JP6537250B2 - ポリ乳酸系モノフィラメント - Google Patents

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Description

本発明は、熱溶解積層法による3Dプリンターの造形材料として好適なポリ乳酸系モノフィラメントに関するものである。
3DCADや3次元コンピューターグラフィックスのデータを元に立体(3次元のオブジェクト)を造形する3Dプリンターは、近年企業を中心に急速に普及している。3Dプリンターは用いる造形材料の種類により、光造形、インクジェット、粉末石膏造形、粉末焼結造形、熱溶融積層造形等の工法がある。
近年、個人向けなど、低価格の3Dプリンターの多くが熱溶解積層法を採用している。そして、熱溶解積層法による3Dプリンターは、造形材料としてフィラメント状のものを使用している。特許文献1には、熱溶解積層法による3次元造形機で供給材料として使用される造形フィラメントが記載されている。
熱溶解積層法による3Dプリンターでは、フィラメント状の造形材料を造形ヘッド内のプーリーで押出し、その先のヒーターでフィラメント状の造形材料を溶解しながら、押出された樹脂を造形テーブルに押し付けるように積層を行うものである。特許文献1においては、造形ヘッド内でフィラメント状の造形材料が詰まることによるトラブルが生じないように、平均直径と直径の標準偏差を規定したフィラメント状の造形材料が提案されている。
また、熱溶解積層法による3Dプリンターでは、造形ヘッド内部もその先のヒーターが加熱されると高温になることから、造形ヘッド内に送られた造形材料がヒーターに到達するまでに溶融し、造形ヘッド内のプーリーで押し出すことが困難となり、造形材料の詰まりが生じるという問題があった。また詰まることなく押し出すことができた場合でも、造形材料の溶融ムラにより品位に劣った製品となるという問題があった。特許文献1のフィラメント状の造形材料では、造形材料の熱特性を考慮していないため、このような問題を解消することはできなかった。
一方、家庭用3Dプリンターの造形材料にはポリ乳酸樹脂が使われていることが多い。ポリ乳酸樹脂の融点は約170度であり、プラスチックの中でも比較的低く、低温で溶融させることができるため、家庭用の3Dプリンターに適している。しかしながら、上記したように造形ヘッド内で溶融し、プーリーでの押出しが困難になるという問題があった。さらには、ポリ乳酸樹脂は加水分解性があるため、空気中の水分と反応して時間の経過とともにもろく壊れやすくなり、経時とともにフィラメント状の造形材料が切れやすくなるという問題もあった。つまり、長期保存後の造形材料を使用すると、造形ヘッドに送る際にフィラメント切れが生じ、このような造形材料は使用できないという問題があった。
特表2005−523391号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、ポリ乳酸樹脂を主成分とするポリ乳酸系樹脂組成物で構成されていながら、造形ヘッド内部で溶融することがなく、詰まりが生じることなくヒーターに送ることができ、かつヒーターに到達した時点で一気に溶融し、高品質の製品を得ることができるものであり、さらには耐加水分解性にも優れるモノフィラメント状の造形材料を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)D体含有量が3モル%以下であるポリ乳酸樹脂を主成分とするポリ乳酸系樹脂組成物で構成される直径が1mm以上のモノフィラメントであって、複屈折率が5×10−3以上であり、かつDSC曲線における吸熱ピーク温度(A)が150〜180℃であり、吸熱ピーク温度(A)とベースラインとDSC曲線における低温側の傾きが最大である接線との交点の温度(B)との差〔(A)−(B)〕が10℃以内であることを特徴とするポリ乳酸系モノフィラメント。
なお、DSC曲線は以下のようにして測定するものである。
測定条件:ポリ乳酸系モノフィラメントを長さ方向に対して垂直に切断してチップ状にしたものを試料とし、示差走査熱量計(DSC)を用い、試料(2g)を40℃から250℃まで10℃/分で昇温させて測定する。DSC曲線における吸熱ピークの温度を吸熱ピーク温度(A)とし、ベースラインとDSC曲線における低温側の傾きが最大である接線との交点の温度を交点の温度(B)とする。
(2)熱溶解積層法による3Dプリンターの造形材料に用いられる、(1)記載のポリ乳酸系モノフィラメント。
本発明のポリ乳酸系モノフィラメントは、熱溶解積層法による3Dプリンターの造形材料に用いることが好適なものである。D体含有量が3モル%以下であるポリ乳酸樹脂を主成分としているために融点が高く、かつ結晶性が高い。また、特定のDSC曲線を満足するフィラメントであるため、造形ヘッド内の熱で溶融することがなく、プーリーで押し出す際の詰まりが生じることなく、ヒーターで一気に溶融する性能を有している。このため、ヒゲのないシャープな外観を呈する高品質な製品を得ることができる。さらには、耐加水分解性にも優れており、長期間保存を行った後でもフィラメント切れを生じることなく使用することができる。
本発明のポリ乳酸系モノフィラメントを示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したDSC曲線の一例である。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明のポリ乳酸系モノフィラメントを構成するポリ乳酸系樹脂組成物について説明する。
本発明におけるポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂を主成分とするものである。そして、本発明におけるポリ乳酸樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物または共重合体を用いることができるが、ポリ(L−乳酸)を主体とするものであって、D体含有量が3モル%以下のものであることが必要である。中でもポリ乳酸樹脂はD体含有量が2モル%以下であることが好ましく、さらには1.5モル%以下であることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂は、D体含有量がこの範囲内であることにより、融点が高くなり、結晶性能に優れるものとなる。また、透明性も向上する。ポリ乳酸樹脂のD体含有量が3モル%を超えると、融点が低くなり、結晶性能の向上が不十分で、透明性にも劣るものとなる。また、後述するDSC曲線における各種値を満足するポリ乳酸系モノフィラメントを得ることが困難となる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂のD体含有量とは、ポリ乳酸樹脂を構成する総乳酸単位のうち、D−乳酸単位が占める割合(モル%)である。したがって、例えば、D体含有量が1.0モル%のポリ乳酸樹脂(A)の場合、このポリ乳酸樹脂(A)は、D−乳酸単位が占める割合が1.0モル%であり、L−乳酸単位が占める割合が99.0モル%である。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂のD体含有量は、実施例にて後述するように、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL−乳酸とD−乳酸を全てメチルエステル化し、L−乳酸のメチルエステルとD−乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
本発明に用いるポリ乳酸樹脂としては、市販の各種ポリ乳酸樹脂を用いることができ、D体含有量が上記範囲であるものを用いることが好ましい。また、乳酸の環状2量体を重合したものを用いることもでき、ラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL−ラクチド、または、L体含有量が十分に低いD−ラクチドを原料として、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いることが好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、副成分として、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート等から選ばれる一種または二種以上の樹脂を含有していてもよい。
そして、本発明におけるポリ乳酸系樹脂組成物は前記したようなポリ乳酸樹脂を主成分とするものであり、具体的には、該樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の含有量は70質量%以上であることが好ましく、中でも80質量%以上であることが好ましく、さらには90質量%以上であることが好ましい。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には、ポリ乳酸樹脂以外の他の熱可塑性樹脂や各種添加剤等が含まれていてもよい。
ポリ乳酸樹脂以外の他の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。
各種添加剤としては、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填材、植物繊維、強化繊維、耐候剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、反応性を有する化合物等の添加剤を添加することができる。
そして、本発明のポリ乳酸系モノフィラメントの特徴は、上記したような特定のD体含有量のポリ乳酸樹脂を主成分とするポリ乳酸系樹脂組成物からなることと、モノフィラメントを得る際に特定の条件で延伸を施したことの2点にある。
モノフィラメントを製造する際に延伸を施すことによって、ポリ乳酸樹脂の分子配向が進み、結晶化が進んだものとなるが、モノフィラメントの複屈折率を5×10−3以上とすることが必要であり、複屈折率は中でも10×10−3以上であることが好ましく、さらには20×10−3以上であることが好ましい。
複屈折率が5×10−3未満であると、モノフィラメントは延伸が不十分であり、分子配向や結晶化が進んだものとなっていない。したがって、融点が低く、結晶化が不十分となり、耐加水分解性にも劣るものとなる。また、後述するDSC曲線における各種値を満足することが困難なものとなる。
本発明のポリ乳酸系モノフィラメントの複屈折率は、光源にナトリウムランプを用いた偏光顕微鏡を使用し、ポリ乳酸系モノフィラメントをα−ブロムナフタリンに浸漬した状態下でBerekコンペンセーター法からレターデーションを求めて算出するものである。
本発明のポリ乳酸系モノフィラメントは、さらには、後述するDSC曲線における各種値を満足することが必要である。上記したように特定のD体含有量のポリ乳酸樹脂を主成分とするポリ乳酸系樹脂組成物からなり、かつモノフィラメントを得る際に特定の条件で延伸を施すことによって、DSC曲線における各種値を満足するモノフィラメントを得ることができる。この点について詳述する。
まず、ポリ乳酸系モノフィラメントを長さ方向に対して垂直に切断してチップ状にしたものを試料とし、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、試料2gを40℃から250℃まで10℃/分で昇温させて測定する。
そして、測定により得られた図1に示すようなDSC曲線において、吸熱ピーク温度(A)が150〜180℃であり、ベースラインとDSC曲線における低温側の傾きが最大である接線との交点の温度(B)が140〜170℃であることが好ましい。さらに、熱ピーク温度(A)交点の温度(B)との差〔(A)−(B)〕が10℃以内であることが必要である。
吸熱ピーク温度(A)は融点のピークを示すものであり、この温度が低いと、モノフィラメントの融点自体が低いものとなり、低温で溶融するが、耐熱性に劣るものとなる。
ベースラインとDSC曲線における低温側の傾きが最大である接線との交点の温度(B)は、熱を受けた際に溶け始める溶融開始温度を示すものである。吸熱ピーク温度(A)と交点の温度(B)との差は10℃以内であるが、中でも8℃以内であることが好ましく、さらには5℃以内である。
吸熱ピーク温度(A)と交点の温度(B)との差が10℃を超えるものであると、吸熱ピーク温度(A)が高くても溶融開始温度が低いものとなり、造形ヘッド内部で溶融が生じるものとなる。吸熱ピーク温度(A)と交点の温度(B)との差が10℃以内のものであることによって、造形ヘッド内部で溶融が生じることがなく、ヒーターに到達した時点で一気に溶融するものとなり、高品質の製品(ヒゲのない、シャープな外観を呈するもの)を得ることが可能となる。
そして、上記のようにD体含有量が少ないポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物を使用し、かつ、DSC曲線における各種値を満足する高結晶化されたポリ乳酸系フィラメントであるため、耐加水分解性にも優れている。これによって、ポリ乳酸樹脂の欠点である、空気中の水分と反応して時間の経過とともにもろく壊れやすくなるという点を解消することができ、長期保存後においてもフィラメントの折れが生じることがない。
また、本発明のポリ乳酸系モノフィラメントは、直径が1mm以上のものであり、中でも1.2mm以上であることが好ましく、さらには1.4mm以上のものであることが好ましい。直径とは、モノフィラメントの長手方向に対して垂直に切断した断面における長径を測定したものである。長径が1mm未満であると、細くなりすぎて、汎用の熱溶解積層法による3Dプリンターに適さないものとなる。なお、汎用の熱溶解積層法による3Dプリンターに適したモノフィラメントの直径の上限としては、3mm程度である。
また、本発明のポリ乳酸系モノフィラメントは長径と短径の比(長径/短径)が1.05以下であることが好ましく、中でも1.03以下であることが好ましい。長径と短径の比が1に近いほど、真円率が高いことを示すものである。本発明のポリ乳酸系モノフィラメントは以下に示す延伸を行う製造方法によって、真円率の高いモノフィラメントを得ることが可能となる。
なお、上述したような家庭用の溶解積層法による3Dプリンターに、造形材料として従来から使用されているポリ乳酸樹脂からなるフィラメントは、単にフィラメントに成形しただけで延伸が施されていないものであったり、もしくは適切に延伸が施されていないものであった。つまり、このようなモノフィラメントは、ポリ乳酸樹脂中の高分子鎖が無秩序に配されており、分子配向が進んでおらず、結晶化も進んでいないものであった。したがって、このようなフィラメントの複屈折率は1×10−3未満のものであり、DSC曲線における各種値を満足しないものであった。
通常、家庭用の溶解積層法による3Dプリンターに造形材料として使用するフィラメントは、直径が1mm以上ものである。このため、常用の製造方法でモノフィラメントを製造することは困難であった。また、製造することができたとしても、上記のような適切に延伸が施されておらず、結晶化が不十分で太細斑の生じたものであった。
つまり、通常はポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+10)℃以上の水浴で2〜5倍の延伸倍率で第一段延伸を行うが、この方法であると、ポリ乳酸樹脂自体が硬度の高い樹脂であること、繊維径1mm以上と大きく熱伝導が悪いことから、延伸時の応力が高くなり、モノフィラメントの切断が生じる。切断が生じない場合であっても、フィラメント内部にミクロボイドが発生して白濁したり、長さ方向に太細斑が生じ、真円率の低いモノフィラメントになるという問題があった。
次に、本発明のポリ乳酸系モノフィラメントの製造方法について一例を用いて説明する。
まず、ポリ乳酸樹脂組成物を常法によって紡糸速度5〜30m/分で溶融紡出し、未延伸モノフィラメントを得る。この際の紡糸温度は190℃〜230℃とするのが適当であり、紡糸温度が低すぎると完全に溶融させることが困難となり、高すぎるとポリマーの熱分解が起こるので好ましくない。
紡出された糸条を0〜100℃、好ましくは20〜80℃の液浴中で冷却固化する。冷却温度が低すぎると温度管理が困難であるとともに作業性が悪くなり、高すぎると冷却固化が不完全となるので好ましくない。冷却固化した未延伸モノフィラメントを一旦巻き取ることなく延伸する。このとき、ローラ間に非接触の乾熱ヒーターを設置し、170〜250℃で熱処理を行いながら、2〜5倍の延伸倍率で延伸を施す。さらに延伸を施す必要がある場合は、同様の設備を有するローラ間で同様の熱処理を施しながら第二段目や第三段目の延伸を行う。そして、延伸の後、ローラ間に非接触の乾熱ヒーターを設置し、130〜200℃で熱処理を行いながら、弛緩熱処理(延伸倍率は0.9〜0.99倍)を施す。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例および比較例の樹脂組成物における特性値の測定方法及び各種性能の評価方法は次のとおりである。
(1)ポリ乳酸樹脂のD体含有量
ポリ乳酸樹脂を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mlに加え、65℃にて充分撹拌した。次いで、硫酸450μlを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸樹脂を分解、メチルエステル化し、サンプルとして5mlを計り取った。このサンプルに純水3ml、および、塩化メチレン13mlを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5ml採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard社製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをポリ乳酸樹脂のD体含有量(モル%)とした。
(2)モノフィラメントの直径
得られたモノフィラメントより10mの試料を取り出し、マイクロメーターでランダムに20点測定した平均値を用いた。小数点以下第4位まで測定し、平均値を算出、四捨五入で小数点以下第3位にまとめた。
(3)真円率
得られたモノフィラメントより10mの試料を取り出し、ランダムに20点を選び出し、マイクロメーターで1点につき長径と短径を測定して、真円率=長径/短径を算出した(小数点以下第4位まで求めた)。そして、20点の平均値を算出した(小数点以下第5位を四捨五入して小数点以下第4位にまとめた)。
(4)複屈折率
上記の方法により測定し、n数10の平均値とした。
(5)吸熱ピーク温度(A)、交点の温度(B)、(A)と(B)の差
上記の方法により測定した。
(6)耐加水分解性
得られたモノフィラメントより5mの試料を取り出し、温度50℃、湿度99%の環境下で20日放置した後、フィラメントを一定方向に一回180°の角度で手で折り曲げた。この時、延性破壊による局部的な白濁が生じたのみで切断しなかったものについては合格(○)、脆性破壊により切断してしまったものについては不合格(×)とした。
実施例、比較例で使用したポリ乳酸樹脂は以下のとおりである。
(ポリ乳酸樹脂)
A−1:ネイチャーワークス社製の6201D・・D体含有量1.4モル%
A−2:ネイチャーワークス社製の6100D・・D体含有量0.5モル%
A−3:ネイチャーワークス社製の4042D・・D体含有量4モル%
実施例1
ポリ乳酸樹脂A−1をエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸温度200℃で溶融し、直径5mmの紡糸孔を1孔有する丸断面形状の口金から吐出した。なお、このときの吐出量は、延伸後の糸径が1.75mmになるように調整した。引き続き50℃の液浴中で冷却固化して20m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得た。未延伸糸を一旦巻取ることなく専用スポンジで水分を拭き取った後、ローラ間に設置された非接触型乾熱ヒーターにて230℃で熱処理を施しながら、4.09倍に延伸した。この後、同様にローラ間に設置された非接触型乾熱ヒーターにて、150℃で熱処理を施しながら延伸倍率0.98倍で弛緩熱処理を施して、モノフィラメントを得た。
実施例2、比較例1、2
延伸倍率を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行い、モノフィラメントを得た。
実施例3、比較例3〜6
ポリ乳酸樹脂を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行い、モノフィラメントを得た。
比較例7
実施例1と同様にして未延伸糸を得た後、未延伸糸を一旦巻取ることなく専用スポンジで水分を拭き取った後、ローラ間に95℃の水浴を設置して、水浴中で熱処理を行いながら、4.09倍に延伸した。それ以外は実施例1と同様に行ったが、延伸時に糸切れが多発してモノフィラメントを得ることができなかった。
比較例8
実施例1と同様にして未延伸糸を得た後、未延伸糸を一旦巻取ることなく専用スポンジで水分を拭き取った後、ローラ間に95℃の水浴を設置して、水浴中で熱処理を行いながら、2.00倍に延伸した。それ以外は実施例1と同様に行い、モノフィラメントを得た。
Figure 0006537250
表1より明らかなように、実施例1〜3で得られたモノフィラメントは、複屈折率、DSC曲線における各種値を満足するものであったため、成形性に優れており、シャープな外観を呈する製品を得ることができた。さらには、耐加水分解性に優れ、真円性にも優れていた。
一方、比較例1、3で得られたモノフィラメントは延伸が不十分であったため、太細斑が生じ、結晶化が進行せず、複屈折率及び吸熱ピーク温度(A)と交点の温度(B)との差〔(A)−(B)〕ともに本発明の範囲外のものとなった。このため、成形性が悪く、耐加水分解性、真円性ともに劣るものであった。比較例2、4で得られたモノフィラメントは、延伸を施していないものであったため、結晶化が進行せず、複屈折率及び吸熱ピーク温度(A)と交点の温度(B)との差〔(A)−(B)〕ともに本発明の範囲外のものとなった。このため、成形性が悪く、耐加水分解性にも劣るものであった。比較例5で得られたモノフィラメントは、ポリ乳酸樹脂のD体含有量が多いものであったため、結晶化が十分に進行せず、DSC曲線における各種値が本発明の範囲外のものとなった。このため、成形性に劣るものであった。
比較例6で得られたモノフィラメントは、ポリ乳酸樹脂のD体含有量が多いものであり、かつ延伸を施していないものであったため、結晶化が進行せず、複屈折率及びDSC曲線における各種値ともに本発明の範囲外のものとなった。このため、成形性が悪く、耐加水分解性にも劣るものであった。比較例7では延伸段階での応力に耐えきれなかったため切断が生じて製糸不可であった。比較例8で得られたモノフィラメントは、延伸温度不足のため、フィラメント内部にミクロボイドが発生して白濁した。さらには太細斑が生じ、結晶化が進行せず、複屈折率及び吸熱ピーク温度(A)と交点の温度(B)との差〔(A)−(B)〕ともに本発明の範囲外のものとなった。このため、成形性が悪く、耐加水分解性、真円性に劣るものであった。

Claims (2)

  1. D体含有量が3モル%以下であるポリ乳酸樹脂を主成分とするポリ乳酸系樹脂組成物で構成される直径が1mm以上のモノフィラメントであって、複屈折率が5×10−3以上であり、かつDSC曲線における吸熱ピーク温度(A)が150〜180℃であり、吸熱ピーク温度(A)とベースラインとDSC曲線における低温側の傾きが最大である接線との交点の温度(B)との差〔(A)−(B)〕が10℃以内であることを特徴とするポリ乳酸系モノフィラメント。
    なお、DSC曲線は以下のようにして測定するものである。
    測定条件:ポリ乳酸系モノフィラメントを長さ方向に対して垂直に切断してチップ状にしたものを試料とし、示差走査熱量計(DSC)を用い、試料(2g)を40℃から250℃まで10℃/分で昇温させて測定する。DSC曲線における吸熱ピークの温度を吸熱ピーク温度(A)とし、ベースラインとDSC曲線における低温側の傾きが最大である接線との交点の温度を交点の温度(B)とする。
  2. 熱溶解積層法による3Dプリンターの造形材料に用いられる、請求項1記載のポリ乳酸系モノフィラメント。
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