純物を除去できる公知のアミノリン酸やイミノジ酢酸などの官能基を有するキレート樹脂が使用できる。
キレート樹脂処理工程(30)において、粗ブラインのpHが7.5未満の場合にはキレート樹脂処理工程での硬度成分の吸着量が少なくなり、また、pHが9.5を超える場合にはキレート樹脂処理工程で沈殿が析出する危険性が高くなり、析出した場合にはキレート樹脂処理が不能となる。キレート樹脂処理工程(30)における粗ブラインの好ましいpHは、前述した通り、8.0〜9.5である。
キレート樹脂処理工程(30)において、粗ブライン中の硬度成分が電解槽のイオン交換膜を劣化させない濃度まで除去される。キレート樹脂塔は、2塔以上を直列に並べ1系列とし、1系列以上に並べて切り替え使用することが好ましい。キレート樹脂で処理された精製ブライン中の硬度成分濃度は、Ca:10μg/L以下、Mg:10μg/L以下、Sr:50μg/L以下である。硬度成分が上述の濃度を超える場合は、電解槽のイオン交換膜が劣化することがある。
なお、上記のキレート樹脂処理は、例えば、特開平5−186215号公報に記載された方法に従い、pHを異ならせて2段階で行うことも出来る。すなわち、1段目のキレート樹脂処理は炭酸水素ナトリウムによりpHを7〜8に調節し、2段目のキレート樹脂処理はナトリウム系アルカリ剤(苛性ソーダ又は炭酸ソーダ)を使用しpHを8〜11(好ましくは9〜10)に調節する。
能力の低下したキレート樹脂の再生は、常法に従って、行うことが出来る。すなわち、先ず、通液終了後にキレート樹脂塔内のブラインを水で置換した後、水でキレート樹脂層の逆洗を行って、キレート樹脂の破片などの懸濁物質を除去する。次いで、酸(通常は塩酸)を供給して吸着された硬度成分を脱離させて樹脂をH形に再生した後、樹脂層中の酸を水で押し出し、更に、その水を空気で押し出す。続いて、アルカリ(通常は水酸化ナトリウム)を供給して樹脂をNa形に変換した後に、樹脂層中のアルカリを水で押し出し、その水を精製ブラインで置換して、再生を終了する。
以下、キレート樹脂再生工程を小工程に区分して詳述する。
(ブライン−水置換工程):
ブライン−水置換工程では、キレート樹脂塔に下降流で空塔速度(SV)10h−1以下で樹脂量の1.5〜3倍量程度通水して、キレート樹脂塔内のブラインを水で置換する。置換は、通常、常温で行う。使用する水としては、硬度成分を含まない軟水が好ましく、硬度成分及び硫酸イオンを含まない純水がより好ましい。
(逆洗工程)及び(沈静工程):
逆洗工程では、キレート樹脂塔に上向流で通水してキレート樹脂層を50〜100%膨張させ、キレート樹脂層中の懸濁物質を塔外に排出する。水の流速は、キレート樹脂の銘柄、粒径、温度などによって異なるが、一般的には線速度(LV)として5〜20m/h程度である。逆洗は、通常、常温で行う。逆洗に使用する水は、工業用水の濾過水を使用できるが、排水の回収を行う観点からは、硬度成分を含まない軟水が好ましく、硬度成分および硫酸イオンを含まない純水が更に好ましい。次いで、沈静工程では、逆洗終了後、5〜10分間、キレート樹脂層を静置し、逆洗によって膨張したキレート樹脂層を沈静させる。
(塩酸薬注工程)、(塩酸押出工程)及び(水抜工程):
塩酸薬注工程では、キレート樹脂塔内のキレート樹脂層の上方100〜300mmに設置した薬注管から、2〜15%程度の濃度の塩酸(HCl)を下降流でSV2〜10h−1程度で通液する。塩酸の使用量は、キレート樹脂の硬度成分吸着容量によって異なるが、通常、100%塩酸として樹脂1リットル当り50〜150g程度である。塩酸の薬注は、通常、常温で行う。次いで、塩酸押出工程では、塩酸薬注工程と同じ経路で純水を下向流でSV2〜10h−1程度で樹脂量の1〜4倍程度流し、樹脂層中の塩酸を純水で押し出す。続いて、水抜工程では、キレート樹脂塔の塔頂部から圧縮空気を供給し、キレート樹脂層中の水を下降流で押し出し、キレート樹脂塔内の水位をキレート樹脂層の100〜300mm上方に設置した薬注管の位置まで下げる。水抜工程は、次の水酸化ナトリウムによるキレート樹脂の塩形変換の際に、上向流で通液する水酸化ナトリウムがキレート樹脂層上方の空間に拡散するのを防ぐために行う工程である。塩酸の薬注、押し出し及び水抜きは、通常、常温で行う。
上記3工程の排水については、これを分画せずに排水回収工程に送ることも出来るが、3つの流出画分、すなわち、主として塩化ナトリウムを含む第一の流出画分、主として硬度成分を含む第二の流出画分、及び、主として塩酸を含む第三の流出画分とに分画し、第二の流出画分を硬度成分含有画分(A)とし、第一と第三の流出画分をこの他のキレート樹脂再生工程の排水と合せて実質的に硬度成分を含まない画分(B)とし、固液分離工程で処理する水量を減少させることが出来る。
(水酸化ナトリウム薬注工程)及び(水酸化ナトリウム押出工程):
水酸化ナトリウム薬注工程では、2〜15%程度の濃度の水酸化ナトリウムを上降流でSV2〜10h−1程度で通液し、キレート樹脂のH形からNa形への塩形変換を行う。水酸化ナトリウムの使用量は、キレート樹脂の酸吸着容量によって異なるが、通常、100%水酸化ナトリウムとして樹脂1リットル当り50〜150g程度である。次いで、水酸化ナトリウム押出工程では、キレート樹脂層に純水を上向流でSV2〜10h−1程度でキレート樹脂量の1〜4倍程度流し、キレート樹脂層中の水酸化ナトリウムを純水で押し出す。水酸化ナトリウムの薬注および押出は、通常、常温で行う。なお、水酸化ナトリウムの薬注および押出時の排水は、キレート樹脂塔内の薬注管を排水管として使用して抜き出す。従って、キレート樹脂塔の排水管より上方には空気が入った状態で薬注および押出を行う。
(水−ブライン置換工程)及び(液張工程):
水−ブライン置換工程では、上記薬注管を通し、精製ブラインをキレート樹脂層中に下降流でSV2〜10h−1程度で樹脂量の1〜3倍程度流し、キレート樹脂層内の水をブラインに置換する。置換は、ブラインの温度、すなわち、通常、40〜80℃程度で行う。最後に、キレート樹脂塔の塔頂部から精製ブラインを供給し、キレート樹脂塔内の薬注管から上の部分に精製ブラインを満たし、再生を終了する。この液張りの温度は、ブラインの温度、すなわち、通常、40〜80℃程度で行う。上記の再生を終了したキレート樹脂塔は、通液工程に戻される。
<電解工程(40)>
電解工程(40)は主としてイオン交換膜方式の電解槽にて構成されている。電解槽は、イオン交換膜からなる隔膜により陰極室と陽極室とに分けられている。ライン(31)から供給された精製ブラインは常法に従って電解処理される。陰極室で生成した水酸化ナトリウム及び水素ガスは夫々ライン(図示せず)を経て排出され回収される。一方、陽極室で生成した塩素ガスはライン(図示せず)を経て排出され回収される。電解によりブライン中の塩化ナトリウムの約50%及び水の約20%が消費され、残ったブライン(淡ブライン)は、ライン(41)を経て原塩溶解槽(10)へ循環される。淡ブライン中には塩化ナトリウムが約180〜200g/L、芒硝(硫酸ナトリウム)が約6〜12g/L溶解している。また、塩素も溶解している。
<脱塩素工程(50)>
脱塩素工程(50)においては、淡ブライン中に溶解している塩素を除去する。淡ブライン中の塩素の除去方法としては、真空脱塩素塔を用いる方法、エアレーション塔を用いる方法、真空脱塩素塔とエアレーション塔とを併用する方法などがある。例えば、エアレーション塔を用いる方法では、エアレーション塔にライン(41)から淡ブラインを供給してエアーレーションを行い淡ブラインから塩素を除去する。除去された塩素ガスはライン(図示せず)を経て排出され回収される。
<脱芒硝工程(60)>
脱芒硝工程(60)においては、淡ブライン中に溶解している芒硝を除去する。具体的には、脱芒硝工程の分離塔にライン(61)から淡ブラインの一部を供給して処理する。脱芒硝工程の分離塔としては、例えば、特開平7−3485号公報に示されているように、陰イオン交換基と陽イオン交換基とを有し、これら両イオンが内部塩を形成している両性イオン交換体が充填されている分離塔が使用できる。すなわち、両性イオン交換体を充填した分離塔に淡ブラインを供給し、次いで、溶離水を供給するクロマト分離操作を繰り返し行い、当該クロマト分離操作により、主として芒硝を含む流出画分(C)と、主として塩化ナトリウムを含む流出画分(D)と、主として塩素酸ナトリウムを含む流出画分(E)に分離する。溶離水としては、軟水または純水が好適に使用される。なお、主として芒硝を含む流出画分(C)は塩素酸ナトリウムを含んでいてもよい。
脱芒硝工程において、淡ブライン中の芒硝は、完全に除去する必要はなく、電解の障害にならない濃度以下に維持されればよい。少なくとも、新たに添加される原塩に伴う芒硝量を除くことにより、飽和ブラインへの芒硝の更なる蓄積を阻止すればよい。脱芒硝工程を経た淡ブラインは、ライン(62)及び(51)を介して原塩溶解工程(10)へ循環される。
また、脱芒硝工程としては、上記の方法の他、ナノ濾過膜を使用して芒硝を除去する工程を採用することも出来、硫酸イオン(芒硝)を含む水がナノ濾過膜の濃縮水として排出される。ブラインのナノ濾過の具体的方法としては特許第3256545号公報に記載された方法がある。
更に、脱芒硝工程としては、両性イオン交換体やナノ濾過膜を使用する方法以外に、単に淡ブラインの一部を系外にパージする工程を採用することも出来、パージされた淡ブラインは硫酸イオン(芒硝)を含む。
<排水回収工程(70)>
本発明は、上記の様な塩化ナトリウム水溶液の電解方法において、キレート樹脂処理工程(30)から排出され且つ硬度成分を含むキレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加して硬度成分を析出させ、析出した硬度成分を固液分離して得た処理水を回収し且つ必要なpH調節を行って原塩溶解工程に循環し原塩の溶解水として使用する排水回収工程を設けたことを特徴とする。
(固液分離工程):
アルカリ剤を添加して硬度成分を析出させるキレート樹脂再生排水としては、前記のキレート樹脂再生工程の各工程の排水を合体して使用することも出来るが、キレート樹脂再生排水を、硬度成分を含む画分(A)と実質的に硬度成分を含まない画分(B)とに分画し、硬度成分を含む画分(A)を使用するのが好ましい。すなわち、この様に所定の画分を使用することにより処理する水量を低減できるため、硬度成分の析出および固液分離の操作が経済的となる。硬度成分を含む画分(A)は、キレート樹脂処理工程(30)のライン(32)から排出され、実質的に硬度成分を含まない画分(B)はライン(33)から排出される。
なお、実質的に硬度成分を含まない画分(B)は、主として塩酸を含む画分と主として水酸化ナトリウムを含む画分とに分画し、キレート樹脂の再生に使用することも出来る。また、これらの塩酸や水酸化ナトリウムは後述の排水回収工程におけるアルカリ剤やpH調節剤として使用することも出来る。
前述のアルカリ剤の添加は、具体的には、撹拌混合槽を使用し、ライン(32)から供給される硬度成分を含む画分(A)にアルカリ剤を添加して撹拌混合することにより行う。そして、硬度成分を含む画分(A)のpHは通常10〜12.5、好ましくは11〜12の範囲に調節する。アルカリ剤としては、通常、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム系アルカリ剤が使用されるが、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムを併用することが好ましい。
本発明の好ましい態様においては、硬度成分を含むキレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加する前に、硫酸イオンを含む水を添加して硫酸カルシウムを析出させ、また、硫酸イオンを含む水として脱芒硝工程から排出される排水を使用する。すなわち、前述の芒硝を含む流出画分(C)、ナノ濾過膜の濃縮水またはパージされた淡ブラインを使用する。なお、硫酸カルシウムが析出する際には、共存するストロンチウムイオンも硫酸ストロンチウムとして析出する。脱芒硝工程から排出される排水はライン(63)から固液分離工程に供給される。
硫酸カルシウムを析出させるには、具体的には、撹拌混合槽を使用し、ライン(32)から供給される硬度成分を含む画分(A)に硫酸イオンを含む水(好ましくは脱芒硝工程から排出される排水)を添加して撹拌混合することにより行う。硫酸イオンを含む水の量は、硬度成分を含む画分(A)の水量と硫酸イオン濃度、硫酸イオンを含む水の硫酸イオン濃度および硫酸カルシウムの溶解度積:6.1×10−5(無機化学ハンドブック、技報堂出版株式会社)から算出する。この際、硫酸カルシウム析出後に混合水中に残存し、pH調節工程を経て、回収水と共に原塩溶解槽に持ち込まれる脱芒硝排水由来の硫酸イオン量は、脱芒硝工程で除去した硫酸イオン量の10%程度以下となるように、硫酸イオンを含む水の量を決めることが好ましい。この比率が大きくなると、設備全体での芒硝の除去率が低下することになる。
このように硬度成分を含むキレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加する前に、脱芒硝工程の排水を添加して硫酸カルシウムを析出させることにより、カルシウムを析出させるために添加する炭酸ナトリウムの量を低減すると共に、回収する水量を増加させることが出来る。
析出した硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム等の固液分離は、沈降分離の他、前述の濾過工程(20)における粗ブライン中の凝集物の除去と同様に公知の濾過器を使用して行うことが出来る。また、精密濾過膜(例えばポール社の「GOREフィルタ」等)を使用することも出来る。
(pH調節工程):
本発明においては、上記の析出した硬度成分を固液分離して得た処理水(通常pHは11〜12)は、必要なpH調節を行って原塩溶解工程に循環し原塩の溶解水として使用する。pH調節は、具体的には、撹拌混合槽を使用し、ライン(71)から供給される固液分離の排液にpH調節剤を添加して撹拌混合することにより行う。pH調節剤としては一般に塩酸が使用され、pHは4〜9の範囲に調節される。この際、キレート樹脂処理工程(30)のライン(33)から排出される実質的に硬度成分を含まない画分(B)はpH調節工程に直接供給される。
本発明は、前記のようにして実施されるが、以下に、本発明の特徴をなす部分、すなわち、<キレート樹脂処理工程>、<脱芒硝工程>及び<排水回収工程>についての実施例を示す。また、以下に述べる実施例1〜5では、<キレート樹脂処理工程>の通液・再生1サイクルのキレート樹脂再生排水について、<排水処理工程>を実施し、かつ、<キレート樹脂処理工程>の通液・再生1サイクルで除去されたカルシウム量に対応する硫酸イオン量を除去すべく、<脱芒硝工程>を行った。
実施例1:
<原塩溶解工程>
塩化ナトリウム濃度が300g/Lとなるように、純水に原塩(塩化ナトリウム:96.9%、Ca:0.056%、SO4:0.163%)、芒硝及び塩素酸ナトリウムを溶解し、pH6.0の粗ブライン500リットルを調製した。得られた粗ブラインの濁度は1.0度であり、粗ブライン中の硬度成分濃度は、Ca:50.5mg/L、Mg:4.2mg/L、Sr:4.2mg/L、芒硝6.0g/L及び塩素酸ナトリウム6.0g/Lであった。なお、Ca、Mg、SrはICP−発光分析法で、硫酸イオン及び塩素酸イオンはイオンクロマトグラフ法で、ナトリウムはフレーム光度法で、それぞれ定量した。
<濾過工程>
上記の粗ブライン100Lに対し、塩化第二鉄の0.1%水溶液をFe10mg/Lの割合で添加した後、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0に調節した。得られた粗ブラインの濁度は6.0度となった。次いで、この粗ブラインをセラミック濾過膜装置で処理し、濁度0.1度以下の粗ブラインを得た。濁度は積分球式濁度計(三菱化学株式会社製「SEP−PT−706D」)を使用して測定した。また、セラミック濾過膜装置としては株式会社クボタ製「フィルセラ」(膜種類:精密濾過膜(MF)、公称孔径:0.1μm)を使用し、処理方式としては槽浸漬方式セラミック膜濾過法を採用した。
<キレート樹脂処理工程>
次いで、イミノジ酢酸型の均一粒径キレート樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンUCR12」)250mLを充填したジャケット式ガラスカラム(内径15mmφ、高さ2000mmH)をキレート樹脂塔とし、これに、温度60℃、SV15h−1、下向流、破過点:ストロンチウム50μg/Lの条件下、上記の粗ブラインを供給して処理した。処理ブライン量は47.2Lであった。
キレート樹脂の再生は次の様に行った。
(ブライン−水置換工程):
先ず、通液終了後のキレート樹脂塔に、SV3.2h−1、温度25℃の条件下、純水を下向流で52分間供給し、キレート樹脂塔内のブラインを純水に置換した。なお、逆洗工程および逆洗に伴って必要となる沈静工程は、キレート樹脂塔の径が小さいため、実施せずに次工程に進んだ。
(塩酸薬注工程)、(塩酸押出工程)及び(水抜工程):
次いで、SV3.2h−1、温度25℃の条件下、キレート樹脂層に4%塩酸を下向流で37分間供給し、吸着された硬度成分を脱離させてキレート樹脂をH形に再生した。続いて、SV3.2h−1、温度25℃の条件下、純水を下向流で50分間供給し、キレート樹脂層中の酸を水で押し出した。その後、キレート樹脂塔の塔頂部よりキレート樹脂塔内に空気を導入し、キレート樹脂塔内の水位を、キレート樹脂層上面の上方100mmの高さに設置した薬注管の位置まで下げた。
(水酸化ナトリウム薬注工程)及び(水酸化ナトリウム押出工程):
次いで、SV3.2h−1、温度25℃の条件下、5%水酸化ナトリウムを上向流で25分間供給し、キレート樹脂をH形からNa形に変換した。続いて、SV3.2h−1、温度25℃の条件下、純水を上向流で68分間供給し、キレート樹脂層中の水酸化ナトリウムを水で押し出した。
(水−ブライン置換工程)及び(液張工程):
次いで、SV 3.2h−1、温度60℃の条件下、精製ブラインを上向流で47分間供給し、水を精製ブラインで置換した。続いて、SV15h−1、温度60℃の条件下、精製ブラインを下向流で2分間供給し、カラム内のキレート樹脂層上部空間を精製ブラインで満たし、再生を終了した。
上記の再生工程から排出され、排水回収工程に供給される排水量は合計3.8Lであった。
<脱芒硝工程>
塩化ナトリウム濃度が200g/L、芒硝6g/L、塩素酸ナトリウム6g/Lとなるように、食塩、芒硝および塩素酸ナトリウムを純水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを9に調節し、淡ブラインを調製した。
また、両性イオン交換樹脂(三菱化学製「ダイヤイオンDSR01」)500mLをジャケット付ガラスカラム(内径25mm、高さ1500mm)に充填し、分離塔とした。SV4.0h−1、温度60℃の条件下、分離塔に淡ブライン0.15Lを下向流で通液した後、SV4.0h−1、温度60℃の条件下、軟水0.30Lを下向流で通液した。次いで、淡ブライン、続いて軟水を上記と同条件で繰り返し通液した。
一方、分離塔の流出液については、主として塩化ナトリウムを含む流出画分0.5倍量(0.25L)と、主として芒硝および塩素酸ナトリウムを含む流出画分0.4倍量(0.2L)とに分画し、前者を処理液とし、後者を排水とした。
以下において、淡ブラインの通液1回と軟水の通液1回を合わせて脱芒硝の1サイクルと呼ぶ。
キレート樹脂の通液・再生1サイクルで除去するカルシウムイオン量2.38gに対応して除去すべき硫酸イオン量は6.98g(芒硝として10.3g)であり、一方、脱芒硝排水中の芒硝の平均濃度は3.5g/Lであった。従って、芒硝10.3gを除去するのに必要な脱芒硝排水量は2.94Lであり、この排水量を得るのに必要な脱芒硝サイクルは14.7サイクルであった。すなわち、キレート樹脂の通液・再生1サイクルが脱芒硝工程14.7サイクルに相当した。
<排水回収工程>
(固液分離工程):
アルカリ剤を添加して硬度成分を析出させるキレート樹脂再生排水としては、前記のキレート樹脂塔から排出される排水の全量3.8Lを使用した。
容量5Lのプラスチック製ビーカーにキレート樹脂再生排水3.8Lを入れ、90rpmで5分間撹拌して排水を均一に混合した後、25%水酸化ナトリウムを加えてpHを約7に調節した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液(濃度10%)を58mL加えた後、水酸化ナトリウムでpHを12に調節して90rpmで5分間撹拌した。続いて、高分子凝集剤ダイヤフロックAP350(ダイヤニトリックス(株)製)水溶液(濃度0.1%)を、固形分(SS)量:100重量部に対して0.05重量部加え、20rpmで10分間撹拌した後、容量5Lのプラスチック製メスシリンダーに移した。30分間静置した後、上澄水を分取し、残液を濾紙No.5Cで濾過して濾過水を得た。この上澄水と濾過水を合わせた水量は3.8Lであった。また、25%水酸化ナトリウム使用量は計21mLであった。
(pH調節工程):
上記の上澄水3.8Lを容量5Lのプラスチック製ビーカーに入れ、室温で15%塩酸を添加して撹拌混合し、pHを7に調節して回収水を得た。回収水量は3.8Lであった。回収水の水質は、Ca:10mg/L、Mg:0.5mg/L、Sr:1mg/L、濁度は1度であった。15%塩酸使用量は12mLであった。なお、上記の固液分離工程およびpH調節工程は室温で行った。
実施例2:
<排水回収工程>の(固液分離工程)で処理する排水として、キレート樹脂再生排水全量ではなく、キレート樹脂再生排水の硬度成分含有画分を使用した以外は、実施例1と同様に処理を行った。
先ず、キレート樹脂再生排水の分画について述べる。
<キレート樹脂処理工程>の(塩酸薬注工程)、(塩酸押出工程)及び(水抜工程)を行う際におけるキレート樹脂塔からの流出液中のナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)及び塩酸(HCl)の各濃度と通液倍量(樹脂量と通液量の比率)との関係は、図2に示す通りであった。
そこで、図2に示したように、流出液を、主として塩化ナトリウムを含む第一の流出画分1.0倍量(0.25L)、主として硬度成分をを含む第二の流出画分1.6倍量(0.4L)、及び、主として塩酸を含む第三の流出画分2.4倍量(0.60L)とに分画し、第二の流出画分を硬度成分含有画分(A)とし、第一と第三の流出画分をこの他のキレート樹脂再生工程の排水と合せて実質的に硬度成分を含まない画分(B)とした。硬度成分含有画分(A)は0.4L、また、実質的に硬度成分を含まない画分(B)は3.4Lであった。
次いで、<排水回収工程>の(固液分離工程)では、容量1Lのプラスチック製ビーカーにキレート樹脂再生排水0.4Lを入れ、90rpmで5分間撹拌して排水を均一に混合した後、25%水酸化ナトリウムを加えてpHを約7に調節した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液(濃度10%)を60mLを加えた後、水酸化ナトリウムでpHを12に調節して90rpmで5分間撹拌した。続いて、高分子凝集剤ダイヤフロックAP350(ダイヤニトリックス(株)製)水溶液(濃度0.1%)を、固形分(SS)量:100重量部に対して0.05重量部加え、20rpmで10分間撹拌した後、容量1Lのプラスチック製メスシリンダーに移した。30分間静置後、上澄水を分取した後、残液を濾紙No.5Cで濾過して濾過水を得た。この上澄水と濾過水を合わせた水量は0.4Lであった。また、25%水酸化ナトリウム使用量は計16mLであった。
次いで、(pH調節工程)では、上記の上澄水0.4Lと実質的に硬度成分を含有しない画分3.4Lとを容量5Lのプラスチック製ビーカーに入れ、室温で、15%塩酸を添加して撹拌混合し、pHを7に調節して回収水を得た。回収水量は3.8L、回収水の水質は実施例1と略同じであった。15%塩酸使用量は2mLであった。なお、上記の固液分離工程およびpH調節工程は室温で行った。
実施例3:
<排水回収工程>の(固液分離工程)で処理する排水として、キレート樹脂再生排水3.8Lの代わりに、この排水3.8Lと脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分(C)0.3Lとを混合した排水4.1Lを使用したこと以外は、実施例1と同様に処理を行った。
先ず、<脱芒硝工程>の分離塔からの流出液の分画について述べる。
分離塔に淡ブラインと軟水とを通液した際における分離塔からの流出液中の塩化ナトリウム(NaCl)、芒硝(NaSO)、塩素酸ナトリウム(NaClO)の各濃度と通液倍量(樹脂量と通液量の比率)との関係は、図3に示す通りであった。
そこで、図3に示したように、流出液を、主として芒硝を含む流出画分(C)0.2倍量(0.1L)と、主として塩化ナトリウムを含む流出画分(D)0.5倍量(0.25L)と、主として塩素酸ナトリウムを含む流出画分(E)0.2倍量(0.1L)に分画し、流出画分(D)を処理液とし、流出画分(C)を<排水回収工程>(固液分離工程)でキレート樹脂再生排水と混合する排水とし、流出画分(E)を系外へ排出する排水とした。
なお、キレート樹脂再生排水と混合した脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分0.3Lは、脱芒硝サイクルとしては3サイクル分の排水量である。
次いで、<排水回収工程>の(固液分離工程)では、容量5Lのプラスチック製ビーカーにキレート樹脂再生排水3.8Lを入れ、90rpmで5分間撹拌して排水を均一に混合した。次いで、脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分0.3Lを加えて90rpmで5分間撹拌した。その後、25%水酸化ナトリウムを加えてpHを約7に調節した後、更に、90rpmで10分間撹拌した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液(濃度10%)52mLを加えた後、水酸化ナトリウムでpHを12に調節して90rpmで5分間撹拌した。続いて、高分子凝集剤ダイヤフロックAP350(ダイヤニトリックス(株)製)水溶液(濃度0.1%)を、固形分(SS)量100重量部に対して0.05重量部加えて20rpmで10分間撹拌した後、容量5Lのプラスチック製メスシリンダーに移した。30分間静置後、上澄水を分取した後、残液を濾紙No.5Cで濾過して濾過水を得た。この上澄水と濾過水を合わせた水量は4.1Lであった。また、25%水酸化ナトリウム使用量は計21mLであった。
次いで、(pH調節工程)では、上記の上澄水4.1Lを容量5Lのプラスチック製ビーカーに入れ、室温で15%塩酸を添加して撹拌混合し、pHを7に調節して回収水を得た。回収水量は4.1L、回収水の水質は実施例1と略同じであった。15%塩酸使用量は13mLであった。なお、上記の固液分離工程およびpH調節工程は室温で行った。
上記のように、キレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加する前に、脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分(C)0.3Lを同排水と混合することによって、混合を行わなかった実施例1に比べ、炭酸ナトリウム使用量は9%減少し、一方、回収水量は8%増加した。なお、回収水と共に原塩溶解槽に持ち込まれる脱芒硝排水由来の硫酸イオン量は、脱芒硝工程で除去した硫酸イオン量に対して8%であった。
実施例4:
<排水回収工程>の(固液分離工程)で処理する排水として、キレート樹脂再生排水の硬度成分含有画分0.4Lではなく、この排水0.4Lと脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分(C)1.0Lとを混合した排水1.4Lを使用したこと以外は、実施例2と同様に処理を行った。なお、キレート樹脂再生排水と混合する脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分1.0Lは、脱芒硝サイクルとしては10サイクル分の排水量である。
<排水回収工程>の(固液分離工程)では、容量2Lのプラスチック製ビーカーにキレート樹脂再生排水0.4Lを入れ、90rpmで5分間撹拌して排水を均一に混合した。次いで、脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分1.0Lを加え、90rpmで5分間撹拌した。その後、25%水酸化ナトリウムを加えてpHを約7に調節した後、更に、90rpmで10分間撹拌した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液(濃度10%)を27mLを加えた後、水酸化ナトリウムでpHを12に調節し、90rpmで5分間撹拌した。続いて、高分子凝集剤ダイヤフロックAP350(ダイヤニトリックス(株)製)水溶液(濃度0.1%)を、固形分(SS)量:100重量部に対して0.05重量部加えて20rpmで10分間撹拌後、容量2Lのプラスチック製メスシリンダーに移した。30分間静置後、上澄水を分取した後、残液を濾紙No.5Cで濾過して濾過水を得た。この上澄水と濾過水を合わせた水量は1.4Lであった。また、25%水酸化ナトリウム使用量は計18mLであった。
次いで、(pH調節工程)では、前記上澄水1.4Lと実質的に硬度成分を含有しない画分3.4Lとを容量5Lのプラスチック製ビーカーに入れ、室温で15%塩酸を添加して撹拌混合し、pHを7に調節して回収水を得た。回収水量は4.8L、回収水の水質は実施例1と略同じであった。15%塩酸使用量は5mLであった。なお、上記の固液分離工程およびpH調節工程は室温で行った。
上記のように、キレート樹脂再生排水の硬度成分を含む画分(A)0.4Lにアルカリ剤を添加する前に脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分(C)1.0Lを同画分と混合することによって、混合を行わなかった実施例2に比べ、炭酸ナトリウム使用量は55%減少し、一方、回収水量は26%増加した。なお、回収水と共に原塩溶解槽に持ち込まれる脱芒硝排水由来の硫酸イオン量は、脱芒硝工程で除去した硫酸イオン量に対して7%であった。
実施例5:
<排水回収工程>の(固液分離工程)で処理する排水として、キレート樹脂再生排水の硬度成分含有画分0.4Lと混合する脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分が、図3に示した脱芒硝排水の50%を占める画分(C)ではなく、脱芒硝排水の25%を占め、かつ、芒硝のピークを含む画分(C')0.7Lとを混合した排水1.1Lであること以外は、実施例4と同様に処理を行った。
なお、キレート樹脂再生排水と混合する脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分0.7Lは、脱芒硝サイクルとしては14サイクル分の排水量である。
<排水回収工程>の(固液分離工程)では、容量2Lのプラスチック製ビーカーにキレート樹脂再生排水0.4Lを入れ、90rpmで5分間撹拌して排水を均一に混合した。次いで、脱芒硝排水の主として芒硝を含む画分0.7Lを加え、90rpmで5分間撹拌した。その後、25%水酸化ナトリウムを加えてpHを約7に調節した後、更に、90rpmで10分間撹拌した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液(濃度10%)を29mLを加えた後、水酸化ナトリウムでpHを12に調節し、90rpmで5分間撹拌した。続いて、高分子凝集剤ダイヤフロックAP350(ダイヤニトリックス(株)製)水溶液(濃度0.1%)を、固形分(SS)量:100重量部に対して0.05重量部加え、20rpmで10分間撹拌後、容量2Lのプラスチック製メスシリンダーに移した。30分間静置し、上澄水を分取し、残液を濾紙No.5Cで濾過して濾過水を得た。この上澄水と濾過水を合わせた水量は1.1Lであった。また、25%水酸化ナトリウム使用量は計17mLであった。
次いで、(pH調節工程)では、上記の上澄水1.1Lと実質的に硬度成分を含有しない画分3.4Lとを容量5Lのプラスチック製ビーカーに入れ、室温で15%塩酸を添加して撹拌混合し、pHを7に調節して回収水を得た。回収水量は4.5L、回収水の水質は実施例1と略同じであった。15%塩酸使用量は4mLであった。なお、上記の固液分離工程およびpH調節工程は室温で行った。
上記のように、キレート樹脂再生排水の硬度成分を含む画分(A)0.4Lにアルカリ剤を添加する前に脱芒硝排水の芒硝濃度の高い画分(C')0.7Lを同画分と混合することによって、混合を行わなかった実施例2に比べ、炭酸ナトリウム使用量は52%減少し、一方、回収水量は18%増加した。なお、回収水と共に原塩溶解槽に持ち込まれる脱芒硝排水由来の硫酸イオン量は、脱芒硝工程で除去した硫酸イオン量に対して4%であった。
本発明の電解方法の好ましい一例を示す工程説明図 本発明のキレート樹脂再生工程:塩酸薬注・押出・水抜工程の流出液中の各成分濃度と通液倍量との関係図 本発明の脱芒硝工程の流出液中の各成分濃度と通液倍量との関係図
符号の説明
10:原塩溶解工程
20:濾過工程
30:キレート樹脂処理工程
40:電解工程
50:脱塩素工程
60:脱芒硝工程
70:排水回収工程

Claims (7)

  1. 原塩溶解工程、濾過工程、キレート樹脂処理工程、イオン交換膜方式の電解工程、脱塩素工程および脱芒硝工程を含む塩化ナトリウム水溶液の電解方法において、キレート樹脂処理工程から排出され且つ硬度成分を含むキレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加して硬度成分を析出させ、析出した硬度成分を固液分離して得た処理水を回収し且つ必要なpH調節を行って原塩溶解工程に循環し原塩の溶解水として使用する排水回収工程を設けたことを特徴とする塩化ナトリウム水溶液の電解方法。
  2. キレート樹脂処理工程において、キレート樹脂再生排水を、硬度成分を含む画分(A)と実質的に硬度成分を含まない画分(B)とに分画し、硬度成分を含む画分を、硬度成分を含むキレート樹脂再生排水として使用する請求項1に記載の電解方法。
  3. 硬度成分を含むキレート樹脂再生排水にアルカリ剤を添加する前に、硫酸イオンを含む水を添加して硫酸カルシウムを析出させる請求項1又は2に記載の電解方法。
  4. 硫酸イオンを含む水が脱芒硝工程から排出される排水である請求項3に記載の電解方法。
  5. 脱芒硝工程が、両性イオン交換体を充填した分離塔に淡ブラインを供給し、次いで、溶離水を供給するクロマト分離操作を繰り返し行い、当該クロマト分離操作により、主として芒硝を含む流出画分(C)と、主として塩化ナトリウムを含む流出画分(D)と、主として塩素酸ナトリウムを含む流出画分(E)に分離する工程であって、硫酸イオンを含む水が主として芒硝を含む流出画分(C)である請求項4に記載の電解方法。
  6. 脱芒硝工程が、ナノ濾過膜を使用して芒硝を除去する工程であって、硫酸イオンを含む水がナノ濾過膜の濃縮水である請求項4に記載の電解方法。
  7. 脱芒硝工程が、淡ブラインの一部を系外にパージする工程であって、硫酸イオンを含む水がパージされた淡ブラインである請求項4に記載の電解方法。
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